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心臓外科における経中心静脈

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(鶴購34第鵜55筆1言)

心臓外科における経中心静脈

     高カロリ曽輸液..(IVH)

(そ.の.1)適応と効果

東京女子医科大学日本心臓血圧研究所外科(主任:和田寿郎教授)

         .日野恒和.・和佃.寿郎

      ヒ   ノ .ツネ  カズ  ワ  ダ. ジユ  ロウ

(受付 昭和55年1月23日)

夏ntravenous Hyper A1ime腿tation in Cardiac Surgery(1VH)

       (1) Indica{;ion and E伍ect

       Tsuneka蹴mNO and Juro WADA

       Department of cardlac Research surgery(chief Prof Juro wADA)

       幽  Tokyo Women s Medical Col16ge

    In・…qf.・ccρmp・ψg・・mpli・at圭9…氏・…ev・r・ρ・・di・t・my・u・h・・1・ng−term L・w Output

.Syndro斑e, cardiac insu伍ciency.state, lqng−term pulmonary insumciency, long−term intubat三〇n state,

renal insufHciency and so on, a long−term oligotrophic state is caused by the in.compatibility i準 やeroral ingestion, or even when peroral lngestion is posslble, by the fh1}ctional insuf温ciency of the i堪estinal tracts, whibhρan. not be resolved only by treatments speci行。 to the above−lnentioned diseases,

thus an amehoration.of general condition can be obtained by raising nutritional state with some

m.Uasures, and by letting shift距ofh.6ataboiism to anabol量sm..In.the case of perfbr皿ing high calory in魚sion a琵er a cardiotomy, as each organ魚ns into長1nctional i耳sufHciency, and as an admi耳ist≠ation..

of hlgh. calory substance easily provokes. metabolic insuf丑ciency, which results in an adverse effbct, fbr

th・..E・k・・f re・p6nding・u伍・i・n・y tq…hp・th・1・gy,.by h・ving.P・ep・・ed・c…es・f high・al・・y

solutioロs in which admi阜istering water quantity, sugar concentrat三〇n, calory ra亡e per l g of nitrogen,

contents of Na, Cl, K and oth6r lnineruls can be倉eely changed,、and by.administering them wi‡hin a range.of adminlsterab夏e water quantity taking. モ撃奄狽?窒奄庶ィindices such as blood sugar level, total serum Prqt俘in・urga n五trogen lev『∋l and others into consideration, these high calory solutions could be actively metabolized. C and a li毎saving e飾ct would be achieved with an amelioration of general condition,

       はじめに

重度開心術後に強度の心不全に陥り,長期間経 口摂取が障害される例がある.このような症例で は,一般に食欲がないばかりか経管栄養あるいは

経口摂取ができたとしても,心不全による腸管壁 のanoxia, edemaのため,下痢を頻発する可能 性が大で,結局長期低栄養状態に陥ってゆく.ま た心不全は軽くすんだとしても肺不全のため挿

(2)

25

管,.機械呼吸を繰り返し,経口摂取が不能とな り,やはり,長期低栄養状態におかれる者があ る.これらの症例では,心不全と相まって胸水,

腹水が溜り,電解質輸液,血漿輸液等を行なって も,入れれば入れるだけ組織間隙に出るだけで次 鍮こ低蛋白血漿を増強させ,更に胸水を増悪し,

胸骨三才という悪循環に陥り,心不全のみの治療

でほ容易に解決しない場合がある.また重症例 でrespiratorからのweaningの施行期間,低カ ロリーの電解質輸液のみに頼っている場合がある が,長期間respiratorに依存した者が機械的受 動呼吸から自発呼吸に移行する場合は相当量の

.呼吸energyを消費すると思われ,特にhyper ventilatidn等を要する場合には,そのenergy消 表1 糖・アミノ酸の1000ml液

〔A〕 Nlgに300ca1 〔B〕 Nlgに250ca1 〔C〕 Nlgに200caI 15% 50%9Iu

P0%glu P0%fru

Aミノ酸A

154m1 R55 R76

P15 i晋 7mEq

P7

唐№撃普%91u

m酸A

fruミ

6Qm13 Q53 V7エ

R8(皆 mEq2

O

50%91u10%glu10%fτu/アミノ酸A 68mr2

W5.3 V51

V2.( 1mEq2

T

rアミノ酸B 15( ヌf 81

W rアミノ酸B 38(皆 12

P rアミノ酸.B 72(酔 72

V

55cal 66cal 82ca1

0%.glu 35m1 50%glu 42mI 0%91u 52ml

8% 0%glu 75 0%glu 40 0%glu 0

0%fm 52 0%fru 51 0%fru 51

ミノ酸A 38.(きデ 9mEq.20 ミノ酸A 67倍 1mEq2

T ミノ酸A 07贈 3mEq3

P

rアミノ酸B 38(

W

12P rアミノ酸B 67(皆 62

U rアミノ酸B 07(どr 23Q

86ca1 00caI 19ca1

0%.glu 銘m1 0%glu 96ml 0%glu 00ml

0% 10%glu 0 0%glu 0 0%fnユ

0%fru 02 0%fru 00 0%fru 62

ミノ酸A 50(誹 Q0mEq2 ミノ酸A 84(評 2rnEq2

V ミノ酸A. .2R0(碁争. 5mEq3

S

rアミノ酸B 50( ヌf 32

R rアミノ酸B 84(

F

92X rアミノ酸B. 30( カf 36、3U

72cal 88cal. 10cal

0%91u 30ml 0%glu 30m1 0%glu 30m1

3% 0%91u 2 0%・fru 0 0%fru 3

0%fru 9正. 0%fru 49 0%fru 84

ミノ酸A 67( ケa 1mEq2

T ミノ酸A 01(皆 2mEq3

O ミノ酸A 53(柳 6mEq3V rアミノ酸B 67(詳 62

U. rアミノ酸B 01( 13P rアミノ酸B 53賠 93X

60caI 6ca1 002c組

5% 0%91u5

O%fru 75m1.4V 81u%

?窒

75m15

W .

0%glu.5 O%fru

75m17 Q

0%fru 88 fru 37 0%fru 66

ミノ酸A. 90(皆 2mEq2

W ノ酸A 30(どr S5mEq3 ミノ酸A 87(曽 Q8mEq4

rアミノ酸B 90( ヌぞ 03

O rアミノ酸B 30( 63

U rアミノ酸B 87(皆 54

T

091cal 110ca1 138cal

8% 0%glu5 O%fru

20n{【5

W

50%91u50%fru 20m19

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29 257.(皆 6mEq3

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W rアミノ酸B 孕5(皆 43

S rアミノ酸. B 57(ど貧 14

P.

rア.ミノ酸B 22(皆 15

P

224ca1 .244cal 276cal

0%91u 50m1 0%glu 50m1 0%glu 50m1

0% 0%fru 0巳 0%fru 19 0%fru 36

0%fruア

ノ酸A

122

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F

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55.276(晋

8皿Eq4 P

0%fmア

ノ酸A

93

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P

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F

63U rアミノ酸B 6(濫 44S rアミノ酸B 45(晋 55T

1312q乱1.. 332qa1 364ca1

327一

(3)

費は著しく,低カロリー電解質輸液にのみ依存し ていると然るべきenergyが補給されず,患者は 疲労し再びrespiratorを装着せざるを得なくな る.このように長期resp量rator依存者のweaning にはenergyの補償が無視し得ない.低心拍出 量:症候群(LOS)で腎不全に陥った場合はそ の強度なるcatabolismを抑制し,必須アミノ酸 でBUNを再利用させる事が有利1)2}3)4)と思われ る.以上の如き適応に対し,われわれは現在消化 器外科,小児科その他で行われている経中心静脈 高カロリー輸液5)鋤を導入し,これを心臓外科 用,あるいは心不全用にmodifyして用いてい

る.心不全の輸液で注意すべきことはまず第一に 投与水分量であり,次に注意すべきは心不全が血 液循環の停滞と末梢循環不全,ひいては肺機能,

腎機能等臓器機能不全状態であるので,投与した 栄養分,薬剤が十分代謝され得るか,あるいは異 常代謝物が蓄積しないか,また蛋白合成能力が落 ちていないか等である.したがっておれわれは表 1の如き21の組合せの8)9)10)輸液を作り,これを 投与する場合投与量はカロリーで規定するのでは なく循環動態から決まる投与可能水分量で規定 し,その範囲内で可及的高カロリーを与えてい る.例えば700ml/day投与可能な人に対しては上 記各投与量に0.7を剰け,端数を切りすてる.次

に代謝に関しては血糖,BUN Cr,尿酸,血中ア ンモニア,リン脂質,NEFA等を指標とし,低 カロリーから高カロリーのものを投与し,生体 を徐々に高カロリー状態に適応させてゆくslOW inductionの形をとった7).血糖値が高い場合は糖 濃度の高い輸液から低い輸液へと切りかえ,BUN 等が高い場合はNlgあたり投与カロリーの高い AからB,Cへと切りかえる等して代謝不全に応 ずる.したがって上記21種の組合せが必要であ る.現在500mlの50%糖液が市販されており,上 記輸液組成は必ずしも繁雑ではない.腎不全に対

しては投与水分:量が限られており,またBUNの 再利用のためには必須アミノ酸もしくはこれに加 えてヒスチジン,アルギニンが必要であるので1)

ちOcc糖液とアミノ酸Cを用うる(表2).(図4).

以上の如く準備をして各適応にIVHを試みたと ころ,救命的効果を奏したものがあり以下報告す

る.

         症  例

 症例1.藤O望,2歳,男.EcD Re MvR+Re

TVR(図1)

 心内膜欠損症(ECD)にて二度目の僧帽弁置換術,並 びに三尖弁置換術を施行した男児であるが,前々より LOS,下痢が続きcardiac cachexiaが強度であった.

麻酔導入時血圧40〜50mmHgで危険であったが,一応      表2 腎不全IVH液(糖・必須アミノ酸液)

Composition ot Massachusetts general hospita1 Ronal failme W diet

Water(750m1) Amount(gm) Vitam加s Amount

L−Amino acids

A

5000USPunits

L−ISDleucine 1.4 B二(Thiamine HCI) 25mg

L−Leucine 2.2 B2(Ribo皿avin) 5mg

L−Lysine HCI 2.0 B6(Pyddox㎞e HCI) 7,5mg レMethionine 2.2 Niacinamide 50mg

L−Phenylalanine 2.2 Pantheno1 12,5㎎

L−Threonine 1.0 C(Ascorbic acld) 1.5mg

L−Tryptophan 0.5 D(Ergocalcifero1) 5000USPunits

L−Valine 1.6 E(dトα故)copheryl acetate) 2.51.U.

TQtal 13.1 K1(Aquamephyton) 5mg

G工ucose 350

(4)

27

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図1 2才♂ECD(Re MVR Re AVR)

人工心肺を離脱した.術後も玉OS,呼吸不全,下血が続 き重症であったので術後6日目よりIV且を施行した.

王VH施行と共に次第に循環系の安定をみ,血圧は上昇 し,イソプロテレノール,カルニゲソ等減量が可能とな り,X線上もcardiomegaly, pleural ettusion等の改善 をみた.呼吸能力も次第に上昇し,8日目より間漱的 強制呼吸(IMV)を開始し,17日目には持続陽圧呼吸

(CPAP)が可能となった.23日目に気管内分泌と呼吸 筋疲労による呼吸不全のため心停止を来たしたため,再 度Respiratorを挿着したが,27日.目には再びCPAPが 可能となり,40日目に抜管した.またIVH開始と共に N一出納は正へ転化し,水分出納は増加して体重増加が 認められた.電解質は血清値を正常に保つべく投与しπ が,K投与量は2〜6mEqlkg/dayの大量におよび, K出 納も正へ転化し,Naは1・1mEq/kg/dayと逆に投与量が 少ないにもかかわらず負へ転化した二これらは術後の catabolismからanabolismへ転化した事を示すもので あり,特にhepatomegaly, cardiomegalyが改善しつつも 水分出納が増強したのは,.水分が有効な形で細胞内に取

り込まれたものと考えられた.またIVH期間中投与ア ミノ酸の増加と共にBUNは上昇したが, TP, A/Gは 正常の上限を示した事は投与アミノ酸が有効に代謝され た事を示した.この症例は20日間全く経口摂取が不可能 であり,IVHが救命的効果を奏したものと思われた.

 症例2.伊○照○,32歳,男,Re MVR(図2)

 MSでMVRを施行したが工OSが持続し,5日目に 弁機能不全のため,Re MVRを行なった.術後やはり LOS,腹水貯溜,下痢,呼吸不全が続いたので5日目に IVHを施行した. IVH開始と共に血圧上昇, CVP減 少等循環系の安定をみたため,イソプロテレノール,カ ルニゲン等漸次減量できた.循環動態の安定と共に呼 吸器よりのweaningも.珂能と..なり,、 IMVで強制呼吸

(ma面atory ventilat量on)が次第に減少し,14日目に自 発呼吸が可能となった.IVH期間中N一出納は正になら なかったが,正に近づき,また電解質は血清値を正常に 保つべく投与しπところ,K出納は正へ転化し,投与量 は平均1・5mEq/kg/dayを要し, Naは1・2mEq/kg/dayと 投与量が少ないにもかかわらず,Na出納は負となった.

一329一

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図2 32才♂MS(Re.MVR)

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③ビタミン臼2A(1M)

 ビタミンD2A(1M〕       Grutamrne   gluc。s6  4209

 ム       ぱ       ロヨ

薯曽  ,謡 _論鵬

 量総加リー1740C。I  GI.丁衡 一 

  water   1000mi         尿素Nの再利用経路

      図4 G.腎不全用1000ml

蝋画

BUNは低下傾向にあり, TPは増加傾向, AIGは正常 範囲にとどまり,IVHが右効に働いている事が暗示さ れた.17日目に経口摂取に切り換えたが,この間IVH 施行中に呼吸,循環その他全身状態の改善が得られ,

IVHが著効を奏したものと考えられた.

 症例3.御○義6,40歳MVR+TVP(図3)

 MS+TI+P宜にてMVRとTplastyを行なった,、

術前強度のcardiac cachexiaで体重はわずか35k9で あった.また腎機能も悪くクンアチニソクリァラソス20 ml/minであった.術後やはり上OS高度でイソフPロテ

レノール,アラミノン,カルニゲソ等大量に必要とし た.3日目よりIVH開始したがCVPが減少し,やや 遅れて血圧も上昇し,昇圧剤の減量:が可能となった.呼 吸筋の疲労が激しく,なかなかweaning出来なかった が11日目にIMVを施行,やはり疲労のため12日目に補 助呼吸,13日目に再度IMVを施行したが,呼吸筋疲労 と同時に不整脈等のため再度補助呼吸,18日目にIMV を再開した.その後次第にmandatory ventilationの回 数を減じて30日目にweaningを完了した.電解質の変動 は前二者と同様にKは2.3mEq/kg/dayと大量投与が必要

となり, K出納は1次第に増加し,Naは1。1瓜Eq!k9/day と少量:投与で良くNa出納は減少した.肉眼的にもIVH 開始数日後より患者は活気が出て,この頃より手術直後 のcataboli6 stageからanabolic stageへ移行したもの と思われた.TP, AIGは正常範囲にとどまった.また BUN,尿酸, Crは循環動態の安定をみる以前にIVH施 行と共に著明に減少した.この症例もエOS等による強 度のcatabolismからanabolismへの転換へIVHが著 効を奏したものと思われた.

         考  按

・IVHは1967年Dudrick11)12}が創始した殆ど完

全に近い経静脈的calorie補給法であり,現在 消化器,小児科領域で広く行われて確実な効果を 上げていることは言をまたない.心臓外科領域で も心肺不全,腎不全,weaningの際のenergy補 給等各種適応があると考え,われわれはこれを心 臓外科用にmodifyした.原則として術当日は強 度のsurgical DM21)の状態にあり,とてもこの 種の高energy物質を代謝できる状態ではない ので,従来通りの電解質輸液を行い,亜目から次 第に高濃度の糖液を投与してゆき,アミノ酸,脂 肪については少なくとも術後3日以後から用いる ことを原則とした.IVHの最高カロリー投与に 到るまでの目下は血糖値,BUN,リン脂質, etc 値により様々であるが,3〜4日かげることにし

ている.このような投与をわれわれは後に述べ るrapid inductionに対しslo南nductionと称し ている.このようにすると,仮に術後1週間気管 チューブが抜去できない人でも,その1週間の energyが補給されたことになり,1週間目から 徐々にIVHのカロリーを減じ,漸次経口摂取に 移行すればよいし,更に何らかの理由で経口摂 取ができない者に対しては,そのままIVHの維 持量を続行すればカロリー投与の切れ別なく,合 理的にスム}ズに生体のCatabolismを抑制し有 利な方向へ導くものと思われる.大量の糖質,

脂質,アミノ酸,ビタミン等を投与するのである から,心不全状況では代謝障害を起すのではなか ろうかという懸念があるが,高血糖,azotemia 等が生ずればインシュリンを使ったり,糖濃度を 変化させたり,Nlgに対するカロリー比を変え たり,臨機に対処すべきは当然だが,多くは一度 維持量に達すればその後他の影響(ショック等)

が起らない限り,極めて安定している事が多い.

したがって代謝不全には十分対応でき,事実われ われは1例もそのような症例は経験していない.

理Hを施行して数日後にそれまで脱水状態に あった者が急に水々しくなり,全体的に活力を 帯びてくる時期がある.このような時は細胞が catabolismから立ち直り,細胞内へ有効な水分そ の他を取り込む時期と思われ,水分はbalance上 一331一

(7)

やや増強する.このような時期にそれ以前の心不 全に対する水分バランスを厳重に守って1asix等 で利尿を計りすぎるとanobolic stageへの逆行

となり注意を要する.電解質代謝に関して言え ばNaは術前の心不全状態と体外循環中に体内 にretentionすると思われ,術後排泄が増加する がKはその逆と思われる.Kについては電解質 輸液を行い,血清値を正常に保つべく追加投与

してもその出納が正になるのは開心術後1週間 以上要するものと思われ13),負から正への転化 はNaの正から負への転化より遅れると思われ る.このKの出納の負から正への転化は生体の

catabolismからanabolismへの移行期に一致

するようであり,この期間は前述の水分バランス が増強し,体液が増える時期とも一致し肉眼的に 患者が細胞脱水から正常な形の細胞内外水分分布 を得た時期であろう.N一バランスはこれよりやや 遅れるものと思われ,まず脱水が回復してから蛋 白合成が盛んとなるものの如く思われた.また術 後Naは投与量が少ないにもかかわらず,その胃 泡量が多く一貫して負バランスを示し,Kは血清 値を正常に保つべく投与するとanaboHe stage に入ってからは投与量が非常に多くなり,出納が 正の状態を維持する,その投与量の多さは注目す べきで14》,われわれは成人男子で(45kg)1日投 与量を200mEqに達したが,血清値が上らずBE

が高く不整脈が出るので1日投与量を250mEq

まで上げてようやく不整脈が止まった症例を経験 した.その時の血清値は3.2であった.このよう にanabolic stageではKの細胞への取り込みが 激しく,そのため血清K値が下り細胞内外のK balanceのgapが起り,不整脈を起すことがあ ると・思われ,その点注意を要する.低Na投与量:

と負のNa出納,高K投与量と正のK出納が術後 何日迄続くかはわれわれは2週間程しか追求して いないので,それ以後は不明である.

 IVHは有効に行われればcataholic stageか らan勧bolic stageへの転換を早めるので水分出 納増強,Kの負から正への転化等を普通の電解質 輸液に比し早めるものと思われる.したがってそ

れに対する適切な電解質投与が必要である.一般 に開心術後はNa制限する必要があり,しかも抗 生物質,重曹等から多量にNaは供給される.わ れわれはアミノ酸液としてアミノ酸Aを用いてお り,これは甑64mEq/1, Cl l48mEq/1入ってお り,これを配合した上記薬液が開心術後のNa 投与としては最適と考えている.Kに関しては acidosis傾向の時はアスパラKを, alkalosisに 対してはKCIを投与している. weaningの際 IMVを行なってみると,その人の呼吸能力が良

く評価できる.wean旦ngは一応循環動態が安定 し,肺不全が回復した時点で行うものであるか ら,IMVが長続きするか否かはその時の呼吸筋 energyによると思われる.長期respirator依存

例にIMVを行うとIVH施行例では次第に自発

呼吸時間が伸びてweaningヘスムーズにつなが るが,これに反し低栄養状態例ではすぐ疲れて しまい,逆に循環抑制をおこしたりする.また

CPAPは血中O、分圧を上げて血液ガス的には

一見良好な値を呈するが,回路の気道抵抗のため その呼吸筋の消費energyはかなり大きいと思わ れ,低栄養状態でのCPAPは長つづきしない.

このように経口摂取が行われずweani=・gに長時

間を要する例ではIVH十IMV, IVH十CPAP等

がその適応となる.腎不全例では投与水分量が限 られているためわれわれは50%糖液と必須アミノ 酸並びにヒスチジン,アルギニンを混じた,上記 の腎不全用輸液によって行なっている15)ω18).こ れにより経過中確かにBUN上昇を抑え,また血 清K端子安定化するようであるが未だ顕著なる症 例がないので今後の課題である.

 次にIVHを行なった際の合併症であるが,代 謝に起因せる合併症として高血糖,高窒素血症,

代謝性acidos量s, hyper lipemia等19)は上記の輸 液組成を適宜用いる等,きめ細かい管理によって 十分対処できる.敗血症はIVH期間が心臓外科 では長くて2〜3週間ですむことにより殆ど起ら ないのではないかと思われる.血栓症は細めの柔 かいシリコンラバーのカニュールを用いり,また ヘパリン使用等で避け得る.穿刺部位は肩関節部

(8)

31

表3

使用液名 商品名 組      成

アミノ酸 A 12%イスポール アミノ酸 120g/1, Na 64 mEq/1, C1148 mEq/1

B oフロテァミン12x アミノ酸 120g/1, Na 158 mEq/1, C1158 InEq/1

C ソーアミンG アミノ酸94g/1, Na 30 naEq/l, C1180 mEq/1 10%脂肪液 イントラリピッド 精製大豆油509/500ml

ク製卵黄レシチン 6g/500 mI 克ヒ用グリセリン125g/500 ml

ビタミン a シーメタ

VB15mg/2【皿 uB20.7mg/2m1

jコチン酸アミド20鵬g/2ml uB62mg/2ml

uC 50mg/2mL

バンビタン

VA 50001. U〆1AVB15mg/1A

uB21㎎/1A

uB62mg/1Aニコチン酸アミド 20mg/1Aパントラン酸5mg/1AVC 50 mg/1A

uD 5001. U./1A cf ケーワン VK:110mg/1m1

d ユベラ 酢酸アルファトコフェ三一ル100mg/2m1

e フレスミン ヒトロキソシアノコバラシン 1mg/h姐

f フォリアミン 葉酸ユ5mg/工m1

のcephalic veinを第一選択としている.

 最後にIVH(ρrapid inductionにつ〜.・て一言 すると,開心術後は極度のbatabolismに陥って おり細胞脱水,循環血液量:減少,細胞内K減少,

細胞内ATP減少, postoperative dyshydration20)

等が起っている.特にK喪失は著しく,開心術で は術後6時聞に1日分のKが失われてしまい,通 常の維持電解質液等のような低開戸リー液を使用

している場合には,血清Kの正常値を目標にKを 追加投与しても,その出納が正になるのに1週間 を要するという13).またSurgical DMのため血 糖値は異常に高く,イソプロテレノールを使用し ているためもあると思われるが22),インシュリン 分泌も異常に高い.このようにインシュリン分泌 が高くてもなお血糖値をコント・一ルできず高血 糖を呈するのはイソシュリγの相対的不足と思わ れ,このようなhyper catahdic conditionに対

し,まず体外悔のインシュリンで血糖値を抑え,

Kで喪失Kを補い,細胞内K流出をくい止め,血 糖値が正常に帰した時点で:更に大量の糖を補って 細胞内ATP産生を増し, hyper catah・lismを 抑制し,anabolic stageに移行せしめてやること

が全身の回復,更にはKパラソスの不均等による と思われる不整脈発来を抑制し,生体を有利な方 向に導くと思われる.また後にアミノ酸,脂肪を 与えれば更にcatabolismは抑えられ, anaholic stageへの回復を早める.われわれはこのような 考え方にそって従来のGIK23)を発展させた輸液 療法を検討しつつある.

 以上開心術後におけるIVHの適応,効果を考 察した.また最後に使用薬液の組成を表に示した

(表3),

         まとめ

 心臓外科領域で経中心静脈高カロリー輸液

(IVH)を要する事は比較的少ないが,心肺腎不 全等を合併せる重症例では低栄養状態が,それら の悪化に拍車をかけ,呼吸器からのweaningも 困難になる,IVHにより十分なるカロリーを,

それぞれの代謝能力に応じて投与すると,合併症 もなく全身状態を改善し,悪循環を断ち切る事に より心肺腎不全等に側面的援助を与えるものと思 われた.

一333一

(9)

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参照

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