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挨拶 巻頭言 高齢化社会とペット... 佐々木伸雄 ( 2 ) 獣医病理学研修会 第 55 回 No イヌの肝臓... 山口大学 ( 3 ) レビュー ガーナ共和国の家畜飼育の現状と在来家畜について... 大屋賢司 ( 4 ) 学会参加記 24th International Pig V

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2016 NOVEMBER No. 601 2016 NOVEMBER No. 601 2016 年(平成 28 年)11 月号 第 62 巻 第 6 号(通巻 601 号) 2016 年(平成 28 年)11 月号 第 62 巻 第 6 号(通巻 601 号)

挨拶・巻頭言

高齢化社会とペット...佐々木伸雄( 2 )

獣医病理学研修会

第 55 回 No..1121 イヌの肝臓  ...山 口 大 学( 3 )

学会参加記

24th.International.Pig.Veterinary Society.Congress...手 島 香 保( 9 )

レビュー

ガーナ共和国の家畜飼育の現状と在来家畜 について...大 屋 賢 司( 4 )

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 我々団塊の世代が高齢期に突入し、日本はますます高齢化、核家族化社会が進行している。 一方、現在のペット飼育家庭の年齢分布を見ると、60 歳以上の高齢者のペット飼育率が高い。 ということは、今後高齢者がペットを飼えなくなると、ペットの数は急速に減少することが 予想され、小動物獣医師を含む、ペット関連業界はこの点を危惧している。  私自身の臨床経験から、高齢者、特に 70 歳以上のペット所有者が飼っていたペットを亡 くすと、もう次は飼えない、とあきらめてしまうことが多い。犬や猫の寿命は病気の予防や 栄養の改善などもあって昔より長くなっており(犬の平均寿命は 14 歳前後)、高齢者は自身 の年齢を考え、責任もって飼育し続けるのは困難であると判断してしまう。  ペットの飼育が高齢者の健康寿命に貢献していることは、数多くの研究によって明らかに されている。例えば、ペット飼育高齢者の病院への通院回数は、非飼育者に比べて少ない。 血圧の維持、脂質系指標の低下など直接的効果だけでなく、精神的にリラックスするという 効果も報告されている。  高齢者、特に一人暮らしの高齢者は一日中一言も言葉を発する必要がない。テレビは見る だけであり、買い物はレジに行き、お金を払えばすむ。もしペットと同居していると、「食 事だよ」と言えばペットは喜んで飛んでくるし、「散歩に行こう」と言えば、玄関で待って いる。ペットとの会話が成り立つ。また、犬との散歩により、同じように犬と散歩する人と 挨拶するようになり、そのうちに例えば「シロちゃんのお母さん」として知られるようにな る。さらに犬の散歩者のコミュニティに入り、話し相手もできる。  ペットを飼う高齢者の悩みは、もし自分が動物の世話ができなくなったときにどうするか、 あるいは、自分が入院、あるいは老人施設に入居しなければならなくなった場合の対応であ る。近くに家族、親類がいる場合はよいが、そうでない場合、深刻である。  我々は 7 年前に NPO 法人高齢者のペット飼育支援獣医師ネットワーク(VESENA)を立 ち上げた。その目的は、1)動物の世話や飼えなくなった高齢者に対し、獣医師および動物 看護師が中心となって支援する、2)いよいよ飼育が困難な場合、新しい飼い主を探す、で ある。残念ながら、この活動はなかなか広がらないが、最近は高齢者とペットの関係がマス コミ等に取り上げられる機会も増えつつある。介護の現場からも、高齢者のペット飼育にど のように対応すべきか、という相談を受けることもあり、我々のような活動団体との連携を 模索する動きも増えつつある。  1)に関しては、開業獣医師の支援が最も重要と思っており、各地の獣医師会などとの連 携が最も効果的と考えている。一方、2)に関しては、なかなか良い解決策がない。ペット 保険やペット飼育高齢者に対する信託基金の仕組みも増えつつあるが、まだ不十分と感じら れる。「高齢者のペットを終生飼育します」という団体・会社等も現れているが、費用も高 額であり、また必ずしもその信頼性が高いとはいいにくい。  一方、ペットとともに入所できる老人施設が報道され、注目されている。このような施設 が増加することはペット飼育を行う高齢者にとって大きな朗報であり、今後増えることを期 待している。  いずれにせよ、高齢者が安心してペットを飼い、いざという段階できちんと飼育し、ある いは新たな飼い主を探すことができるようになることは、高齢化社会では必須の仕組みであ ると思われる。我々団塊の世代はまもなく健康寿命を越え、病気や様々な理由で動物を飼え なくなる年齢に到達する。時間はあまり残されていない。待ったなしである。獣医さんの社 会活動として、もう一息がんばって活動して行きたいと考えている。 (評議員) 

高齢化社会とペット

佐々木伸雄

(3)

62(6)、2016 3( )3(91)

イヌの肝臓

第 55 回獣医病理学研修会標本 No. 1121 山口大学 動物:イヌ、ラブラドール・レトリーバー、去勢雄、 1 歳 8 ヵ月齢。 臨床事項:本例は発熱、食欲不振および嘔吐を主訴に山 口大学動物医療センターに来院した。血液検査では非再 生性貧血、白血球増多症および血小板減少症を認めた。 血液塗抹では円形核と好塩基性細胞質を有する異型細胞 が散見され、骨髄穿刺では全有核細胞成分の半数以上は 芽球様細胞で占められていた。これらの芽球様細胞には 細胞質の突出およびブレブ様構造が観察された。また、 ペルオキシダーゼ染色および非特異的エステラーゼ染色 に陰性であった。 肉眼所見:大腿骨骨髄は淡赤色を示した。脾臓、縦隔リ ンパ節および膵十二指腸リンパ節が腫大していた。脾臓 には暗赤色巣が散見された。肝臓および肺は貧血調を呈 し一部に暗赤色巣が見られた。 組織所見:本例の肝臓には腫瘍細胞の浸潤増殖像が認め られた(図 1)。腫瘍細胞は細胞質の突出(図 2)およ びブレブ様構造(図 3)といった巨核芽球系細胞に特徴 的な形態を示した。また、巨核芽球様細胞が散見され た。免疫組織化学的に、多くの腫瘍細胞は c–kit(図 4) および von Willebrand factor(図 5)に陽性を示した。 前者は約 39%、後者は約 29%の腫瘍細胞が陽性を示し た。また、電子顕微鏡学的に多くの腫瘍細胞は発達した 分界膜(図 6 矢印)およびアルファ顆粒(図 6 矢頭)を 有し、巨核芽球系細胞の特徴を示した。提出標本と同様 の組織像は、骨髄、縦隔リンパ節、膵十二指腸リンパ節、 脾臓、胸腺および肺に認められ、骨髄中の腫瘍細胞は提 出標本と同様の免疫組織化学的ならびに電子顕微鏡学的 所見を示した。 診断:巨核芽球系細胞への分化を特徴とする白血病の肝 臓転移巣(疾患名 : 急性巨核芽球性白血病) 考察:急性巨核芽球性白血病は、腫瘍細胞の 20%以上 が芽球様の性質を示し、その半分以上が巨核芽球系細胞 への分化を示すものとされる。本例では、骨髄を含む諸 臓器に腫瘍細胞が認められた。免疫組織化学的検索の結 果に加え、組織学的ならび電子顕微鏡学的に巨核芽球系 細胞の特徴を有する腫瘍細胞を多数認めたため上記の診 断とした。研修会では肝臓における髄外造血が混在する 可能性が指摘された。 (櫻井 優・森本將弘)  参考文献

1. Histological classification of Hematopoietic tumors of Domestic Animals, 2nd ed., 2002

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図 1 ガーナとその周辺の地図 白地図専門店(http://www.freemap.jp)を使用して作成。

レビュー

ガーナ共和国の家畜飼育の現状と在来家畜について

 西アフリカのガーナ共和国(以下ガーナ)は、ギ ニア湾沿岸の熱帯雨林から北部のサヘルまで地理的 多様性が大きく、そこに生息する動物も多様である。 沿岸部の首都アクラは、西アフリカの中心都市であ るが、北部地域は気候が厳しいこともあり、畜産は 盛んでなく、動物性蛋白質の供給は不安定である。 ガーナの畜産は、他の東、南アフリカ諸国に比べる と盛んではなく、家畜疾病に関する情報も整備され ているとは言い難い。飼育様式も集約的なものでは なく、在来家畜の粗放的飼育が主体である。我々は、 数年前よりガーナにおける調査研究に参入している。 本稿では、同国の畜産の現状と、現在進行中の我々 の取り組みの一端についてご紹介する。 ガーナの背景  ガーナは、西アフリカギニア湾沿岸、赤道のすぐ 北側、グリニッジ子午線(greenwich meridian)の 真上に位置し、日本との時差は 9 時間である。東に トーゴ、北にブルキナファソ、西はコートジボアー ルと接しており、国土面積は日本の 3 分の 2 程度で ある(図 1)。旧宗主国は英国(1957 年に独立)で 公用語は英語、国内総生産(GDP)386 億ドル(2014 年)は世界 91 位(アフリカでは 13 位)の中下位の 経済規模といえる。日本との関係において、国内 シェアの約 7 割を占めるカカオの他、政府開発援助 (ODA)の多さが挙げられる。ガーナはサブサハラ 大 屋 賢 司(岐阜大学 応用生物科学部 共同獣医学科 獣医微生物学) における日本の ODA の最大の受益国であり、1979 年 に 建 設 さ れ た 野 口 記 念 医 学 研 究 所(Noguchi memorial institute for medical research)と日本の研 究者らによる感染症対策に関する技術協力を始めと して、インフラ整備、稲作農業、教員の能力強化な どの支援は累計で 2,400 億円(2009 年まで)にのぼ る。国際機関や旧宗主国の英国なども積極的に支援 を行ってきており、近年では政治的にも非常に安定 している国であると国際的にも評価されている。確 かに、首都のアクラは人口 240 万人(2010 年)の 西アフリカの中心的機能も担う大都市であり、例え ば 2014 年 7 月に西アフリカにおけるエボラウイル ス感染症アウトブレイクの際、WHO による緊急会 議が開催されたことも記憶に新しい(http://who. int/csr/disease/ebola/en/)。しかしながら、国内全 体に目をむけると、貧困層(一日当たりの生活費が 1.25ドル以下)が全国民の 30%、成人の非識字率が 34%、5 才以下乳幼児死亡率が 1000 人あたり 76 人 (日本は 4 人)と国民の多くが貧しい状態である [10]。 ガーナにおける畜産の現状  ガーナの気候は、コートジボアール国境沿岸の熱 帯モンスーン気候(Am)とその他地域のサバナ気 候(Aw)に大別され、植生は沿岸部の熱帯雨林か ら北部の乾燥サバンナまで 6 つに分類される。この ように地理的多様性に富むため、そこに存在する生 物も多様で、植物は 2974 種、哺乳類は 225 種、鳥 類は 750 種が生息するとされるが、近年の開発によ り多様性の喪失が危惧されており、例えば哺乳類の 24%は絶滅危惧種である [13]。国土のおよそ 2 分 の 1 を占める北部地域の植生は湿潤サバンナであり、 乾季には、ハマターンと呼ばれるサハラ砂漠の砂を 大量に含む貿易風の影響により一ヶ月以上も雨が降 らないこともある(図 2)。この地域では気候の変 動が激しいため、家畜飼育は盛んではない。動物性 蛋白質は専ら狩猟に頼ることとなり、深刻な動物性 蛋白質不足に陥っている地域もある。  表 1 に代表的な家畜の飼育頭数をガーナと日本の

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図 2 ガーナの植生 Kayang 博士の作成した図を改変し作成。 62(6)、2016 5(93) 間で比較した。決して畜産大国とは言えない日本と 比較しても、牛、鶏でそれぞれ 3 分の 1、10 分の 1 の飼育頭数となっている。国民の約 15%がイスラ ム教徒であるため豚の飼育頭数は少なく山羊・羊の 飼育が盛んであることが特徴である。牛や鶏、豚の 飼育は、首都アクラ近郊では集約的に行われている が、国土全体としては粗放的な飼育様式である。実 際、ガーナの畜産物の輸入は年々増加しているもの の輸出はゼロの状態であり、畜産は盛んとは言えな い [3]。表 2 では、ガーナと代表的な東・中央・西 アフリカ諸国のデータを比較した。当該諸国におい て最大の経済規模を誇る、GDP 世界第 21 位のナイ ジェリアは、農林水産業全体の GDP に占める畜産 業の割合が 20.1%と高く畜産大国であると言える。 また、同 74 位のケニアは、ガーナより GDP は約 1.6倍多いが、GDP に占める畜産業の割合はガーナ の 2.3%に比べ 12.1%と非常に高く、こちらも畜産 大国であると言えよう。GDP 世界第 101 位と、経 済規模はガーナと同程度の中央アフリカのウガンダ は、全 GDP に占める畜産業の割合は 5.6%とガー ナの約 2.4 倍となっている。ウガンダは降水量が多 く植生も豊かであり、サブサハラ(西アフリカ)の 激しい気候に比べ飼料穀物の栽培も含め家畜飼育に 適した環境なのであろう。サブサハラ地域において、 経済規模がガーナと同程度であるコートジボアール (GDP 世界 95 位)においては、GDP に占める農林 水産業の割合はガーナの 38.1%に比べ 26.2%、同畜 産業の割合はガーナの 2.3%に比べ 1.9%と低い傾向 にある。このことは、政情が安定しているガーナに 比べ、近年(2000 ∼ 2010 年代)においても内戦状 態となるなど政情の不安定さが影響しているのかも しれない。  ガーナの家畜感染症に関しては、資金、人材不足 のため、正確な発生統計収集や徹底した対策がとれ ているとは言い難い状況であり、特に北部地域では 獣医療の不備に起因する病畜の流通、それに伴う感 染症の拡散が指摘されている [14]。表 3 に、ガーナ 農水省(MOFA)の指定した届出伝染病のうち、特 に対策が必要な感染症とワクチンについてまとめた。 牛肺疫、小反芻獣疫を始めとした感染症に対して、 OIEや欧米諸国の援助によりワクチン接種が行わ れているが、狂犬病を除いて全く必要数に達してい ないことがわかる。狂犬病に関しては、人獣共通感 染症であること、対象が都市部の犬・猫であるため であろう。OIE の報告でも、人的・金銭的にも持続 的な支援により対策を継続させることが大事である と報告されている [3]。畜産業を発展させるために は、1)温暖な気候、2)飼料穀物の栽培、3)感染 症のコントロール、4)政情の安定、といった、畜 産を優先できる環境が必要である。ガーナにおいて

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A B C D E

図 3 ガーナの在来家畜

A : West African Shorthorn Cattle、B : Sanga Cattle、C : West African Dwarf Sheep、D : Nungua Blackhead Sheep、E : Ashanti Black Pig

A-C、E : Kayang 博士より分与。 は、比較的豊かな国力と他国からの援助を生かし、 特に 1)∼ 3)に対する対策をとることが重要であ ると考えられる。 ガーナの在来家畜について  前項で述べたとおり、ガーナにおける畜産業は盛 んであるとは言い難い。ガーナ国民一人あたりの動 物性蛋白質消費量は 1 日 16.0 g であり(FAO は 1 日 44.4 g の摂取を推奨)、国民に十分な量の動物性 蛋白質を供給できていない状況である [5]。アクラ などの大都市近郊で集約的に飼育されている品種を 除き、郊外で飼育されているのは地域種もしくは在 来種である(在来家畜)。在来家畜は近代品種に比 べ、概して生産性(増体率、繁殖効率など)が低い。 しかしながら、気候や感染症など地域の環境に適応 しているものが多く、動物遺伝子資源としても重要 である。本項では、ガーナにおいて飼育されている 在来家畜とその特性を紹介する(図 3)。  牛の地域種として代表的なものに、West African Shorthornと Sanga が あ げ ら れ る(図 3A、B)。 West African Shorthornは、ガ ーナ で は 非 常 に ポ ピュラーであり、飼育される牛の 79%を占めている。 性格は温厚であり子供の乗り物としても使役される。 純血種は小型であるため、他種と交雑し雑種として 飼 育 さ れ る こ と も 多 い。Sanga は、West African Shorthornと 瘤 牛 で あ る Zebu と の 雑 種 で あ り、 ガーナで飼育される牛の 16%を占め、West African Shorthornよ り も 大 型 で 泌 乳 量 も 多 い。West African Shorthorn、Sanga いずれもトリパノソーマ に抵抗性である [11]。

 羊は殆どが West African Dwarf (Forest type)と 呼ばれる品種である(図 3C)。West African Dwarf はトリパノソーマ抵抗性であるが、小型で増体率も よくないことから、モーリタニア原産で大型の Sahelian(トリパノソーマ感受性)との雑種である

Nungua Blackheadが開発された(図 3D)。Nungua Blackheadは、筆者の共同研究先であるガーナ大 学 附 属 農 場(Livestock Poultry Research Centre, University of Ghana)で開発され、国内で飼育され る 羊 の 10%を 占 め る [11, 15]。Nungua Blackhead は West African Dwarf よりも大型でトリパノソーマ 耐性である。1973–74 年にかけて小反芻獣疫が流行 し た 際、死 亡 率 は 85%で あ っ た が、Nungua Blackheadにおいては 36%であった [11]。

 豚 の 地 域 種 で あ る、Ashanti Black Pig (Ashanti Dwarf Pig;図 3E)は、小型で繁殖・増体率ともに 良好でないが、気候の変化、餌・水の不足に強く、 トリパノソーマ抵抗性であるなどの特性をもつこと が古くから知られていた [12]。現在、ガーナ大の研 究者らによって、マイクロサテライトマーカーを用 いた遺伝学的多様性の解析が行われている [2]。  以上のように、在来家畜は繁殖効率や増体率な どが近代種に劣ることが多いが、地域特有の感染や 環境ストレスに対する抵抗性に優れていることが多 い。トリパノソーマ抵抗性の牛 N Dama と感受性 の Boran を交配させ、抵抗性に関する QTL(量的 形質座位)マッピングした例が報告され、人工的に より高度な抵抗性を付与する育種も可能となった [9]。さらに QTL マッピングのデータに、N Dama と Boran 間における感染後のトランスクリプトー ムの比較、in vitro の実験を組み合わせることによ り、TLR や MAPK などの自然免疫応答に関連する 分子が責任遺伝子であることを示唆する報告もされ ている [16]。ガーナ大でも、在来家畜の特性につい て分子レベルでの解析が進んでおり、環境に適応し かつ生産性の向上した品種改良が求められている。  最後に、我々のグループの活動について一端を紹 介したい。 1)大型齧歯類の飼育普及プロジェクト  グ ラ ス カ ッタ ー(ケ ーン ラ ット , Thryonomys

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図 4 グラスカッター A:飼育下のグラスカッター B:ブッシュミート市場 のグラスカッター C:グラスカッターの煮込み D:グラスカッターの バーベキュー A B C D 図 5  アファジャト山麓の野鳥より検出したクラミジ アompA遺伝子の系統解析 検出されたクラミジアompA領域に関して、NJ 法によ り系統樹を作成した。検出された検体(Ghana_No. XX)は、全てC. abortusと同じクレードに配置された。 62(6)、2016 7( )7(95) swinderianus)はサブサハラ原産の大型の齧歯類で ある。消費の多くは狩猟によるが、飼育もされてい る(図 4A、B)。この地域に独特の在来家畜であり、 その肉は地域住民に非常に好まれている(図 4C、 D)。京都大学野生動物研究センターの村山美穂教 授のグループでは、JICA 草の根技術協力事業「在 来家畜生産の効率化によるガーナの食糧事情向上支 援」として、このグラスカッターの飼育普及を図っ ており、マイクロサテライトマーカーの開発による 優良品種の選抜 [1]、北部地域での飼育普及などを 行っている。筆者はプロジェクトの正式メンバーで はないが、グラスカッターの生存や飼育、周りの人 や家畜に悪影響を及ぼす病原微生物についてモニタ リングや飼育者への衛生指導を行っている。幸いに もこれまで特に問題となるような病原微生物は見つ かっていない。 2)在来家畜のクラミジア保有状況  偏性細胞内寄生性細菌であるクラミジアは、多様 な宿主域、病態を示す。人獣共通感染症や家畜の流 産の原因となるなど獣医学領域においても重要な菌 種が多い。上記プロジェクトに参加する過程で、内 陸部トーゴとの国境沿いにある国内最高峰のアファ ジャト山(885 m)で野鳥のクラミジア保有状況を調 べる機会を得た。筆者の経験では、野鳥から検出さ れ る ク ラ ミ ジ ア の 多 く は オ ウ ム 病 ク ラ ミ ジ ア Chlamydia psittaciであるが、捕獲した野鳥から検出 されたのは 6 検体全て羊流産菌 C. abortus と同じク レードに配置された(図 5)。山麓には 10 コンパウ ンド(居住空間)程からなる小さな集落があり、そ この庭先で飼育されている家畜(山羊・羊・鶏)お よび再度周辺の野鳥のクラミジア保有状況を調査し た。極めて狭いエリアで少なくとも 4 菌種のクラミ ジアを検出し、多様なクラミジアが様々な家畜、野 生動物に混在する貴重なフィールドを見つけること ができた。このフィールドで多様な宿主域を示すク ラミジアの生態を明らかにするべく研究を続けてい る。 終わりに  以上のように、ガーナにおける畜産事情と在来家 畜についてご紹介した。最後にごく簡単に、アファ ジャト山麓の在来家畜の調査についてご紹介した が、日本人がいきなりこのような田舎の集落で大 事な家畜から採材できることはない。ガーナ大学 のカウンターパートのオウス博士が、実はここの 山麓近くの出身だったのである。オウス博士は生 物多様性が専門の生態学者であるが、アファジャ ト山麓に井戸を開墾したり、自然公園を開設した りといわゆる地元の名士として地元の信望が厚く、 今回の調査が実現した。ガーナの人々は勤勉な方 が多い。大学附属農場の動物の管理などは人手も 多く徹底されている。血統管理もしっかりされて おり、在来家畜の特性に迫ることができるような研 究ができないか考えているところである。粗放的環 境(アファジャト山麓)、集約的環境(ガーナ大農 場)と異なる飼育様式の在来家畜を対象に、同国の 家畜衛生向上と学術的興味を満足できるような成果 をあげなければと思っている。

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謝辞  本稿に記した調査研究の内容は、文部科学省科研 費基盤研究 B(海外学術調査:26304039)および田 口福寿会国際学術交流助成の助成を受けている。ま た、岐阜大学応用生物科学部獣医微生物学分野の福 士秀人教授、岡田彩加博士、安田早織さん、菅沼彰 太君ら教室員、京都大学野生動物研究センター・村 山美穂教授、ガーナ大学・Boniface KAYANG 博士、 Ersmus OWUS博 士、Chris ADENYO 博 士、 Raphael AYIZANGA博士らには共同研究者として 数々の協力をいただいている。畜産業の現状と影響 を及ぼす要因に関して、岐阜大学共同獣医学科・村 上洋介特任教授に助言をいただいた。ここに篤くお 礼申し上げる。 参考文献

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Genet. Resources 4 : 1011–1014.

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Rural Develop. 28 : article #24.

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7. FAO. 2005. Nigeria : Livestock sector brief. Food and Agricultural Organization of the United Nations, Rome.

8. FAO. 2005. Uganda : Livestock sector brief. Food and Agricultural Organization of the United Nations, Rome.

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10. Honda, S. 2011. もう一つの絆ー日本の対ガーナ 公的援助(ODA). pp. 34–46. In : ガーナを知るため の 47 章(Takane, T. And Yamada, S. eds.): Akashi–shoten, Tokyo (in Japanese)

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12. Jollans, J. L. 1959. A preliminary report on the indigenous pigs of Ashanti. J. West African Sci.

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写真 1 会場となった Royal Dublin Society 写真 2  ダブリン市内の住居。個々で色が違うカラフ ルなドアが印象的な街並みであった 表 1 発表演題数(疾患分野別) (ウイルス) (細菌) PRRS 145 Salmonella 29 PCV 84 A.pleuropneumoniae 25 PED 59 Lawsonia 23 SIV 33 Streptococcus 14 CSF/ASF 11 E.coli 12 MycoPlasma 53 その他 45 62(6)、2016 9( )9(97)

学会参加記

24th International Pig Veterinary Society Congress

手 島 香 保 1. はじめに  日生研に入所し、豚用ワクチン開発に従事してか ら早 2 年が経過した。そして今回初めてアイルラン ドで開催された国際養豚獣医学会(IPVS)に参加し、 世界の生産技術、疾病対策に関する研究発表を多く 傾聴することができた。  開催地であるダブリンは、アイルランドの首都で あり、公共機関の表記に英語とゲール語が使用され ており、ホテル近くの郵便局は 1815 年建造にもか かわらず現在も街のシンボルとしての佇まいを保持 していたり、英国とは異なる独自の文化を守り続け てきた故の落ち着いた雰囲気が印象的であった。中 心街からディーゼル列車に乗って穏やかな住宅街を 抜 け る と、学 会 会 場 で あ る Royal Dublin Society (RDS)に到着した。学会会場に一歩踏み入れると、 多くの人々が集まり、企業ブースが立ち並ぶ活気ある 雰囲気に圧倒された。なお学会の様子は動画でも公開 されているので、雰囲気を感じて見ていただきたい。 (https : //www.youtube.com/watch?v=ehILI3n82po)  今回の発表演題は、口頭発表が 132 題、ポスター 発表が 962 題、総数 1094 題と非常に多く、口頭発 表は、4 部屋同時に行われ、ロシア語、中国語への 同時通訳も行われていた。また、昨今の事件のせい か、会場内は厳重な警備が敷かれていた。  事前に HP に要旨集の PDF ファイルが公開され、 興味のある発表を調べることができた。要旨集から 今回の発表演題傾向を調べたところ、PRRS に関す る演題数が最も多く、この傾向は前回、前々回と同 様であることから、PRRS の問題の根深さを実感し た(表 1)。また PCV に次いで PED に関する演題 数も多く、ここ数年国際的に関心が高まっているこ とが示唆された(表 1)。この中から期間中、興味 深かった発表演題・提示製品について紹介する。 2. 興味深かった発表演題・提示製品紹介 2–1 9 週齢豚に対する Seneca virus A の実験的感 染の報告

Vesicular Disease in 9–week–old Pigs Experimentally Infected with Seneca virus A

N. Montiel., et al. 24th IPVS (2016) 【はじめに】

 Seneca virus A (SVA)は、1988 年からアメリカ やカナダで発生があり、突発性水泡病(IVD)に関 係していることは知られている。この IVD が 2015 年からアメリカで流行し始め、感染個体の血清、水

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泡液から SVA が分離された。恐らく SVA がここ最 近の流行の原因と考えられるが、証明はされていな かった。 【方法】  9 週齢の豚 29 頭に SVA15–41901SD 分離株 5 × 107 pfu/頭を経鼻投与した。29 頭のうち 12 頭は攻 撃 5 日前に免疫抑制の為に Dexamethasone(DX) を投与した。血清とスワブを採取し、SVA 抗体価と ウイルス分離を行った。 【結果】  攻撃 5 日後、24 頭が蹄冠帯、趾間部に潰瘍性病 変を形成した。10 日後には鼻と下唇に水疱、びら んが形成された。DX 処置群は無処置群に比べて大 きな水疱が約 1 日早く形成された。また攻撃 3 日後 には PCR 法にて両群の血清から SVA が検出され、 攻撃 5 日後には水疱液スワブからも検出された。 【考察】  初めて実験的に肥育豚に SVA を感染させ、SVA 感染によって突発性水泡病を発症することを証明し た。このことは、本病が甚大な被害をもたらした口 蹄疫と臨床的に見分けがつかない為重要である。 SVAによる突発性水泡病と他のウイルス性水泡病 を迅速に見分ける為に、SVA の病原性や感染後の宿 主応答についてさらに解析する必要がある。 【所感】  2015 年からアメリカで豚の口蹄疫類似疾病が発 生しており、演者は発症豚から分離したウイルスに よる感染実験を行い報告した。アメリカで発生して いる SVA による突発性水泡病は、日本において発生 報告はない。しかし臨床症状のみでは口蹄疫と類症 鑑別が困難である点で注目すべき疾病と考えられる。 2–2 ノズル式噴射器とシリンジによる経鼻投与の比較 Intranasal vaccination : a comparison of a new nozzle versus administration via syringe

C. M. Maala., et al. 24th IPVS (2016) 【はじめに】  若齢の豚にワクチンを投与する方法の一つに、経 鼻投与がある。しかし十分に効果を得るためには、 上部気管支に散布できる良いデバイスが必要である。 【方法】  豚 10 頭に、プラスチックシリンジあるいは、ノ ズル式噴射器(Primatech, Neogen Corporation)を 用 い て、青 色 素(McComick Bright Blue Food Color)を経鼻投与した。鼻孔からノズルを用いて 1 mL投与し、一方には 2 mL のシリンジを用いて 1 mL投与した。 【結果】  ノズルを用いて投与した場合は、扁桃を含む 1 次 気管支までの上部気管支に着色が認められた。一方、 シリンジを用いて投与した場合は、細気管支および 肺組織まで広範囲に着色が認められた。 【考察】  ノズルを用いた場合はシリンジを用いた場合に比 べて上部気管支に安定して散布できることが分かっ た。一方シリンジを用いた場合は肺組織まで拡散す ることから、ノズルを用いて投与した方が吸引性肺 炎の危険性が少ないと考えられる。 【所感】  同じ経鼻投与であっても到達地点が異なるという 結果から、抗原をどこの組織の免疫系に認識させた いかという点で重要であると思った。 2–3 豚の日齢間における全身臓器の TLR1–10 発 現パターンの比較

Heterogeneous expression of Toll –like receptor 1 – 10 genes in lymphoid tissues of different ages pigs M. J. Uddin., et al. 24th IPVS (2016)

【はじめに】  豚において、免疫応答が日齢によって異なること は知られている。病原体を認識する受容体である TLRの発現パターンは豚の免疫応答を知る上で重 要であるが、これらは十分に調べられていない。 【方法】  コマーシャル農場のうち① 1 日齢群、② 2 か月齢 群、③ 5 か月齢群よりそれぞれ 3 頭ずつ健康な豚 (雌、Pietrain 種)を供試した。全頭同一の飼養環 境で管理した。安楽殺後、頸部リンパ節 (CLN)、 肝臓、脾臓、胸腺、肺、心臓、耳介部の皮膚および 末梢血単核球を採材した。その後各サンプルから Tri–reagentを用いて全 RNA を回収した。TLR1– 10 の転写産物は GenomeLab GeXP Genetic Analysis System (Beckman Coulter)を用いて定量化した。 【結果】  TLR1 の mRNA 発現量は、CLN と脾臓が最も多 く、次いで肝臓と肺で多かった。TLR2 の mRNA 発 現 量 は、肝 臓、肺 お よ び 脾 臓 が 最 も 多 か っ た。 TLR3の mRNA 発現量はどの臓器でも多く、特に胸 腺、腎臓、肺および肝臓で多かった。TLR5 を除く 全ての TLR の mRNA 発現量は、1 日齢群より 2 か

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写真 3  下:Hall6 の 様 子、上:Hall2 の 様 子、50 人 ~ 1000 人規模の大小様々な会場で発表が行 われた。 62(6)、2016 11(99) 月齢群の方が有意に多かった。TLR3 の mRNA 発現 量は、1 日齢群と 5 か月齢群に比べて、2 か月齢群 は有意に多かった。 【考察】  日齢によって TLR の発現パターンが異なることが 分かった。この TLR の発現パターンが日齢における 免疫応答の違いに関与している可能性が示唆された。 【所感】  ワクチンの抗原認識の 1 つである TLR の発現に 関する発表である。総じて TLR3 が多いこと、2 ヶ 月齢に発現が多いことは興味深い。部分的のみなら ず網羅的な解析結果を見てみたいと思った。 2–4 初乳摂取量による PED ワクチン効果の違い Effects of Different Levels of Colostrum Intake on the Severity of Porcine Epidemic Diarrhea in Piglets N. Thanatong., et al. 24th IPVS (2016)

【はじめに】  PED は世界中で経済的な損失を引き起こしてい る重篤な腸疾患であり、母豚からの移行抗体によっ て子豚の感染を防御できることが知られている。防 御対策の中で、初乳の摂取コントロールが、農場に おいて最も簡単に取り入れやすい。今回は、初乳摂 取量による感染防御への影響を、糞便状態の観察と 腸管の病理学的検査を用いて調査した。 【方法】  試験は PED 陽性農場で行った。同じ母豚由来の 新生豚 12 頭を 3 頭ずつ 4 群に分けた。母豚から採 取した初乳と代用乳の割合を変えて各群に与えた。 グループ 1 は、100%代用乳、グループ 2 は 25%初 乳 75%代用乳、グループ 3 は 50%初乳 50%代用乳、 グループ 4 は 100%初乳を与えた。投与 5 時間後、 全頭に 1 × 105 TCID 50/mL PEDV液を 5 mL 経口投 与した。その後、全頭に代用乳を与えた。糞便の粘 度は、0:固体、1:糊状、2:半流動状、3:液状と それぞれスコア化した。攻撃 22 時間後に子豚を安 楽殺し、空腸を採材した。採材した腸管を用いて PEDVに対する免疫染色を行った。また腸絨毛の高 さを計測し、ANOVA で各群間の比較を行った。 【結果】  糞便の平均スコアについて、グループ 1 と 2 では スコア 3 であったのに対して、グループ 3 と 4 では スコア 1 であった。また全群で絨毛の退縮と融合が 認められたが、グループ 1 と 2 ではグループ 3 と 4 に比べて広範囲であった。免疫染色では全群の空腸 の粘膜上皮細胞に PEDV を認めた。絨毛の高さの 平均について、グループ 1 が 254.40 ± 47.40 µm、 グ ル ープ 2 が 353.80 ± 55.10 µm、グ ル ープ 3 が 406.46± 15.65 µm、グループ 4 が 415.10 ± 76.70 µm であり、このうちグループ 1 は他のグループに比べ て絨毛の高さが有意に低かった。 【考察】  子豚の初乳摂取量と PED に対する防御は正の相 関を示し、高率に初乳を摂取した場合は、下痢と腸 管の病変が軽減した。このように、母子免疫を最大 限活かす為に、初乳を十分に与えることは、PEDV 感染農場では重要である。母豚の初乳産出に与える 要因や免疫の構成成分について更なる研究が必要で ある。 【所感】  非常にシンプルな実験だが、初乳の重要性を、初 乳摂取量は通常の 50%以上必要と具体的な数値を 示した点で、重要な意味があると思った。

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日生研たより 昭和 30 年 9 月 1 日創刊(隔月 1 回発行) (通巻 601 号) 平成 28 年 10 月 25 日印刷 平成 28 年 11 月 1 日発行(第 62 巻第 6 号)        発行所 一般財団法人 日本生物科学研究所        〒 198–0024 東京都青梅市新町 9 丁目 2221 番地の 1        TEL:0428(33)1520(企画学術部) FAX:0428(33)1036        http://nibs.lin.gr.jp/        発行人 草薙公一 編集室 委 員/手島香保(委員長)、今井孝彦、近内将記     事 務/企画学術部 印刷所 株式会社 精案社     (無断転載を禁ず) 生命の「共生・調和」を理念とし、生命 体の豊かな明日と、研究の永続性を願う 気持ちを快いリズムに整え、視覚化した ものです。カラーは生命の源、水を表す 「青」としています。 表紙題字は故中村稕治博士の揮毫 2–5 英国において 1987 年から 2015 年までに分 離されたErysipelothrix spp. の血清型の比率

 Erysipelothrix spp. serotypes commonly identified in Great Britain during 1987–2015

 M. McNeil., et al. 24th IPVS (2016) 【はじめに】  Erysipelothrix spp. は豚丹毒の起因となる菌である。 Erysipelothrix spp.には少なくとも 28 の血清型があ り、1a、1b、2 型が最も多く病原性も高い。英国で は 2 型の不活化ワクチンが使われているが、近年豚 丹毒発症の件数の増加や、現行のワクチンが 2 型以 外の血清型に交差防御しないという報告もあること から、英国で分離された Erysipelothrix spp. の血清 型から流行の型を調査した。 【方法】  1987 年から 2015 年に分離された 153 株を用いた。 不活化後、ゲル内沈降反応を用いて血清型別を行った。 【結果】  153 株 の う ち、2 型 が 56.2%(86/153)、1a 型 が 17.6%(27/153)、1b 型 が 15%(23/153)、11 型 が 2.6%(4/153)であった。また残りの 7.2%が 5 型 (3/153)、9 型(1/153)、10 型(3/153)、15 型 (3/153)であった。これら 150 株が E.rhusiopathiae であり、残り 3 株は血清型不明であった。 【考察】  英国で最も多く分離された血清型は、ワクチンと 同じ 2 型であった。今後ワクチン株と現在の野生株 との抗原性の違いを調査し、抗原性の違いがワクチ ン効果に影響しているかを調べる必要がある。 【所感】  日本国内でも 2008 年から 1a 型による豚丹毒の発 生が増加傾向にあり、英国においても同傾向である ことが分かった。1a 型と 2 型の交差防御性、野外 株の防御性について再考してみる必要があると思っ た。

2–6 RAINBOW PIGLET(Bio–X Diagnostics s.p.r.l.)

 2014 年に発売され、イムノクロマト法を用いて 糞 便 よ り Rota virus、大 腸 菌 の F 線 毛(F4、F5、 F18、F41)の有無および Clostridium を 109 cfu/g、

108 cfu/g、107 cfu/g、<106 cfu/gを 判 定 ラ イ ン に

よって段階的に検出するキットである。このような キットはインフルエンザなど医学分野では普及して いるが、獣医学分野では普及していない。日本の現 場で役立つような簡易なキットが開発できないかと いう考えに至った。 3.おわりに  これまでも日本の養豚分野の学会には参加してい たが、演題数が 1000 を超える国際学会は初めてで あった為、こんなにも豚に携わる人がいるのかと改 めて業界規模の大きさを実感し、様々な養豚に関す る発表、製品を聞いたり見たりと普段では味わえな い日々を 能することが出来た。また自身の関連分 野の世界の研究者達と最新の情報交換が出来るだけ でなく、色々なセッションに足を運べば、自分と は異なる分野の研究内容やアプローチを知ること が出来、今後の研究に対して非常に刺激となった。 最終日には、「Development of an enlonged bacterial vaccine against Er ysipelothrix rhusiopathiae infection」という演題でポスター発表の機会を頂い た。自身の新たな知見が誰かの役に立てればと思い、 今後もコツコツと継続してワクチン分野で豚疾病制 御 の 為 に 尽 力 で き れ ば と 思 っ て い る。な お、 2020年開催予定地はフロレアノポリス(ブラジル) と決定した。次回 2018 年開催予定地は重慶(中国) である。これだけ多種多様の養豚に関するトピック についての最新情報を知り得る機会はないので、自 分の分野以外も幅広く予備知識を持って、養豚業界 に関わる方には是非参加していただきたいと思う。

図 1 ガーナとその周辺の地図 白地図専門店(http://www.freemap.jp)を使用して作成。レビュー ガーナ共和国の家畜飼育の現状と在来家畜について 西アフリカのガーナ共和国(以下ガーナ)は、ギニア湾沿岸の熱帯雨林から北部のサヘルまで地理的多様性が大きく、そこに生息する動物も多様である。沿岸部の首都アクラは、西アフリカの中心都市であるが、北部地域は気候が厳しいこともあり、畜産は盛んでなく、動物性蛋白質の供給は不安定である。ガーナの畜産は、他の東、南アフリカ諸国に比べると盛んではなく、家畜疾病に
図 2 ガーナの植生 Kayang 博士の作成した図を改変し作成。62(6)、2016 5(93) 間で比較した。決して畜産大国とは言えない日本と 比較しても、牛、鶏でそれぞれ 3 分の 1、10 分の 1 の飼育頭数となっている。国民の約 15%がイスラ ム教徒であるため豚の飼育頭数は少なく山羊・羊の 飼育が盛んであることが特徴である。牛や鶏、豚の 飼育は、首都アクラ近郊では集約的に行われている が、国土全体としては粗放的な飼育様式である。実 際、ガーナの畜産物の輸入は年々増加しているもの の輸出はゼロの
図 3 ガーナの在来家畜
図 4 グラスカッター A:飼育下のグラスカッター B:ブッシュミート市場 のグラスカッター C:グラスカッターの煮込み D:グラスカッターの バーベキュー A BC D 図 5  アファジャト山麓の野鳥より検出したクラミジアompA遺伝子の系統解析検出されたクラミジアompA 領域に関して、NJ 法により系統樹を作成した。検出された検体(Ghana_No.XX)は、全て C

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