Learning Strategies for Teaching English
教科・領域教育専攻 言語系(英語)コース 三 重 野 歩
1. はじめに
今から二年前、教育実習の折、生徒の 意欲を喚起させる授業の難しさを痛感し、
教師のあり方を考える必要性を認識した。
まず、生徒の学習意欲を高めるためには 学習者の実態を把握する必要がある。
最近行われたアンケート調査によると、
多くの生徒は異文化を学びたやといった 英語圏の文化や生活に関する好奇心や英 語学習への積極的意思を持っている。し かし、同時にこれまでの学習において、
英語学習につまずきを感じた者も多く、
それが学習への不安や無力感や諦めと結 びついているように思われる。英語嫌い になった原因として、単語や構文暗記中 心の授業、受験対策としての英語学習に 対する否定的な態度、英語学習の目的が わからない、学習の仕方がわからない等 が挙げられている。また、近年の子ども たちにみられる自己の能力や存在に対 して正しく認識できない状態、つまり自 己肯定感の欠如は学習意欲の減退化に つながり、学習からの逃避や学習不安を 引き起こすといっても過言ではない。こ のように学習意欲を妨げる要因はさま ざまである。教師はこれらの要因を認識 した上での授業展開を求められる。本研 究では、その中でも特に生徒の学習を助 ける技術として学習ストラテジーをとり あげる。本来、学習ストラテジーとは、
学習者が学習するときに使うものである。
そのため、生徒によって意識化され、生
指 導 教 員 太 田 垣 正 義
徒個々に応じて手法が異なるといったよ うに、生徒の視点で考えられるのは当然 である。
しかし、本研究では学習ストラテジ}
を生徒の視点で捉えるだけでなく、教師 の視点、つまり教師の働きかけと結びつ けることで、教師による学習ストラテジ ーの意識化の必要性を提唱したい。教師 が学習ストラテジーを意識することで、
授業展開に及ぼす影響はもちろん生徒に もその影響は伝わる。教師の学習ストラ テジーの意識化が授業の質を向上させる と考える。さらに、授業を展開する際、
教師にとって教科書は授業展開の指針を 示した不可欠な道具であり、授業を支え るパートナ}的役割を担っているといえ る。また生徒にとっても教科書は、学習 の理解を助ける有効な道具であり、両者 にとって教科書の存在は大きい。この一 番身近な道具ともいえる教科書を分析対 象にし、学習ストラテジ}との関連性を 考察していく。そして、その考察を踏ま え、学習ストラテジーを意識した指導法 を提案する。
2. 概要
第一章では、本研究の意義と自的につ いて述べた後、第二章では、学習ストラ テジーに関する先行研究を概観すること により、学習ストラテジーの概念・定義 を明確に示し、学習ストラテジーを分 類・体系化する。さらに、学習ストラテ
つ 山
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ジーに関係する要因と認知面からの影響 を明確に示し考察を加える。その結果、
学習者と学習ストラテジーにおいて相互 の密接な関係があることが判明した。学 習ストラテジーの意識化にあたり、学習 者個々の学習スタイルつまり認知面がも たらす影響は大きく、さらにその際、教 師の指導方法・働きかけに感化されて適 用する学習ストラテジーも見られること から、学習者の裁量だけで学習ストラテ ジ}は成立するものではなく、教師の働 きかけが大いに影響する。
第三章では、英語学習において学習ス トラテジーをどのように扱い活用してい くか教師の視点で考える上で有効である と判断し、教科書内の練習問題分析を試 みた。その結果、直接ストラテジー(記 憶ストラテジー、認知ストラテジー、補 償ストラテジ‑)が約 7劃を占め、間接 ストラテジー(メタ認知ストラテジー、
感情ストラテジー、社会ストラテジー) が約 3割を占めていることが明らかにな った。このことから記憶ストラテジー、
認知ストラテジ}を多く使用する傾向に あることが窺える。これは、記憶ストラ テジー、認知ストラテジーが課題に産接 関係しており、容易に取り掛かりやすい と認識されているからだと考えられる。
しかしながら、この偏重が続くとストラ テジー使用が園定化してしまい、学習意 欲の減退化をもたらすことにつながると 考える。そこで、あえて使用度の低いス トラテジー(補償ストラテジー、メタ認 知ストラテジー、感情ストラテジー、社 会ストラテジー)に着目し、学習ストラ テジー使用の均等化を目指した教師のサ ポートのあり方を考える。
第四章では、第三章における分析結果 及び考察を踏まえ、教師のサポートのあ り方を考え、具体例を 2点提示する。一 つは、学習ストラテジーの統合化である。
直接ストラテジ}と間接ストラテジーの 組み合わせを作り、バランスを考慮した 学習ストラテジー使用の意識化を促す。
もう一つは、活動の自由度に着目した実 際の活動である。自由度のある活動項目 には、頻度の低い学習ストラテジーを補 完する活動を提示する。自由度のない活 動項目には、指導方法を工夫することで、
学習ストラテジー使用の難しい面を補完 する。
3. おわりに
学習ストラテジ}に関する先行研究の 概観、そして教科書内の練習問題分析の 結果を基に、教師のサポ}トのあり方を 提案し、以下の教育的示唆を挙げる。
1)生徒の学習意欲を支え高めるものと しての学習ストラテジーを位置づける 必要性
2)教師の指導法を振り返るための学習 ストラテジー意識化の必要性
3)学習ストラテジーが効果的に使用さ れる場面設定の必要性
さらに、今後の課題として、「実際の活 動と学習ストラテジー相関表J を活用し て、実際の現場で学習ストラテジ}を意 識した授業を実施することを目指す。そ してその際、今回の研究では言及するに 至らなかった 4技能のレベルにおいて、
実際の活動と学習ストラテジーの詳細分 析を試み、より実践的な学習ストラテジ ー指導を考えることにしたい。
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