NiO粉末粒子の構造におよぼす摩砕の効果
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(2) . 第 18 巻. 第2号. 北海道教育大学紀要 (第二部A). Nio. 昭和4 3年3月. 粉末粒子の構造に及ぼす摩砕の効果 徳 永 好 治◎清 水. 清. 北海道教育大学函館分校物理学教室. 矢 代 和 祐◎貞 広 嘉 和 函館工業高等専門学校. Ef f f Dry Gr indi ecヒ so ng on Structure of NiO POWder Pa宜icles by iharu TOKUNAGA and Kiy。shi s日1 Y0sh 魯 T IDZU ido Un i H0kka f Educat i i t e on ver s yo , Hakodat and Kazusuke YASHI Ro and Yoshikazu SADAH・ RO Hakodat I Co l l t e Techni ege e ca , Hakoda. s 1.. 緒. 粉体粒子の付着, 凝集現象は, その充てん, 造粒, 輸送等における粉体粒子の挙動にいち じる ) )は酸化ニッ ケル粉末の摩砕過程において, 二次粒子が生 しい影響をおよぼす1 。 さきに, 筆者ら2. じた りあるいは消失したりすることを見いだした, 本報では, そのときの微結晶粒子, 一次粒子, および二次粒子の粒子構成の変化を検討し。 あわせて摩砕過程における粉体粒子の凝集性および 充てん性の変化について述べ る。. S2.. 実. 験. 方. 法. 試料と して用いた酸化ニッ ケル, X 線分析による微結晶粒子径の決定, B .E . T. 吸着表面積測 ) 2 3 定, および空気透過比表面積測定はいずれも前報 ’ と同じである. 図1. 充てん装置図. 摩砕 した酸化ニッ ケルの充てん性を測定 するために, 図1. 17 0 に示 す 装置を用いた。 A は試料粉末を入れた標準ふるい ( M て水平に往復運動を行なう 電動機 によ で メ ッ シュ) , っ . 装置が作動 すると, 粉末はふるいの下の真鋪製円筒型試料筒. A: ふる い. D: ピ ス ト ン. B:試料筒. M: 電動機 S: 可変変圧器. C: ガラ ス 容 器. 落 下 す る。. B の中へ堆積す る。 ふるいの往復運動の振幅はl m である。 c. 可変変圧器Sを調整して, ふるいの振動数を適当に定めると, 粉体粒子は一様な空間分布をとりな がら連続的にまた垂 直 に. 試 料 筒 か ら ふ る い 迄 の 高 さ は 18cm で あ る。 試 料 筒 の 直 径 は1.98cm, ま た 深 さ は0.44. 3 m c mである. 試料筒に自然充てんされた試料の見かけ体積 V c , および質量 財 g から充てん層 の見かけ密度 p g/cm3= 班/▽ を求めることができる。 試料筒の大きさを定めるために, 直径が. - 80 -.
(3) . 徳永好治o清水 清・矢代和祐o貞広嘉和 同じで高さが. 0.71cm, お よ び 1,04cm のものを用 いて測定 したが, この範囲ではいず れも実験精度の範囲 (相対誤差 0 .2%) 内で高さの影響は無視できる。 また, 試料筒の直径の大 きさに比べて, 粒子径の大きさ は非常に小さい。 したがって, 見かけ密度に容器の寸 法効果は認 0.65cm,. められない. 充てんするときの雰囲気は実験 室の状態であって, 温度約 18 5oC 湿度約 75 4% . , , である。 この程度の雰囲気は充 てん性に影響しな い4 ) 。 登3 . 実験結果とその考察. 3・1 粉体粒子の 構造 変化 装入量の変化による, 酸化ニッ ケル粉末の B, E. T. 吸 着 表 面 / Sp c 積 SBcm2 および空気透過比 m2 /g の変化を測定 した 試料の摩 砕時間はすべて 50 表面積 g , 。 時間であ る。 また, 装入量 400g の場合は原試 料のままであって摩砕されていな い 装入量を 少 。 なくすることと長時間摩砕することと は, 同じ摩砕効果を生ずることを意味す る3 ) 。 測定結果を図2 に示す. B,E. T. 吸着表面積は, 装入量の減 少とともに増加す る 空気 透過比 . 表面積は, 装入量の減少とと もに, はじめ減少す るが, 後に増加しはじめる これらの 事実は 。 , 酸化亜鉛粉末を摩砕したときにも同じよ うに見られた2 ) 。 粉体粒子の表面積 S cm2/g から, 粒子を球形と仮定したときの平均粒径 d cm を次式によ て っ. 求 め る こ と が で き る。 ば= 6. (1). ps. 図2 装入量による B.E,T . 吸着表面 積および空気透過表面積の変化. こ こ で, p g/ cm3 は粉体粒子の密度である Sp 。 ,ま. 1が. たは Sβ を (1) 式 に代 入 して, SB か ら 得 ら れ る 平 均. 粒径を, 一次粒子の粒径 α m と し, ま た sp か ら ,c 得られる平均粒径を, 二次粒子の粒径 α 2cm と す る。. 図2によれば, 装入量 400g のとき, すなわち原試. 料の B,E・T・吸 着 表 面 積 と 空 気 透 過 表 面 積 と は .まと ん ど同 じ程 度 の 大 き さ で あ る か ら, 酸 化 ニ ッ ケ ル の 原 試 料 の 粉 体 粒 子 は, 粒 子 の 構 成 要 素 と し て 徴 結 晶 粒 子 を 有 す る の み で あ る。. す な わ ち,. 原試 料の 粉体 粒子. は, 徴 結 晶 粒 子 の 結 合 体 と し て の 単 一 の 粒 子 で あ る こ と が わ か る。. また, 装入量の減少は摩砕効果 の増大を意味するか 3 ) ら , 初期状態において単一であっ た粉体粒子は, 摩. 2 ・5 『. 萄. 且 碁. 萄 1ぴ 8. 1 0 ・. 2 .0. 『. 堰. 5 ・ 1 毎 m. 、 , o .. 0. 10 0. 2 0 0 装. 入. 3 0 0 ) 量( g. 最 5丑 0 ・ 鰻. 4 0 0. o. の進行とともに破壊されて小さくなるため, B 砕, .E .T. 吸着表面積が増大す るものと 考 え ら れ る。 破壊されて生じたこの粒子が一次粒子となる。 同時に, この一次粒子は, その粒径が減少す るとともに見かけの凝集性が増大して, 二次粒子を形成す るため空気透過比表面積が 減少するも. のと思われる。 摩砕過程の初期において, 摩砕の進行とともに, 一次粒子 の粒径が小さくなるに もかかわらず, 二次粒子の粒径が増大する事実は, 微粉体の凝集性と充てん性の関係を検討する 際 に, 極 め て 重 要 と な る。. さらに摩砕が進むと, B .E .T. 吸着表面積が増大 して行くにもかかわらず, 空気透過比表面積 は減少から増大へ変化する傾向を示す。 したがって, 摩砕過程の後期においては, 摩砕の進行と ともに, 一次粒子の粒径が一層小さくなるにもかかわらず, 二次粒子はある大きさ以上に成 長す - 81 -.
(4) . 粉末粒子の構造に及ぼす摩砕の効果 る こ と な く, 逆 に 小 さ く な りは じ め る こ と が わ か る。. 3.2 構成粒子の数の変化 : 図3に酸化ニッ ケル粉末を摩砕 したときの, 構成粒子の数と摩砕 ) 効果の関係を 示す。 ここで, 装入量の逆数 が大きくなることは摩砕効果の増 大をあらわす3 . 一 次粒子の体積 に対する二次粒子の体積の比を, 二次粒子中に含まれる 一次粒子の見かけの数 N と. した。 さらに, 微結晶の体積に対する 一次粒子の体積の比を, 一次粒子中に含まれる徴結晶の見. か け の 数 ” と した。 図3. 図3 摩砕効果による構成粒子数の変化 1 ・ 6 ( = ) 藻 s 噌 4 撰塾. 『 ′ ′ ′ ′ ′ ′ ′. s 丑 髪2. ( 之 M o o 裏 S. 髪 ※ ー S 廿 藁 耗 ”. 耗 ー 1 0 .O .5 1 - ) 1 /装入量 ( g. 図3 の結果によれ ば, 摩砕が進むとともに, 一次 粒子中の徴結晶の数は急激に減少 して, 一定の数に達 した後増加 しはじめる. 図中の破線は, 実線の外そう によ っ て得られたものである. これは, 摩砕過程の初. 期においては, 一次粒子の破壊 が生じている にもかか わらず, 徴結晶粒子はほとんど破壊されない傾向を示. すものと思われる。 また, 摩砕がさらに進むと, 一次 粒子の破壊に比べ て, 微結晶粒子の破壊が次第にいち じる しくなるものと思われる。. 二次粒子の中の一次粒子の数は, 摩砕が進むととも に, 急激に増大して, 一定の値に達 した後減少 しはじ. める. 摩砕過程の初 期において, その数が対数的に急増することから, 一次粒子の破壊による数 の増加に加 えて, 二次粒子の成長 速度がいちじる しく大きいことがわかる. この事実は, ある大 きさの一次粒子 が凝集 して二次粒子を構成 し, 二次粒子の状態のままでその構成要素の一次粒子 が破壊される現象と, 摩砕の応力による 二次粒子相互の再凝集が同時に生じていることを示 すも の と 思 わ れ る.. また, 一次粒子中の徴結晶粒 子の数, およ び二次粒子中の一次粒子の数の摩砕による変化は, お互いに全く 反対の傾向を 示す. この事実を, エネルギー的に観察すれば, 図3の曲線の傾斜が 減少するこ とは母粒子 (徴結晶に対する一次粒子, または一次粒子に対する 二次粒子) の破壊を 示 し, また曲線の傾向 が増加することはその構成粒子の増加すなわち凝集を示 しているから, 摩 砕過程において破壊エネルギーと して構成粒子に 吸収されたエネルギーは凝集エネルギーに よ く 対応すること がわかる。. 3.3 構成粒子の大きさの比較 : × 線分析から得られた 徴結晶粒子の体積 % cm3, B.E, T, m3 吸着表面積から得られた一次粒子の体積 瑳 c , およ び空気透過比表面積から得られた二次粒子 の体積 ▽2cm3 の間の関係を 図4に示す。 これによれ ば, 微結晶粒子の大きさは, 摩砕過程の初. 期においてほ とんど変化 しないが, 摩砕 が非常に進むと急激に減少する。 それに比べて, 一次粒 子の大きさは摩砕過程の初期において急激に 減少 し, 摩砕が非常に進むとほと んど変化 しなくな る. した がっ て, 摩砕のエネルギーが, 摩砕過程の初期にお いては一次粒子の 破壊エネ ルギーと して, その後期におい ては徴結晶粒子の破壊エネルギーと して働いていることがわかる. また, 二次粒子の体積が増大する領域では, 徴結晶粒子の体積 がほとんど変化せず, 摩砕過程. の後期において 二次粒子の体積が減少 しはじめると, 徴結晶粒子の体積も減少 しはじめる.. d W l 摩砕過程の初期においては, 一次粒子の平均粒径は約0 .5βの程度であるから,van er aas ) 力による粒子間付着力はその 粒径に比例 して減少する が1 , 摩砕応力により粒子間の接触 点数が 急増 して, 見かけの凝集性が増大するために, 二次粒子が成長すると思われる.. - 82 一.
(5) . 徳永好治・清水 清・矢代和祐・貞広嘉和 図4 構成粒子体積の相互関係. こ れ に 対 し, 摩 砕 過 程 の 後 期 に お い て は, 摩 砕 に ょ り一 次 粒 子 の 粒 径 が 依 然 と して 減 少 して行 く に も か か. 1『7 6. ‐ I S 1 0 6. わ らず, 二 次 粒 子 の 体 積 が 減 少 しは じめ る。 さ ら に,. o o. わ れ る. 徴 結 晶 粒 子 の 破 壊 が 二 次 粒 子 の 破 壊 の 原 因 の. 一 つ で あ る こ と は 極 め て 興 味 深 い.. 9 , , 5 5 , 0 一次粒子の体積V cが) 1(. 3・4 充てん性の変化 ; 摩砕時間を変えて得られた試料を用いて, その自然充てん層の見か け密度を測定 した. また, 同一の試料の空気透過比表面積を測定 した。 試料は, 原試料を 100g て 装入 して,’ 摩砕時間を 0~350 時間の範囲で変えて得られたものである。 摩砕効果から見るなら 塵け 碑時. ’摩砕時間が0~1 ) ば, 00 時間の範囲が, 前節で述 べた摩砕領域と対応するものと見な してよい3 . 図5 に ’ 図5に, その結果を示す. これによれば, 摩砕が進むと, 見かけ密度は増加した後一定値に収 る んず ′. . すなわち 摩砕されるに したが て その充てん性はよくなり 一定の充てん性に近 れんする. っ , , , 図5 づく. 空気透過比表面積は, これまでと同じように 減 図5 摩砕時間による充てん性の変化 ? 少 した後一定値に収れんする。 この間, 見かけ密度お o - ×命. よび空気透過比表面積は, 摩砕時間が約100時間の付 近で, 僅かに増加する. この領域は, 前節までに検討. 削. \ O 塾 じ 艇 o 糎 照丑鰹 鰻. した摩砕過程の後期に対応すると見な してよい.. また, 見かけ密度の増大の傾向と空気透過比表面積 の減少の傾向は, 摩砕時間に関 して対称的である. 前. 0. 節までの結果とあわせて考えると, 見かけ密度は, 主 と して二次粒子の大きさに関係 していることが明らか )は, 微粉体の充てん層の構造と して, である. 荒川1. ( 13 o 溢 ) 紙 9 僻 む 灸. 網状構造の模型を仮定 して, 粉体粒子の凝集性と充て. ん構造の関係を検討 した. その結果, みかけ密度の増 ) ことを指摘し 加は, 粒子間の接触点数の増加による5 ている。 われわれの結果では, 一次粒子の結合数 が対. 摩 砕 時 間. 数的に急増して, 二次粒子の大きさが増大するとともに, 見かけ密度が増大する. したがっ て, 網状構造を形成する二次粒子間の接触点数は, 摩砕されたものほ ど多いと考えることができる. このことは, 網状構造の結び目の間に含まれる二次粒子の箇数が減少することを示す。 すなわち, 二次粒子間の凝集力 が粒径とともに増大するのに対し, それによ って支持される二次粒子の重さ が粒径の三乗に比例して急増する ため, 網状構造の結び目の間の二次粒子が欠落して, 充てん性 が増大したものと考えることができる.. S4. .. 結. 論. 酸化ニッ ケル粉末を摩砕して, その粉体粒子としての構造変化を測定 した. 摩砕の進行ととも. 一次粒子および二次粒子と に, 徴結晶粒子の結合体としての単一の粒子が, 一次粒子および二次粒子と見なされる粒子構成 - 83 -.
(6) . 粉末粒子の構造に及ぼす摩砕の効果 をなすこと が見いだされた. 摩砕過程の初期においては, 一次粒子の破壊と二次粒子の成長 が生 じ, 摩砕過程の後期においては, 徴結晶粒子および二次粒子の破壊 が生じた. また, 一次粒子の. 見かけ凝集性 が増大するとともに, 二次粒子が成長して, 摩砕の進行とともに 酸化ニッケル粉末 の充てん性は増大した. これらの事実から, 微粉体の充てん層の性質を, 粒子間作用力の観点か ら研究するときには, 粉体粒子の構造を考慮す べきこと がわかる. 文. 献. 1 ) 荒川正文 : 材料, 16(19 67) , 319 . 19 66) 2 ) 貞広嘉和, 徳永好治, 清水清 : 北海道教育大学紀要 (第二部A) , 第17巻 ( , 第1号, 28 , 7) 19 6 ) 貞広嘉和, 矢代和祐, 徳永好治, 清水清 : 函館工業高等専門学校紀要, 第1号 ( 3 , 75 , 19 ) 4 64 ) 荒川正文, 水渡英二 : 材料, 14( 65 ,7 . l d sc d l i i l o 5 ) M,J , , 168 . Co . Vo ,14 (1959) . ,J. - 84 -.
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