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肺がん終末期の呼吸困難に対する経静脈的なモルヒネ、ミダゾラムの投与状況の検討 利用統計を見る

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平 成26年4月1日

肺がん終末期の呼吸困難に対す る経静脈的な

モル ヒネ 、 ミダ ゾラムの投与 状況 の検討

山梨 大学 医学部 樋 田和 弘 循環 器 ・呼吸器 内科 渡 邉一孝

細萱直希

石原裕 久木 山清貴 要 旨:が ん 終 末 期 に 生 じ る呼 吸 困 難 は 頻 度 も高 く、ま た 、患 者 のQOLを 著 し く低 下 させ る。 特 に 肺 が ん で は そ の 頻 度 が 高 く、 患 者 や 家 族 の 大 き な負 担 とな る と同 時 に 医 療 者 側 に も慎 重 な 対応 が 求 め られ る。 当科 で は こ の よ うな 状 況 に対 して まず 経 口麻 薬 で 対 応 し、 効 果 が 不 十 分 の 場 合 は モ ル ヒネ や ミダ ゾ ラ ム の 経 静 脈 的 投 与 で 対 応 して い る。2010年4月 か ら 2013年8月 に 当 科 で 死 亡 した 肺 癌 患 者37例 を 対 象 と し、 モ ル ヒネ や ミダ ゾ ラ ム の経 静 脈 的 投 与 の 状 況 を調 査 した 。文橡 症 例 の うち20例(54%)に 呼 吸 困 難 の 緩 和 を 目的 に モ ノレヒ ネ ま た は ミダ ゾ ラ ム が経 静 脈 的 投 与 され て い た 。 投 与 期 間 は2日 か ら47日(平 均11日) に 及 ん で い た が 、7日 未 満 の 症 例 が13例 と半 数 以 上 を 占 め て い た。 投 与 期 間 が7日 未 満 と 7日 以 上 の 患 者 の 間 に 背 景 因 子 の 差 は 認 め られ な か っ た 。 肺 が ん 終 末 期 の 呼 吸 困 難 に は 死 期 が 迫 っ て い る とい う こ と以 外 の 要 因 も あ る こ とが 推 察 され た 。 キ ー ワー ド:が ん 終 末 期 、 呼 吸 困 難 、 モ ル ヒネ 、 ミダ ゾ ラ ム は じめ に が ん 終 末 期 に 生 じ る 呼 吸 困 難 は 頻 度 も 高 くD、 ま た 、 患 者 のQOLを 著 し く 低 下 させ る 。特 に 肺 が ん で は そ の 頻 度 が 高 い こ と が 指 摘 され て お り2)、 患 者 や 家 族 の 大 き な 負 担 と な る と 同 時 に 医 療 者 側 に も慎 重 な 対 応 が 求 め られ る。こ の 様 な 状 況 に 対 し て 「が ん 患 者 の 呼 吸 器 症 状 の 緩 和 に 関 す る ガ イ ドラ イ ン2011」3) は 第1選 択 と して オ ピ オ イ ドを 使 用 し 、 効 果 が 不 十 分 の 場 合 は ベ ン ゾ ジ ア ゾ ピ ン を 追 加 す る よ う推 奨 して い る が 、こ れ ま で そ の 使 用 状 況 に つ い て 検 討 した 報 告 は 少 な い 。当 科 で も緩 和 ケ ア チ ー ム の 助 け を 借 りて こ の ガ イ ド ラ イ ン に ほ ぼ 沿 っ た 形 で 肺 が ん 末 期 の 呼 吸 困 難 に 対 応 して い る 。今 回 は 、そ の 中 で も 中 心 的 な 治 療 で あ る モ ル ヒ ネ と ミ ダ ゾ ラ ム の 経 静 脈 的 な 投 与 の 状 況 に つ い て 検 討 し た 。 対 象 と 方 法 当 院 で は が ん 末 期 の 疹 痛 、 不 眠 、呼 吸 困 難 な ど の 苦 痛 症 状 に 対 して 、軽 度 の 場 合 は 主 治 医 が 経 口 麻 薬 等 を 処 方 す る が 、 内 服 の 増 量 で は 対 応 で き な い 程 増 強 し た 場 合 に は 、 緩 和 ケ ア チ ー ム(緩 和 ケ ア 医 、 看 護 師 、 薬 剤 師 で 構 成)に 併 診 を 依 頼 し、patientcontrolledanalgesia (PCA)で モ ル ヒネ の 経 静 脈 的 投 与 を 開 始 す る こ と と して い る 。 塩 酸 モ ル ヒ ネl mg/ml溶 液(モ ル ヒ ネ 塩 酸 塩200mg/5 ml、 ケ タ ミ ン 塩 酸 塩50mg/5ml、 リ ド カ イ ン 塩 酸 塩1900mg/190mlの 混 合 溶 液)を 少 量 持 続 静 注 可 能 な ポ ン プ(PCA ポ ン プ)に て 毎 時0,5∼1mlで 開 始 す る 。一 定 の 薬 液 が 持 続 投 与 さ れ る と も に 、 本 人 や 家 族 も し く は 医 療 ス タ ッ フ が ボ 一45一

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山 梨 肺 癌 研 究 会 会 誌27巻2014 タ ン を 押 す こ と で あ ら か じ め 設 定 し た 量 を 追 加 投 与 で き 、ま た 、一 回 の 追 加 投 与 の 後 一 定 時 間 が 経 つ ま で は ボ タ ン を 押 し て も 追 加 投 与 され な い 構 造 に な っ て い る 。PCAで 苦 痛 の 軽 減 が 困 難 と 判 断 され た 場 合 、原 則 と して 緩 和 ケ ア チ ー ム と合 議 し 、患 者 家 族 の イ ン フ ォ ー ム ドコ ン セ ン トを 得 た 上 で ミ ダ ゾ ラ ム(10mg /2ml)を 生 食 で0.4mg/m1溶 液 に 希 釈 した も の を0.5∼2m1/hr(4.8∼19.2mg /日)で 追 加 投 与 して い る 。 対 象 は 、2010年4月 ∼2013年8月 に 肺 が ん の た め 当 科 に て 死 亡 した 症 例 で あ り、呼 吸 困 難 に 対 す る モ ル ヒネ ま た は ミ ダ ゾ ラ ム の 経 静 脈 的 投 与 の 状 況 お よ び 背 景 因 子 に つ い て 診 療 録 よ り後 ろ 向 き に 調 査 を した 。 結 果 当 該 期 間 に 当 科 で 死 亡 した 肺 が ん 患 者 は37例 で あ り、そ の う ち30例 に モ ル ヒ ネ ま た は ミダ ゾ ラ ム が 経 静 脈 的 に 投 与 され て い た 。投 与 開 始 時 の 状 況 に よ っ て 以 下 のA群 、B群 、C群 に 分 け ら れ た 。 こ の30例 の うち モ ル ヒネ の 経 静 脈 的 投 与 が 呼 吸 困 難 に 対 し て 開 始 され た の は 15例(A群)、 呼 吸 困 難 以 外 の 症 状 に 対 し て モ ル ヒネ の 経 静 脈 的 投 与 が 開 始 さ れ た の ち に 、呼 吸 困 難 出 現 に よ り ミ ダ ゾ ラ ム の 経 静 脈 的 投 与 が 追 加 され た の は5 例(B群)で あ っ た 。 ま た 、 呼 吸 困 難 以 外 の 症 状 に 対 し て モ ル ヒネ の 経 静 脈 的 投 与 が 開 始 され た が 、そ の 後 も 呼 吸 困 難 の 出 現 は な く ミ ダ ゾ ラ ム が 追 加 され な か っ た 患 者 は10例(C群)で あ っ た 。 (Fig.1) A群 とB群 の 合 計20例 の 年 齢(平 均 ±SD)は 、65.2±9.6歳 、性 別 は 男 性15 例 、女 性5例 で あ っ た 。組 織 型 は 腺 が ん 12例 、扁 平 上 皮 が ん2例 、小 細 胞 が ん2 例 、 そ の 他3例 、 未 確 診1例 で あ っ た 。 呼 吸 困 難 を 契 機 と し て モ ル ヒ ネ も し く は ミ ダ ゾ ラ ム の 経 静 脈 的 投 与 が 開 始 さ れ た 後 の 生 存 期 間 は2目 か ら47日 に 及 び 、 平 均(±SD)11.0(±12.6)日 で あ っ た(Fig.2)。 (*:呼 吸 困 難以 外の症 例で 開始 したモルヒネにミダゾラムを追 加) Fig2モ ル ヒネ/ミ ダ ゾラ ム の 投 与 後 の 生 存 期 間 平 均 投 与 日 数11.0±12.6(日) 投 与 後 の 生 存 期 間 を7日 毎 の 階 級 に 分 け ヒ ス トグ ラ ム を 作 成 す る と 、0∼6日 間 に 患 者 が 最 も 多 く13例(65%)で あ っ た(Fig.3)。 他 方 、 投 与 後 の 生 存 期 間 が7日 以 上 で あ っ た7例 で は 、生 存 期 間 は10日 か ら47日 に 及 ん で い た 。 一46一

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平 成26年4月1日 投 与 後 の 生 存 期 間 の 長 短 に 関 わ る 因 子 を 探 る た め 、投 与 後 の 生 存 期 間 が7日 未 満 と7日 以 上 の2群 に 分 け 、背 景 因 子 の 比 較 を し た(表1)。 表 に 示 す7つ の 要 因 に つ い て 両 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た が 、投 与 後 の 生 存 期 間 が7日 未 満 の 群 でBrinkmanIndexが 大 き い 傾 向 が み られ た 。 Fig,3モルヒネ/ミ ダゾラムの投与後生存期間の分布 表1.モルヒネ/ミダゾラム投与期間の長短群の背景因子の比較 投与後の生存期間 7日未満7日 以上   年齢 性別 BrinkmanIndex Alb(g/dl) PS:0∼2/3∼4 慢性 呼 吸 器疾 患 あ り 主治 医:A/B/C 13 65.0±11.6 11:2 993±772 2.7 ± 0.7 0/13 7 10/3/0 7 65.6±4.7 6:1 532±440 2.5 ± 1.1 1/6 3 4/1/2 0.88 1.00 0.17 0.61 1.00 年齢 はWelchのt検 定 性別 、慢 性 呼 吸 器疾 患 の 有無 はFisherの 正 確 検 定(両 側) BrinkmanIndex、Albはt検 定 考 察 が ん 種 を 問 わ ず が ん 終 末 期 に は 呼 吸 困 難 を 生 じ る こ と が 多 い が 、そ の 頻 度 をReubenら1)は70%、Brueraら4)は 55%、Edmondsら5)は39%と 報 告 し て い る 。い ず れ の 報 告 も 肺 癌 や 転 移 性 肺 腫 瘍 で そ の 頻 度 が 高 い こ と を 指 摘 して お り 、事 実 、非 小 細 胞 肺 癌 患 者 を 対 象 と し たMuersら2)の 解 析 で は 呼 吸 困 難 の 頻 度 は 診 断 時 に75%、 死 亡 直 前 に は90% で あ っ た と報 告 され て い る。我 々 の 検 討 で は 調 査 期 間 中 に 当 科 で 死 亡 した 肺 癌 患 者37例 の うち20例(54.1%)に 呼 吸 困 難 の 緩 和 目的 に モ ル ヒ ネ な い し は ミ ダ ゾ ラ ム の 経 静 脈 的 投 与 が 行 わ れ て い た 。既 報 に 見 ら れ る 呼 吸 困 難 の 頻 度 よ り 少 な い が 、経 口 麻 薬 で 対 応 で き る 程 度 の 軽 度 の 呼 吸 困 難 が 含 ま れ て い な い た め と考 え られ た 。 ま た 、 我 々 の 検 討 で は 、 モ ル ヒネ な い し は ミ ダ ゾ ラ ム の 投 与 後 生 存 期 間 は2 日 か ら47日 の 範 囲 に 渡 っ て い た 。 そ の う ち 生 存 期 間 が7日 未 満 の 患 者 が13名 (65%)と 半 数 以 上 を 占 め て い た 。 こ れ は が ん 患 者 で は 死 亡 直 前 の10日 間 で 呼 吸 困 難 を 来 す 患 者 が 急 増 す る と い う Currowら6)の 報 告 と 一 致 す る と こ ろ で あ っ た 。他 方 、生 存 期 間 が7日 間 以 上 の 患 者 も7名 い た 。そ こ で 早 期 に 開 始 し た 要 因 を 探 る た め に 両 患 者 群 の 背 景 因 子 を 比 べ て み た が 、明 らか な 差 を 見 出 す こ と は で き な か っ た 。が ん 終 末 期 の 呼 吸 困 難 に は 肺 や 胸 膜 の 腫 瘍 性 病 変 の 存 在 以 外 に も 、 併 存 す る 心 肺 疾 患 の 存 在 やPS が 低 い こ と1)、 不 安 感 や 倦 怠 感4)、 家 族 の 健 康 状 態 が 悪 い こ と や 病 院 で 死 を 迎 え る と 予 想 さ れ る こ と5)な ど が 関 与 す る と の 報 告 が あ り、死 亡 の7日 以 前 に 開 始 し た 患 者 に は こ れ らの 要 因 が 関 与 し て い た 可 能 性 が 考 え られ た 。 が ん 末 期 の 呼 吸 困 難 は 緩 和 が 難 し い と い わ れ て い る2)。 今 回 の 診 療 録 を 使 っ た 後 方 視 的 な 検 討 で は モ ル ヒネ や ミ ダ ゾ ラ ム の 経 静 脈 的 投 与 で 呼 吸 困 難 一47一

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山 梨 肺 癌 研 究 会 会 誌27巻2014 が どの程 度 改 善 した か を読 み 取 る こ と が で き な か っ た。が ん 末期 の 呼 吸 困難 を 客 観 的 かつ 簡 便 に評 価 す る統 一 され た 方 法 が な い こ とが一 因 か と思 われ る。今 後 は これ ら薬 剤 に よ る呼 吸 困 難 軽 減 効 果 を定 量 評 価 が可 能 な方 法 に よ って 調 査 し、投 与 開 始 基 準や 至適 投 与 量 な どを 検 討 す る必 要 が あ る と思 わ れ た。 結 語 当 院 で 死 亡 した 肺 が ん 患 者37名 の う ち 、末 期 の 呼 吸 困 難 に 対 し て モ ル ヒ ネ あ る い は ミ ダ ゾ ラ ム を 経 静 脈 的 に 投 与 し た の は20名 で あ っ た 。そ の 内13名 は 死 亡 直 前7日 未 満 に 開 始 して い た が 、7名 は 死 亡 前10日 か ら47日 に 開 始 し て い た 。

dyspnea in patients with advanced cancer. J Pain Symptom Manage 2000; 19: 357-362.

5) Edmonds P, Higginson I, Altmann D, et al. : Is the presence of dyspnea a risk factor for morbidity in cancer patients? J Pain Symptom Manage 2000; 19: 15-22.

6) Currow DC, Smith J, Davidson PM, et al. : Do the trajectories of dyspnea differ in prevalence and intensity by diagnosis at the end of life? a consecutive cohort study. J Pain Symptom Manage 2010; 39: 680-690.

引用 文 献

1) Reuben DB, Mor V. : Dyspnea in terminally ill cancer patients. Chest

1986; 89 : 234-236.

2) MuersMF, Round CE.:Palliation of symptoms in non-small cell lung cancer: a study by the Yorkshire Regional Cancer Organisation thoracic group. Thorax 1993; 48: 339-343. 3)緩 和 医 療 ガ イ ド ラ イ ン 作 成 委 員 会:が ん 患 者 の 呼 吸 器 症 状 の 緩 和 に 関 す る ガ イ ドラ イ ン2011年 度 版.金 原 出 版;2011:52-63. 4) al. Bruera E, Schmitz

The frequency and

B, Pither J, et correlates of

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