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ニッケルおよびコバルト・エチレンジアミン錯イオンの多孔質ガラスにおける吸着に関する基礎研究

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Academic year: 2021

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(1)

ニッケルおよびコバルト・エチレンジアミン錯イオ

ンの多孔質ガラスにおける吸着に関する基礎研究

著者

藤吉 一誠

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

35

ページ

67-70

別言語のタイトル

A FUNDAMENTAL STUDY OF ADSORPTION OF NICKEL

AND COBALT - ETHYLENEDIAMINE COMPLEX ION ON

POROUS GLASS

(2)

ニッケルおよびコバルト・エチレンジアミン錯イオ

ンの多孔質ガラスにおける吸着に関する基礎研究

著者

藤吉 一誠

雑誌名

鹿児島大学工学部研究報告

35

ページ

67-70

別言語のタイトル

A FUNDAMENTAL STUDY OF ADSORPTION OF NICKEL

AND COBALT - ETHYLENEDIAMINE COMPLEX ION ON

POROUS GLASS

(3)

ニッケルおよびコバルト・エチレンジアミン錯イオンの

多孔質ガラスにおける吸着に関する基礎研究

藤 吉 一 誠 (受理平成5年5月31日) AFUNDAMENTALSTUDYOFADSORPTIONOFNICKELAND COBALT‐ETHYIENEDIAMINECOMPIEXIONONPOROUSGLASS IsseiFUJIYOSHI Anexperlmentoftheadsorptionofnickelandcobaltinasolutionofethylenediamineon granularporousglassshowedthatbis-ethylenediaminecomplexesofthesemetalswereadsorbed byaligandsubstitutionandthatcobaltwasadsorbedmorethannickelbecausethestabilitycon‐ stantofacobaltcomplexissmaU Theexperimentoftheadsorptionofethylenediaminedemonstratedthatthemolecularratioof releasedprotonandadsorbedethylenediaminewas2:1,alsoshowingtheadsorptionofdivalent ethylenediamineionbyanionexchange. 1 . 緒 言 多孔質ガラスのイオン交換体としての利用において は表面シラノール基を例えばオクタデシル化エステ ル化などの処理により疎水性に変えたものが逆相イオ ン交換カラム用充填剤として用いられている。この場 合に吸着作用を持ち,分離性能の低下を招く残余シラ ノール基のエンドキャッピングが必要となる4)。この ような複雑な表面加工が必要であるのは多孔質ガラス に多量に含まれる表面シラノール基が弱酸性であっ て,通常の金属イオンとはイオン交換反応をほとんど 起こさないからである。しかし,最近の研究において, 多孔質ガラスが配位子置換機構により金属のアンミン 錯イオンを効率よく吸着することが確認され5),多孔 質ガラスそのものを陽イオン交換体とした金属の分離 の可能,性が示唆された6)◎これを実証するために行わ れたニッケルとコバルトの分離実験の結果,吸着バン ドを塩化アンモニウムで展開すると多孔質ガラス粒充 填カラムの内部でコバルト・アンミン錯イオンが著し く不溶化するが,エチレンジアミン(以下e、と略す) で展開するとコバルトの不溶化を防止できることがわ かった7)。e、錯イオンの吸着特性を利用してこれら の金属の分離を効果的に行うために,それらの系のイ オン類の吸着特‘性の解明が必要である。ここではニッ ケル,コバルトおよびe、イオンの基礎的な吸着平衡 実験を行った。 2.液相におけるイオン類の濃度計算法 水中に存するe、の酸解離反応は次式で示される。 H 2 e n 2 + = − H e n + + H + ( 1 ) H e n + − e n + H 十 ( 2 ) e、錯イオンの段階的生成反応は Ni2++en−−[Ni(e、)]2+(3) [Ni(e、)]2++en−[Ni(e、)2]2+ (4) [Ni(e、)2]2++en−[Ni(e、)3]2+(5) CO2++en−−[CO(e、)]2+(6) [CO(en)]2++en−−[CO(en)2]2十(7) [CO(en)2]2++en−[CO(en)3]2+(8) 質量作用則にしたがってEqs.(1)∼(8)の各反応の平衡 定数が以下のように表わされる。 Ka,=[Hen][H+]/[H2en](9) Ka2=[e、][H+]/[Hen](1Cリ KNil=[Ni(e、)]/[Ni][e、](11) KNi2=[Ni(e、)2]/[Ni(en)][e、]⑫

(4)

︹d二.戸ヒーヒ︺ 68 ● からe、の吸着量を求めた。 KNi3=[Ni(e、)3]/[Ni(e、)2][e、]⑬ Kco,=[CO(e、)]/[CO][e、](14リ Kco2=[CO(en)2]/[CO(e、)][e、](13 Kco3=[CO(e、)3]/[CO(e、)2][e、]⑯ またニッケル,コバルトおよびenに関する収支式 はそれぞれ次式で与えられる。 [Ni]t=[Ni]+[Ni(e、)]+[Ni(e、)2]+[Ni(e、)3](171 [CO]t=[CO]+[CO(e、)]+[CO(e、)2]+[CO(e、)3]⑬ [en]t=[en]+[Hen]+[H2en]+[Ni(en)]+2[Ni(en)2]+ 3[Ni(en)3]+[CO(en)]十2[CO(en)2]+3[CO(en)3]⑲ ここにKa1およびKa2は各段階におけるe、の酸解離 定数2),KNi,∼Kco3はそれぞれ金属錯イオンの逐次安 定度定数3)である。これらは全て既知であるので,ニッ ケル,コバルト,e、の全濃度および水素イオンの濃 度が与えられると他の全ての濃度項を算出できる。こ の場合,厳密解を得ることは困難なので,[e、]を仮 定してEqs.(9)∼(19の全ての式が成立するように2分 法による数値解を求めた。この計算をpHの刻み幅 0.1で行って,Figs、2および4に示す各種の金属錯イ オンの生成曲線およびFig.6に示すe、の酸解離曲線 が得られた。 3.実験方法 3.1試料の調製 多孔質ガラスはlOO∼200meshに粉砕分級されたも ので,窒素吸着実験の結果,BET表面積378㎡/9, 孔径2,mであった。金属溶液は0.017mol/lの塩化 ニッケルまたは塩化コバルトおよび0.1mol/lのe、よ りなり,塩酸により6∼8の範囲でpH調節が行なわ れた。また,e、溶液は0.02∼0.2mol/lの濃度範囲で 調製され,塩酸によりpH8に調節された。 3.2実験手順 50mlの金属溶液に0.29の多孔質ガラス粒を分散し 303Kで30h振鐙撹枠して吸着平衡とした。その後, 液相と固相を漁別した。水で充分に洗浄した固相を希 塩酸に浸漬して吸着金属を溶出させ,その濃度を原子 吸光法で測定して吸着量を決定した。液相については 水素イオン濃度をガラス電極付きpHメーターで測定 した。またenの中和等量点に相当するpH4.2におい て塩酸滴定を行ない,吸着にともなう滴定量の減少か ら放出プロトン')を求めた。さらにenの中和滴定に おける第1および第2当量点がそれぞれpH8.1およ びpH4.2である性質を利用して,この領域に相当す る塩酸滴定量からe、の残存濃度を測定し,その減少 4.実験結果および考察 4.1ニッケルの吸着 ニッケルの吸着量はFig.1に示すようにpH5.5以 上の領域においてpHとともに増大した。この特‘性は Fig.2に示されるニッケル錯イオンの生成曲線の図に おいて,ビス錯イオンの生成曲線と類似しているので, この錯イオンの選択的吸着が考えられる。前回5)にア ン ミ ン 錯 イ オ ン の 吸 着 に お い て 報 告 し た よ う 2 一。↑工﹃・mpJz

鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 5 号 ( 1 9 9 3 ) 1

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一望UE↑o呈囚5一万﹄Eu牌汽。 ● O L ヱ J ‐ = と 一 一 ヱ ー 5 6 7 8

pH[ー]

Fig.1pHdependenceofadsorbednicke,andre-leasedprotoninsolutionofnicke, 5 6 7 8 9 pH[−] Fig.2Relationbetweenconcentrationratioof nickelionandpH

(5)

[、一一○︵上仁﹄] 0 0 . 0 5 0 . 1 0 . 1 5 0 . 2 Conc、Ofen[moUl] Fig.5Releasedprotonandadsorbedethylene‐ diamineinsolutionofethylenediamine に全ての配位子が交換される場合の吸着色は緑色であ り,錯イオンを含む溶液の色調とは異なっていた。そ れに対して,本実験では吸着色が液相とほぼ同じ紫赤 色であったことから,e、配位子が1個残っているこ とになり,配位子交換は1回だけ行われたと考えられ る。その吸着形態はシラノール基の酸素の金属イオン に対する配位子結合であり,2本の配位子結合のため に発生するキレート効果による吸着の安定化機構が存 すると考えられる。この吸着反応式はMを金属イオン, Rをシラノール基を含めた多孔質ガラスの骨格とする と次式で与えられる。 [M(e、)2]2++2RH=一[M(e、)R2]+e、+2H+ (20 4.2コバルトの吸着 Fig.3に示されるコバルトの吸着はpH5.7付近か ら始まっている。その特性はFig.4に示すコバルト錯 イオンの生成曲線の中でモノ錯イオンのものに類似し ている。しかし,コバルトの吸着色が液相とほぼ同一 の赤褐色であったことは吸着後にも配位子が残存する ことを意味するから,配位子置換によるモノ錯体の吸 着は考え難い。これについてはコバルト錯イオンにお いては生成安定度定数が小さい7)ことからわかるよう にe、配位子の結合が弱く,吸着に必要な配位子置換

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二円−8ち◎一希﹄仁○一稲﹄E8厘Cu

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,ログ 5 6 7 8 9 PH【−〕 Fig.4Relationbetweenconcentrationratioof cobaltionandpH 反応が起こり易いため,3×10-7mol/l程度の極めて 少量のビス錯イオンが生成するpH5.7付近で吸着が 可能であったことが考えられる。そのほかにコバルト (Ⅱ)e、錯イオンの非常に酸化され易い‘性質が液相の 組成に影響したことも要因の1つと思われる。 4 . 3 エ チ レ ン ジ ア ミ ン の 吸 着 金属を含まないe、溶液からの放出プロトンとe、 吸着量はFig.5に比較して示すように2:1のモル比 であるから,e、の1価イオンでなく,2価イオンが 吸着したことがわかる。このことはイオン交換反応は 吸着質イオンの電価が多いほど起こり易いとする一般 的通則と一致する。e、イオンはシラール基と錯体を 形成しないので,吸着は次式に示されるようなイオン 交換反応によって行われたことが考えられる。 H2en2++2RH=一R2(H2en)+2H+(21) Fig.6に示すニッケル溶液におけるe、の酸解離曲 線の図においてpH6∼8の領域で2価イオンの生成 2

︾一隅

5 6 7 8

pH[-〕

Fig.3pHdependenceofadsorbedcobaltandre‐ leasedprotoninsolutionofcobalt 藤吉:ニッケルおよびコバルト・エチレンジアミン錯イオンの多孔質ガラスにおける吸着に関する基礎研究69 1 ︾一⑧↑工、・いつ、◎U ● ︻g−oEE︺.、月仁③ロ仁m・一ピエ ○ 0

(6)

Hen 70 5 6 7 8 9 PH〔−] 6)藤吉一誠:化学工学会第24秋季大会講演要旨集, 102(1992) 7)FUjiyoshi,L:KakoRonbunshu,19,348(1993)

旧肥帖叫似0

●●●●●

00000

[三p仁]5−仁⑧↑og一一四↑仁8只己 Fig.6Relationbetweenconcentrationsofmono anddivalentethylenediamineionsandpH H2en H2en 鹿 児 島 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 3 5 号 ( 1 9 9 3 ) Literaturecited Figs、1および3に示す全放出プロトンはpHとともに 増大している。この場合,金属の吸着量は少量であっ て,全放出プロトンへの寄与は小さいのであり,むし ろ高pH域ではシラノール基は水素イオンを解離し易 くなるためイオン交換が活発になることが主な要因と 考えられる。 結 言 1)e、水溶液からニッケルおよびコバルトのビス錯 イオンが選択的に吸着した。その吸着機構はシ ラーノル基との配位子置換であり,吸着時に1個 のe、配位子が置換された。 2)enの2価イオンがシラノール基とイオン交換反 応により吸着した。 Nomenclature K=equilibriumcoefficient en=ethylenediamine M=metalion R=skeletonofporousglasswithsilanolgroup 1)Kozawa,A:J、InorgNucl・Che、.,21,315(1961) 2)日本化学会:化学便覧基礎編(Ⅱ),339(1984), 丸善 3)日本化学会:化学便覧基礎編(Ⅱ),348(1984), 丸善 4)波多野博行,花井俊彦:実験高速液体クロマトグ ラフィー,39(1989),化学同人 5)Fujiyoshi,I.:KakoRonbunshu,14,401(1981)

参照

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