• 検索結果がありません。

脳情報科学が拓くAIとICT:1.脳科学と人工知能の融合が拓く新たな時代 〜ディジタルコグニティブサイエンスでR&Dが変わる〜

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "脳情報科学が拓くAIとICT:1.脳科学と人工知能の融合が拓く新たな時代 〜ディジタルコグニティブサイエンスでR&Dが変わる〜"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)特集. Special Feature. [脳情報科学が拓く AI と ICT]. 1. 脳科学と人工知能の融合が拓く 新たな時代. 基 応 専 般. ☆1. ~ディジタルコグニティブサイエンスで R&D が変わる〜. 萩原一平. (株)NTT データ経営研究所/情報未来研究センター. 脳の「見える化技術」の進歩. り高精度かつ簡易に脳を計測することが可能になった..  1989 年,米国ベル研究所にいた 1 人の日本人科学. うになったことによって,従来から研究されていた医療. 者によって,その後の脳科学研究を大きく進歩させる. 領域に加え,情動,思考等,ヒトの心の働きに関する. ことになった発見がなされた.研究者の名は小川誠二.. 研究や,ヒトの行動に関する研究領域においても脳計.  彼は,1989 年に MRI(Magnetic Resonance Imag-. 測技術が適用できるようになった(図 -1 参照).. ing:磁気共鳴画像)装置を利用して非侵襲で脳活動を.  米国では,脳科学 研究の重要性を早くから認識. 測定する BOLD(Blood Oxygenation Level Depen-. し,BOLD 法が発見された翌年 1990 年には,当時. dent)法という原理を世界で初めて発見した.MRI とは. の Bush 大統領が「脳の 10 年」プロジェクトを開始し,. 病院等にある巨大なドーナッツ型の身体計測装置であ. その後, 「行動の 10 年」, 「心の 10 年」プロジェクトと. り,脳ドックなど検診で利用されているので,ご存知. 続き,2013 年には当時の Obama 大統領が脳の機能. の方も多いかもしれない.. 解明を目指した「BRAIN Initiative」に関する声明を.  BOLD 法とは,脳活動に伴う血液中の酸素量の変. 出し,翌 2014 年度から年間約 100 億円の予算を付け. 化を磁気特性の変化として計測するという原理である.. プロジェクトが始動した.その規模はアポロ計画やヒト. 彼は 1992 年に BOLD 法に基づいた画像処理技術と. ゲノムプロジェクトに匹敵するともいわれている.. して fMRI(Functional Magnetic Resonance Imag-.  欧州では,EU が主導する形で,ニューロインフォマ. ing:機能的磁気共鳴画像法)を開発した.この fMRI. ティクスと人工知能の融合領域として「ニューロ IT」と. の開発によって,非侵襲で脳の深部まで脳活動を 3 次. いうコンセプトを掲げ,大規模研究を開始した.2013 年. 元で計測することができるようになり, 「脳の可視化」. には,フラグシッププロジェクトとして「Human Brain. が飛躍的に進歩した.. Project」が始動した.同プロジェクトは 2013 年から.  fMRI のほかにも近赤外光を頭皮に照射し脳内の血. 10 年間のプロジェクトで予算総額は約 1,500 億円とい. 流変化を捉える NIRS(Near-infrared spectroscopy:. われている.本プロジェクトにおいても,革新的な情報. 近赤外線分光法)や,脳活動に伴い発生する電気活. 通信技術と生物学の融合により,さまざまな脳疾患の. 動を頭皮表面に出現する電位の変化として計測できる. 治療法に役立つ脳の理解が可能になるとしており,EU. EEG(Electroencephalograph:脳波計)などの計測技. は脳科学と情報通信技術の融合に注力している.. 術が IT を活用することによって飛躍的進歩を遂げ,よ.  中国でも 2016 年から始まった第 13 次 5 カ年計画に.  このように非侵襲で「脳の可視化」が実現できるよ. おいて,優先的研究分野としている.イスラエルでは, ☆1. 36. 本稿の著作権は著者に帰属します.. 情報処理 Vol.59 No.1 Jan. 2018 | 特集 | 脳情報科学が拓く AI と ICT. 前 Shimon 大統領の時代にニューロテクノロジー産業.

(2) の育成を国家戦略とし,その効果は着実に上がってい. や個人の履歴でどのような影響を受けるかについて推. ると推察される.. 察している..  このように,欧米を中心に,世界各国で脳科学研究.  fMRI が導入され出した当初は,脳の構造解析や海. は活発化しており,その成果は確実に社会,産業に還. 馬,前頭葉など脳の各部位の機能の働きを解明する研. 元され出している.. 究が多かったが,各部位の機能が分かっても,人間の.  Elsevier 社の「BRAIN SCIENCE Mapping the. さまざまな意思決定,行動等のプロセスは解明できず,. Landscape of Brain and Neuroscience Research」. 脳をシステムとして捉え,外部からの情報に対して脳内. によれば,世界の論文(2009 ∼ 2013 年)の 16%が. でどこにどのように情報が信号として伝達され,その結. 脳に関する論文であるといい,2013 年の論文発行数は,. 果何が起こるかに関する研究が多く行われるようになっ. 米国を筆頭に,英国,中国,ドイツ,日本の順番であ. ている.. るという.また,脳科学分野の論文は海外の研究者と.  人間の脳には,大脳に約 100 億∼ 140 億個,小脳. の共同執筆論文が多く,国際連携が進んでいる.同. に約 1,000 億個の神経細胞があるといわれており,こ. 様に,脳科学にかかわる研究者の 6 割が心理学,コン. れらが結合してできている脳内ネットワークの解明は容. ピュータサイエンス等,異分野連携をした学際的な研. 易ではない.しかし,多くの研究者がその解明に取り. 究を行っているという.. 組み,部分的にはさまざまな知見が獲得されており,こ.  一例を挙げれば,カリフォルニア工科大学の Colin. れらを活用するだけでも十分な価値を得ることができる.. F. Camerer という著名な神経経済学者は,南カリフォ ルニア大学の Cary Frydman というビジネススクール のエコノミストと共同で「金融意思決定における心理学. 産業応用が進む脳科学. と神経科学」というレビュー論文を書いている.ヒトの.  このように,海外では人にかかわる多くの分野にお. 金融的意思決定と認知科学,神経科学的な脳内プロ. いて,脳科学の知見を活用した研究が進んでいる.心. セスに関するさまざまな論文をレビューし,バブル時の. 理学,社会科学,行動科学,哲学,倫理学等,およ. 投資家の挙動等,金融的意思決定においてヒトが過信. そヒトにかかわる研究分野においてはほぼすべて脳科. 基幹技術である脳の可視化技術の進歩. fMRI(機能的磁気共鳴画像法) NIRS(近赤外線分光法). EEG(脳波計). (株)島津製作所 提供. (株)ATR-Promotions 提供. (株)脳機能研究所 提供. 脳血流の酸素飽和度の変化から, 活動している脳部位を可視化. 近赤外線を用い,脳表の血流動態 を計測. 数万個単位の神経細胞の活動を反 映した電位変化を頭皮上で記録. 脳の深部まで計測可能. 手軽,子供にも使用可能. 時間解像度が高い. ヒトの「心」の働きに関する研究 (認知・記憶・思考・情動・意思). 融合. ヒトの「行動」に関する研究. (経済学・社会学・生理学・認知心理学). 人の心や行動にかかわる,あらゆる研究領域と産業分野へ応用が進行 ■図 -1 脳の「見える化技術」の進歩による応用研究や事業活用が活発化. |1| 脳科学と人工知能の融合が拓く新たな時代 情報処理 Vol.59 No.1 Jan. 2018. 37.

(3) 特集. Special Feature. 学的アプローチがなされているといっても過言ではない.. するだけが脳科学の活用ではないからだ.脳科学で.  その最たる姿がビジネススクールだ.ハーバード大学,. 分かった新たな知見をどう活用するのかが重要である.. マサチューセッツ工科大学,INSEAD など世界のトッ. 脳計測はほかの計測手法に比べ,時間も費用もかかり,. プビジネススクールを中心に,全世界で 30 校以上のビ. また,計測場所等を含め制約条件も多いため,ときに. ジネススクールが脳科学に着目し,消費者脳科学や組. は脳を直接的に測るのではなく,脳活動と密接な関係. 織・人財活用に関する脳科学等の学科や講義を有して. がある脈波,心拍等の生理指標,眼球の動きや瞳孔. いる.また,米国の意思決定学会においても,そのキー. 径の変化などの代替指標を活用し,データ量を増やし. プレイヤとして,世界トップ 8 のビジネススクールの研. て解析することも有用である.. 究者が名前を連ねている..  2016 年に Google 傘下の DeepMind 社が開発した.  このような状況を鑑みれば,脳科学の応用が企業に. 人工知能 AlphaGo が世界のトップ棋士に勝利して話. おいて相当程度進んでいると考えてもおかしくない.実. 題になったことは記憶に新しいだろう.この開発の中. 際,Elon Musk や Facebook 社が BMI(Brain Ma-. 心的存在であった Demis Hassabis 氏は英国の名門. chine Interface または Brain Machine Interaction). 大学であるケンブリッジ大学で認知神経科学の Ph.D. 研究に投資を始めていることが話題になっている.. を取得しており,彼の論文は「サイエンス」誌がその年.  IT 産業は言うに及ばず,私たちが名前を知っている. に最も優れた研究に与える Breakthrough of the Year. 自動車,家電,食品,日用品,建築,エンタテインメ. を受賞している.. ント等,あらゆる産業分野におけるグローバル企業に.  彼は人工知能を研究するためにはまず人間の脳を研. おいて脳科学の知見を活用した研究開発,マーケティ. 究する必要があると考え,脳科学を勉強したといわれ. ング,デザイン,人財育成等が行われているといっても. ている.. 過言ではない(図 -2 参照) .  あえて,脳科学の知見と記述したのは,脳を計測. Ø Elon Musk氏(NEURALINK)とFacebook社が相次いでBMI研究への投資を発表 Ø グローバル企業が,R&D,マーケティング,マネジメントなどに人間研究 (脳科学,心理学,AI等)を活用 ⇒新たな製品開発,サービス開発,事業開発,組織・能力改善を促進 自動車・航空 Volkswagen, Ford, General Motors/Boeing, Hyundai, Daimler, Jaguar Land Rover, Lufthansa, British Airways 情報通信. Microsoft , Google, IBM, Intel, Facebook. FMCG. (飲料・食品・日用品). Nestle, PepsiCo , P&G , Unilever, Johnson & Johnson, LʼOreal 化学・香料 Du Pont , Givoudan, Firmenich, IFF, Symrise. エンタテインメント. 玩具. Mattel, Lego (Play-Well TEKnologies). CBS, Netflix , Time Warner, Fox , Disney. 広告・マーケティング. 化粧品. 金融. Nielsen , Ipsos, WPP, Omnicom. The Estee Lauder Cosmetics, Amorepacific Group. 電機・電子. 建築. HSBC Holdings , JPMorgan Chase, BNP Paribas, Bank of America. スポーツ. Nike , Adidas (Reebok), Under Armour. Apple, Samsung , LG Electronics , Hewlett Packard Enterprise. ANFA*, HMC Architects, Gensler, Perkins+Will. *Academy of Neuroscience for Architecture. ■図 -2 グローバル企業で進む脳科学研究と事業への活用. 38. 情報処理 Vol.59 No.1 Jan. 2018 | 特集 | 脳情報科学が拓く AI と ICT.

(4) 脳科学が迫る 3 つの領域. いるときの脳の状態を fMRI で計測,その情報をデ.  脳科学を応用する分野を脳を中心に大別すると,入. リングして CM の出来栄えを評価する技術(商品名:. 力系,出力系,フィードバック系の 3 つに大別できる. DONUTs)が,情報通信研究機構(NICT)傘下の. コーディングし CM 動画に対する情動反応をモニタ. 脳情報通信融合研究センター(CiNet),NTT データ,. (図 -3 参照) .もちろん,それらの組合せもある.  まず入力系では,間接的に脳に刺激を与えることで,. NTT データ経営研究所の三者により開発され,商用. 特定の脳部位の働きを活発化し,運動能力,思考能. 化されている(図 -5 参照).. 力等を高めることができる..  さらにフィードバック系では,fMRI や脳波計,生理.  具体的には,頭頂部に+− 2 本の電極を置き,数ボ. 計測装置等を用いて脳や身体の反応信号を取り出し,. ルトの電気を通電すると,今まで回答できなかった問. その信号を解析し,再び五感を通じて脳に刺激として. 題が解けるようになるという,にわかには信じがたい現. フィードバックすることにより,能力を向上したり,脳. 象が起こる(図 -4 参照) .. 関連疾患の治療に活用する研究が行われている.こ.  この研究は DARPA (アメリカ国防高等研究計画局). の分野の研究は日本が進んでおり,医療・介護,教育,. の委託で行われたものであり,ヒトの思考能力を高め. 健康(ヘルスケア,スポーツ等)産業分野への応用が. たり,訓練用の戦争シミュレーショ. フィードバック系. ンゲーム等での成績を向上させたり. ◆出力情報にある変換を行い 脳にフィードバックする. するために開発されたというが, ゲー. ・デコーディッド・ニューロフィードバックによる脳機能の改善 ex)うつ病等,脳・精神疾患の治療,学習効果の向上. マーの成績を上げるための装置とし て,一般にも販売されていた.  ご承知の通り,米国,イスラエ ル等では,戦争用に研究開発され たものが一般産業用に活用される, いわゆる Dual-use Technology と いわれる技術の応用が行われてお り,産業に与える影響は大きい.脳 科学も例外ではないということだ.  出力系では,脳からの出力信号 を脳波計,fMRI 等で検出し,その 信号を用いて,ロボットやドローン. 入力系. 出力系. ◆脳情報を取り出すことで無意 識下の脳の状態を推定する. ◆脳に特定の刺激を与える ことで,脳の反応を変える. ・fMRIを用いて入力情報に対する 反応脳部位から情動反応を探索 ・EEGを活用し,さまざまな情動反応を リアルタイムで計測 左の前側頭葉に負極(ニューロン活動を. ・特定の脳部位の働きを活発化 ・クロスモーダル効果. ■図 -3 脳科学が迫る 3 つの領域. 脳刺激による既存知識の制限を緩め認知力向上 ~独創を邪魔する精神的な要素を回避する装置の開発~ • 一筆書きの要領で,連続した 4本の直線で9つの点すべてを 結びなさい.. 左の前側頭葉に負極(ニューロン活動を 抑制),右の前側頭葉に正極(ニューロン 活動を活性化)をつけ直流の電気刺激を 3分間与える.. を動かしたり,CM 動画等の評価を 行ったりできる.  たとえば,脳波でドローンを操縦. 33人中14人が 正解を導出. する技術については,フロリダ大学. 他の実験問題でも 電気刺激を与えたグループは6割 刺激を与えていないグループは2割 が正解を導出. が大会を開催している.また,脳 波計とドローンをセットにした商品も. 出典:日経サイエンス2013年6月号 55-58 Brain stimulation enables the solution of an inherently difficult problem Richard P. Chi, Allan W. Snyder, Neuroscience Letters 515 (2012) 121‒ 124. すでに販売されている.  日本では,CM 動画を視 聴して. ■図 -4 脳刺激による能力向上. |1| 脳科学と人工知能の融合が拓く新たな時代 情報処理 Vol.59 No.1 Jan. 2018. 39.

(5) 特集. Special Feature. 期待されている.. Is This Time Different? The Opportunities and Challenges of Artificial Intelligence)では,時給 20. 脳科学と人工知能の融合. ドル(2,000 円)以下の人の場合,83%は仕事が自動化.  さて,AI(Artificial Intelligence:人工知能)とい. 時給 40 ドル以上ならば 4%が自動化されるという.. う言葉は,今ではややバズワード気味でもあり,AI =.  一方,OECD のレポート(M. Arntz・T. Gregory・U.. ディープラーニングという間違った知識も流布される. Zierahn, The risk of Automation for Jobs in OECD. ようになっている.ディープラーニングはあくまでもコ. Countries)では,OECD21 カ国でオートメーションに. ンピュータを活用したデータ学習方法の 1 つであって,. より奪われるリスクを抱える仕事(タスク)は 9%程度. ディープラーニングですべてが解決できるわけでもない. と試算しており,オーストリアで 12%,韓国は 6%,米. し,ディープラーニング= AI ではない.. 国は 9%,日本では 7%程度と見積もられている.国に.  また,AI によって私たちの職業が奪われるという研. よって,勤務形態,組織,自動化の現状が異なり,タ. 究に関する記事等がマスコミを賑わしているが,これに. スクの内容が異なるため,一概にはいえないということ. もいろいろな見方がある.. のようだ..   野村総 合 研究 所の調 査(Financial Information.  これらの試算が意味することで大切なのは仕事がな. Technology Focus 2016)によれば,2030 年に日本. くなるかどうかではなく,AI,もう少し拡大すれば,進. では 49%(英国 35%,米国 47%)の職業がコンピュー. 化する IT をどう活用し情報処理を行うか,情報そのも. タに代替されるという.McKinsey のレポート(McK-. のをどう社会,企業の中で活用するかを考えなければ. insey Quarterly 2016.7)では,機械化されるのは職. いけないということだ.. 業ではなくタスクであり,自動化の可能性は全業種平.  前述した AlphaGo の事例にもあるが,脳科学と AI. 均(米国の 800 種類の職業,2,000 種類のタスク)で. の融合は脳科学の進歩によって,今後さらに急速に加. 78%,宿泊施設・フードサービス分野で 90%,運輸・. 速するはずである.また,昨今の量子コンピュータや. 倉庫,医療・社会福祉分野で 50 ∼ 60%であるという.. ニューロモーフィックチップの開発状況から,コンピュー. さらに,米国経済諮問委員会の報告書(J. Furman,. タの計算能力が飛躍的に高まり,さらに高度な情報処. される可能性があり,時給 20 ∼ 40 ドルの場合で 31%,. 理が可能な AI が出現してくるのは時間の問 題であろう.   脳 科学の進 歩が AI の能 力向 上に寄 与 し,進化した AI が脳科学に寄与するという スパイラルアップダイナミクスが働き出している (図 -6 参照).   そのときに「カギ」となるのが「ディープ データ」である.従来,企業で使われてい るビッグデータの大半は行動の結果情報で あり,これをどれだけビッグにしても,そこ から読み取れる内容には限界がある.  必要な情報は,行動結果の前にある意思 ■図 -5 CM 動画の情動評価ソリューション. 40. 情報処理 Vol.59 No.1 Jan. 2018 | 特集 | 脳情報科学が拓く AI と ICT. 決定情報,すなわち意思決定をする人間の.

(6) 情報,そして意思決定をする際の環境情報である.行. 情報社会を変える.そして,その取り組みはすでに始. 動はある環境下における固有の脳を持つ 1 人のヒトの. まっている(図 -7 参照).. 意思決定の結果である.. (2017 年 10 月 2 日受付).  IoT の進化により環境情報は以前よりは容易に入手 できる.これからはどれだけ深く人間の情報を収集し. 萩原一平 [email protected]. 解析できるかが「カギ」である.そして,複雑な人間. 早稲田大学理工学部卒業.プリストン大学大学院修士課程修了. 電機メーカ,シンクタンクを経て現職.現在,脳科学の産業応用に 取り組む.応用脳科学コンソーシアム事務局長.横浜国立大学大学 院客員教授.大阪大学招へい教授.. 情報を解析するために AI は必須である.ディジタルテ クノロジーに支えられたコグニティブサイエンスの進化が. 脳科学の知見を AI開発に活かす 脳の学習機能を手本とした人工 知能開発 例)AlphaGo・ 学習アルゴリズムの高度化. AIをツールとして 脳科学へ活かす. 脳科学+AIの 融合 ビッグデータ解析 環境知能化. 脳活動や人間情報の解析技術に AI(機械学習等)利用. 「省エネ」の脳型コンピュータ開発. 例)消費者の好みを推定する マーケティング支援サービス 例)ニューロフィードバックによる 脳力向上. 例)IoT家電・IoTデバイス. e-Learning. ニューロ モーフィックチップ. 自動運転 産業用ロボット. 人間の「言語処理」に近い 自然言語処理技術の活用 例)高度音声認識 パーソナルアシスタント. コミュニケーション ロボット. 脳の処理を再現 「視覚認知」~「記憶・情動の変化」まで シミュレートするコンピュータビジョン開発 例)「空気を読む」ロボット. エージェントAI. ■図 -6 脳科学と AI の融合とその応用先の展望. ディジタルテクノロジーとコグニティブサイエンスで人,モノ,環境を融合し, 1つのシステムとして 個々人が満足できる(快適,安心・安全)価値 を提供 新たなバリューチェーンの創出. 人間情報. 脳. 行動結果情報. 身体 モノ・ロボット 環境. Deep Data. 環境(空間)情報. 人工知能 IoT ロボティクス 脳科学 データサイエンス. Digital Technology + Cognitive Science ■図 -7 ディジタルコグニティブサイエンスが提供する新たな価値. |1| 脳科学と人工知能の融合が拓く新たな時代 情報処理 Vol.59 No.1 Jan. 2018. 41.

(7)

参照

関連したドキュメント

突然そのようなところに現れたことに驚いたので す。しかも、密教儀礼であればマンダラ制作儀礼

 私は,2 ,3 ,5 ,1 ,4 の順で手をつけたいと思った。私には立体図形を脳内で描くことが難

 少子高齢化,地球温暖化,医療技術の進歩,AI

が作成したものである。ICDが病気や外傷を詳しく分類するものであるのに対し、ICFはそうした病 気等 の 状 態 に あ る人 の精 神機 能や 運動 機能 、歩 行や 家事 等の

前項では脳梗塞の治療適応について学びましたが,本項では脳梗塞の初診時投薬治療に

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google

キャンパスの軸線とな るよう設計した。時計台 は永きにわたり図書館 として使 用され、学 生 の勉学の場となってい たが、9 7 年の新 大

人間は科学技術を発達させ、より大きな力を獲得してきました。しかし、現代の科学技術によっても、自然の世界は人間にとって未知なことが