コジオールによるニックリッシュの現代的意義に
ついての一考察
牧
浦
健
二
概要 経営経済学で第二次世界大戦後に1つの学派を形成した,コジオール( Kosiol, E. ) は,ニックリッシュの科学上での著作を高く評価した。実際,コジオールの研究と理論の基 礎には,ニックリッシュの影響が指摘されうる。本縞では,第二次世界大戦の前後に行われ た,コジオールによる,ニックリッシュの評価に関する2つの論文をほぼ全訳しながら,検 討する。 キーワード コジオール,ニックリッシュの評価,ニックリシュの支持者 原稿受理日 2016年8月25日Abstract After Second World War, E. Kosiol was one leader in Business Economy of Germany. He set a high value on H. Nicklisch’s works. He has important effects upon E. Kosiol’s approachs and base of theory. This paper studies E. Kosiol’s writings, which had the title“Nicklischs Theorie der Betriebswirtschaft”,(in.ZfhF 1934), in English, “ Nicklisch’s Theory of Business Economy”and the title“Wegbereiter der Betriebs-
wirtschaftslehre”,(in.Der Praktische Betriebswirtschaft 1950), in English,“the Cultivator in Business Economy”. I transformed these papers by Japanese and examine whether E. Kosiol is H. Nickisch’s follower.
は じ め に
第二次世界大戦〈【筆者補足】1939年9月1日から1945年5月7日〉後の1948年に,ベ ルリン自由大学で正教授になった,コジオール(Kosiol, E.)〈18991990〉は,ボン大学 で数学の論文により学位を採った,1922年以降,シュマーレンバッハ( Schmalenbach, E.),ザイフェルト(Seyffert, R.)とワルプ(Walb, E.)の下で,経済学と社会科学に従 事し,1924年にケルン大学で商学の大卒の試験を受けた。実務活動の後,1926年にケルン 大学でザイフェルトの助手になり,1928年に,規範的方針を主張する,ザイフェルトの下 で学位を採った(Vgl.Schmidt, R.-B. 1967. Umschlagklappe.)。このため,「コジオー ルの指導教官は,1920年代の初めでは, 主に,シュマーレンバッハ, ザイフェルトとワ ルプであり,『ケルン学派』であったが, このような直接の教師以外に, ニックリッシュ (Nicklisch, E.)〈18741945〉が言及されるべきである」(Schmidt, R.-B. 1967. S.22.; 参 照。高田正淳1968. 189頁)。この点,「コジオールは,ニックリッシュの『経営』と『企業』 の概念についての見解を引き継ぎ,これらを精確に示した(przisieren)。また,経済財 の体系と,企業での財の循環についてのニックリッシュの見解は,コジオールのこれに関 する考察のための共通点(Anknpfungspunkt)を形成した。両者は,『経済財』の概念 を広く把握し, 実物財と名目財の循環(コジオール),あるいは,給付価値(製造価値) と財務価値の循環(ニックリッシュ)で,区分を行った(参照。高田正淳1968. 190頁)。 ……〈【筆者補足】また〉,確実に,組織についてのニックリッシュの研究に,この領域で のコジオールの著述( Arbeit )に対する刺激が認められる。コジオールは,ニックリッ シュの科学上での著作( Werk )を,〈【筆者補足】本縞で検討する〉2つの寄稿で詳細に 評価したが,これらから後者の研究者〈【筆者補足】ニックリッシュ〉との彼の関係が生 ずる。これにより,コジオールの研究と理論の本質上での基礎が指摘されうる」(Schmidt, R.-B. 1967. S.2324.)。 本縞では,第二次世界大戦の前後に寄稿された,コジオールによる,ニックリッシュの 評価について,彼の論文をほぼ全訳しながら,検討する。
1
「経営経済についてのニックリッシュの理論」
(1
9
3
4)
主著『経営経済』の概要 ニックリッシュの主著『経営経済』は, 彼の『経済的経営学』の第7版であるが,3巻 から構成され,その内,第1巻は1929年5月に,第2巻は1930年11月に,最終巻は1932年 11月に〈【筆者補足】出版されたため〉,今や〈【筆者補足】1934年では〉,完全な全体とし て,公開されている。この主著は,通常のテキストではなくて,その合成された構成(in eklektischer Zusammenstellung)では,専門科目(Disziplin)についての多かれ少な かれ完全な洞察をもたらす。ここには,むしろ,長年の研究活動の成熟した成果が伝えら れている。主著は,益々,根源的に(ursprnglich),熟慮され,真に迫る(lebenswahr) ものである。ニックリッシュは,経営の現象の基礎に更に迫り,独創的な基本的なアイデ アから,経営経済の関係と法則(Gesetz)を展開する,経営経済についての,完成された, 統一された理論(Theorie)を提供した(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.309.; Kosiol, K. 1973. S.211.)。 第1巻には,全体の著作(Gesamtwerk)の基盤(Grundlage)が配置される。まず, 経営経済上での研究の対象,課題と方法が開始点として厳密に概説され,科学上での学問 の構造(Lehrgebude)のための体系(System)が呈示される。その後,経営経済の中 心問題(Kernproblem),つまり,価値の問題(Wertproblem)の叙述が行われるが,こ れは,ニックリッシュの広範な解説(Ausfhrng)に対して指針を与える主題(Leitmotiv) であり,経営経済上での専門科学(Disziplin)の,全体の,新しい展開に対して先駆的な ものとして残されている(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.309310.; Kosiol, K. 1973. S.211.)。 第2巻は,経営(Betrieb),つまり,経営経済学の本来の認識対象に捧げられる。全体 としての経営は,その本質(Wesen),具体的な現実の多様な様式と形態(Art und Form) とその名称(Name)で研究される。主要な部分(Hauptstck)は経営の構造(Bau)と 活動(Leben)についての解明を形成する(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.310.; Kosiol, K. 1973. S.211.)。 経営の静態論(Statik)は,経営の課題から初めて,構造上での構成要素,すなわち, 労働,資産と資本を取り扱う。価値の関係(Wertverhltnis)の均衡の維持,経営の要素 ( Betriebselement )の有機的な結合( Zusammenhalt )が,その後で,評価と静態的な ( statisch )価値の関係についての理論をもたらす。均衡問題は,経営の現象(Betriebs-geschehen)のリスク(Risiko)と安定(Sicherung)で,頂点に達する。運動論(Kinetik) は活発な経過として経営プロセス(Betriebsproze)を捉える。価値の運動(Wertebewegung) の基本概念,すなわち,支出,必要経費(Aufwand),[経営による]給付(Betriebsleistung), 売上げ( Erls),収入,売上高(Umsatz),成果,利益,原価(Kosten)と転換速度 ( Umlaufsgeschwindikeit )がここで場所を見付ける。経営の両方の活動過程( Lebens-
vorgang),つまり,成果の獲得(Ertragserzielung)(必要経費と販売の構成(Aufwands- und Absatzgestaltung))と成果の分配(Ertragsverteilung)が頂点を形成する(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.310.; Kosiol, K. 1973. S.211212.)。 第3巻は,計算制度を,経済活動する人間の意識での経営の現象の反映(Wiederspiegelung) として取り扱う。必要経費の計算が主要部分の内容である,給付計算(Leistungsberechnung) と共に,記帳(Buchhaltung)と計画(Planung)で構成される,期間計算(Zeitraum-rechnung)がある。両方の計算部門で,統計(Statistik)は比較計算(Vergleichsrechnung) を形成する(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.310.; Kosiol, K. 1973. S.212.)。 全体の著作(Gesamtwerk)の実質上での構造(stofflicher Aufbau)のこのような簡 単な再現の後で,本質的な細目(wesentliche Einzelheit)の説明(Darlegung)が行わ れる(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.310.; Kosiol, K. 1973. S.212.)。 経営経済学の方法論 ニックリッシュによれば,経営経済学の対象は,経営と呼ばれ,価値を創造する個別経 済と共に,また, 家計経済も考える( rechnen ), 経済の単位の活動( Leben )である。 経営の中でのみ活動できる, 経済の意義( Sinn )と目的は, 価値の創造と価値の準備 (Wertebereitstellung)の手段(Mittel)による,人間の欲求(Bedrfnis)とその充足 の間での中間領域の橋渡し(berbrckung)である。資本の運動,あるいは,営利の追 求(Erwerbsstreben)のような,経済での総ての他の過程は,目標設定に関連しており, この目標設定に仕える(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.310.; Kosiol, K. 1973. S.212.)。 平面( Ebene )での経済の領域のこのような区分と共に, ニックリッシュは,奥行き (Tiefe)との関係を研究する。経営経済上での専門科学(Disziplin)のこのような哲学・ 社会学上での基礎の構築(philosophisch-soziologische Untermauerung)は,彼により 既に以前の研究〈【筆者補足】つまり,『組織論』〉で与えられたが( Vgl.Nicklisch, H. 1.Aufl., 1920. 2.Aufl., 1922.; 参照。市原季一1971. 66頁 170頁 198頁),彼はここ〈【筆者 補足】つまり,第7版の『経営経済』〉で立ち戻る(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.310.; Kosiol,
K. 1973. S.212.)。 総ての出来事は,経済での総ての多様性に影響を及ぼす,1 つの原因(Ursache)に係 わる。この原因は,基礎(Grund)を通して,結果(Wirkung)に対して影響を及ぼす。 基礎は,[結果が定められた]担い手(Wirkungstrger)と,[結果が定められた]担い 手を取り囲む環境( Umgebung )から構成される。基礎は,人間の支配領域の外での, [自然に定められた]基礎(Natururgrund)か,人間の影響範囲の領域での,[目的が定 められた]基礎(Zweckgrund)である。後者の場合には,人間は,目的のために,充分 な基礎の構成(Gestaltung)による目標(Ziel)と方針を原因に対して与える。本来の, 精神と身体上での, 要求は経済の外にある。 そして,そこから派生した要求を経済する ( wirtschaften )こ と が, 接 続 子( Verbindungsstck)と し て,挿 入 さ れ る(Vgl. Kosiol, E. 1934. S.310.; Kosiol, K. 1973. S.212213.)。 いずれの基礎も私生活(Eigenleben)を有する個体(Einzelwesen)に特殊な特性(Prgung) を提示するという事実から, 人間にとっては,とりわけ,人間は意識(Bewutsein)を 有する基礎であることになる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/31. S.13.)。このような要求を行 い,動機付けられた意識から,不足しているものを努力して獲得するという,目的設定と, 欲求の充足を可能にするために,[目的が定められた]基礎(Zweckgrund)の創造は生ず る(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.311.; Kosiol, K. 1973. S.213.)。
人間の意識は,直接的な自覚(unmittelbares Selbstbewutsein),人間を精神上での 本質にし,そこから欲求の動機がウエートを獲得する,良心(Gewissen)である。ニック リッシュは, ここから, 目的設定という基本法則( Urgesetz )の表示( Ausdruck )で ある,構成(Gestaltung)と維持という彼の2つの一般組織法則(groes Organisa-tionsgesetz )を展開した。 一体化と肢体化は, 総ての経済上での現象が,存続すべきで ある( Bestand haben )ならば,これに従って形成されるべきである,2 つの構成の方 向である。これら明確に基礎付けられた〈【筆者補足】一体化と肢体化〉は, ニックリッ シュにより既に以前より形成された認識から,今や初めて,組織論(Lehre von der Or-ganisation )で徐々に主張( durchsetzen )され始めた( Vgl.Kosiol, E. 1934. S.311.; Kosiol, K. 1973. S.213.)。
ニックリッシュにおいては,国民経済学( Volkswirtschaftslehre )と経営経済学の区 分(Unterscheidung)では際だった明瞭さ(ausgezeichnete Klrung)が認められる。 区分は,両専門科学(Disziplin)に共通する,対象(Gegenstand),あるいは,研究様式 の方法(Methode)ではなくて,これらが経済という客体(Objekt)に対して有する,課
題(Aufgabe)により,行われる。経営経済学では,経営とその活動の徹底的な研究に重 点が置かれ,経営の境界を越えて,全体経済の問題にまで導く(Vgl.Nicklisch, H. 1929/ 31. S.21.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.311.; Kosiol, K. 1973. S.213.)。
方法の選択では,ニックリッシュは,原因による関係(urschlicher Zusammenhang) という独自性(Eigenart)から始める。人間の環境でのみ示される,[自然に定められた] 原因となるもの(natrliche Verursachung)は除外される。人間の意識に伝わり,初め て形成される[目的が定められた]基礎(Zweckgrund)に基づき,挿入された動機(hi-neingelegtes Motiv)により支配された,[精神による]原因となるもの(geistige Verur-sachung)が,経営経済上での関係と,その結果(Wirkung)を獲得しようとされる予測 (Soll)にとり,もっぱら問題となる(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.311.; Kosiol, K. 1973. S.213.)。
ニックリッシュは,帰納法と演繹法という,科学上での方法論で論議されてきた,2つ の概念に全く新種の特性(Prgung)を与えた。帰納法(Induktion)は,基礎より結果 に向かう,原因による関係(urschlicher Zusammenhang)に従う。これは,自然科学 の手続きであり,基礎から初めて,分析,隔離(Isolierung),あるいは,実験による変換 により,結果を出す。演繹法(Deduktion)は,所与の結果から始めて,この結果から基 礎に向かって進む。この演繹法では,帰結(Ergebnis)なしには,帰納的認識(induktive Erkennen )は不可能であるが,個別事例でのその適用を意味する。 経営経済学に対す る両方法の意義( Bedeutung )の判定にとり, 予想される[目的が定められた]結果 ( Zweckwirkung )が意識での主な予測を意味し,これら予測のために,必要な基礎の構 成( Gestaltung )をもたらすという事実は決定的である。このため, 帰納法は排除され る。この帰納法は,経済の分野で誘導された演繹法に比べて,顕著な自然科学(hineinragende Naturwissenschaft)の領域での下位の手続き方法としては,目立たなくなる。しかも, また,帰納法はただ技術上での補助手段である(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.311.; Kosiol, K. 1973. S.213214.)。 目的の設定,動機付けは,人間の直接的な意識で行われる。目的,精神上での関係の領 域(Reich)では,このため,独創的な方法は直観(Intuition)の方法である。直観的な 理念(Idee)の拡張は,適切な[目的が定められた]基礎(Zweckgrund)の連続した増 加によるのではなくて,むしろ,動機の認識された精神上での予測(Soll)に向けた人間 の教育(Erzieung)により,実行される(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.311.; Kosiol, K. 1973. S.214.)。 社会科学の領域(Gebiet)での,研究方法としての直観と,適用手続きとしての教育の
明確化(Heraesarbeitung)は,ニックリッシュの最も独自で最大の業績(Leistung)の 1つである( Vgl.Nicklisch, H. 1929/31. S.2228.)。この中に,彼の学問体系(Lehr- gebude)の規範的な特徴が明らかに認められる。精神上での世界の固有の法則(Eigen- gesetzlichkeit),文化(Kulturell)での経済性の強い定着(tiefe Verankerung)がこの 中で明確に呈示された(zutagetreten)。ここに,経営経済の専門科学(Disziplin)の方 法論の基礎付けの要点(Angelpunkt)がある(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.311312.; Kosiol, K. 1973. S.214.)。 価値の問題
ニックリッシュは,彼の詳しい解説(weitere Ausfhrung)の開始で,経済,従って また,経営経済で,現われる,総ての規模(Gre)と,これらで起こる,総ての過程 ( Vorgang )は,価値の概念の領域( Bereich )内にある( befinden )という基礎理論 (Grundthese)を設定した。価値の問題(Wertploblem)は経営経済上での〈【筆者補足】 問題である〉(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.3435.)。容量関係(Mengenverhltnis) は,これが欲求の充足に対する適性のための要素を意味し,これにより,価値のための基 盤(Grundlage)を創造する限りでのみ,非常に重要である。分業型の経済では,人間は 2つの活動の範囲(Lebenskreis)の内に存在する。すなわち,購買力の獲得(Erweb) のための経営のそれと,諸力の維持のための家計のそれである(Vgl.Nicklisch, H. 1929/ 32. S.36.)。欲求と給付の調節(Ausgleich)は,法律秩序(Rechtsordnung)と経済制 度( Wirtschaftsverfassung )とは独立して,中間経営上での価値の決済( zwischen-betriebliche Wertverrechnung)を取り扱う(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.312.; Kosiol, K. 1973. S.214.)。 その後,ニックリッシュは価値の形成(Wertbildung)のための説明をするが,これは, 今まで,この詳細さと根源性(Ursprnglichkeit)では,いずれの経営経済学者によって も試みられなかった〈【筆者補足】ようにである〉。財の希少性は,基盤(Grundlage)と してではなくて,むしろ,経済上での価値がだいたい初めて形成される,制約(Bedingung) とみなされる。このようなことは,要求の充足を確保するために,労働が行われる時にの み,生ずる。この場合にのみ,要求を経済する(wirtschaften)ことが生ずる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.3840.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.312.; Kosiol, K. 1973. S.214215.)。 労働の給付と充足価値(Befriedigungswert)の対比から価値の形成(Wertbildung) の困難が発生する。個々の経済活動者の給付は, 一部分は,直接的な結果( Wirkung )
(消費のための手段),他は,間接的な結果(生産手段)を準備するため,これらの関係の 調整(Abstimmung dieses Verhltnisses)の問題が生ずるが,人は,この調整を,需 要の評価による,連合(Zusammenschlu)([市場による]連携(Marktverband))に より解決しようとする(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.4143.)。中間経営上での価値の決 済(zwischenbetriebliche Wertverrechnung)は,社会的産物(Sozialprodukte)であ る,給付された価値に対する個々人の関係の解明(Klarstellung)に役に立ち,これによ り, 自らの給付の価値として,個々の参加者が,結果として給付に還元されうる〈【筆者 補足】つまり,起因する〉モノを貸し方に記入する(gutschreiben)〈【筆者補足】つまり, 経営に対する債権とみなす〉,成果分配計算(Ertragsverteilungsrechnung)に〈【筆者 補足】役に立つ〉。個人の価値の割当て( Wertanteil )に対する彼らのこのような正当な 当事者の適格性(Legitimation)は,共通して,抽象的な,無名の(unbenannt),価値 に対して内容とするモノ( auf Wert lautend )として,結果として生ずる。このため, 同時に,通常の価値基準( generelles Wertma),交付可能な有価証券,具体的な価値 (konkreter Wert)を隠蔽する,抽象的な価値の描写(Wertdarstellung)の具体化とし て役に立つ,独特の( sui generelles )交換手段が必要である。このようにして,個々人 は継続した需要に対する充足価値( Befriedingswert )を価値の割当てに代えられる。し かも,また,彼は,製造経営への参加により,将来の需要のための生産手段を確保できる (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.4649.)。そこで,自立した分業型の経営の経済では,製 造経営と家計での完全な分離により,再び見付けられる,経営経済の抽象的な資本が生ず る(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.312.; Kosiol, K. 1973. S.215.)。 形成される価値の金額(Hhe)についての問いでは,製造されるモノ(Hervorgebrach- tem )と需要の調節( Ausgleich )が中心になる。ニックリッシュは,このような関係, とりわけ,生産と需要の不調和(Miverhltnis)での財の価値の転換,限界効用問題と, 権力者と悪徳商人(Schieber)の影響を新種の思想の管理(Gedankenfhrung)と形式 化で調査した(nachgehen)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.312.; Kosiol, K. 1973. S.215.)。 ニックリッシュは,根本的に考慮した( tiefgrndig)観察を価値の本質(Wesen)に ついての解明に捧げた。その際,彼は,2 つの評価の方針,〈【筆者補足】つまり〉,需要, 要求の充足のための適性の側面と,製造,生産での努力(Mhe)と必要経費(Aufwand) の側面から,開始し,これらの隔離(Isolierung)を取り除き,構成値(Gliedgre)の 有機的な統一体としての,複雑な全体(Gesamt)についての,新しい,非常に(beraus) 着想の豊かな概念の採用により, 総体の結合( Totalverbindung )について取り扱う
(unterziehen)。初めに(primr),変化する,〈【筆者補足】つまり〉,個別の要求の変動 に従う,需要の総体(Bedarfsgesamt)が予測(Soll)として与えられる。この予測に対 して,実際( Ist )として,給付の総体( Leistungsgesamt ),〈【筆者補足】つまり〉,常 に, 発生の期間では,経済活動者の意思に従い,同様に,〈【筆者補足】あるいは〉,反し て,変更される,給付による製造物の総体が対比される。両者は,まだ価値ではなくて, むしろ,初めは,結合により初めて,実際(Ist)により,総体の予測の多かれ少なかれ完 全な実現( Erfllung)を意味する,価値の総体(Wertgesamt)が生ずる,価値の形 成の資料(Wertbildungsmaterial)である(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.63.)(Vgl. Kosiol, E. 1934. S.312313.; Kosiol, K. 1973. S.215216.)。 価値の総体(Wertgesamt)に属する価値のカテゴリー〈【筆者補足】に含まれる〉,個々 の[肢体から構成される]総体(Gliedgesamt)は,全体の価値の容積(totales Wertvolumen) に関する割当て(Anteil)に一致している。このような価値の個々の容量単位の変動する 容積を,ニックリッシュは,特殊な[価値を表す]容積(spezifisches Wertvolumen)と 呼ぶ(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.68.)。これは抽象的な価値で表現され,費消された 給付( aufgewandte Leistung )に対する対価( Gegenwert )を示す( Vgl.Kosiol, E. 1934. S.313.; Kosiol, K. 1973. S.216.)。 ここで列挙された価値の本質(Wesen)は,多様な形式で現われるが,この形式をニッ クリッシュは,不可分の家計経済,分業型の経営を有する,中央管理型の経済と,自立し た分業型の経営の経済に対する〈【筆者補足】形態〉として記載した。 現在の経済の後の ケースでは,特殊な[価値を表す]容積〈【筆者補足】つまり〉,価格の形成(Bildung) は,独立した経営の相互の交渉により生ずる。需要の総体と給付の総体は[市場での]規 模(Marktgre)として現われる。価値は協定されるか,あるいは,市場価値(Marktwert) である。価格の形成の機構は,価値の総体が実現(Erfllung)として生ずるように,給 付の総体と需要の総体を相互に調整することに役に立つ(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.71 75.)。営利者(Erwerber)と製造者(Erzeuger)の市場価値での一致に基づく,価値の 形成の前段階として, 消耗価値( Gebrauchswert )と生産される価値( produzierter Wert )にその表示( Ausdruck )が見付けられる,2 つの価値判断が有効である( Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.7677.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.313.; Kosiol, K. 1973. S.216.)。 経営にとり意義を有する,価値の関係(Wertverhltnis)について,ニックリッシュは 次のことを強調した。すなわち,経済上での適性は,市場価値に対する自然の,あるいは, 技術上での適性の関係である。これら価値は購買活動にとり重要である。市場価値と支出
価値( Ausgabenwert ),あるいは, 必要経費価値( Aufwandswert )の関係は, 売却 では, 相応の( entsprechend )役割を果たす。 製造( Erzeugung )の経済上での効果 (Ergebnis)は,支出に対する技術上での適性の関係で測定されうる(Vgl.Nicklisch, H.
1929/32. S.7885.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.313.; Kosiol, K. 1973. S.216.)。
価値,あるいは,財の異なる種類( Art )(実物価値( Sachwert ),給付価値,価値に 対する権利( Rechte auf Wert ))に対して,ニックリッシュは,現象形式( Erschein-ungsform)の間隙のない概観を与えた(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.86.)。このような 関連では,法的秩序(Rechtsordnung)に対する関係(Beziehung)が研究される。自ら の給付の価値に対する給付者の権利は,経済の基盤(Grundlage)では,自ら基礎付けた ものとして現われる。法律は,このような所有権の創造ではなくて,むしろ,保護にのみ 役に立つ。純粋な実物価値の関係は,強制的な関連が特性を基礎付けない所では,異なっ ている。ここでは,〈【筆者補足】たとえば,証券市場では,会社の過去の具体的な経営 活動の展開による現在の収益力に対する効果が評価され, 抽象的な株価で表示されるよ うに〉, 歴史上での展開が指摘されるべきであり,現在( Gegenwart )に対する効果 ( Ergebnis )は所与として現われ, 抽象的な価値による資材( Materie )の隠蔽(ber-
deckung)をもたらしてきた(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.313.; Kosiol, K. 1973. S.216.)。 価値が支配下にある,多様なプロセスの内,ニックリッシュは,まず第一に,欲求の充 足による価値の使用(Verbrauch),吸収(Absorption)を取り扱った。消耗(Gebrauch) では減耗(Abntzung)により価値の一部のみが用いられる。ニックリッシュは,原材 料,補助材料と半製品(Halbfabrikat)の前使用(Vorverbrauch)という新しい概念を, これらが財の製造に役に立つ限り,採用した。これらの価値は,消耗し尽くされ,諸力に 転換されるのではなくて,むしろ,より高い等級の他の財で現われる( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.95.)。資材(Materie)なしでの給付価値(Leistungswert)〈【筆者補足】 労働力〉は,前使用のみされうる。すなわち,実物価値(Sachwert)に追加されうる。純 粋な利用(Nutzung)の過程は,土地(Grund und Boden)では,固定した資材(ruhende Materie)として,総ての可動可能な実物価値(mobiler Sachwert)では,給付価値の運 動する土台(Unterlage)〈【筆者補足】加工対象〉として,個別の目的のための隠蔽され た抽象的な価値(有価証券,価値に対する権利)と貨幣価値(Geldwert)では,共通して 隠蔽された価値(資本)として,現われる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.9699.)。製造 (Erzeugung)のプロセスは複雑な本性(Natur)である。その構成要素(Komponente) は前使用,使用と利用(Nutzung)であり,共通して,必要経費(Aufwand)をもたら
す(ergeben)。必要経費価値(Aufwandwert),あるいは,生産価値(Produktionswert) は,製造のために費消される(aufwenden),物件(Sache)と給付に対するあらゆる支出 の加算(Addition)により生ずる,抽象的な価値の総体(Gesamtheit)である。これは 製造物(Erzeugte)の支出価値(Ausgabenwert)に一致している(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.100101.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.313314.; Kosiol, K. 1973. S.217.)。 配給(Verteilung)は,その途中で,財の運送,在庫と取引きにより,給付価値が増加 するため,共に,製造(Erzeugung)に属する。この配給は同時に使用(Verbrauch)に 近づける(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.102103.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.314.; Kosiol, K. 1973. S.217.)。
分業型の経済では,経営は価値の関係のネット(Netz von Wertbeziehung)〈【筆者補 足】バリューチェーン〉に結び付く。初めの場所〈【筆者補足】つまり, 経営〉で, 純粋 な循環(reiner Umlauf)の関係,あるいは,循環の促進(Umlaufsfrderung)の関係 である,循環の関係(Umlaufbeziehung)が生ずる(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.314.; Kosiol, K. 1973. S.217.)。 純粋な循環は二重である。すなわち,財務の循環( Finanzumlauf )と,製造価値,あ るいは,給付価値の循環である(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.104105.)。[給付による] 循環( Leistungsumlauf )には,具体的な価値とその抽象的な対価( Gegenwert )の流 通(Kreislauf) ,収入と支出が含まれる。財務の循環は,派生された資本(参加資本(Be-teiligung)と信用供与)とその実際の利用,並びに,所属する対価を含む。両循環の関係 (Beziehung)は,また,財務の循環の背後に,常に,給付価値に対する指図(Anweisung) があることを認識させる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.114 115.)。この関連(Zusam-menhang )では,国境( Staatsgrenze )が及ぼす,影響が重要である( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.116.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.314.; Kosiol, K. 1973. S.217.)。 循環の促進( Umlaufsfrderung)は,観察と宣伝(Werbung)による排他的に保護 された循環の関係と,連合(Zusammenschlu)の共同体としての努力(gemeinschaft- liche Bestrebung)を包括する。ニックリッシュが,経営分析,単式記帳(Einheitsbuch- haltung ),統計の支援手段による経営比較と市場観察と,[共同体としての]労働( Ge-meinschaftarbeit)を問題にした,強い批判的で,かつ,刺激的な解説は非常に注目すべ きである(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.122.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.314.; Kosiol, K. 1973. S.217.)。
構成の関係( Gestaltbeziehung )は,循環の関係( Umlaufbeziehung )を味方にする 〈【筆者補足】つまり,分業と協業による生産ラインを形成する〉。全体の目的により,経 済全体は表面上の形式(uere Form)を獲得する。これには家計からの製造経営の派生 (Ableitung)が属する。同様の関連(Zusammenhang)では,連携(Verband),有機 体と連合( Zusammenschlu)が生ずる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.145146.) (Vgl.Kosiol, E. 1934. S.314.; Kosiol, K. 1973. S.218.)。 価値の問題の領域では,ニックリッシュは,最後に,価値の形成での外部経済上での影 響,これにより景気変動が強調されるが,結局,経済の分業に還元される,リスクの問題 を取り扱う。展開の経過での,自由経済と拘束経済の転換(Wechsel)と,景気変動現象 の 密 接 な 結 合( Verbindung )に 対 す る 指 摘( Hinweis )は, 興 味 深 く, か つ, 新 し い( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.149150.)。リスクの抑制(Risikenbeherrschung) の手段は,〈【筆者補足】たとえば,先渡取引きによる〉価値の保証( Wertsicherung ), 〈【筆者補足】たとえば, 先物取引きによる〉必要経費の追加( Aufwandzuschlag )と 保険である。ここでは,自己負担(Selbstbeteiligung),新品の価値保険(Neuwertver-sicherung)と利益保険(Gewinnversicherung)が特殊な役割を果たす(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.152153.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.314.; Kosiol, K. 1973. S.218.)。 経営の形態 ニックリッシュによれば,経営の本質(Wesen)は価値の循環(Wertumlauf)にある ( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.163. )。価値の循環は,財の経済の経営,つまり,派生 された製造経営と,力の経済の経営,つまり,本源的な家計経営で認められる。従ってま た,経済の最小の組織単位,個々の作業場( Arbeitsstelle ),自らの作業装置( Arbeits- ausrstung)により活動している人間は既に経営である(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.167.)。これは,自立した経営(selbstndige Betrieb)と肢体的な経営(Gliedbetrieb), 単純な経営と構成された経営(einfacher und zusammengesetzter Betrieb)での,有効 な区分をもたらす(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.168.)。経営概念に従属した,企業概念 の異なる解釈は,明快な分析に従う。技術上での装置としての経営の把握は,価値の循環 の理念(Idee)によれば,否定される(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.314315.; Kosiol, K. 1973. S.218.)。 概観での経営の様々な種類の描写により,ニックリッシュは,経営の形態(Betriebsform) の詳細な研究に取り組んだ。その際,全体としての内部関係の組織を根拠付ける,構成の
形 式( Gestaltform )は, 自 立 し た 経 営 の 法 律 形 態( Rechtsform )か ら 分 け ら れ た (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.173187.)。内部の組織力(Formungskraft)として,次 のものが取り扱われた。すなわち,個々の経営の課題(Betriebsaufgabe),[経営のため の]装置( Betriebsapparat )の技術上での可能性,立地,経済領域の資本関係,指導層 の特性と,伝統的な傾向。最も重要な形態力の源泉(Formkraftquelle)として,経営の 課題がみなされるべきである(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.188189.)。これは,販売の 担い手(Umsatztrger)の種類(Art),最後の肢体的な経営の配置(Anordnung),外 部関係の関連に影響を及ぼす。これと共に,販売の担い手に結び付いた価値基準(Wertsatz) が特徴付けられる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.190192.)。配置の基本原則として,系 列(Reihe)(機械産業),継続(Folge)(精糖工場),給付行動の統一(劇場)が現われる (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.192194.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.315.; Kosiol, K. 1973.
S.218229.)。 法律上で規制された形態の問題では,自立性の経済上での形態に対する混乱した関係が 研究調査される。法律形態の選択にとり重要なものとして次のことが強調される。すなわ ち,実現される[経営による]給付(Betriebsleistung)の意義(Sinn)と目的,経営を 派生し, 基礎付ける, 立場(支配と給付)と,資本誘導の方法(個人資本, あるいは, 集積資本( Sammelkapital ))。洞察は3つの適用段階での異なる法律形態を示す( Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.216.)。法律形態の割合(1913/1929年)(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.222227.)と有り高の変化の割合(1913年,1924/29年)での統計上での構成と(Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.350 u. S.351 u. S.383.),企業形態の原価(創立費,継続税(laufende Steuer),継続公課(laufende Abgabe))についての洞察は重要である(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.227229.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.315.; Kosiol, K. 1973. S.219.)。 経営の構造と要素 経営の構造(Bau)の取り扱いでは,ニックリッシュは経営の目標設定としての経営の 課題と結び付ける。彼の総括的な考察様式は,経済の全体の課題の肢体として,その形式 化を識別できる。また,その中に,特定の価値,あるいは,給付された,価値の割当てに 対する制限がある。同時に,経営経済に対する調整問題( Abstimmungsproblem )の意 義(Bedeutung)が明らかになる。価値の流入と流出の正確な内部での調整は,需要の総 体での全体経済の調整に対する不充分な代用に過ぎない。経営の課題の選択と正しい制限 の影響範囲(Tragweite)は,経済活動の最も普及した現象,課題の解決での能力の相違
による差額利得( Differentialrente )をはっきりさせる( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.238.)。ブロックとしての経営の課題の複雑な本質から,肢体の課題への組織能力のある 分解( organisatorische Auflsung)が誘導され,この分解は,同一の序列,上位の位 置付けと下位の位置付けから, 水平的と垂直的に拡大された体系( System )をもたらす (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.240.)。ここから,経営での作業プロセスの構成(Gestaltung) への過程(Weg)が示される(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.315.; Kosiol, K. 1973. S.219.)。 経営の要素(Betriebselement)としての労働(Arbeit)についてのニックリッシュの 解説は,特に,深く考えられ,独創的である。労働の概念は目的に向けられた活動の意味 では通常よりより広く把握される。 多くの機械的な分業の代わりに,体系的な分業( or- ganische Arbeitsgliederung)が労働の原則(Arbeitsprinzip)として設定され,特殊化 ( Typung ),標準化( Normung )と専門化( Sonderung )の特殊な場合に適用される (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.245.)。中心問題として,労働の統合(Eingliederung)が 現われる。その限界は,最大労働時間,最適な労働日数と,最低賃金の要求にある。この ような関連を害することは経営の活動に脅威(Gefhrdung)をもたらす(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.254.)。正しい統合の前提としての作業経過(Arbeitsablauf)の研究調査 は,作業分析,結果研究(Wirkungsstudien),特性調査と,組織技術上での描写の問題 を指摘する。正当な賃金の問題が詳細に研究調査されたが,その困難は給付の評価にある (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.267268.)。異なる賃金形態の描写では,ニックリッシュ は,割増賃金(Prmienlohn)のために,最低でも,その体系では,新しい研究(Arbeit) により修正された(berholen),コッホ(Koch, H.)による古い調査研究に触れた(Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.274.)。賃金形態の批判的な判定は,スライディング報酬(gleitende Entlohnung)と利益参加による修正の必要性をもたらした(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.280 281.)。労働の編成(Gliedschaft)の組織は,指図(Aufzeichnung),締結(Ab-machung )(労働契約と労働規定),割当て( Anweisung )と作業事務( Arbeitbro) (指導(Anleitung))に用いられる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.284292.)(Vgl.Kosiol,
E. 1934. S.316.; Kosiol, K. 1973. S.219220.)。 ここでは,ニックリッシュは, 秩序の統一性( Einheitlichkeit )の問題では, ファイ ヨール(Fayol, H.)とテイラー(Taylor, F.)の間での矛盾を話題にする。ラインとス タッフ機関の間での相違が詳細に調査されれば,このような私の考えによれば,表面上で の対立(Gegensatz)は完全に解消される。多様な職務分轄(Auftragserteilung)は, 決定権限の明確な限定と, より高位の機関の下への体系的な集中では,[経営による]給
付(Betriebsleitung)の統一性に反する違反であることを全くもたらさない(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.316.; Kosiol, K. 1973. S.220.)。
労働のはっきりした体化(sichtbare Verkrperung)は経営共同体(Betriebsgemein- schaft)である( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.294. )。総ての経営の所属者の給付共同 体( Leistungsgemeinschaft )の理念( Idee )は, ニックリッシュの知的世界の基本点 ( Kardinalpunkt )である。そこでは,経営経済学での個人主義的な方向に対立した,経 済についての体系的な見解が最も明瞭に明らかになる。資本ではなくて,むしろ,労働の 精神が,企業の魂(Seele),国家社会主義の革命の突破〈【筆者補足】新しい経済システム の構築〉の後に初めて一般に普及した,認識である。〈【筆者補足】1973には,後半は「む しろ,労働の精神は企業の魂である」に訂正された〉。 これらは,ニックリッシュにより 主張された成果の分配( Ertragsverteilung )において,首尾一貫した適用を認めるが, これによれば,労働者は,賃金と引き替えに労働という商品を売却するのではなくて(Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.307.),むしろ,自らの協働により,自らの給付の特殊な[価値 を表す]容積( spezifisches Wertvolumen )に一致した, 成果の割当てに対して要求 する。賃金の支払いは,社会的産物に関するこのような成果の割当ての前払い( Bevor- schussung)である。所有者,管理者(Leiter)と企業家は,共に,経営の人員(Betriebs- personal)に属する。このようにして,共同決定,経営協議会,賃金契約(Tarifvertrag) と労働市場は,労働共同体(Arbeitsgemeinschaft)の側面で(im Lichte),新種の,体 系的と見なされる意義(Bedeutung)と解釈(Sinngebung)を獲得する。このような関 連が,既に戦前に(vor dem Kriege),経営経済学者の内では最初に,完全な明瞭さで認 識され,定式化されたことは,ニックリッシュに永久に所属する功績である(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.316.; Kosiol, K. 1973. S.220.)。 第二の経営の要素(Betriebselement)として,ニックリッシュは,資産(Vermgen) を,経営に統合される財の統一体として考察する。貸借対照表では,資産は借り方(Aktiva) の名称の下で現われる。これには,また,その必要経費価値(Aufwandswert)と共に現 われる,純粋な給付価値(Leistungswert)が属する(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.324.)。 資産の構造(Aufbau)については詳細な分析が行われ,そこから,まず,製造価値(Er-zeugungswert)と決済財(Regulierungsgter)(支払い手段)の2つの大きなグループ が生ずる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.327328.)。製造価値は,更に,[基礎になる] 資産(Fundierungsvermgen)と[循環する]資産(umlaufendes Vermgen)に区分 され,この[循環する]資産には,販売の担い手( Umsatztrger)以外に,また,支払
い手段が見積もられうる( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.328329.)。価値の循環に対す る反応の仕方( Verhalten )(つまり, 利用( Nutzung ), 減耗( Gebrauch ), 前使用 (Vorverbrauch),使用(Verbrauch))が区分の視点(Gliederungsgesichtspunkt)で ある。資産の晶化(Kristallisaton)〈【筆者補足】純粋な結合過程〉の先行過程(Vorgang) として,[経営のための]フォンド(Betriebsfond),恒常的な有り高(eiserner Bestand), 質的な素質(qualitative Beschaffenheit),集中化,あるいは,分散の問題が取り扱われ る(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.334338.)。貸借対照表値での資産の構造は,工業,商 品取引業と金融機関(Bankwesen)による,具体的な基礎に基づいて調査研究される。独 創的な考察様式で,資産の調達( Beschaffung )が示され,[経営による]給付の完了 に必要になる,開始の価値( Anfangswert )が問題にされる限りで,また, 労働力の調 達は除外される(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.355.)。まず,[調達のための]基本原則 (Beschaffungsgrundsatz)(つまり,適性検査,好都合な価値額(gnstige Werthhe),
備 蓄 の 保 持( Reservenhaltung ),修 理( Erneuerung ), 契 約 条 件)が 展 開 さ れ る (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.355361.)。その後,資産市場(Vermgensmarkt)の描 写が続くが,資産市場の主要問題は,特殊な[価値を表す]容積(Wertvolumen)(価格) の妨害なしに流れる展開(Ausbildung)にある(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.369.)。 ここでは,消費財市場と生産手段市場の間,材料市場と,〈【筆者補足】たとえば,原材料 や機械装置のような〉生産の消耗財と〈【筆者補足】たとえば,保険,輸送サービスのよ うな〉利用財(Nutzgter)のための市場の間での,景気変動上で重要な相違が現われる (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.370.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.316317.; Kosiol, K. 1973.
S.220221.)。 第三の経営の要素( Betriebselement )として,資本( Kapital )が現われ,この資本 は,貸借対照表では,貸し方( Passive )の名称の下で呈示される。資本は,経営に対し て資産を調達するという能力を与える。資産は資本を具体化する。このため,両者はそれ ぞれの総額で等しく,これにより,貸借対照表等式(Bilanzgleichung)の深い意義(Sinn) を明らかにする(erklren)(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.374375.)。その後,資産の 描写と類似させて,ニックリッシュは資本の構造(Aufbau)(つまり,参加資本と信用資 本,長期,中期と短期の資本,価値保証資本( Wertsicherungskapital ),古い資本と新 規資本〈【筆者補足】つまり,期首資本と利益〉)(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.375379.), 資本市場での資本の処理(Kapitaldisposition)と資本の調達を取り扱う(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.382.)。貸借対照表値での資本の構造は,資産のための例と同一の例で強調
される(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.382.)。資本額(Kapitalhhe)の確定のため,最 も重要な基本原則として,次のものが苦心して明らかにされる。すなわち,プロセスの単 位の規模(Gre),[経営のための]給付の容量と,資産の循環の永続的な繰り返し〈【筆 者補足】である〉(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.392394.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.317.; Kosiol, K. 1973. S.221.)。 経営の要素(Betriebselement)の協働(Zusammenwirken)は,経営での価値の関係 (Wertverhltnis)の均衡(Gleichgewicht)の維持を要求する。自立した経営の静態的 な価値の総額の数値上での描写は経営経済上での評価論(Bewertungslehre)をもたらし た(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.411.)。経営に結び付いた,2 つの市場価値は,調達価 値,あるいは,支出価値と,売却価値,あるいは,収入価値である。両価値には客観的で, 市場で与えられたものと,主観的なものがある(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.411412.)。 主観的な価値概念では, いわゆる,[経営による]価値( Betriebswert )が問題にされ るが, これを, ニックリッシュは,他の所で, 消耗価値( Gebrauchwert )と生産価値 (Produktionswert)と呼ぶ(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.415416 u. S.101.)(Vgl. Kosiol, E. 1934. S.317.; Kosiol, K. 1973. S.221222.)。 評価原則( Bewertungsprinzipien )は詳細な批判を受けた。実現原則,時価の原則と 最低価値の原則(Realisations- Tageswerts- und Niederswertprinzip)は,経営の維 持を目指す,補償の原則(Deckungsprinzip)の活用(Abwandlung)として認識された (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.417418 u. S.421.)。損失の調節のある,あるいは,損失 の調節のない,資本維持として,補償は現われるか,あるいは,資産の側では,実体維持 として入れ替えられる。 ニックリッシュは,補償の原則に対して,[経営による]価値 (Betriebswert)に誘導する,適性原則(Eignungsprinzip)を対比した。対象は,[経営 による]給付(Betriebsleistung)の必要経費価値(Aufwandswert)が市場で完全な補 償を見付けられるように,評価されるべきである。従って,またここでも,結局,補償の 原則の内部経営上での適用形式が呈示される(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.422.)(Vgl. Kosiol, E. 1934. S.317.; Kosiol, K. 1973. S.222.)。 その後,原則から,評価規則(Bewertungsregeln)が,詳細に,とりわけ,最高額と しての[仕入れによる]価値と,調達市場からの評価での影響が推論された(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.422.)。ニックリッシュによれば,最低価値を下回ること(Unterschreitung) により生ずる,秘密準備金(stille Reserve)では(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.427.), 貸借対照表相場と取引所相場の間での比較からの認識可能性の問題が現われるが( Vgl.
Nicklisch, H. 1929/32. S.428429.),この問題は非常に批判的に判定された(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.429433.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.317318.; Kosiol, K. 1973. S.222.)。 商号の価値( Firmenwert )〈【筆者補足】つまり,企業価値〉の確定のために,ニック リッシュは, 必要経費と成果を結び付けた。 会社に固着した( haften ), 必要経費価値 はその専門分野で普及している利益の割増し( Gewinnzuschlag )だけ増加する( Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.434.)。直接的な成果の評価法(Ertragsmethode)では,利子 と企業家賃金の控除により企業家利益に到達される。平均的な企業家利益の資本化〈【筆 者補足】つまり,割引き〉は商号の価値をもたらす(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.436.)。 その際,責任〈【筆者補足】つまり,負債の控除〉後の資本の累積により, リスクプレミ アムを把握する,試みは,不充分なものとして,拒否される(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.437.)。間接的な方法は,まず,全体の企業での成果の価値を算定し,これより,資産の 再生価値を控除する。最後に,今までの必要経費による将来の企業家利益の割引き(Dis- kontierung)が,初めの手続きに類似した,商号の価値をもたらす(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.438440.)。あらゆるこのような方法は非常に問題を有するものとして残されて いるが,まず第一に,これら方法の間での内部の関係が充分には明確でない,すなわち, これら方法が,思考上での正確な適用では,理論上同一の目標に誘導するとしてもである。 とりわけ,初めの方法では,個別事例で会社の必要経費価値を把握する方法についての具 体的な観念が欠けている(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.318.; Kosiol, K. 1973. S.222.)。 静態的な均衡問題(Gleichgewichtsproblem)は,リスクの区分から開始し,循環の中 断(Umlaufsunterbrechung),循環の縮小と信用の喪失(Krediteinbue)に対する経 営の保証(Sicherung)を取り扱う(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.444450.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.318.; Kosiol, K. 1973. S.222.)。 中断( Unterbrechung )は製造価値の循環と財務の循環で発生しうる。このような関 連には,市場状況との, 容量と時間による, 部門プロセス, 恒常的な有り高( eiserner Bestand ),流動性と支払い能力の調整の問題が含まれる( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.456461.)。ここでは,ニックリッシュは,プリンツホーン(Prinzhorn, K.)の研究に 詳細に取り組む(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.467468 u. S.471472.; Prinzhorn, K. 1902.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.318.; Kosiol, K. 1973. S.223.)。 循環の縮小の問題(Umlaufsschmlerun)は,その克服(Bekmpfung)の攻撃点と して,予測値と基準値(Richtwert)の作成(Aufstellung)をもたらす。ニックリッシュ は,合衆国とドイツでの方法の展開の状態(Stand)を特徴付けるため,フムメル(Hummel,
O.)とシュマルツ(Schmaltz, K.)に頼る(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.475476.)。ア メリカ人のウォール(Wall, A.)のように,特殊な数値を獲得する方法を追求する,ドイ ツの,貿易に対する研究機関(Forschungsstelle fr den Handel)により開発された方 法に関する,彼の批判(Kritik)は,特に,関係基準(Beziehungsma)に対して向けら れた(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.476479.)。また,売上高ではなくて,むしろ,引き 替えに必要経費をまた発生させる,[経営による]給付(Betriebsleistung)が,必要経費 の測定(Aufwandsmessung)のための関連値(Bezugsgre)であるべきである(Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.482.)。ニックリッシュは,彼の方法のみが正当な結果をもたら すことを納得させるように,数例で指摘した(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.475482.)。 同様の異義(Einwendung)は,資本基準での経営比較の方法,これはドイツ機械製造組 合( Verein Deutscher Maschinenbauanstalten )が開発したが,に対して提示された (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.482484.)。予測値と基準値(Normwert)の算定に対す るある種の代用として,ニックリッシュは,例に基づいて,簡単な百分率貸借対照表を基 礎にして,図式化された貸借対照表が作成される, 手続きを繰り返して提供した( Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.486498.)。財務の循環での縮小に対する保全(Sicherung)は, 継続した損失の調節を通して,準備金の問題をもたらした(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.499500.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.318.; Kosiol, K. 1973. S.223.)。 経営プロセスと価値の運動 経営の活動(Leben)は,管理(Verwaltung)によりその統一性が惹き起こされる, 経営プロセスで最高になる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.506507.)。ここでは,ニック リッシュは,典型的な意味( Prgnanz)で,差し当たり,彼の[概念としての]専門用 語(Begriffsterminologie)を展開した。彼は,静態的な構造の関係(Aufbaubeziehung) を,経営プロセスの価値の総額での運動値(kinetische Gre)と比較した(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.318.; Kosiol, K. 1973. S.223.)。 支出(Ausgabe)は,外部に向かって流れる,価値額である。これと引き替えに流入す る[支出に対する]対価(Ausgabengegenwert)は,あらゆる種類の財,すなわち,実 物財,給付価値,権利である(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.513.)。支出は,これにより, 最低でも補償される( decken )べきである,収入に対する基準( Ma)である。費消 (Aufwenden)は価値創造の過程である。費消の結果は,必要経費価値(Aufwandswert) =費消された価値(aufgewandter Wert)=生産価値(Produktionswert)である。必
要経費価値( Aufwandswert )は売上げ( Erls)に対する基準(Ma)である(Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.513.)。[経営による]給付(Betriebsleistung)は,経営に無関 係な価値(betriebsfremder Wert)が控除された時に残る,必要経費価値の残余(Rest) として生ずる。期間給付の限定では,更に,期間に無関係な自らの価値(periodenfremder eigenen Wert)が控除されるべきである(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.516.)。財の売 却(Veruerung)では,売上げ(Erls)がこれに対する対価として生ずる。売上げは 売掛債権(Debitor)を含めた収入(Einnahmen)である(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.516.)。継続した売却としての売上高(Umsatz)の問題は,2 つの側面から,すなわち, 決して一致しないが,必要経費価値での製造価値の売上高と,支払い手段の売上高として, 考察されるべきである(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.517518.)。ニックリッシュは,3 つの例に関して,両者の売上高額(Umsatzgre)の正確な計算(Berechnung)を与え た(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.518523.)。販売(Absatz)は,1 時点に関係し,売上 高(Umsatz)の強さ(Strke)を描写する(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.516.)。成果 (Ertrag)は[経営による]給付(Betriebsleistung)の対価である(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.524.)。この成果は売上げ(Erls)に含まれる。個別の成果(Einzelertrag) は個別の財による売上げに等しく,経営に無関係な価値の金額だけ縮小される。[売上高 による]成果( Umsatzertrag )は,無関係な価値の総額だけ縮小された,期間売上げの 総計(Summe)である。期間成果(Periodenertrag)では,期間売上げの総計から開始 されるべきである。 期間給付のまだ販売されていない部分と,まだ販売できない部分の 必要経費価値(売上補充( Erlsersatz))が追加されるべきである。両者の総計の内, 経営と期間に無関係な価値は除外されるべきである。今や,3 つの価値の組み合わせ (Wertepaar),すなわち,個別の財での[経営による]給付(Betriebsleistung)の個別 の成果と必要経費価値, これらの内で無関係な価値だけ縮小した,[売上高による]成果 (Umsatzertrag)と売上高,期間成果と期間給付が対比される(Vgl.Nicklisch, H. 1929/ 32. S.524. )。[経営による]余剰( Betriebsberschu)は,成果が自らの給付(eigene Leistung)と引き替えに決済された支出(給料と報酬(Lohn und Gehalt))だけ縮小さ れた時に,成果から生ずる。また,自らの給付と引き替えに決済されない代償(Entgelt) (たとえば,企業家賃金)が控除されれば,利益(Gewinn)が得られる。従って,両者の
数値は成果の残余(Ertragsrest)である。[経営による]成果と共に,企業家資本と総資 本の成果がある(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.526.)(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.318319.; Kosiol, K. 1973. S.223224.)。
ニックリッシュでは,原価概念( Kostenbegriff )に,特殊な公式化が含まれている。 原価( Kosten )は,外部から調達したモノ(設備,手元在庫( Vorrat ),他者の労働給 付,資本)の総てに対する支出である。経営の所属者の給付に対する支出は成果の割当て (Ertragsanteil)である(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.527.)。賃金と報酬は成果に対す る前払い(Vorschu)である。[経営による]給付(Betriebsleistung)の対価としての 成果は,これによれば,売上げと原価の補償の差額として生ずる。[経営による]給付(Betriebs- leistung)は,[原価に対する]対価(Kostengegenwerten)による必要経費価値だけ縮 小した,全体の必要経費価値から算定される(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.527.)(Vgl. Kosiol, E. 1934. S.319.; Kosiol, K. 1973. S.224.)。 これら,ニックリッシュにより既に以前の版で展開された専門用語( Terminologie ) は,幾分恣意的な概念の遊び(Begriffsspielerei)ではなくて,むしろ,給付共同体とし ての経営についての彼の把握の首尾一貫した( konsequent )結果であり, 彼の体系の基 礎の支柱(Grundpfeiler)を示唆する。総ての経営の所属者の労働の結果としての[経営 による]給付と,このような給付に対する対価としての[経営による]成果(Betriebsertrag) は彼の考察様式の2つの要点( Angelpunkt )である。給付の過程は,必要経費に繰り返 して反映されている。売上プロセス(Umsatzproze)は,必要経費の補償〈【筆者補足】 つまり, 決済〉に奉仕する。 従来の企業家の観点から見た原価( Kosten )は, これによ り,必然的に,[経営による]給付の原価に変換される。これにより,企業家資本( Un-ternehmerkapital )が, まだ獲得していない成果のリスクに充ちた前支払い( Bevor- schussung )を報酬と賃金の支払いにより初めて可能にする限り,[企業家による]給付 (Unternehmerleistung)はより強く目立つようになる(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S. 533.)。必要経費と原価の明確な区分は,製造プロセスでの時間上と,それと共に,価値上 での食い違い(Diskrepanz)をより明らかにし,[経営による]給付と[経営による]成 果が厳密な公式化で把握できるために,基盤(Grundlage)を創造する(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.528.)。これと共に,同時に,経営経済の目標点(Zielpunkt)としての利 益は後退させられ,その代わりに,ニックリッシュによれば,経済性の基準としてのみみ なされうる,[給付による]結果(Leistungsergebnis)の表示(Ausdruck)として,成 果が設定される(Vgl.Kosiol, E. 1934. S.319320.; Kosiol, K. 1973. S.224225.)。 成果の獲得( Ertragserzielung )の問題領域は,ニックリッシュでは, 必要経費論 (Aufwandslehre)と販売論(Absatzlehre)を包括する(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.536.)。必要経費の限定では,特に,秘密準備金と費消された価値の必然的な分離(Tren-
nung )と, 減耗( Abntzung)と,過剰減価償却,あるいは,過少減価償却(Mehr- oder Minderabschreibung)の分離(Scheidung)を強調して指摘する(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.539540.)。必要経費の種類,必要経費の領域と,必要経費の負担者の区分 との関連では,減価償却に結び付けて,利子と複利を考慮すべきであるのかという問題が 呈示される。ニックリッシュは,原則上での資本の利払い(Kapitalverzinsung)と共に, 更新勘定( Erneuerungskonto )での犠牲的な金額には利子を貸し方記入する, 余地 ( Raum )が全く残されてないことを証明した( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.542. ) (Vgl.Kosiol, E. 1934. S.320.; Kosiol, K. 1973. S.225.)。 ニックリッシュは,その後,詳細な解説を,必要経費の構成(Aufwandsgestaltung) での操業度( Beschftigungsgrade)の問題に捧げた。必要経費の反応(Aufwands- verhalten)についての彼の区分は,関連での認識では,全く進歩を暗示していない(Vgl. Nicklisch, H. 1929/32. S.550551.)。[飛躍のための]必要経費(Sprungaufwand)は, 既に,レーマン(Lehmann, M. R.)などにより取り扱われたが,しかしまた,ニックリッ シュでも,充分な解明(Klrung)は認められない(Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.552 553. )。 減速された操業度での収縮が今までうまく行かないことは,既に, 残留磁気現 象( Remanenzerscheinung )の研究から明らかになったように, 正しくない( nicht zutreffend)。付録で書き足し,訂正された[数値による]概観(Zahlenberblick)は, また,使用可能な演習の資料(bungsmaterial)のみをもたらすが,問題の矛盾のない 解では全くない。たとえば,逓減的に増加する必要経費を,給付単位での完全に(absolut) 同様に減少する必要経費, 不規則(unregelmig)に減少する必要経費と,逓減的に減 少する必要経費への細区分は,恣意的で,このため,不充分なままであるが,特に,分割 原則( Einteilungsprinzip )は変更された( Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.745753.) (Vgl.Kosiol, E. 1934. S.320.; Kosiol, K. 1973. S.225.)。 これに反して,基本的な比較に役に立つ,ニックリッシュの比例率(der proportionalen Satz)に対する鋭い批判は注目に値する。これは,シュマーレンバッハ(Schmalenbach, E.)自らが,時間原価概念と容量原価概念(Zeit- und Mengenkostenbegriff)の導入に より,ニックリッシュにより優先された,シェーア(Schr, F.)の差額計算(Differen-tialkalkulation)に類似したものを実施したことよりも,良い効果を生み続けるであろう (Vgl.Nicklisch, H. 1929/32. S.553555.)。このような部分原則(Partialsatz)を私〈【筆 者補足】コジオール〉が他の場所で特徴付けたように,このような部分原則が,全体の生 産に対して,あるいは,部門分野(Teilbereich)での価格差別化のために,適用されるの