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大学生に対するSST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)の効果について: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

Title

大学生に対するSST(ソーシャル・スキルズ・トレーニン

グ)の効果について

Author(s)

名城, 健二; 諸留, 華英

Citation

沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of

Humanities and Social Sciences(13): 65-72

Issue Date

2011-03-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/9628

(2)

沖 縄 大 学 人 文 学 部 紀 要 第 1 3 号 2 0 1 1

<調査報告>

大学生に対するSST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)

の効果について

要 約

名 城 健

諸 留 華

大学生に対しソーシャル・スキルズ・トレーニング(以下、SST)を行った結果、 初回より最終評価の方がコミュニケーションスキルの向上が見られ、SSTの一定の 効果が実証できた。 SST終了者に対し実施した追跡調査においては、SSTで習得したスキルが持続し て い る 、 ま た は さ ら に 向 上 し た ス キ ル も あ っ た が 、 逆 に 低 下 し た ス キ ル も あ り 、 日 常 生活における般化の方法に課題が残った。 キーワード:SST,対人関係、コミュニケーションスキル、般化 二 英 は じ め に 友人関係がうまく築けずに孤立し、不安や悩みを抱えている大学生が多くなったとの指摘が ある(古川:2009)。その要因は、社会構造、生活環境等の変化の影響で他人と上手くコミュ ニ ケ ー シ ョ ン が 取 れ な く な っ て い る こ と や 少 子 化 の 影 響 に よ り 大 学 に 入 学 す る 学 生 の 質 が 多 様 化、複雑化していることが挙げられている(平潔:2009)。他人とのコミュニケーション力不 足は、メンタルヘルスへの影響や大学生活そのものに悪影響を与えかねない。2008年の本学学 生に対する『学生調査』の中で「大学生活を送る上での不安や悩みの内容(複数回答)」の中 に人間関係を理由とする回答がトータルで32.¥%あった(名城ら;2008)。このことは、本学 学生の中に上手く対人関係を構築、維持することができず悩んでいる学生が存在することを示 す。2009年の『睡眠に関する調査』では、睡眠が不十分になる理由に18%の学生が対人関係を 挙げている(名城:2010)o 対人関係におけるコミュニケーション力を高める方法の一つにSSTがある。SSTとは、人 との関わり行動をより適切で効果的に行うことができるよう手助けする援助の方法であるとさ れている(前田:1999)。本学学生に対しSSTを実施することで、対人関係におけるスキルを 習得できる機会の提供になると考え、2008年度から学内にてSSTを行うこととした。SST開 始のきっかけは、2008年度の文部科学省に採択された学生支援GPにより、専従のソーシャル ワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士の国家資格を有する)を学生生活支援室に採用したこ とによる。筆者(精神保健福祉士の国家資格を有する)がリーダー、ソーシャルワーカーが.・ リーダーを務めた。

(3)

沖縄大学人文学部紀要第13号2011 I.目的

本報告の目的は、2008年度から2010年度に4期に渡って実施したSSTを振り返り、その効

果を考察することである。 Ⅱ、方法 第1期から第4期までの参加学生の初回と最終の評価表(自己記述式)の集計と参加者の感 想からSSTの効果を考察する。合わせて、SSTを終了した学生(卒業生含む)に対し、SST がその後の日常生活や仕事にどのように活かせたかを把握するために2010年8月∼10月にかけ

て実施したアンケート鯛査(郵送式)の結果も考察する。尚、評価表はオリジナルのものを使

用した。 皿SSTの事前準備 学内にてSざrを│開始する前にリーダー、.・リーダーが日本SST普及機会のファーストレ ベル講習会に参加し、改めてSSTの理論やスキルを学ぶことから始めた。開始1年後には SST経験者研修会にも参加し更なるスキルアップを目指した。

学生の募集は、学生生活支援室で個別対応している学生への声掛けや学内へのポスター掲示、

教職員、学生へのメールによる情報発信を行い、多くの学生が情報キャッチできるように努め

た。参加の申し出があった学生に対して、..リーダーが事前に個別面談を行い、学生個々が

抱えている対人関係の課題の把握を行った。 N.SSTの参加人数及び内容と方法 1.SSTの参加人数 表1SSTの参加人数 B − 一 K − 一 1 1 句 1 句 ■ 且 ロ 利 1 1 句 ロ 句 ロ 弗 ■ f g n I ③ ロ 身 p 1 I 蛇 ロ 輸 1 4 SSTに参加した学生は、延べ人数で32名(実人数27名)であった。学科別では、福祉文化 学科の学生が19名と多かった.学年別は3年生が10名で最も多く、男女別では男性16名、女性 16名と同人数であった(表1)。尚、1期毎の参加学生は原則8名から10名とした。 2.SSTの進め方と内容 1回のSSTは90分とし(途中10分程度の休憩を入れる)、8回∼9回を1クールとして、原

則週1回行った。進行は、前半10分程.・リーダーが中心となりアイスプレーキングを目的に

学 科 法 経 ロ厚・可ミュニケーシ塗 福祉文化 こども文化 cmio∼'09、oi: (‘“心5∼'09.07) 3期生 w.II∼'10.011 4期生 『‘10.05∼'10.07 小 筋 合 針 塁 寺 量女 弱 女 頃 軍 女’ / 1 1 2 6 1 1 1 3 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 3 3 19 1 1 1 1 2 2 5 2 1 1 1 3 2 6 2 1 1 2 2 2 1 1 4 4 3 3 6 4 3 5 16 16 / 8 6 1C 8

32 小 計 合 計

(4)

名城・諸留:大学生に対するSST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)の効果について

簡単なゲーム等を毎回行った。ゲーム後は、リーダーが中心となりSST参加のルール(表2

を確認後、SSTの流れ(表3)に添いながら進行した。SST進行中は、.・リーダーが学生

の意見をホワイトポードに記録し、視覚的にSSTの進行を把握できるようにした(写真Do

表3SSTの流れ 2SST参加のルール 場面を設定します(相手、場所、状況など) いつもどおりに(挑戦することを)やってみましょう 良かった点、できていた点を宮ってもらいましょう さらにどうしたいのかを皆に伝えます そのことについてどうすればいいのか 皆と一緒に考えます 自分のやれそうなことを選びます 「お手本」を見せてもらい「まね」しましょう ま ね し た こ と を ほ め ま し ょ う jjjj、ノ ー2345 くくくくく いつでも練習からぬけることができます 嫌 な 時 は パ ス で き ま す よ か っ た と こ ろ を ほ め ま し ょ う よい練習ができるよう他の人を助けましょう 質問はいつでもどうぞ 席をはずす時は断ってから jjjjjj 1入、色へ口刀誰尽JnD くくくくくく (6) (7) (8) 写真1SST進行中の記録

S^T.,γ御7…錯奄鼎やf諺芳〈奮褐′

,..》‘.,,、ふ/琴,う{宅灘'・脚・“11、鍵・めう,.。;(犀、f73国。、・年、『壷ft..*溺餐部1..犀ノ 『'鋤・卿f5X・・ざ・・‘パか飼弓準・・ g や “ … 態 殖 靖 _ 華 ’ ? 弓 ' 詔 ? 勾 中 ' ロ ロ : 1 'ず 詞 9 両 亨 雫 電 。 ' P . . 。 牌 w W T 寺 一 寺 号 秀 ロ ・

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(5)

沖縄大学人文学邸紀要第13号20皿

SSTのテーマは、原則毎回SST終了後に次回の話題提供者を決めるという方法を取った.

1期毎のプログラムの中間に、意図的にグループワークを入れ、前半のSST参加の感想等を

学生同士で話し合う場を設定し、学生の意見をホワイトポードに記した(写真2)。後半には、

参加学生の凝集性を高めることを目的に、ボーリングや夕食会をプログラムの中に取り入れた

(表4)。尚、毎回SST終了後にリーダー、.・リーダーにてアフターミーティングを開き学

生の参加の状況や雰囲気、SSTの進め方や内容についての振り返りを行った。 表4SSTのプログラム ﹃ 1 や 1 吋 , 1 1 日 V・SSTの効果 1.1期∼4期の参加学生のスキル変化 表 5 ス キ ル 変 化 ( 全 体 平 均 ) 1 期 生 (“.10∼ D9.01〉 Z 期 生 《む9.05∼ “、07〉 a 鵡 生 〔℃3.11∼ ・1血01) 毎 期 生 (今10.05∼ ’10−07) 軍 1 回 第 Z 回 第 3 園 蕗 4 回 第 5 趣 露81剛 第 7 回 津 B 画 露 1 画 蕗 2 唖 第 3 画 鮪 4 園 第 5 画 第 e 回 第 7 回 軍 a 回 策 9 回 館 1 回 第 2 回 露 3 回 策 4 回 露 5 回 鰯 6 回 鯖 7 回 頭 8 回 第 9 回 露 1 回 第 を 回 第 3 回 露 4 回 露 5 回 繭 8 回 栗 う 回 露 8 回 露 9 回 オリエン・チーシ罫ン・窪己(他己)細介・アンケート テ ー マ ; 苦 手 な 友 逮 に 遊 ぼ う と 晩 わ れ た 時 の 断 り 方 テーマ;密分の定見を乗け入れてもらいたい(伝えたい) テ ー マ : 忙 し い ” の 父 睡 か ら の 仕 亭 の 依 輯 を 上 手 く 断 り た い 前 半 の 鐘 り 返 り 《 グ ル ー プ ワ ー ク 〉 外 出 〈 ボ ー リ ン グ ・ 厚 士 〉 テーマ;メアド餐闘かれた時'二_上手く断り鰹い 鑑 T の 掘 り 返 り ・ ア ン ケ ー ト オ リ エ ン テ ー シ 糞 ン ・ 悶 己 ( f 也 己 ) 縄 介 ・ ア ン ケ ー ト テーマ:相手が不按に思わない、待ち合わせに連れそうな蹄の蹴り方 テ ー マ t 相 手 の 奮 う こ と を 聴 け る よ う に な り た い 緬 半 の 鉦 り 返 り 《 グ ル ー プ ワ ー ク ) テーマ;相手イミ婁分の菰い分が言えるようになりたい 外 出 〔 ボ ー リ ン グ ・ 夕 食 〉 一 − テ ー マ : 理 絡 先 を 聞 力 、 れ た 時 に や ん わ り と 断 れ る よ う に な り た い テ ー マ : 母 観 が い な い 事 を 錘 塞 ず い 昇 鰯 気 に せ ず や ん わ げ と 伝 え た い 、 雲 丁 鍾 り 理 り 、 ア ン ケ ー ト オ リ エ ン テ ー シ 罰 ン ・ 園 己 ( 他 己 》 鱈 介 ・ ア ン ケ ー ト “ ・ 麺 … 恩 、 … 一 一 … テーマ;褒めたつもりで相手を不挟にさせた。そうならずに灸壁妻繊けたぃ ・ テ ー マ 了 妹 の こ と 壷 忠 っ て 「 手 伝 っ て 」 と 盆 つ 。 で あ I f た い テ ー マ ; 父 瞳 と 表 ツ ・ は 宙 然 を 晒 せ る よ う に な り た い 前 半 の 掘 り 返 り ( グ ノ レ ー プ ワ ー ク ) テ ー マ : 上 手 く 鱈 を 切 り 上 I 。 f る に # 主 ? … テ ー マ : 相 手 に 思 い 思 い 寒 さ ・ せ ず 、 た ぱ 墓 を 控 え て も ら う 、 三 は 。 外出(ボーリンク・夕食〕 S S T の 掘 り 返 り ・ ア ン ケ ー ト オ リ エ ン デ ー シ 謡 ン ・ 園 己 ( 他 己 ) 輯 介 今 ア ン ケ ー ト ゙ テ ー マ : 友 人 窪 ひ が み 鋸 < 素 直 仁 璽 め た い テ ー マ : 人 の 麺 I ご と I ナ 込 ヶ 外 た し 、 テ ー マ : 初 対 面 の 人 と 人 見 知 り せ ず g 舌 ・ せ る よ う に な り た い 前 半 の 鐘 り 返 妙 〈 グ ル ー プ ワ ー ク 〉 ‐ … … … テ ー マ ニ 妹 に 対 し て − イ ラ イ ラ し て 畢 力 的 に な ら ず に 撮 る 舞 叱 , た ぃ 外 出 〔 ボ ー リ ン グ 峰 夕 食 ) 雫b--マ:閏fる緯霧 テ ー マ 二 分 か 、 ら な い 転 題 の 中 に 入 り た い 、 S S T 振 り 返 賊 、 ア . ン ケ ー ト N=29 1.友達との会話都上手くできる 2.家族との会話が上手くできる a分からないことを質問できる 4.蟻なことを断ることができる 5.自分の首いたい事を膳すことができる 6.あいさつを交わすことができる 7.増の雰囲気が読める 8.感情のコントロールができる 初 回 3.24 3.43 2.95 2.52 2.75 3.57 2.9 2.8 最 終 3,87 3.91 3.73 3.38 3.51 3.98 3.46 3.5 変化龍 ÷053 十0.48 ÷0.78 蝿.86 寺0-76 +0.38 +0.56 ÷0.7

(6)

名城・諸留:大学生に対する霊TCソーシャル・スキルズ・トレーニング)の効果について 評価は、1∼8までの項目を5段階式で点数化(できる=5点・だいだい=4点。ふつう= 3点。すこし=2点.できない=1点)し、学生自身が自らのスキルを評価する方法を取っ た。1期∼4期で初回と最終の評価表を提出した29名を対象に、評価結果を単純集計すると全 ての項目において初回より最終評価がスキル向上したという結果になった(表5)。特に、「嫌 な こ と を 断 る こ と が で き る 」 が 最 も 大 き な 変 化 が あ り 、 そ の 次 は 「 分 か ら な い こ と を 質 問 で き る」であった。 SST終了後の感想は、大半がSSTの参加を前向きに捉えている内容であった。感想からも 分 か る よ う に 、 自 分 だ け の 課 題 と 思 っ て い た が 他 の メ ン バ ー も 同 じ よ う に 悩 ん で い た と い う こ とを知り、他の学生のロールプレイを見ることで、客観的に自分を知る機会になり成長できた としている。グループでSSTを行うことにより、課題の共有化から安心感が生まれ他者との コミュニケーションの取り方の自信につながったと推測できる。以下に、代表的な感想を紹介 する。 「どのテーマも自分自身の日常に起こる事ばかりで、全てが良かったと思います」 「同じ境遇の方がいて、一人じゃないんだなと感じました」 「やりたくない事は、皆持っている。そしてそれぞれ対処しているんだなと思った」 「自分の意見や考えを持てるようになった」「視野が広がった。出会いがあった」 「自分だけじゃなく、他の人も色んな事で悶々とするということ。悩みの受け取り方もそ れぞれだと改めて思った。それから、人の話を聞くようにしようと思いました」 「実践したこと、いろんな意見が聞けたこと、褒めること、人の真似をすることなどが良 かったです」 「SST自体が楽しくて、元気がなくても、元気になって帰れました」 「皆の意見を聞いていて、自分を客観的に見ることが出来たし、とても勉強になりました」 「皆が悩んでいることは、実は自分も悩んでいたことが多かったので、それを通して自分 も成長できた」 2.SST終了者へのアンケート調査 (1)SST参加後の学生生活や日常生活への影響 N=22 f ︽ 抑 討 Q I J ︹ 里 ︶ 分し 影群あっ た,13名, 釦 % 図1SST参加後の学生生活や日常生活の影響

SST終了者に対する調査は、29名の内22名から回答が得られた(回収率81%).SST参加後

に日常生活にどのような影響を与えたかは、「影響あった」13名(60%)、「分からない」7名 (35%)、「影響ない」1名(5%)であった(図1)。半数以上が、SSTに参加したことでそ

(7)

沖縄大学人文学部紀要第13号2011 の後の生活に影響があったとしている。 (2)SST参加後の日常生活に影響を与えた内容(複数回答) Nエユヨ 1 2 ; 乱 O ‐ 十 一 鰹 馬 e・吟+…"{』■・篭・・・,."摩・’

4・・+-.-1鶏1,・……

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02SST参加1後の日常生活に影響を与えた内容 SSTに参加したことで、日常生活に影響があったと回答した13名に対し、さらにその内容 をこちらが提示した項目から選択してもらった。S宮rは、セッションの中で習得したスキル をいかに日常生活の中で応用できるかという「般化」が重要であるが、特に影響あった内容と して「コミュニケーションスキルが上がった」10名、次に「日常生活上で役に立つことがある」 9名、『多面的な考えがもてるようになった」8名、「人の良い点を探せるようになった」7名 の順であった(図2)。このことは、SSTが人間関係を上手に営むためのスキル(橋本:2008 の向上を目的にしていることを考えると、SST参加後にコミュニケーションスキルが上がっ たと判断していることは、上手く般化の作用が働いていると理解できる。他に、SSTはグルー プで行うことにより相互作用が働き、対人関係における課題に対し他人の行動を観察すること によって新たな行動を学習し身につける(モデリング)ことができる(福島:2“4)。また, ストレングスの視点で、自分や他人の良いところを発見できるスキル習得を意識的に行う。 「多面的な考えがもてj、「人の良い点を探せるようになった」ということはSSTの体験が日常 生活の中で活かされていると高く評価できよう。 (3)SSTの初回、最終、追跡評価の比較 5453$型S五s・○

句■﹄◇ウ

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一 目 E ■ 一 ■ − N = 雲 一一

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図3SSTの初回、最終、追跡評価の比較

(8)

名城・緒留:大学生に対するSST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)の効果について

追跡調査は、1期∼4期とそれぞれSST終了の時期が異なり、すでに卒業し就職している

者もいるが、全てまとめて集計した。追跡の調査表を提出した者の初回と追跡評価を比較する

と全ての項目においてスキルが向上している(図3)。最終評価との比較は、スキル低下して

いる項目もあるが、3項目(嫌なことを断ることが出来る、あいさつを交わすことが出来る、

場の雰囲気が読める)はスキル向上している。特に、「嫌なことを断ることができる」のスキ

ルは初回評価から最も向上している。 (4)SSTに参加して特に印象に残っていること

SST終了者からの感想は、大方がSSTを良い体験として意味づけしている。SSTに参加す

ることで前向きになれ、とても良い雰囲気であったとしている。感想の中の「批判されない場」

「誰でも受け入れられるような雰囲気」は、SST全体が批判的な意見、見方でなく、どんな状

況の対応でも良かった点を強調し、ほめるという「正のフィードバック」の作用が十分働いた

からであろう。以下に、代表的な感想を紹介する。 「SSTのメンバーとボーリングしたこと、食事をしたことです」「自分の課題についてやっ たこと」

「最初はみんな相手の良い点を見つけるのに時間がかかっていたが、回数を重ねる内に少

しの時間で多くの良い点を見つけられるようになっていったこと」 「ロールプレイを観察することで、自分自身に置き換えて客観的に物事を捉えるようになった」 「メールアドレスを聞かれた時の断り方という中々考えそうにないことを皆が考えてくれた」

「どうして断りたいの?と聞かれなかったのが嬉しい」「私の悩みに何人かが同感していた

ことです」

「日常的に起こっているようなこととかを毎回解決出来るように訓練したので為になった」

「思った以上に皆の前で発言出来たことが嬉しく印象に残っている」「批判されない場」

「最初の反省している(直したい)場面で、良い点が上げられた時」

「人に話せない悪い部分を話せてスッキリしたことと、みんなのアドバイスがとても役に 立ったこと」

「誰でも受け入れられるような雰囲気が出来ていたような感じがして良かったと思います」

「今、自分でも職場で、SSTをやっていますが、タイミングが良かったのか、今思えば参

加して良かったなと思っています。SSTの進め方や記録の取り方を見ていたこともあ り、今、真似してやっています。ありがとうございました」 「仕事を始めて職場内でのコミュニケーションにおいて、こんな場面でのSSTしてみた

いなという場面が多々ありますね」「たった1回のSSTではハッキリ良くなった所はあ

まり無かった」 Ⅵ、考察及び謀題

今回の調査で明らかになったことは、SSTを体験した学生のコミュニケーションスキルの

全体評価は、初回より最終が向上したということである。ただし、初回より最終評価が低下し

た学生が4名いた。このことは、SSTに参加することで自身のコミュニケーションスキルを

客観視でき、自分の未熟さ気づく(栗林ら:2007)という作用が働いたと解釈できる。気づき

があったという点では、SSTの効果があったと理解できよう。

終了者に対する追跡調査においても初回評価よりスキルが向上していた。SSTで習得した

スキルが日常生活において般化でき、活用できていると理解する。ただし、最終評価と比較す

ると低下したスキルもあった。SSTで習得したスキルの持続については、課題が残ったと言

(9)

糾縄大学人文学部紀要第13号2011

える。毎回SST終了後に、習得したスキルを日常生活で応用できたかを調べるためのチェッ

ク表をテーマ提供者に宿題(オリジナルを使用)として配布したが、上手く活用できなかった

ことも今後の課題である。また、1期∼4期のSST終了後から追跡調査までの期間がそれぞ

れ異なるにも関わらず、まとめてその効果を評価したのは無理があったと言えよう。

SST終了後の感想は前向きな意見が多く、学生にとって有意義な時間であったと理解する。

中には、SSTが楽しいからと複数期参加した学生が5名おり、参加するごとにスキルの変化

が見られ、上手く般化が行われた印象が強い。学生自身にもその実感があるとのことである。

また.SST経験者が、初めて参加する学生のモデルとなる効果も見られた。SSTを生活の中

で確かな効果として感じ得るには、複数期の参加も大きな要因となり得るであろう。中には、

SSTの参加と学生生活支援室での個別面接を並行的に行うことで、より綴人的な成長の変化

が生まれたと思われる学生もいた。

本学における、学生に対するSSTの取り組みは始まったばかりである。今後も、一人でも

多くの学生にコミュニケーションスキル向上の場として、SST参加の機会提供に努めていき

たい。 参考文献 栗林克匡、中野星(2卯7)「大学生における社会的スキル・トレーニングの成果と評価』『北星学園大学輪 文集』第“号.”、15-26 名城健二、野村時子、山城さやか、我謝華英(”8)「釦07年度沖縄大学学生調査報告書」

名城健二(2010)『沖縄大学学生の睡眠に関する瞬査」『沖縄大学人文学部紀要』第12号,ppo109-115

橋本剛(2008)『大学生のためのソーシャルスキル』サイエンス社 平潔孝一(2009)「自己一致∼教職員が学生に関わる体験から∼」『大I学と学生』平成21年第69号髄巻別3 号)。pp、2-9 福島喜代子(2004)『ソーシャルワークにおけるSST方法』相川害房 古川隆司(20”)「支援を要する学生へのソーシャルワークと学生相談への示唆」『大学と学生』平戚21年 第69号(通巻543号),pp.25-34 前田ケイ(1999)TSSTウオーミングアップ活動集』金剛出版

参照

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