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学生の年中行事における認知度と喫食状況

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Academic year: 2021

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学生の年中行事における認知度と喫食状況

平島 由絵・乾 陽子・久保 さつき

Student’s knowledge level and eat conditions ceremonial foods

in annual events

Yoshie Hirajima,Yoko Inui and Satuki Kubo

We investigated college student’s knowledge level and eat conditions ceremonial in annual events. The results are as follows;

1) Students know almost an annual event.

2) Mother side knowledge of ceremonial foods influence student’s. 3) There is great difference of eat conditions ceremonial foods. 4) A lot of students eat “zoni” and “christmas cake” every year.

はじめに 平成17 年に食育基本法が公布された。この法は、近年の我が国の食をめぐる状況の変化 に伴う様々な問題に対処していくため、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、 現在及び将来にわたる健康で文化的な国民の生活と豊かで活力のある社会の実現に寄与す ること等を目的とし、平成17 年7月に施行された。 また、食育基本法により、食育推進基本計画が平成18 年度に決定され、平成 18 年度か ら平成22 年度の5年間を対象にした、食育の推進に関する施策について基本的な方針が挙 げられた。この方針は7項目からなり、「伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意 及び農産魚村の活性化と食糧自給率の向上への貢献」が提示されている。日本古来の豊か な食文化の継承が社会的に求められている現状である。 栄養士・栄養教諭は、栄養・食文化に対し専門的な知識を有し、食育の推進や伝統的な 行事食による食生活の質の向上において重要な役割があると考えられる。 本学食物栄養専攻では、栄養士・栄養教諭の資格取得が可能であり、今後、食育を担っ ていく存在である。また、集団給食において、献立に年中行事とその行事食を織り込む技 術を育成しなければならない。 しかし、農業技術や交通インフラの発達により、一年中、様々な地域の農作物を獲るこ とが出来るようになり、食卓に季節や土地柄を感じる事が少なくなってきた。また、行事

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食を家庭で作る機会が減り、伝統的な行事食が親から子へ伝承されない傾向にある。一方、 グローバル化により、行事が増え、クリスマスに鶏肉や七面鳥・ケーキを食べる文化が根 づいた。 そこで、栄養士・栄養教諭を目指す学生が、伝統食について、どの程度の認識や経験を 持っているか調査を行った。 なお、この研究は、日本調理科学会平成21 年.22 年度の特別研究「行事食」の収集デー タを元に行った。 1・伝統行事と伝統食について 日本には四季の訪れや、農作物の豊作を願い、様々な行事が行われている。 またその伝統行事の折々には、行事食が供されてきた。行事食とは四季折々で自然の恵 みに感謝し、古くから人々が育んできた祭りや行事など、特別の日に食べる地域の料理と して守り継がれてきた食事である。旬の食材や地域の名産物を使用した料理が多く、季節 の訪れを感じることができる料理が多い。 正月は、一年の始まりとして年神を迎え、旧年の豊作と平穏とを感謝し、同時にその年 の豊作と平和を願う日であり、年始を祝う薬酒・屠蘇、すべての材料・料理に祝いの意味 が込められた組重・お節などが供される。節分は、春の始まりの日立春の前日で、邪気を 追い払うために、いり豆をまく。歳の数だけいり豆を食べ、その年の健康を祈る。またそ の年の恵方を向いて太巻きを丸かぶりし、厄落としをする。上巳の節句は、中国の風習が 日本に伝来し、時代とともに、女の子の誕生を祝い、健やかな成長と幸せな結婚を祈る行 事となった。上巳の節句では、菱餅や白酒、寿司、はまぐり潮汁を食べる。端午の節句は、 「菖蒲の節句」や「尚武の節句」ともよばれ、男の子の成長を願い、ちまきや柏餅、菖蒲 酒、よもぎもちを食べる。土用の丑は、土用の間の丑の日を指し、年に1∼2日ある。暑 い夏を乗り切る栄養をつけるために鰻を食べる。冬至は、一年中で一番昼が短く、夜が長 い日である。この日に、かぼちゃを食べる風習がある。冬の野菜不足を補給するために、 長期の保存が可能なかぼちゃを食べるようになった。クリスマスは、明治以降、民衆文化 に浸透した行事であり、鶏肉や七面鳥、クリスマスケーキを食べる習慣が生まれた。大晦 日は、一年の最後の日に、縁起を担いで年越し蕎麦や年取りの祝い料理が食べられる。 以上のように、今回取り上げた年中行事には、それぞれに意味が込められている行事食 がある。これらの行事に対する学生の経験や行事食の喫食経験について、いくつかの知見 を得たので報告する。 2・調査方法及び調査時期 2・1.調査対象 本学生活学科食物栄養専攻1・2 年生 46 名を対象とした。 なお対象者の居住地は表1のとおりである。

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表1 調査対象者居住地 対象者居住地 人(%) 桑名市 1(2%) 菰野町 1(2%) 四日市市 7(15%) 鈴鹿市 14(30%) 亀山市 3(7%) 津市 8(17%) 松阪市 5(11%) 多気町 1(2%) 伊勢市 4(9%) 尾鷲市 1(2%) その他 1(2%) 2・2.調査時期 平成21 年 12 月∼平成 22 年 8 月にかけて調査を行った。 2・3.調査方法 調査用紙によるアンケート調査、聞き取り調査を行った。 正月・節分・上巳の節句(ひな祭り)・端午の節句(子供の日)・土用の丑の日・冬至・ クリスマス・大みそかの計8行事を対象に調査を行った。それらに供される行事食につい て正月で12 種類、節分で 3 種類、上巳の節句で 4 種類、端午の節句で5種類、土用の丑の 日で1種類、冬至で1種類、クリスマスで2 種類、大みそかで3種類の計 31 種類の行事食 を取り上げた。 それぞれについて、認知状態、摂食状態、調理状態や食べ方、これらが以前と比べたと きの変化の有無について調査を行った。 3・結果及び考察 3・1.年中行事の認識及び経験について 最初に、学生が各年中行事について、認識及び経験があるかを図1に示した。正月、節 分、クリスマス、大みそかの認知度は100%であった。また、大みそかについては、全員の 学生が、経験があると答えた。 その他の行事についても、認知度は80%以上、経験度は 70%以上と、多くの学生が今回 調査を行った年中行事について認識や経験があることが分かった。

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91.3 89.1 100.0 100.0 87.0 89.1 100.0 100.0 97.8 100.0 73.9 84.8 80.4 87.0 95.7 97.8 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 正 月 節 分 上 巳 端 午 土 用 の 丑 冬 至 ク リ ス マ ス 大 晦 日 (%) 認知度 経験度 3・2.行事食の影響を及ぼす人について 今回、調査項目に挙げた年中行事の行事食について、誰の影響を主に受けるかを図2に 示した。半数以上の学生が母方に影響を受けると回答した。家庭での主な調理者が母親で あることが影響していると考えられる。 0 5 10 15 20 25 父方 母方 その他 分からない (人) 図 2 行事食の影響を及ぼす人 図1 年中行事の認識及び経験

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3・3.行事食の喫食経験について 各行事における、行事食の喫食経験を図3に示した。 学生で喫食経験が多い行事食は、「クリスマスケーキ」(100%)、「かまぼこ」(95%)雑 煮(93.5%)であった。 2.2 15.2 89.1 100.0 73.9 71.7 82.6 34.8 4.3 19.6 71.7 67.4 67.4 87.0 69.6 30.4 80.4 67.4 26.1 95.7 87.0 69.6 76.1 80.4 80.4 84.8 89.1 87.0 30.4 93.5 32.6 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 尾頭つきいわし 年取り祝い そば ケーキ 鶏肉・七面鳥 かぼちゃの煮物 うなぎ蒲焼 よもぎもち 菖蒲酒 赤飯 柏餅 ちまき はまぐり潮汁 ご飯・寿司 もち・菓子 白酒 巻き寿司 いり豆 いわし かまぼこ 伊達巻たまご なます にしめ きんとん 昆布巻き 田作り 数の子 黒豆 赤飯 雑煮 とそ (%) 図3 行事食の喫食状況

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また、喫食経験が少ない行事食は、尾頭付きいわし(2.2%)、菖蒲酒(4.3%)、年取り祝 い料理(15.3%)であった。 各行事食の喫食経験はかなり差があることが分かった。また、一つの行事に複数の行事 食があるものでも、喫食経験が少ないものと多いものがあることが分かった。喫食経験が 多い行事食は、スーパーやコンビニエンスストアで比較的手に入りやすい食材を利用した 料理が多いことが分かった。 3・4.喫食状況 現在の行事食の喫職状態を図4に示した。 「毎年食べる」で最も割合が多かった料理は、雑煮であった。また、お節料理は「毎年 食べる」の割合が多かった。「食べなくなった」行事食で割合が高いものは、とそと白酒で あった。調査対象の学生のほとんどが未成年であるため、顕著に高い数値が出たのだと考 えられる。 5 29 36 20 18 19 6 3 16 14 13 20 16 1 26 23 8 33 29 20 23 21 19 24 28 29 7 35 6 1 6 6 10 11 13 6 4 10 10 10 10 7 3 6 5 1 9 8 9 10 12 13 13 10 9 7 4 2 0 0 0 1 1 2 1 1 2 2 5 3 3 3 4 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1 1 1 0 1 0 2 2 1 1 2 6 0 1 3 0 0 1 1 2 2 1 1 0 0 0 6 0% 20% 40% 60% 80% 100% 年取り祝い料理 年越しそば クリスマスケーキ 鶏肉・七面鳥 かぼちゃの煮物 うなぎ蒲焼 よもぎもち 赤飯 柏餅 ちまき 蛤潮汁 ご飯・寿司 もち・菓子 白酒 巻き寿司 いり豆 いわし かまぼこ 伊達巻たまご なます にしめ きんとん 昆布巻き 田作り 数の子 黒豆 赤飯 雑煮 とそ 毎年食べる 時々食べる 途中から食べるようになった 食べなくなった 図4 行事食の喫食状況

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3・5.調理状況について 行事食ごとの調理状態について、図5 に示した。 家庭で作る行事食で割合が大きいものは、「にしめ」「なます」「ご飯・寿司」「はまぐり潮 汁」「かぼちゃの煮物」がある。逆に、買って食べる割合の多い行事食として、「かまぼこ」 「柏餅」「クリスマスケーキ」があげられる。 行事食は、図5の通り、ほとんどが家庭で作るか買って食べていることが分かった。 5 25 17 19 29 8 2 2 3 2 18 27 2 1 15 1 7 8 13 20 20 13 10 17 9 19 8 3 4 0 1 2 0 0 2 0 2 1 4 2 2 4 0 3 1 1 1 1 2 2 1 2 2 1 4 2 3 1 0 12 29 18 1 19 8 5 23 20 1 3 18 3 17 22 2 29 21 5 8 18 20 16 21 13 6 2 4 0 0 2 0 2 2 0 2 0 1 2 3 2 2 2 6 1 5 5 4 3 5 4 4 3 4 1 0 1 0 1 1 1 1 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0% 20% 40% 60% 80% 100% 年取り祝い料理 年越しそば クリスマスケーキ 鶏肉・七面鳥 かぼちゃの煮物 うなぎ蒲焼 よもぎもち 赤飯 柏餅 ちまき 蛤潮汁 ご飯・寿司 もち・菓子 白酒 巻き寿司 いり豆 いわし かまぼこ 伊達巻たまご なます にしめ きんとん 昆布巻き 田作り 数の子 黒豆 赤飯 雑煮 とそ 家庭で作る 他人・親戚からもらう 買う 実家・親戚などで食べる 外で食べる 図5 行事食の調理状況・食べ方

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4・まとめ 短大生を対象に、家庭での行事食の認知度と喫食状態の実態調査を行った。得られた見 解を次に示す。 ・今回調査を行った8行事について、ほとんどの学生が、認知・経験していることが分か った。 ・学生の行事食への影響が最も大きい存在は母方であることが分かった。 ・行事食の喫食状況は、認知度・経験度と違い、料理別で差が大きかった。 ・毎年食べる学生の割合が大きい行事食は雑煮・クリスマスケーキであった。 おわりに 今回の調査は、短期大学生を対象に行ったものをまとめた。しかし、学生の行事食に影 響を及ぼす相手は、母方が最も多く、次いで父方が多かった。今後は、学生の保護者に対 する調査を行い、学生と保護者の行事食に対する認識の違いを検討してゆきたいと考える。 また、今回の研究を踏まえ、将来栄養士・栄養教諭として食を提供してゆく学生に、日 本の行事食を考えるきっかけにしたいと考える。 【参考文献】 1)文部科学省(2010):食育白書 2)農産漁村文化協会 (1992):日本の食生活全集 三重 聞き書き三重の食事 3)藤原多喜雄(2003):日本料理行事・仕来り大辞典 実用編

参照

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