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非日本語母語話者観光ガイドに求められる日本語能力と評価の側面 : ツアーオペレーター社員への調査から

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─研究論文─

非日本語母語話者観光ガイドに求められる日本語能力と評価の側面

─ツアーオペレーター社員への調査から─

高島 美江 要 旨  先行研究によると、日本人観光客が日本語観光ガイドに求めるものは「接客態度」であ り、次いで「充分な現地情報提供」、「観光地案内や説明」、「語学力」の順であった。しか しながら、観光ガイドにどのような日本語能力が求められているかについては、実証的な 蓄積が少ない。本研究は、この問いを解明するため、マレーシア S 州在住のツアーオペレ ーター1)社員 6 名に半構造化インタビューを実施し、マレーシア人日本語観光ガイドに求 められる日本語能力と評価の側面を考察したものである。M-GTA によるデータの分析・ 考察の結果、日本語能力試験旧 3 級相当が日本語観光ガイドに求められている言語能力で あることが明らかになった。また、ガイドと接触する人々が彼らの資質として評価対象と する側面は、ホスピタリティの有無、社会文化能力、障害除去としての役割を遂行する能 力であることが示された。ホスピタリティの概念は幅が広く、どのように捉えるのが妥当 であるかが今後の課題である。  【キーワード】 マレーシア、観光ガイド、ツアーオペレーター、 M-GTA、ホスピタリ         ティ 1.はじめに  観光は国の経済、人々の雇用、地域の活性化に大きな影響を及ぼし、地域の経済成長を 牽引する力を有する産業である。1964 年の海外旅行自由化以来、日本の旅行会社は日本 人を海外に送りこむことに力を注いできた。当時の旅行会社の役割は、企業や個人から依 頼を受けて旅行の手配をする受注生産型だったが、急増する海外旅行者に対応するため、 海外旅行をパッケージ化(主催旅行2))し、高額な費用を抑える方法を開発した。その結果、 大量に海外旅行を商品化し売り出せるようになり、現在では毎年 1500 万人3)を超える日 本人が出国するまでに市場が拡大している。  パッケージツアーは、観光や食事や移動手段の確保といった「便宜性」や「快適性」、添 乗員や現地ガイドが同行する「安心感」や「快適性」に優れた旅行商品のひとつである。「ア ゴ(食事)」・「アシ(交通)」・「マクラ(宿泊)」・「シーン(場)」・「ヒト(人的サービス)」と 1) Tour Operator とは現地のホテル、観光、送迎、食事、各種施設、ガイドサービスなどの手配を請け負 う会社 2) 主催旅行:旅行会社が日程や利用施設、料金等を決めて一般に募集するパッケージツァーを指す 3) 平成 22 年法務省入国管理局報道発表資料 http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/100112-1.html

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いう 5 つの旅行素材が旅行商品の構成要素である。この中で観光ガイドに代表される「ヒ ト(人的サービス)」への依存度が特に高いことが特徴である。日本から到着したパッケー ジツアーに同行して現地の案内を行う観光ガイドは、旅行者に観光という楽しみの場を創 出する役割を担う。安福(1993)が、「ツァー参加者は、ホストである訪問国の人々と接触 する機会は極めて少ない。そのため、旅行中、ツァー参加者にとり一番身近な存在である 現地ガイド(あるいは通訳)が、訪問国を代表するホストとして映ることがある(p.71)」と 述べているように、観光ガイドがパッケージツアーの善し悪しを決定する場合も少なくな い。  観光業を基幹産業とする開発途上国の非日本語母語話者観光ガイド(以下、日本語観光 ガイド)の中には、正規の教育機関で日本語を学習する機会がなかったにもかかわらず、 高度な対人コミュニケーション能力を持つ者や、3 級相当の日本語能力であっても観光ガ イドとして関係者から高い評価を得ている人々がいる。稿者は 18 年にわたって観光業に 従事し、自ら観光ガイドの人材育成活動を行っていた経験から、言語能力以外に日本語観 光ガイドに求められる他の側面を明らかにすることが急務だと感じていた。そこで本研究 では、マレーシアの日本語観光ガイドに求められる日本語能力、およびどのような側面が 評価の対象となるのかを研究課題とした。 2.先行研究  論文の冒頭で触れた研究、すなわち日本人観光客が観光ガイドに求めるものが接客態 度であるという研究は、経営学の視点から李(2009)が実施したアンケートの調査結果で ある。質問項目は「観光ガイドの必要性」、「観光ガイドに求めるサービス内容」、「観光ガ イドに対するイメージ」の 3 つに大別されていた。まず、観光ガイドの必要性については 「非常に必要である」と「ある程度必要である」をあわせて 85.2%が必要だと答え、大多数 の回答者が必要性を認めている結果となった。次に、観光ガイドに求めるサービスは、 前述のように親切さや礼儀正しさのような「接客態度」が最も多く、次いで「充分な現地 情報提供」、「観光地案内や説明」、「語学力」などの順に重要視されていることがわかった。 最後に、観光ガイドに対するイメージの中で最も回答が集中したものが「不慣れな場所に 対する安心感」であった。3 つの調査結果のどれからも、観光ガイドの日本語能力は上位 に位置づけられていなかった。李(前掲書)の研究は経営学の視点で実施されたものであ る。  千葉・高田(2010)は、タイの大学のホテル観光学科のコースデザイン作成のため、10 年以上のガイド経験を持つタイ人日本語観光ガイド 10 名にインタビュー調査を実施した。 調査項目は、1)日本語観光ガイドに必要とされる知識や能力、2)日本人観光客によくあ るトラブル、3)日本人観光客がよく行く観光地の 3 項目であった。本研究と関係性の深い 調査項目 1)の結果をまとめると表1のようになる。

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表 1 日本語ガイドに必要とされる知識や能力(稿者作成)  読む能力 ・予定表4)やガイドブックの観光地名部分を読む能力が必要  書く能力 ・あまり必要ではない。書く場合は自分の名前とニックネーム程度 他の言語能力 ・わかりやすい発音 ・専門用語5)、但し難しいことばを使用せず説明できる能力が重要 ・待遇表現のレベルは「です・ます体」で十分 ・方言を聞き取る能力 言語以外の 能力・知識 ・自分の国(タイ)についての知識を持つこと ・日本とタイの違いを把握しておくこと       *記述内容は千葉・高田(2010)の原文のまま  調査協力者の平均実務年数は 21 年であることから、ベテランガイドを対象とした実証 的研究であると言える。しかし「日本語ガイドに必要とされる知識や能力」をベテランガ イドに対する調査だけから導いていることには疑問が残る。彼らと仕事上で頻繁に接触す る第三者への調査が必要不可欠ではないだろうか。  板橋(2006)は、聞き手(日本人観光客)の立場でカンボジア人日本語観光ガイドの「わ かりやすい独話6)」と「わかりにくい独話」の特徴や問題点を研究した。カンボジアではガ イド不足などの理由から、初級学習修了程度の日本語能力でガイドとして現場に出ること が珍しくない。板橋(前掲書)の調査協力者は、世界遺産で有名なアンコールワット遺跡 を中心とする地域で活動する日本語観光ガイドである。アンコールワットでは、ヒンズー 教の神話の場面を描いたレリーフの前で日本語観光ガイドが神話を解説する場面が多く、 日本人にとって馴染みの薄い固有名詞が頻出し、物語の展開も予想しにくいという。観光 地での解説では「虎の巻を暗記して臨んでいるのが現状である (板橋 2006 : 48)」ために、わ かりやすい解説に必要な学習方法が研究された。その結果、「日本語の発音が良い場合に は、充分なポーズ時間を置けば長い発話節で話しても流暢と感じさせるが、発音が悪い場 合には、短い発話節で区切って説明した方が内容が伝わりやすい(同 : 48)」ということが 明らかになった。そのうえで板橋(2006)は予めポーズを置く位置を記した参考書の作成 を提案している。板橋(前掲書)の研究は、アンコールワットという限定された地域で実 施された研究であるため、結果を一般化することは難しい。  最後に、日本語観光ガイドを調査対象者とした研究とは一線を画すが、高度な日本語能 力になればなるほど狭義のコミュニケーション能力を越えた要素が重要になることを示唆 した事例を佐久間(2006)の研究から挙げる。 4) 千葉・高田は言及していないが、日本語で作成されたツアーの行程表(日程表)と考えられる 5) 専門用語の具体例は述べられていない 6) 板橋(2006)は「独話」を、「客からの割り込みが極めて稀で情報提供者が一方の話者に限られている発話」 と定義している

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1年間の韓国滞在中に、筆者は日本から観光に訪れる知人から何度かガイド探しを頼 まれた。紹介した韓国人ガイドは、いずれも日本語能力試験なら1級合格以上、OPI なら 超級 だろうと思われるような高い日本語運用能力を持つ 実力者 ばかりだっ たが、特定の何人かが不評であった。不思議に思い、客である日本人に率直な意見を 求めたところ、ガイドがしゃべりすぎるので疲れてしまう、一つの観光地に着いたら まずは少し静かに味わわせてほしいのに熱心な説明が ありがた迷惑 だというよう なコメントがほとんどだった。(佐久間 2006 : 41)    ここには、高度な日本語能力が観光ガイドの評価に必ずしも比例するとは限らず、コミ ュニケーション能力には言語能力以外に重要な要素があることが示唆されている。  以上の先行研究から、日本語観光ガイドに求められる日本語能力や評価の側面を明らか にするためには、ガイドと接触する観光業関係者の視点が必要だと考えた。旅行参加者に よるガイドの評価は、旅行商品(サービス)が提供された後であり主観的評価が高まる。 そこでこれまでの観光日本語の研究では調査対象者に含まれなかったツアーオペレーター 社員にインタビュー調査を実施した。一般的に現地の観光ガイドはツアーオペレーターに 所属しているため、社員は観光ガイドの言語運用能力や業務遂行能力などを把握してい る。同時にツアーオペレーターは、旅行を企画した日本の旅行会社や旅行参加者から、ツ アー内容や観光ガイドのサービス活動について指摘される立場にもある。本研究の課題解 明のために、ツアーオペレーター社員に調査協力を依頼することは画期的であり妥当性が 高い。 3. 調査の概要  3.1 調査協力者  調査協力者は、マレーシア S 州在住の日系ツアーオペレーター 3 社の社員 6 名である。 ツアーオペレーターは、日本の旅行会社(ツアー催行会社)から依頼をうけ、ホテルの宿 泊予約、観光ガイドの手配やツアーの実施、空港ホテル間の送迎や観光客への情報提供の 他に、日本の旅行会社からの問い合わせやリクエストに日常的に細かく対応することを業 務としている。ツアーオペレーター社員の仕事は多岐にわたるが、本研究では日本語観光 ガイドに直接仕事を依頼するなど、ガイドのスケジュール管理を担っている社員に調査協 力を依頼した。協力者 6 名のうち、5 名は日本人、1 名はマレーシア人である。マレーシア 人は中国系マレーシア人のため母語は中国語であるが、マレー語、日本語、英語を話す。 3.2 調査方法  2008 年 9 月、マレーシア S 州で 6 名のツアーオペレーター社員に半構造化インタビュー を実施した。インタビュー時間は 1 人 1 時間から 1 時間半である。半構造化インタビュー を 文 字 化 し た デ ー タ を、 修 正 版 グ ラ ウ ン デ ッ ド・ セ オ リ ー・ ア プ ロ ー チ(Modifi ed Grounded Theory Approach、以下 M-GTA)を用いて分析した。

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4.M-GTA 援用の理由  M-GTA は、グレーザーとストラウスにより 1960 年代に考案されたデータ対話型理論、 グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)と、1978 年のグレーザーの著作、1987 年 のストラウスの著作の計 3 冊を基本文献として提案された質的データの分析方法である。 M-GTA と GTA の違いは、データの切片化に対する考え方と、明確な結果像の有無である。 GTA ではデータの切片化を基本的な分析技法にしているが、M-GTA は文脈や意味の流れ を重要視し、切片化の代わりに「分析ワークシート(巻末資料参照)」と呼ばれるフォーマ ットを作成して分析を行う。分析ワークシートは概念名、定義、具体例(ヴァリエーショ ン)、理論的メモという 4 つの欄で構成される書式である。理論的メモとは、解釈の時の アイデアや疑問、データの対極例などを記録する欄である。M-GTA は「データの解釈か ら 説 明 力 の あ る 概 念 を 生 成 し、 そ れ を 最 少 単 位 と す る 理 論 に ま と め て い く( 木 下 2007 : 114)」という特性を持つ。本研究に M-GTA を援用した理由は、日本語教育において 観光業従事者を対象とした研究の蓄積が少なく、確率された概念や類型化された枠組みが ないことから、今後の研究の発展のために、理論生成の緊急性を感じたからである。 5.分析結果と考察 5.1 概念・カテゴリー・結果図  稿者は収集したデータを「マレーシア人日本語観光ガイドを雇用するツアーオペレータ ー社員」という視点で、M-GTA の手法にしたがい分析した。ツアーオペレーター社員の データから 6 つの概念を生成し、それを 2 つのカテゴリーに大別した(表 2 参照)。なお、 概念の命名や概念とカテゴリーの関係は、ワークシートを提示して数名の日本語教育専門 家とともに検討した。 表 2 概念とカテゴリーの関係  カテゴリー 概  念  名 言語能力 「上手じゃなくていい」日本語 実践による日本語習得 顧客満足の担い手 一生懸命な姿  ホスピタリティ7) 社会文化能力   障害除去(問題解決)の役割  M-GTA では、分析のプロセスで生成される概念やカテゴリーの関係性を「結果図」とし て提示する。ツアーオペレーター社員や関係者の相互行為を視覚的に提示した結果図が図 7) 服部(2004)は、ホスピタリティは「もてなし」の意味だけでなく、社会性を含めた広範な要素を持つ用語 であるとして、ホスピタリティの定義を次のように定めた。「人類が生命の尊厳を前提とした創造的進化 を遂げるための、個々の共同体もしくは国家の枠を超えた広い社会における、多元的最適共創関係を成 立させる相互容認、相互理解、相互確立、相互信頼、相互扶助、相互依存、相互創造、相互発展の八つ の相互性の原理を基盤とした基本的社会倫理(服部 2004 :122)」

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1 である。カテゴリーを【  】、概念名を で表した。矢印は影響する方向を表している。 次節では考察の前段階として、どのような順序で記述をすれば概念やカテゴリーの関連性 を捉えることができるかを確認するために、分析結果を「ストーリーライン」として簡潔 に記述する。 図 1 観光ガイドに求められる能力や評価する側面の結果図 5.2 ストーリーライン  ツアーオペレーター社員は、大きく【言語能力】、【顧客満足の担い手】の 2 つの側面を日 本語観光ガイドに求めていることが明らかになった。日本語能力については「上手じゃな くていい」というデータに代表されるとおり、必ずしも高度な能力が求められてはいない ことが示された。社内における日本語研修の実施も無く、ツアーオペレーター社員は観光 ガイドに対して「実践による日本語習得」を期待する。観光ガイドは日本語を媒介として 観光客に「ホスピタリティ」を提供するとともに、ツアー中に発生する様々な問題を速や かに解決する 「障害除去の役割」 を担う。業務遂行に対する「一生懸命な姿」は観光客や日 本の旅行会社に肯定的に捉えられ、ツアーオペレーターにフィードバックされ、観光ガイ ドは【顧客満足の担い手】として評価されていく。 6.考察  分析の結果、日本語能力試験旧 3 級相当が日本語観光ガイドに求められている言語能力 であることが明らかになった。顧客満足の担い手として具体的に評価される側面は、ホス ピタリティーの有無、社会文化能力、障害除去としての役割を遂行する能力であることが 示された。次に言語能力と顧客満足の担い手という 2 つの大きな側面について個別にデー タを挙げて検証する。 ◆ 概念名 【 】カテゴリー名 【言語能力】  ◆ 社会文化能力 【顧客満足の担い手】 日本人観光客 ◆ 実践による日本語習得 ◆ 一生懸命な姿 観光ガイド ◆ 「上手じゃなくて いい」日本語 ◆ ホスピタリティ ◆ 障害除去の役割 ツアーオペレーター 旅行会社

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6.1 言語能力  言語能力への言及は、日本の旅行会社を経由して間接的にツアーオペレーターに届けら れた日本人観光客ものと、ツアーオペレーターが直接評価するものの 2 種類が認められた。 まず間接的な評価の具体例を見てみる。   日本語の上手な人というのが一般論なんですけど、でもそれには限らない感じがす るんですね。なんか、Thanks Letter とか写真が送られてきたりとか、そういうガ イド達って実はそんなに日本語のレベル的には高くない。(JR73) お客さんから このガイド、日本語全然わかんないから っていう文句は無いです。 (JT39) よく言われるのは、日本語がすごい正確よりも、マナーとか、あとはその人の性格? 人柄っていうのがやっぱり結構要求されたと思うんです。(JH3) 多いのはお客さんと(日本語の)ミスコミュニケーションなんですね。でもそのガ イドも(客からの肯定的な)コメントが多いんです。「すごく良かったです」。そこな ので、ちょっとどういうアテンドをしているのかっていうのを一緒に働いていて言 うのもおかしいんですけど。(JW42) お客さんがちゃんと見て(いて)ね、よくお客さんからのコメントとかアンケート で見たら、まあ、この方は日本語はそんなに上手ではないけど、でも一生懸命やっ てるからお客さんすごくうれしいですね。(MM33)    一般的に経営上の理由から、観光ガイドの言語教育を社内で実施するツアーオペレータ ーは皆無であり、言語教育に関する知識を持つ社員は限定的である。本調査の協力者 6 名 のうち 2 名(JH,JR)は日本語能力試験を知っていたことから、観光ガイドの日本語能力を 旧試験のレベルで測っている。他 4 名の協力者による観光ガイドの言語能力への言及は、 個人的な判断である。日本側から示される傾向もふまえ、ツアーオペレーター社員が観光 ガイドに直接求める言語能力の例を以下に挙げる。 (日本語能力) 4級だとちょっときついんじゃないですかね日本語ガイド。最低で も3級じゃないですか?(JH125) だいたい3級とかのレベル位はあると思うんですけど。まあそれだったら(使える) という感じで。(JR15) もうほんとにそれこそ最低限、まぁ時間の話とか、間違ってはいけないインフォメ ーションが説明できるかどうかを見て採用して、そのあとはもう実践で慣れていっ てもらって。(JR27) (私がガイドに対して)幼稚園か小学校 1 年生位の子にしゃべるようにしゃべるじゃ ないですか、例えばしゃべるとすると。それで受け答えできたらまあまあ大丈夫じ ゃないですかね、ツアー出ても。(JY53)

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日本のお客さんも日本語スピーキングガイドやからって、普通にこんな風に(母語 話者)と話すようにしゃべらないじゃないですか。あのー、ゆっくりってか、「あ れなの?」、「どうして」、あの、「何時に何々なの」とかゆっくりクリアーな日本語で、 外国人だから、一応日本語スピーキングガイドっていっても。いくらジャパニーズ スピーキングでもやっぱり最初の挨拶とかでわかるじゃないですか。「わたし、な んとか、ね」とか言ってる時点で、あっ、しゃべれるけど、レベルを見たときにや っぱそういう日本語ですよね。(JY35-36) 難しい単語、(私達が)お客様に話すような単語をガイドに話してしまうと、もう ガイドはちんぷんかんぷんになってしまってるってことがありますよね。そのこと ばの違いはたぶん私達がわかってあげないといけない事だと思うんですね。(JW25) ここのガイドは基本的に農業で日本で研修行っているだけなんで。で、農業研修の 中で仕方なくっていうか自然に覚えたっていうだけなんで、僕は今のことばで十分 だと思うんですね。(JT27)    ツアーオペレーター社員が日本語観光ガイドに求める言語能力を分析するため、日本語 能力試験のレベル認定の目安を表 3 にまとめた。各レベルの認定の目安は「読む」「聞く」 という言語行動で表されている。ツアーオペレーター社員は観光ガイドの 「話す・聞く」 能力を評価の対象としているため、本稿では 「読む」 能力は扱わない。表 3 には 「聞く」 項 目のみを記述した。 表3 N2(旧2級)∼ N4(旧3級)の日本語能力試験認定の目安 N2 (旧 2 級) 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語 をある程度理解することができる。 聞く:日常的な場面に加えて幅広い場面で自然に近いスピードの、まとまりのあ る会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解した り、要旨を把握したりすることができる。 N3 新設 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる。 聞く:日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて 話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。 N4 (旧 3 級) 基本的な日本語を理解することができる。 聞く:日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解 できる。 *国際交流基金 日本語新旧試験認定の目安新旧対象に基づき稿者作成  前述のツアーオペレーター社員のデータから、「幼稚園か小学校 1 年生位の子」に話すよ うに提示した質問に応答できること、「ゆっくりクリアーな日本語」や「難しい単語」では ない語彙が理解できることが日本語能力認定の判断基準となっていることが示された。つ まりツアーオペレーター社員はスピードをコントロールした平易な語彙を使用し、観光ガ

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イドの基本的な言語能力を評価していると言える。日本語能力「3 級」に言及したデータも 見られた。言語能力に関する社員の判断基準を表 3 のレベル認定の目安にあてはめて分析 した結果、観光ガイドに求める基礎的な言語能力は N4(旧 3 級)または N3 に相当するこ とが示された。N4(旧 3 級)、N3 レベルと比較して N2 レベルは「より幅広い場面で使われ る日本語」や「ニュース」への理解が目安であり、ツアーオペレーター社員が観光ガイドの 言語能力を判断する視点とは違う。観光ガイドに求められる日本語能力は N4(旧 3 級)相 当であると言える。  日本語能力への言及は、文法能力だけでなく社会文化能力の重要性にも及ぶ。ツアーオ ペレーター社員は、社会文化能力を滞日経験の有無を例に挙げて述べている。 日本に行ったことないけども、マレーシアで勉強して日本語話せるようになってガ イドになったっていうそのスタッフは、やっぱりちょっと他のガイドと違うなんか が。それを理由にしてしまっていいのかわからないですけど、それはまあ採用の時 のポイントにはならないですけど…今、絶対数が足らないので、とにかく。まあ(日 本に)行ったことあるって言ったらプラスの評価になると思います(JR21) やっぱ日本のこと良く知ってますよね。普通、常識的なマナーを知ってるっていう ことと、あとは日本っていうことを知ってるから、日本語じゃなくてもその何てい うかな、直接言語には関係しなくても、文化的なことでこう…わかりあえるところ ってあるじゃないですか、日本行ってれば。だから一年いただけでも日本語に触れ る時間ていうのがもう何十倍でしょ? 日本に行ったっていうことは。だからそれ だけの知識の蓄積がありますよね、細かいところで。そういうところが日本に行っ た人のほうが優れているなと思いますよ。(中略) 安心感とまではいわないですけ ど、だいたいガイドを選んでみると「日本に行ったことのある人がいいな」ってい うことになってる(JH31)   相手文化における行動様式やコミュニケーションのルール、その背後にある価値観を知 っていることは肯定的に捉えられている。しかし次にあげるデータのように、接触場面に おける摩擦が必ずしも文化の相違ではなく、解釈する者の主観の違いに起因している場合 もある。 (お客さんが日本から)お土産を持ってきてくれたんですよ。それを、 ありがとう ございます って言ってガイドさんがドライバーに渡したんですよ。ドライバーに これみんなで分けようね って。ガイドさんとしてはそれ、みんなにもらったっ ていう。ただ日本人としてはせっかくお土産を日本から持ってきたのに、ポイッと ガイドさんがドライバーに渡しちゃったっていうのがすごい侮辱だったらしいんで すよね。(お客さんが期待していたのは) どうもありがとうございます って言っ て、たぶん、あのー、そっとちゃんと置いといて、誰かに渡すんじゃなくて、こう

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…あとで対応する、どうするか、じゃないですかねたぶん(JH83-85) 日本人の人っていうのは、結構日本人が対応してくれないと満足しないってところ があって、ガイドさんが謝ってもだめで、自分で謝りに行かなきゃなんないってと こがありますね。基本的にやっぱりね、日本人のほうから見ると、日本語がしゃべ れる外人さんっていうのはすごいことであって、彼らの責任ではなくて、トップの 教育が悪いとかね、そういうとこにいくわけですよ、日本人の見方とすると。そう すると、じゃあ「あんたの教育なのね。こう、若くてがんばってるあの子の責任じ ゃなくて、あんたの責任だから、あんたが謝りに来るべきですよ」ってたぶん、心 の中で観点があると思うんで、結構、例えば「何で俺が行かなきゃなんない」と思 うようなときでも、自分で謝り行かなきゃなんなかったケースありますよ。(JH87) なんか、ことばがどうのとか、コミュニケーションがどうのっていうよりも、お客 さんの言いがかり的なものがあって、なんかそこをどっかの責任にしたいから、「日 本語があんまり堪能じゃなかったガイドの責任」にしてるんじゃないかなっていう ところは結構…10 個ケースがあったら、だいたい7ケース位がそんな感じですか ね(JR111)    上記のデータからは、日本人の対外国人態度について考察を深める必要性が示唆されて いると考える。 6.2 顧客満足の担い手  ツアーオペレーターは観光ガイドに対して【顧客満足の担い手】として具体的に何を求 めているのだろうか。その鍵のひとつが「ホスピタリティ」である。旅行業はサービス業 と言われるが、ホスピタリティとサービスの概念には差異がある。サービスは、欲求にみ あう等価価値と位置付けられるが、ホスピタリティはサービスの上位概念であり、付加価 値として捉えられる。成熟社会では等価価値以上のものが求められる傾向があり、より精 神的な価値や文化的価値が重視される(服部 2004 : 32-35)。観光ガイドが期待や予想を上回 る付加価値(ホスピタリティ)を観光客に与えることにより、観光客は精神的満足感を得、 再び訪れるという反復効果につながる。ツアーオペレーターが評価する日本語観光ガイド のホスピタリティの例を次に挙げる。 例えばお客さんに何か聞かれた時とか、お客さんがどっかで K 市に来たら何々が 買えるって聞いた でもそれはそんじょそこらで買えるもんじゃない。だけど、ガ イドさんは売ってるところを知ってるから自分で買って渡してあげたりとか。なん かローカルなお酒とかそういうもん。お金取るわけでもなく(JR77)。 できるかできないかわかんないけどとにかくやって、一生懸命やって接してくれる ガイド。積極的に接してるガイド。例えばお客さんに何か言われて、とりあえずト ライする。言われた時にダメだなと思っても、すぐ できません じゃなくて、結

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果できなくてもいいんですけど、 あっ、ちょっと待って下さい とか言ってトラ イする。あるいは僕に聞いてくる。だからお客さんに対して一生懸命やってるなぁ ってガイドは評判いいんですよね(JT45)    ホスピタリティの他にツアーオペレーターが観光ガイドに求めるものは、問題解決能力 や交渉力、面倒なことから逃げ出さない 「障害除去の役割」 である。ツアー催行中には、 飛行機の欠航・遅延、レストランの予約ミス、盗難・病気、車両故障、迷子など予想外の 問題が発生する。これらの問題にすばやく対処し、現場で迅速かつ適切に解決する能力と、 その結果を敏速にツアーオペレーターに報告する行動力が評価されている。 例えばグループで食事行ったらレストランの予約が入ってなかったとか。グループ だから人数が多いから大変ですよね。そしたらその時ガイドが、もちろん、「予約 無いんです、お客さん」なんて当然言えないんで、「ちょっと今時間かかってるみ たいなんで、30 分位待って下さい」って言ってその間に手配できる料理を頼んだ りとかってそういう形ですね。それができるガイドとできないガイドがいると思う んですよ。多分慣れてないとグループでなくても個人の旅行でも、「すいませんお 客さん、間違って予約入ってないんです」なんて言ってしまったら大変なことにな っちゃうんで、何かイレギュラーが発生した時にうまく対応できるガイドが、やっ ぱり僕としてはありがたい。(JT59) 何か事故があったり、トラブルがあったり、行き違いがあったり、ミスアンダース タンディングみたいなオペレーションサイドと例えばホテルなりなんなり、ツアー サイドの運営するほうとかあった時にきちっと処理する人。できなくてもこっちに 電話してきて、指示仰ぐとかそういう責任感のある、最後までやる人ってのかな、 投げない人ですね(JY21) いいなって思うガイドさんはちゃんと事後報告してくれる人ですね。「こういう問 題があった」とか、「こういうことが問題にされた」と段々そういう経験がアキュム レイズ8)されるじゃないですか。自分がガイドに行ってないから、どういう苦情が 来るのかとか、どういう問題が起こるのかっていうのがわかんないんで。で、ツア ーって、ツーリズム自体って普段のオペレーションよりも問題解決が大事だと思う んですよ。なんか問題起こった時にどう迅速にすみやかに対応できるかってことだ から、それに関しての対応能力っていうのはやっぱり必要だと思いますね (JH50) 7. まとめと今後の課題  本研究の目的は、マレーシア人日本語観光ガイドに求められる日本語能力、およびどの ような側面が評価の対象となっているのかを明らかにすることだった。分析・考察の結果、 8) accumulate 蓄積する

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言語能力は日本語能力試験旧 3 級相当が指標であることが解明された。観光ガイドの評価 の対象となる側面は、「ホスピタリティの有無」、「社会文化能力」、「障害除去としての役 割遂行能力」であった。分析の過程では、日本人観光客が非日本語母語話者に対して、自 文化の規範で接触する傾向があることも示唆された。  観光ガイドに限らず観光業従事者を対象とした先行研究は、観光学(観光文化・ツーリ ズムの変遷・ホスピタリティ)、人類学、社会心理学(ヒューマンサービス従業者のスト レス研究)、経営学(サービス・マーケティングマネジメント・人的資源管理・日本的経 営論)などの分野では散見されるものの、日本語教育ではその蓄積が十分ではない。しか しながら海外では観光業を基幹産業とする国の高等教育機関の履修科目に「ガイド・通訳 コース」や「観光日本語」が設置9)され、観光日本語教育の意欲的な取り組みが早急に期待 されている。本研究は日本語教育では数少ない観光業従事者を対象とした実証的な研究と して意義があると考える。  本調査の限界は日本語観光ガイドに求められる言語能力の結果を一般化できないことで あった。その理由は、国や地域により保有する観光資源(= 観光対象)、観光客の訪問目的 などの条件が大きく異なるためである。観光資源は、自然景観、名所旧跡、文化芸術以外 にスポーツ観戦やレジャー施設、移動手段、気象現象までも観光対象となる。観光ガイド に豊富な知識と高度な言語能力による解説が求められる観光資源もあれば、目的地への送 迎と簡単な情報提供だけで対応が可能な観光資源もある。日本語観光ガイドに求められる 日本語能力は、国の経済力や観光ガイドの社会的地位によっても差異があるため、本研究 の結果を一般化できないと考えた。  観光ガイドの評価される側面のひとつとして 「ホスピタリティ」 が明らかにされたが、 ホスピタリティの概念は多様であり、「手厚いもてなし」と断定的に述べることはできな い。今後の課題として、ホスピタリティをどのように捉えることができるか考察を深める 必要がある。本研究をパイロット調査と位置付け、観光日本語教育の質の向上に貢献する 研究につなげていきたい。 参考文献 青木 保(2009)『多文化世界』岩波書店 安福恵美子(1993)「パッケージ・ツアーの観光社会学的研究─ペルーツアー事例研究」『聖 徳学園女子短期大学紀要』 第 20 集 PP.63-80 板橋貴子(2006) 「非母語話者ガイドの独話場面におけるポーズの分析─カンボジア人ガイ ドを例に─」 早稲田大学大学院日本語教育研究 9 号 pp.37-49 木下康仁(2003) 『グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践─質的研究への誘い』 弘 文堂 9) マナド工科短期大学(インドネシア)、ヘルワン大学(エジプト)、ミクロネシア短期大学、サモア国立大、 モルジブ高等教育短期大学など:JICA ナレッジサイト 日本語教師ボランティア国別概況より

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木下康仁(2005) 『分野別実践編グラウンデッド・セオリー・アプローチ』 弘文堂 木下康仁(2007) 『ライブ講義 M-GTA』 弘文堂 佐久間勝彦(2006)「海外に学ぶ日本語教育─日本語学習の多様性─」『日本語教育の新たな 文脈』アルク pp.33-64 千葉真人・高田知仁「タイにおける日本語ガイドに求められるもの─ベテランガイドへの インタビューに基づいて─」 タイ国日本語教育研究会第 22 回年次セミナー分科会資 料 2010.3.23 中村 正(2001) 「ヒューマンサービスと社会学─相互作用としての対人援助を記述する手 法─」『立命館人間科学研究』第 2 号 pp.43-55 日本国際観光学会(2004)『新版旅行業入門』同友館 服部勝人(2004) 『ホスピタリティ・マネジメント入門』 丸善株式会社 山上 徹・堀野正人(2001)『ホスピタリティ・観光事典』白桃書房 李 貞順(2009)「旅行者が求める観光通訳士のサービスに関する研究─韓国の日本語観光 通訳案内士を事例に─」『立命館経営学』第 48 巻 第 1 号 pp.107-120 参考 Web サイト 国際交流基金 > 日本語能力試験 JLPT > 新旧試験の比較 > 認定の目安新旧対象 http://www.jlpt.jp/about/pdf/comparison01.pdf  最終閲覧日 2011/2/23

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資料:分析ワークシート例(「上手じゃなくていい」日本語より抜粋) 概念名 上手じゃなくていい日本語 定義 3級相当の日本語能力でツアーに出る 具体例︵ヴァリエーション︶   *斜ゴシック体は筆者加筆 ●日本語の上手な人というのが一般論なんですけど、でもそれには限らない感じがするん ですね。なんか、thanks letter とか写真が送られてきたりとか。そういうガイド達って実 はそんなに日本語のレベル的には高くない。でも自分が好きなガイドが多い。好きという かやり易いガイドというか、まぁコミュニケーションがとり易い。(JR73) ●日本人じゃないですもの。話せなくてあたりまえっていうのがあって。特にあの、うち のガイド、S 州で言えば日本語、勉強したのは居ないんで。日本で学校入って戻って来た っていうんなら、ある程度レベルが高くてあたりまえっていうのがありますけど、ここの ガイドは基本的に農業で日本で研修行っているだけなんで。(JT27) ●私がなんか「あっ、この子、いい子やな」って思うような子は、「私が」ってわけじゃな いですけど、「いい子だな」って思う子は、やっぱりお客さんからの評判もいいし、レタ ーが沢山来たりとか、「次もこのガイドさんでお願いします」とかいうのが結構多い…でも、 日本語はそんなに上手じゃないですね。(JR75) ●お客さんから「このガイド日本語全然わかんないから」っていう(文句は)無いです。 (JT39) ●シニア層には、間違いが無いように日本語が上手なガイドをつけるようにしてます。だ いたい間違いないですね。あとは、若い学生さん同士とか社員旅行どうしとかだったら、 日本語はそんなに上手じゃないけど、ちょっとまぁノリのいいガイドとか。(JR81) ●日本語が下手だったとか言うのはあんまり無いですね、具体的に(アンケート用紙に) 書いてくるのは。(JR103) ●日本語ガイド、よく言われるのは日本語がすごい正確よりも、マナーとか、あとはその 人の性格?人柄?人となりっていうのがやっぱり結構要求されたと思うんです、シニアに 対しては。逆に日本語、ちょっとおかしい日本語しゃべってもコミュニケーションとれれ ばそれは逆に楽しいっていうぐらいで、正確な日本語を基本的に、あのー、求めるよりは やっぱりそのー、人となりとか人柄とか、あとは知識ですよね、自分のツアープロダクト に対する知識。(JH3) ●幼稚園か小学校 1 年生位の子にしゃべるようにしゃべるじゃないですか、例えばしゃべ るとするとすると、それで受け答えできたら、まあまあ大丈夫じゃないですかね、ツアー 出てても。(JY53) ●難しい単語、お客様に話すような単語を、ガイドに話してしまうと、もうガイドはちん ぷんかんぷんになってしまってるってことがありますよね。そのことばの違いはたぶん、 私達がわかってあげないといけない事だと思うんですね。(IW25) ●(日本語が)達者か達者じゃないかっていうのはどっちかって言えば、単語力があるとか そういうことですよね。だから単語力がちょっと劣ってても人柄が良ければやっぱりそっ ちのほうがいい。(JH45) * 理論的メモ <ガイドの高くない日本語能力に不安を感じるため、打ち合わせを英語で行う> ●たぶんゆっくり言ったらもちろん全然大丈夫やけれど、怖いんですよ。例えば「詳細」が 伝わらなかったらどうしようって。例えば今言った「詳細」ってことば、知ってる人なんて ほとんど居ないし、わかります? あたしも日本人だから知らず知らずにそういうことば使 うじゃないですか。でもたぶんこっちの人って「それどういう意味ですか?」って聞かない んですよ 99%。(何で聞かないんでしょうね?)そりゃあやっぱりプライドかな? …中略 … だから怖いですよね。だから全部英語です。(ベテランガイドの) Y とかでも英語です、ほ とんど私。普通にしゃべる時でも英語です。うーん、漏れって怖いじゃないですか。手配側、 「聞いてなかった」とか。だから自分のあれにも、責任にもかかってくるから英語です。  (JY33) *理論的メモにはデータの対極例や稿者の着想などを記述した

表 1 日本語ガイドに必要とされる知識や能力(稿者作成)  読む能力 ・予定表 4) やガイドブックの観光地名部分を読む能力が必要  書く能力 ・あまり必要ではない。書く場合は自分の名前とニックネーム程度 他の言語能力 ・わかりやすい発音・専門用語5) 、但し難しいことばを使用せず説明できる能力が重要 ・待遇表現のレベルは「です・ます体」で十分 ・方言を聞き取る能力 言語以外の 能力・知識 ・自分の国(タイ)についての知識を持つこと・日本とタイの違いを把握しておくこと        *記述内容は千葉・高田(

参照

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