第 650 回健康教育講座
「子宮がん」
∼診断・予防への新しいアプローチ∼
開催日 平成18年7月13日(木)
講 師 くずやクリニック院長
葛 谷 和 夫
主な婦人科がんには、子宮がん(頚癌、体癌)と卵巣癌があります。今回は子宮がんのう
ち、子宮頚癌を主としたお話です。
子宮頚癌は、その自然史(どうゆう変化が起き、どんな経過で癌が発生、進行していくか)
が最もよく分かっている癌です。即ち、正常な粘膜から異型上皮(前癌状態)を経て上皮内
癌が発生する事が、但し、この時点での病変は目に見えず、症状も出ません。その後更に進
行すると、やがて肉眼的にも確認できるようになり、不正出血などの症状を伴う浸潤癌に、
そして転移と癌が拡がり命に関わってきます。
万が一頚癌になっても癌で死なないためには、症状もでない上皮内癌(0 期)までに、遅
くとも微少浸潤癌(1a1 期)までに発見・治療することです。そうすれば、後遺症の残らない
治療法で命を落とさずに済みます。また子宮を摘出せずに温存(妊娠も可能)することも可
能です。
このためには、まずは健診(細胞診)を受けることです。全ては細胞診を受けることから
始まります。
健診の普及(まだまだ極めて不十分ではあるが)によって、頚癌の死亡率は確かに減少し
てきてはいます。しかし、最近は若年者での発生が増加してきています。子宮癌の発生には
性交渉で感染するヒトパピローマウィルス(HPV)が深く関与していることがはっきりして
きました。
即ち、誰にでも感染しうる HPV が子宮頚癌発生の原因ウイルスであること、大部分の HPV
感染は一過性で自然消滅するが、一部の人で感染が持続することがあり、その場合数年から
10 年の年月を経て癌が発生する事が明確になってきました。
従来の細胞診検査に加え、HPV の感染の有無、どんなタイプに感染しているかを調べるこ
とによって、将来癌に進行する危険が高いか否かが判るようになってきました。これによっ
て、より適切かつ早期での処置、治療の個別化も可能になります。
一方、感染防止にワクチンが研究・開発され、実際に有効性が確認されてきました。将来、
子宮頚癌は撲滅させることが出来るかも知れません。
子宮頚癌の早期発見・早期治療には、症状が無くても検診を受けることが最も大切で、唯
一の手段です。
愛知県医師会
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