• 検索結果がありません。

構成主義的アプローチによる小学校社会科防災学習の開発 : 第5学年単元「自然災害を防ぐ」を事例として

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "構成主義的アプローチによる小学校社会科防災学習の開発 : 第5学年単元「自然災害を防ぐ」を事例として"

Copied!
102
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

学 位 論 文

構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る小 学 校 社 会 科 防 災 学 習 の 開 発

一 第

5学

年 単 元 「自然 災 害 を 防 ぐ」 を事 例 と して一

2015年

兵 庫 教 育 大 学 大 学 院 学 校 教 育 研 究 科 教 育 内 容

0方

法 開発 専 攻 認 識 形 成 系 教 育 コー ス

M14132D

佐 藤 太 紀

(2)

目 序 章 本 研 究 の 目的 と方 法.………… ………1

1

研 究 の 動 機 と 目的 .…………・1

2

研 究 の 方 法 と論 文 の 構 成 。……… ………3 第

I章

社 会 科 授 業 に お け る構 成 主 義 的 ア プ ロー チ の性 格 と意 義.…………5

1

社 会 科 授 業 に お け る構 成 主 義 的 ア プ ロー チ の性 格.…………5

2

社 会 科 授 業 に お け る構 成 主 義 的 ア プ ロー チ の意 義.…………7 第 Ⅱ章 社 会 科 防 災 学 習 の授 業 構 成 .………… ………16

1

社 会 科 防 災 学 習 の 現 状 と課 題.…………。17

(1)社

会 科 防 災 学 習 の 現 状 .…………。17

(2)社

会 科 防 災 学 習 の 課 題 .…………・

27

2

求 め られ る社 会 科 防 災 学 習 の 視 点.…………

28

第 Ⅲ 章 構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 防 災 学 習 の授 業 モ デ ル 開 発.……………・……31

1

構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 授 業 モ デ ル 開発 の 視 点 .…………31

2

構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 授 業 モ デ ル 開 発 .…………

34

(1)単

元 「自然 災 害 を防 ぐ」 の授 業 モ デ ル 開 発 の 形 態 。………34

(2)授

業 モ デ ル 開 発 の成 果 と課 題 .…………

64

終 章 研 究 の 意 義 と課 題 .…………・

65

1

研 究 の 意 義 。………・

65

2

今 後 の課 題.…………・65 小 学 校 社 会 科 に お け る 防 災 学 習 の 先 行 事 例 分 析 集 .…………

67

参 考 資 料 及 び 参 考 文 献 .…………・

97

(3)

図表 目次

1

自然 災 害 の 発 生 原 理.…………・……28 図

2

防 災 ウ ェ ッブ シ ー トの 構 造 図 .…………。32 図

3

構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る 防 災 学 習 の構 造 図.…………33 図

4

5学

年 単 元 「 自然 災 害 を防 ぐ」 単 元 デ ザ イ ン .…………・34 図

5

問 題 把 握 に お け る構 成 主 義 的 な学 び 合 い の イ メー ジ 図.…………・

42

6

問 題 追 究 に お け る構 成 主 義 的 な学 び 合 い の イ メ ー ジ 図 ① 。………43 図

7

問 題 追 究 に お け る構 成 主 義 的 な学 び 合 い の イ メ ー ジ 図 ② .…………

44

8

問 題 追 究 に お け る構 成 主 義 的 な学 び 合 い の イ メ ー ジ 図 ③ .…………45 図

9

学 習 の 再 構 成 に お け る構 成 主 義 的 な 学 び 合 い の イ メ ー ジ 図.…………

46

1

構 成 主 義 の 立 場 .…………6

2

イ ン ター ネ ッ ト活 用 の 授 業 類 型 .………… 9

3

構 成 主 義 と客 観 主 義 の 学 習 理 論 .…………・10

4

「社 会 科 の 初 志 をつ らぬ く会 」 と 「概 念 探 求 型 の社 会 科 」 の比 較.……………10 表

5

開 に よ る社 会 科 授 業 構 成 の類 型 .…………・13 表

6

社 会 科 ウ ェ ッ ビ ン グ法 の 類 型 .…………・13

7

社 会 科 で 育 て る防 災 力 .…………18

8

小 学 校 社 会 科 にお け る防 災 の 扱 い 方 .…………19 表

9

社 会 科 防 災 学 習 の類 型 .…………・

20

10

先 行 実 践 と分 析 結 果 一 覧 .…………21 表

11

分 析 フ レー ム ワー ク .…………・

22

12

災 害 リス ク認 知 型 の 典 型 事 例 の 典 型 事 例.…………。

23

13

災 害 リス ク克 服 型 ① (コ ミュ ニ テ ィ重視 型

)の

典 型 事 例 .…………・

24

14

災 害 リス ク克 服 型 ② (社会 シ ス テ ム 重 視 型

)の

典 型 事 例 .…………。

25

15

災 害 リス ク発 信 型 の 典 型 事 例.……….…・………。

26

16

減 災 を考 え る と き の 4R.………

29

17

単 元 「自然 災 害 を防 ぐ」 に お け るル ー ブ リ ッ ク試 案 .…………・

47

(4)

序 章 本 研 究 の 目的 と方 法

1

研 究 の 動 機 と 目的 本 研 究 は,構成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る小 学 校 社 会 科 防 災 学 習 の 開発 を 目的 と して い る。 な ぜ

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ な の か

,な

,防

災 学 習 な の か

,こ

の 二 つ の 問 い に対 す る答 え を 以 下 に示 す こ とで

,研

究 の 動 機 を明 らか に して い きた い。 な ぜ

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ を用 い る の か。 そ れ は

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 授 業 が 「新 しい能 力1)」 を 育 成 す る こ とが で き るか らで あ る。知識 基盤 社 会 "の到 来 を 受 け

,我

が 国 のみ な らず

,国

際 的 に も 「

PISA型

学 力 」 や 「コ ン ピテ ン シ ー 」 の 育 成,「知 識 の 消 費 か ら生 産3)」 な どが 叫 ばれ て い る。 す な わ ち

,こ

れ ま で の 学 力 観 を 見 直 し,「新 しい 能 力 」 を養 うた め に

,教

育 を ど う変 え て い くべ き か が 問 わ れ て い る。 社 会 科 は

,こ

れ ま で 「暗 記 教 科 」 や 「知 識 の注 入 教 科 」 な どの レ ッテ ル を貼 られ て きた 。 末 政公 徳 は 「他 教 科 と比 べ 知 識 の 量 が とか く多 くな るた め

,社

会 科 は これ ま で しば しば 知 識 の 注入 教 科 と批 判 され て き た4)」 と社 会 科 が 暗 記 教 科 とい われ る原 因 を考 察 して い る。 ま た

,開

浩 和 は 戦 後 の 我 が 国 にお け るカ リキ ュ ラ ム の変 遷 か ら

,我

が 国 の教 育 は 系 統 主 義 と経 験 主 義 を 両端 と し

,振

り子 の よ うに揺 れ 動 い て き た こ とを分 析 して い る5)。 特 に経 験 主 義 に基 づ く社 会 科 に は,「 は い ま わ る社 会 科6)」 とぃ ぅ批 判 が 向 け られ

,数

値 化 され た 学 力 を低 下 させ る要 因 の 一 つ と され て き た。 つ ま り

,社

会 科 は 我 が 国 の カ リキ ュ ラ ム の変 遷 と と もに

,系

統 主 義 と経 験 主 義 の 間 を揺 れ 動 き

,系

統 主 義 に偏 れ ば,「暗 記 教 科 」 と批 判 され

,経

験 主 義 に偏 れ ば 「は い ま わ る」 と批 判 され て きた の で あ る。 で は,「新 しい 能 力 」の 育 成 が 求 め られ て い る今

,社

会 科 に は どの よ うな変 化 が 求 め られ て い る の だ ろ うか。 そ れ は

,現

代 社 会 に 山積 み とな っ て い る生 の (社会 的

)問

題 を教 材 と して 取 り上 げ

,個

々 の学 習 者 が持 つ 知 識

,経

験 を交 流 させ る こ とに よ っ て

,新

た な 知 識 を 創 造 し

,そ

れ らの 問題 を解 決 す るた め の方 策 を協働 的 に考 え る授 業 へ の転 換 で は な い だ ろ うか 。 この よ うに考 え る と

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 授 業 は 「新 しい 能 力 」 を 育 成 す るた め に有 効 で あ る とい うこ とが で き る。 次 に

,な

,防

災 学 習 な の か。 そ れ は

,(自

)災

害 大 国 日本 で 生 活 す る以 上

,自

然 災 害 に よ つ て 引 き起 こ され る諸 問題 に対 す る解 決 策 を考 え る必 要 が あ るか らで あ る。 先 述 して い る通 り

,本

研 究 で は

,社

会 科 に 求 め られ て い る変 化 を 「現 代 社 会 に 山積 み とな っ て い る 生 の (社会 的

)問

題 を教 材 と して 取 り上 げ

,個

々 の 学 習 者 が持 つ 知 識

,経

験 を 交 流 させ る こ とに よつ て

,新

た な知 識 を創 造 し

,そ

れ らの 問題 を解 決 す るた め の方 策 を協 働 的 に考 え る授 業 へ の転 換 」 と して い る。 自然 災 害 に よ っ て 引 き起 こ され る諸 問題 は

,ま

さ し く生 の 教 材 で あ り

,社

会 科 に よ っ て 扱 っ て い か な けれ ば な らな い 内容 で あ る。 我 が 国 の 防 災 教 育 は

,阪

神 ・ 淡 路 大 震 災 と東 日本 大 震 災 を契機 に そ の必 要 性 が 叫 ばれ て い る。 しか し

,そ

の位 置 づ け は 学校 教 育 全 体 で行 う安 全 教 育 の 一環 とな っ て お り

,ど

の 教

(5)

,領

域 が 主 導 して い くの か が 明 確 で あ る とは言 え な い 。ま た,「防 災 に 関 す る実 践 の 多 く は

,特

別 活 動 の 時 間 枠 を使 うもの が 多 く

,単

発 的 に な っ て い る7)」 とぃ ぅ指 摘 もあ る。 こ れ らの こ とか ら

,防

災 教 育 の 具 体 が 不 明 確 で あ り

,年

に数 回 の 避 難 訓 練 を行 うこ と

=防

災 教 育 とい う現 状 が 推 察 され る。 ま た

,各

教 科

,領

域 に お け る個 別 の 防 災 教 育 を 防 災 学 習 と す る な らば

,防

災 学 習 の 実 践 例 は 非 常 に少 な い 。 そ の 背 景 に は

,

自然 災 害 に よ つ て もた ら され る被 害 の残 酷 さ故

,安

易 に教 材 化 す るべ き で は な い とい う風 潮 が あ る と考 え られ る8)。 す な わ ち

,自

然 災 害 に 関 す る学 習 が 学 習 者 の トラ クマ に な る危 険 性 が あ る とい う指 摘 で あ る。で は

,教

科 と して 自然 災 害 を テ ー マ に した 学 習 は避 け る べ き か

,否

で あ る。もち ろん, 学 習 者 の 心 理 状 態 に は 細 心 の 注 意 を払 わ な けれ ば な らな い 。 しか し

,災

害 大 国 日本 と呼 ば れ る我 が 国 で 生 活 して い る以 上

,ど

こで も

,誰

で も

,自

然 災 害 に遭 う可 能 性 が あ り

,被

害 を 最 小 限 に と どめ るた め の 対 策 を考 え る こ とは 重 要 で あ る。 ま た

,そ

れ らは 学 校 教 育 の責 務 とい つ て も過 言 で は な い だ ろ う。 で は

,一

教 科 で あ る社 会 科 に は

,何

が で き る だ ろ うか。 自然 災 害 は 「自然 現 象 で あ る 災 害 因 と人 間 社 会 との 関係 性 で 発 生 す る も の9)」 で あ り

,被

害 の 大 小 は

,社

会 の 脆 弱 性 に よ つ て決 定 され る。 す な わ ち

,自

然 災 害 に よ る被 害 を 最 小 限 に と どめ る た め に は

,社

会 の脆 弱 性 を 明 らか に し

,そ

れ らを克 服

,も

し くは改 善 して い か な けれ ば な らな い。 この脆 弱性 の 顕 在 化 及 び,改善 の た め の 具 体 策 を考 え る学 習 は ,他 な らな る社 会 科 が 担 うべ きで あ る。 以 上 か ら

,本

研 究 で は

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ っ て 社 会 科 授 業 を構 想 し

,社

会 科 に お け る防 災 学 習 の授 業 モ デ ル を提 案 す る こ と を 目的 とす る。

(6)

2

研 究 の 方 法 と論 文 の 構 成 本 研 究 にお け る研 究 の 方 法 は

,以

下 に示 す 三 つ の方 法 に集 約 され る。 第 一 に ,構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 授 業 構 成 に 関 す る論 考 を 分 析 す る こ とに よ つ て

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 授 業 の性 格 と意 義 を 明 らか にす る。 第 二 に

,自

然 災 害 を教 材 と して 取 り上 げ た 社 会 授 業 実 践 事 例

(30事

)を

収 集

,分

析 す る こ とに よ つ て

,社

会 科 防 災 学 習 に お け る現 状 と課 題 を 明 らか に し

,求

め られ る社 会 科 防 災 学 習 の 視 点 を 明 らか にす る。 第 二 に

,小

学 校 第

5学

年 単 元 「 自然 災 害 を 防 ぐ」 を取 り上 げ

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ の 視 点 と

,社

会 科 に 求 め られ る防 災 学 習 の 視 点 を踏 ま え た 社 会 科 授 業 モ デ ル を 開 発 す る。 各 章 に お い て は

,以

下 の 点 に つ い て 論 じて い く。 第

I章

で は

,ま

,認

知 心 理 学 の研 究 成 果 を基 に,「構 成 主 義 的 ア プ ロー チ 」の性 格 を 明 確 に し

,本

研 究 に お け る 「構 成 主 義 的 ア プ ロー チ 」 の 定 義 を示 して い る。 次 に

,現

代 に求 め られ て い る 「新 しい 能 力 」 を視 点 に

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ の 有 用 性 を示 した 上 で

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 授 業 開 発 の 意 義 を論 じて い る。 第 Ⅱ章 で は

,社

会 科 防 災 学 習 に 関す る先 行 研 究

,及

び 先 行 実 践 の分 析 か ら

,社

会 科 防 災 学 習 の 現 状 と課 題 を 明 確 に した 上 で ,社 会 科 に 求 め られ る 防 災 学 習 の 視 点 を提 起 して い る。 第 Ⅲ 章 で は

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ の 視 点 と

,社

会 科 に 求 め られ る防 災 学 習 の 視 点 を基 に,「新 しい 能 力 」 を 育 成 す る た め の社 会 科 授 業 モ デ ル を 開発 して い る。 終 章 で は

,以

上 の 分 析 と授 業 モ デ ル 開発 か ら明 らか に つ た構 成 主義 的 ア プ ロー チ に よ る 社 会 科 防 災 学 習 の 特 質 を導 き 出 し

,今

後 の 課 題 を 考 察 し

,本

研 究 を締 め く く る。 【註】 1)松下 に よる と新 しい能力 とは 「基本 的 な認 知 能 力 (読み書 き計算

,基

本 的 な知識・ ス キ ル な ど

),高

次 の認 知 能 力 (問題解 決

,創

造性

,意

思決 定

,学

習 の仕 方 の学 習 な ど

),対

人 関係 能力 (コ ミュニ ケー シ ョン

,チ

ー ム ワー ク

,リ

ー ダー シ ップ な ど

),人

格 特性・ 態 度 (自 尊 心

,責

任感

,忍

耐力 な ど

)な

ど」 とされ て い る。(松下佳 代『

<新

しい能 力

>は

教 育 を変 えるか― 学 力・ リテ ラシー・ コ ン ピテ ンシーー 』 ミネル ヴァ書房

,2010年

。)

2)文

部科 学省 で は知識 基盤社 会 を以 下の よ うに説 明 してい る。

021世

紀 は 、新 しい 知 識・ 情 報・ 技 術 が 政 治 。経 済 。文 化 を は じめ社 会 の あ らゆ る領 域 で の 活 動 の 基 盤 と して 飛 躍 的 に 重 要 性 を 増 す 、 い わ ゆ る 「知 識 基 盤 社 会 」 の 時 代 で あ る と言 わ れ て い る。「知 識 基 盤 社 会 」 の 特 質 と して は 、 例 え ば 、

O知

識 に は 国 境 が な く、 グ ロー バ ル 化 が 一 層 進 む 、

0知

識 は 日進 月 歩 で あ り、競 争 と技 術 革 新 が 絶 え 間 な く生 ま れ る 、

C恥

識 の 進 展 は 旧来 の パ ラ ダ イ ム の 転 換 を伴 うこ とが 多 く、 幅 広 い 知 識 と柔 軟 な 思 考 力 に 基 づ く判 断 が 一 層 重 要 に な る 、

0畦

別 や 年 齢 を 問 わ ず 参 画 す る こ とが 促 進 され る、 な ど を挙 げ る こ とが で き

│ る。(http:″www.mext.go.jpノ b_menu/shingi/chukyoノ chukyo3/siryo/07102505ノ003′003.htm)│

3)藤

本 将 人 は現 行 の社 会 科 が 抱 え る 問題 点 と して 次 の

3点

を指 摘 して い る。 ① 毎 時

,授

(7)

正 しい 答 えが あ る とい う印 象 を子 ど もた ち に与 え て しま つ て い る

,②

子 ど もた ち は,問題 の 解 決 方 法 を身 に 付 け るの で は な く,ただ「正 解 」を記 憶 して 学 習 を終 了 す る傾 向 が あ る, ③ 子 ど もの 学 習 成 果 に 対 す る評 価 に つ い て は

,い

わ ゆ る暗 記 で解 け る社 会 科 テ ス トが「客 観 的 」 で あ る と思 わ れ て い る た め,「テ ス トの た め に教 え る」 こ とを暗 黙 の うち に教 師 に 強 い て しま つ て い る。(藤本 将 人 「今

,育

成 が 求 め られ る「学 力 」とは どの よ うな もの か 」 01路教 育研 究 所

,平

24年

度 冬 季 研 修 会 資 料

,2013年

,1月

よ り引用 。)

4)森

分 孝 治 。片 上 宗 二 編『 社 会 科 重 要 用 語

300の

基 礎 知 識 』 明 治 図 書

,2000年

,p.120.

5)開 浩 和『 小 学 校 新 教 育 課 程 社 会 科 の 指 導 計 画 作 成 と授 業 づ く り』明 治 図 書

,2009,p.13.

6)子 ど もの表 面 的 な活 動 に 目を奪 われ た低 次 の 学 習 を指 す 。(前掲 書

(4)p.37.)

7)寺

本 潔 「社 会 科 で 取 り組 む 防 災 教 育一 現 状 と課 題 ― 」『 社 会 科 教 育 』

No.641,9月

, 明 治 図 書

,2012.

8)三橋 浩 志 「社 会 科 教 育 にお け る防 災 教 育 研 究 の 動 向― 東 日本 大 震 災 後 の 学 会 誌 論 文 等 を 中 心 に一 」『 社 会 科 教 育 研 究 』

No.119,2013,100‐

110.

9)兵

庫 県 舞 子 高 等 学 校 環 境 防 災 科 の 諏 訪 清 二 は 「災 害 は 自然 環 境 と社 会 環 境 のせ め ぎ あ い の 結 果 発 生 す る」 と述 べ て い る。(諏訪 清 二『 高 校 生 、災 害 と向 き合 う一舞 子 高等 学校 環 境 防 災 科 の

10年

』 岩 波 ジ ュ ニ ア 新 書

,2011,p.71.

(8)

I章

社 会 科 授 業 に お け る 構 成 主 義 的 ア プ ロ ー チ の 性 格 と 意 義 本 論 文 で 用 い る 「構 成 主 義 的 ア プ ロー チ 」 は

,社

会 的 構 成 主 義 に も とづ く学 習 理 論 を社 会 科 授 業 に援 用 す る こ と意 味 して い る。こ こで は ,構 成 主 義 に 関 す る論 考 の 分 析 を通 して, 構 成 主 義 的 ア プ ロー チ の性 格 と意 義 に つ い て 明 らか に して い き た い 。

1

社 会 科 授 業 に お け る構 成 主 義 的 ア プ ロー チ の 性 格 構 成 主 義 (constructivism)と は

,人

間 の認 知 に 関 す る 立 場 の 一 つ で あ り

,次

の よ うに 定 義 され て い る。 す な わ ち

,人

間 の認 知 に お い て

,現

実 は

,客

観 的 に 存 在 す る の で は な く

,人

間 に よつ て 生 み 出 され た 世 界 像 (イ メー ジ

)と

して 構 成 され る とい う立 場 の認 識 論 で あ る。 構 成 主 義 は

,心

理 学 的構 成 主 義 (認知 的 構 成 主 義

)と

,社

会 的 構 成 主 義 の 二 つ に 大 別 さ れ

,ど

ち らの 立 場 に 立 つ か に よ つ て

,認

識 の構 成 過 程

,認

識 を構 成 す る主 体

,分

析 の 対 象 な どが 変 わ る。中村 恵 子

(2007)は

,心

理 学 的構 成 主義 と社 会 的構 成 主義 の 主 張 を比 較 し, 構 成 主 義 に お け る学 び の 理 論 を示 して い る1)。 中村 は 両 者 の 系 譜 を た ど り

,そ

の根 源 を西 欧 思 想 に お け るデ カ ル トの合 理 主 義

,ロ

ック の 経 験 主 義 と して い る。 ま た

,そ

こか ら派 生 した 構 成 主義 の認 識 論 を主 な研 究 者 の 主 張 を分 析 す る こ と を通 して

,意

味 構 成,「真 実 」の 概 念

,主

,自

己 と他 者

,学

,教

師 の 役 割

,分

析 の 単位 の 観 点 か ら

,両

者 の違 い につ い て 説 明 して い る (表 1)。 【構 成 主 義 (constructivism)】 「実 在 す る世 界 は

,あ

りの ま ま に 知 覚 され 客 観 的 な 確 か さ を も つ て 認 識 し得 る」 とい う客 観 主 義 的 な 世 界 の 認 識 の 仕 方 に 対 して

,構

成 主 義 は 「絶 対 的 客 観 性 を も つ 世 界 が 実 在 す る と して (第 一 種 現 実),誰 もそ れ を 知 覚 す る こ と は で き な い し,そ れ と して 存 在 を 証 す る こ と も で き な い 。我 々 が 認 知 す る世 界 と は世 界 像 で あ り

,意

味 づ け を した 真 の 実 在 に つ い て の イ メ ー ジ で あ る (第 二 種 現 実)」 とす る。 さ らに ,「 観 察 者 か ら独 立 した 現 実 とい う もの は 存 在 しな い 。 観 察 す る過 程 そ の も の が 観 察 され て い る事 柄 を 変 化 させ る。」 とい うよ うに

,観

察 され た も の の 中 に観 察 者 の 参 入 に よ る構 成 的 側 面 が あ る こ と を 強 調 す る。 構 成 主 義 的 認 識 論 に よ る と

,現

実 は 発 見 され る とい うよ り発 明 され る (ワ ツ ラ ウ ィ ッ ク

,(Watzlawick,P.))も

の な の で あ る。 日本認知科学会編『 認知学辞典』共立出版株 式会社

,2002年

,p.266よ り引用。

(9)

1

構 成 主 義 の 立 場 心 理 的 構 成 主 義 社 会 的 構 成 主 義 主 な 研 究 者 カ ン ト ピ ア ジ ェ グ レー サ ー フ ェ ル ド ヴ ィ ゴ ツ キ ー ガ ー ゲ ン 意 味 構 成 個 人 的

,主

観 的 に 構 成 され る 。 社 会 的 に 関 主 観 的 に 構 成 され る。 「 真 実 」の 概 念 実 行 可 能 性 に 置 き 換 え る。 外 的 な 基 準 は な い 。 言 語 的 な 人 工 物 とみ な す 。 無 意 味 で あ る。 主 体 個 人 的 な 主 体 主 体 の 絶 対 化 社 会 や 共 同 体 に お け る 主 体 。 自 己 と 他 者 原 則 的 に,自 己 と他 者 を 区 別 しな い。 個 人 的 な 主 体 は

,他

者 を 本 質 的 に 自分 の よ うに み な し

,他

者 の 考 え を 自 己 の 考 え と並 行 して 構 成 す る。 自 己 と他 者 の 関 係 は

,絶

え ず 構 成 され 再 構 成 され る。 学 び 主 体 の 環 境 に お け る混 乱 に 対 す る 同 化 と調 整 の 過 程 。 共 同 体 へ の 参 加 に 基 づ く言 語 に よ る 意 味 構 成 。 教 師 の 役 割 児 童 生 徒 の 心 的 構 成 の 過 程 に 混 乱 を 与 え る た め に 適 した 学 び の 環 境 を確 立 す る こ と。 児 童 生 徒 の 心 の 発 達 と構 成 に お け る個 人 的 な 児 童 生 徒 の 段 階 を み と る こ と。 児 童 生 徒 が 会 話 に参 加 し

,修

辞 的 な 技 術 を 獲 得 で き る よ うに す る こ と。 コ ー デ ィネ ー タ ー,支援 者,ア ドバ イ ザ ー, チ ュ ー タ ー,コー チ と して の 役 割 。 分 析 の 単 位 個 人 社 会 的 な 集 団

,あ

る い は 文 化 (参 考 文 献 よ り引 用 作 成) 【社 会 的 構 成 主 義 (social constructionism)】 知 識 は,社会 。文 化 的 文 脈 の 中 で そ の影 響 を受 け な が ら,直接 的 に は 他 者 と の 相 互 作 用 を 通 して 構 成 さ れ て い く こ と を 重 視 した 認 識 論 の 一 つ で あ る。 この 考 え 方 で は,認識 は 認 識 主 体 の 能 動 的 な 知 識 構 成 の 活 動 に よ つ て 構 成 され る とい う構 成 主 義 の 考 え 方 を 基 本 と して も ち な が ら も,これ に加 え て,他者 な い しは 社 会・ 文 化 的 諸 変 数 との 間 の 弁 証 法 的 相 互 作 用 を通 して 形 成 され る過 程 とい うもの を想 定 す る。そ こ で は,理解 や 知 識 形 成 は 共 同 体 や 社 会 の 中 で の 共 同 構 築 で あ る こ とや,共有 化・ 分 散 化 され た 形 で 存 在 す る こ とが 強 調 され る こ と に な る。 記 憶 とい う一 見 す る と個 人 の 認 識 活 動 に よ る と考 え られ る も の も,共同 想 起 の 結 果 で あ る こ とが ミ ドル トン (MiddletOn,D。)らの 研 究 に よ つ て 明 らか に な っ て い る。 日本認知科学会編『 認知学辞典』共立出版株式会社

,2002年

,p.369よ り引用。

(10)

本 研 究 は

,学

習 者 の 「新 しい 能 力2)」 を 育 成 す る た め に は

,社

会 的 交 流 に よ る 協 働 的 な 学 び が よ り効 果 的 で あ る とい う立 場 に 立 っ て お り

,学

習 者 の 社 会 的 交 流 に よ る 協 働 的 な 学 び を設 定 す る た め に は

,社

会 的 構 成 主 義 の 視 点 が 必 要 で あ る。 そ の た め

,社

会 的 構 成 主 義 の 視 点 を 社 会 科 授 業 に 援 用 す る こ と を「構 成 主 義 的 ア プ ロー チ 」と した 。久 保 田 賢 一(2000) は 社 会 的 構 成 主 義 の 考 え 方 を 学 習 理 論 に 取 り入 れ た 場 合 の 特 質 に つ い て

,次

の 三 点 に ま と め て い る3)。 ①学習 とは

,学

習者 自身が知識 を構 築 してい く過程 である。 ②知識 は状況 に依存 してい る。そ して

,お

かれてい る状況 の中で知識 を活用す ることに

:

意 味 が あ る。 l③学習 は

,共

同体のなかでの相互作用 (コ ミュニケー シ ョン

)を

通 じて行 われ る。

2

社 会 科 授 業 に お け る構 成 主 義 的 ア プ ロー チ の 意 義 構 成 主 義 的 ア プ ロー チ の 意 義 は

,学

習 者 の 主 体 性 の保 障 と

,知

識 を活 用 す る力 の 育成 に あ る。す な わ ち,「新 しい能 力 」の 育 成 に 資 す る社 会 科 授 業 が 可 能 に な る と言 え よ う。で は, 具 体 的 に どの よ うに 資 す る の か。「新 しい 能 力 」に お け る個 別 の観 点 か ら構 成 主 義 的 ア プ ロ ー チ の 有 用 性 を考 えて み た い。 松 下

(2010)に

よ る と 「新 しい能 力 」 は

,以

下 に示 す 四 点 か ら構 成 され て い る。 ① 基 本 的 な認知 能力.(読み書 き計算

,基

本 的 な知 識・ ス キル な ど) ② 高次 の認 知能力 (問題解 決

,創

造性

,意

思決 定

,学

習 の仕 方 の学習 な ど) ③ 対 人 関係 能 力 (コ ミュニ ケー シ ョン

,チ

ー ム ワー ク

,

リー ダー シ ップ な ど) ④ 人 格 特性 (自 尊 心

,責

任感

,忍

耐力 な ど) 構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 は

,上

に示 した 四 つ の 観 点 の うち

,②

高 次 の認 知 能 力 と

,③

対 人 関係 能 力 の 育 成 につ い て 特 に 資 す る こ とが で き る。 構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 は

,授

業 者 と学 習 者

,ま

た は

,学

習 者 同 士 に よ る協 働 的 な 問題 解 決 を 学 習 の 方 法 原 理 と して い る た め

,学

習 者 に は

,問

題 解 決 能 力 や

,創

造 的 な 学 習 活 動

,意

思 決 定 な ど, 高 次 の 認 知 能 力 が 求 め られ る。 ま た

,学

習 過 程 は

,学

習 者 の 社 会 的 交 流 を 前 提 と して い る た め

,コ

ミュ ニ ケ ー シ ョン能 力 な どの 対 人 関係 能 力 も求 め られ る。 す な わ ち

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 は

,そ

の授 業 構 成 の 特 性 か ら

,学

習 者 が 高 次 の認 知 能 力 と対 人 関 係 能 力 を獲 得 して い く過 程 と して組 織 され る の で あ る。 これ らの こ とか ら

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 は 「新 しい能 力 」 の 育成 に 資 す る社 会 科 とな り得 る と言 え よ う。 しか し

,こ

れ ま で

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 に は,「は い ま わ る社 会 科 」に陥 る 可 能 性 が 高 い とい う指 摘 が され て き た 。 す な わ ち

,上

に示 す 四つ の観 点 の うち の

,①

(11)

本 的 な 認 知 能 力 の 育 成 が 疎 か に な つ て い る とい う指 摘 で あ る。 よ つ て

,本

研 究 で は

,構

成 主 義 的 ア プ ロ ー チ の 有 用 性 を 生 か しつ つ

,学

習 者 の 基 礎 的 基 本 的 知 識 の 習 得 を保 障 す る こ と で,「学 習 者 の 主 体 性 」 と「社 会 認 識 体 制 の 質 」 の 両 方 を 保 障 す る 社 会 科 授 業 を 提 案 して い る。 次 に

,構

成 主 義 的 ア プ ロ ー チ に よ る社 会 科 の 意 義 に つ い て 述 べ て い き た い 。 我 が 国 に お い て は

,構

成 主 義 に よ る 学 習 理 論 は

,算

数 ・ 数 学 教 育 や 理 科 教 育 に お い て 先 駆 的 に 取 り入 れ られ て き た4)。 社 会 科 教 育 に お い て も

,構

成 主 義 を 視 点 と した 授 業 構 成 論 及 び 授 業 実 践 , ま た

,構

成 主 義 の 視 点 に 基 づ い た 社 会 科 授 業 実 践 の 再 検 討 (再 評 価

)な

ど の 先 行 研 究 が 報 告 され て い る 。 そ れ ら の 主 な も の と して は

,次

に 掲 げ る も の が あ る 。 ① 中村 哲「社会科授業 にお けるイ ンターネ ッ ト活用 の意義 と授業実践―構成 主義的 アプ ローチに基 づ く知 の構築 を意 図 して一 」全国社会科 教育学会『 社会科研 究』第52号

,2000年

. ② 白木一郎・ 寺尾健 夫 「構成 主義的 アプ ロー チ に基づ く社会科学習指導過 程 の研 究」『 福 井大学教育 実践研 究』第26号, 2001年, pp.193‐212. ③ 中澤静男 。田渕 五十男「構成 主義 に もとづ く学習理論への転換― 小学校社会科 にお ける授 業改革― 」 奈 良教育大学教育実践総合セ ンター研 究紀要Vol.13,2004年. ④小林 隆「『 社会科 の初志 をつ らぬ く会』実践 にお け る集 団思考 と知識構築― 構成 主義 の視点 か ら一 」 中 村

(2000)は ,当

,米

国 の 社 会 科 に お い て 注 目 され て い た 構 成 主 義 の 学 習 理 論 を 視 点 と して

,社

会 科 教 育 に お け る イ ン タ ー ネ ッ ト活 用 の 意 義 を 明 らか に した (先行 研 究 ①)。 中 村 に よ る と

,イ

ン タ ー ネ ッ ト活 用 の 意 義 は 「他 者 との 交 流 に 基 づ い て 学 習 者 が 主 体 的 に 知 の 構 築 を 図 る 学 習 を 保 障 で き る と こ ろ 」 に あ り

,そ

の 活 用 形 態 は 表

2に

示 す 三 つ に集 約 され る。 中 村 の 研 究 か ら得 られ る視 点 と して は

,構

成 主 義 的 ア プ ロ ー チ に よ る社 会 科 に お け る

,イ

ン タ ー ネ ッ ト活 用 の 有 用 性 が あ げ られ る。 構 成 主 義 的 ア プ ロ ー チ に よ る社 会 科 で は

,学

習 者 の 主 体 的 な 知 識 活 用 と

,他

者 との 社 会 的 交 流 が 学 習 の 中 心 とな る。 学 習 者 の 主 体 的 な 知 識 活 用 に つ い て は

,学

習 者 が 個 別 に 有 す る 学 習 ス タ イ ル が 尊 重 され な け れ ば な ら な い 。 イ ン タ ー ネ ッ トを 活 用 す る こ と に よ り

,情

報 の 収 集 や 発 信 に 多 様 性 が 生 ま れ

,各

学 習 者 個 人 の 学 習 ス タ イ ル を保 障 で き る範 囲 が 広 く な る。ま た,他者 と の 相 互 作 用 に 関 して, イ ン タ ー ネ ッ トは 身 近 な 他 者 を

,さ

ら に は 国 境 を越 え

,世

界 中 の 人 々 と交 流 す る こ と を 可 能 に す る。す な わ ち,「他 者 との 交 流 に 基 づ い て

,学

習 者 が 主 体 的 に 知 の 構 築 を 図 る 学 習 を 保 障 」 す る こ と を 可 能 に す る の で あ る 。

(12)

2

イ ンターネ ッ ト活用 の授業類型 類 型 条 件 ・ 課 題 ① 情報 の検索 。収集形 態 ・ コ ン ピ ュー タ 。情 報 ネ ッ トワー ク 等 を 活 用 す る 学 習 者 の リテ ラ シー 形 成 が 前 提 に な る。 ・ 質 の 高 い 社 会 科 教 育 用 の コ ンテ ン ツペ ー ジ の 開 発,社会 科 教 育 と して の 検 索 エ ン ジ ンの 開 発,社会 科 教 育 の 学 習 内 容 と学 習 方 法 に 関 連 す る 構 造 的 な リ ン ク集 の 開 発 が 課 題 ② 情報 の編集 。発信形態 コ ン ピ ュー タ の ネ ッ トワー ク機 能 とデ ス ク トップ パ ブ リ ッ シ ン グの機 能 を 関 連 づ け た 指 導,コ ン テ ン ツ・ デ ザ イ ン 。構 成 を 関 連 づ け た ウ ェ ブ ペ ー ジ の 開 発,作成 ウ ェ ブ ペ ー ジ を 評 価 す る 基 準 や 方 法 の 設 定 が 課 題 に な る。 ③情報 の作成 。交流形態 ・ 適 切 な 交 流 の 活 用 形 態 の 選 択

,学

習 コ ミ ュ ニ テ ィ と して の 交 流 形 成, 学 習 基 地 と して の シ ス テ ム化 され た ウ ェ ブ 教 材 の 開 発 が 課 題 に な る。 (中村 哲「社 会 科 教 育 に お け る イ ン ター ネ ッ ト活 用 の 意 義 と授 業 実 践 ― 構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に 基 づ く 知 の構 築 を意 図 して― 」全 国 社 会 科 教 育 学 会『 社 会 科 研 究 』第 52号 ,2000,pp.1‐ 10.よ り引 用 作 成) 自木・ 寺 尾

(2001)は

,我

が 国 にお い て

,構

成 主 義 の 考 え方 を先 駆 的 に 取 り入 れ て き た 算 数 ・ 数 学 教 育 の授 業 構 成 の 原 理 を 参 考 に

,社

会 科 にお け る学 習 指 導 過 程 とそ の 条 件 を 明 らか に して い る (先行 研 究 ②)。 ま た

,質

問 紙 法 に よ る実 証 的 調 査 か ら

,構

成 主 義 的 な学 習 に お け る学 習 者 像 (活動 的

,社

交 的

,創

造 的

)や

教 師 像 (促進 者

,協

力 者

)も

明 らか に し て い る。 自木・ 寺 尾 に よ る研 究 か ら得 られ る視 点 と して は

,社

会 科 授 業 を構 想 す る場 合 の 具 体 的 な 手 立 て が あ げ られ る。 自木・ 寺 尾 が 開 発 した構 成 主 義 に基 づ く授 業 モ デ ル の 単 元 構 想 は

,意

識 化 → 操 作 化 → (媒介 化

)→

反 省 化 → 協 定 化 の 学 習 過 程 に よ つ て組 織 され て お り

,実

践 後 の 授 業 分 析 か ら 「学 習 者 の既 有 の 理 解 を 変 容

,発

展 させ る上 で 有 効 で あ る」 こ とが示 され て い る。 す な わ ち

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 授 業 を構 想 す る場 合, そ の指 導 過 程 は

,上

に示 した 四 つ な い しは五 つ の 段 階 に よ つ て 組 織 す る こ とが 望 ま しい と 百 え る。 中澤 。田渕

(2004),と

小 林

(2013)は

構 成 主 義 の視 点 を用 い て

,成

立 期 の社 会 科

,い

わ ゆ る初 期 社 会 科 の 実 践 を 再 評 価 して い る (先行 研 究 ③

,④

)。 両 者 の研 究 成 果 は 表

4,表

5(次

)に

集 約 され る。 両 氏 の研 究 か ら得 られ る視 点 と して は

,初

期 社 会 科 に お け る実 践 は構 成 主 義 的 な側 面 が 強 く

,そ

れ らは 系 統 主 義 に 基 づ く社 会 科 授 業 と対 立 す る授 業 構 成 論 と して捉 え られ て き た とい うこ とで あ る。 す な わ ち

,初

期 社 会 科 を含 む 経 験 主 義 的 な社 会 科 に 対 す る 「は い ま わ る」 とい う批 判 が構 成 主 義 を基 に した 社 会 科 に も 同様 に 向 け られ る 可能 性 が あ る とい うこ とで あ る。 確 か に

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 は 系 統 主 義 的 な 知 識 注 入 型 の社 会 科 を批 判 す る。 しか し

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ か ら社 会 科 授 業 を 構 成 す る意 図 を 「学 習 者 の 協 働 的 な 学 び を促 進 す る た め で あ る」 と した場 合

,系

統 主 義 と 経 験 主 義 の一 方 を支 持 す るた め の 主 張 で は な くな る。 よ つ て

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科

=初

期 社 会 科 とい う見 方 は構 成 主 義 の 一 面 性 を強 調 した もの に過 ぎ な い と言 え よ う。そ こで,本研 究 で は ,系 統 主義 と経 験 主 義 を 二 項 対 立 の概 念 と して捉 え る こ とをせ ず, 協 働 的 な 学 び に よ つ て

,学

習 者 に形 成 され る社 会 認 識 の 系 統 性 や 科 学 性 を 重 視 す る。

(13)

3

構 成 主 義 と客 観 主 義 の 学 習 理 論 構 成 主 義 客 観 主 義 知 識 知識 は,子ど もの 生 活 的 概 念 に よ つ て 個 性 的 に構 成 され る。 絶 対 的 な真 理 ・ 知 識 が厳 然 と存 在 す る。 子 ども 対 象 に能 動 的 に か か わ る実 態 。 知 識 を 受 動 的 に 受 容 す る 主 体 。 授 業 綸 子 ど もが どの よ うに 知 識 を構 成 して い くか, そ の 環 境 の あ り方 に 関 心 を もつ 。 知 識 を 分 析 し,分割 し,構造 化 し,効率 的 に 伝 達 す る こ と に 関 心 を もつ 。 授 業 形 態 ァ ィ ス カ ッ シ ョ ン が 中 心 一 斉 授 業 学 習 形 態 協 同 学 習 個 別 学 習 教 師 共 同研 究 者・ 支 援 者 。学 習 環 境 コー デ ィネ ー タ ー 指 導 者 学 級 集 団 共 同 研 究 者 ・ 協 力 者 孤 立 した 個 人 の 集 ま り 辞 領 自 己評 価 に よ る メ タ認 知 力 形 成

,

協 同 学 習 で の 相 互 評 価 評 価 規 準 に基 づ く外 的 評 価 (先 行 研 究③ よ り引 用 作 成) 表

4

「社 会 科 の初 志 をつ らぬ く会 」 と 「概 念 探 求 型 の社 会 科 」 の比 較 社 会 科 の 初 志 を つ ら ぬ く会 概 念 探 求 型 社 会 科 関 心 授 業 の 事 実 教 材 と知 識 知 識 の捉 え方 社 会 認 識 の 方 法 問 い の 主 体 思 考 の 論 理 認 識 の 深 ま り① 認 識 の 深 ま り② 評 価 社 会 認 識 形 成 の 論 理 子 ど もが 何 を ど う学 ん だ か 。 示 され る の は 「授 業 実 践 記 録 」 が 主 子 ど も の 教 材 解 釈 と して の 知 識 の 構 造 化 知 識 は構 成 主 義 (間 主 観)的で あ る。 子 ど も の 多 様 な解 釈 や 認 識 を議 論 さ せ る。 教 師 も子 ど も も 問 い

,答

え る。 子 ど も の 論 理 に よ る思 考 「は い ま わ る」 可 能 性 が あ る。 教 師 の 想 像 を こ え た 認 識 形 成 の 可 能 空 生 。 評価 の指標 を設定 しに くい。 ■威主義 的社会■繊 ・ 教 師 が 何 を ど う教 え る か 。 。示 され るの は 「学 習 指 導 案 」 が 主 ・ 教 師 の 教 材 研 究 と して の 知 識 の 構 造 化 ・ 知 識 は 客 観 的 で あ る。 ・ 教 師 の 解 釈 した 認 識 に子 ど も を到 達 させ る。 ・ 教 師 が 問 い

,子

ど もが 答 え る。 ・ 教 師 の 論 理 に よ る 思 考 。「は い ま わ る」 可 能 性 は少 な い 。 ・ 教 師 の 想 定 内 の 認 識 形 成 に 留 ま る可 能 性 。 ・ 評 価 の 指 標 を設 定 しや す い 。 科 学 的 社 会 認 識 (先行 研 究 ④ よ り引 用 作 成)

(14)

3,表

4か

ら も 分 か る よ うに

,こ

れ ま で 構 成 主 義 的 ア プ ロ ー チ に よ る 社 会 科 で は 学 習 者 の 「主 体 性 」 が 重 視 され

,そ

れ と対 立 す る 社 会 科 で は 学 習 者 の 「社 会 認 識 体 制 の 質 」 の 保 障 が 重 視 され て い る とい うに よ うに 提 え られ て き た 。 す な わ ち

,学

習 者 の 「主 体 性 」 と 「社 会 認 識 体 制 の 質 」 は トレー ドオ フ の 関 係 と して 捉 え られ て き た の で あ る。 従 つ て

,構

成 主 義 的 ア プ ロ ー チ に よ る社 会 科 で

,学

習 者 の 「社 会 認 識 体 制 の 質 」 を 保 障 す る こ とが で き れ ば

,こ

れ ま で

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 に 向 け られ て き た 批 判 に 答 え る こ と が で き る。 以 下 に 示 す 二 つ の 実 践 は

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ つ て 「 主 体 性 」 と 「社 会 認 識 体 制 の 質 」 の 保 障 を 目指 した 社 会 科 授 業 実 践 で あ る 。 ⑤ 大庭潤也 「子 どもの 「わか り方」を踏 まえた小学校社会科授業 モデル の構築一 社会 的構成 主義 に基 づ く単元開発 を通 して一 」

,社

会科研 究

,第

68号,2008,pp.41‐ 50. ⑥ 開浩和『 情報読解力形成 に関わる社会科授 業論構成』

,風

間書房

,2009年

. 大 庭 (⑤

,2008)は

,学

習 者 の 主 体 性 を保 障 す る 目的 で 社 会 的 構 成 主 義 の視 点 を組 み 込 ん だ 授 業 モ デ ル 「『 わ さ― る』の ち ょ うせ ん 」を 開発 して い る。学 習 過 程 は「出会 い 」→ 「土 台 づ く り」 → 「交 流 」 → 「表 現 」 の

4段

階 で あ る。 先 に述 べ た よ うに

,構

成 主 義 的 ア プ ロ ー チ に よ る社 会 科 授 業 は

,経

験 主 義 社 会 科 と同 一 視 され,「は い ま わ る社 会 科 」に 陥 りや す い とい う指 摘 を受 け る場 合 が 多 い 。 大 庭 も同様 に,「 (学 習 者 の 思 考 の領 域 固 有 性 や 知 識 の 領 域 固 有 性 に 由 来 す る

)は

い ま わ る社 会 科 」 に陥 る可 能 性 につ い て 指 摘 して お り

,そ

の 問 題 を解 決 す る た め の 手 立 て と して ,「 土 台 作 り」 の段 階 を組 み 込 ん で い る。「土 台 作 り」 に つ い て

,大

庭 は 次 の よ うに説 明 して い る。 子 ど も が よ く 買 い 物 を す る シ ョ ッ ピ ン グ セ ン タ ー で あ る 「わ さ― る マ ー ト」 の 探 求 を行 う。 こ こ で

,一

般 的 に 取 り上 げ られ る 「教 育 内 容 の 論 理 」 で 構 成 した 地 域 の 小 売 店 に 携 わ る 人 々 の 1努力 や 工 夫 を理 解 す る学 習 を行 う。 (先行研 究⑤ より引用) つ ま り

,大

庭 は

,構

成 主 義 的 な 学 び (交流

)を

行 う前 段 階 に

,教

科 内 容 の論 理 に 沿 つ た 授 業者 主 導 の (sequentialな

)学

び を組 み 込 み

,学

習 内 容 に 関 す る基 礎 的 基 本 的 な 知 識 を 定 着 させ ,「 交 流 」 を よ り質 の 高 い もの に す る こ とを意 図 して い る の で あ る。 自身 の研 究 に つ い て

,大

庭 は 次 の 二 つ の 成 果 を示 して い る。 ① 「社 会 認 識 の た め の社 会 的 構 成 主 義 に基 づ く小 学 校 社 会 科 モ デ ル で 授 業 開 発 を行 え ば

,子

ど もの社 会 認 識 形 成 を深 め る上 で 有 効 な 手 立 て に な る」

,②

「認 知 的 不 協 和

,領

域 固 有 性

,相

互 作 用 に よ る知 の再 構 成 とい う認 識 形 成 の 手 順 を踏 ん だ 学 習 活 動 を行 うこ とに よ り

,子

ど もの 知 的 欲 求 と思考 の 流 れ に 沿 つた 授 業 が 展 開 され,子 ど もの 思 考 を途 切 れ させ ず に 主 体 的 に学 習 が進 め られ る」 の 二つ で あ る。 これ らの成 果 を裏 付 け る根 拠 と して は

,学

習 者 の 記 述 内 容 の 変 容 が 示 され て お り

,そ

れ は 以 下 の よ うに記 述 され て い る。

(15)

○ 第 2段階 終 了 後 は 学 習 前 と く らべ て

,調

べ た い 問 題 の 量 が 増 加 し

,質

も高 ま っ て い る。 ○ 第 2段階 終 了 後 で は 子 ど も た ち は 「品 揃 え 」,「 価 格 」,「 サ ー ビ ス 」,「 施 設 」 を 視 点 と し

,小

売 店 を 提 え る よ うに な っ て い る。た だ し,ほ とん どの 子 ど もが 小 売 店 を 消 費 者 の 立 場 か ら認 識 し て い る。 ○ 第 3段階 終 了 後 及 び 授 業 終 了 後 で は ,「 価 格 」,「 品 質 」,「 品 揃 え 」 な どの 視 点 で 消 費 者 の 立 場 か ら小 売 店 を認 識 して い る一 方 で

,販

売 者 の 立 場 か ら も小 売 店 を認 識 して い る。 ○ さ ら に,高齢 者 や 生 産 者 の 立 場 や 地 域 の 一 員 と して の 立 場 か ら,或い は,環境 や 流 通 の し く と関 連 させ て 小 売 店 を認 識 して い る 点 に も注 目で き る。 (先 行 実践 ⑤ よ り引 用) 以 上 の 大 庭 実 践 に つ い て

,次

の 点 を指 摘 す る こ とが で き る。 まず

,単

元 計 画 をみ るか ぎ り

,学

習 者 は 「わ さ― る」 が 建 て られ る ま で の住 民 の 苦 労 や 努 力 を学 ぶ に と どま っ て い る とい う解 釈 も可 能 で あ る。 授 業 モ デ ル を通 して 学 習 者 は どの よ うな概 念 的 知識 を構 築 (獲 得

)す

る の か

,ま

,学

習 者 に形 成 され る社 会 認 識 体 制 は ど こ ま で 科 学 的 な も の に な つ て い るか

,と

い う点 が 明確 に な つ て い な い。 次 に

,分

析 結 果 に 見 られ る子 ど もの 認 識 の 変 容 と

,構

成 主 義 的 な 学 び (「交 流 」

)の

関 連 付 け が 不 十 分 で あ る。 す な わ ち

,学

習 者 に 形 成 さ れ た社 会 科 認 識 は構 成 主 義 的 な学 び に 起 因 す る もの な の か,「教 科 内 容 の 論 理 」に よ る学 習 の み で も

,こ

の よ うに 変容 す る可 能 性 は な い の か

,

とい う点 で あ る。 これ らの こ とか ら, 学 習 過 程 に 「教 科 内容 の論 理 」 に よ る学 習 を組 み 込 ん だ だ け で は

,学

習 者 の 主 体 性 と社 会 認 識 体 制 の 質 が保 障 され る とは言 い 難 い 。 しか し

,学

習 者 の 「主 体 性 」 と 「社 会 認 識 体 制 の 質 」 の 両 立 を意 図 した 大 庭 実 践 は 、構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 の 新 た な展 開 で あ る と と も に

,学

習 者 に 「新 しい 能 力 」 を 育 成 す る社 会 科 授 業 を示 唆 す る もの で あ る。 次 に

,開

(⑥

,2009)の

研 究 と実 践 か ら得 られ る視 点 に つ い て 以 下 に 示 して い く。 開 は 社 会 科 授 業 の 三 要 素

5)(教

,教

材 ・ 教 具

,学

習 者

)の

うち の 教 材・ 教 具 に 着 目 し

,教

材 を 「社 会 的 交 流 の た め の組 織 体 (教具 。資 料・ 発 問・ 対 話 な ど)」 と定 義 した 上 で

,教

師 か ら見 た 教 材 (教材 構 成

)と

,学

習 者 か らみ た 教 材 (教材 活 用

)を

構 成 主 義 の視 点 を基 に類 型 化 して い る (表 5)。 ま た

,研

究 の成 果 と して は

,①

今 ま で の 典 型 的 な社 会 科 授 業 実 践 事 例 につ い て

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ の 視 点 か ら社 会 科 授 業 構 成 を捉 え直 し

,新

た な枠 組 み に よ つ て

,類

型 化 し

,授

業 を説 明 して い る

,②

構 成 主 義 的 ア プ ロー チ を視 点 と して

,学

習 者 の認 識 内容 の 質 的 変 容 と主 体 的 関 与 を保 障 す るた め に

,学

習 者 の 理 論 形 成 の た め の 方 法 と して

,社

会 科 ウェ ッ ビン グ法 を創 出 して い る

,③

社 会 科 と関 連 づ け た総 合 的 学 習 を視 野 に 入 れ て ,社 会 科 か ら発 展 させ た カ リキ ュ ラ ム論 に展 開 し,モデ ル 授 業 開発 を行 つて い る,

(16)

社 会 科 授 業 構 成 の 類 型 典 型 的 な 事 例

認 知 的 所 与 型 教 材 活 用 社 会 科 教 科 書 に 対 応 した 教 師 用 指 導 書 に み られ る授 業 認 知 的 促 進 型 教 材 活 用 社 会 科 ネ タ 教 材 開 発 に み られ る授 業

認 知 的 構 築 型 教 材 活 用 社 会 科 の 初 志 を つ らぬ く会 に 代 表 され る 問 題 解 決 的 学 習 型 社 会 科 協 働 的 所 与 型 教 材 活 用

Historic Landmarks Foundation of lndianaの

教 育 プ ロ グ ラ ム 協 働 的 促 進 型 教 材 活 用 イ ン タ ー ネ ッ トを活 用 した 社 会 科 授 業 協 働 的 構 築 型 教 材 活 用 社 会 科 ウ ェ ッ ビ ン グ 法 に よ る社 会 科 授 業 (参考 文 献 よ り筆 者 作 成) 表

5

開 に よ る社 会 科 授 業 構 成 の類 型 開 の研 究 か ら得 られ る視 点 と して は

,協

働 的 構 築 型 教 材 活 用 に お け る社 会 科 ウ ェ ッ ビン グ法 の 有 効 性 で あ る。 開 が 開発 した 社 会 科 ウ ェ ッ ビ ン グ法 は イ メー ジ抽 出型

,学

習 問題 発 見 。分 析 型

,事

実 発 見・ 分 析 型

,事

実 比 較 ・ 関 連 型

,学

習 整 理 。発 展 型 の 五 つ の類 型 に分 け られ

,学

習 段 階 に合 わせ て 用 い る こ とが 可 能 で あ る6)。 こ の 社 会 科 ウェ ッ ビ ン グ法 の特 質 は

,学

習 者 の社 会 認 識 の 過 程 を 可 視 化 す る だ け で な く

,学

習 者 の 社 会 認 識 を支 え る役 割 も果 た して い る とい う点 に あ る。 協 働 的 構 築 型 教 材 活 用 を社 会 科 授 業 構 成 の 原 理 と し

,社

会 科 ウ ェ ッ ビ ン グ法 を活 用 す る こ とで

,学

習 者 に よ る協 働 的 問 題 解 決 が促 進 され

,よ

り構 成 主 義 的 な 学 び が 展 開 され る こ とが 予 想 され る。 表

6

社 会 科 ウ ェ ッ ビ ン グ法 の 類 型 類 型 特 質 (活 用 の 方 法) イ メー ジ抽 出型 単元 を シ ン ボ ライ ズす るイ ラ ス トや 写 真

,用

語 や 言 葉 に よ つ て

,子

ど もの既 有 の 知 識 や 経 験 を 引 き出す 目的 で 活 用 す る。 学 習 問 題 発 見・分 析 型 イ ラ ス トや 写 真 な ど の 資 料 か ら

,学

習 者 の 「問 い 」 を 引 き 出 し

,組

織 化 す る 目的 で 活 用 す る。 事 実 発 見・ 分 析 型 資 料 か ら読 み 取 れ る事 実・ 事 象 を ミク ロ的 に 分 析 して い く 中 で

,新

た な社 会 事 象 と して 対 象 化 す る 目的 で活 用 す る。 事 実 比 較 ・ 関 連 型 二 つ 以 上 の 事 実 や 事 象

,図

表 な どを 比 較 して

,相

違 点 や 共 通 点 な ど か ら個 別 的 な認 識 内容 を関連 づ けて い く 目的 で 活 用 す る。 学 習 整 理 。発 展 型 学習 の成 果 を活 か して

,学

習 を整理 した り

,学

習 内容 を再構 成 した りす る こ とを 目的 と して活 用 す る。 (参 考 丈 献 よ り筆 者 作 成)

(17)

上 に示 して き た 先 行 研 究及 び 先 行 実 践 か ら

,社

会 科 教 育 に お け る構 成 主 義 的 ア プ ロー チ の 現 状 と今 後 の展 開 に つ い て

,次

の よ うに整 理 す る こ とが で き るだ ろ う。 これ ま で構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 は

,客

観 主 義 や 科 学 主 義

,概

念 探 求 型 社 会 科 と対 立 す る学 習 理 論 で あ る と捉 え られ て お り,そ の性 格 は成 立 期 の社 会 科(初期 社 会 科) や ゆ と り教 育

,個

性 重 視 が掲 げ られ た

1980年

代 (第

2転

換 期 7))の 社 会 科 授 業 実 践 にみ ら れ る とい う説 明 が され て き た。 こ の 対 立 は

,こ

れ ま で 経 験 主 義 と系 統 主 義 を 両極 と して振 り子 の よ うに 揺 れ 動 い て き た 日本 の 教 育 界 全 体 の 流 れ8)と 符 合 す る。 す な わ ち

,学

習 者 の 「主 体 性 」 と「社 会 認 識 体 制 の 質 (知識 の 科 学 性)」 は トレー ドオ フ の 関係 と して捉 え られ て きた と言 え よ う。 両 者 の 関係 につ い て

,誤

解 を恐 れ ず に 言 うな れ ば

,学

習 者 が 到 達 す べ き社 会 認 識 の レベ ル が

10で

あ る と した ら

,学

習 者 の 経 験 (既知

)と

社 会 的 交 流 に よ っ て 0 か ら

10ま

で 育成 しよ うとす るの が 構 成 主 義 的 (経験 主 義

)で

あ り

,0か

10ま

で 教 師 側 が 教授

,伝

達 して い くの が 客 観 主 義 や 科 学 主 義 (系統 主 義

)の

立 場 で あ る と言 え よ う。 所 与 され た 知 識 の 量 と再 現 性 が 重 視 され る学 力 観 にお い て は 客 観 主 義 や 科 学 主 義 の 社 会 科 が 求 め られ る。 構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ る社 会 科 や 経 験 主 義 的 社 会 科 で は社 会 認 識 の レベ ル が

10必

要 で あ る の に

,学

習 者 の既 知 や 交 流 の み で は

,10ま

で 到 達 す る こ とが で きず

,低

次 な社 会 認 識 に 収 束 す る場 合 が 多 か っ た 。 よ つ て

,従

来 の構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に お け る 問題 点 は 学 習 者 に 形 成 され る社 会 認 識 の

Oか

ら1ま で も

,学

習 者 の 経 験 (既知

)や

社 会 的 交 流 に よ つ て 育 成 しよ うと して きた こ とに あ る と言 え よ う。

0か

1は

未 知 か ら既 知 を指 して お り

,学

習 者 自 らの 経 験 や 知 識 だ け で は

,そ

の 壁 を乗 り き る こ とが で き な い 。 ま た

,1を

創 出 す る こ とが 学 習 活 動 の 中 心 に な る こ とに よ つ て, 「はい ま わ る」 可 能 性 は高 くな る とも言 え るだ ろ う。 これ らの こ とか ら

,構

成 主 義 的 ア プ ロー チ に よ つ て 学 習 者 の 社 会 認 識 の レベ ル を

1か

10に

す る こ とを学 習 活 動 の 中心 と し

,0か

1に

つ い て は

,授

業 者 の 積 極 的 関 与 よ つ て, 「はい わ ま る」 可能 性 の低 い 学 習 計 画 を提 案 す る こ とが で きれ ば

,学

習 者 の 「主 体 性 」 と 「社 会 認 識 体 制 の質 」 の両 者 を保 障 した 社 会 科 授 業 が 可能 に な り

,協

働 的 な 問 題 解 決 を 中 心 と した社 会 科 授 業 を展 開す る こ とで,「新 しい 能 力 」を育 成 す る こ とが で き る と言 え よ う。

(18)

【言主】 1)中村恵子 「構成主義 にお ける学びの理論― 心理学的構成 主義 と社会的構成主義 を比較 し て一 」『 新潟青陵大学紀要』第

7号 ,2007,pp.167‐

176. 2)松 下佳代『

<新

しい能力

>は

教 育 を変 えるか一 学力・ リテ ラシー・ コン ピテ ンシーー 』 ミネル ヴァ書房

,2010年

. 3)久 保 田賢一『 構成主義パ ラダイム と学習環境デザイン』関西大学出版部

,2000年

, pp.28‐29. 4)自 木 一 郎 ・ 寺 尾 健 夫 「構 成 主 義 的 ア プ ロー チ に 基 づ く社 会 科 学 習 指 導 過 程 の 研 究 」『 福 井 大 学 教 育 実 践 研 究 』 第

26号

,2001年

,pp.193‐212. 5)中 村哲『社会科授業実践の規則性 に関す る研究―授業実践か らの教育改革―』清水書院, 1991ど■。 6)開浩 和『 ウェ ッ ビン グ法― 子 ど も と創 出す る教 材 研 究 法― 』 明 治 図 書

,2002.

7)原

田智 仁 編『 社 会 科 教 育 の フ ロ ンテ ィア生 きぬ く知 恵 を育 む― 』保 育 出版 社

,p.33よ

り。

8)前

(3)よ

り。

(19)

第 Ⅱ章 社 会 科 防 災 学 習 の 授 業 構 成 東 日本 大 震 災 を受 け

,文

部 科 学 省 は 防 災 教 育 の 充 実 を 要 請 し

,学

校 教 育 に お け る防 災 教 育 の 重 要 性 が 高 ま つ て い る1)。 文 部 科 学 省 は 防 災 教 育 の ね らい と して 以 下 の 三 点 を示 して い る。 文 部 科 学 省 は

,

この ね らい を軸 に 学 習 者 の発 達 の段 階 に 合 わ せ た 防 災 教 育 の体 系 化 を 目 指 し

,日

標 設 定 及 び 指 導 内 容 の整 理 を行 っ て い る。 ま た

,岩

手 県 釜 石 市 の 防 災 教 育 に尽 力 し

,東

日本 大 震 災 にお い て

,驚

異 的 な 生 存 率 を 実 現 した 片 田敏 孝 は

,こ

れ ま で の 防 災 教 育 は 「脅 しの 防 災 教 育 」 と 「知 識 の 防 災教 育 」 に陥 つ て お り

,実

際 の 避 難 行 動 に つ な が らな い と指 摘 して い る2)。 そ の 上 で

,片

田 は 子 ど もた ち 主 体 的 な 姿 勢 を 醸 成 す る 「姿 勢 の 防 災 教 育 」 求 め られ る と述 べ て い る。 以 上 か ら

,我

が 国 の 教 育 に は

,こ

れ ま で の 防 災 教 育 が 抱 え て い た 課 題 を克 服 した 新 た な な 防 災 教 育 が 求 め られ て い る と言 え よ う。 で は

,こ

の 要 請 に対 し

,社

会 科 は

,ど

の よ うに 応 え る こ とが で き るだ ろ うか 。 これ が

,本

章 にお け る問 い で あ る。 文 部 科 学 省 が 示 した ね ら い か ら も分 か る よ うに

,防

災 教 育 は

,あ

く ま で も 「学 校 の 教 育 活 動 全 体 」 と して の扱 い で あ り

,特

定 の 教 科 及 び 教 育 活 動 に 限 定 され た も の で は な い 。 この こ とか ら

,一

教 科 で あ る 社 会 科 で 「防 災 教 育 」 を行 うこ とは 不 可能 で あ る。 よ つ て

,本

研 究 に お い て は

,防

災 を 取 り上 げ た 社 会 科 授 業 を 「防 災 学 習3)」 と定 義 す る。 そ の 上 で

,社

会 科 防 災 学 習 の 現 状 と 課 題 に つ い て 明 らか に し

,社

会 科 に 求 め られ る防 災 学 習 の 授 業 構 成 を示 す こ とを本 章 の 目 的 とす る。 ア 自然 災 害 等 の 現 状

,原

因 及 び 減 災 等 に つ い て の 理 解 を 深 め

,現

在 お よ び 将 来 に 直 面 す る 災 害 に 対 し て

,的

確 な 思 考 。判 断 に 基 づ く適 切 な 意 志 決 定 や 行 動 選 択 が で き る よ うに す る。 イ 地 震

,台

風 の 発 生 な ど に 伴 う危 険 を 理 解 。予 測 し

,自

ら の 安 全 を 確 保 す る た め の 行 動 が で き る よ うに す る と と も に

,

日常 的 な 備 え が で き る よ うに す る。 ウ 自他 の 生 命 を 尊 重 し

,安

全 で 安 心 な 社 会 づ く りの 重 要 性 を 認 識 して

,学

,家

庭 及 び 地 域 社 会 の 安 全 活 動 に 進 ん で 参 加 ・ 協 力 し

,貢

献 で き る よ うに す る。

(20)

1

社 会 科 防 災 学 習 の 現 状 と 課 題

(1)社

会 科 防 災 学 習 の 現 状 社 会 科 防 災 学 習 の 現 状 を 分 析 し て い る 論 考 に は

,以

下 に 掲 げ る も の が あ げ られ る 。 ① 三橋 浩 志「社 会 科 教 育 にお け る防 災 教 育研 究 の 動 向一 東 日本 大 震 災後 の学 会 誌 論 文 等 を 中心 に一 」『 社 会 科 教 育研 究』No.119,2013,pp.100‐ 110. ② 山 口仁 久 「防 災教 育 と社 会 科 教 育 」『 四天 王寺 大学 紀 要 第 56号』,2013,pp.297‐ 318. ③ 山 田雅 貴 「社 会 科 教 育 にお け る学校 防 災教 育 の意 義‐公 民 的 分 野 か らの 防 災 教 育 の提 案 ‐」 日本 社 会科 教 育 学 会 第 64回全 国 大 会 口頭 発 表,2014. ④ 北 俊 夫 他,『社 会 科 にお け る防 災教 育 の進 め方 』 東 京 書 籍,2013. ⑤ 溝 口和 宏 「第 5学年 社 会 科 にお け る防 災 教 育 の取扱 い 」『 社 会 科 にお け る防 災教 育 の進 め方 』 東京 書 籍 , 2013, pp.12‐ 15. 三 橋 (①

,2013)は ,社

会 科 防 災 学 習 に お け る 実 践 研 究 を,「 自然 環 境 と人 間 の 関係 に 関 す る研 究 」,「公 民 的 資 質 の 育 成 に 関す る研 究 」,「 カ リキ ュ ラ ム検 討 な どに 資 す る研 究 」 の 二 つ に分 類 し

,そ

れ ぞ れ の 動 向 を レ ビ ュー して い る。 小 学 校 社 会 科 に お け る授 業 実 践 は 主 に 「自然 環 境 と人 間 の 関係 に 関す る研 究 」 に分 類 され

,こ

れ ま で 報 告 され て き た 実 践 的 研 究 を基 に 「自然 災 害 に 関 連 す る基 礎 的 な 知 識 の 学 習 に 関 す る教 材 開発 が こ の

2年

,着

実 に進 め られ て い た 」 と述 べ て い る。今 後 の 展 開 と して は,「仮 に居 住 地 以 外 で 被 災 して も 避 難 可 能 な応 用 力 等 を如 何 に 身 につ け る の か

,と

い つ た視 点 で の教 材 開 発 」,「子 ど もの発 達 段 階 に応 じて

,学

校 周 辺 の ハ ザ ー ドマ ップ を 単 に 覚 え る だ け で は な く

,避

難 行 動 等 を裏 付 け る 自然 環 境 の基 礎 的 知 識 や 行 動 例

,さ

らに 防 災 へ の社 会 的 取 り組 み 状 況 を 体 系 的 に 学 ぶ た め の 教 材 開発 研 究 」 の 二 点 が 求 め られ る と主 張 す る。 山 口 (②

,2013)は

,ま

,自

然 災 害 を 「危 機 社 会4)」 の 現 象 と して

,自

然 災 害

=災

因 (自 然 現 象)十人 間社 会 とい う関 係 性 で 捉 え て い る。 そ の 上 で,「 自然 現 象 が 起 き る因 果 関 係 や 威 力 の規 模 ′ 予 想 され る災 害 等 を

,科

学 的 知 識 に基 づ い て 正 し く理 解 す る こ と

,次

,災

害 が発 生 した 社 会 が どの よ うな構 造 に よ つ て 成 り立 っ て い て どの よ うな危 機 を 内包 して い るか に つ い て も考 察 す る よ うな指 導 をお こな う必 要 が あ る こ と

,そ

の 学 習 を 基 に危 機 社 会 に 主 体 的 に 向 き合 い

,生

き抜 く筋 道 を 考 え る 姿 勢 を持 つ 児 童 ・ 生 徒 を育 て る とい う

3点

が 大 切 で あ る5)」 と述 べ て お り

,防

災 学 習 の 系 統 性 につ い て は ,「 小 学 校 で の 知 識 理 解 → 中 。高 で の 態 度 育 成 と進 め て い くべ き で あ る」 と して い る6)。 ま た

,社

会 科 で 育 て る防 災 力 を 以 下 の 五 点 (下表

)に

ま とめ

,防

災 教 育 に お け る社 会 科 の 役 割 を 具 体 的 に 示 して い る。

(21)

7

社 会 科 で 育 て る 防 災 力 (山 口仁 久 「防 災 教 育 と社 会 科 教 育 」『 四 天 王 寺 大 学 紀 要 第 56号』,2013,pp.297‐ 318.を参 考 に 筆 者 作 成) 山 田 (③

,2014)は

,自

然 災 害 を 「自然 現 象 で あ る災 害 因 と人 間社 会 との 関係 性 で発 生 す る もの つ」 と捉 え

,そ

れ を 「極 め て 社 会 的 な 事 象 」 と位 置 付 け て い る8)。 これ らを踏 ま え た 上 で

,①

学 校 防 災 教 育 に 関 して 現 在 報 告 され て い る 実 践 や カ リキ ュ ラ ム は 「 自助 」 の 面 に 特 化 した もの に な つ て い る

,②

歴 史 的 ・ 空 間 的 (地理 的

)な

視 点 で の 防 災 教 育 は今 ま で も 取 り上 げ られ て き た も の の

,社

会 の 防 災 シ ス テ ム を 見 直 し

,組

み 替 え る こ とに迫 つ て い く

,

とい う視 点

,つ

ま り公 民 的 分 野 で の 防 災 教 育 は

,今

ま で 意 識 され て こ な か つ た の で は な い か

,と

い う問題 提 起 を行 つ て い る。 そ こで

,山

田 は 「公 民 的 資 質 」 を 「国 家 的側 面 」, 「社 会 的側 面 」,「個 人 的 側 面 」に分 類 し

,そ

れ らを 「公 助 」,「共 助 」,「 自助 」 と対 応 させ, 社 会 科 公 民 分 野 に お け る防 災 学 習 の 内 容 を考 察 して い る。ま た,吉田定 俊 の 実 践 で あ る「水 害 と市 政 」

(1953)に

社 会 科 公 民 的 分 野 に お け る防 災 学 習 の 糸 口 を見 出 す こ とが で き る と 結 論 付 け ,「(社会 科

)公

民 的 分 野 か らの 防 災 教 育 の 提 案 」 と して い る。 三 橋

,山

,山

田 の 研 究 か ら次 の こ とが 言 え る。 一 つ は

,社

会 科 にお け る 自然 災 害 の捉 え で あ る。 山 口

,山

田 は 自然 災 害 を社 会 的 な 事 象 と して 捉 え

,防

災 教 育 に お け る社 会 科 固 有 の 役 割 を示 して い る。自然 災 害 を社 会 的 事 象 と して 捉 え る こ とに よ つ て,「 自然 災 害 に よ る被 害 を最 小 限 に と どめ るた め に

,ど

の よ うに社 会 を変 え て い け ば よい か 」 とい う問題 が 生 ま れ

,そ

れ を解 決 す るた め の方 策 を考 え る授 業 は ま さ し く

,社

会 科 防 災 学 習 とい うこ と

,自

,自

社 会 科 で 育 て る防 災 力 内 容

1)災

害 を 知 る ・ 災 害 の 脅 威 の 実 態 を 知 り

,災

害 が 起 き る 自 然 環 境 の メ カ ニ ズ ム を 科 学 的 に 理 解 す る こ と。

2)町

を 知 る 町 の 自然 環 境 や 地 理 環 境 と い う空 間 認 識 を 持 つ こ と。 こ れ ま で 起 こ つ た 災 害 の 歴 史 を 知 る とい う過 去 に 対 す る 時 間 的 認 識 を 持 つ こ と。 こ れ か らの 町 の 在 り方

,町

作 り を ど の よ うに 考 え る か と い う将 来 に 向 け て の 時 間 的 認 識 を 持 つ こ と。

3)人

を 知 る 。地 域 に 暮 らす

,働

く人 た ち の 安 全 を 確 保 す る た め に は ど の よ うな 支 援 ・ 救 助 体 制 が 必 要 か を 事 前 に 知 る こ と。 ・ 地 域 で は ど の よ うな 能 力 や 設 備 等 を 持 つ た 人 を 効 果 的 に 活 用 す る こ と。

4)社

会 を 知 る 自然 災 害 の 脅 威 が ど の よ うな 状 態 で 広 が る の か

,

ど の よ うな 状 況 に 置 か れ て い る 人 が ど の レベ ル で ど の よ うな 被 害 を 受 け る の か, 防 止 す る た め に 何 が 必 要 で

,そ

れ が 円 滑 に 進 ま な い 理 由 は ど こ に あ る の か 等 を 総 合 的 に 考 え る こ と。 「構 造 と して の 危 機 」 に つ い て 考 え る こ と。

5)自

分 に は 何 が で き か 考 え る る 。災 害 に備 え るた め,ま た 災 害 が 起 こ つ た 時 に,そ して 災 害 後 に「自 分 に は 何 が で き る か 」 を 常 に 考 え る 姿 勢 の こ と。

表 1  構 成 主 義 の 立 場 心 理 的 構 成 主 義 社 会 的 構 成 主 義 主 な 研 究 者 カ ン ト ピ ア ジ ェ グ レー サ ー フ ェ ル ド ヴ ィ ゴ ツ キ ーガ ー ゲ ン 意 味 構 成 個 人 的 ,主 観 的 に 構 成 され る 。 社 会 的 に 関 主 観 的 に 構 成 され る。 「 真 実 」の 概 念 実 行 可 能 性 に 置 き 換 え る。外 的 な 基 準 は な い 。 言 語 的 な 人 工 物 とみ な す 。無 意 味 で あ る。
表 2  イ ンターネ ッ ト活用 の授業類型 類 型 条 件 ・ 課 題 ① 情報 の検索 。収集形 態 ・ コ ン ピ ュー タ 。情 報 ネ ッ トワー ク 等 を   活 用 す る 学 習 者 の リテ ラ シー 形 成 が 前 提 に な る。 ・ 質 の 高 い 社 会 科 教 育 用 の コ ンテ ン ツペ ー ジ の 開 発 ,社 会 科 教 育 と して の 検 索 エ ン ジ ンの 開 発 ,社 会 科 教 育 の 学 習 内 容 と学 習 方 法 に 関 連 す る 構 造 的 な
表 3  構 成 主 義 と客 観 主 義 の 学 習 理 論 構 成 主 義 客 観 主 義 知 識 知識 は ,子 ど もの 生 活 的 概 念 に よ つ て 個 性 的 に構 成 され る。 絶 対 的 な真 理 ・ 知 識 が厳 然 と存 在 す る。 子 ども 対 象 に能 動 的 に か か わ る実 態 。 知 識 を 受 動 的 に 受 容 す る 主 体 。 授 業 綸 子 ど もが どの よ うに 知 識 を構 成 して い くか , そ の 環 境 の あ り方 に 関 心 を もつ
表 7  社 会 科 で 育 て る 防 災 力 (山 口仁 久 「防 災 教 育 と社 会 科 教 育 」 『 四 天 王 寺 大 学 紀 要   第 56号 』 ,2013,pp.297‐ 318.を 参 考 に 筆 者 作 成 ) 山 田 (③ ,2014)は ,自 然 災 害 を 「自然 現 象 で あ る災 害 因 と人 間社 会 との 関係 性 で発 生 す る もの つ」 と捉 え ,そ れ を 「極 め て 社 会 的 な 事 象 」 と位 置 付 け て い る 8)。 これ らを踏 ま
+7

参照

関連したドキュメント

カリキュラム・マネジメントの充実に向けて 【小学校学習指導要領 第1章 総則 第2 教育課程の編成】

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

・学校教育法においては、上記の規定を踏まえ、義務教育の目標(第 21 条) 、小学 校の目的(第 29 条)及び目標(第 30 条)

土砂 多い 安全 自分 災害 知る 避難 確認 考える 地図 分かる 場所 危険 地域 出来る 良い 作業 楽しい マップ 住む 土砂 多い 安全 自分 災害 知る 避難 確認 考える 地図

小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課