自己受容における「あきらめ」と父性性との関連 : 吃音者と非吃音者の視点を通して
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(2) 目次. 論123456. ■. O ■ ■ o o O , ■. 11111112 11111111. 1. 序. 1∼13 問題. 自己受容. 自己受容におけるrあきらめ」. 父性性. 自己受容におけるrあきらめ」と父性性との関連 吃音. 自己受容としての吃音という障害の受容 目的. 研究の方法. 。222222. 2. 14∼16. 1. 対象. 2. 調査時期. 3. 質問紙の構成. 3.1. 自己評価的意識尺度(梶田,1988). 3.2. 自尊感情尺度(Rosenberg,1965) 3.3. 父性度・母性度評定尺度(花沢,2000). 333333333. 3. 0. 研究の結果 先行研究の追試. 12345 . 非吃音者の場合. 自己評価的意識尺度の因子. 自尊心と自己評価・メタレベル肯定度との相関 自尊心とメタレベル肯定度との相関 分散による検定 分散分析. 吃音者の場合. 1 1.自尊心と自己評価・メタレベル肯定度との相関. 17∼41.
(3) 234 1 123 12 22 2 3 3 4 . 自尊心とメタレベル肯定度との相関. 分散による検定. 分散分析 非吃音者と吃音者の比較 1.各要因の差の検定. 非吃音者と吃音者の結果の検討 メタレベル肯定度と父性性との関連. 非吃音者の場合 自己評価低群におけるメタレベル肯定度の分散分析. 自己評価低・自尊心高群におけるメタレベル肯定度の分散分析 メタレベル肯定度の重回帰分析. 吃音者の場合 自己評価低群におけるメタレベル肯定度の分散分析 メタレベル肯定度の重回帰分析. 非吃音者と吃音者の比較. 1 1.メタレベル肯定度と父性性項目との相関 非吃音者と吃音者の結果の検討. 考L飢. .44. 4. 察. 42∼48 非吃音者と吃音者の結果を通して 今後の課題. 引用・参考文献一覧. 参考資料 アンケート調査のお願い. 謝辞. 49∼50.
(4) ■.序論 1.1.問題. 1.1.1.自己受容 自己受容という概念は,沢崎(1984)が「自己受容という考えを初めて公にしたのはRo gers(1942)であろう」と述べ,また,上田(1996)がr自己受容という概念が注目され 始めたのは,Rogers(1949)以来である」と述べているように,ロジャースによって公に され,注目されるようになったものである。. 自己受容に関しては,ロジャース以来,多くの研究がなされてきた。. こうした研究の概要については,沢崎(1985)の論文等に詳しく紹介されているが,従 来の自己受容研究に対して,上田は,次のように述べている。. 自己受容(self−acceptance)は,臨床心理学では特に重要な概念の一つであり,. 多くの実証的研究も存在するが,いまだにその定義に確立されたものを見ない・ (上田,1996,p.327). 自己受容という概念については,沢崎(1984)や井上(2002)らによって,検討が行わ れてきているが,確立された定義が存在しない現状である。. 自己受容研究の批判的検討を行った上田は,自己受容について,次のように述べている。. 〔中略〕自己受容について概括的には“ありのままの自分を受け容れること”と. いう見解が一般性をもちつつあるが,操作的定義の不明瞭と,その豊かな意味内. 包を十分表現した実験的研究の少ないことを課題としてまとめておく。これは事 例研究と実験的研究が折り合う地点の問題と言い換えることもできそうだ。 〔中. 略〕今後は概念上の混乱を避ける意味でも,自己受容の思弁的性質から脱する独 自のパラダイムが必要となってくるであろう。 (上田,2002,p.200). また,上田は,次のようにも述べている。. 自己受容は一般的には“ありのままの自己を受け入れること”とされるが,“受. 一1一.
(5) け入れる”とは本来必ずしも肯定的であることを意味しない。従ってもともと自. 己受容とは自己の現実の姿を正確に観察し,自分の特徴を十分自覚していること を示すにすぎない。 (上田,1996,p.327). 本研究では,自己受容研究の批判的検討を踏まえた上田の見解に則り,自己受容を“あ りのままの自分を受け入れること”として捉えるものとする。. そして,上田と同じく, “受け入れる”とは肯定的であることを意味しないという立場 から,論を進める。. “受け入れる”とは肯定的であることを意味するという立場からは,受け入れがたい自 分を受け入れるrあきらめ」という自己受容的な構えのもつ意義は生じないからである。. 1.1.2.自己受容における「あきらめ」 自己受容研究の批判的検討を行った上田(1996)は,自己受容の心理的機能を操作的な 用語で定義することを目的として,研究を行った。. 彼は,自己受容について,操作的な用語として,次のような考えを提出した。. 〔中略〕操作的なレベルでの狭義の自己受容として,“上手なあきらめ”という. 考えを提出する。それは自己評価の低い人がそのことを認めた上で,“しょうが ない”と感じることである。あるいはそういう自分でもよいと感じることである。 (上田,1996,p.328). そして,研究の結果,次のような結果を得た。. 〔中略〕メタレベル肯定度は自己評価の低い人にとってのみ媒介変数として自尊 心の維持に意味をもってくるのである。上田(1996)はこのことを自己受容の機能. 的固有性として考え,それを“上手なあきらめ”と名づけた。“あきらめる”と. はいわば知覚の再体制化(Rogers,1947,伊藤訳,1967〉であり,それに伴う行. 動の変化である。また,これはロジャースの言う自己受容のパラドキシカルな心 理的機能と考えられるだろう。 (括弧内筆者) (上田,2002,p.201). 一2一.
(6) 上田は,この研究において,“上手なあきらめ”の働きを,自己評価の低い人のメタレ ベル肯定度の中に見出したのである。. メタレベル肯定度とは,自己受容のもつメタ認知的機能に目を向けることによって考え られた概念であり,自己評価に関して,そのことのメタレベルでの肯定の度合いを示す概 念である。つまり,メタ認知的自己肯定の度合いを表すものである。. なお,上田は,自己受容のもつメタ認知的機能について,次のように述べている。. Crowne&Stephens(1961)は自己受容の簡潔にして明瞭な定義の一つとして “自己評価における満足の程度”という考えを示したが,ここでわざわざ“自己. 評価における”と明言したのは,自己受容が自己評価に対するメタレベルの構え であることを意識していたからではないだろうか。例えばふつう,自分が引っ込 み思案であったり,人付き合いが悪いということを感じることは,すぐに自尊心 の低下を引き起こすであろう。この場合自己評価の低さと自尊心の低下とは一義 的に結び付いているのである。しかし自己受容的な構えをもつ人は,そのような 自分に対しても自尊心を持ち続けられるのではないだろうか。なぜなら,そこで. は自分の劣等性の認識と劣等感とは明確に区別されているからである。メタレベ. ルで自らを肯定している場合,自己評価の低さが自尊心の低下と一義的に結びつ かないと予想できるのである。 (上田,1996,p.328). 上記の例で言えば,劣等性の認識と劣等感とは別のものだということを前提として,自 己の劣等性を,どの程度肯定的に受け止められているか,その度合いを表すものが,メタ レベル肯定度である。. 上田は,このメタレベル肯定度の中に, “上手なあきらめ”の働きを,見出したのであ る。. 本研究における「あきらめ」という用語は,上田が“上手なあきらめ”と名づけたもの と同義のものである。. また,上田と同様の視点から研究を行った井上(1997b)の言う, 「限界の許容に基づき. 現実自己に見合うように理想自己を低めようとする態度」でもある。. 以下においては,単にrあきらめ」と表記するが,肯定的な意味の概念を表す言葉とし て使用するものである。なお,現状では,否定的な意味で使用されることの多い言葉なの. 一3一.
(7) で,場合によっては, 「肯定的な意味での」という形容句を付けて表記する。これは,否. 定的な意味で使用しているのではないことを示すためである。. 自己評価の低い人にとっては,そのことを認めた上で,自尊心を高く保つためには,自. 己評価の高い人よりも,より大きな,肯定的な意味でのrあきらめ」を必要とすると考え られる。. つまり,自己評価の低い人にとって,肯定的な意味での「あきらめ」は,自己受容を図 る場合に,どうしても必要とされるものであり, rあきらめ」に基づいた自己受容の上に,. 次への一歩はあると考えられる。 「あきらめ」切れずに,現状に拘ったり,劣等感に苛ま. れたりしているだけでは,自己受容は図れず,到底,次への一歩を踏み出すことはできな いであろう。. rあきらめ」という言葉は,否定的な意味を込めて使用されることの多い言葉である。. しかし,井上(1997a)が「興味深いことに『諦む』の語源は「明らむ」である」と指摘す るように,本来は,否定的な意味を含んだ言葉ではなかった。. この言葉が使用される過程で,否定的なニアンスで使用されることが多かったため,そ のような意味に汚染されてしまったのであろう。何かが明らかになることに,否定的なニ アンスが伴うのは,真実が明らかになることは,時として,不都合なことであり,辛いこ とでもあるからなのであろう。. 1.1.3.父性性 父性性という概念については,いろいろな考えがある。. 一般的には, r父親らしさ」とかr男性がもつ父親としての性質」と考えられている。. どちらも,子どもの存在を前提とし,子どもとの関係の中で求められる性役割と考えられ るであろう。. 前田(1988)は,父親の役割として,精神分析の立場から, r母親をやさしい女性にす ること」 「子どもとふれあうこと」 「母と子の間に割りこむこと」 「同一化の対象となる. こと」 「適切な幻滅を与えること」の五つの項目をあげている。. 父性性(対概念としての母性性)と関連の深い概念として,男性性・女性性という概念 がある。これらについて,従来,一次元的なレベルから捉えた研究が行われてきた。しか し,現在では,一人の人が,男性性と女性性を共に持ち,両価値を統合された状態で有す. ることができ得るという心理的両性性の観点から,二次元的なレベルにおいて捉えた研究 一4一.
(8) が行われるようになってきている。. 同様に,父性性・母性性についても,二次元的なレベルから捉えた研究が見られるよう になってきた。. そうしたものの一つに花沢の研究があるが,花沢(2000)は,ベム(Bem.S.L)のアン ドロジニー(心理的両性性)に関する諸説に照らし合わせ,父性にっいて,次のように述 べている。. 〔中略〕父性と母性を対立的存在ではなく,個人の内にともに具有されいるもの と捉える方が自然ではないかと思われることがある。 (花沢,2000,p.258). さらに,従来の固定的な性役割分担にこだわることに反論して,母性や父性という価値 的概念にかえて「育児性」という新たな概念を提起した大日向(1988)に対して,考え方 には基本的に賛成しながらも,次のように述べている。. 〔中略〕父性の機能と母性の機能との存在を否定できないと考えて,個人におけ る父性と母性との具有を主張したいのである。 (花沢,2000,p。258). 父性性(その対概念である母性性も同様)は,前述のように,子どもの存在を前提とし,. 子どもとの関係の中で求められる役割と考えられるので,家庭と子どもの存在を前提とし て生じてくる性役割と考えられることが多いであろう。. しかし,父性性は,家庭という場を離れても,子どもとの関係の中で,求められる性役 割であると考えられる。. これらの性役割の基礎は,柏木(1993)の言うように,育ちの中で,同一視という心理 的メカニズムを通して身に付くものと考えられるの。したがって,こうした性役割の基礎 は,男性・女性,既婚・未婚,子どものあるなしに関わらず,全ての人が持っているもの と考えられる。. したがって,本研究では,父性性を,子どもとの関係を前提として大人に求められる性 役割の中で,現時点では,男性に求められることの多い性役割として考え,母性性を,現 時点では,女性に求められることの多い性役割と考えるが,父性性(その対概念である母 性性)を,女性(男性)や子どもも持ちうるものと考え,論を進める。. 一5一.
(9) こうした性役割が,男女間で分化するのは,生物学的な制約や,自分の置かれている社 会的な状況によるものであると考えられるが,基本的には,性別に関係なく持ち得る性役 割と考えられる。. 1.1.4.自己受容におけるrあきらめ」と父性性との関連 1.1.2.で,自己評価の低い人にとっては,そのことを認めた上で,自尊心を高く保つた. めには,肯定的な意味でのrあきらめ」が必要であることを述べたが,自己受容において. こうしたrあきらめ」のできる人は,どのような人なのであろうか。 自我心理学の観点からみると,肯定的な意味でのrあきらめ」ができる人は,自我の強 い人,つまり,自我の成熟度の高い人と考えられる。 前田(1976)は, r臨床的に,自我の成熟度,いいかえると自我の強さ(ego strength). をみてゆくばあいには,つぎの要因について検討してゆくとよい」として,現実吟味,欲 求不満への耐性,適切な自我防衛,統合性と安定性,柔軟性,自我同一性の確立をあげ,. 「現実吟味(自分や環境を,客観的に認識できるということ)が,自我の成熟度の一番の しるしである」とし, 「この現実吟味の能力が成熟度や強さをみてゆくさいの中心的な指. 標となる。 〔中略〕他の項目は,その各要因,各側面といってもいいものである」と述べ ている。. また,前田(1988)は,父親の役割として,精神分析の観点から,母と子の間に割りこ むこと,同一化の対象となること,適切な幻滅を与えること,等を含め,五つの項目をあ げている。そして,適切な幻滅を与えることは,同一化の対象となることという役割とも 重なるが, 「これは,幼少期にあっては,現実吟味能力という自我の重要な機能を促進さ. せるものとなり,青年期においては,自己を拡大評価も過小評価もせず,あるがままに直 視(客観化)し得る強さへつながる」と,述べている。. また,松田(1993)は, 「同一視の現象に関して,フロイドに始まる精神分析理論にお. ける同一視の理論を第一のものとして,その後,バンデュラに代表されるような社会的学. 習理論からの考え方,およびピアジェにはじまりコールバーグ自身を含めた認知発達理論 からの同一視の概念など,これまでにも異なった理論的背景から考察され,同一視をとお しての性役割の獲得が論じられてきた」としながらも, 「性役割の獲得に関しては,コー. ルバーグが指摘するように,同一視の過程が重要であることは広く認められてきた」と述 べている。. 一6一.
(10) つまり,自我の成熟度にとって最も大切なr現実吟味」の能力を育成させたり,子ども を社会化させるたりする機能は,性役割が自己概念の一部として取り込まれたものとして. の父性性として発揮されると考えることができる。父性性は,それを発揮する人物に同一. 化(同一視と同義)することによって,子どもに獲得され,自己概念の一部として取り込 まれる。そして,それが,獲得した子どもの父性性というパーソナリティ特性となり,機. 能することになる。こうしたパーソナリティ特性は,外への機能と同時に,内への機能と して,自己の言動をも統制する働きをもつ。. こうした観点からみると,肯定的な意味でのrあきらめ」ができる人は,父性性の度合 いの高い人ではないかと考えられる。. 1.1.5.吃音 吃音は,言語障害の一つであり,コミュニケーション障害として捉えることができるも のである。. 吃音について,大橋は,次のように述べている。. ことばを話すとき,音の繰り返しや引き伸ばし,不自然な途切れなどがしばしば. 起こることにより,流暢に話せなくなる状態を吃音と呼ぶ。吃音は,単に発話の 流暢性の問題にとどまらず,種々の環境要因との相互作用により後に述べるよう. なさまざまな2次性の障害をもたらすコミュニケーションの問題として捉える必 要がある。 (大橋,1997,p.105). 2次性の障害に関しては,次のように述べている。. 吃音には話し方のほかにいくつかの心理的特徴が伴う。典型的なものとして,吃 音の予期反応,おそれ,回避反応があげられる。それらは吃音が根をおろしてい く過程で吃音児・者の内面にいわば必然的に形成される2次的な問題であり,コ. ミュニケーション行動に深刻な影響を及ぼす。臨床上見逃すことのできない重大 な特質といえる。 (大橋,1997,p.106). 吃症状もさることながら,吃音があることによって生じる,吃音の予期反応,おそれ,. 一7一.
(11) 回避反応といった内面的な問題の重大さを,大橋は指摘しているのである。. 筆者は,公立小学校の「ことばの教室」の担当者として,吃音児と関わっているが,こ うした問題の重大さと,問題への対処の難しさを,痛感している。. また,吃音児・者の発現率にっては,男女差があることが知られており,そのことに関 しては,次のように述べている。. 吃音をもつ人は人口の約0.7%から1%いると推定されている。性差があり,その. 比は,子どもで3対1から5対1,大人では6対1から10対1と,なぜか男子に 圧倒的に多い。 (大橋,1997,p。106). また,原因については,次のように,注目に値する仮説があることを紹介している。. 最近欧米の多数の学者たちが注目している1つの原因仮説がある。ことばの生成. 過程の言語学的,生理学的レベルにおける非流暢性の発生の検索により,吃音は 生理学レベルの発達上のつまずきに起因し,それには複数の要因が関与している という仮説である。 (大橋,1997,p.106). 注目に値する原因仮説はあるとしながらも,大橋はr吃音の原因は依然として不明であ る」とも述べている。. 原因は不明である上に,学童期まで持ち越された吃音は,多くの場合,吃症状の変動は あっても完全に消失することは少ないことが, 経験上,知られている。. したがって,学童期以降の吃音のある者に対する支援は,吃音の消失を直接には目指さ. ず,吃音という障害と直面し,それを受け容れることができるようしていくことが,重要 な課題となる。. 吃音という障害のある自己を受容した上で,積極的な生き方を創造していけるように支 援していくことが大切になってくるのである。. 筆者も,上記のような立場から,吃音児と関わっている。. 1.1.6.自己受容としての吃音という障害の受容 障害受容に関して,岡(1996)は,次のように述べている。. 一8一.
(12) 障害受容の定義や理論は統一されていないのが現状である。しかし,それらにほ ぼ共通することは,身体障害をもった自分の状況を客観的に理解することと,自 己肯定的感情をもつことの2点であろう。(岡,1996,p.120). 岡は,身体障害のある者の障害受容を念頭において述べているが,この考えは,吃音と いう障害のある吃音児・者にとっても当てはまると考えられる。. 一つは,自己の置かれた内的・外的な状況を客観的に把握できることであり,もう一つ. は,自己肯定感をもてることである。二っ目の自己肯定感は,自己受容を前提として生ず る感情であると考えられる。. 上記の考えを述べた論文は, r身体障害者の障害受容は当事者の自己概念の変容と関連 がある」とし,rライト(B.A.Wright)の価値転換理論を参照しつつ,中途障害者における. 障害受容と自己概念の変化の関係を考察した」ものであるが, 「障害受容と自己概念の関. 係については既に多くの指摘がなされている」とし,岡以前の研究について,次のように 紹介している。. 〔中略〕三沢(1984)は,両者の問には密接な関係があり,自分の障害の意味づ. けや解釈は自己とは何かという認知の仕方と極めて深く関わっていると述べてい. る。中司(1993)も人格心理学的観点から,正しい自己理解と肯定的自己評価が. なされた状態を障害の受容とするものだとしている。藤田(1971)は青年期の肢 体不自由者の自己意識を研究し,障害受容がよくできている肢体不自由者はそう でない者より自己意識の統合がよくなされよく適応していることを認めている。 (岡,1996,p.127). 岡は,こうした先行研究を踏まえ,障害受容と自己概念の関係に着目し,事例を通して,. 障害受容は当事者の自己概念の変容と関連があることを指摘した. 岡の述べていることからは,障害受容が,自己受容や自己概念の問題と関連が深いこと が分かる。. また,自己概念について,梶田(1998)は,「自分自身に対して現にいだく意識」が自己 意識であり, 「自己意識を暗黙のうちに支えているものと想定される基盤的な構造概念」. 一9一.
(13) が,自己概念であるとし,次のように述べている。. われわれは,自分の外側にあるものをながめたり,考えたり,概念化したりする のと同様,自分自身のことを意識したり,考えたり,概念化したりする。 (梶田, 1985,P。2). これは,我々人間だけに可能な,人間特有の行為である。自己とは,こうして意識化さ れ概念化されたものの総体である。 また,次のようにも述べている。. 〔中略〕われわれがいろいろと判断したり行動したりする場合,しらずしらずの. うちに,自分自身に対する〔中略〕意識や概念やこだわりが,基本的な枠組みと なっている。 (梶田,1985,p.3). われわれは〔中略〕,自分自身を対象化できるし,またその対象化した自分自身 に縛られがちである。 (梶田,1985,p.3). 自己意識や自己概念などが,判断や行動の基本的な枠組となり,しかも,そうした対象 化した自分に縛られがちであることを,梶田は指摘している。. 障害の受容が難しいのは,対象化した自分自身,つまり, r対象化の結果としての自己 概念」が不適切なものであったり,そうしたものに基づく拘りがあったりするからと考え られる。. しかし,次のようにも述べている。. 自覚とか自己形成あるいは自己教育ということが言われるのも,その根底には,. 人が自分自身を対象化するだけでなく,対象化された自分自身に働きかけ,改変 していくことができる,ということがあるのである。 (梶田,1985,p.3). 我々は,対象化した自己にとらわれがちであるが,自己概念の改変も可能であると,梶 田は言っているのである。. こうした,梶田の述べていることから考えると,障害受容の問題は,対象化の結果とし. 一10一.
(14) ての自己概念の改変の問題であると捉えることができ,これは,岡の指摘していることと も共通する。. また,自己概念は,梶田(1985,1988)の指摘するように,様々な構成要素から成り立 っている。しかも,それらが,密接に結び付いている。. こうした要素は,障害があることによって,様々な影響を被っていると考えられる。多 くは,否定的な意味での影響である。. したがって,吃音という障害の受容を考える場合に,吃音のみの受け容れの問題として 考えるのではなく,吃音があることによって,否定的な意味での影響を被っている自己概 念の種々の構成要素に対して,どう対処していくかを考える必要がある。. 自己概念の改変が可能といっても,全てを自分の都合のよいものに改変できるわけでは ない。したがって,自分には不都合な自己概念で,改変ができないものに対しては,その ことの受け容れの問題が生じてくる。. 既に述べたように,障害があることによって,自己概念は多くの部分で影響を被ってい ると考えられるので,意識化され概念化されたものの総体としての自己という全体を視野 に入れた視点から,障害受容を考える必要がある。したがって,障害受容を自己受容の問 題として捉えることが有効であると考えられる。. 大橋(1997)が,臨床上見逃すことのできない重大な特質として,心理的特徴を指摘し 水野(2001)も「ことばの非流暢性以外にも厄介な心理間題を抱えている者が少なくない ことが分かってきた」と述べているように,吃音という障害がなくなったり,軽減しただ けでは,解決できない問題が存在するが,これらの問題は自己と深く関わる問題であり,. 自己概念に関わる問題である。したがって,こうした点からも,自己概念の総体としての 自己の受容,つまり,自己受容の問題として障害受容を考えることが有効であると考えら れる。. また,金森は, 「障害の受容の従来の研究の知見をまとめ,その問題点を指摘し,障害. の受容という現象を人間の長期的な現象であると捉え直して」研究を行ったが,次のよう に述べている。. 〔中略〕 「障害を受け入れていく」障害者の心的変容の本質を明らかにするため. にも,従来の研究に障害児観の交代及び自我発達の観点を導入することは必要不 可欠であると考える。 (金森,2002,p.49). 一11一.
(15) これらは,聴覚障害者の障害受容を前提として述べられたものであるが,障害受容とい う問題を考える時に,自我発達の観点を導入することの大切さを主張している。これは, 吃音者の障害受容にも当てはまると考えられる。. ミクロな観点から,個々の障害の受容を考えるのではなく,自我発達というマクロな視 点から,障害受容を捉えることの必要性を述べていると考えられるが,障害受容を自己受 容の問題として捉える場合には,自我発達というマクロな視点から捉えることが,より一 層必要とされるであろう。. なお,先行研究(Gildston,1967;水町,1980)によると,吃音者における自己受容は低. いことが報告されている。ことばの教室に通級している吃音のある児童の様子からも,自 己受容の低さや自己評価の低さが窺われる。. こうした点から考えると,吃音者が自己受容を図るためには,1.1,2.で述べたrあきら め」の働きを,より一層必要とすると考えられる。. 1.2.目的 本研究では,1.1.4,において指摘した,自己受容におけるrあきらめ」と父性性との関 連について,分析することを目的とする。 より具体的には,先行研究によって明らかになった, “上手なあきらめ” (1.1.2.に記. したように,本研究においては,単にrあきらめ」と表記する)という自己受容的な構え を持った人達のメタレベル肯定度と父性性との関連について分析することを目的とする。. 自己受容と性格特性の関連に関する研究は,沢崎(1982)や伊藤(1992)の研究が存在 するが,本研究のような,自尊心の維持に意味をもつメタレベル肯定度と父性性の関連と いった観点から,研究を行ったものは,今までに見あたらない。. 本研究では,自己受容におけるrあきらめ」と父性性との関連を検討することを主目的 とするが,父性性の対概念である母性性も含めて,LL3.で説明したように,父性性・母. 性性を二次元的なレベルから捉え,自己受容における「あきらめ」との関連について検討 を行う。. また,1.1,6.に記したように,吃音という障害の受容を,吃音という障害を有する自己. の受容,つまり,自己受容の問題として捉え,それは,肯定的な意味での「あきらめ」の上. に成り立つものと考え,吃音者の自己受容における「あきらめ」と父性性との関連にっい. 一12一.
(16) ても検討し,非吃音者との相違についても考察を行う。 仮説は,次の通りである。. 1)非吃音者について,肯定的な意味での「あきらめ」という自己受容的な構えをもつ人. においては,父性性は,メタレベル肯定度を高める作用を及ぼしている。 2)吃音者の方が,非吃音者よりも自己評価が低いことが予想される。そのため,吃音者. で自己評価の低い人の自己受容を考えると,自尊心を高く保つためには,より肯定的. な意味でのrあきらめ」を必要とすると考えられる。肯定的な意味でのrあきらめ」 の働きは,メタレベル肯定度の中に見出すことができるので,吃音者で自己評価の低 い人と,非吃音者で自己評価の低い人を比べると,吃音者の方が,自尊心の向上に対 して,メタレベル肯定度の果たす役割が大きい。 3)障害の受容を,障害を有する自己の受容,つまり自己受容という観点から捉えると,. 吃音者についても,肯定的な意味でのrあきらめ」という自己受容的な構えをもつ人 においては,非吃音者と同様,父性性は,メタレベル肯定度を高める作用を及ぼして いる。. 一13一.
(17) 2.研究の方法 2.1.対象 非吃音者に関しては,本学の前期集中講義の受講者と,本学で行われた,兵庫県と神戸. 市の教員を対象とした,認定講習の受講者に協力を依頼し,希望者,計150名(男性7 5名,女性75名)に対して,実施した。 150名の平均年齢は,39.9であり,標準偏差は,8.9であった。. 吃音者については,大阪,東京,三多摩(東京)にある,セルフヘルプグループの会員. に協力を依頼し,協力の得られた者,計32名(男性25名,女性7名)に対して,実施 した。. 32名の平均年齢は,40。4であり,標準偏差は,12.0であった。. 2.2.調査時期 非吃音者に関しては,2003年7月末の前期集中講義と,8月末の認定講習の際に,実施 した。講義の開始前に,研究目的や方法について説明し,希望者に質問紙を配布した。休 み時間等に記入してもらい,講義が終了した後,回収ボックスを使い回収した。. 非吃音者に関しては,2003年8月下旬から9月末にかけて実施した。グループの活動の 際に質問紙を配布し,その場で回収,あるいは,後日,郵送により回収した。. 2.3.質問紙の構成 2.3.1.自己評価的意識尺度(梶田,1988) この尺度は,自己受容的意識を測定する30項目からなるものであり,各項目に対して, 現在の自分に当てはまるかどうかを,はい,いいえの二件法で回答するものである。. 先行研究にしたがって,各項目について,はい,いいえ,の二件法で回答してもらった 後,自己評価に対するメタレベルの肯定度を測定するために,そういう自分に対して,ど う感じるかを,以下の五件法で回答してもらうようにした。. 1……よくないと思う 2……どちらかと言えばよくないと思う. 3……どちらとも言えない 4……どちらかと言えばよいと思う 一14一.
(18) 5……よいと思う 先行研究では,5.問題なくよいと思う一1.非常によくないと思う,まで五件法で回答 してもらうようになっていたが,本研究では,表現を少し変えてある。先行研究の表現で. は,回答が,2から4の範囲に偏る可能性が考えられたからである。 後半の五件法による評定は,自己評価に対するメタレベルの肯定度,つまり,メタレベ ル肯定度を測定するために,上田(1996)によって考えられ使用されたものである。. 2.3.2.自尊感情尺度(Rosenberg,1965) 先行研究では,星野(1970)によって訳された自尊心尺度が使用されているが,本研究 では,山本・松井・山成が邦訳した,新しいものを使用した。 両方の尺度とも,ローゼンバーグ(1985)によって作成されたものであるが,訳が多少異. なっている。10項目からなる尺度で,以下の五件法で回答してもらうものである。. なお,先行研究で使用されたものは,四件法によって回答してもらうようになっている が,本研究では,新しいものに準じて五件法で回答してもらうようにした。 また,表現が分かりにくいとの指摘があったので,次のようにした。. 1……当てはまらない 2……どちらかと言えば当てはまらない. 3……どちらとも言えない 4……どちらかと言えば当てはまる. 5……当てはまる. 2.3.3.父性度・母性度評定尺度(花沢,2000) この尺度は, r父性度・母性度評定尺度作成の試み」という花沢(2000)の論文におい. て,作成され,使用された尺度である。最終的に,父性度・母性度評定尺度として,父性. 項目9項目と母性項目9項目の計18項目を選出し,大学生の父性度,母性度にっいて検 討したものである。. 本研究では,最終的に選出された18項目の尺度を使用し,対象者の父性性と母性性の 測定を行った。. それぞれの項目には,花沢と同様,以下の四件法で回答してもらった。. 1……当てはまらない 一15一.
(19) 2……少し当てはまる 3……よく当てはまる 4……非常によく当てはまる なお,花沢は, 「個人のなかに,どの程度の母性あるいは父性が存在するかを表す言葉. として,ここでは個人のなかの『母性度・父性度』という言い方をもちいることとした」. と述べている。したがって,父性度・母性度という言葉と,本研究で使用する父性性・母 性性という言葉も,同様の概念を表しているものと考えられるので,本研究での父性性・ 母性性を測定する尺度として使用することとした。. 一16一.
(20) 3.研究の結果 3.1.先行研究の追試 本研究での「あきらめ」,つまり,先行研究で確認された“上手なあきらめ”という自. 己受容的な構えをもった人達のメタレベル肯定度と,父性性との関連を検討することが本 研究の目的である。. その前提として,先行研究で確認された“上手なあきらめ”という自己受容的な構えを もった人達の存在を,本研究においても確認する必要がある。 そこで,先行研究の追試を行った。. 上田の先行研究については,序論でも簡単に紹介したが,再度,詳しく見ておくことと する。. 上田は, 「自己受容的な人として自己評価は低いが,それでもなお自尊心の高い人を想 定し」,次のような仮説のもとに研究を行った。. 研究の仮説は,次のようなものであった。. 個人の自己評価とそれに対するメタレベルの肯定度を測定したときに,そのメタ レベル肯定度は,自己評価の高群よりも低群にとって,より自尊心の向上に作用. しているであろう。つまりメタレベル肯定度は,自己評価の低い人にとってのみ “上手なあきらめ”として,自己受容的な構えの意味をもつであろう。 (上田, 1996,p.328) (傍線筆者). 上記の仮説のもとに研究を行い,仮説を支持する分析結果が得られ,その結果から,上 田は,次のような考察を行った。. 自己評価高群の方が,当然メタレベルの肯定度も全般的に高いが,それは自尊心. の高低にあまり影響を及ぼしていない。一方自己評価低群は全体にメタレベル肯 定度は低いものの,その働きが自尊心の高低に強く影響していたのである。つま り,メタレベル肯定度は,自己評価の低い人にとってのみ,媒介変数として自尊 心の向上に意味をもってくるのである。 (上田,1996,p,331) (傍線筆者). 17一.
(21) 本研究においても,まず, “上手なあきらめ”という自己受容的な構えをもった人達の. 存在を確認するが,それは,自己評価の低い人にとって,メタレベル肯定度が,媒介変数 として,自尊心の向上に意味をもっているかどうかを確認することである。. 3.1.1.非吃音者の場合 先行研究では,以下のそれぞれの分析にっいて,まず最初に,男女間で違いがあるかど うかを確認しているが,全てにおいて,男女間に違いがなかったため,男女込みにして分 析を行っている。. 本研究では,最終的に,メタレベル肯定度と父性性,母性性との関連を分析することを 目的としている。. 父性性,母性性については,序論でも述べたように,男性でも母性性をもっている,ま た,女性でも父性性をもっていることを前提とした,二次元的なレベルで捉えた立場から. 研究を行おうとしている。そのため,男女間での検討を省略しても,問題はないと考えら れたが,先行研究の追試という観点から,先行研究と同じ分析手順を踏むこととした。. 3.1.1.1.自己評価的意識尺度の因子 先行研究では,自己評価的意識尺度による測定結果について,新たに因子分析を行い,. 自己評価の因子を抽出している。そして,この因子に関わる9項目を,自己評価的意識の 指標として使用し,その後の論を進めている。. 本研究では,先行研究の結果との比較検討も考慮し,先行研究と同様の9項目を,自己 評価的意識の指標として用いることとした。. 3.1.1.2.自尊心と自己評価・メタレベル肯定度との相関 先行研究にしたがい,自尊心と自己評価,また,自尊心とメタレベル肯定度との相関に ついて,まず,男女間で相関を比較した。 結果は,次の通りである。. 18一.
(22) 表1 非吃音者の自尊心と自己評価・メタレペル肯定度との相関 n 分散 平均値 自己評価との相関 メタレペル肯定度との相関. 男性 75 40.86 34.69. r=.45**. rニ,49**. 女性 75 34.12 34.44. rニ.42**. rニ.56**. 自尊心得点. 有意性検定の結果. F=1.47 F=.06. X2ニ0.049. κ2ニ0.339. ns ns. ns. ns **P<.Ol. 男性,女性それぞれにおいて,自尊心と自己評価,自尊心とメタレベル肯定度には,有 意な相関が認められたが,男女間での有意差はなく,先行研究と同様の結果であった。. そこで,男女込みにして,自尊心と自己評価,また,自尊心とメタレベル肯定度との相 関について確かめた。. 結果は,次の通りである。. 表2 非吃音者の自尊心と自己評価・メタレベル肯定度との相関 n 分散 平均値. 自己評価との相関 メタレペル肯定度との相関. 自尊心得点 150 37.25 34,57. rニ.43**. r=,52**. **P<.01. 自尊心と自己評価の相関も,自尊心とメタレベル肯定度との相関も,共に,1%水準で 有意であり,先行研究と同様の結果を示した。. 3.1.1.3.自尊心とメタレペル肯定度との相関 先行研究にしたがい,自己評価の低群,高群それぞれについて,自尊心とメタレベル肯 定度の相関について,男女間で相関に差があるかどうか確かめた。. 自己評価の高低,メタレベル肯定度の高低は,非吃音者の全体の平均値で分類した。 結果は,自己評価低群における相関(男:rニ.43,p<.Ol,女:r竃.49,p<.Ol, κ2=.119),高群における相関(男:rニ.40,ns,女:r=.42,p<.05,κ2ニ.007). 一19一.
(23) 共に男女差がなかったので,男女込みにして,自己評価の低群,高群それぞれについて, 自尊心とメタレベル肯定度の相関について確かめた。 結果は,次の通りである。. 表3 非吃音者の自尊心とメタレベル肯定度の相関 n 分散 平均値 メタレペル肯定度との相関. 自己評価低群(0−4) 90 37.89 32.81. rニ.45**. 自己評価高群(5−9) 60 25.18 37.20. r=.41**. 自尊心得点. 有意性検定の結果. F=1.50F=21.13 κ2=0.083 p<.05 p<.Ol ns **P<.Ol. 自己評価低群・高群のどちらにも,自尊心とメタレベル肯定度の間に,有意な相関関係 (自己評価低群rニ.45,p<.01,自己評価高群rニ.41,p<.01)が認められたが,ピヤ. スンの相関係数の同質性の検定の結果,先行研究とは異なり,自己評価低群における相関 と高群における相関との間には,有意差は認められなかった。. 先行研究では,10%水準で,二つの相関(低群における相関r=.54で,高群における 相関r=.34であった)に差が認められた。メタレベル肯定度は自己評価低群においては自. 尊心との相関が高いのに対して,自己評価高群ではそれほど高い相関とはならなかったの である。つまり, 「メタレベル肯定度が自己評価の低い人の自尊心に深く関係しているこ とを示す結果」 (上田,1996)を得たわけである。. 本研究では,二つの相関に有意な差は認められなかったが,自己評価低群においても, 自己評価高群においても,メタレベル肯定度と自尊心には有意な相関が見られた。. 3.1.1.4.分散による検定 自己評価低群,高群それぞれにおける,自尊心の分散について有意な差があるかどうか. 確かめた。結果は表3のように,5%水準で,有意差が見られた。. 一20一.
(24) 3.1.1.5.分散分析 次に,自己評価低群・高群それぞれにっいて,メタレベル肯定度によって,自尊心得点 に有意な差があるかどうか確かめるために,性別×自己評価(高・低)×メタレベル肯定 度(高・低)水準の三元配置分散分析を行った。. 性別×自己評価(高・低)×メタレベル肯定度(高・低)水準の各組の自尊心得点は, 次の通りである。. 表4 非吃音者の三要因水準間の各組の自尊心得点 自己評価. 高群(5−9). 低群(0−4). メタレペル肯定度 低群(0−30) 高群(31−45). 低群(0−30) 高群(31−45). [男性]. 平均値. 32.49. 35.21. 36.90. 38.43. S D. 6.10. 7.03. 4,36. 5.83. n [女性]. 37. 14. 10. 14. 平均値. 31.37. 34.25. 34.13. 37.57. S D. n. 6.07 27. 4.92 12. 5.33. 8. 4.61 28. 性別×自己評価(高・低)×メタレベル肯定度(高・低)水準の三元配置分散分析の結 果は,次の通りである。. 一21.
(25) 表5 非吃音者の自尊心の三元配置分散分析表 変動因. d f. S S. 性別 自己評価. MS. F. 59.229. l. 59.229. 1.83. 340.846. l. 340。846. 10.54**. 203.256. l. 203.256. 6.29*. l. 4.370. .14. l. 7.775. .24. l. 。726. .02. 1. 5.661. .18. 誤差. 4。370 7,775 .726 5.661 4590.207. 全体. 5212.070. 149. メタレベル肯定度 性別×自己評価 性別×メタレベル肯定度 自己評価×メタレベル肯定度 性別×自己評価×メタレペル肯定度. 142. 32.325. **p<.01 *p<.05. 性別については,先行研究と同様,主効果も交互作用も,共に,有意性は認められなか ったため,男女込みにして,自己評価(高・低)×メタレベル肯定度(高・低)水準の二 元配置分散分析を行った。. 自己評価(高・低)×メタレベル肯定度(高・低)水準の各組の自尊心得点は,次の通 りである。. 表6 非吃音者の二要因水準間の各組の自尊心得点 自己評価 メタレペル肯定度. 平均値 S D. n. 低群(0−4). 高群(5−9). 低群(0−30) 高群(31−45). 低群(0−30) 高群(31−45). 32.02. 6.06 64. 34.77. 6.05 26. 35.67. 4,88 18. 37.86. 4.99 42. t=一1.95 df=88 t=一1.57 df=58. P<.10 ns 自己評価(高・低)×メタレベル肯定度(高・低)水準の二元配置分散分析の結果は, 次の通りである。. 一22一.
(26) 表7 非吃音者の自尊心の二元配置分散分析表 変動因. S S. 自己評価 メタレベル肯定度 自己評価×メタレベル肯定度. d f. MS. F. 340.299 1. 340.299 10.67**. 183.167 1. 183.167 5.74*. 2.376 1. 2.376 .08. 誤差. 4656.743 146. 全体. 5182.585 149. 31.895. **p<.01 *p<.05. 主効果は,自己評価も,メタレベル肯定度も,共に,有意であり,先行研究と同様の結 果であった。. また,自己評価とメタレベル肯定度の交互作用は,先行研究では,1%水準で有意であ ったが,本研究では,有意とはならなかった。. 先行研究では,自己評価,メタレベル肯定度の主効果が共に1%水準で有意であったこ とと,自己評価とメタレベル肯定度の交互作用が,同じく1%水準で有意であったことと を踏まえ,次のように述べている。. 自己評価低群ではメタレベル肯定度の高低によって自尊心得点に有意な差が存在 した(p<.Ol)が,一方自己評価高群ではメタレベル肯定度は自尊心得点に有意. と認めることができるような影響を及ぼしていない。つまり,メタレベル肯定度 は自己評価の高低に影響を受け,自尊心に与える意味合いが異なっていたのであ る。これは〔中略〕メタレベル肯定度が,自己評価の高群には自尊心を高く保つ. のに特別に作用していないが,自己評価の低群には自尊心の向上に重要な役割を. 果たしていることを示している。つまり,狭義の自己受容としての“上手なあき らめ”の働きを,自己評価が低くてもなお自尊心の高い人のメタレベル肯定度の 中に見出したのである。 (上田,1996,p。331) (傍線筆者). 本研究では,自己評価とメタレベル肯定度の交互作用は有意とはならなかった。しかし,. 自己評価低群・高群について,メタレベル肯定度の高低によって自尊心得点に有意な差が. 一23一.
(27) 存在するかどうか確かめたところ,自己評価低群では,先行研究のように,1%水準では. なかったが,10%水準では,メタレベル肯定度の高低によって自尊心得点に有意な差が 認められた。有意確率は,pニ.054であり,5%水準で有意差ありと判断できる数値に近か った。. なお,自己評価高群では,先行研究と同様,メタレベル肯定度の高低によって自尊心得 点に有意な差は認められなかった。. 以上の結果から,本研究においても,自己評価の低群においては,メタレベル肯定度が, 媒介変数として,自尊心の向上に役割を果たしている可能性が示された。. 3.1.2.吃音者の場合 本研究では,吃音者と非吃音者の視点を通して,自己受容における「あきらめ」と父性 性の関連について検討することを目的としている。. そこで,吃音者に対しても,先行研究と同様の手順で分析を行い,先行研究で確認され た,“上手なあきらめ”という自己受容的な構えをもった人が存在するかどうか,確かめ た。. 3.1.2.1.自尊心と自己評価・メタレベル肯定度との相関 非吃音者の場合と同様に,自尊心と自己評価,また,自尊心とメタレベル肯定度との相 関について,男女間で相関を比較した。 結果は,次の通りである。. 表8 吃音者の自尊心と自己評価・メタレベル肯定度との相関. n 分散 平均値. 自己評価との相関 メタレペル肯定度との相関. 男性 25 86.79 35.96. r=.74**. r=.83**. 女性. rニ.94**. r=.82*. 自尊心得点. 有意性検定の結果. 7 83.14 . 30.86. Fニ3。84 Fニ1.66. κ2ニ2.158. κ2ニ0.004. ns ns. ns. ns **p<.Ol *p<.05. 一24一.
(28) 以上のように,男女間での有意差はなかったので,男女込みにして,自尊心と自己評価, また,自尊心とメタレベル肯定度との相関について確かめた。 結果は,次の通りである。. 表9 吃音者の自尊心と自己評価・メタレベル肯定度との相関. n 自尊心得点 32. 分散 平均値 自己評価との相関 メタレペル肯定度との相関 rニ.79**. 87,88 34.84. rニ.83**. **P<.Ol. 以上のように,自尊心と自己評価の相関も,自尊心とメタレベル肯定度との相関も,共 に,1%水準で有意であり,非吃音者と同様に,自尊心は,自己評価及びメタレベル肯定 度との相関が認められ,非吃音者と比較しても高い相関であった。. 3.1.2。2.自尊心とメタレベル肯定度との相関 次に,自己評価の低群,高群それぞれについて,自尊心とメタレベル肯定度の相関につ いて確かめた。. 自己評価の高低は,吃音者と非吃音者間で,各要因に有意な差がなく,結果を非吃音者 の結果と検討する目的があったため,非吃音者の平均値で分類した。 結果は,自己評価低群においては,男女差は存在しなかった。 (男:rニ.75,p<.01, 女:rニ.86,p<,01,κ2=.171). 自己評価高群においては,女性の対象者が,n=2と少なかったため,信頼できる相関 係数が得られず,男女差の有無については検討できなかったが,男女込みにして,自己評 価の低群,高群それぞれにっいて,自尊心とメタレベル肯定度の相関について確かめた。 結果は,次の通りである。. 一25一.
(29) 表10 吃音者の自尊心とメタレペル肯定度の相関 n 分散 平均値 メタレペル肯定度との相関. 自己評価低群(0−4) 18 56.64 28.94. r=.722**. 自己評価高群(5−9) 14 25.34 42.43. rニ.257. 自尊心得点. 有意性検定の結果. F=2.50. F=33.24. 冗2ニ2.673. P<.10. P<.Ol. ns. **P<.Ol. 表11. 表12. 吃音者の自尊心得点の散布図. 吃音者の自尊心得点の散布図. (自己評価低群). (自己評価高群). 50. 50. 口. 48. 40. 46. εコ. 44. o口. 30. 印. 際 〔聖 くヨ. O l:} o. 42. ’”. 40. 臼. 20. 38 36. 10 自. 自34. 尊. コ. 尊. 心 o10. 20. 30. 40. 50. メタ肯定度. 心32 32 34. 36 38 40 42 44 46. メタ肯定度. 自己評価低群では,自尊心とメタレベル肯定度の相関は有意であったが,自己評価高群 では有意ではなかった。また,ピヤスンの相関係数の同質性の検定でも,有意な差は認め られなかった。. しかし,10%有意水準の冗2の臨界値(κ2=2,71)に,近い数値で,先行研究の結果 に近い結果であった。. つまり,先行研究のように, rメタレベル肯定度が自己評価の低い人の自尊心に深く関 係していることを示す結果」 (上田,1996)に,大変近かった。. 3. 1.. 2.3.分散による検定. 次に,. 自己評価低群,高群それぞれにおける,. 一26一. 自尊心の分散について有意な差があるか.
(30) どうか確かめた。結果は表10のように,10%水準で,有意差が見られた。. 3.1.2.4.分散分析 次に,自己評価低群・高群それぞれにっいて,メタレベル肯定度によって,自尊心得点 に有意な差があるかどうか確かめるために,性別×自己評価(高・低)×メタレベル肯定 度(高・低)水準の三元配置分散分析を行った。. 自己評価とメタレベル肯定度の高低の分類は,吃音者と非吃音者間で,各要因に有意な 差がなかったことと,結果を非吃音者の結果と検討する目的があったことから,非吃音者 の中央値を基準として分類を行った。. 具体的には,自己評価は,非吃音者の中央値の4点以下を低群に,メタレベル肯定度は,. 非吃音者の中央値の30点以上を高群として分類した。 結果は,性別については,主効果は認められなかった。交互作用については,対象者が 少なく,性別×自己評価×メタレベル肯定度の交互作用は,分析ができなかったが,性別 と自己評価,性別とメタレベル肯定度の交互作用には,有意性は認められなかった。. そこで,男女込みにして,自己評価(高・低)×メタレベル肯定度(高・低)水準の二 元配置分散分析を行った。. 自己評価(高・低)×メタレベル肯定度(高・低)水準の各群の自尊心得点は,次の通 りである。. 表13 吃音者の二要因水準間の各組の自尊心得点 自己評価 低群(0−4) メタレペル肯定度 低群(0−29) 高群(30−45). 平均値 S D. n. 25.83. 6.26 12. 高群(5−9). 低群(0−29) 高群(30−45). 35.17. 42.43. 6.05. 6. tニー3.01 df=16. 5.03. 0. 14. 分析不能. P<.Ol. 自己評価(高・低)×メタレベル肯定度(高・低)水準の二元配置分散分析の結果は, 一27一.
(31) 次の通りである。. 表14 吃音者の自尊心の二元配置分散分析表 変動因. 自己評価×メタレベル肯定度. 誤差 全体. 221.488. 348.444 .000 943.929. 1513.861. 1 1 09 2. 自己評価 メタレベル肯定度. d f. S S. MS. F. 221.488 6,81*. 348.444 10.71** 32.549. 31. **p<.01 *p<.05. 対象者が少なく,自己評価とメタレベル肯定度の交互作用については分析できなかった. が,自己評価の主効果は5%水準で,また,メタレベル肯定度の主効果は1%水準で,有 意性が認められた。. 次に,自己評価低群について,メタレベル肯定度の高低によって自尊心得点に有意な差 が存在するかどうか確かめた。. その結果,1%水準で有意となり,自己評価低群では,メタレベル肯定度が,媒介変数 として,自尊心の向上に役割を果たしていることが示された。. 自己評価高群については,対象者が少なかったため,分析できなかった。. 3.1.3.非吃音者と吃音者の比較. 3.1,3.1.各要因の差の検定 非吃音者と吃音者の間で,各要因に差があるかどうかを確かめた。 各要因の平均点,標準偏差は,次の通りである。. 一28一.
(32) 表15 非吃音者と吃音者の各要因の平均値 有意差. 非吃音者n=150. 吃音者nニ32. 年齢 自己評価 メタレベル肯定度. 39。89(8.897). 40.44(12.021) ns. 自尊心 父性性 母性性. 34.57(6.104). 4。07(2.065). 4.03(2.348) ns. 30.35(5.669). 31.84(7.899) ns 34.84(9.374) ns l5.94(6。ll7) ns 21.81(6.182) ns. 15。79 (4.529). 21.14(5.362). 括弧内はSDの値 平均値で見ると,自己評価の平均値は,吃音者の方が若干低い値だったが,その他は, 若干高い値を示した。. しかし,各要因の平均値の差の検定を行った結果では,どの要因にも有意な差は認めら れなかった。. 仮説の2)にあるように,当初,吃音者の方が,非吃音者よりも自己評価が低いことが予 想されたが,そうした結果は得られなかった。. 次に,自己評価低群と高群のそれぞれについて,吃音者と非吃音者の間で,各要因に差 があるかどうか確かめた。. 結果は,次の通りである。. 表16 自己評価低群における非吃音者と吃音者の各要因の平均値. 非吃音者n=90. 吃音者n司8. 年齢 自己評価 メタレベル肯定度. 41.06(8.655). 38.22(10.322). ns. 2.68(1.235). 2.33(1,495). ns. 28.29(5.189). 26.67(6.287). ns. 自尊心 父性性 母性性. 32.81(6.155). 28.94(7.526). P<.05. 14.73(4.509). 12.28(3.786). P<.05. 19.72(5.380). 18.67(5.573). ns. 有意差. 弧内はSDの値. 一29一.
(33) 表17 自己評価高群における非吃音者と吃音者の各要因の平均値 有意差. 非吃音者nニ60. 吃音者n=14. 年齢 自己評価 メタレベル肯定度. 38.13(9.039). 43,29(13.775). ns. 6.15(1.055). 6.21(1.051). ns. 33.45(4.928). 38.50(3.503). P<.Ol. 自尊心 父性性 母性性. 37.20(5.Ol8). 42.43(5.034). P<.Ol. 17.38(4.105). 20.64(5.300). P<.05. 23.27(4.613). 25.86(4.383). ns. 括弧内はSDの値 表15のように,全体で比較すると,非吃音者と吃音者の間には,各要因に有意な差は 見られなかった。しかし,自己評価低群と高群のそれぞれにおいては,非吃音者と吃音者 の間には,いくつかの要因に有意な差が見られた。つまり,自己評価低群においては,吃. 音者の方が,自尊心と父性性の得点が有意に低く,自己評価高群においては,吃音者の方 が,メタレベル肯定度と自尊心と父性性の得点が有意に高かった。. 次に,自己評価低群のみ,非吃音者と吃音者間で,自尊心とメタレベル肯定度の相関に 有意な差があるかどうか確かめた。 結果は,次の通りである。. 表18 自己評価低群における,非吃音者と吃音者の自尊心とメタレペル肯定度の相関 n 分散 平均値 メタレペル肯定度との相関 非吃音者 90 37.89 32.81. rニ.45**. 自尊心得点 吃音者 18 56.64 28.94. 有意性検定の結果. rニ.722**. 冗2ニ2,403ns **P<.Ol. 非吃音者と吃音者問で,自尊心とメタレベル肯定度との相関について,ピヤスンの相関. 係数の同質性の検定を行ったが,有意な差は認められなかった。しかし,10%有意水準 のκ2の臨界値(冗2ニ2.71)に近い数値を示した。. 一30一.
(34) これは,吃音者の自尊心とメタレベル肯定度の関係が,非吃音者よりも深い傾向がある ことを窺わせる結果であった。. 3.1.4.非吃音者と吃音者の結果の検討 先行研究では,下記の結果を踏まえて,狭義の自己受容としての‘‘上手なあきらめ”の. 働きを,自己評価が低くてもなお自尊心の高い人のメタレベル肯定度の中に見出している。. ○自尊心の二元配置分散分析の結果 ・自己評価の主効果に有意性あり. ・メタレベル肯定度の主効果に有意性あり. ・自己評価とメタレベル肯定度の相互作用に有意性あり. ○メタレベル肯定度得点の高低による自尊心得点の差の検定の結果 ・自己評価低群においては,有意差あり. ・自己評価高群においては,有意差なし. 上記の結果を踏まえ,先行研究で確認された“上手なあきらめ”という自己受容的な構 えをもった人達が,本研究においても,自己評価低群に存在するかどうかを確かめたが, 先行研究と比較して,本研究で異なっている点は,次の通りであった。. ○自尊心の二元配置分散分析の結果 ・自己評価とメタレベル肯定度の相互作用に有意性なし(非吃音者も吃音者も共に). ○メタレベル肯定度得点の高低による自尊心得点の差の検定の結果 ・自己評価低群においては,10%水準で,有意差あり(非吃音者のみ). (10%水準ではあったが,有意確率は,5%水準に近い数値であった). ・吃音者においては,対象者が少なく分析不能 大きく異なる点は,自己評価とメタレベル肯定度の相互作用に有意性がない点であり, 先行研究と同様の結果にはならなかった。. また,メタレベル肯定度得点の高低による自尊心得点の差の検定の結果からは,非吃音 者の場合には,メタレベル肯定度が,媒介変数として自尊心の向上に役割を果たしている という可能性が示されるにとどまったが,吃音者の場合には,メタレベル肯定度が,媒介 変数として自尊心の向上に役割を果たしているという結果が得られた。. しかし,そのメタレベル肯定度の中に,狭義の自己受容としての“上手なあきらめ”の 働きを見出すまでにはいたらなかった。 一31.
(35) そこで,先行研究で立てられた仮説にっいて,再度検討した。 3.1.で述べたように,先行研究での仮説は,次のようなものであった。. メタレベル肯定度は,自己評価の高群よりも低群にとって,より自尊心の向上に. 作用しているであろう。つまりメタレベル肯定度は,自己評価の低い人にとって のみ“上手なあきらめ”として,自己受容的な構えの意味をもつであろう。(上田, 1996,P.328). 自己評価の低い人にとって,メタレベル肯定度が“上手なあきらめ”として,自己受容 的な構えの意味をもつとは,メタレベル肯定度が,自己評価の高群よりも低群において, より自尊心の向上に作用しているということである。. より自尊心の向上に作用しているかどうかは,メタレベル肯定度の高低によって,自尊 心得点に有意な差があるかどうかを,自己評価の高群と低群の間で比較することによって, 判断することができる。. こうした観点から,先行研究と本研究での結果を,再度見てみると,次の通りである。. ○先行研究. ・自己評価低群…メタレベル肯定度得点の高低による自尊心得点に,有意差あり. ・自己評価高群…メタレベル肯定度得点の高低による自尊心得点に,有意差なし ○非吃音者. ・自己評価低群…メタレベル肯定度得点の高低による自尊心得点に,有意差あり (10%水準で有意差あり。有意確率は5%水準に近い数値). ・自己評価高群…メタレベル肯定度得点の高低による自尊心得点に,有意差なし ○吃音者. ・自己評価低群…メタレベル肯定度得点の高低による自尊心得点に,有意差あり. ・自己評価高群…対象者が少なく,分析不能 先行研究の結果は,自己評価低群においては,メタレベル肯定度が,高群よりも,より 自尊心の向上に作用していることを示している。. 非吃音者の結果は,自己評価低群においては,メタレベル肯定度が,高群よりも,より 自尊心の向上に作用している傾向が強いことを示している。. 一32一.
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