EU離脱後の英国農業政策の行方 ─農業環境政策からGreen Brexitへの展開─
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(2) 20. 農業問題研究 第 50 巻第 2 号[通巻第 83 号] 2019. 1. 表1. 英国とイングランドの CAP 予算額の推移 (単位:百万ユーロ) 2014 年. 英国全体. 2015 年. 2016 年. 第1の柱. 3,234. 3,150. 3,121. 第2の柱. 1,065. 959. 806. うち EAFRD から. 798. 709. 641. うち共同支出分. 267. 250. 165. 4,299. 4,109. 3,927. イングランド 第1の柱. 2,048. 2,026. 2,018. 第2の柱. 666. 507. 608. うち EAFRD から. 563. 460. 529. うち共同支出分. 103. 47. 79. 2,714. 2,533. 2,626. 英国計. イングランド計. 資料:Defra(2017)“Agriculture in the United Kingdom”. 注:1)EAFRD は European Agricultural Fund for Rural Development(欧州農業農村 振興基金)の略である. 2)第2の柱の財源は,EAFRD(EU の財源)と,各国や地方自治体からの財源で ある共同支出分とで構成される.. 表2. イングランドの基礎支払い制度の単価. (Entitlement(=1ha)当たり£). 2015 年 Non-SDA upland SDA upland moorland (€/£換算レート). 基礎支払い グリーニング 基礎支払い. 2016 年. 2017 年. 171.83. 175.27. 180.46. 76.19. 77.71. 77.69. 170.60. 174.01. 178.90. グリーニング. 75.64. 77.15. 76.92. 基礎支払い. 45.07. 45.97. 49.63. グリーニング. 19.99. 20.39. 21.32. 0.73129. 0.85228. 0.89470. 参考:SPS 単価(概算) 242 195 34 -. 資料:Rural Payment Agency(各年)“An update on the Basic Payment Scheme”, SPS 単価の概 算値は Defra(2013) “Implementation of CAP reform in England: Consultation paper”. 算移管で補ってきた経緯がある.現行の 2014-2020 年 CAP 予算においても,英国は加盟国で最高比率であ る 10.8%を第1の柱から第2の柱に移管しており,そ の中でイングランドの移管率は 12%である2).それ でも 2016 年の CAP 予算に占める第1の柱の比率は, 各国からの共同支出分を含めても英国全体で 79%, イングランドは 77%と高い(表1). 英国の CAP 予算の運用は,配分された予算に基づ き4カ国それぞれが行っている.4カ国の運用の大枠 は似ているが,条件不利地域が多く畜産の比率が高い スコットランド,農業経営規模の比較的小さいウェー ルズと北アイルランドは,運用にその特徴を反映させ ている(European Commission 2016). 英国は平均農場当たり面積が 80ha と大きいこと もあり,単一支払いを受給するに必要な農場の最低 面積として,イングランドとウェールズは5ha,ス. コットランドと北アイルランドは3ha と,EU 加盟 国の中でも広い規模要件が課せられている(House of Commons 2014) . 表2はイングランドの第1の柱のほぼ全額を占める 基礎支払い制度(Basic Payment Scheme)の単価表 である.イングランドの基礎支払い制度は,前政策の 単一支払い制度(Single Payment Scheme)の時から, Non-SDA(いわゆる平野部) , Upland SDA(moorland 以外の丘陵地,moorland は丘陵地の中でも主として 放牧に使われる荒地を指す) ,Upland moorland(丘 陵地の中の moorland)という3つの地域区分に対し て単価が設定されている.しかし,前政策の単一支払 い制度においては,3つの地域区分間で単価に違い があったが,基礎支払い制度では,丘陵地域の農業 支援を強化するとの観点から,Non-SDA と UplandSDA の間の単価を同水準にしている.また,基礎支.
(3) 21. EU 離脱後の英国農業政策の行方. 表3. 第2の柱(4カ国の農村振興計画)の予算配分状況. イングランド 優先事項. 予算額. 割合. スコットランド 予算額. ウェールズ. 割合. 予算額. 北アイルランド 割合. 予算額. 割合. (単位:ユーロ) (%) (単位:ユーロ) (%) (単位:ユーロ) (%) (単位:ユーロ) (%) 1. RDP 予算の 4.43%. 2. 121,250,000. 2.99%. 3. 54,000,000. 3.28%. 4. 3,384,412,932 83.45%. RDP 予算の 2.85%. RDP 予算の 22.36%. 338,059,370 22.11% 54,000,000. 121,683,038 12.53%. 3.28%. 108,649,232 11.19%. 704,962,228 46.10%. 415,473,779 42.78% 80,454,040. 8.28%. RDP 予算の 6.24% 275,890,244 36.30% 36,487,805. 4.80%. 291,585,365 38.36%. 5. 27,500,000. 0.68%. 256,915,057 16.80%. 6. 397,285,856. 9.80%. 126,312,588. 8.26%. 技術支援. 85,250,000. 2.10%. 15,526,748. 1.02%. 38,834,717. 4.00%. 45,365,854. 5.97%. 予算総額. 4,055,698,788. 100%. 1,529,047,508. 100%. 971,259,401. 100%. 760,121,952. 100%. 206,164,595 21.23%. 13,231,708. 1.74%. 97,560,976 12.83%. 資料:European Commission “Factsheet on 2014-2020 Rural Development Programme for England” “Factsheet on 2014-2020 Rural Development Programme for Wales” “Factsheet on 2014-2020 Rural Development Programme for Scotland” “Factsheet on 2014-2020 Rural Development Programme for Northern Ireland”. 払い制度からは,EU 統一の制度として,その 30%は グリーニング要件3) を達成している場合に支払われ るようになっている.いずれにせよ,前政策の単一支 払い制度,現行政策の基礎支払い制度を通じ,イング ランドでは多くの農地4)に対して1ha 当たり年間約 250£(約 35,000 円5))が支払われているのである. 2)CAP の英国での運用:第2の柱 CAP の第2の柱は,EU と加盟国の共同支出によ り賄われ,各国・地域が以下の6つの優先事項につ いて農村振興計画(Rural Development Programme) を策定して実行する. 優先事項1:農林業と農村地域における知識移転と 革新の促進 優先事項2:すべての種類の農業の競争力向上と農 場の存続能力向上 優先事項3:フードチェーン組織と,農業のリスク 管理の振興 優先事項4:農林業に関わる生態系の回復・維持・ 増進 優先事項5:農業・食品・林業部門における資源効 率の促進と,炭素排出がなくかつ気候 に対する抵抗力の強い経済への移行支 援 優先事項6:農村地域における社会的包摂・貧困削 減・経済振興の促進,LEADER 事業 英国では,4カ国がそれぞれ農村振興計画を策定し ている.表3は4カ国の農村振興計画の予算配分を, 第2の柱の優先事項別に示したものである. イングランドの農村振興計画の特徴は,表3にある. ように,優先事項4の「農林業に関わる生態系の回 復・維持・増進」に予算の圧倒的な部分(83%)が向 けられ,いわゆる農業環境政策に特化した内容となっ ていることである.この他の優先事項(例えば優先事 項6の LEADER)の一部も農業環境支払いに含まれ る.イングランドの前の農村振興計画(2007-2013 期) においても農業環境政策の比率が高かったが,政府は 農業環境政策の占める比率を前プログラムの 83%6) から 87%7)に上げた.CAP 予算全体が縮小し,第1 の柱から第2の柱への財源移管率を他の加盟国に比べ 高くしても第2の柱に向けられる財源が縮小せざるを 得ない中で,前計画に比べて高い比率の財源を農業環 境政策に向けないと,前計画並みの予算が確保できな いということである8). イングランドの農村振興計画で農業環境政策の比率 がとりわけ高い理由について Natural England 9) の 担当者は,「これが予算の使い方として最も効果が高 いと考えるからだ.Defra10)担当大臣は,第2の柱は 環境向け事業のためのものと考えている.第1の柱で 設定されている環境要件が生み出す環境への貢献は非 常に少ないと考えており,第2の柱で財源水準を維持 しないと,環境目的を達成できない. 」 「英国政府はど の党が与党になっても,CAP による所得への助成は 正当化されないとのスタンスである.納税者の理解が 得られないと考えている. 」と述べた 11). 3)イングランドの農業所得の内訳と CAP CAP からの農業助成の農業所得に占める比率を 見たのが,表4である.イングランドの農業所得は, 2000 年頃から 2010 年代前半まで上昇傾向にあったが,.
(4) 22. 農業問題研究 第 50 巻第 2 号[通巻第 83 号] 2019. 1. 表4. イングランドの農場当たり所得の内訳 (単位:農場当たりポンド) 2012/13 年. 2013/14 年. 2015/16 年. 2016/17 年. 農業活動からの所得. 9,900. 6,600. -5,500. -2,500. 農業環境支払い. 5,200. 5,200. 5,500. 4,300. 農業の多角化. 7,800. 8,400. 10,300. 11,000. 単一支払い・基礎支払い(A). 23,700. 22,900. 21,100. 25,200. 農業所得計. 46,600. 43,100. 31,400. 38,000. 50.9. 53.1. 67.2. 66.3. 農業所得に占める(A)の割合(%). 資料:Defra(各年)“Farm Business Income by type of farm in England”. 穀物価格及び生乳価格の低迷などにより 2015 年度以 降は低下している.その中で,イングランドについて 農場当たりの農業所得をその内訳別に見ると,農業活 動から得られる所得が4年間で大きく減少している中, 直接支払い(単一支払い及び基礎支払い)の比率がポ ンド安の影響もあって拡大し,最新の 2016/17 年では 66%を占めている.同じく CAP からの助成による農 業環境支払いも 11%を占めている.農業活動からの 所得は変化が大きく,直接支払い,農業環境支払いが 経営の安定に大きく貢献していることがわかる. EU から離脱することは,CAP の助成制度の傘の 下から離れることであり,Brexit は特に農業者への 打撃が大きいと見込まれるのだが,各種調査によれば, 英国の農業者の過半は EU 離脱を支持するように投票 した.ただしこれには地域差が大きく,イングランド の農業者は全体としては離脱支持が多かったのに対し, 農業条件が比較的厳しいスコットランドやウェールズ, 東欧からの労働力依存度の高いイングランド南東部 の野菜地帯の農業者は EU 残留への支持率が高かった. EU 離脱を支持した農業者は,離脱によって EU の複 雑な環境規制や事務手続きから解放され,より自由に 生産することができるようになると期待しているとみ られている.. 3.イングランドの農業環境政策の変遷と特徴 Brexit 後の英国農政を表す「Green Brexit」の構想 の背景には,30 年に渡るイングランドの農業環境政 策の変遷がある.本節では,Green Brexit に至るま での,イングランドの農業環境政策の変遷と現行制度 の概要を取り上げる. 1)イングランドにおける農業環境政策の変遷 Natural England が 農 業 環 境 事 業 25 周 年 を 機 に 公表した「農業環境政策の変遷」(Natural England 2012)という資料からは,イングランドの農業環境政 策が,農業環境支払いを主要施策とし,そこに有機農 業振興,条件不利地域支払い,減反政策,農業者によ. る自主的な環境保全への取組などが組み合わさって構 築されていることがわかる.さらに,基礎支払いの受 給条件であるクロス・コンプライアンスに含まれてい る各種の規制(硝酸態窒素の投入規制など)や,2014 年からの基礎支払いに盛り込まれたグリーニングが, 農業政策における生物多様性保全のための政策ツール であると言えよう. イングランドの農業環境政策の中の主要事業であ る農業環境支払いの導入は,1970 〜 80 年代にかけ て農業の集約化がもたらす環境への悪影響が問題と なったことを受けたものである.1985 年の Broads の 湿原保全のための事業 12)を全国に拡大する形で 1987 年 に 導 入 さ れ た ESAs(Environmentally Sensitive Areas)が最初の農業環境支払いである.ESAs は特 定地域を対象にその地域内の農場における環境保全的 取組に対し助成するものであり,この事業はスコット ランドにおいても実施された.1991 年からイングラ ンドでは ESAs の対象地を拡げた CSS(1991 〜 2004 年:Countryside Stewardship Schemes)が導入され, 2005 年 か ら は Environmental Stewardship(ES) が 導入された.有機農業振興,条件不利地域支払いも やがて ES に統合された.2005 年に導入された ES は 2006 年で当時の農村振興計画(Rural Development Programme:RDP)が終期を迎えたが,導入された ばかりであったことから EU の 2007 〜 2013 年財政期 間のイングランド農村振興計画にほぼそのまま引き 継がれた.2014 〜 2020 年財政期間の新しい農村振興 計画の導入において,ES は新しい農業環境支払いで ある Countryside Stewardship(CS)に変更された. CS の運用は 2015 年からであり,現在に至っている (図1) . 2)Environmental Stewardship(ES) と Countryside Stewardship(CS) 2005 年に導入された ES は,それまでの農業環境支 払いが環境価値の高い特定地域を対象としていたのに 対し,初めての誰もが申請できる農業環境支払い制度.
(5) 23. EU 離脱後の英国農業政策の行方. 条件不利地域支払い 1976 HillLivestock Compensatory Allowance. 農業環境支払い 1970 年代 1985 Broads Grazing Marsh Conservation Scheme 1980 年代. 1987 Environmentally Sensitive Areas(ESAs) 1991 Countryside Stewardship Scheme (CSS). 1990 年代. 2000 年代 2005 Environmental Stewardship(ES) 2010 年代. 有機農業助成 1995 Organic Aid Scheme 1999 Organic Farming Scheme 2001 Hill Farm Allowance 2010 Upland ELSとし てESに統合. 2014 Countryside Stewardship(CS). 図1 イングランドの農業環境政策の変遷 資料:Natural England(2012)“Evolution of Agri-Environment Schemes in England”より筆者作成。. Countryside Stewardship. Environmental Stewardship. 農業環境 支払い. 環境価値の高い農地に対しオーダー メイドの高度な環境取組を行う 支払い単価は取組内容による. 上級レベル. 入門レベル. 申請すれば誰でも参加できる 取組内容は易しい 1年1ha当たり30ポンド. 上級レベル事業を ほぼ踏襲. 高度事業. 中度事業. 申請された中から審査・採択される 取組内容高度事業より易しい 支払い単価は取組内容による. (申請すれば全て採択されるわけでない). クロスコンプライアンス. 単一支払いを受給するための条件として設定されている 環境に優しい農業活動. 図2 Environemntal StewardshipとCountryside Stewardshipの構造 (クロス・コンプライアンスと農業環境支払いの関係) 資料:筆者作成。.
(6) 24. 農業問題研究 第 50 巻第 2 号[通巻第 83 号] 2019. 1. 表5. Countryside Stewardship 事業のメニューと単価の例 オプション内容. 単価. Higher Tier. Mid Tier. AB1. 蜜の豊富な花のミックス. £511/ha. ○. ○. AB9. 冬季の鳥の餌の確保. £640/ha. ○. ○. BE1. 耕地内の立木の保全. £420/ha. ○. ○. BE4. 伝統的な果樹の管理. £212/ha. ○. ×. CT1. 海岸の砂地と植生の管理. £314/ha. ○. ×. ED1. 教育目的のアクセスの確保. £290/訪問. ○. ×. GS1. 永年草地の非常に低投入での管理(SDA 地域以外). £95/ha. ○. ○. GS5. 永年草地の非常に低投入での管理(SDA 地域). £16/ha. ○. ○. GS6. 種の豊富な草地の管理. £182/ha. ○. ×. OR4. 有機農業への転換(園芸作物). £400/ha. ○. ○. OT3. 有機農地の管理(畑地の輪作). £65/ha. ○. ○. 単年度の土木事業 BN5. 生垣の設置. £9.4/m. ○. ○. BN12 石垣の修理. £25/m. ○. ○. FG9. £7.2/m. ○. ×. 鹿対策用の柵の設置. 資料:Natural England(2016)“Countryside Stewardship: Higher Tier Manual” “Countryside Stewardship: Mid Tier Manual”. である点で画期的であった.ES の構造は図2のよう に2段階となっている.さらにその土台として,農業 者にとってほぼ義務的な要件である,単一支払いの受 給要件としてクロス・コンプライアンスが設定されて おり,この中には環境関連の要件が多く含まれている. ES の う ち 上 級 レ ベ ル 事 業(Higher Level Scheme) は ESAs 及び CSS の継続事業としての性格を持ち, 入門レベル事業(Entry Level Scheme)は取り組み やすいメニューで,申請すれば誰でも参加できる内容 となっていた 13).ES 終了時の 2014 年にはイングラ ンドの農地の 70%以上が農業環境支払いの受給対象 地となり,中でも入門レベル事業は農地の 65%で実 施されており(Natural England 2014),ES の当初の 目的の1つである「より広く浅い農業環境政策」の導 入という事業目的は達成されたと言えよう(西尾・和 泉・野村・平井・矢部 2013). 2014 年から導入された CS は ES のこの農業環境支 払いの2段階構造をほぼ踏襲したものである.CS は, 大きく3種のプログラムで構成される. ・高度事業(Higher-Tier) ・中度事業(Mid-Tier) ・生け垣や石垣の構築目的など,上記2事業の対象 外である初歩的な事業向けの投資助成 このうち Higher-Tier は,ES の上級レベル事業を 基本的に引き継いだものである. 他方,前制度からの最大の変更点は,ES の入門レ ベル事業が,申請すればほぼ自動的に助成対象とな. り,実績的にもイングランドの農地の 65%を対象と する「広く浅い事業」であったのに対し,中度事業は 高度事業同様に申請された案件の中から審査・採択さ れ,自動的に助成されるわけではないことである.中 度事業は事業対象が限定されることが ES との大きな 違いとなっている(図2). また,ES の入門レベル事業では取り組むオプショ ンのポイントを満たせば1ha 当たり 30 ポンドという 一律の単価が支払われたが,中度事業は高度事業と同 様に取り組むオプション毎に設定された単価が支払わ れる(表5).表5からも見て取れるように,現行の 英国の農業環境支払いは,生物生息地及び景観の保全 にとどまらず,伝統的作物種の保全,教育,森林保全, 海岸保全,条件不利地域支援,有機農業支援など幅広 い事項が対象となっている.イングランドの過去 30 年間の農業環境政策の変遷の中で,農業環境支払いが, 限定された地域での環境保全から,全農地を対象とし 農業のさまざまな多面的機能の保全・向上のための制 度へと発展してきたことが分かる.. 4.Green Brexit の現時点での内容 1)Brexit と農業・環境政策 EU の政策における農業の比重の高さ,英国の農場 の所得に占める EU からの助成金の重要性に鑑みれば, Brexit 後の農業政策の行方は英国農業の将来に大き な影響を及ぼすことは容易に想像される.他方,生物 多様性保全など農村地域の環境についても,CAP の.
(7) EU 離脱後の英国農業政策の行方. 25. 第2の柱の農業環境支払いが農地の生物多様性保全の. 的とする,独立した新しい環境監査機関の設置に向け. 取組の主要政策であることから,農業政策の行方に関. ての検討を開始することを表明している 18).. 心が集まっている.例えば Brexit により農業への財 政支援が削減されることで,特に農業条件が不利だが 環境価値の高い地域の環境が損なわれることへの懸念 が表明されている 14). 英国の農業政策については,2017 年6月の女王の 議会演説 15)において,英国政府は Brexit 後の政策に 対応するための農業法と漁業法を制定することが公表 された.また,当面の農業に対する支援策について, 英国政府は EU 離脱後も 2020 年まで基礎支払いと農 村開発資金(農業環境支払いなど)を同水準で支払う としている 16). Brexit の農業分野への影響と対応方向について扱っ た英国上院の欧州連合に関する委員会報告では,英国 の EU からの離脱は,中長期的には,農業・環境・食 料政策をより効率的に統合し改善する機会であるとし つつも,短期的には,EU 及び EU 外諸国との貿易関 係,食品品質基準などの法制度の行方,農業部門への 公的支援のあり方,労働力へのアクセスの点での農業 への影響に対処する必要があるとしている(House of Lords European Union Committee 2017). 2)Green Brexit EU 離脱後の英国の農業環境政策の方向について, 2017 年夏以降のキーワードとなっているのが, 「Green Brexit」である.EU 離脱を環境施策の強化の機会と 捉え,野生生物・景観・自然を維持のみならず向上さ せるような政策を導入しようという Green Brexit は, 農業への助成は,水・空気・土壌・生物多様性など農 業の提供する公共財に対して行われるべきだとの考え 方に基づく.これまでの農業環境政策を踏まえ , 農業 政策の次の方向として示されている Green Brexit に ついて,現時点(2018 年5月)までに判明している 内容を概観する. (1) Green Brexit. Defra の マ イ ケ ル・ ゴ ー ヴ 大 臣 は,2017 年 7 月 21 日の世界野生生物基金(WWF)の総会において, “The unfrozen moment-Delivering a Green Brexit” という講演を行った 17).その中で,農業政策につい て,2022 年まで CAP からの財政支援と同額の農業支 援が継続され,その後も農業支援は継続されるが,現 行 CAP による面積当たり支払いで豊かな農家がより 豊かになるのではなく,生物多様性や生息地保全に貢 献するような支払いを志向している事を表明した. 2017 年 11 月にゴーヴ大臣は,Green Brexit を執行 するため必要な,高い水準の環境を維持することを目. (2) 2018 年1月のゴーヴ大臣の講演:Farming for the next generation. 2018 年 1 月 に Oxford Farming Conference 2018 に お い て, ゴ ー ヴ 大 臣 が “Farming for the next generation” というタイトルで行った講演は,Brexit 以降に英国農政がどのような方向を目指すかについて 英国政府としての考え方を示すものとして注目され た 19). Farming for the next generation の概要. 持続的な成長のためのあらゆる計画の根本には自然 資本の保全・増進を据えなくてはならない.英国の誇 る農業や農村の繁栄を将来に継続させるためには,新 しい環境に対応して,農業政策も変革しなくてはなら ない. Brexit が意味するのは,将来に向けていかに我々が 対応し変革するかを自ら決められる機会を取り戻すこ とである.農業,食料,経済,環境政策を,CAP で はなく自らが自分達の目的に照らして構築することで ある.CAP は第二次世界大戦後に食料不足の記憶と ともに設計され,その後改革をされてきたとはいえ, その構造には根本的な欠陥がある.農地面積に応じて 土地所有者に支払うというのは,より豊かな人に公的 資金を投じることであり,正当性がなく,非効率であ る.農地価格を上げ,市場を歪め,若い農業者の参入 を阻害し,資源利用効率の低い生産方式を温存させて いる.農業環境支払いの中身のほとんどは,定められ た幅の緩衝帯の設置であり,真に生態にとって健全な 光景ではない.近年の Pillar1 のグリーニングには環 境保全効果はほとんどない. まずは Defra 自らの改革である.CAP からの助成 金の支払いは時間がかかりすぎ,CS は制度が複雑す ぎ,農場監査が様々な機関によって煩雑かつ非効率に 行われていることについての改革に取り組む. その上で,政策に関して特に次の4点の改革を行う. ●農業,他の事業者,消費者,健康や栄養,環境が 統合された食料政策を構築する ●農業者や土地の管理者には,急激な制度変更では なく,将来の変革に対応するための時間と手段を 提供する ●非効率な助成金制度をやめ,公的資金が公共財に 支払われるような新しい農業助成手法を構築する ●農村地域の真の持続的な未来を構築するために, 全ての土地の利用と管理に関して「自然資本」の 考え方を導入する..
(8) 26. 農業問題研究 第 50 巻第 2 号[通巻第 83 号] 2019. 1. 1点目の食料政策に関しては,経済,健康,環境面 を統合した農業から食料消費までのフードチェーンと しての取り組みが必須である.飲食料産業は英国最大 の製造部門であり,それを可能にしてきたのは高い品 質と持続性である.貿易交渉によって,動物福祉や環 境水準を下げることは愚かなことであり,英国はバ リューチェーンの頂上で競争を続ける.そのためには 品質の裏付けが必要であり,EU 離脱後は食料と農業 が高い水準にあることを示す新しい表示制度を構築し たい.土壌の健全性,汚染防止,水質対応,動物福祉 といった事項も含めた世界を先取りするような表示を したい.消費者は価格以外の価値で食料を選ぶことが 増えており,食料生産の将来は差別化された高品質な 製品の方向にある. EU との貿易関係がどうなるかは現時点では不明だ が,農産物・食品のアクセスが無関税で行われる新し い経済パートナーシップが EU との間で構築されるこ とを確信している.さらに,中国向けなど,EU 諸国 と競争しつつ新しい市場開拓を目指さなくてはならな い. また,農家や中小企業に低価格を強いるような市場 への介入も考える.しかし,このような取り組みは民 間・市場によって進められるべきであり,政府の介入 はターゲットを明確にし,限定的でなければならない. また,食料生産と健康との関係も考えねばならない. 食生活は増加しつつある肥満,糖尿病,ガンなどに関 連しており,自分は教育大臣であった時に給食のみな らず子供への食育も含めた学校食料計画を導入したが, 公的資金が食料生産を支援するのであれば,それは 人々の健康にも資するものでなくてはならない. また,政府のフードチェーンへの介入は,経済的正 当性,社会的包括性が求められ,例えば経済的には苦 しいが景観保全に大きく貢献している丘陵地の羊農家 や,食の貧しい人に届かず捨てられている余剰食料を どうするかといったことがある. これらの課題を総括的に捉える食料戦略を今後構築 していく.農業はその中で先導的な役割を果たすこと ができる. 2点目に,このような大きな変革に対し,農業者に は適用するための時間と手段が必要である.2019 年 3月に EU を離脱した後も,2年程度の適応期間を 設定する.現在の下院議員の任期満了となる 2022 年 まで,農業分野への助成水準は維持される.EU 離脱 前の CS の合意は継続される.2019 年の基礎支払い (BPS)は,現行と同じ算定方法で支払われる.イン グランドの BPS は適応期間中も支払うことを見込ん. でいる.その間に BPS の削減を高額受給者を対象に 行う予定である. これらについては今春に公表を予定している 「Command Paper」で詳細を発表し,パブリック・ コメントを求める予定である. 3点目に,我々が投資の対象とする公共財の主要な ものは環境の向上である.生産性の高い農業と自然の 保全は両立する.例えば,不耕起栽培は,経営・環境 双方の点で優れている.最も持続的な土地の管理方法 の導入に取り組む農家を選び新しい支援を行うことを 計画している.また,過去の農業環境政策を土台に, 自然環境を向上させたいとする誰もが対象となるよう な制度を構築する.さらに,広域の環境保全への包括 的な取り組みに対する追加的な助成制度を構築する. EU 離脱は Green Brexit を提供する機会である.その ためには,公共財だけでなく,技術への投資やスー パー・ブロードバンドの設置が必要である. 人々,特に学校の子供達が農場を訪れ農村を理解す る機会が重要である.パブリック・アクセスの確保は 公共財の1つである. このように公共財の対象は膨大だが,政府の予算に は限りがある.何が優先されるべきかについてはパブ リック・コメントを求めるが,その大前提として,公 的支援の対象となるのは市場から取り残された公共財 のみである,ということからスタートしなくてはなら ない. このことが4点目の「自然資本」の重要性につなが る. 我々の農村の価値は経済のみで測れるものではない. しかし,その価値を公共政策で捉えるのは必ずしも容 易ではない.そこに「自然資本」アプローチの価値が ある. (3) 2018 年2月のパブリック・コメントの募集. ゴーヴ大臣は「パブリック・コメントを求める」と 講演内で言及したが,それは 2018 年2月に実施され, Defra は将来の農業政策についての提案文書 “Health and Harmony: the future for food, farming and the environment in a Green Brexit”20)を公表し,これに 対する意見を広く求めた.文書は主としてイングラン ドを対象とし,意見提出の期限は 2018 年5月8日に 設定された. “Health and Harmony” の論調は「EU 離脱を英国 農業の新しいチャンスと捉える」「公的資金を公共財 へ」など 2018 年1月のゴーヴ大臣の講演を踏襲して おり,意見を求めている主要項目は以下のようなもの である..
(9) 27. EU 離脱後の英国農業政策の行方. ・2019 年3月に予定されている EU 離脱後,2年程. 面に焦点を当てるべきとしている.. 度の移行期間の設定が交渉されつつあるが,農業. また,農業者をはじめとする農村の土地所有者の. の移行期間として追加としてどの程度を設定する. 団体である Country Land and Business Association. か. (CLA)は,現行の助成金の急激な削減や,大規模農 ・その期間中に直接支払いの廃止をどのように実施 業者に傾斜した削減に反対しており,EU との貿易関 するか. 係の見通しや,移行期間中の新しい投資の方途,現行 ・試験研究・技術の普及・投資・若い農業者への支 制度に代わる新しい助成の内容を明確にした上で,現 援をどのように進めるか. 行の助成水準を削減すべきだとしている. ・どのような「公共財」について政府は支援すべき 5.英国離脱後の農業政策の展望と日本への示唆 か. ・結果に基づく農業環境支払いの導入をどのように これまで見てきたように,英国政府は EU 離脱後は 行うか. 英国の農業所得の大きな部分を担っていた直接支払い ・動物福祉についてどのような政策が必要か. を廃止するとしており,それに代る農業助成の手法 ・農村コミュニティをいかにして活性化すべきか. として現行の CS よりも対象を広げた(例えば,食農 ・農業におけるリスク対応のためのどのような手法 教育や農村コミュニティ振興を含む)新たな土地管理 を導入すべきか. 事業を模索している.また,ゴーヴ大臣は講演などに 上記項目からわかるように,提案文書は英国の農業 おいて再三農業においても汚染者負担原則を適用すべ 者の農業所得の多くを占める EU の第1の柱からの直 きとの主張を行っている.これらを勘案すれば,農 接支払いを廃止することが前提となっている.Defra 業支援の中身は図3のような姿になると考えられる. によれば,提案文書に対して多数の意見が提示され, CAP の価格支持の名残である直接支払いはなくなり, 現在政府内でとりまとめ中とのことであるが,主要農 農業者の活動が公共財にプラスであれば支払いがなさ 業団体の意見を紹介しておく. れ,マイナスであれば負担を求める,という単純化さ 農業者団体である全英農業者協会(NFU)は,「英 れたものとなる. 国の農業者が英国市場の第一の供給者でなければなら Brexit の 行 方 自 体 が 未 だ に 混 沌 と し て い る 中 ない」とし,政策は農業者の生産性,不安定性,環境 Brexit 後の農業政策がどうなるのかを明確に見通す. 現在の構造. 助成. 農業環境 支払い. EU離脱後. 上級レベル. 新たな土地管理 支払い. 環境以外の 分野も対象?. 一般レベル. 農業者の責任. 単一支払いの く クロス・コンプライアンス. 規制・賦課. 一般レベルの一部?. 環境汚染への負担. 図3 EU離脱後に予想される英国農業政策の主要構造 資料:筆者作成。.
(10) 28. 農業問題研究 第 50 巻第 2 号[通巻第 83 号] 2019. 1. ことは難しいが,英国政府の一連の動きからは,EU 離脱を機に,単に環境を保全するだけではなく,高品. Brexit の 行 方 自 体 が 未 だ に 混 沌 と し て い る 中 Brexit 後の英国の農業政策がどうなるのかを明確に. 質や高い動物福祉水準を維持し,それによる英国農業. 見通すことは難しいが,英国における自国農業の強み. の差別化や海外市場への展開を狙っていることが伺え る. これまで見てきた Green Brexit に向かう英国農政 の流れが日本の農業・農政に示唆すると思われる事項 を2点あげておきたい. 1点目は政策目的の明確化と,それに対する農業者 の義務と助成のラインの設定である.助成の対象を明 確にすることで世論の支持を得,また,その内容は高 い環境保全,高い動物福祉水準,高品質といった英国 農業の強みを発揮する方向へと誘導しようとしている. 日本においても,日本農業の持つ強み,他国には無い 価値に焦点を絞った農業助成を考えていくべきではな いか. 2点目は,今後英国でそれぞれの農場が生み出す多 様な公共財を評価し,助成しようとすれば,農場の総 合的な認証制度の構築が必要となる.英国にはすでに そのような総合的農場認証として民間による LEAF 認証があり,政府は新たな認証制度を構築することを 検討している.既存の有機認証や GAP よりも認証内 容が拡大し,地域との関わり,エネルギー,動物福祉 などが盛り込まれるであろう新しい農場認証の方向を, 日本も十分にウォッチ,検討しておく必要があろう.. を後押しする政策目的の設定,事業実施に必要な農場 評価のあり方などは,日本の農政の方向にとっても示 唆となると思われる.. 注 1) EU の 2014-2020 財政期間の予算に占める CAP 予 算の割合は約 36%である . 2) イングランドの移管率は 12%となったものの,政 府は 2018 年度以降 15%に引き上げる可能性を示唆し ている. 3) グリーニングは 2014-2020 年期に導入された,基礎 支払いの 30%を,EU の統一の3カテゴリーである作 目の多様性確保,永年草地の維持,EFA(Ecological Focus Area)の設置の要件が達成された場合に支払 う制度である. 4) イングランドの農地の 85%は non-SDA(すなわち 平地)に区分されている . 5) 1£ = 140 円で換算 . 6) House of Commons Environment, Food and Rural Affairs Committee(2013)“Implementation of the Common Agricultural Policy in England 2014-2020”. 7) Defra(2014)“An introduction to the new Common Agricultural Policy schemes in England” 6.結論 8) ただし,イングランドの農村振興計画予算総額が 2007-2013 年期の 52 億ユーロから 2014-2020 年期には 本稿では,イングランドの 30 年間の農業環境政策 41 億ユーロに削減されたため,農業環境政策の予算 の変遷を経て,英国の EU 離脱後の農業政策「Green 額は 42 億ユーロから 34 億ユーロへと減少している. Brexit」は, 「公的資金は公共財へ」との考え方をも 9) イングランド自然保全局.英国政府の公的機関であ とに,農場所得の6割を占める農地面積当たり支払い り,自然環境の保全を目的とし,国立公園などの指定 をやめ,これまでの農業環境支払いを土台とする土地 と管理,市民の農村へのアクセス権の確保などを行う. 管理事業の導入を志向する過程をみてきた. 農業環境事業の実施を担当している. イングランドの農業環境政策は,1970 〜 80 年代に 10) 環 境 食 料 地 域 省.Department for Environment, かけて農業の集約化がもたらす環境への悪影響が問題 Food and Rural Affairs.2001 年に農漁業食料省と環 となったことを契機に導入され,その後限定された地 境運輸地域省などが合併されてできた.共通農業政策, 域での環境保全から,全農地を対象とし農業のさまざ 気象変動,自然保全などを所管する . まな多面的機能の保全・向上のための制度へと発展し 11) 2014 年 9 月 12 日 に 和 泉 が イ ン グ ラ ン ド の 次 てきた. 期 CAP 対 応 及 び 農 業 環 境 支 払 い に つ い て Natural 英国政府は EU 離脱を環境施策の強化の機会と捉え, England に行ったヒヤリングより. 農地面積当たり支払いを経過期間を経て廃止し,助成 対象を農業がもたらす公共財に絞る方向を示している. 12) Broads Grazing Marsh Conservation Scheme. イ ングランド中東部にある Broads 湿原を保全するため その土台となっているのが,これまでの農業環境政策 に,農業者に排水と耕耘をしないことに対する支払い の蓄積である.しかし助成対象となる公共財としては, を行った . 環境以外に動物福祉,健康,教育,地域コミュニティ 13) Environmental Stewardship の 詳 細 な 内 容 及 び 運 など幅広い事項が検討されている..
(11) 29. EU 離脱後の英国農業政策の行方. 用事例については,西尾・和泉・野村・平井・矢部 (2013)を参照されたい. 14) 例えば,Martin Harper(RSPB Website) (24 Oct 2017)“What does BREXIT means for farmers and the environment?” を参照されたい . 15) UK.GOV(21 June 2017)“Queenʼs Speech 2017”. 16)UK.GOV(13 August 2016)“Chancellor Philip Hammond guarantees EU funding beyond date UK leave the EU”. 17) UK.GOV(21 July 2017)“Speech: The unfrozen moment-Delivering a Green BREXIT”. 18) UK. GOV(12 November 2017)“Press release: New environmental protections to deliver a Green Brexit”. 19) UK.GOV(5 January 2018)“Speech: Farming for the next generation”:要約・翻訳は筆者. 20) Defra(2018)“Health and Harmony: the future for food, farming and the environment in a Green Brexit”.. Defra(各年)Agriculture in the United Kingdom. Defra(各年)Farm Business Income by type of farm in England. European Commission(2016)Direct payments 20152020, Decisions taken by Member States. House of Commons(2014)CAP reforms 2014-2020: Implementation Decisions in the UK(SNO6929). House of Lords European Union Committee(2017) Brexit: agriculture. Natural England(2012)Evolution of Agri-Environment Schemes in England. Natural England(2016a)Countryside Stewardship: Higher Tier Manual. Natural England(2016b)Countryside Stewardship: Mid Tier Manual. Natural England(各年)Land Management Update. 西尾・和泉・野村・平井・矢部(2013)『英国の農業環境 政策と生物多様性』筑波書房 . Rural Payment Agency(各年)An update on the Basic. 参考文献 Defra(2013a)Implementation of CAP reform in England: Evidence Paper. Defra(2013b)Implementation of CAP reform in England: Consultation paper.. Payment Scheme. (2018 年6月 21 日受付) (2018 年 12 月4日受理). 要旨:英国の EU 離脱後の農業政策「Green Brexit」は,「公的資金は公共財へ」との考え方をもとに,農場所 得の6割を占める農地面積当たり支払いをやめ,これまでの農業環境支払いを土台とする土地管理事業の導入を 志向している.公共財として,環境以外に動物福祉,健康,教育,地域コミュニティなど幅広い事項が検討され ている.自国農業の強みを後押しする政策目的の設定,事業実施に必要な農場評価のあり方などは,日本の農政 の方向にとっても示唆となるだろう. キーワード:英国,Brexit 後の農業政策,Green Brexit,農業環境支払い.
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