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事前の外廷認識度及び言語化された分類理由の違いが幼児の図形概念の学習に及ぼす影響について―三角形・四角形の学習の場合―

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全文

(1)

事前の外廷認識度及び言語化された分類理由の違い

が幼児の図形概念の学習に及ぼす影響について―三

角形・四角形の学習の場合―

著者

胡 玉華

雑誌名

東北教育心理学研究

8

ページ

1-14

発行年

2001-03

URL

http://hdl.handle.net/10097/00121885

(2)

事前の外延認識度及び言語化された分類理由の違いが

幼児の図形概念の学習に及ぼす影響について

一三角形・四角形の学習の場合一

玉 華

(福島大学経済学部・非常勤講師)

1.問題と目的

我々は生後に様々な概念を学習し使用することによっ て、外界の多様な刺激に一対ーに対応することなく対処 することができる。そのような概念のlつに図形概念が ある。この図形概念の学習は、例えば、 1つの学習内容 として幼稚園教育では日常生活の中で数量や図形などに 関心を持つというふうに取り上げられ(奥田ら,

.

1

9

8

9

p

5

1

p

1

5

5

参照)、また小学校

2

学年算数の内容として 図形が取り上げられている(~小学校学習指導要領 J

p

3

2

-

-

-

-

-

3

5

参照)。しかし、図形概念はこのような場で初 めて教えられ学習されるというよりは、日常的な生活の 中で経験し教えられることによって不十分な形で学習さ れていると考えることができる。従って、幼児が所持し ている図形概念の内容を知り、その不十分なところを補 う手だてを考えることは、後続の教育を考える上でも意 味のあることであると考えられる。 幼児を対象にした図形概念の学習に関する先行研究 (麻柄・伏見,

1

9

8

2

;

伏見・麻柄,

1

9

8

6

)

においては、 1)幼児は正三角形や正方形などの等辺図形

(

r

e

g

u

l

a

r

f

i

g

u

r

e

t

y

p

e

、以下

R

f

型図形と略記)は三角形や四角形 と認識できるが、不等辺三角形や不等辺四角形などの不 等辺図形(i

r

r

e

g

u

l

a

rf

i

g

u

r

e

t

y

p

e

、以下If図形と略記) は三角形や四角形とは認識できない、 2)こうした幼児 に三角形及び四角形概念の学習を援助する際にはIf型 図形を焦点事例として「曲がり角(頂点)が

3

つあれば 三角形、曲がり角が4つあれば四角形」というルールを 教授することが効果的である、 3)If型図形を用いても 効果的ではない幼児には、始めに

R

f

型図形を用いて jレールを教授し、ついで次第にIf型図形へと変形した 事例を用いてルールを教授するという教授系列が効果的 であることが明らかにされている。そして、彼らは、幼 児は等辺・等角である正三角形や正方形にこだわりを持 っており、そのこだわりが強いほど、If型図形を三角形 や四角形として受け入れることができないので、この教 授系列が有効であると説明している。 伏見らが説明に用いた「等辺・等角へのこだわり」と いう学習者の事前認識は教授後の図形分類課題の成績か ら推定されたものであり、その妥当性はこの要因を独立 変数として操作することによって確かめられる必要があ ろう。例えば、「等辺・等角へのこだわり」が事前にあ る場合には、幼児はおそらく

R

f

型図形しか三角形・四 角形と認識しないであろうし、そのこだわりから事前に 脱却できていればIf型図形までも三角形・四角形と認 識できるであろう。筆者はこのような考えに基づき、事 前の図形分類課題における外延の認識度の違いという要 因を取り上げ、教授する際の焦点事例の違いという要因 との聞に交互作用現象の見られることを見出した(胡,

1

9

9

8

)

。即ち、

R

f

型図形しか当該事例と見なさない子ど もには

R

f

型焦点事例による援助の方がIf型焦点事例を 用いた援助よりも効果的であり、

Rf

型図形と一部If型 図形を当該事例と見なせる子どもにはIf型焦点事例に よる援助の方が

R

f

型焦点事例を用いた援助よりも効果 的であることを見出したのである。しかし、前者の援助 によっては事後の正答率が54%であり、十分な改善とは いえない結果であった。従って、なぜ十分な改善がなさ れなかったかという問題の解明と十分な改善をもたらす 教授法の同定が問題として残されたことになる。 本研究では、この問題の具体的な解決を試みるが、そ の前に、概念や概念のルールの学習を援助する際の重要 なポイントを明らかにしておかなければならない。それ は細谷(1

9

9

6

)

の次の指摘によく表現されている。『学 習の援助という作業は、単に知らないことを知らせてや ること、わかっていないことをわかるようにしてやるこ と、というよりは、誤ルールの体系を、正しいルールの 体系へと変換する(あるいは組み替える)ことを援助す るという作業なのである。~ (細谷,

1

9

9

6

p

1

6

0

)

。つま り、概念や概念のルールの学習を援助することは、『一 方においてどのような論理構造を持つ「ルール・システ ム」の構成の援助をめざすかに依存し、他方、相手がど

(3)

のような「誤ルール・システム」をもってしまっている かに依存するIJ(細谷, 1996, p124)というのである。 言い換えれば、概念学習の援助とは、教師が学習者にお ける既存の誤ルールを目標とする正しいルールへの変換 を援助することなのである。従って、図形概念の学習の 援助に先立つて、以下の2点を明らかにしておかなけれ ばならないといえる:1)学習目標である図形概念の内 包をいかに定義、しておくか? 2)学習者は学習前に図 形概念に対してどんな内包に関連する認識を持っている か ? この2点について、麻柄・伏見(1982)では、 1)学 習目標として、図形の頂点の数を手がかりにした『まが り角が3つあるのが三角形であり;まがり角が4つある のが四角形である』というルールを採用し、また、 2) 学習者は『頂点の数や辺の数だけを手がかりにしている のではなく、三角形に関してはその図形が等辺(等角) を持つか否かに、四角形に関してはその図形が直角や等 辺を持っか否かにこだわっている』と推定した。しかし、 学習者がこのような認識或いはこのような認識に基づい た分類理由を持っているということは、事前の図形分類 課題に対する子どもの反応に基づく解釈或いは推測であ る。実際、学習者の三角形・四角形に関する事前の分類 理由については、先行研究では直接問題視されることは なかったといってよい。学習者の概念の誤った内包を正 しい内包へ組み替えることを目標とする研究では、学習 者がどんな誤った分類理由を事前に持っているかを実際 に測定しておく必要があろう。これに関して、筆者の行 った事前調査(胡, 1998②)では、 1)例えば、図形の 等辺・等角性に着目する子どももいれば、ドアに似てい るから四角形だというように図形全体の形状と実物との 類似性に着目する子どももいるなど、その分類理由は多 様であった。従って先行研究で推測されたそれよりも多 様である可能性がある。 2)同じ外延認識度を示す子ど もの中に、 R型焦点事例を用いた同ーの援助を行って も、それが有効だった子どもとそうでない子どもがいた。 この結果は、外延分類課題は同成績であったが分類に際 して使用していた分類基準が異なっており、同ーの援助 を受けてもその効果が異なったという可能性を示してい ると考えることができる。 本研究では、1)図形の分類理由を言語化させた場合、 その違いが見られるか、 2)同じ外延認識度を示す学習 者においても、言語化された事前の分類理由が異なる学 習者では、同じRf型焦点事例或いはIf型焦点事例を用 いた援助法を採用しでもその効果が違うか、という2つ の問題を解決することが目的である。 この 2つの問題の解明にあたり、まず、 1)学習者の 図形分類理由の違いを調べる調査を行い、次いで、 2) 言語化された図形分類理由の違い及び外延認識度の違い と学習効果との関係を明らかにすることを目的とする実 験を行う。

2

.

調 査

2.1 . 目 的 幼児を対象に、彼らが図形概念を学習する前に所有し ている外延認識及び図形分類理由の実態を把握すること を目的とする。 2.2.手 続 中国上海市ある幼稚園園児59人(平均年齢4.2歳)を 調査対象とした。調査は個別形式で行い、幼児全員に「図 形分類課題」と「分類理由を問う課題」を課した。 A・「図形分類課題J; a)ウサギ、パンダ、スワンの絵 を添付した箱をl箱ずつ用意する。 B) 10cm x 10cm カードの上に図形を描き、このカードをRf型図形とIf 型図形各10枚ずつ20枚を用意した(図1参照)。それら は三角形カードと四角形カードそれぞれ5枚ずつを含 む。 c)

I

これからいろいろな形のカードを動物に配り ます、勝手に配るのじゃだめです。ウサギさんには三角 のカードをあげてね、パンダさんには四角のカードをあ げてね、スワンさんにはどちらでもないカードを持って いてもらいましょうねりと図形分類課題のやり方を説 明する。 d) カードを 1枚ずつ子どもに見せ、分類させ るときに、「これは三角かな四角かな、それともどちら でもなし、かな」と尋ね、子どもに判断してもらってから、 「三角だから、ウサギさんにあげるよね」などと教示す る。

B

・「分類理由を問う課題J ; e) 図形の分類が終わっ たら、 3箱の図形をすべて取り出して並べてから、「ウ サギさんには三角だっていうカードを持っていてもらっ たんだよね。はい、こんなカードなんだね。どうしてこ のカードはみんな三角だってわかったの?教えて

?

J

と 聞き、幼児が所有している三角形の分類理由を言語化さ せる。四角形の分類理由に関しても、同じ教示で問い、 言語化させる。 幼児の事前の外延認識度と言語化された分類理由の違 いをデータ化するために、正答した図形の種類 (Rf型 図形かIf型図形か)、各図形の正誤状況と正答数、及び 言語化された分類理由を記録用紙に記録する。

(4)

7

A

1

l

¥寸ト久

¥

図1テ ス ト 用 図 形 注: 1 図形のそばに書いてある数字が提示順を示す。 2 図形 1・2は提示事例であり、不採点 4

2

.

3

.

結 果 類できる、という

3

タイプに分類することにする。 結果の分析にあたっては、次のような観点から分析を試 今回の調査においては、正三角形(図形 1)・正方形 み る 。 ( 図 形2)はその後のルール教示に

R

f

型事例として用

2

.

3

.

1.外延認識度の分析について いられるため、図形

1

2

を除いて、計

1

8

枚図形を採点 図形概念の外延に対しては、筆者の先行実験(胡、 対象とし、各図形の正答にl点を与え、

1

8

点を満点とす

1

9

9

8

)

に基づいて、学習者の認識度について、

1

)R

f

型 る。 図形のみ分類できる、

2

)R

f

型図形のほか一部のIf型 得点

1

7

点(正答率:

17/18=94%)

以上、正答した図 図形も分類できる、

3

)R

f

型図形とIf型図形両方を分 形に

R

f

型図形

8

枚(正答率:

8/8 =100%)

、If型図

(5)

形9枚(正答率:9/10=90%)以上がある者を

i

R

f

型図形とIf型図形両方を分類できる」者、得点17(正 答 率 :17/18=94%)以下、正答した図形にIf型図形 l枚(正答率 1/9=11%)以上、 8枚(正答率:9 /10=90%)以下がある者を

i

R

f

型図形のほか一部の If型図形も分類できる」者、正答した図形に

R

f

型図形 しかいない者を

i

R

f

型図形のみ分類できる」者とする。 これらの規定に従って分類した場合の外延認識度に関す る調査の結果を表 1に表す。 表lからわかるように、学習者の図形概念に関する外 延認識は確かにそれぞれ違っており、 59人の被験者をそ れぞれ

3

つの違ったタイプに型分けた。その中で、

i

R

f

型図形のほか一部のIf型図形も認識できる」というタ イプに属する者が最も多く、被験者の68%を占めた。

i

R

f

型図形とIf型図形両方を分類できる」タイプに属 する者は7 %と少ない。

i

R

f

型図形のみ認識できる」と いうタイプに属する者は25%を占めた。 また、

i

R

f

型及びIf型図形を含む図形概念のすべての 外延の事例を分類できる」という図形概念の外延に関す る学習目標に照らして、子どもの外延認識度のレベルを 分けることができる、即ち、

i

R

f

型図形のみ認識できる」 に属する者は外延認識度最も低い者、

i

R

f

型図形のほか 一部のIf型図形も認識できる」に属する者は外延認識 度の高い者、

i

R

f

型図形とIf型図形両方を分類できる」 に属する者は外延認識が最も高く、学習目標にすでに達 成していると見なし得る。 表1 外延認識度別の子どもの人数分布 2.3.2. 言語化された分類理由の分析について 図形の分類理由については、筆者の事前調査(胡, 1988-②)の結果を参考に、以下のような7タイプに分 類することにする。それは、 1)

i

分類理由を問う課題」 に対して「無答」の反応、 2)例えば『お母さんが教え たの』、『僕の頭がいし、から』などのように図形の属性と は無関連の事柄を分類理由とする反応、 3)例えば『山 に似ているか』、『ドアに見える』などのように不適切属 性を手がかりにして、図形の形状と実物との類似性とい った図形の全体的特徴を分類理由とする反応、 4)例え ば『尖っているから』、『こう(直角)なっているから』 などのように不適切属性を手がかりにして、角の大きさ -辺の長さといった図形の部分的特徴を分類理由とする 反応、 5) 例えば、三角形の図形 5或いは四角形の図形 4に対して『尖っているところ 3つ (4つ)があるから』 のように適切属性(図形の頂点)に着目するが、例えば 三角形の図形 7に対して『山が反対になった、違う』、 四角形の図形10に対して『ドアがおかしい』などのよう に図形の形状と実物との類似性という不適切属性も分類 理由とする反応、

7

)

例えば、三角形の図形

5

或いは四 角形の図形6に対して『尖っているところ3つ (4つ) があるから』のように適切属性(図形の頂点)に着目す るのが、例えば三角形の図形17に対して『おかしい、尖 りすぎる』、或いは四角形の図形18に対して『ここ(尖 ったところ)三角に見えるの』などのように角・辺の形 という不適切属性も分類理由とする反応、 8)例えば『曲 がり角3つがある』、『辺3本ある』のように適切属性(頂 点の数)のみを分類理由とする反応の 7タイプである。 なお、子どもの分類結果を三角形、四角形の順に子ど もに示し、その分類理由を尋ねたが、同ーの子どもにお いて図形間で分類理由のタイプが異なることはなかっ た。 分類理由に関する調査の結果を表 2に表す。表 2から わかるように、 59人の被験者の図形に関する分類理由は 確かにそれぞれ違っており、適切属性だけを分類理由と して言語化した子どもは4人 (7%)のみであった。残 りの93%の子どもが図形を分類するときに手がかりとし ている理由は不完全なものであった。 彼らの言語化した分類理由が因直ちに彼らの図形分類時 の判断であると見なすことはできないが、分類理由から 彼らの判断を推定することができょう。従って、各タイ プにおける判断を彼らの分類理由から推定してみること にする。彼らの分類理由と「図形の角(辺)の数が適切 属性である」という図形概念の内包に関する学習目標を 比較することによって、それぞれのタイプの理由と学習 目標との聞の異同を推定することができる。以下にそれ を述べる。 ①「適切属性のみ」を分類理由とする Gタイプは、学 習目標をすでに達成しているものと見なし得る。 ②「適切属性十不適切属性」を分類理由とする

E

F

タイプは、適切属性に着目することがすでにできている ことから、 7タイプの中で学習目標に一番類似している と考えられる。また、このタイプが理由として述べた不 適切属性に注目してみると、実物との類似性に着目する

E

タイプは「角」や「辺」などの特徴に基づく判断がで きないものであり、角の尖り具合や辺の長さなどに着目 する

F

タイプは、誤ってはいるが、特徴への着目はでき

(6)

表2 分類理由のタイプ別人数分布 タイプ Aタイプ: Bタイプ・ Cタイプ: Dタイプ. Eタイプ:

F

タイプ. Gタイプ・ 無答 属性と無関連 不適切属性 不適切属性: 適切属性 適切属性 適切属性のみ 事柄 (全体的特徴) (部分的特徴)

+

+

分類 不適切属性 不適切属性 理由 (全体的特徴) (部分的特徴) 人数 4 6 8 23 3 11 4 (59人) (7 %) (10%) (14%) (39%) (5 %) (19%) (7 %) (%) 言語化さ 答えなし 「お母さんが 「山だから」、 「ここは尖っ 三角形図形5 三角形5或い 「辺が3本あ れた分類 教えたの」、 「ドアに似て ているから」、 或いは四角形 は四角形図形 るから」、 理由の具 「僕ちゃん頭 いるの」 「こう(直角 図形4に対し 6に 対 し て 14つ角があl 体例 がし、し、から」 を描く)なっ て『尖ってい 『尖っている る」 ている」 るところ3つ と こ ろ 3つ ( 4つ)があ ( 4つ)があ るからI; J るからI; J 三角形図形7 三角形図形17 に対して『山 に対して『お が逆さになっ かしい、尖り た、違う』、 すぎる』、四 四角形図形10角形図形18に に対して『ド 対して『ここ ア が お か し (尖ったとこ し、』 ろ)三角に見 えるの』 ているものと考えられる。 2.2.3.外延認識度と分類理由の組み合わせによるタ ③「不適切属性のみ」を分類理由とする

C

・Dタイプ イプ化 は、適切属性がまだ着目すべき特徴として意識されてい 外延認識度と言語化された分類理由のタイプを組み合 ないことから、学習目標とは異なる判断がなされている わせた結果が表3である。 可能性が高い。また、その中で、実物との類似性による 表3からわかるように、外延認識度と言語化された分 理由づけをしたCタイプは図形を「角」や「辺」などの 類理由を合わせると11種類の違ったタイプが見出せた。 特徴に基づいて分類ができないと考えられ、角の尖り具 表 3に示したように、グループ①・②・③・④は Rf 合や辺の長さなどの理由づけをした

D

タイプは、不適切 図形しか分類できないという低い外延認識度を持つとい であっても、図形の特徴に基づく分類が試みられている う共通点があるが、言語化された分類理由はそれぞれ違 可能性がある。 っていた。また、グループ⑤・⑥・⑦・③・⑨・⑬は高 ④「属性とは無関連の事柄」を分類理由とするBタイ い外延認識度を持つという点では共通しているが、言語 プの場合では、『お母さんが教えた』、『僕の頭いいから、 化された分類理由がそれぞれ違っていた。このことから、 わかるの』などの反応は、分類基準は不明であるため、 外延認識度が等しいレベルでも図形に対する分類理由は 学習目標との異同の推定が不可能である。 確かに異なっていることが明らかになった。従って、外 ⑤「無答」のAタイプの場合では、分類理由の内容が 延を等しく三角形或いは四角形と分類できたとしても、 不詳のため、このタイプの分類基準の推定は不可能であ その分類基準が子どもの間で違っている可能性があると る。 いえよう。

(7)

3

外延認識度と分類理由によるタイプ分けとその人数分布 認外¥延識¥理度¥ 分¥類由 無答 属性と無関 不適切属性 不適切属性 適切属性 適切属性 適 切 属 性 連事柄 (全体的特徴) (部分的特徴)

+

+

のみ 言十 不適切属性 不適切属性 (全体的特徴) (部分的特徴) Rf型のみ グループ① グループ② グループ③ グループ④

/

/

14人 ( 3 ) ( 3 ) ( 5 ) (3 ) Rf グループ⑤ グループ⑥ グループ⑦ グループ③ グループ⑨ グループ⑬

+

41人 If型 (1) ( 3 ) ( 3 ) (20) (3 ) (11) 90%以下 Rf

/

/

/

/

/

グループ⑪

+

4人 If型 ( 4 ) 90%以上 計 4人 6人 8人 23人 3人 11人 4人 59人 注 : * 斜線をヲ│いたグ、ループは調査の結果該当する学習者がいないことを示す。

*

*

(

)内の数字は人数を示す。 ると、どんな分類理由を持つ子どもにはRf型焦点事例

3

.

の提示が適しているか、どんな分類理由を持つ子どもに 3.1.問題と目的 はRf型焦点事例の提示が適していないのだろうか。次 上述のように学習者の聞に外延認識度が同じであって の仮説の項でこれらの問題について述べる。 も、言語化された分類理由は違っていることが明らかに 3.2.仮 説 なった。筆者の研究(胡, 1998)では、異なる事前外延 仮説を考える前に、まず学習者及び採点対象者を選択 認識度を持つ学習者に対して適切な援助法が異なること する。グループ⑪はすでに学習目標に達しているので、 を指摘した。では、同様に異なる分類理由を持つ学習者 学習者から除外し、また、グループ①・⑤及び、グ、ループ に対して適切な援助法も異なるのだろうか?本実験では ②・⑥は分類理由の確定が不可能なため、学習援助は行 この問題を解明することを目的とする。 うが、採点対象から除外する。従って、残りの6グルー 以前の実験(胡, 1998)では、外延の認識度において プが採点対象になる(表3参照)。 はRf型図形のみが分類できる学習者は、 Rf型焦点、事例 「辺(角)の数」を適切属性とする図形概念のルール を提示された後でも、ルールをIf型図形まで適用する の学習を援助するときには、子どもの誤った分類理由を ことができなかった。調査結果からわかるように、図形 修正する必要がある。ここでは、採点対象となる子ども 概念の外延的認識度においてはRf型図形のみが分類で の学習援助について考えてみる。 きる学習者でも、その分類理由はそれぞれ違っていた。 まず、先行実験(胡, 1998)で確認できたRf型焦点 このことを考慮すると、以前の実験(胡, 1998)では、 事例による援助の効果があるはずの低い外延認識度を持 外延の認識度だけで学習者を分けたが、実は分類理由の つ子どもについて考えてみる。低い外延認識度を持つグ 違いを持つ子どもが一緒になっていた可能性があり、こ ループにグループ③・④のように「不適切属性」を判断 のために予想通りの学習効果が得られなかった可能性が 理由として挙げたものがいる。このような誤った分類理 考えられる。つまり、 Rf型焦点事例を提示するといっ 由を修正するには不適切属性を判断の根拠にするのでは た援助法はすべての学習者には適しているわけではな なく、適切属性を根拠にすることを教える必要がある。 く、ある分類理由を持つ学習者には適しているのだが、 即ち、「山だから

J

(全体的特徴)とか「尖っているから」 別の分類理由を持つ学習者には適していないという交互 (部分的特徴)三角形なのではなく、曲がり角が3つだ 作用が存在する可能性が否定できない。もしそうだとす からと考えてもらう必要がある。従って、「実物との類

(8)

似性」という図形の全体的特徴を分類理由として挙げた グループ③の子どもは、まず「実物に似ている」ではな く、辺や角という特徴が重要であることを認識し、つい で適切な属性を同定する必要があるだろう。しかし、援 助で用いられる焦点事例がこれまで熟知している「実物 に似ている

J

Rf型図形であるので、誤っているが図形 の辺や角への着目はすでにできている「部分的特徴」を 分類理由として挙げたグループ④の子どもに比べ、この ような変換は難しいと思われる。 そうすると、同じ低い外延認識度を持つ子どもでも、 全体的特徴を分類理由とする子どもにはRf型焦点事例 は効果的でなく、部分的特徴を分類理由とする子どもに は効果的であることが予想しうる。 次に、先行実験(胡, 1998)で確認できたIf型焦点 事例による援助の効果があるはずの高い外延認識度を持 つ子どもの場合も同じ傾向があるのだろうか?ここで は、このことについて考えてみる。 高い外延認識度を持つものに、グループ⑨・⑩のよう な「適切属性+不適切属性」を分類理由として挙げたも のがいる。このような誤った分類理由を修正するには、 不適切な属性を関係ない属性として認識する必要があ る。従って、辺や角の形など「部分的特徴」にも着目す るグループ⑬の子どもに比べ、実物との類似性など「全 体的特徴」にも着目するグループ⑨の子どもは、学習ス テップが多く、まず「実物に似ている」ではなく、辺や 角という特徴が重要であることを認識し、ついで適切な 属性を同定する必要があるだろう。これらの子どもには 一見学習の変換は難しいが、しかし、援助で用いられる 焦点事例が「実物に似ていなし、

J

If型図形であるので、 学習者が三角形・四角形とは思っていなかった図形が実 は三角形・四角形だと言われたことによって、自分の考 えが間違いだったことに印象深く気づくことになり、そ のことによって、彼らの「実物に似ているから三角(或 いは四角)だ」といった分類理由が棄てられ、正しい判 断基準を獲得できると考えられる。 また、高い外延認識度を持つものに、グループ⑦・③ のような「不適切属性のみ」を分類理由として挙げたも のがいる。このような誤った分類理由を修正するには不 適切属性を判断の根拠にするのではなく、適切属性を根 拠にすることを教える必要がある。「山だから

J

(全体的 特徴)とか「尖っているから

J

(部分的特徴)三角形な のではなく、曲がり角が3つだからと考えてもらう必要 がある。従って、辺や角の形など「部分的特徴」に着目 するグループ③の子どもに比べ、実物との類似性など「全 体的特徴」に着目するグループ⑦の子どもは、学習ステ ップが多く、まず「実物に似ている」ではなく、辺や角 という特徴が重要であることを認識し、ついで適切な属 性を同定する必要があるだろう。一見これらの子どもに は学習変換は難しいが、しかし、援助で用いられる焦点 事例が「実物に似ていないJIf型図形であるので、学 習者が三角形・四角形とは,思っていなかった図形が実は 三角形・四角形だと言われたことによって、自分の考え が間違いだったことに印象深く気づくことになり、その ことによって、彼らの「実物に似ているから三角(或い は四角)だ」といった分類理由が棄てられ、正しい判断 基準を獲得できると考えられる。 まとめると、同じ高い外延認識度を持つ子どもには、 分類理由が違ってもIf型焦点事例による援助が効果的 であることが予想しうる。 以上の予想に基づいて、本研究の仮説を定める。 仮説l、外延認識度の低い学習者の場合では、分類理 由が異なるとRf型焦点事例による援助の効果も違い、 図形の部分的特徴に着目する子どもには外延の分類課題 と分類理由を問う課題での反応が改善しやすい、図形の 全体的特徴に着目する子どもには改善しにくいだろう。 仮説2、外延認識度の高い学習者の場合では、分類理 由が違ってもIf型焦点事例による援助の効果が同じ、 外延の分類課題と分類理由を問う課題での反応が改善し やすいだろう。 3.3.手 続 3.3.1.実験概要 調査の2週間後に、個別に子どもに図形概念の学習を させた。そして、その直後に事後テストを行った。事前 テストは行っていないが、事後テストと同じ図形分類課 題と分類理由を問う課題が調査では行われたので、その 調査結果を子どもの事前テストの成績と見なすことが可 能と考えた。 調査を受けた子ども59人のうち、図形の分類ができし かも分類理由が正確であったグループ⑪の子ども4人、 また分類理由の確定不可能のグループ①・⑤の4人及び グループ②・⑥の6人を除く、残りの45人 (59-4 - 4 -6 =45)が被験者として学習援助を受けた。また、教 示が進む途中、欠席した子どもが4人いたため、それら の者をさらに各グループから除外し、最終的に、

4

1

人が 分析の対象者になった(表4参照)。 3.3.2.教 示 分類理由を問う課題を解決する時に頂点を判断基準と して言え、かっ「曲がり角3つあるのが三角形、曲がり 角4つあるのが四角形」という図形概念のルールを用い て、正しく図形分類課題を解決できるようになることを

(9)

学習目標とする。 Jトルの導入と共に、仮説に規定したよ うな処遇に従って、各グループに

R

f

型焦点事例(図

2

)

或いはIf型焦点事例(図 3)を提示する。 図2 教示用Rf型焦点事例 図 3 教示用 If型焦点事例 各グループへの教示内容は同一であり、その内容は以 下の通りである。 1)まず、実験者が焦点事例を示し、サインペンで角 にしるしをつけながら、 i(三角形の場合では)こういう 形には尖った曲がり角があるね。この形は尖った曲がり 角がなん個あるかな、一緒に数えてみましょう。…そう だ、 3つだ。尖った曲がり角3つあるのが三角形です。」 というふうに三角形及び四角形概念のルールを教える。 その後、子どもにペンを渡し、同じ提示事例の頂点にし るしをつけさせてから、各図形の頂点を数えさせ、ルー ルを確認する。 2)次に、焦点事例の 2分の lの大きさの相似形を提 示する。そして、子どもに角にしるしをつけさせて、頂 点の数を数えさせてから、図形の名前を尋ねる。答えが 間違っていた場合には、前の手順をもう一度行い、頂点 の数を正確に数えた上で答えを修正する。その後、焦点 事例の2倍の大きさの相似形を提示し、同じようにして、 ルールを学習させる。 3)最後に、ルールを覚えているかどうかを確かめる ために、三角形・四角形の焦点、事例を見せながら、ル-lレの想起を求める。 3.3.3.事後テスト 調査の時と同様に、20枚の「図形分類課題」とその「分 類理由を問う課題」の解答を求める。 教示に用いた図形1・2を除いた計18枚図形を採点対 象とし、各図形の正答にl点を与え、 18点を満点とする。 正答した図形の種類

(

R

f

型図形かIf型図形か)、各 図形の正誤状況と正答数、及び言語化された分類理由を 記録用紙に記録する。 3.4.結果と考察 3.4.1.各グループにおける事前から事後への正答数 の伸びを指標とする仮説の検証 実験における仮説 1は「外延認識度の低い学習者の場 合では、分類理由が異なると

R

f

型焦点事例による援助 の効果も違い、図形の部分的特徴に着目する子どもには 外延の分類課題と分類理由を問う課題での反応が改善し やすく、図形の全体的特徴に着目する子どもには改善し にくいだろう」といったものであった。この仮説lが妥 当であるならば、「図形の分類課題」の事後の結果は、「グ l レープ④は高成績を得るが、グループ③は低成績にとど まる」というようになるはずである。 また、実験における仮説2は「外延認識度の高い学習 者の場合では、分類理由が違ってもIf型焦点事例によ る援助の効果が同じ、外延の分類課題と分類理由を問う 課題での反応が改善しやすいだろう」といったものであ った。この仮説2が妥当であるならば、「図形の分類課 題」の事後の結果は、「グループ⑦・③・⑨・⑬は高成 績を得る」というようになるはずである。 ここでは各グループの事前から事後への正答数の伸び を指標としてそれらのことを確認する。各グループの事 前と事後の平均正答数及び正答率を表4に表す。 表4に示したように、外延認識度の低い学習者の場合、 「部分的特徴」を分類理由としたグループ④は、

R

f

型 焦点事例の提示を受けた後の正答数及び正答率は事前か ら事後への伸びがかなり大きく、事後では高成績を現れ た (G④:正答数:2.7→12.7;正答率:15%→70%)。 これに対して、「実物との類似性」を分類理由としたグ ループ③の場合では、

R

f

型焦点事例の提示を受けた後 でも低成績にとどまった (G③:正答数:2.0→5.4;正 答率 :11%→30%)。さらに、グループ③の5人の事前 と事後成績のレンジ(事前: 0"-' 5 ;事後: 3 "-' 8)を 根拠にして、激しい個人差によって全体の成績を落とし たという可能性が否定でき、

R

f

型焦点事例の提示はこ のグ、ループの学習者の正答反応への改善には効果的では ないことが考えられる。これらのことから仮説lが支持 されたと言える。 また、外延認識度の高い学習者の場合、「適切属性+ 不適切属性」を分類理由としたグループ⑨・⑬は、If 型焦点事例の提示を受けた後の正答数及び正答率は事前 から事後への伸びがかなり大きく、事後では高成績を現 れた (G⑨:正答数:8.0→14.0;正答率:44%→78%、

(10)

表4 事前と事後の正答数と正答率 べ 仁

t

Z

延識¥度¥

1

分里¥類由 不適切属性 不適切属性: 適 切 属 性 + 適 切 属 性 + 全体的特徴 部分的特徴 全体的特徴 部分的特徴 計 (8人) (20人) (2人) (11人) 低い グループ③ グループ④ 外延認識度: ( 5 ) ( 3) pre: Rfのみ 2.3 pre: 2.0 (11%) pre: 2.7 (15%) (15%) ( 8人) post: 5.4(30%) post: 12.7 (70%) post: 8.1 1( 5%)→8(44%) 3 (170/0)→15(83%) (45%) 1( 5%)→4(22%) O( 0%)→ 8(44%) 3 (17%)→5(28%) 5(28%)→15(83%) O( 0%)→3 (17%) 5(28%)→7(39%) 高い グループ⑦ グループ③ グループ⑨ グループ⑬ 外延認識度: ( 3 ) (17) ( 2 ) (11) pre: Rf+If 10.0 pre: 7.0 (39%) pre: 8.9 (50%) pre: 8.0 (44%) pre: 12.9 (72%) (56%) (33大〉 post: 14.0 (78%) post: 15.5 (86%) post: 14.0 (78%) post: 16.4 (91%) post: 15.6 5(28%)→15(83%) 8(44%)→14(78%) (87%) 7(39%)→12(67%) 8 (44gも)→14(78%) 9(50%)→15(83%) 」 ← ー 注 : * 斜線をヲ│いたグループは調査の結果該当する学習者がいないことを示す。

*

*

(

)内の数字は人数、 5人以下のグループは全学習者の成績を示す。 G⑬:正答数:12.9→16.4;正答率:72%→91%)。同 ループ③(表5)の場合では、事前ではできなかった5 じように、「不適切属性」を分類理由としたグループ⑦ 人が事後でもできないままで、改善した者は1人もいな ・③は、If型焦点事例の提示を受けた後の正答数及び かった。これに対して、「図形の辺・角」に着目するグ 正答率は事前から事後への伸びがかなり大きく、事後で ループ④(表6)の場合では、事前にできなかった3人 は高成績を現れた(G⑦:正答数:7.0→14.0;正答率: は事後では2人が改善した。この結果は、等しく Rf型 39%→78%、G③:正答数:8.9→15.5;正答率:50% 焦点事例を用いた援助を受けても、グループ③の子ども →86%)。これらのことから仮説2が支持されたと言え の正答反応への改善とグループ④の子どもの改善とには る。 異なる効果をもったことを意味している。これらの結果 3.4.2.各グループにおける事前から事後への改善を示した は仮説lと一致しているといってよい。 者の人数を比較することによる仮説の検証 図形分類課題18間に14間以上 (78%以上)を正答した 表5 グループ③における事前・事後の反応 者をできる者

(0

と略記)、 14間以下 (78%以下)を正 答した者をできない者 (xと略記)とし、各グループに おける事前から事後のできる者へと反応が改善した者の

k

1

人数を比較することによって仮説を検証する。 まず、外延認識度の低い学習者(グループ③・④)の 結果を表5・6に示す。「実物との類似性」に着目するグ

× 計

× 計

5 5

5 5

(11)

表6 グループ④における事前・事後の反応 表10 グループ⑩における事前・事後の反応

k

ぞ(

× 計

云ぞ!

× 計

5

5 × 2 1 3 × 6

6 三十 2 1 3 計 11

11 外延認識度の高い学習者(グループ⑦・③・⑨・⑬) 3.4圃3.各グループの事前から事後への分類理由の変 の反応結果を表7・8・9・10に示す。「実物との類似 化による仮説の検証 性」に着目するグループ⑦(表7)の3人、「図形の辺 実験における仮説1は「外延認識度の低い学習者の場 ・角」に着目するグループ③.(表 8) の17人及び「適切 合では、分類理由が異なると Rf型焦点事例による援助 属性+実物との類似性」に着目するグループ⑨(表 9) の効果も違い、図形の部分的特徴に着目する子どもには の2人は事前ではできなかったが事後ではできるように 外延の分類課題と分類理由を問う課題での反応が改善し なった。また、「適切属性+図形の辺・角」に着目する やすく、図形の全体的特徴に着目する子どもには改善し グループ⑬(表10)の場合では、事前ではできなかった にくいだろう」といったものであった。この仮説lが妥

6

人が事後にできるようになった。これらのことは外延 当であるならば、「分類理由を問う課題」の事後の結果 認識度の高い学習者は分類理由には違いがあっても、If は、「グループ④にルールを分類理由とする子どもが多 型焦点事例による援助によって正答反応への改善ができ くなるが、グトループ③にはルールを分類理由とする子ど たことを意味している。これは仮説2と一致した結果と もが少ないことにとどまる」というようになるはずであ いえる。 る。 表ア グループ⑦における事前・事後の反応

云ぞ

1

× 計

× 3

3 計 3

3 表

8

グループ⑥における事前・事後の反応

云ぞ:

× 計

× 17

17 計 17

17 表9 グループ⑨における事前・事後の反応

k

ぞ(

× 計

× 2

2 計 2

2 また、実験における仮説2は「外延認識度の高い学習 者の場合では、分類理由が違ってもIf型焦点事例によ る援助の効果が同じ、外延の分類課題と分類理由を問う 課題での反応が改善しやすいだろう」といったものであ った。この仮説2が妥当であるならば、「分類理由を問 う課題」の事後の結果は、「グループ⑦・③・⑨・⑬に jレールを分類理由とする子どもが多くなる」というよう になるはずである。 ここでは、各グループの事前から事後への分類理由の 変化によって実験の仮説を検証する。 事前と事後テストにおいて、分類理由を問う課題を解決 する時に正しいルールを挙げた者を収集した結果を表11 に示す。 表 11からわかるように、低い外延認識度の場合では、 「実物との類似性」に着目するグループ③の場合では、 事後でも

5

人のうち

4

人がルールの使用ができなかっ た。これに対して、「図形の辺・角」に着目するグルー プ④の場合では、

3

人のうち

2

人がルールを分類理由と して挙げるようになった。これらのことは等しく Rf型 焦点事例を用いた援助を受けてもグループ③の子どもの 「分類理由を問う課題」の改善とグループ④の子どもの それとでは異なっていることを意味している。これは仮 説lと一致している。

(12)

外延認識度の高い学習者(グループ⑦・③・⑨・⑬) るグループ⑬は11人のうち11人(100%)と多かった。 の場合では、事後ではルールを分類理由として挙げた子 これらのことは外延認識度の高い学習者には分類理由の どもの人数をみると、「実物との類似性」に着目するグ 違いがあっても、If型焦点事例を提示するが子どもの j レープ⑦は3人のうち2人 (67%)、「図形の辺・角

J

に 「分類理由を問う課題」の正答反応への改善に効果があ 着目するグ、ループ③は17人のうち11人 (88%)、「適切属 ったことを意味している。これは仮説2と一致した結果 性+実物との類似性」に着目するグループ⑨は2人のう といってよい。 ち2人(100%)、「適切属性十図形の辺・角」に着目す 表11 ルールを分類理由にあげたグループ別の人数及び百分率 (¥外事延前認識;度

L

不適切属性 不適切属性. 適 切 属 性 + 適 切 属 性 + 全体的特徴 部分的特徴 全体的特徴 部分的特徴 ( 8人) (20人) (2人) (11人) 低い外延認識度. グループ③ グループ④ Rfのみ (5人) ( 3人) ( 8人) l人(20%) 2人(67%) 高い外延認識度: グループ⑦ グループ③ グループ⑨ グループ⑬ Rf

+

If ( 3人) (17人) ( 2人) (11人) (33人) 2人(67%) 15人(88%) 2人(100%) 11人(100%) 注 : * 斜線をヲ│いたグループは調査の結果該当する学習者がいないことを示す。

3

.

4

.

4

.

i

無答」と「無関連事柄」を分類理由とした子 どもの学習結果の分析による援助効果の検討 前項ですでに言及したが、分類理由の詳しい内容の確 定ができなかったため、「無答」及び「図形の属性と無 関連の事柄」を分類理由とした子どもは仮説を検証する ときには採点対象にはしなかったが、ルール学習の援助 は行った。彼らの学習効果は援助とどう関わっているか を考察し、援助の効果について検討する。 まず、「無答」者の図形分類課題及び分類理由を問う 課題に対する反応について、それぞれ事前から事後への 変化を表12に表す。 表12からわかるように、事前外延認識度の高い被験者

D

は、If型焦点事例を用いた学習援助を受けた後、外 延の認識度が高まり、正しいルールを分類理由として用 いるようになった。このことは、前述の事前に高い外延 認識度を持つ学習者には分類理由の違いと関係なくIf 型焦点事例の提示が効果的であるといった実験結果と一 致している。これに対して、事前の外延認識度の低い被 験者3人は、 Rf型焦点事例を用いた学習援助を受けた 後でも、外延の認識度は多少上昇したとはいえ、正答率 が50%以下と低かった。また、正しいルールを分類理由 として用いた者は1人もいなかった。このことはRf型 焦点事例がすべての低い外延認識度を持つ子どもに有効 だったわけではないことを示している。 次に、「無関連事柄」を分類理由とした者の図形分類 課題及び分類理由を問う課題に対する反応について、そ れぞれ事前から事後への変化を表13に表す。 表13からわかるように、低い外延認識度を持つ学習者 及び高い外延認識度を持つ学習者はそれぞれ外延認識度 にあった援助を受けた後、成績及びルールを分類理由と してあげるようになる点では学習効果があった。これら のことから、「図形の属性とは無関連の事柄」を分類理 由とする子どもは、その分類理由の詳しい内容は断定で きないが、少なくとも・この結果から、彼らにはルール学 習を妨害する既有知識がないように思われる。

(13)

表12 I無答」者の事前と事後の外延認識度と分類理由

事外に前延よ認のる\識分\類度~事前、\2・

事課¥後題¥のの¥反¥応¥ 図形分類課題 分類理由を問う課題 事 前 事 後 事 前 事 後 被験者A

o

(0) 9(50%) 無 答 無 答 低い外延認識度 被験者B 3(17%) 6(33%) 無 答 無 答

R

f

型のみ 被験者C

o

(0) 4(22%) 無 答 無 答 高い外延認識度・ 被験者D 9(50%) 15(83%) 無 答 ルール

Rf+

If型90%以下

一 一

表13

I

無関連事柄」者の事前と事後の外延認識度と分類理由 事外に前延よ認のる¥分識¥類度¥事¥前、¥

2事課¥題後¥のの¥反¥応¥ 図形分類課題 分類理由を問う課題 事前 事 後 事 前 事 後 被験者A

o

(0) 13(72%) 無関連 無関連 低い外延認識度・ 被験者

B

1 (6%) 14(78%) 無関連 ルール

R

f

型のみ 被験者C 1 (6%) 15 (83%) 無関連 jレール 被験者

D

5(28%) 13(72%) 無関連 無関連 高い外延認識度: 被験者

E

9(50%) 13(72%) 無関連 jレール

Rf+

If型90%以下 被験者

F

10(56%) 15(83%) 無関連 jレール 3.5.結 論 違いがあっても、If型焦点事例による援助によって改 学習者の事前から事後への外延認識度(成績)の伸び、 善が認められる、

2

)事前に

R

f

型図形のみ分類できる 各グ、ループに反応の改善を示した者の人数、及び事前か といった低い外延認識度を持つ学習者には、言語化され ら事後への言語化された分類理由の変化による仮説検証 た分類理由が違うと、

R

f

型焦点事例による援助の効果 の結果から、以下のことがわかった:1) 事前に

R

f

型 も異ない、特に図形の全体的特徴を分類理由とする学習 図形のほか一部のIf型図形も分類できるといった高い 者 に は

R

f

型 焦 点 事 例 の 提 示 に よ る 改 善 は 認 め ら れ な 外延認識度を持つ学習者には、言語化された分類理由の い。

(14)

4

.

=百聞邑,、 そして、そのこだわりの強弱度よって焦点事例の効果が 異なる、と説明したが、本研究では、どの外延までを概念 本研究は1)学習者が図形を判断するときに用いる分 の事例として認めうるかという図形概念の外延認識度、 類理由の違い、 2) 分類理由の違い及び外延認識度の違 及びどんな手がかりをして図形を判断するかということ いと学習効果との関係、という残された問題の解決に端 を推定しうる図形分類理由の違いを学習側の要因として を発し、この2つの問題の解決を目的として行われた。 取り上げて、外延分類課題で等しい解決能力を示しでも、 ここでは、目的とした問題がどのように解決されたのか その分類理由が異なると同ーの焦点事例による援助の効 を論ずる。 果も異なるという交互作用を見出した。 まず、分類理由の違いの問題について、本研究では、 子どもの図形の分類理由はそれぞれ違っており、 1)適 参 考 文 献 切属性のみを分類理由とするもの、

2

)

適切属性に着目

1

.奥田真大、河野重男、幸田三郎

1

9

8

9

監修 するほか図形の部分的特徴という不適切属性をも分類理

n

新」幼稚園教育要領の解説と展開』 教育出版 由とするもの、 3) 適切属性に着目するほか図形の全体 社 的特徴という不適切属性をも分類理由とするもの、

4

)

2

.

文 部 省 告 示 平 成

1

0

1

2

月 不適切属性 図形の部分的特徴を分類理由とするもの、 『小学校学習指導要領』 5)不適切属性一図形の全体的特徴を分類理由とするも の、 6) 図形の属性とは無関連の事柄を分類理由とする もの、 7)

r

分類理由を問う課題」に無答するもの、とい う

7

タイプを見出した。 次に、分類理由及び外延認識度の違いと学習効果との 関係の問題ついて、本研究では、子どもの分類理由及び 外延認識度と学習効果の間に交互作用を見出した。要す るに、 1)事前に高い外延認識度を持つ子どもには、分 類理由の違いがあっても、If型焦点事例による援助に よって改善が認められるが、事前に低い外延認識度を持 つ学習者には、分類理由が違うと、 Rf型焦点事例によ る援助の効果も異ない、特に図形の全体的特徴を分類理 由とする学習者にはRf型焦点事例の提示による改善は 認められない。 以上のように残された問題を解決すると同時に先行研 究の結果に新たな知見を加えることができたといえよ フ。 まず、本研究では子どもが所有している図形の「分類 理由」の多様性を明らかにできた。子どもが図形概念の 内包に関してどんな認識を持っているのか、或いは子ど もが図形概念を分類するときに図形のどんな要素を分類 理由として用いるのかという問題の解明は子どもの図形 概念学習を援助するときに欠かせない前提である。先行 研究では、この問題は解明されなかったが、本研究では、

3

.

麻柄啓一、伏見陽児

1

9

8

2

r

図形概念の学習に及 ぼす焦点事例の違いの効果

J

教育心理学研究

3

0

p

5

7

6

1

2

・伏見陽児、麻柄啓一

1

9

8

6

r

図形概念の学習に及 ぼす発問系列の違いの効果」 東北教育心理学研究 1

p

l

-

9

3

・伏見陽児

1

9

9

0

r

焦点事例の違いが児童の図形概 念の学習に及ぼす効果」 シオン短期大学研究紀要

3

0

p

1

2

1

-

1

3

0

4・伏見陽児、麻柄啓一

1

9

3

3

W授業づくりの心理学』 国土社

5

・伏見陽児

1

9

9

5

w

r

概念」教授の心理学一提示事 例の有効性』 川島書庖

6

.

細 谷 純

1

9

7

6

r

課題解決のストラテジー」 藤永保編 『思考心理学』 大日本図書

7

.

細 谷 純

1

9

9

6

W教科学習の心理学』 中央法規

8

.

胡 玉華

1

9

9

8

r

図形概念の学習を促進するため の

r

If型焦点事例」と

r

R

f

型焦点事例」の適用条件 に関する研究」 東北教育心理学研究

6

p

5

9

-

6

7

9

・胡 玉華

1

9

9

8

-

② 「図形概念の学習を援助する 際の事例配列と提示形式について」 東北大学大 学院教育心理研究科博士課程後期2年課題論文(未 発表) 子どもの図形概念を判断するときに手がかりとして用い 付 記 た分類理由について調査を行い、子どもの間にそれぞれ この実験を行うにあたり実施にご協力頂いた幼稚園の圏 違った

7

タイプの分類理由を所有していることを見出し 児の皆さんと職員の皆さんに感謝します。また、本稿の た。 作成に貴重な助言を頂いた東北大学の小野寺淑行先生、 また、先行研究では、外延分類課題における誤反応が、 直接ご指導を頂いた宇野忍先生に深く感謝します。 等辺や等角に対する子どものこだわりによって生じて、

(15)

The effects of Degree of

U

nderstanding of Denotation and Reasoning used for Classifying Figures on learning of the Triangle and Quadrilateral Concept in young children

Yuhua Hu Figure concepts of triangle and quadrilaterals are defined as 'figures with 3 apexes are triangles and figures with 4 apexes are quadri1aterals'. There are 2 types of instances. One is called 'Regular figure type' (Rf-instances) such as equilateral triangles or isosceles triangles and squares or rectangles

the other one is called 'Irregular figure type'

(

I

f

-instances), such as scalene triangles and scalene quadrilaterals. According to the previous study which examined-the effect of Rf-instances and

I

f

-instances in helping children's learning of the figure concept, Children's relative comprehension to high and low will be reflected in the result of the denotation of the figure concept, and will be different. The children with low degree of understanding of denotation can only understand Rf-instances, and children with high degree can understand not only Rf but also some of lf -instances. The interaction between children's degree of understanding of denotation and the effect of different types of instances in learning of the figure concept was found. Concretely, the effect of Rf-instances was better than that of

I

f

-instances for the children with low degree. On the contrary, the effect of

I

f

-instances was better than that of Rf -instances for the children with high degree. But

even after instructing

the ratio of correct answer of children with low degree was only 54%. This identifies the problem

and therefore

a solution can be obtained to the question

that is

why the children with low degree of understanding of denotation did not achieve the expected result.

In order to solve this problem

chi1dren's understanding of denotation

and chi1dren's reasoning used for c1assifying the figure concept

were both investigated in this study. The resu1t showed that1)the chi1dren with same degree of understanding of denotation might use different reasons for c1assifying figure concept (7 types), 2) for the chi1dren with high degree of understanding of denotation, no matter what types of reasons they used,

I

f

-instances were effective. On the contrary

for the children with low degree

the effect of Rf-instances was different on the basis of their different means of reasoning for c1assifying the figure concept. It was not effective for the ones who compared the shape of a figure to a simi1ar rea1 object, 1ike a 'mountain' or a 'door'. It wou1d further di1ute chi1dren's ability to grasp the concept of abstract identification, by associating a shape to a real object.

Key Words: Rf-instances

I

f

-instances

Degree of Understanding of Denotation, Reasoning of C1assifying the Figure Concept

表 2 分類理由のタイプ別人数分布 タイプ A タイプ: B タイプ・ C タイプ: D タイプ. E タイプ: F タイプ. G タイプ・ 無答 属性と無関連 不適切属性 不適切属性: 適切属性 適切属性 適切属性のみ 事柄 (全体的特徴) (部分的特徴) +  +  分類 不適切属性 不適切属性 理由 (全体的特徴) (部分的特徴) 人数 4  6  8  2 3  3  1 1  4  ( 5 9 人) (7 %)  ( 1 0%)  ( 1 4%)  (39%)  (5 %)  (19%)  (7 
表 3 外延認識度と分類理由によるタイプ分けとその人数分布 認 外 ¥ 延 識 ¥ 理度¥ 分¥類 由 無答 属性と無関 不適切属性 不適切属性 適切属性 適切属性 適 切 属 性連事柄(全体的特徴) (部分的特徴)+ + のみ 言 十 不適切属性 不適切属性 (全体的特徴) (部分的特徴) Rf 型のみ グループ① (  3  )  グループ②( 3 )  グループ③( 5 )  グループ④(3 )  レ / レ / 1 4 人 Rf  グループ⑤ グループ⑥ グループ⑦ グループ③ グループ⑨ グループ
表 4 事前と事後の正答数と正答率 t べ 仁 外 Z 延識¥度¥1 分里¥類由 不適切属性 不適切属性: 適 切 属 性 + 適 切 属 性 +全体的特徴部分的特徴全体的特徴部分的特徴 計 (8 人) ( 2 0 人) (2 人) ( 1 1 人) 低い グループ③ グループ④ 外延認識度: (  5  )  (  3)  p r e :  Rf のみ 2
表 6 グループ④における事前・事後の反応 表 1 0 グループ⑩における事前・事後の反応 k ぞ( 。 ×  計 云ぞ! 。 ×  計 。 。 。 。 。 5  。 5  ×  2  1  3  ×  6  。 6  三 十 2  1  3  計 1 1  。 1 1  外延認識度の高い学習者(グループ⑦・③・⑨・⑬) 3
+2

参照

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