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編集後記

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Academic year: 2021

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編 集 後 記

第42号をお届けします。今年号は4篇の掲載となりました。会員諸氏と投稿者に感 謝します。今後も、奮ってご投稿くださいますようお願いします。そして学会大会をは じめ、地道に活動を下支えしていただいています会員の皆様方に深く感謝します。 つらつら思いますのに、英文学研究は、昨今にかぎらず、今後も困難が予想されます。 それというのも、英文学作品のほとんどが、いわゆる西洋近代の所産にほかならず、西 洋近代文化が発展成熟するなかで生み出されたからであり、今やそのような文化的成熟 の時代が、欧米で確実に終焉に向かっていると見えるからである。そしてそのことを、 われわれは真摯に受け止めねばならないであろう。20世紀はじめ、ポール・ヴァレリ ーが西洋精神の危機的状況が蔓延するのを目の当たりにして、西洋近代文明の没落をす るどく予知したが、それから百年後の今日、その予知が現実化してきたのをもはや疑う ことができない。西洋近代文明という一つの特殊固有な文明が衰退しようとする歴史的 現状を、われわれはいま目にしている。滅びざる文明などないことを、私は今さらなが ら喫驚する。 そこで、衰微するイギリス文化から、どのような文学を期待できるだろうか。16世 紀から20世紀半ばまで、イギリス文学は多くの傑作を生みだした。それはしかし、西 洋近代文明の隆盛と不即不離にあったためで、西洋近代文明の没落は、否応なしに、イ ギリス文学の衰退を結果せざるを得ないであろう。 かつて夏目漱石は、『文学論』においてイギリス小説を研究し、近代小説の本質と模 範をいちずに探求して、それに基づいてみずからの小説作品を創作した。漱石は小説の 普遍性をイギリス小説に見ていた。だが、そのような普遍性はそもそもイギリス小説な どにはなく、結局イギリス小説も西洋近代が生み出した特殊固有な表現形式にすぎない と、今では言わざるをえないだろう。 そう、西洋文学はもはや普遍的な模範の所産とみることは出来ず、一つの特殊な知的・ 精神的所産にすぎぬと捉え直すべきであろう。となれば、イギリス文学研究も必然的に そのスタンスを変えざるをえないかも知れない。好事家的な文学趣味も、盲目的なイギ リス文学崇拝も、はなはだ陳腐でしかあるまい。没落する文明の一つの歴史的所産とし て、われわれ日本人の側から、イギリス文学を相対的に再評価する必要があろうとは、 私の思いである。ある意味において、それは英文学研究のかつてないあり方かも知れぬ。 とはいえ、そのような研究の結実をまだ具体的に提示できぬからには、所詮これは、 私の妄言にすぎません。 2015年3月吉日 編集委員長 -59-

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