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娠初期 ( 満 13 週以前 ) の撮像は避けた方がよいといわれている 1) しかし 動物実験では高磁場下に奇形が誘発されたとの報告があるが 2) ヒトではMRIを撮像したことによる明らかな後遺症の報告がなく 危険との認識がないのが通例である 3 4) 造影剤の使用について造影剤についても胎児への影

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妊婦・胎児・新生児の画像診断

はじめに

 胎児の異常の検索にMRIが用いられるようになって から久しい。当初は超音波検査で異常が疑われ、その 診断の確認の目的でMRIが施行されることが多かった。 たとえば水頭症が疑われてMRIが施行され、それが正 しいかの判断をすることが最大の目的であった。  近年の胎児に対するMRIは、高速撮像法が一般化さ れ画質がよくなり、満足できるものになってきた。その 結果、画像は出生後に撮られた画像に近づいたため、出 生後に行われる画像診断に近いものが求められるように なってきた。すなわち、超音波での胎児診断も進歩した ため、出産後にみられる小児疾患に対してより詳しく正 確な知識を必要とするようになった。  水頭症が疑われてMRIが施行され、頭蓋の形態より 水頭症の原因が脊髄髄膜瘤に伴うキアリ奇形であるこ とを指摘しなくてはならなくなってきたのである。胎児 MRIで珍しい疾患を診断し、予後も含めて産科医にアド バイスするのには小児放射線の知識が不可欠であるが、 本稿では領域別に近年の胎児MRIの代表疾患を提示し、 どのような点に注意して読影するかを解説する。

胎児MRIの適応

 MRIの胎児への影響はいまだ不確定で安全性が確立さ れているとはいえない。一般には、器官形成期である妊

2.胎児

2-2.MRI

赤坂 好宣

兵庫県立こども病院 放射線科

Fetal MRI

Yoshinobu Akasaka Summary

 Sonography is a primary imaging modality in the evaluation of fetuses because of its safety and convenience. Fetal MRI has been used as an adjunct imaging method to ultrasound. MRI used to be performed to reconfirm sonographic findings, but with the advancement of resolution and the development of fast imaging techniques, the diagnostic accuracy of fetal MRI has been significantly improved. Now MR imaging plays an important role in the diagnosis of fetal abnormalities. It is expected that fetal MRI will be used increasingly more in the future. Requests to make a diagnosis at earlier gestational age and to provide information on the severity and outcome of each disorder may occur. To live up to such expectations, precise knowledge about clinical course, prognosis and radiological findings of these disorders is required, not only in frequently encountered cases, but also in rare ones, in which prenatal diagnosis is critically important. In this article, we provide a basic discussion of indications and general principles of fetal MRI, and describe major fetal abnormalities of the central nervous system, thoracic, abdominal, urogenital and other sites.

Department of Radiology, Kobe Children’s Hospital

NICHIDOKU-IHO Vol.57 No.1 1-70 (2012)

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2(2) 娠初期(満13週以前)の撮像は避けた方がよいといわれ ている1)。しかし、動物実験では高磁場下に奇形が誘発 されたとの報告があるが2)、ヒトではMRIを撮像したこ とによる明らかな後遺症の報告がなく、危険との認識が ないのが通例である3、4)

造影剤の使用について

 造影剤についても胎児への影響は不確定で安全性が確 立されていない。Gdについては胎盤通過性が示されて おり、胎児へ移行し、胎児の膀胱から羊水への排出、そ れを飲むことにより消化管で吸収されるなど、生物学的 な半減期が不明である点もあることから通常用いられな い1)。しかし、最近の報告では胎児の成長に不利益をも たらすとも認識されず、母体の救命に必要など、重要な 臨床的意義があれば制限すべきでないともいわれる5)

胎児MRI依頼の背景

 胎児診断には安全で簡便な超音波検査が第一選択であ る。あえて胎児期に安全性の確立していないMRIを撮 像する理由には、①母体肥満や羊水過少症などで超音波 検査の画質がよくない場合、②水頭症などの頭蓋内の異 常の評価(頭蓋骨内は超音波が通りにくい)、③異常が複 雑で把握しづらい場合の補助診断として、④患者様に説 明するうえでより客観的な画像を求めて、などが挙げら れる。胎児MRIは前述②の理由から、中枢神経の異常 の検索に用いられることが多かったが、近年は画質の向 上と危険性の少ないことが徐々に浸透してきており、急 速にさまざまな領域の異常の検索に用いられるように なった6)

読影する際に留意すべき点

1 .胎児の左右は母体の左右とは異なっている。臓器の 位置関係には正常の正位、左右が逆の逆位以外にも臓 器の位置がまちまちな錯位症というのがあるので注意 する。逆位症などは全く正常の像と変わらないように みえる(図1)。正確に左右を判定するには、母体に対 して胎児がどういう位置に存在しているのかを考えて 判断する。 2 .胎児以外にも前置胎盤や侵入胎盤などの胎盤の評 価、臍帯巻絡や羊水の多寡、筋腫を始め母体側の異常、 骨盤位や足位といった胎位などにも注意する。 3 .最近では画質がよくなってきているので、評価の対 象臓器以外にも判定できる臓器には異常がないか注意 して観察する。出生後に異常が見つかって、後で胎児 MRIを見返してみると指摘できていたといった事態も 起こり得る。 4 .胎児は週数が進むほど(大きくなるほど)みやすくな 図1 内臓逆位 一見正常の画像であるが,胎児は母体に対して左を向いた頭位である.本来,この胎位では胎児 の左が母体の腹側に相当するはずであるが,胃泡は母体の背側に存在している(矢印).

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3(3) る。脳などは週数によって脳回がはっきりしてくるな ど、正常像が変化する。 5 .先に紹介したように、水頭症の評価目的で撮られた MRIで脊髄髄膜瘤を指摘することが求められるように なった昨今では、胎児の頭部だけでなく全身が撮像さ れているように工夫する。多発で奇形を伴う場合も十 分考えられる7)

領域別代表疾患と診断のポイント

1.中枢神経系  最近は出生後の画像と変わらなくなってきたので、よ り正確な診断が求められるようになってきた。脳回は一 般に22週以前には認められないといわれる(図2)8)。週 数が早いほど脳室や脳槽は大きめで、小脳は比較的小さ い。このため、水頭症の判断は慎重に行う。水頭症と脳 室が大きめの奇形とを鑑別することが大事である。胎児 期に見つかる水頭症の原因は脊髄髄膜瘤に伴うものが比 較的多い。  1)キアリ奇形(水頭症+脊髄髄膜瘤)(図3)  小児の水頭症の原因の多くは上衣下出血などの頭蓋内 出血に続発する交通性水頭症(脳脊髄液の吸収障害)であ るが、胎児期に見つかる水頭症ではキアリ奇形に伴うも のが多い。胎児超音波検査で児頭の形態がレモンのよう である(lemon sign)ことにより本疾患を疑う。脊髄髄膜 瘤は腰仙部にあることが多いので全身が撮像されている ことが望ましい。脊髄髄膜瘤は羊水と同じ信号で瘤自体 の同定が困難な場合もあるが、体壁が同部で欠損してみ えるので異常とわかる7)  2)全前脳胞症(図4)  脳室拡大を伴う場合が多いので水頭症の疑いでMRIが 依頼される場合がある。重症型(alobar type)では大脳は 前頭葉の分離がみられず単脳室で診断しやすい。単眼症 や左右の眼窩間が狭かったりする。軽症型(lobar type) では大脳は一見左右が分離してみえるときがあり、正常 としてしまいがちなので注意する。視床の癒合や左右の 眼窩間が狭いことなども参考となる。  3)脳腫瘍(図5)  先天性脳腫瘍で最多は奇形腫で、約半数を占めると いわれる。典型例では多数の小胞が認められる。その 他には星細胞腫、脂肪腫、脈絡叢乳頭腫、頭蓋咽頭腫、 PNET(primitive neuroectodermal tumor)の順に多い9)

図2 23週の脳(正常像) 大脳周囲の脳槽は大きめで,脳回は指摘できない.

A B 図3 キアリ奇形 A 側脳室に拡大がみられる.頭蓋の前頭骨に左右対称の 凹みがあり(矢印),全体としてレモンのようである.キ アリ奇形を疑う. B 胎児の臀部付近に胞状構造があり(*),脊柱管内 の髄液の信号と連続してみえる.

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() 2.胸部  気管や肺は水の信号であり、T2強調像で高信号を呈 し明瞭に認識できる。心血管はT2強調像ではいずれも 低信号で詳細がわかりづらい。  当院での依頼で多いのは、先天性胞状腺腫様奇形 (congenital cystic adenomatoid malformation:CCAM)

などの先天性胞性肺疾患の疑いや先天性横隔膜ヘルニ アの疑いである。最近は心臓腫瘍などの心臓に関するも のもみられるが10)、小児の先天奇形で最多の心奇形に対 してMRIはまだまだ超音波検査に及ばない1)  1)先天性囊胞性肺疾患(図6)  先天性胞性肺疾患には前述のCCAM以外に気管支 原性胞、肺分画症、気管支閉鎖、先天性肺葉性肺気腫 などがある。CCAMや気管支原性胞は胞性病変が みられ、気管支閉鎖や先天性胚葉性肺気腫は区域性の過 膨脹をきたすなどある程度画像に特徴があるが、これら

図4 全前脳胞症 A  alobar type:大脳には左右の分離がみられず脳室は単脳室である.単眼症を伴う(*) . B lobar type:大脳は一見左右が分離してみえるが,一部で分離しておらず視床も癒合している(矢印). 眼窩間もやや狭い(矢頭). A B 図5 奇形腫 胎児の頭蓋の正中やや右側に多数の小胞を有する腫瘍が認められ (*),水頭症を合併している.

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() は合併することもあり、出生後の画像でも鑑別が難しい 時がある。CCAMや先天性肺葉性肺気腫では妊娠経過 中に増大や縮小(消失)が報告される6)  2)先天性横隔膜ヘルニア(図7)  横隔膜の先天性欠損孔より腹腔内臓器が脱出し、呼 吸 不 全 に よ り 緊 急 手 術 を 要 す る。 左 背 側 部 に 多 く (Bochdalekヘルニア)、小腸、結腸、胃、肝、脾などが 脱出する。正常肺が圧迫されて随伴する肺低形成で死亡 することがあり、ヘルニアの程度と予後が相関するとさ れる1)。診断自体は容易であるが、むしろ脱出臓器より 推定される欠損孔の大きさや、随伴する肺低形成の程度 が知りたい情報である。稀に右側の症例もあり(図7)、 胎児の左右や胎位を考慮して診断する。   3.腹部  肝はT2強調像で低信号、T1強調像で高信号を呈し臓 器を同定しやすい。腸管は羊水を含む胃、十二指腸、小 腸はT2強調像で高信号となるが、胎便を有する下部消 化管はT2強調像で著明な低信号、T1強調像で著明な高 信号となる。近年、消化管の異常の検索にMRIが用い られるようになったが、下部消化管の異常(Hirschsprung 病や鎖肛)の報告は頻度の割にほとんどみられない。胎 児期には排便運動自体がないからであろう。  1)腹壁破裂と臍帯ヘルニア(図8)  画質が向上した分、両者の鑑別がほぼ可能となった。 腹壁破裂とは、通常臍帯の右側に腹壁形成不全による孔 があり、腸管がヘルニアに包まれることなく脱出す る。典型例では腸管は羊水に浮遊し、脱出腸管と別に臍 帯を指摘することができる。腸管は浮腫状を呈すること が多い。一方、臍帯ヘルニアは臍帯に連続してヘルニア に包まれた内容物が認められるが、肝を高率に脱出す る。  

図7 先天性横隔膜ヘルニア(右) T2強調像で低信号の肝が右胸腔に脱出している(*).また,著明な低信号の胎便 を含む腸管(結腸)も脱出している(矢印).胃は脱出していない(矢頭). 図6 先天性囊胞状腺腫様奇形(CCAM) 左肺の中肺野に周囲よりT2強調像で高信号の領域があり(矢印),内部 は胞の集簇のようにみえる.

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()  2)消化管閉鎖(図9)  羊水過多がある場合、原因として消化管閉鎖が疑わ れるが中枢神経系の異常でも(羊水を飲まないなど)羊 水過多となることがあるので頭部も撮像する。消化管閉 鎖では、食道閉鎖、十二指腸閉鎖、回腸閉鎖などの頻度 が高いが、MRIでも出生後同様、閉鎖部より近位の消 化管拡大をきたし、十二指腸閉鎖では羊水でみたされた double-bubbleに相当する像がみられる。小腸閉鎖では、 閉鎖が近位であるほど診断しやすい。食道閉鎖では胃が 小さかったり見つからなかったりする。  3)腹部囊胞性腫瘤(図10)  腹部胞性腫瘤で最多は女児の卵巣腫である。母体 からのエストロゲン刺激が関与して生じる。しばしば捻 転し、その場合、内部に出血をきたすことが多くT1強 調像で高信号となる。腹部胞性腫瘤には水腎症、卵巣 腫、胞性腸管重複症、胞型胎便性腹膜炎、腸間膜 腫(リンパ管腫)、水子宮膣症、総胆管腫、肝外発育 型肝胞、卵巣奇形腫、尿膜管胞など多様な疾患が考 えられる。この中で画像上卵巣腫と似ていて頻度も極 端に少なくない疾患には総胆管腫、胞性腸管重複 症、腸間膜腫などのリンパ管腫が挙げられる。特に総 胆管腫は巨大胞性腫瘤となり得るので注意が必要で ある。  4)肝腫瘍(図11)  新生児期に見つかる肝腫瘍で最も多いのはinfantile hemangiomaである。これは退縮傾向のある良性腫瘍で あるが、A-V shuntを伴うと心不全で死亡することがあ る。また、Kasabach-Merritt症候群(消費性凝固障害に 伴う出血傾向)をきたすこともある。その他には肝芽腫、 神経芽腫の肝転移などがみられるが、恐らく胎児MRI でも同様の疾患をみる可能性があるであろう。 4.泌尿生殖器  以前から超音波検査で見つかった水腎症の精査と Potter sequencesの確認の目的でMRIを依頼されること が多かったが、近年では超音波検査では形態把握の難し

A B 図8 腹壁破裂と臍帯ヘルニア A 腹壁破裂:T2強調像で著明な低信号,T1強調像で著明な高信号の胎便 を含んだ下部消化管が腹壁外に脱出し,ヘルニアに包まれることなく羊水 中に浮かんでいる(矢印).臍帯は3本の細い低信号構造(血管)より成り,脱 出腸管とは別に指摘できる(矢頭). B 臍帯ヘルニア:T2強調像で低信号の肝が腹壁外に突出し(*),臍帯は同 部に連続するようにみえる(矢頭).

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() 図9 消化管閉鎖 A  十二指腸閉鎖:上腹部に単純写真上のdouble-bubble signに似た高信号がT2強調像でみられる(矢印). B 空腸閉鎖:胎児の腹部には拡張した消化管が高信号に認められるが,拡張ループはそれほど長くなく空腸 閉鎖を疑う(矢頭). A B

A B 図10 腹部囊胞性腫瘤 A 卵巣囊腫:左側腹部に単房性胞性腫瘤があり(*), T1強調像では水よりやや信号が高く,捻転に伴う出血 性胞と思われる(矢印). B 総胆管囊腫:腹部に大きな単房性胞性腫瘤がみら れる(*).肝下面に接しており,総胆管腫を疑う.

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() い複雑尿路奇形の診断を求められることが少なくない。  1)Potter sequences(図12)  両側腎無発生は全例出生後早期に死亡する。このため 画像診断の対象となるのは胎児期に限られる。死亡の原 因は腎不全ではなく、高度の肺低形成による呼吸不全で ある。従って、画像診断に求められる最も知りたい点は、 極端ないい方をすると“この児に腎がありますか?”では なく、“この児は出生しても生きることができますか?” である。たとえ腎があっても生存できなければ診断は正 解で、出生して長く生きていたら診断が間違っているの である。本疾患のMRIは妊娠継続の確認のため、早期 の週数で(小さい体で)撮られることが多いので腎の有無 の判断は難しい。しかし、本疾患の本質は高度の肺低形 成を診断することなので胸郭が非常に小さく肺低形成が 疑われる点、どの画像にも膀胱に尿がない点などで診断 できる11)。桑島は、肺低形成はT2強調像での低信号で 診断できると指摘している12)  2)総排泄腔遺残(persistent cloaca(図13))

 Cloacal malformation、cloacal remnantともいわれ、直腸、 膣、尿道が単一の共通管(common channel)に合流する 先天奇形で外陰部に一つの孔しか存在しない。女児の鎖 肛の特殊型と捉えられている。共通管の長さはさまざま で、多くは水腎水尿管症や水膣症を伴うが程度はまちま ちである。重複子宮、重複膣となることが多い。

図11 肝腫瘍 A  infantile hemangioma B 肝芽腫 A,BともにT1強調像で低信号となる領域が,Aでは肝左葉内側区域~右葉前区域を中心に,B では肝左葉外側区域を中心に認められる(*).T2強調像ではあまり高信号とならなかった。Aは infantile hemangioma,Bは肝芽腫であったが,Aでは腹壁が凹んでいるのに対し,Bでは膨らんで おり,硬い腫瘤であることが示唆された(矢頭). A B

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() 5.その他  1)仙尾部奇形腫(図14)  奇形腫は縦隔、卵巣、後腹膜など、さまざまな部位で 発生するが、部位ごとに疫学的な特徴が異なっている。 胎児期、新生児期にしばしばみられるものには脳、頸部、 仙尾部発生などがある9)。特に仙尾部奇形腫は頻度が高 く、女児に多く、発見時年齢が高いほど悪性成分を有す る頻度が高いといわれる。腫瘍は体幹外、骨盤内に種々 の割合で存在するが、一般に内方(骨盤内)発育型の方の 予後が悪い傾向にある。胎児期に見つかったものでは大 きいと血流が多くとられ、心不全をきたして死産となる ことがある。 A B C 膀胱 直腸 水膣症(重複) 図13 総排泄腔遺残 A 冠状断像 B シェーマ C 横断像 胎児の下腹部に膀胱とは異なる二つの胞状構造が対称性に認められ(B),重複した 水膣症と思われる(*).両側の水腎症を伴っている(矢頭).左右の腔の中隔部分に直 腸からの瘻孔がある(矢印)。

頭部 胸部 腹部 図12 Potter sequences 羊水はほとんどみられない.肝がT2強調像では低信号で認識しやすい が(*),頭部,腹部に対して胸部が比率として小さいことがわかる.

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おわりに

 さまざまな疾患が胎児MRIで診断できるようになる につれ、その結果が患者様への説明に深くかかわり、妊 娠継続の意思確認にも利用されるようになってきた。診 断が確実であるのは当然だが、今後はより早い週数(よ り小さい胎児)での診断が求められ、個々の症例ごとに 疾患の重篤度や予後について知りたいと思うことが容易 に想像できる。その期待に応えるには小児放射線の心得 が必要である。 【参考文献】

1) Ertl-Wagner B, Lienemann A, Strauss A, et al:Fetal magnetic resonance imaging:indications, technique, anatomical considerations and a review of fetal abnormalities. Eur Radiol 12:1931-1940, 2002

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3) Kanal E, Gillen J, Evans J, et al:Survey of reproductive health among female MR workers. Radiology 187:395-399, 1993

4) Baker P, Johnson I, Harvey P, et al:A three-year follow up of children in utero using echo-planar magnetic resonance. Am J Obstet Gynecol 170:32-33, 1994

5) Garcia BF, Shirim A, Koren G:Safety of gadolinium during pregnancy. Can Fam Physician 52:309-310, 2006

6) 赤坂好宣,橋村宏美,山口善道:胎児のMRI:体幹部疾患. 画像診断 27:833-840, 2007

7) 赤坂好宣,金川公夫,杉村和朗:胎児のMRI診断:正常と 異常.画像診断 23:1446-1455, 2003

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10) Kim TH, Kim YM, Han MY, et al:Perinatal sonographic diagnosis of cardiac fibroma with MR imaging correlation. AJR Am J Roentgenol 178:727-729, 2002

11) 赤坂好宣,金川公夫,杉村和朗:先天性泌尿器疾患におけ る胎児MRIの有用性.日医磁誌 22:73-80, 2002

12) Kuwashima S, Nishimura G, Iimura F, et al:Low-intensity fetal lungs on MRI may suggest the diagnosis of pulmonary hypoplasia. Pediatr Radiol 31:669-672, 2001

図14 仙尾部奇形腫

胎児の臀部より体外に突出する大きな腫瘤があり,大部分は胞の形 態を示すが(*)内部には充実性部分も認められる(矢頭).

参照

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