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Academic year: 2021

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まえがき

ネットワークポリマーとは高分子鎖がネットワーク構造を取る高分 子の総称で,フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を代表 として,光硬化性樹脂,エラストマー,ゲルなどを含む橋かけ高分子全 般を指す.本書では,その中でも古くから工業的に使われてきたネット ワークポリマーの代名詞とも言うべき熱硬化性樹脂を取り上げる.熱硬 化性樹脂は実用化実績が高い素材であるが,縁の下の力持ち的存在で目 に付かない部分の方が多い.研究開発対象として完成の域に達している という見方もあるが,ネットワーク構造を取るがゆえに未解明の現象も 多いのが現状であった.近年,熱硬化性樹脂の高次構造を制御すること によって熱伝導性等の新しい機能を発現させる研究も活発化してきた. 本書は,そのような熱硬化性樹脂の基礎科学から,最近のトピックスと しての高次構造制御に関する高機能性発現,劣化検知に関する内容まで 取り上げ,そのエッセンスをわかりやすく解説した入門書である. 成形加工というエンジニアリングプロセスから考えると,すでに高分 子量体となっている熱可塑性樹脂に対して,出発原料がモノマーである 熱硬化性樹脂は成形加工時に硬化(重合)反応を伴うため,粘度が水の ように非常に低くなった後に急激に増大して固化する.このように,途 中で化学反応を伴う過程を経るために,同じ原料を使っても反応条件に よって得られた硬化物の特性が大きく変動する場合が多い.その結果, もの作りの現場では製品として不良が出たりするのであるが,逆にこの 部分をうまく制御できれば,期待以上のすばらしい特性を手にすること もできるのである.そのためには,反応に組み合わせる硬化剤の化学構 造や,原料モノマー自体が高次構造しやすいものを分子設計していくと いう考えが必要不可欠になってくる.近年,熱硬化性樹脂に関しても単 に硬化させるだけでなく,高次構造まで制御し特性を引き出す,という 新しい研究開発事例が多く報告されるようになってきた.本書はこのよ うな観点から企画された.

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vi まえがき さらに,なぜこのような特性が熱硬化性樹脂に要求されるのか,ま た,不溶不融の熱硬化性樹脂の劣化時の挙動を捉えることがどうして必 要なのかについて,わかりやすく説明するために,実際の電子機器や電 力機器などの製品での適用事例をできるだけ多く取り入れて説明した. これによって,読者がより親しみやすく,しかも興味を持ち続けて読ん でいただけるようになったと思っている. 熱硬化性樹脂は,それ自体では目立たない縁の下のつまらない存在 と思われがちであるが,コンポジット化やアロイ化,高次構造を精密制 御することで,1 + 1が2でなく3以上,極論すればにもなり得る, 従来知られていなかった新しい機能を発現できる可能性が秘められてい る魅力的な高分子材料と考えている.特に,若い研究者の方々が自分の アイデア,技術を実際の製品の中で,将来きっと採用される喜びを味わ える分野であると信じており,本書がその一助になれば望外の喜びであ る. 2012年10月 竹澤由高 高橋昭雄

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