中国企業における管理所職の労働意識に関する研究 [ PDF
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(2) であり,この層には 61 人がいた.20 点未満という低い層. いこと」への関心がもっとも高いといえる。. には 9 人であり,働くことの中心性が 60 点以上という高い. 日系企業における中国人管理職は、仕事中心性において. 層には 28 人がいた.五つの生活領域で仕事に配分された数. より高いけれども、年代別により労働志向の相違が見られ. 値の平均値は 41 点であり,五つの項目に一番高い。一方、. なかった。これは中国社会の激変で、新しい価値観、人生. 宗教に配分された数値の平均値が 2.7 点であり。7段階尺. 観がまだ形成していないためと思われる。. 度によって測定した仕事重要度において、仕事を「最も重. 研究1の結果により、年代別により労働志向の相違が見. 要なことの一つ(7 段階尺度の 6 ないし 7) 」と答えた人は. られなかったため、年齢による人的資源管理手法の模索が. 61 人、 「ふつう(4,5,6)」と答えた人は 82 人、 「最もとるに. あきらめるしかない。従来の中国企業と日本企業の人事制. 足らない(1,2)」と答えた人は 2 人であった。各年代別の中. 度は、昇給と昇進の問題に対し、解決できないため、個人. 国人管理職は働くことの中心性に差があるかどうかを検定. 業績を給料に反映する成果主義の人的資源管理手法が昇給、. するため、仕事の中心性と仕事の重要度に対しそれぞれに. 昇進の問題が解決できるかどうかを考察しようとする。. 一要因三水準の分散分析をおこなった。その結果、各年代 の中国人管理職の間に有意差がみられなかった。働くこと. 研究2:中国企業における管理職が成果主義に対する認識. の目的について、回答者は順位づけの相違により,違う点. の研究. 数をつけ,例えば、一位にあたり 11 点を付け,2 位にあた. 本研究の目的は、中国企業における管理職が、成果主義に. り 10 点を付け・・・・・11 位なら 1 点を付け,そして,. 対してどのような認識を抱いているかについて、明らかにす. 11 の側面の各順位の人数にかけ,11 の側面の合計点数を算. ることである。さらに、成果主義の運用によって、中国企業. 出する.最も重要なものとして順位づけられた側面である. で生じている問題を整理し、原因を考察することを通して、. ほど、合計点数が高いと考えられる.前述の方法で,11 の. 今後成果主義が中国企業で展開される際に、注意すべき事柄. 側面では「給料がよいこと」という側面の得点(1160)が. を提起したい。. 最も高い。 「新しいことを学ぶ機会が多いこと」という側面. 【方法】. の得点(1026)が二番目になり、 「よい対人関係があること」. 2003年12月22日∼12月29日、二つの企業(A:. という側面の得点が三番目であった.働くことの目的に関. 洋服メーカ;B:テレビ製造メーカ)に質問紙調査を依頼し. する各側面において,各年代別の中国人管理職の間に有意. た。そのうち一つの会社は洋服メーカで、成果主義を運用し. 差がみられなかった。職務満足度についての調査により、. ている企業である。もう一つはテレビ製造メーカで成果主義. 給料についての満足度がもっとも低かった(図1) 。. を導入していない企業である。今回の調査は92部の質問紙を 配布し、90部回収した。そのなかに有効件数は68部であった。. 職務満足度の平均値. 調査項目は以下の通りであった。a.企業の人事評価要素の状 職務満足度の 平均値. 意. 現 在. し ご と 見 重 視 昇 進 制 日 度 本 人 関 係 ス トレ ス. 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0. 況では「仕事年次」 、 「同僚との人間関係」 、 「個人業績」 、 「プ ロセス」 、 「同僚の評価」 、 「職責」 、 「会社業績」に関する七つ の項目;b.個人目標の設定について管理職の態度では、 「高 い個人目標を設定し挑戦する」 、 「達成できる個人目標を設定 する」 、 「自分のベースで目標を設定する」 、 「低い個人目標を. Fig1. 中国人管理職の職務満足度. 設定する」に関する四つの項目,c.昇進について管理職の態. 今回の調査により、各年代の中国人管理職は、 「働くこと」. 度;d.モチベーションアップの効果度では「福利厚生の充実」 、. を日常生活の中で重要なことであると考えているようであ. 「給料アップ」 、 「昇進チャンスの増加」 、 「会社ビジョンの提. る。それに、働く目的においても、各年代の中国人管理職. 示」 、 「雇用保障」 、 「研修チャンスの増加」 、 「仕事権限の拡大」 、. の間に差がみられなかったが、全体から見れば、 「給料がよ. 「多様な仕事の体験」 、 「表彰制度の充実」に関する九つの項.
(3) 目;e.人事制度では「給料が業績に影響される程度」 、 「給. か否かを検証するため、 「目標達成への過度の意識」を説明. 料についての満足度」 、 「給料が業績と連動することについて. 変数とし、 「高い成果への挑戦の回避」を基準変数とする単. の態度」 、 「人事評価の透明性」 、 「人事制度についての満足度」. 回帰分析を行った。その結果、成果主義人事制度の運用され. に関する五つの項目;. るA社において、目標達成を過度に意識することが高い成果. 【結果と考察】. への挑戦を避けることに影響を与えることが示された(R2. A社、B社間で人事評価要素を重視する傾向に差があるかど. =−.50、 p<.001) 。しかし、目標達成を過度に意識す. うかを検証するため、提示した七つの人事評価要素、それぞ. ることを説明変数とし、プロセスを軽視することを基準変数. 「プロセス」におい れに対し、t検定を行った。その結果、. とする単回帰分析では、有意な結果は得られなかった。A社、. て、成果主義のA社が成果主義の導入されていないB社より有. B社の間で管理職の出世志向に差があるかどうか検証するた. 意に高かった(t(66)=3.11、p<.01); 次に「職責」にお. め、出世希望に対しt検定を行った、その結果、会社間の有. いて、成果主義のA社が成果主義の導入されていないB社より. 意差はみられなかった。モチベーションアップの効果度にお. 有意に高かった(t(66)=2.77、p<.01); さらに「個人業. ける今回の調査により、 「研修チャンスの増加」においての. 績」において、成果主義のA社が成果主義の導入されていな. 、そ み、B社がA社より有意に低く(t(66)=2.58、p<.01). ;残りの いB社より有意に高かった(t(66)=5.14、p<.01). れ以外の項目では二社間での有意差はみられなかった。特に、. 四つの人事評価要素では、A社とB社の間に有意差がみられ. 二社の管理職は「昇進チャンスの増加」が、従業員のモチベ. なかった(表1) 。. ーションアップに有効であると考えているようである(表. Table1 人事評価要素の重要度の比較 A社. B社. 個人業績. 4.38(.54). 3.38(.69). 職責. 4.13(.68). 3.66(.82). プロセス. 4.15(.66). 3.59(.78). 2) 。 Table2 モチベーションアップの有効度の比較 A社. B社. 福利厚生の充実. 4.05(.86). 4.11(.56). 給料アップ. 4.05(.72). 4.24(.64). 多様的な仕事をさせること. 3.79(.92). 3.59(.73). 昇進チャンスの増加. 4.23(.67). 3.59(.60). かどうかを検証するため、給料と個人業績の関係に対し、t. 仕事権限の拡大. 3.97(1.04). 3.59(.70). 検定を行った。その結果、成果主義のA社が成果主義の導入. 会社ビジョンの呈示. 3.26(.72). 3.59(.76). 。 されていないB社より有意に高かった(t(66)=6.89、p<.01). 長期雇用. 3.38(1.07). 3.59(1.02). A社、B社間で人事制度において差があるかどうか検証するた. 研修チャンスの増加. 4.23(.67). 3.59(.73). め、 「給料の満足度」 、 「人事制度の満足度」に対し、t検定. 表彰制度の充実. 4.03(.81). 3.59(.72). A社、B社間で給料が個人業績に影響される程度に差がある. を行った、その結果、 、 「給料の満足度」において、成果主義 のA社が成果主義の導入されていないB社より有意に高かっ. 【考察】. 「人事制度の満足度」に た(t(66)=4.26、p<.01);また、. 1 A、B二社の人事制度についての比較. おいても、成果主義のA社が成果主義の導入されていないB社 。 より有意に高かった(t(66)=4.97、p<.01). A、B二社の人事評価要素についての調査により、個人業績 という人事評価要素の重要度において、成果主義を導入して. A社、B社の間で従業員の目標必達に監督する程度に差があ. いるA社は、成果主義を導入してないB社より明らかに高かっ. るかどうか検証するため、目標必達に監督する程度に対し、. た。同時に、成果主義を導入しているA社は、給料が個人業. t検定を行った。その結果、成果主義のA社が成果主義の導. 績に影響される程度においても、成果主義を導入してないB. 入されていないB社より有意に高かった(t(66)=6.89、p<.. 社より強かった。. 01) 。目標達成を過度に意識することが目標設定に影響する. これらのことより、A社では成果主義人事制度の特徴とし.
(4) て業績、成果を給料に反映させているといえる。つまり、A. 従業員の高いモチベーションを引き出すことが本来最も重. 社は成果主義の人事制度を運用される典型的な企業である. 要な目的のはずである。しかし、今回の調査により、成果主. といえよう。. 義を導入しているA社における管理職でさえ高い出世志向. 今回の調査により、成果主義人事制度の運用されているA. を持っていることがうかがえる。. 社の管理職は、給料の満足度と会社の人事制度の満足度にお. 権利を崇拝する中国社会では、出世志向から成果志向への. いて、成果主義を導入してないB社の管理職より明らかに高. 転換が難しいと考えられる。成果主義を導入する企業として、. かった。それに、成果主義を導入しているA社の管理職であ. 従業員の出世志向を弱めるはずなのに、現段階の中国企業で. れ、成果主義を導入していないB社の管理職であれ、成果主. は、昇給のほか、昇進昇格も管理職の重要なニーズであると. 義人事制度に賛成する姿勢が強く表明されるようである。こ. 考えられる。従って、成果主義を導入する際、合理的なポス. れより、成果主義の導入により、中国企業における給料不満. トを設け、昇進、昇格などの人事方法を有効に活用すること. の問題の解決に役に立つと思われる。. で、管理職のモチベーションアップが促されると考えられる。. 2 成果主義の導入による問題 今回の調査により、成果主義を導入しているA社は、従業 員への目標必達の監督の程度において、成果主義人事制度の. まとめ 研究1では、中国人管理職は年代別の労働志向の特徴がみ. 導入してないB社よりきびしかった。こういう状況において、. られなかったが、研究1と研究2の結果により、日系企業に. A社の管理職は、チャレンジングな目標に取り組まず、高い. おける中国人管理職であれ、中国企業における中国人管理職. 目標への挑戦を避ける傾向がみられた。一方、成果主義を導. であれ、彼らのおなじ特徴が昇進と給料に対する強い欲求を. 入している企業において、普遍的に存在しているプロセス軽. もっていることである。つまり、個人業績を給料に反映する. 視の問題は、A社においてあまりみられなかった。これはA. 成果主義人事制度は、企業における管理職に認められるとい. 社の人事評価要素の中に、プロセスの評価が重視されている. えよう。成果主義の重要な目的として、ただ給料、昇進コン. ためと思われる。A社の例から、成果主義を導入している企. トロールの問題だけではなく、高いモチベーションを引き出. 業として、業績のみを重要な評価要素とするので、明らかに. すことがはずである。しかし、権利を崇拝する中国社会では、. 不十分であると考えられる。人事評価要素の充実及び各評価. 出世志向から成果志向への転換が難しいと考えられる。だか. 要素重要度の調整は、成果主義人事制度の運用する企業にと. ら、企業にとって、合理的なポストを設け、多様的な人的資. って重要な課題であろう。. 源管理手法を作り出すことが必要である。. 3 中国における企業での成果主義人事制度の運用. 【参考文献】. A社において、職責が相変わらず重要な人事評価要素とし. 、 『組織人事ライブ 156』 、 川上真史「成果主義とストレス」. て使用され、それに、ポストが上がるほど、対応の待遇面も. 2001 年. 上がることが明らかになった。以上のことは、成果主義の運. 、 『組 佐久間賢「ホワイトカラーのモチベーション国際比較」. 用されているA社において、年功序列そのものがまだ残って. 織化学』Vol.27no.3. いることを示している。 調査1により、中国における日系. 、2001 年 佐久間賢「成果主義導入的条件」. 企業の現地管理職が給料の高さだけではなく、昇進スピード. 周ショウホン『現代社会心理学』 、上海人民出版社、199. についても職務満足感が低いことがわかった。今回の調査で. 7年. も、二社の管理職は昇給以外に望むものとして、やはり「昇. 、東洋経済新報社、1999 年 高橋俊介『成果主義』. 進希望」への関心がもっとも高いといえる。. 「成果主義の崩壊」 、 『週刊朝日』 、2003/8/29. 成果主義人事制度の目的とは成果貢献度によって、給料、. 三隅二不二『働くことの意味』 、有斐閣、1987 年. 昇進を決めることであるが、単に給料、昇進コントロールの. ミニプロ4班「富士通成果主義人事制度の変遷」 、 『ビジネ. 問題だけではなく、会社のビジョンにあった成果主義を設け、. スシステム応用研究レポート』 、2003 年.
(5) ファイル名 : 2HE02053T.pdf.doc フォルダ : A: テンプレート : C:¥WINDOWS¥Application Data¥Microsoft¥Templates¥Normal.dot 表題 : 中国企業における管理職の労働意識に関する研究 副題 : 作成者 : 社会心理 キーワード : 説明 : 作成日時 : 2004/01/23 19:37 変更回数 : 3 最終保存日時 : 2004/01/29 18:19 最終保存者 : 社会心理学第一 編集時間 : 11 分 最終印刷日時 : 2004/01/29 18:08 最終印刷時のカウント ページ数 : 4 単語数 : 1,035 (約) 文字数 : 5,904 (約).
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