立正佼成会青梅所有林の存在価値とその発揮について
深 田 伊 佐 夫
1 。 緒 言 2 . 社 寺 林 の 定 義 と 性 格 2 1 . 社 寺 林 の 定 義 2 2 . 社 寺 林 造 成 の 背 景 2 3 . 神 社 の 社 寺 林 の 特 徴 と 性 格 2 4 . 寺 院 の 社 寺 林 の 特 徴 と 性 格 3 . 青 梅 所 有 林 の 概 況 31.概況 3 2 . 地 勢 ・ 交 通 環 境 33.林況 3 4 . 育 林 概 念 4 . 育 林 と 管 理 の 実 際 4 1 . 土 地 区 画 の 確 定 4 2 . 山 林 内 の 道 路 整 備 4 3 . 新 規 造 林 地 4 4 . 既 存 造 林 地 4 5 . 二 次 自 然 林 5 . そ の 他 の 樹 林 地 ・ 林 相 ・ 植 生 5 1 . 境 内 地 樹 林 地 ( 緑 地 ) 5 2 . 芝 生 ・ 茶 畑 ・ 畑 地 6 . 考 察 6 1 . 青 梅 所 有 林 の 育 林 意 義 6 2 . 青 梅 所 有 林 の 潜 在 的 価 値 6 3 . 価 値 発 揮 に 向 け た 育 林 の 方 向 性 7 . 総 括 8 . 今 後 の 研 究 課 題 9 . 謝 辞 1 0 . 参 考 ・ 引 用 文 献 一 覧 461 。 緒 言 法華系の在家仏教教団である、宗教法人「立正佼成会」は東京都青梅市において、 教団の宗教教育施設である青梅練成道場を運営するとともに、道場に付帯する330ha に及ぶ森林(以下、「青梅所有林」と略す)の育林と管理を実施している。 青梅所有林の育林と管理は、1977卯f拝日52)年から本格的に実施され、その後1980 (昭和55)年に教団により企画された「青梅聖域開発構想」の「森林整備計画」に提示 された指標(立正佼成会企画l?7LS:1980)を根拠に、「自然と人間の対話の広場」を構築 す る と い う 理 念 の も と に 、 ① 新 規 造 林 地 の 保 育 管 理 ② 既 存 造 林 地 の 保 育 管 理 ③ 二 次 自 然 林 の 保 育 管 理 と 更 新 を 中 心 に 、 森 林 の 育 林 と 管 理 が 継 続 さ れて き た 。 継 続 的 に 育 林 と 管 理 を 実 施 して き た こ と か ら 、 林 木 の 生 長 も 順 調 で あ り 、 地 域 住 民 ・ 森 林 関 係 者・行政より「地域でも有数の管理の行き届いた森林」として認知されている。 ま た 、 青 梅 所 有 林 は 立 正 佼 成 会 の 宗 教 教 育 施 設 で あ る 青 梅 練 成 道 場 に 付 帯 し 、 社 寺 林(上田ら:2001、下中:1990)としての意義・性格を潜在的に備えていること、市 街 地 と 山 地 の 境 界 部 分 に 位 置 して い る こ と 、 都 市 近 郊 の 優 良 な 緑 地 資 源 と しての 機 能 が期待される(深田:2000)ことなど、社寺林としての機能性と国民の緑・森林に対 する期待に応えられる多くの可能性をもちあわせていると考える。 一方で、2003(平成13)年より検討を開始した、「青梅整備計画」では、青梅練成道 場 が 教 団 の 人 材 育 成 の 場 と しての 新 た な 位 置 づ け が 再 認 識 さ れ 、 当 地 の 自 然 環 境 と 森 林資源を活用して、情操心豊かな人材の育成を図ることが検討されていることなど、 今 後 の 青 梅 所 有 林 を 持 続 的 に 育 成 管 理 し 、 森 林 機 能 を 高 めて い く こ と が 重 要 課 題 で あ ると考える。 しかし、育林と管理が開始されてからの歴史が30余年で森林としての年齢も若く、 森林面積が広大であるなどの特性をもつことから、その成果が確認されるまでには、 最速でも今後数十年の時間を要することが予想される。 ところで、筆者は1982(昭和57)年より、青梅所有林の育林と管理に携わるなかで、 一連の育林と管理の基礎段階を経過した現在、青梅所有林のもつ課題、将来の展望、 社 寺 林 と しての 機 能 発 揮 が 可 能 に な る よ う に 、 今 後 と も 持 続 的 に 育 林 を 実 施 す る た め に、青梅所有林の育林の意義を再確認する時期が到来しているものと認識している。 そこで、本論文では社寺林の定義、国内各地の社寺林造成の背景(長野:2006、大 森:2006)などを踏まえた上で、「都市地域に所在する広大な森林」という特性をもつ 青 梅 所 有 林 の 、 造 成 意 義 と 育 林 経 過 、 宗 教 法 人 の 所 有 す る 森 林 と して、 将 来 的 に 社 寺 林 と しての 意 義 や 機 能 、 都 市 近 郊 の 優 良 な 緑 地 資 源 と しての 機 能 発 揮 な ど 、 そ こ に 内 在する多くの潜在的な価値を発揮することが可能になるための育林の方[白]性について の考察を試みたいと考える。 47
2 。 社 寺 林 の 定 義 と 性 格 2 1 . 社 寺 林 の 定 義 最 初 に 、 諸 考 察 を 行 な う に あ た り そ の 前 提 条 件 と な る 、 社 寺 林 の 定 義 に つ い て 述 べ る こ と に す る 。 社 寺 林 の 定 義 に は そ の 性 格 上 、 森 林 ・ 林 業 的 な 定 義 と 宗 教 的 な 定 義 の 2 つ の 意 味 あ い が 含 ま れ て い る も の と 考 え る 。 こ の う ち 宗 教 的 な 定 義 に つ い て は 、 神 社 と 寺 院 で は 異 な っ た 価 値 観 の も と に 、 宗 教 と 森 林 と の 関 わ り あ い を も っ て き た こ と (四手井1:2001);び指摘されており、宗教ごとに定義に差異があるとみられる。した が っ て 、 こ こ で は 一 般 的 な 定 義 を 中 心 に 述 べ 、 宗 教 の 違 い に よ る 定 義 ・ 特 徴 ・ 性 格 の 詳 細 に つ いて は 2 2 以 下 で 触 れ る こ と に し た い 。 ま ず、 社 寺 林 の 定 義 を 確 認 す る た め 、 森 林 ・ 林 業 的 な 視 点 ( 林 野 庁 : 2 0 0 0 、 日 本 林 業技術協会:1982)、および宗教的な視点(下中:1990、小野ら1985)、からの記述を も と に 内 容 を 整 理 し て み た 。 そ れ ら の 結 果 か ら 、 以 下 の 5 つ の 要 素 を も つ 森 林 が 、 社 寺 林 と し て 定 義 さ れ る も の と 考 え る 。 そ の 要 素 と は 、 ① 社 寺 林 は 、 正 式 に は 社 寺 有 林 と 称 し 、 神 社 ・ 寺 院 が 所 有 す る 森 林 の こ と を 指 す ② 全 国 の 社 寺 林 総 面 積 は 8 万 h a で あ る ③ 社 寺 林 に は 、 社 寺 の 森 厳 ( 荘 厳 ) さ と 風 致 を 維 持 す る 目 的 を も つ 境 内 林 と 、 前 述 の 目 的 を も ち つ つ も 林 木 の 販 売 収 益 を 得 て 財 源 確 保 を 視 野 に も つ 境 外 林 と に 区 分 で き る ① 神 社 で は 森 は 神 の 鎮 ま る 印 と し て 社 叢 と も 呼 ぶ ⑤ 森 林 法 上 の 規 定 で は 私 有 林 の 1 つ の 形 態 に 分 類 さ れ る の 5 点 で あ る 。 な お 、 こ こ で い う 境 内 林 は 宗 教 法 人 法 第 3 条 第 5 項 に 規 定 さ れ た 境 内 地 と し て 、 「 宗 教 的 な 目 的 に 供 す る 庭 園 、 山 林 そ の 他 尊 厳 又 は 風 致 を 保 持 す る た め に 用 い ら れ る 土 地 ( : 丈 化 庁 : 1 9 9 9 ) 」 と 位 置 づ け ら れ 、 そ の 性 格 か ら 納 税 義 務 が 免 除 さ れて い る 。 ま た 、 境 外 林 に つ い て は 一 般 的 な 山 林 と 同 様 に 林 業 的 な 機 能 も 有 す る と み な さ れ 、 「 山 林 」 の 地 目 を も ち 納 税 義 務 を 課 せ ら れ て い る 。 2 2 . 社 寺 林 造 成 の 背 景 次 に 、 神 社 ・ 寺 院 に お い て 社 寺 林 が 造 成 さ れ て き た 背 景 に は 、 ど の よ う な 信 仰 が 存 在 し て き た の か と い う 点 に つ い て 検 討 し た い 。 わ が 国 の 、 多 く の 神 社 と 寺 院 で は 規 模 と 形 式 は 別 と し て 、 樹 木 や 樹 林 に 囲 ま れ た 景 観 を 呈 し て い る も の と 思 わ れ る 。 例 え ば 伊 勢 神 宮 は 、 神 路 山 ・ 島 路 山 ・ 高 倉 山 の 宮 域 に、神宮宮域林と呼ばれる5、441haの森林を所有し、そのうち46%にあたる2、479ha の 森 林 で 式 年 遷 宮 の 用 材 を 育 成 して い る ( 木 村 : 2 0 0 0 ) 。 一 方 で、 比 叡 山 延 暦 寺 ・ 高 野 山 金 剛 峰 寺 ・ 身 延 山 久 遠 寺 な ど 仏 教 各 宗 派 の 本 山 を は じ め と し た 仏 教 聖 地 で は 、 仏 を 供 養 す る 目 的 で 育 て ら れ た 広 大 な 森 林 を 有 し て い る 。 ま た 、 平 安 期 に 発 展 し た 浄 土 庭 園 は 、 仏 教 の 理 想 世 界 で あ る 浄 土 を 庭 園 造 成 に よ っ て 表 現 し 、 樹 木 や 花 木 の 植 栽 が 行 なわれてきた(進士:2006、飛田:2002)。そして、都市部・農村部を問わず、われわ れ の 生 活 空 間 に な じ み の 深 い 神 社 の 鎮 守 の 森 や 寺 院 を 囲 む 森 は 、 身 近 な 社 寺 林 の ひ と 48
つであるといえよう(深田:2003)。 こ の よ う に 、 多 く の 神 社 ・ 寺 院 に お い て 社 寺 林 が 造 成 さ れ て き た 背 景 に は 、 神 道 や 仏 教 が 宗 教 と し て 定 着 す る 以 前 か ら 存 在 し て い た 、 わ が 国 独 自 の 自 然 信 仰 の 原 初 形 態 と 信 仰 観 が 関 与 し て い た 可 能 性 が あ る と 考 え る 。 こ れ ら の 自 然 信 仰 の 対 象 物 に は 、 山 な ど の 地 形 ・ 水 源 ・ 水 ・ 川 ・ 樹 木 な ど 、 お よ そ 自 然 環 境 を 構 成 す る ほ と ん ど の 存 在 が 網 羅 さ れ て お り 、 人 間 の 生 活 や 生 産 活 動 の 関 心 事 が 、 も っ と も 集 中 す る 自 然 の 対 象 物 自 体 が 信 仰 の 対 象 と な っ て き た ( 深 m 、 三 阪 に 0 0 5 ) 。 さ ら に 、 自 然 信 仰 の 原 初 形 態 と 信 仰 観 に は 、 周 囲 の 自 然 の 対 象 物 に 対 し て 宗 教 的 態 度 を と り 、 そ の 態 度 が 人 間 関 係 や 人 間 生 活 と 結 び つ い て い る 特 徴 が あ る ( 原 田 : 1 9 6 6 ) 。 こ の 特 徴 と は 、 ① 人 間 の 生 活 に 有 益 に は た ら く 生 物 資 源 ・ 土 地 資 源 の 持 続 的 な 享 受 に 対 す る 祈 願 ② 時 と し て 人 間 の 生 活 に 不 利 益 を も た ら す 自 然 災 害 か ら の 回 避 に 対 す る 祈 願 ③ 自 然 の 対 象 物 に 対 し て 報 謝 と 畏 敬 の 念 を 同 時 に も つ な ど の 信 仰 的 態 度 の こ と を 示 す と 考 え る 。 こ う し た 自 然 信 仰 の 原 初 形 態 と 信 仰 観 の 流 れ は 、 宗 教 と 樹 木 と の か か わ り 合 い と い う 形 で 、 さ ま ざ ま な 宗 教 の 中 に も 継 承 さ れ て き た 。 ま ず 、 神 道 で は 一 年 中 青 々 と 繁 る マ ツ ・ サ カ キ な ど の 常 緑 樹 に は 神 々 が 宿 る と 信 じ 、 こ れ ら を 「 常 磐 木 」 と 別 称 す る ほ ど 聖 な る 木 々 と して、 神 迎 え の お り の 神 簸 に 用 いて き た ( : 大 森 : 2 0 0 0 ) 。 仏 教 で は 仏 説 を 象 徴 す る 青 蓮 華 に み た て た シ キ ミ ( ・ 楠 ) ・ レ ン グ ( 蓮 華 ) を 仏 前 の 供 花 に 用 い ( 新 井 ら : 1 9 9 6 ) 、 宗 派 に よ って はそ の こ とを 重 要 な 儀 式 儀 礼 と して 位 置 づ け て き た ( 深 田 : 2 0 0 7 ) 。 ま た 、 修 験 道 で は あ る 程 度 の 標 高 を も つ 山 岳 に 設 け ら れ た 修 験 者 の 修 行 道 場 周 辺 に 植 生 域 を も つ 、 常 緑 樹 の シ ャ ク ナ ゲ ( 石 楠 花 ) を 霊 樹 ・ 神 木 と し て き た ( 長 野:2()06)。 以 上 の よ う に 、 自 然 信 仰 の 原 初 形 態 と 信 仰 観 を 背 景 に 、 宗 教 と 樹 木 が 結 び っ い た 独 特 の 信 仰 形 態 が 、 そ れ ぞ れ の 宗 教 に お い て 継 承 さ れ 、 社 寺 林 の 造 成 と も 密 接 な つ な が り を も っ て き た こ と が 考 え ら れ る 。 2 3 . 神 社 の 社 寺 林 の 特 徴 と 性 格 わ れ わ れ が 目 に す る 神 社 や 寺 院 の 森 林 は 、 社 寺 林 と い う 枠 組 み で 捉 え れ ば 、 類 似 し た 森 林 景 観 を 呈 し 、 そ の 役 割 を 果 た し て い る よ う に み ら れ る 。 し か し 、 神 社 の 森 は 神 の 依 り 代 と し て 存 在 し て き た 森 林 に 後 の 時 代 に 神 殿 が 建 立 さ れ た の に 対 し 、 寺 院 の 森 林 は 最 初 に 仏 の 住 家 と し て の 堂 宇 が 建 立 さ れ た 後 に 、 意 図 的 に 植 樹 ・ 造 林 し 仏 を 供 養 す る の に 相 応 し い 空 間 を 創 出 し て き た こ と な ど 、 宗 教 に よ り 社 寺 林 の 造 成 意 義 ・ 経 緯 には差異がある((搦手井2:2001、深田2001)。 そ こ で 、 こ こ で は わ が 国 の 主 要 宗 教 で あ る 神 社 ( 神 道 ) ・ 寺 院 ( 伝 統 仏 教 ) そ れ ぞ れ の 社 寺 林 の 特 徴 、 と こ 性 格 に つ いて 述 べ る こ と に す る 。 ま ず、 神 社 の 社 寺 林 の 特 徴 J : ン 吐 格 に つ い て 述 べ る 。 古 来 、 わ が 国 で は モ リ の こ と を 「 森 」 「 杜 」 「 神 社 」 な ど と 表 記 し 、 神 が 来 臨 し 宿 る 森 林 ・ 樹 林 の こ と を 意 味 し て き た ( 池 辺 : 1 9 7 6 ) 。 こ の た め 、 神 社 の 基 盤 と な る 神 道 で は 常 緑 樹 を 常 磐 木 と 呼 び 神 聖 視 し 、 49
自然を母体とした神体山を崇拝してきた(大森:2000)。われわれの身近な民俗にみら れる、神棚にサカキ( )を供えて神を迎える、新年に門松を立てて歳の神を迎える、 地域によりみられる水田耕作の開始に合わせて常緑樹の枝を水田の淵に立てて、「田の 神 」 を 迎 える と い う 行 為 も 、 常 磐 木 を 神 聖 視 す る 信 仰 観 の 現 れで あ る と 考 える 。 常 磐 木 を 神 聖 視 す る 信 仰 観 は 、 実 際 の 神 社 造 営 に も 反 映 さ れて お り 、 例 え ば 奈 良 県 の 大 神 神 社 樹 の よ う に 、 広 葉 樹 と 照 葉 樹 に 覆 わ れ た 三 輪 山 自 体 を 神 体 ( 神 奈 備 ) と み な して 崇拝の対象にしている例もある(上田ら2001、四手井1:2001)。また、神道では山 や 森 林 を 神 聖 な 神 域 と して 禁 足 地 を 設 定 して い る 場 所 も あ り 、 こ の こ と か ら 樹 木 の 伐 採を免れ、神社の社寺林が保存されてきたことも大きな特徴のひとっといえよう。 な お 、 時 代 の 推 移 と と も に 新 た な 神 社 の 造 営 に 際 して、 自 然 の 森 林 を 保 全 して 神 域 を 形 成 しつ つ 、 人 為 的 に 社 寺 林 を 造 成 す る 流 れも あ っ た と 考 える 。 例 え ば 、 明 治 天 皇 を奉祭する目的で1920(大正9)年に造営された明治神宮と、天智天皇の顕彰と大津 京の歴史文化再生の目的で1940(昭和15)年に造営された近江神宮は、近代造園技術 導 入 に よる 基 本 計 画 の も と に 、 各 地 か ら の 献 木 と 勤 労 奉 仕 者 の 手 に よ り 、 究 極 の 理 想 の林相とされる極相林を人為的に造成している(深田:2005・2002、滋賀県植物愛好 会:2000、大丸:1998)。これらの神社の造営と森林造成は、神を迎える儀式に常磐木 を供えるという信仰観を根底に、「大規模な常磐木のお供え」としての社寺林造成をし た可能性もあると考える。 以 上 の こ と か ら 、 神 社 の 社 寺 林 は 常 磐 木 を 神 の 依 り 代 と して 神 聖 視 す る こ とを 前 提 に 、 自 然 環 境 と しての 神 体 山 の 崇 拝 、 自 然 環 境 を 保 存 し た 社 寺 林 を 形 成 し 、 神 体 を 迎 える環境と景観を整えてきたという特徴をもつと考える。(写真1参照) 写 真 1 神 社 境 内 の 景 観 北渾ハ幡宮(東京都世田谷区)にて2008年筆 者撮影 24.寺院の社寺林の特徴、と:性格 次 に 、 寺 院 ( 伝 統 仏 教 ) の 社 寺 林 の 特 徴 と 性 格 に つ い て 述 べ る 。 仏 教 寺 院 で は 、 寺 50
号 と は 別 に 山 号 を 付 して い る こ と か ら も 、 仏 教 と 森 林 が 密 接 な 関 わ り 合 い を も って き た こ と が 推 察 で き る 。 そ して、 神 社 の 社 寺 林 が 樹 木 や 森 林 を 直 接 的 な 信 仰 の 対 象 と し て い る の に 対 し て 、 寺 院 の 社 寺 林 は ① 修 行 環 境 の 確 保 ② 宗 教 建 造 物 の 建 立 ③ 仏 像 の 造 立 ④ 庭 園 造 成 の 4 つ の 要 素 を も ち な が ら 樹 木 や 森 林 の 活 用 を 通 して、 展 開 さ れてきたと考える(深田:12004)。 具 体 的 に は 、 ① は 修 行 者 が 深 山 幽 谷 や 岩 窟 を 修 行 の 場 と して 超 人 間 的 な 呪 力 を 体 得 する環境を求めて山地で修行してきたこと(堀ら:1985)を意味する。②は世界最古 の 木 造 建 築 物 で あ る 法 隆 寺 の 五 重 塔 に み ら れ る よ う な 、 仏 の 住 処 と しての 堂 宇 を 森 林 の 木 材 を 用 いて 建 立 す る 行 為 の こ とを 示 す。 ③ は 仏 像 の 造 立 が 古 来 木 材 を 主 な 素 材 と して 行 な わ れて き た こ とを 、 ④ の 庭 園 造 成 は 中 国 の 神 仙 思 想 と 朝 鮮 半 島 諸 国 の 造 形 の 影 響 を 受 け て 導 入 さ れ た 造 園 技 術 を 、 仏 教 各 宗 派 の 浄 土 観 を 庭 園 造 成 に よ り 表 現 して きたことをそれぞれ示している。 ま た 、 寺 院 の 社 寺 林 に つ いて は 仏 教 伝 来 当 初 よ り 造 成 物 が 仏 の 住 処 で あ って、 周 囲 の 森 林 は 宮 の 森 ( 神 社 の 社 寺 林 ) に な ぞ ら えて、 寺 の 雰 囲 気 を 高 揚 さ せる た め に 境 内 林として造成・維持されたこと(四手井2:2001);う1指摘されている。さらに、仏教 で は 神 道 に み ら れ る 自 然 を 母 体 と し た 神 体 山 形 態 で は な く 山 岳 に 、 仏 像 ・ 寺 院 を 中 核 に聖域結界した(長野:2006)との見解もある。 こ れ ら の こ と か ら 、 寺 院 ( 仏 教 ) に お ける 社 寺 林 は 、 山 林 で の 修 行 環 境 の 確 保 、 森 林 ・ 樹 木 に よる 仏 と 堂 宇 の 荘 厳 、 樹 木 の 活 用 に よる 仏 像 の 造 立 、 庭 園 造 成 に よる 仏 教 の 浄 土 観 の 表 現 を 図 る 目 的 で、 森 林 と 信 仰 と の 関 係 が 結 ば れて き た 特 徴 と 性 格 を も つ と考える。(写真2参照) 写 真 2 寺 院 門 前 の 景 観 森巌寺(東京都世田谷区)にて2008年筆者撮影 51
3 。 青 梅 所 有 林 の 概 況 31.概況 こ こ で 、 考 察 の 対 象 で あ る 青 梅 所 有 林 の 概 況 に つ い て 述 べ る こ と に す る 。 青 梅 所 有 林 は 、 立 正 佼 成 会 の 宗 教 教 育 施 設 で あ る 「 青 梅 練 成 道 場 」 に 付 帯 す る 、 総 面 積 3 3 0 h a の 森 林 で あ る 。 森 林 を 含 め た 所 有 地 は 、 東 京 都 青 梅 市 に 7 0 % ・ 埼 玉 県 飯 能 市 に 3 0 % の 割 合 で 分 布 し て い る 。 青 梅 所 有 林 は 、 1 9 6 6 ( 昭 和 4 1 ) 年 の 、 青 梅 練 成 道 場 開 設 に 先 立 ち 総 合 的 な 宗 教 教 育 施設としての将来構想を意識して、1963(昭和38)年頃から1987印Eほ(162)年まで土 地 取 得 を 継 続 し て き た 。 取 得 前 の 主 な 土 地 所 有 者 は 、 一 般 地 主 に 加 え て 、 地 元 の 共 有 林 運 営 組 織 で あ る 剛 霞 共 益 会 、 西 武 鉄 道 ㈱ な ど の 法 人 所 有 者 も 含 ま れ て い た 。 取 得 し た 土 地 に 施 設 の 開 設 を 行 な っ た 後 に 森 林 の 整 備 を 進 め 、 ① 土 地 区 画 の 確 定 作 業 ② 既 存 造 林 地 の 保 育 ② 新 規 造 林 と 保 育 ④ 自 然 林 の 保 育 の 順 序 で 整 備 と 育 林 を 継 続 し て き た の で 、 当 該 地 域 に お い て は 管 理 の 行 き 届 い た 森 林 と し て 認 知 ・ 評 価 さ れ ている。 3 2 . 地 勢 ・ 交 通 環 境 こ こ で 、 地 勢 と 交 通 環 境 に つ い て 述 べ る 。 青 梅 所 有 林 は 、 東 京 西 部 副 都 心 の 新 宿 お よ び 池 袋 か ら 北 西 方 向 へ 4 5 k m の 、 多 摩 丘 陵 北 西 端 ( 通 称 ・ 霞 丘 陵 ) と 武 蔵 野 台 地 西 端 の 交 わ る 場 所 に 位 置 し て い る 。 同 時 に 、 こ の 地 域 は 東 京 首 都 圏 の 市 街 地 と 西 部 山 地 と の 境 界 部 分 に あ た り 、 所 有 林 東 側 の 都 心 方 面 に は 密 度 の 高 い 市 街 地 ; び 都 心 部 ま で 広 が っ て い る の に 対 し て 、 西 側 は 奥 多 摩 お よ び 秩 父 の 山 系 に 連 続 す る 山 地 に 接 し て い る 。 平 均 の 標 高 は 、 2 0 0 m 前 後 で 、 低 地 部 に は 荒 川 水 系 の 厚 沢 川 ・ 唐 沢 川 と そ の 支 流 に よ り 、 指 状 に 刻 ま れ た 沖 積 谷 地 形 が 形 成 さ れ て い る 。 ま た 、 主 な 表 層 地 質 の 層 序 関 係 は 秩 父 古 生 層 を 基 層 に 、 飯 能 暦 層 ・ 関 東 ロ ー ム 層 ・ 表 層 土 層 の 順 に な っ て い る 。 基 層 と 飯 能 練 層 は 非 常 に 強 固 な 性 状 の 基 盤 岩 層 を 形 成 し 、 関 東 ロ ー ム 層 も 充 分 に 締 め 固 ま っ て い る こ と か ら 、 表 層 地 質 は 安 定 し た 性 状 を 呈 し て い る と い え る 。 た だ し 、 上 位 層 の 関 東 ロ ー ム 層 が 火 山 灰 起 源 の 土 壌 で あ る こ と か ら 、 同 層 お よ び 表 層 土 の 土 壌 は 酸 性 が 強 い こ と 、 エ リ ア 東 部 の 飯 能 地 区 で は 表 層 土 の 層 厚 が 比 較 的 薄 い こ と 、 下 位 層 の 飯 能 ㈱ 層 が 露 出 し て い る 場 所 が あ る と い う 特 徴 を 有 す る 。 気象条件は、2001年から2005年までの年平均気温が14.7 C、年平均降水量:に500mm ∼L600mmである。(青梅市:2007) 交 通 環 境 と して は 、 J R 青 梅 線 ( 青 梅 駅 ほ か 3 駅 ) ・ 同 ハ 高 線 ( 金 子 駅 ・ 東 飯 i 抱 駅 ) ・ 西 武 池 袋 線 ( 飯 能 駅 ・ 東 飯 能 駅 ) の 駅 勢 圏 に 入 る と と も に 、 首 都 圏 中 央 連 絡 道 路 ( 圏 央 道 ) 青 梅 I C か ら 2 . 4 k m で あ る こ と か ら 、 東 京 副 都 心 部 や 首 都 圏 近 郊 諸 地 域 へ は 、 最 速60分台で到達することも可能である。((筥11を参照) 52
図 一1青 梅 所有林 位 置図 注)①本図は、国土地理院発行1:r50、000地形図を加工して用いた。国土地理院届出済。 ② 青 梅 所 有 林 は 、 地 図 上 の 太 線 に 囲 ま れ た 範 囲 内 に 分 布 して い る 。 こ れ ら の 地 勢 と 交 通 条 件 を 森 林 環 境 の 視 点 か ら み る と き 、 ① 人 間 の 居 住 地 域 に 隣 接 し た 森 林 地 域 で あ る ② 林 木 の 生 長 に 必 要 な 安 定 し た 表 層 地 質 が 堆 積 し て い る ③ 温 暖 か つ 必 要 な 降 水 量 が 確 保 さ れ て い る こ と か ら 森 林 の 環 境 的 活 用 ・ 文 化 的 活 用 ・ 経 済 的 活 用 を 行 な う 上 で 、 有 利 な 条 件 を 備 え て い る と 考 え る 。 33.林況 次 に 、 青 梅 所 有 林 の 林 況 ・ 林 相 の 概 要 に つ い て 、 林 相 別 に 述 べ る こ と に す る 。 ま ず、 人 工 林 と しての ヒ ノ キ ・ スギ 造 林 地 が 全 体 で 9 2 h a ( 所 有 面 積 の 3 6 % ) を 占 めて いる。このうちの46ha(同18%)にあたる「新規造林地」は、1982年当時マツクイムシ 被 害 に よ り 枯 死 し た ア カ マ ツ 林 分 9 2 h a の 5 0 % に 当 たる 4 6 h a は 、 新 植 造 林 に よ り 施 業 し た 林 分 を 示 す。 一 方 の 「 既 存 造 林 地 」 は 、 立 正 佼 成 会 が 土 地 を 取 得 す る 以 前 の 地 権 者 に よ っ て 、 1 9 5 0 年代中盤から1960年代中盤にかけて造林された林分のことを示t_。、46ha(同18%)の面 積 を 有 し て い る 。 ま た 、 コ ナ ラ ・ ク リ な どの 二 次 自 然 林 が 2 0 8 h a ( 同 5 4 % ) と 最 も 多 くの 林 相 を 占 めて い る が 、 こ の う ち の 4 8 h a ( 同 1 8 % ) は 、 マ ツ ク イム シ 被 害 に よ り 枯 死 し た ア カ マ ツ 林 分 か 未 施 業 の ま ま 自 然 淘 汰 が 進 行 中 の 林 分 で あ る 。 53
こ の ほ か に 、 草 地 ・ そ の 他 の 植 生 ( 施 設 エ リ ア も 含 む ) が 3 0 h a ( 同 1 0 % ) 存 在 して い る 。 青 梅 所 有 林 全 体 の 林 況 ・ 林 相 は 、 「 表 1 」 の よ う に な っ て い る 。 表 1 青 梅 所 有 林 の 林 況 ・ 林 相 林 相 ・ 桂 物 相 施業区分 主要植生 面積(ha) 割合(%) 備考 人工林 新規造林地 ヒノキ 46 18 保育継続中 既存造林地 ヒ ノ キ ・ ス ギ 46 18 保育継続中 人工林小計 92 36 自然林 二次自然林 コ ナ ラ ・ ク リ リ ョ ウ ブ 等 208 54 天 然 更 新 が 基 本 一 部 は 保 育 そ の 他 その他植生 30 10 芝 地 ・ 草 地 ・ 畑 地 合計 330 100 立正佼成会青梅練成道場資料づ2008年現在)ょり筆者作成 34.育林概念 次に、青梅所有林の育林の概念について述べる。青梅所有林の育林は、1980(昭和 55)年に教団(立正佼成会:1980)が計画した「青梅聖域開発構想」の一環としての 「林野資源開発構想」に示された理念と、後に教示された教団創立者・庭野日敬の指導 (庭野:1983)を根拠に推進されてきた。同構想は、1975(昭和50年)から早稲田大学・ 外木典夫教授(故人)、東京農業大学・杉浦孝蔵助教授(現・名誉教授)をはじめとし た 外 部 有 識 者 の 参 画 も 得 て、 教 団 企 画 部 が 構 築 し た も の で あ る 。 構 想 の 概 要 は 、 将 来 青 梅 練 成 道 場 を 中 核 と し た エ リ ア を 総 合 的 に 整 備 し 、 ① 林 野 資 源 の 活 用 と 整 備 ② 教 団 の 教 育 施 設 と し て の 機 能 ③ 地 域 社 会 と の 交 流 の 場 の 形 成 ① 自 然 環 境 を 活 用 し た 各種の教育実施⑤国際交流の場の形成などを実施するという内容である。このうち、 「林野資源の活用と整備」については「青梅聖域開発構想」が計画された当時の青梅所 有 林 は 、 所 有 地 の 土 地 区 画 に 不 確 定 な 箇 所 が 多 数 存 在 して い た こ と 、 林 況 で は 人 工 林 は保育作業を中断し放置された林分か多くを占め、二次自然林も薪炭材確保などが中 止 さ れ 樹 木 密 度 が 調 整 さ れ な い ま ま 放 置 さ れて い た こ と か ら 、 荒 廃 が 進 行 し た 状 況 で あった。このため、「林野資源の活用と整備」は優先順位の高い課題として着手される ことになった。 青梅所有林の育林の概念は、「青梅聖域開発構想」に示された宗教目的と、庭野(1983) による指導「緑を守る運動と宗教者の使命」に依拠している。まず、「青梅開発構想」 には、「自然と人類の調和の構想一人類の対話の広場」を創造するという基本姿勢が提 示 さ れて い る 。 こ の 基 本 姿 勢 は 、 立 正 佼 成 会 の 所 依 の 経 典 で あ る 「 法 華 三 部 経 」 の 教 説をもとに庭野(1973)が構築した平和観である、「人と人との間、人と自然との間 に、和やかさと、順調さが保たれている状態をいう」ことを根拠にしている。 また、「緑を守る運動と宗教者の使命」では、この目的に対する信仰的な意義付けと して 、 ① 大 自 然 と の バ ラ ン ス を 保 と う ② 森 林 の 恵 み は 計 り 知 れ な い ③ 緑 を 育 て る 54
こ と は 人 の 心 も 育 て る こ と の 3 点 を 自 覚 ・ 実 践 す る こ と が 示 さ れ て い る 。 そ し て 、 信 仰 実 践 の ひ と つ と し て 、 青 梅 所 有 林 の 今 後 の あ り 方 と 活 用 に つ い て 触 れ て い る 。 そ の 内 容 は 、 ① 青 梅 を 緑 を 守 る モ デ ル と し て 緑 化 地 帯 に し て 社 会 に 還 元 す る ② 青 年 部 が 中 心 に な っ て 作 業 を し 、 汗 を 流 し て 、 緑 を 守 り 育 て る こ と の 大 事 さ と 難 し さ を 肌 で 味 わ う こ と で あ る と し て い る 。 以 上 の 2 つ の 理 念 に 基 づ き 、 実 際 の 育 林 と 管 理 が 実 施 さ れてきた。 4 。 育 林 と 管 理 の 実 際 こ こ で 、 上 述 の 育 林 理 念 に 基 づ い て 、 具 体 的 に ど の よ う に 造 林 ・ 育 林 ・ 管 理 が 実 施 さ れ て き た の か と い う こ と に つ い て 、 ① 土 地 区 画 の 確 定 ② 山 林 内 の 道 路 整 備 ③ 新 規 造 林 地 ④ 既 存 造 林 地 ⑤ 二 次 自 然 林 の 5 項 目 に 分 類 し 、 そ の 経 緯 ・ 育 林 と 管 理 の 実 際 に つ い て 記 す こ と に す る 。 4 1 . 土 地 区 画 の 確 定 ま ず、 基 盤 整 備 の 意 味 合 い か ら 重 要 課 題 の 筆 頭 で あ る 土 地 区 画 の 確 定 が 実 施 さ れ た 。 こ こ で は 、 「 青 梅 聖 域 開 発 構 想 」 の 構 築 と 同 時 進 行 で 、 立 正 佼 成 会 の 傍 系 で 教 団 の 実 務 管 理 を 委 託 さ れ た 、 立 花 産 業 ㈱ 青 梅 管 理 事 務 所 が 1 9 7 6 ( 昭 和 5 1 ) 年 4 月 に 開 設 さ れ 、 所 長 以 下 4 名 の 専 従 職 を 配 置 し 推 進 体 制 を 整 え た 。 具 体 的 に は 、 地 元 測 量 業 者 で あ る 横 山 設 計 ㈱ と 共 同 で 、 所 有 地 の 詳 細 測 量 作 業 を 実 施 し た 。 並 行 し て 、 東 京 都 ・ 埼 玉 県 ・ 青 梅 市 ・ 飯 能 市 に 道 路 ・ 水 路 等 の 公 共 用 地 の 査 定 を 申 請 し 、 1 9 8 7 ( 昭 和 6 2 年 ) ま で の 間 に 、 所 有 林 の 全 て の 土 地 区 画 に コ ン ク リ ー ト 製 境 界 本 杭 も 埋 設 さ れ た 。 こ れ に よ り 、 自 己 所 有 地 の 区 画 と 他 の 地 権 者 の 所 有 地 と の 境 界 線 が 明 確 化 さ れ 、 育 林 を 実 施 す る た め の 基 盤 整 備 が 完 了 し た 。 さらに、1997(平成9)年から2005(平成17)年にかけて、埼玉県飯能市主管の「飯 能 市 国 土 調 査 ( 地 籍 調 査 ) 」 が 実 施 さ れ 、 飯 能 市 分 の 土 地 区 画 が 最 新 の 光 波 測 量 技 術 を 導 入 し た 再 測 量 に よ り 、 区 画 一 筆 毎 の 精 密 な 位 置 関 係 と 面 積 が 絶 対 座 標 の 精 度 で 確 定 し た 。 し た が って、 青 梅 所 有 林 の 土 地 区 画 の 確 定 は 1 9 7 7 卯 f j 和 5 2 ) 年 の 事 業 開 始 以 来 2005(平成17)年までの間、28年の歳月を要して完了したことになる。 な お 、 立 花 産 業 ㈱ 青 梅 管 理 事 務 所 は 、 1 9 8 3 ( 昭 和 5 8 ) 年 1 月 白 本 体 の 立 正 佼 成 会 施 設 部 青 梅 管 理 課 ( 現 ・ 学 林 青 梅 練 成 道 場 ) と 合 併 し 、 現 在 も 当 時 か ら の 専 従 職 を 中 心 に 育 林 と 土 地 管 理 の 業 務 を 継 続 し て い る 。 4 2 . 山 林 内 の 道 路 整 備 次に、1984([1計(巧8)年から基盤整備の重要部分を占める道路の整備に着手し、5 年 間 に わ た り 整 備 を 継 続 し た 。 山 林 内 の 道 路 に は 、 ① 一 般 道 路 ② 林 道 ② 私 有 地 内 の 作 業 道 の 3 種 類 が あ る 。 立 正 佼 成 会 所 有 林 の 中 に も 、 こ の 3 種 類 の 道 路 の う ち ① と ② の 道 路 が 存 在 し て い た が 、 長 期 間 使 用 し て い な か っ た こ と か ら 路 面 の 損 傷 や 路 肩 の 55
崩 落 に よ り 荒 廃 し 、 本 格 的 な 山 林 整 備 を 推 進 す る た め の 車 両 の 通 行 も 不 可 能 な 状 況 で あった。 本 来 な ら ば 、 道 路 法 ( 第 4 2 条 ) の 規 定 に よ り ① と ② の 道 路 の 改 修 は 行 政 が 施 行 す る こ と に な っ て い る が 、 青 梅 所 有 林 に 関 わ る 道 路 の 沿 線 に 居 住 者 が い な い 非 生 活 道 路 で あ る こ と 、 大 方 の 地 権 者 が 立 正 佼 成 会 で あ る こ と か ら 、 青 梅 市 ・ 飯 能 市 か ら 災 害 復 旧 な ど の 緊 急 改 修 以 外 は 、 全 額 受 益 者 負 担 と の 判 断 か お り だ 。 こ の た め 、 ① と ② の 種 類 の 主 要 山 林 道 7 路 線 ・ 総 延 長 8 k m の 路 面 改 修 と 、 ③ の 作 業 道 5 路 線 ・ 総 延 長 2 k m の 新 設 を 自 主 施 工 で 行 な い 、 主 要 造 林 地 に 2 t か ら 4 t 規 格 の ト ラ ッ ク の 通 行 が 可 能 に な り 作 業 効 率 の 向 上 が 図 ら れ た 。 4 3 . 新 規 造 林 地 431.造林の経緯 新規造林地は、概ね1982(昭和57)年から1992(平成4)年にかけて植え付け・育 林 さ れて き た ヒ ノ キ の 林 分 の こ と を 示 し 、 植 え 付 け 本 数 1 5 万 本 、 同 面 積 4 6 h a の 規 模 を も つ 林 分 で あ る 。 新 規 造 林 地 の 特 徴 は 、 ① ア カ マ ツ 林 分 の 虫 害 に よ る 枯 死 の 緊 急 更 新 策 と ② 立 正 佼 成 会 信 者 の 手 に よ る 造 林 活 動 の 実 施 の 2 点 で あ る 。 以 下 、 造 林 の 経 緯 に つ い て 記 す こ と に し た い 。 1 9 8 2 ( 昭 和 5 7 ) 年 時 点 で の 、 新 規 造 林 の 計 画 は 、 前 地 権 者 に よ り 植 林 さ れ た が 育 林 ・ 保 育 作 業 が 中 断 さ れ た た め 、 生 長 不 良 の 状 態 に 陥 り 、 今 後 の 生 長 が 見 込 め な い ヒ ノ キ 林 分 と 、 利 用 密 度 の 減 少 に よ り 放 置 さ れ 荒 廃 の 進 行 し た 二 次 自 然 林 の 一 部 を 対 象 に 、 再 造 林 に よ る 人 工 更 新 を 想 定 し て い た 。 し か し 、 1 9 8 4 ( 昭 和 5 9 ) 年 春 頃 か ら ア カ マ ツ 造 林 地 に 、 通 称 マ ツ ク イム シ ( マ ツノ マ ダ ラ カ ミ キ リ に よ り 伝 播 さ れ る マ ツ ノ ザ イ セ ン チ ュ ウ に 起 因 す る 虫 害 ) の 被 害 が み られはじめ、同林分92ha(推定本数約30万本)が1988(Flfj和63)年までにすべて枯死し た 。 こ の た め 、 枯 死 し た ア カ マ ツ 林 分 の 早 急 な 再 造 林 が 課 題 と な り 、 次 の よ う な 更 新 に よる 再 造 林 策 を 構 築 し た 。 再 造 林 は 、 林 分 の 5 0 % ( 4 6 h a ) を 皆 伐 に よる ヒ ノ キ 林 分 へ の 人 工 更 新 、 残 り 5 0 % ( 4 6 h a ) を 自 然 淘 汰 に よる 天 然 更 新 に よ り 再 造 林 す る 方 法 を 選 択 し た 。 人 工 更 新 と 天 然 更 新 の 割 合 を 5 0 % ず つ と し た 根 拠 は 、 全 体 の 林 相 に お け る 人 工 林 と 二 次 自 然 林 の 割 合 を 考 慮 し た 上 で 、 ① 人 工 林 の 割 合 が 多 数 を 占 め な い こ と と ② 人 工 林 と 二 次 自 然 林 が 1 h a 単 位 で の 混 交 林 状 態 を 創 出 し 多 様 な 樹 木 植 生 を 確 保 す る こ と に あ っ た 。 ( 写 真 3 ・ 4 参 照 ) 56
写真3 人工林と二次自然林の混交林の景観 青梅所有林(東京都青梅市小曽木)にて2008年 筆者撮影 色調の濃い部分が人工林(ヒノキ造林地) 写真4新規造林地のヒノキ25年生 青梅所有林(東京都青梅市小曽木)にて2008年 筆者撮影 造 林 の 概 要 は 、 植 林 本 数 は 当 地 の 平 均 的 な 植 え 付 け 本 数 で あ る 1 h a 当 た り 3 、 0 0 0 本 ( 1 坪 = 3 . 3 m 2 当 た り 1 本 ) の 密 度 と し 、 管 理 区 分 は 1 h a を 1 単 位 と して 区 画 し た 。 実 際 の 造 林 は 、 首 都 圏 各 地 域 に あ る 立 正 佼 成 会 の 布 教 拠 点 で あ る 5 4 教 会 の 信 者 と 、 立 正 佼 成 会 本 部 職 員 グ ル ープ の 参 加 に よ り 実 施 さ れ た 。 こ の 背 景 に は 、 1 9 7 0 年 代 後 半 ま で 社 会 問 題 化 し て い た 公 害 問 題 が 一 応 の 落 ち 着 き を み せ 、 よ り 質 の 高 い 生 活 環 境 を 追 求 す る 機 運 、 す な わ ち 環 境 問 題 へ の 関 心 が 高 ま り つ つ あ る 時 代 背 景 と 、 先 に 述 べ た 庭 野 ( 1 9 8 3 ) の 信 仰 指 導 、 青 梅 所 有 林 の ア カ マ ツ の 枯 死 の 3 つ の 要 素 が 組 み 合 わ さ る こ と に よ り 、 短 期 間 に 大 規 模 な 造 林 を 達 成 す る こ と を 可 能 に し た と 考 え る 。 造 林 に 際 し て は 、 1 教 会 ま た は 本 部 職 員 グ ル ープ で 、 1 回 の 活 動 に つ い て 5 0 名 か ら 1 0 0 名 が 参 加 し て 、 一 連 の 造 林 作 業 で あ る ① 地 拵 え ( 枯 死 木 の 伐 採 ・ 整 理 ・ 植 え 付 け 場 57
所 確 保 ) ② 植 林 ( 植 え 付 け ) ③ つ る 切 り ・ 下 刈 ( 年 2 回 実 施 ・ 1 0 年 間 継 続 ) ④ 生 長 不 良 木 間 伐 ⑤ 裾 枝 払 い ⑥ 森 林 計 測 ( 樹 木 の 生 長 測 定 ) を 実 施 し た 。 ① か ら ⑥ ま で の 造 林 作 業 に 要 し か 期 間 は 概 ね 1 2 年 に 及 び、 参 加 総 人 員 は 約 8 0 、 0 0 0 名 を 数 え た 。 こ こ で の 、 信 者 と 本 部 職 員 に よ る 造 林 活 動 は 「 青 梅 緑 化 練 成 ( 愛 称 ・ グ リ ー ン & ラ イ フ お う め ) 」 と 称 し 、 日 帰 り ま た は 1 泊 2 日 の 行 程 が 組 ま れ 、 一 連 の 造 林 作 業 と 平 行 し て 、 青 梅 緑 化 活 動 オ リ ジ ナ ル V T R r 緑 の 仲 間 づ く り 」 ま た は 環 境 問 題 V T R 上 映 と 、 青 梅 練 成 道 場 職 員 に よ る 育 林 関 連 の 研 修 、 そ れ ら を ふ ま え て の グ ル ー プ デ ィ ス カ ッ シ ョ ン、 懇 親 会 か ら 成 る 「 環 境 教 育 」 の 体 裁 を と っ て い た 。 同 時 に 、 1 9 8 8 ( 昭 和 6 3 ) 年 に は 、 立 正 佼 成 会 創 立 5 0 周 年 を 記 念 し て 、 森 林 環 境 問 題 テ キ ス ト 「 グ リ ーン & ラ イ フ 」 誌 1 0 、 0 0 0 部 を 発 行 し 、 上 記 の 活 動 参 加 者 に 配 布 し 、 青 梅 所 有 林 で の 造 林 促 進 の 啓 蒙 も 行なった。 青 梅 所 有 林 に お け る 新 規 造 林 地 の 造 林 ・ 保 育 作 業 は 、 結 果 的 に は 「 青 梅 緑 化 練 成 ( 愛 称 ・ グ リ ー ン & ラ イ フ お う め ) 」 の 活 動 に よ り 達 成 さ れ た も の と 考 え る 。 そ の 後 、 1 9 9 2 ( 平 成 4 ) 年 に は 、 造 林 し た ヒ ノ キ が 生 長 し 、 教 会 信 者 や 教 団 本 部 職 員 の 手 に よ る 造 林 ・ 保 育 作 業 に は 限 界 が 生 じ 、 青 梅 練 成 道 場 の 山 林 担 当 者 と 委 託 技 能 者 に よ る 専 門 作 業 に 転 換 さ れ 、 「 青 梅 緑 化 練 成 ( 愛 称 ・ グ リ ー ン & ラ イ フ お う め ) 」 は ひ と つ の 区 切 り を 迎 え た 。 以 上 の こ と よ り 、 青 梅 所 有 林 に お け る 新 規 造 林 地 の 造 林 経 緯 の 特 徴 を ま と め れ ば 、 ① 造 林 の 契 機 は 枯 死 し た ア カ マ ツ 林 分 の 再 造 林 で あ る ② 造 林 に 際 し て は 立 正 佼 成 会 信 者 が 体 験 教 育 の 一 環 と し て 深 く 関 与 し た ③ 当 地 の 林 業 技 術 体 系 に 準 じ て 保 育 管 理 を 継 続 し て い る こ と で あ る と 考 え る 。 432.現況 新規造林地のヒノキ林木は、1992(平成4)年以降2008(平成20)年までの16年間 で 、 3 回 の 間 伐 作 業 と 枝 打 ち 作 業 を 実 施 し た 。 ヒ ノ キ 林 分 の 保 育 は 適 正 な 密 度 管 理 を 行 な う た め 、 お よ そ 5 年 に 1 回 の 割 合 で 、 ① つ る 切 り ・ 下 刈 り 作 業 ② 間 伐 作 業 ③ 枝 打 ち 作 業 を 実 施 し て い る 。 育 林 の 指 標 と し て は 、 「 森 林 の も つ 広 義 の 意 昧 で い う 環 境 財 ・ 文 化 財 の 育 成 を 図 る こ と を 基 本 姿 勢 」 と し て い る が 、 当 地 産 出 材 で あ る 「 西 川 材 」 の 林 業 技 術 体 系 に 準 じ た 保 育 作 業 を 継 続 中 で あ る 。 1992(平成4)年を基点とした、2008(平成20)年までのヒノキ林分46haの標準的 な 保 育 状 況 を 示 す と 、 表 2 の よ う に な る 。 新 規 造 林 地 の 現 況 の 特 徴 は 、 ① ほ ぼ 全 て の 林 分 の 植 え 付 け 時 期 が 同 時 期 で あ る こ と か ら 林 木 の 生 長 過 程 も 均 一 で あ る ② 保 育 作 業 が 継 続 的 に 実 施 さ れ て い る こ と か ら 林 木 と 下 層 植 生 の 生 長 が 良 好 な こ と が あ げ ら れ る。 こ の ほ か に 、 境 内 地 に 隣 接 す る 斜 面 と 山 林 内 の 一 部 の 谷 地 に 、 景 観 保 全 を 目 的 と し たスギの20年生造林地が0.6ha(林木本数約1、500本)存在するが、造林面積が 少であ る こ と か ら こ こ で の 記 述 は 省 略 す る 。 58
表 2 l h a 当 た り の ヒ ノ キ 林 分 保 育 状 況 模 式 表 年次 間伐歩合(%) 残存本数 枝下高(m) 平均樹高(m) 胸高直径(cm) 1988 0 3,000 ●●● 0.3 ● ● ● 1993 10 2,700 2.0 4.0 12 1998 20 2,400 4.0 6.0 14 2008 30 2,100 6.0 8.0 16 立正佼成会青梅練成道場資料(2008年現在)より筆者作成 4 4 . 既 存 造 林 地 441.造林の経緯 既 存 造 林 地 は 、 立 正 佼 成 会 が 土 地 を 取 得 す る 以 前 の 地 権 者 の 手 に よ り 造 林 さ れ た 、 ヒ ノ キ 林 分 の こ と を 指 す。 林 分 全 体 の 面 積 は 、 先 に 述 べ た 新 規 造 林 地 と 同 面 積 の 4 6 h a で あ り 、 青 梅 所 有 林 の 人 工 造 林 地 の 5 0 % を 占 め る 。 造 林 は 、 戦 後 の 木 材 増 産 が 奨 励 さ れ た 1 9 5 0 年 代 中 盤 か ら 、 高 度 経 済 成 長 期 に さ し か か っ た 1 9 6 0 年 代 中 盤 に か け て 実 施 さ れ た が 、 1 9 6 0 年 代 中 盤 か ら 始 ま っ た 外 国 産 木 材 の 輸 入 増 加 に と も な う 国 内 産 木 材 の 需 要 減 少 の た め 、 植 林 後 1 0 年 程 度 を 経 過 し た 1 9 7 0 年 代 前 半 で 保 育 作 業 が 中 断 さ れ て い た 。 こ の た め 、 立 正 佼 成 会 が 土 地 を 取 得 し 、 本 格 的 な 育 林 作 業 が 開 始 さ れ た 1 9 8 0 年 代 前 半 で は 、 ① 間 伐 作 業 が 不 充 分 な こ と を 原 因 と す る 林 木 の 生 長 不 良 ( 樹 高 と 直 径 の 不 均 衡 発 生 ) ② 枝 打 ち が 行 な わ れ な か っ た こ と を 原 因 と す る 枯 死 枝 の 大 量 発 生 ③ 下 層 植 生 の 消 滅 に よ る 林 床 の 劣 化 な ど 、 森 林 環 境 は き わ め て 不 良 で あ っ た 。 ま ず、 既 存 造 林 地 の 保 育 作 業 の 標 準 的 な 管 理 指 標 の デ ー タ を 得 る 目 的 で 、 1 9 8 0 ( 昭 和 5 5 ) 年 に 比 較 的 生 長 状 況 が 良 好 な 飯 能 市 岩 淵 字 入 山 所 在 の ヒ ノ キ 2 0 年 生 造 林 地 1 h a を、「モデル林」に選定した。その後、1985卯研口60)年までの5年間、下刈り・間伐・ 枝 打 ち ・ 施 肥 の 実 施 に よ る 生 長 デ ー タ 収 集 を 実 施 し た 。 こ こ で 得 た 、 生 長 デ ー タ の 解 析 と 林 相 の 経 過 観 察 を 実 施 し 、 こ れ を も と に 既 存 造 林 地 林 木 の 標 準 的 な 保 育 作 業 の 管 理 指 標 を 確 立 し て い っ た 。 既 存 造 林 地 の ヒ ノ キ 林 木 は 、 長 期 回 保 育 作 業 が 中 断 さ れ て い た た め 、 林 木 の 生 長 不 良 と 林 床 の 劣 化 が 著 し く 、 一 度 の 保 育 作 業 で 林 齢 に 相 当 す る 一 般 的 な 樹 木 密 度 を 作 り 出 し た 場 合 、 倒 木 ・ 枯 死 ・ 斜 面 崩 壊 な ど が 発 生 す る 可 能 性 も 内 在 し て い た 。 こ う し た こ と か ら 、 上 述 の 「 モ デ ル 林 」 で 得 た 管 理 指 標 に 基 づ き 、 5 年 か ら 8 年 を 管 理 上 の ひ と つ の 区 切 り と し て 、 段 階 的 に 下 刈 り ・ 間 伐 ・ 枝 打 ち を 実 施 し 、 充 分 な 林 木 の 生 長 を 確 認 し な が ら 、 次 の 段 階 に 移 す と い う 手 法 で 保 育 を 継 続 し て き た 。 な お 、 山 林 内 の 谷 地 の 一 部 に ス ギ 5 0 年 生 の 造 林 地 も 若 干 存 在 す る が 、 造 林 面 積 が 極 め て 少 で あ る こ と か ら こ こ で の 記 述 は 省 略 す る 。 442.現況 既存造林地のヒノキ林木は、1984印E?ほ口59)年以降2008(平成20)年までの24年間 59
で 、 3 回 の 間 伐 作 業 と 枝 打 ち 作 業 を 実 施 し た 。 ヒ ノ キ 林 分 の 保 育 は 適 正 な 密 度 管 理 を 行 な う た め 、 お よ そ 8 年 に 1 回 の 割 合 で 、 ① ツ ル 切 り ・ 下 刈 り 作 業 ② 間 伐 作 業 ② 枝 打 ち 作 業 を 実 施 す る 。 育 林 の 指 標 と し て は 、 新 規 造 林 地 の 保 育 作 業 と 同 じ く 、 「 西 川 材 」 の 林 業 技 術 体 系 に 準 じ た 保 育 作 業 を 継 続 中 で あ る 。 多 く の 林 分 で は 、 樹 齢 ・ 林 齢 に 相 当 し た 生 長 状 況 と 樹 形 を 呈 す よ う に な っ て い る が 、 一 部 の 林 分 で は 長 期 間 の 保 育 中 断 の 影 響 に よ り 、 生 長 不 良 の 傾 向 を 示 す 傾 向 も 見 受 け られる。 写真5 既存造林地のヒノキ45年生の林相 青梅所有林(埼玉県飯能市落合)にて2008年筆者 撮影 写 真 6 既 存 造 林 地 の ヒ ノ キ 林 分 枝 打 ち 作 業 風 景 青梅所有林(埼玉県飯能市落合)にて2008年筆者 撮影 60
4 5 . 二 次 自 然 林 451.育林の経緯 コ ナ ラ ・ ク リ な ど か ら 成 る 二 次 自 然 林 は 2 0 8 h a で、 青 梅 所 有 林 の 5 4 % を 占 め る 最 大 の林相である。このうち丿62haが従来から存在した二次自然林、・↓(5haはアカマッが枯 死 し た 林 分 の 天 然 更 新 が 進 行 中 の 二 次 自 然 林 で あ る 。 両 者 の 林 相 に は 、 若 干 の 差 異 が あ る の で 、 そ れ ぞ れ の 特 徴 に つ い て 述 べ る 。 ま ず 、 従 来 か ら 存 在 し て き た 二 次 自 然 林 の 概 要 を 述 べ る 。 地 元 住 民 ら の 証 言 に よ れ ば 、 1 9 6 0 年 代 ま で は 薪 炭 材 の 採 取 や 口 常 生 活 の 場 面 で 用 い る 資 材 採 取 を 目 的 に 、 林 分 に あ る 程 度 の 区 画 を 決 め て 2 0 年 程 度 の サ イ ク ル で 採 取 を 兼 ね た 間 伐 を 行 な い 、 順 次 樹 木 密 度 の 調 整 を 図 っ て き た と い う 。 し か し 、 そ れ 以 降 は 燃 料 が 電 気 ・ ガ ス に 転 換 さ れ た た め 、 放 置 さ れ て 現 在 に 至 っ て い る 。 主 な 構 成 樹 木 は 、 コ ナ ラ ・ ク リ で 、 林 齢 は 概 ね 5 0 年 前 後 と 思 わ れ る 。 ( 写 真 7 参 照 ) 一 方 で 、 ア カ マ ッ が 枯 死 し た 林 分 を 自 然 淘 汰 に よ り 更 新 し て い る 二 次 自 然 林 は 、 主 要 構 成 樹 木 が コ ナ ラ ・ ク リ を 中 心 と し な が ら も 、 実 生 の ア カ マ ッ を は じ め 、 リ ョ ウ ブ、 ア カ シ デ ( ソ ロ ノ キ ) 、 な ど が 発 生 し 、 前 述 の 二 次 自 然 林 よ り も 多 様 な 樹 木 で 構 成 す る 混 交 林 で あ る 。 林 齢 は 平 均 2 0 年 程 度 で あ る 。 ( 写 真 8 参 照 ) 写 真 フ 二 次 自 然 林 ( コ ナ ラ ・ ク リ ) 林 相 の 景 観 青梅所有林(東京都青梅市小曽木)にて2008年 筆者撮影 452.現況 青 梅 所 有 林 の 二 次 自 然 林 の 林 分 は 、 上 述 の よ う な 経 緯 を た ど っ て き た た め 林 分 の 内 樹 木 密 度 が 高 く 、 樹 高 に 対 し て 直 径 が 小 さ く 細 長 い 樹 形 を し て 、 樹 冠 や 根 茎 の 発 達 も 不 良 と な り 、 一 部 で は 倒 木 や 枯 死 も 見 ら れ る よ う に な り 、 人 身 な ど に 危 険 な 状 況 に な っ て い る 林 分 も あ る ( 写 真 7 参 照 ) 。 こ の た め 、 2 0 0 5 年 か ら 山 林 内 の 道 路 沿 線 な ど 人 身 に 被 害 が 及 ぶ 可 能 性 の あ る 場 所 を L ↑ 屁 ヽ に 、 一 部 の 林 分 で 下 刈 り ・ 間 伐 を 実 施 し 、 適 正 な 樹 木 密 度 と 景 観 保 全 が 両 立 す る 6 1
よ う な 育 林 を 開 始 し て い る 。 ま た 、 ア カ マ ツ 枯 死 後 に 形 成 さ れ た 林 齢 2 0 年 程 の 天 然 更 新 中 の 林 分 は 、 一 部 で 森 林 体 験 学 習 の 「 教 材 」 と して も 活 用 さ れ て お り 、 2 0 0 0 ( 平 成 1 2 ) 年 か ら 佼 成 学 園 女 子 高 等 学 校 ・ 中 学 校 ( 東 京 都 世 田 谷 区 ) の 課 外 授 業 の 一 環 と し て 、 年 2 回 ∼ 4 回 の プ ロ グ ラ ム で 実 施 し て い る 。 プ ロ グ ラ ム で は 、 下 刈 り ・ 間 伐 に よ る 樹 木 密 度 の 調 整 、 間 伐 材 を 用 い た 木 工 、 遊 歩 道 づ く り 、 観 察 記 録 の 作 成 な ど が 行 な わ れ 、 学 習 課 題 の 一 部 と 実 際 の 育 林 に 結 び 付 け て い る ( 写 真 8 参 照 ) 。 写真8 枯死したアカマツ林分の天然更新の景観 写真フの二次自然林(コナラ・クリ)林相に比 して多様な植生がみられる 青梅所有林(埼玉県飯能市落合)にて2008年筆 者撮影 以上のことより、青梅所有林の二次自然林の林分の特徴をまとめれば、①二次自然 林には従来から存在した林分と、アカマツ林分枯死後に形成された林分の2種類があ る ② 従 来 か ら の 林 分 は 主 に コ ナ ラ ・ ク リ が 主 体 の 林 相 、 ア カ マ ツ 枯 死 後 の 林 分 は 前 者より多様な植生から成る混交林の要素をもつ林相が形成されていることの2点であ ると考える。
5 。 そ の 他 の 樹 林 地 ・ 林 相 ・ 植 生
そ の 他 の 樹 林 地 ・ 林 相 ・ 植 生 は 、 全 体 面 積 の 1 0 % 程 度 を 占 め て い る 。 そ れ ぞ れ の 概 要 と 特 徴 の み 項 目 別 に 述 べ る 。 5 1 . 境 内 地 樹 林 地 ( 緑 地 ) 境 内 地 と そ の 周 辺 の 主 要 樹 林 地 は 、 ① 構 内 道 路 沿 線 の ソ メ イ ヨ シ ノ ② 同 ツ ツ ジ ・ サ ツ キ 植 え 込 み ③ 梅 林 の 3 つ で 構 成 さ れ る 。 そ れ ぞ れ の 樹 林 地 の 内 容 は 、 以 下 の よ 引 こ な って い る 。 62① は 約 5 0 0 本 の ソ メ イ ヨ シノ 並 木 で あ り 、 青 梅 市 東 部 丘 陵 の 風 物 の ひ と っ と し て 、 開 花 時 期 に は 多 く の 観 桜 客 が 訪 れ る 。 定 例 害 虫 消 毒 、 枯 死 枝 な ど の 剪 定 を 年 1 回 実 施 し ている。 ② は 、 総 延 長 1 、 0 0 0 m 規 模 の 植 え 込 み 植 栽 で あ り 、 青 梅 所 有 林 の 本 体 で あ る 立 正 佼 成 会 青 梅 練 成 道 場 の 境 内 周 辺 の 景 観 を 形 成 す る 、 大 き な 要 素 と な っ て い る 。 定 例 害 虫 消 毒 、 開 花 後 の 剪 定 を 年 1 回 実 施 し て い る 。 ③ は 境 内 地 入 り 口 付 近 に あ る 7 0 本 の ウ メ を 植 栽 し て い る 小 規 模 な 梅 林 で あ る 。 害 虫 消 毒 が 年 2 回 と 、 開 花 前 ま で の 時 期 に 年 1 回 の 剪 定 を 実 施 し て い る 。 5 2 . 芝 生 ・ 茶 畑 ・ 畑 地 芝 生 は 、 立 正 佼 成 会 青 梅 練 成 道 場 の 野 外 施 設 の ひ と っ と し て 管 理 さ れ て い る 。 面 積 は 3 h a あ り 、 夏 季 を 中 心 に 年 数 回 の 芝 刈 り と 年 1 回 か ら 2 回 の 害 虫 消 毒 ・ 施 肥 を 実 施 している。 茶 畑 は 、 0 . 5 h a 造 成 さ れ て お り 信 者 な ど へ 供 物 と し て 配 布 す る た め の 茶 葉 を 収 穫 し て い る 。 毎 年 5 月 の 新 茶 収 穫 に 向 け て 、 年 間 通 し て 剪 枝 ・ 施 肥 ・ 害 虫 消 毒 ・ 収 穫 な ど の 定 型 管 理 を 実 施 し て い る 。 畑 地 は 、 約 0 . 3 h a 造 成 さ れて お り 、 一 部 の 信 者 に 教 会 単 位 で 貸 し 出 して い る 。 今 後 は 、 教 育 農 園 と し て の 性 格 も 志 向 し な が ら 利 用 計 画 を 検 討 中 で あ る 。 6 。 考 察 こ れ ま で に 、 社 寺 林 の 概 念 、 青 梅 所 有 林 の 概 要 と 林 相 別 の 造 林 経 緯 、 現 況 に つ い て 述 べ て き た 。 こ こ で 、 こ れ ら の こ と を ふ ま え て 、 青 梅 所 有 林 が 将 来 的 に 社 寺 林 と し て の 意 義 や 機 能 、 都 市 近 郊 の 優 良 な 緑 地 資 源 と し て の 機 能 発 揮 な ど 、 そ こ に 内 在 す る 多 く の 潜 在 的 な 価 値 を 発 揮 す る こ と が 可 能 に な る た め の 育 林 の 手 順 ・ 手 法 に つ い て の 考 察 を 行 な い た い と 考 え る 。 考 察 は 、 ① 青 梅 所 有 林 の 育 林 意 義 ② 青 梅 所 有 林 の 潜 在 的 価 値 ③ 価 値 発 揮 に 向 け た 育 林 の 方 向 性 の 3 つ の 視 点 か ら 行 な う 。 6 1 . 青 梅 所 有 林 の 育 林 意 義 青 梅 所 有 林 も 、 社 寺 林 の 定 義 に 当 た る 5 つ の 要 素 の ほ と ん ど を も ち 合 わ せ て い る こ と か ら 、 社 寺 林 の ひ と つ に 分 類 さ れ る と 考 え る 。 こ こ で、 2 3 ・ 2 4 ・ 3 3 で の 記 述 を も と に 、 そ れ ぞ れ の 宗 教 が どの よ う に 森 林 を 捉 え て い る の か に つ い て 振 り 返 り な が ら 、 既 存 の 社 寺 林 造 成 の 概 念 と 、 青 梅 所 有 林 の 育 林 概 念 の 比 較 を 通 し て 、 そ れ ら の 独 自 性 と 共 通 性 を 確 認 し 、 そ の 上 で 青 梅 所 有 林 の 育 林 意 義 の 再 認 識 を 試 み た い と 思 う 。 最 初 に 神 社 の 基 盤 と な る 神 道 で は 、 山 そ の も の を 神 体 と 捉 え 、 常 磐 木 を 神 の 依 代 と 63
し て 珍 重 す る な ど 、 自 然 の 対 象 物 で あ る 森 林 と 樹 木 、 そ れ ら の 基 盤 と な る 山 な ど に は 神 が 宿 る と み て い る 。 こ の た め 、 大 神 神 社 の よ う に 自 然 の 山 自 体 を 神 の 宿 る 神 聖 な 場 所 と し て 、 崇 拝 の 対 象 に す る よ う な 信 仰 形 態 も 成 り 立 っ て き た し 、 神 前 へ 常 磐 木 で あ る を 供 え る 習 俗 も 受 け 継 が れ て き た 。 し た が っ て 、 神 道 で は 山 ・ 木 ( 森 林 ・ 樹 木 ) を 神 と 結 び つ け て 、 「自然は『神々の母』であり、神々はいわば自然の生み出した『命の象徴』(景山:1976)」 と す る 観 念 を も ち 、 神 の 宿 る 自 然 の 対 象 物 と 人 間 と が 結 び つ く こ と で 信 仰 が 成 り 立 っ て い る 可 能 性 が あ る 。 そ し て 、 そ の 自 然 の 対 象 物 中 で も 最 も 人 間 に 身 近 で 普 遍 的 な 存 在 で あ る 、 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 が 信 仰 の 対 象 物 と し て 集 約 さ れ 、 重 要 な 役 割 を 果 た し て き た も の と 考 え る 。 一 方 、 寺 院 の 基 盤 と な る 仏 教 で は 、 山 に 僧 侶 の 修 行 の 場 と し て の 道 場 を 求 め 、 森 林 ・ 樹 木 に よ り 仏 の 住 処 で あ る 堂 宇 を 荘 厳 し 、 同 時 に 木 材 で 仏 像 や 堂 宇 を 造 立 し 、 さ ら に は 仏 教 の 浄 土 観 を 庭 園 造 成 で 表 現 す る な ど 、 多 角 的 に 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 と 接 点 を も っ て き た と 考 える 。 神 道 が 、 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 を 神 の 依 代 と し て い る の に 対 し て 、 伝 統 仏 教 で は そ れ ら を 実 際 の 修 行 や 仏 事 に 活 用 し て き た と こ ろ に 特 徴 を も つ 。 特 に 、 伝 統 仏 教 と 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 と の 関 係 の 大 半 は 、 山 を 修 行 の 場 と し て き た と こ ろ に あ る 。 こ の こ と は 、 仏 教 の 発 祥 地 で あ る イ ン ド の 初 期 仏 教 の 時 期 か ら の 伝 統 で あ り 、 仏 教 の ほ か ヒ ン ズ ー 教 な ど の 出 家 修 行 者 が 在 家 の 愛 欲 の 生 活 か ら 離 れ て 、 森 林 の 中 や 大 樹 の 下 、 塚 の 間 、 山 々 の 洞 窟 に 居 住 し た こ と に 由 来 す る ( 柏 木 : 1 9 7 6 ) 。 し か し 、 わ が 国 に 仏 教 が 外 来 宗 教 と し て 伝 播 し た の ち に 浸 透 ・ 定 着 し て ゆ く 過 程 で 、 仏 教 で い う 自 然 の 思 想 と 上 述 の よ う な 既 存 の 自 然 信 仰 や 神 道 の 自 然 観 と が 融 和 し 、 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 と の 関 係 が 修 行 の 場 以 外 の 分 野 に も 拡 大 さ れ 、 多 角 的 な 関 係 が 展 開 さ れ る よ う に な っ た も の と 考 え る 。 ま た 、 神 道 と 仏 教 の 社 寺 林 に は 、 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 に よ っ て 醸 し 出 さ れ る 景 観 自 体 を 、 自 宗 教 の 宗 教 的 自 然 観 の 表 現 形 態 の ひ と っ と し て 捉 え る 傾 向 も あ る と 考 え る 。 最 後 に 、 青 梅 所 有 林 の 育 林 概 念 に つ い て 述 べ る 。 青 梅 所 有 林 の 育 林 概 念 に は 、 先 に み た 神 社 ( 神 道 ) の よ う に 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 自 体 を 信 仰 の 直 接 的 な 対 象 と し て 位 置 づ け る こ と や 、 同 じ 仏 教 系 の 教 団 で あ る が 寺 院 ( 伝 統 仏 教 ) の よ う に 、 そ れ を 儀 式 ・ 儀 礼 に 用 い る 信 仰 形 態 は も た れ て こ な か っ た 。 し か し j  ̄ 自 然 と 人 類 の 調 和 の 構 想 一 人 類 の 対 話 の 広 場 」 を 創 造 す る と い う 宗 教 目 的 と 、 庭 野 ( 1 9 8 3 ) に よ る 「 緑 を 守 る 運 動 と 宗 教 者 の 使 命 」 に 示 さ れ た 現 実 的 な 信 仰 実 践 に よ る 実 際 の 育 林 が な さ れ て き た 。 そ の 結 果 、 「 緑 を 守 る 運 動 と 宗 教 者 の 使 命 」 と い う 現 実 的 な 信 仰 実 践 の 課 題 に 取 り 組 み 、 信 者 へ の 環 境 教 育 を 通 し た 教 化 育 成 、 青 梅 所 有 林 の 実 際 的 な 森 林 整 備 を 両 立 し 、 こ の こ と が 大 き な 特 徴 に な っ て い る と 考 え る 。 こ の よ う に み た と き 、 既 存 の 神 社 ( 神 道 ) や 寺 院 ( 伝 統 仏 教 ) の 社 寺 林 の 概 念 と 、 青 梅 所 有 林 の 育 林 概 念 に は 差 異 が あ る よ う に も 受 け 止 め ら れ る 。 し か し 、 3 者 に は 宗 64
教 を 媒 介 に 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 と い う 3 つ の 要 素 と 人 間 と の 間 を 相 互 に 関 連 づ け て い る 点 と 、 自 宗 教 の 信 仰 観 を 育 林 に 反 映 し て い る 点 に お い て は 共 通 性 を も ち 、 究 極 的 に は 一 致 す る 概 念 を 有 し て い る も の と み ら れ る 。 3 者 に 共 通 す る 概 念 と し て の 、 宗 教 を 媒 介 に 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 と い う 3 つ の 要 素 と 人 間 と の 間 を 相 互 に 関 連 づ け て い る 点 と は 、 神 道 で い う 神 の 宿 る 自 然 の 対 象 物 と 人 間 と が 結 び つ く こ と で 信 仰 が 成 り 立 つ 概 念 、 伝 統 仏 教 に み ら れ る 自 然 の 対 象 物 を 現 実 の 人 間 の 修 行 や 仏 事 に 活 用 し て き た 特 徴 、 青 梅 所 有 林 に お け る 森 林 を 活 用 し た 信 者 の 教 化 育 成 と 育 林 の 両 立 な ど が こ れ に あ て は ま る も の と 考 え る 。 こ れ ら の こ と か ら 、 3 者 に 共 通 す る 概 念 と し て 存 在 す る 、 「 宗 教 を 媒 介 に 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 と い う 3 つ の 要 素 と 人 間 と の 間 を 相 互 に 関 連 づ け る 」 こ と を 意 識 し つ つ 、 青 梅 所 有 林 の 特 徴 で あ る 信 者 の 教 化 育 成 の 一 環 と し て の 現 場 で の 環 境 教 育 の 実 施 ・ 森 林 造 成 ・ 育 林 を 継 続 し て 、 「 自 然 と 人 類 の 調 和 の 構 想 一 人 類 の 対 話 の 広 場 」 の 創 造 を 行 な う と こ ろ に 育 林 意 義 が 確 立 す る と 考 え る 。 6 2 . 青 梅 所 有 林 の 潜 在 的 価 値 こ こ で 、 青 梅 所 有 林 の 潜 在 的 な 価 値 に つ い て 触 れ て お く 。 こ こ で い う 潜 在 的 価 値 は 、 広 い 意 昧 で の 資 源 に 含 ま れ る 要 素 で あ り 、 ① 宗 教 的 価 値 ② 天 然 資 源 的 価 値 ③ 社 会 的 価 値 の 3 つ の も の が あ る 。 こ れ ら の 価 値 を 育 林 意 義 に 基 づ い て 正 し く 方 向 付 け る こ と に よ り 、 そ の 価 値 を 高 め る こ と が 可 能 に な る と 考 え る 。 ま ず 宗 教 的 価 値 に つ い て 述 べ た い 。 こ の 価 値 は 青 梅 所 有 林 が 宗 教 的 な 情 操 心 を 育 む の に 相 応 し い 森 林 環 境 を 創 出 す る こ と に よ り 培 わ れ る 無 形 の 価 値 を 指 す と 考 え る 。 こ こ で い う 宗 教 的 な 情 操 心 に は 、 人 間 が あ る 価 値 対 象 に 対 し て 神 秘 感 ・ 威 厳 感 ・ 畏 怖 ・ 尊 敬 な ど ( 7 ) 情 操 を 抱 く こ と と 、 森 林 が 醸 し 出 す 四 季 折 々 の 風 情 の あ る 景 観 に 触 れ る こ と で 何 ら か の 精 神 的 な 充 実 感 ( 深 田 : 2 0 0 4 ) や 癒 し を 感 ず る こ と の 2 つ の 側 面 を も つ と考える。 次 に 、 青 梅 所 有 林 の 天 然 資 源 的 価 値 に つ い て 述 べ る 。 天 然 資 源 的 価 値 は 、 O 生 物 資 源 ( 樹 木 ・ 草 本 類 ・ 有 用 植 物 ・ 地 衣 類 ・ 菌 類 な ど の 植 物 資 源 と 、 鳥 類 ・ 哺 乳 類 ・ 昶 虫 類 一 昆 虫 な ど の 動 物 資 源 ) 、 i i ) 鉱 物 資 源 ( 天 然 岩 石 と 自 然 水 ) 、 副 土 地 資 源 ( 立 地 条 件 ・ 地 形 ・ 地 質 ・ 土 壌 ・ 土 地 ) の 3 つ の 要 素 か ら 成 り 立 っ て い る 。 青 梅 所 有 林 の 天 然 資 源 も 、 i ) か ら i i O の 範 暗 に 含 ま れ る ほ と ん ど の も の を 有 し て い る 。 そ し て 、 こ れ ら の 天 然 資 源 的 価 値 は 、 活 用 の 度 合 い が 高 ま る こ と に 比 例 し て そ の 価 値 も 高 ま る が 、 現 時 点 で は O に 含 ま れ る 価 値 と し て の 樹 木 と 有 用 植 物 と 菌 類 の 一 部 の み が 活 用 さ れ て い る 状 況 で あ る 。 3 っ 目 に 、 青 梅 所 有 林 の 社 会 的 価 値 に つ い て 述 べ る 。 こ の 価 値 は 、 青 梅 所 有 林 が 「 都 市 地 域 に 所 在 す る 広 大 な 森 林 」 と い う 特 性 を も つ こ と を 指 し て い る 。 青 梅 所 有 林 は 、 東 京 の 西 部 副 都 心 か ら 4 5 k m の 場 所 に 立 地 し 、 都 心 部 に つ な が る 多 く の 道 路 網 ・ 鉄 道 網 に 囲 ま れ た 通 勤 圏 内 で も あ り 、 土 地 利 用 の 方 法 に よ っ て は 宅 地 造 成 65
の 好 立 地 に も 成 り 得 る 立 地 に 置 か れ て い る 。 こ の た め 、 青 梅 所 有 林 か ら 東 側 は 都 心 ま で 市 街 地 が 連 続 し て い る 。 こ の よ う な 立 地 条 件 に 置 か れ な が ら 、 広 大 な 森 林 が 体 裁 と 機 能 を 保 持 し て い る と こ ろ に 、 そ の 価 値 が 見 出 さ れ る と 考 え る 。 以 上 が 、 青 梅 所 有 林 の 潜 在 的 な 価 値 の 概 要 で あ る 。 6 3 . 価 値 発 揮 に 向 け た 育 林 の 方 『 向 性 次 に 、 こ れ ま で の 記 述 を ふ ま え て 社 寺 林 と し て の 意 義 や 機 能 、 都 市 近 郊 の 優 良 な 緑 地 資 源 と し て の 機 能 発 揮 な ど 、 そ こ に 内 在 す る 多 く の 潜 在 的 な 価 値 の 発 揮 が 可 能 に な る た め の 育 林 の 方 向 性 に つ い て 、 さ き に あ げ た 3 つ の 潜 在 価 値 を 軸 に 、 具 体 的 な 活 用 法 を 示 す 形 で 考 察 す る 。 ま ず 宗 教 的 な 価 値 で あ る が 、 こ の 価 値 を 高 め る た め に は 、 宗 教 的 意 義 の も と に 育 林 が 継 承 さ れ 、 宗 教 団 体 が 所 有 す る 森 林 に 相 応 し い 景 観 や 機 能 が 持 続 的 に 発 揮 さ れ 、 宗 教 的 情 操 心 が も た れ る の 4 こ 相 応 し い 森 林 に 変 化 し て ゆ く こ と が 必 要 で あ る 。 こ う し た 、 宗 教 的 情 操 心 が も た れ る の に 相 応 し い 森 林 に 変 化 し て ゆ く た め に は 、 さ き に 述 べ た よ う な 「 宗 教 を 媒 介 に 山 ・ 森 林 ・ 樹 木 と い う 3 つ の 要 素 と 人 間 と の 間 を 相 互 に 関 連 づ け る 」 こ と が 重 要 で あ り 、 特 に 信 者 の 教 化 育 成 の 一 環 と し て の 現 場 で の 環 境 教 育 の 実 施 ・ 森 林 造 成 ・ 育 林 を 同 時 に 行 な っ て き た 青 梅 所 有 林 で は 、 強 調 さ れ る べ き 要 件 で あ る と 考 え る 。 そ の 意 味 で は 、 青 梅 所 有 林 は 宗 教 団 体 で あ る 立 正 佼 成 会 が 所 有 し 、 自 宗 教 の 宗 教 理 念 に 基 づ い て 、 信 者 の 手 に よ り 造 林 さ れ た 森 林 の 育 林 が 継 続 さ れ 、 育 林 を 通 し た 環 境 教 育 を 行 な っ て き た こ と か ら 、 所 有 林 に 一 定 の 宗 教 的 価 値 が 養 わ れ つ つ あ る も の と 考 え る 。 こ の 、 「 一 定 の 宗 教 的 価 値 」 が 所 有 林 に 養 わ れ る こ と に よ り 、 宗 教 団 体 が 所 有 す る 森 林 に 相 応 し い 景 観 や 機 能 を 持 続 的 に 発 揮 す る こ と が 可 能 で あ る と 考 え る 。 し か し 、 青 梅 所 有 林 で 自 宗 教 の 宗 教 理 念 に 基 づ い た 育 林 が 開 始 さ れ て か ら の 年 月 は 3 0 余 年 を 経 過 し た に 過 ぎ ず、 一 般 的 な ヒ ノ キ の 育 林 期 間 で あ る 8 0 年 と 比 し て も 短 い 期 間 で あ る こ と が わ か る 。 こ の た め 、 現 時 点 で は 「 宗 教 団 体 が 所 有 ・ 管 理 し て い る 」 「 周 囲 の 育 林 を 中 断 し た 森 林 の 環 境 と 比 較 し て 良 好 な 森 林 環 境 を 呈 し て い る 」 と い う 事 実 は あ っ て も 、 荘 厳 性 を は じ め と し た 宗 教 的 な 雰 囲 気 が 充 分 発 揮 さ れ て い る 段 階 に ま で 達 し て い な い 。 し た が っ て 、 青 梅 所 有 林 の 宗 教 的 価 値 は 、 今 後 の 時 間 の 推 移 の 中 か ら 徐 々 に 発 揮 さ れ て く る 価 値 で あ る と 考 え る 。 2 つ 目 に 、 天 然 資 源 的 価 値 に つ い て 述 べ た い 。 青 梅 所 有 林 の 天 然 資 源 的 価 値 は 、 そ の 活 用 密 度 が 高 ま る こ と に よ り 発 揮 さ れ る 価 値 で あ る と 考 え る 。 し か し 、 現 時 点 で は 森 林 の 教 育 的 な 活 用 が 一 部 で 行 な わ れ て い る 以 外 は 、 多 く の 部 分 で 未 活 用 の 状 態 に お か れ て い る 。 今 後 は そ の 活 用 密 度 が 高 ま る こ と が 期 待 さ れ る 。 今 後 、 活 用 が 期 待 さ れ る 天 然 資 源 の 活 用 法 の 概 略 を 述 べ れ ば 、 O の 生 物 資 源 は 森 林 の 直 接 的 な 活 用 を 主 軸 に 、 山 菜 ・ 菌 類 ( き の こ ) を 含 む 多 様 な 植 物 資 源 の 採 取 を 組 み 合 わ せ た 体 験 型 教 育 で の 活 用 、 i i ) の 鉱 物 資 源 は 自 然 水 ・ 湧 水 を 活 用 し た 自 然 観 察 な ど 、 i i O の 土 地 資 源 で 66