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Small for Dates Infant 並びに Large for Dates Infant の情緒発達と親の養育態度
後 藤 ヨ シ子
出生時体重は,生後発育の原点としてまた胎内発育の総括とも考えられ,新生児の成熟 度をはかる重要な指標として用いられている。しかし同一体重であっても在胎期聞の差異 により,新生児期の医学的管理やその後の発育発達上に何程かの差異が存在するため,今 日出生時体重と在島期間を組み合わせ,在名期間に比し出生時体重の小さいものをsmall for dates infant(SFD),在胎期間に適した出生時体重のものをapPropriate for dates infant(AFD)さらに在胎期間に比し出生時体重の大きいものをlarge for dates infant
(LFD)と表現され区分されてきている。
殊にS:FDは,胎内発育遅滞intrauterine growth retardationとも呼ばれ,その後の 身体的精神的神経学的発育発達や養護面に特別な関心が寄せられ,その解明が侯たれてい
る。
今回は,出生時条件をめぐるSFD及びLFDの情緒発達について, A:FDとの集団比 較にて親の養育態度並びに社会的条件等を考慮しながら分析を試みた。
対象及び方法
対象は,1968年4月2日〜1969年4月1日の出生児中,1973年4月長崎市内幼稚園20校 4才児宮丘園児1336名で双胎は除いた(表1)。
表1 対 象 数
SFD AFD LFD 計
男 女
素 潜 児
24(15)
34(22)
58(37)
577(9)
546(14)
1,123 (23)
99 56 155
700 636 1,336
( )=2,5003以下
調査内容は,田研式親子関係診断テスト,幼児児童性格診断テスト並びに生育歴調査の 3種類ですべて質問紙法により母親が記入した。
実施期間は,ユ973年6月下旬〜7月上旬
出生時体重と在胎回数との関係は,船川氏の基準値1)を用い一%σ以下をS:FD,+%
σ以上をLFD,一%σ〜+%σをAFDと区分した。なお3群とも正;期産のしめる割合 は80%余りをしめるが,中でもAFDに若向高く,早;期産はLFDにまた過;期産はSFD にそれぞれ若干高くみられ,3群間の分布に有意の傾向がみられた(.05<P<.10) (表
2)。
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長崎大学教育学部教育科学研究報告 第23号 表2 出生時体重・在胎期間別分布一船川氏の%σ基準による一(%)
AFD SFD LFD
計
早 期 産
(38W未満)
4(6.9)
73(6.5)
18(11.6)
95(7.1)
正 期 産
(38W1日〜42W)
48 (82.8)
994 (88.5)
132 (85.2)
1,174 (87.9)
過 期 産
(42Wユ日以上)
6(10.3)
56(5.0)
5(3.2)
67(5.0)
計
58
1,123 155
1,336 (100.0)
産科的要因は,妊娠出産時障害中妊娠中毒症,鉗子吸引分娩,帝王切開をとりあげ,さ らに新生時期要因として,保育器使用をとりあげた。妊娠中毒症は,SFDに(SFD>
LFD>AFD),鉗子吸引分娩は, LFDに(:LFD>AFD>SFD)比率は若干高 く,帝王切開は,AFD2.1%に対しSFD5.2%, LFD5.8%であった。全体的に妊娠 出産時障害は,AFDに最も少なく(15.8%), LFD(26.4%)SFD(24.2%)の両 群に高まりがみられた。
保育器使用では,SFD31%, AFD1%LFDには全然なく,圧倒的にSFDに多 い。ほぼ3人中1人にみられる。中でも保育器使用期問の長さでは,比較的未熟度の軽い と思える10日以内はAFD81.8%に対しSFD38.9%と少なく,他方11日以上はA:FD 18.2%に対しSFD61.1%と非常に高い。最大は52日間の使用であった(表3)。
表3 産科的及び新生時期要因 (%)
SFD AFD LFD
妊 娠 出 産 時
妊娠中毒症
鉗 子・吸 引 倒 王 切 開
計
7(12.1)
4(6.9)
3(5.2)
・4(24・2)t
39(3.5)
115 (10.2)
23(2.1)
177 (15.8)
9(5.8)
23 (14.8)
9(5.8)
41 (26.4)
保育器使刷 18(31.0) ・ユ(…)1 0
社会的要因では,父親の職業,母親の教育年数(学歴)をとりあげた。職業分類は,日 本社会学会調査委員会の報告資料2)にもとづき,専門的及び管理的職業を上,事務的職業 を中,販売的職業・熟練的・半熟練的及び非熟練的職業を下とし3群に大別した。母親の 教育年数は,修学年数により9年以下を下,10〜12年を中,13年以上を上とし3区分した。
父の職業上では,SFDに(S:FD>AFD>LFD),他方中・下ではLFD(LF D>AFD>SFD)に若干高くみられる。母親の教育年数12〜ユ3年以上はLFDに(L
FD>AFD>SFD),9年以下はSFDに(SFD>AFD>LFD)に若干高い。
しかし父親の職業,母親の教育年数のいずれにも3雪間の分布に統計的差異はみられなか った(表4, 5)o
分析にあたり,今回は男女児一括して考察した。
179 Small for Dates工nfant並びにLarge for Dates Infantの情緒発達と親の養育態度
表4 社会的要 因 (%)
lSFD }AFD i LFD i 計
上中下 計
5(8,6)
R0(51.7)
Q3(39.7)
@ 58
7工(6.3)
T83(51。9)
S69(4L8)
@ 1,123
6(3.9)
W9(57.4)
U0(38.7)
@ ユ55
82
@702
@552
P,336
表5母親の教育年数 (%)
教育年数 SFD AFD LFD 計
〜9年
@ 〜12年
P3年〜
@ 計
19(32,8)
R5(60.3)
S(6.9)
@ 58
119(10.6)
1
}引、灘; 19(12.3) 155 311(23.3)
W83(66.1)
P42(10.6)
@ユ,336
成 績
(1)出生時体重・在胎期間二親の養育態度並びに性格特性
母親の養育態度で40パーセンタイル以下の危険地帯の出現比率についての比較では,10 項目すべてにS:FD>AFD>LFDの順に高く,逆に45パーセンタイル以上の普通及び 良好な態度の出現比率はLFD>AFD>SFDの順に高くみられた。中でも3群間には 厳格,干渉,不安,盲従,不一致の5項目に顕著な差異がみられ,また矛盾的態度にも有 意な傾向がみられた。つまりSFDの母親は,他の2群に比し厳格,干渉,盲従,不一致
の態度がより強く,他方LFDの母親は,3群中最も良好な態度が見いだされた。
母親からみた子どもの性格特性では,30パーセンタイル以下の要指導の出現比率につい ての比較において,13項目中情緒不安,
依存的,体質不安定,個人的不安定に
SFD>AFD>LFDの順に高くみら れ,顕示性,神経質ではSFD>LF D>AFDの順に,自制力欠如,退行 的,攻撃性ではLFD>SFD>AFD
の順に高い。他方社会性なし,家庭不適 応,学校不適応では3群間に殆んど差異 はみられなかった。全体的に各項目にお いて3群間の差異は小さく統計的差異は すべてみられなかった。しかしAFD群 に比しSFD, LFDの2群にやや問題
的傾向の出現比率が強くみられた。
(図1,2)。
100 %
80 70 60
50 40 30 20 10
清積厳期干不溺盲矛不 0 極 極 _ 拒 拒
否否三三渉安愛二二致
図1 出生時体重・在胎期間別親の養育態度(40パ ーセンタイル以下危険地帯の出現比率)
※ ※ ※ ※ # ※
口 SFD 吻 AFD 蘭 LFD
・
180
長崎大三教育学部教育科学研究報告 第23号
100 %
50 40 30 20 10
顕神情自依退攻社家学体個社 0
三江集1存行撃韓lll
性質安如的的思し応筆墨定定
図2 出生時体重・在胎;期間別性格特性(30パーセンタ イル以下要指導の出現比率)
口 SFD 囮 AFD 口 LFD
∫ 、
=檜
.
一 一
00
/※ #
口 〜2500
60 囮 2501〜
1
50 40 30 20 10
0 顕 神 情 自 依 退 攻 社 家 学 体 個 社
(2) S:FD内の体重差異によ る親の養育態度並びに性格 特性
SFDの中で体重の差異によ り,2500g以下の低体重児群と 2501g以上の成熟児群とに区分
し比較検討した。その結果,親 の養育態度で危険地帯の出現比 率についての比較では,期待,
干渉,不安,溺愛,盲従,矛盾,
不一致の項目では成熟児群に比 し低体重児群に高く,他方消極 的拒否,積極的拒否,厳格では低体重児群に比し成熟児群に高かった。つまり同じSFD でも低体重児群の母親に問題的態度はやや強く,中でも期待型に顕著な差異がみられた。
性格特性では,要指導の出現比率についての比較において,13項目中U項目に成熟児群 に比し低体重児群により高く,顕示性,学校不適応では低体重児群に比し成熟児群により高 かった。中でも情緒不安に顕著な差異があり,退行性にも有意な傾向がみられた(図3,
4)。
、髭
2501〜
誠ll繍欝醗繋1
図3 SFD内の体重差異による親の養育態度(40 図4 パーセンタイル以下危険地帯の出現比率)
60
40
20
消積厳期干不溺目矛不
極 極 拒 拒 一
否否格待渉安愛従盾致
SFD内の体重差異別性格特性(30パーセ ンタイル以下要指導の出現比率)
(3)保育器使用(SFD内)有無別による親の養育態度並びに性格特性
SFDで保育器使用のうち,比較的未熟度の軽いと思えるものを除き,11日をこえる11 名と保育器を全く使用していないSFD32名との比較を行った。少数例ではあるが,親の 養育態度で危険地帯の出現比率についての比較では,消極的拒否を除き他の9項目すべて に保育器を使用しないSFD群に比し使用群に高くみられた。顕著な差異は各項目すべて にみられないが,干渉的態度に有意の傾向がみられた。
性格特性では,要指導の出現比率についての比較において,13項目中10項目に保育器未
使用群に比し使用群に高くみられ,中でも情緒不安,自制力の欠如,退行性,個人的不安
181 Small for Dates Infant並びにLarge for Dates工nfantの情緒発達と親の養育態度 定に顕著な差異がみられた。つまり保育器使用群に情緒不安,
題的傾向がより強かった(図5,6)。
自制力の欠如,退行性の問
100 %
80 70 60
50 40
30 20 10 0
# 口囮 あり
ネし
消積厳期干不溺盲矛不
極 極 _ 拒 拒 否二三三二安三従盾致
図5 保育器使用有無三親の養育態度 (40パーセント以下危険地帯の 出現比率)
% 100 60 50 40 30 20 10
0 顕神情自中退攻社家学体面社
示経葉1存一寸謙ll
性質安如的的乏し沁応定定定
※ ※ ※
□吻 あり
ネし
※
図6 保育器使用有無別性格特性(30パーセンタイル 以下要指導の出現比率)
(4)社会的要因別親の養育態度並びに性格特性
父親の職業からみた親の養育態度で危険地帯の出現比率についての比較では,同じ社会 的条件内ではSFD>AFD>LFDの順に高く,他方同じ出生時条件内では社会的条件 の不良なほど(下〉中〉上)より高かった。S:FD, LED群には,例数の少ないせいか 項目群にて顕著な差異は少ないが,AFD群では多くの項目群(期待,不安,溺愛,盲 従,矛盾,不一致)にみられている。
性格特性では,要指導の出現比率についての比較において,同じ社会的条件内では親の 養育態度とは異なり,3二間に一定した傾向はみられなかった。他方同じ出生時条件内で は,社会的条件の不良なほど(下〉中〉上)より高かった(図7,8)。
%
80 口 上 ※ ※
L 60
e
囮[コ 中下