制定法解釈 と司法審査 ( 3 )
今 本 啓 介
は じめ に
第 1 章 アメリカにおける行政機関の制定法解釈の発現形態
第 2 章 シェヴロン判決前の行政機関の制定法解釈に対する謙譲法理 と シェヴロン法理の登場
第 1 節 スキッ ドモア法理 第 2 節 シェヴロン法理の登場
1 シェヴロン判決
2 シェヴロン法理の位置づけと問題点 ( 以上59 巻 4 号) 3 シェヴロン判決以降の展開
4 / ト 括 ( 以上60号 2 ・3 号)
第 3 章 クリステ ンセン判決 ・ミー ド判決とその後の展開 第 1 節 クリステンセ ン判決とミー ド判決
1 クリステ ンセン判決 2 ミー ド判決 ( 以上本号) 第 2 節 ミー ド判決以降の展開 むすぴに
第 3 章 ク リス テ ン セ ン判 決 ・ミー ド判 決 と その後 の 展 開
第 1 節 ク リステ ンセ ン判決1 )と ミー ド判決 2)
1 ク リステ ンセ ン判決
( 1) まず,2000年 の クリス テ ンセ ン判 決 について,事実 と判示 内容 を確 認 して
1)Chr i s t e ns e nv. Ha r r i sCo unt y ,52 9 U. S. 576( 20 00) . クリステ ンセ ン判決について
〔 1 59〕
お きたい。
公正労働基準法 ( Fa i rLa bo rSt a nda r dsAc to f1 9 3 8 ; FLSA ;以下, クリス テ ンセ ン判決 における限 り 「 本件法律」 とい う。) 2 01 条 a 項 1 号 は , 1 週 間あ た り 4 0 時 間を超 えて勤務す る時給の被用者 は,超過勤務時間につ き通常 の時給 の1. 5 倍以上 の時給 で報酬 を支払 わねばな らない ことを規定 していた
3)。 これ を受 けて,本件法律 2 0 7 条 o項 は,州及 び州の出先機関 ( po l i t i c a ls ubdi vi s i o n) が,その被用者 に対 して代償休暇 ( c o mpe ns a t o r yt i me ) を与 えることによ り 超過勤務時間を埋 め合 わせ ることを認 めてお り, これによ り被用者 は有給休暇 を取得す る権利が付与 されてい る
4)。具体的 には,本件法律 2 0 7 条 o項 1 号 は, 州及 び州 の出先機 関は超過勤務時 間につ き被用者 に対 して超過勤務時 間の1. 5 倍 の代償休暇 を与 えることで埋 め合 わせ ることを認 めてお り5 ) ,本件法律 2 07 条 o項 2 号 は, この ような形式 の埋 め合 わせ を行 うため に,雇用者 は代償休暇 が金銭補償 に代 わって与 え られ る旨の合意 を得 なければな らない ことを規定 し ていた
6)。 また本件法律 2 0 7 条 o項 3 号 は,被用者 の代償休 暇の時 間が上 限時 間に達 した後 に,雇用者 は上限時間に達 した後の超過勤務時 間につ き金銭 によ る報酬 を支払 わねばな らず,加 えて雇用者 は被用者 に対 して使 われていない代 償休暇 につ き金銭 による報酬 を支払 うことによ り,いつで も発生 した代償休暇
取 り上げた邦語文献 として,筑紫圭一 「 アメリカ合衆国における行政解釈に対する 敬譲型司法審査 ( 上)‑ Che vr o n 原則の意義 とその運用‑ 」上智法学論集 4 8 巻 1 号 1 3 1 頁以下 ( 2 0 0 4 年),高橋正人 「 規制に対する合理性審査の二面性一 厳格 審査手 法 と 『 非民主的』な裁判所 としての審査手 法‑ 」法学 ( 東北大) 2 5 号 1 7 9 頁以下 ( 2 0 0 5 年) ,正木宏長 「 行政法と官僚制 ( 3 ) 」立命館法学 3 0 3 号 5 9 頁以下 ( 2 0 0 5 年)をあげてお く。なお , 拙稿 「 行政機関による制定法解釈 と司法審査‑ 租税法 の場合との比較を視野に入れて‑ 」早稲田政治公法研究7 2 号 2 6 4 頁以下 ( 2 0 0 3 年)
も参照されたい。
2)Un i t e dSt a t e sv. Me a dCo r p. , 5 3 3U. S. 2 1 8( 2 0 0 1 ) . なお, ミー ド判決について取 り上げた邦語文献 として,筑紫圭一 ・前掲論文注 1) ・1 3 3 頁以下,高橋正人 ・前 掲論文注 1) ・1 81 頁以下,正木宏長 ・前掲論文注 1) ・6 1 頁以下がある。
3)2 9U. S . C . § 2 0 7( a )( 1 ) . 4)2 9U. S . C . § 2 0 7 ( o) .
5)2 9U. S . C . § 2 0 7 ( o ) ( 1 ) .
6)2 9U. S . C . § 2 0 9 ( o ) ( 2 ) .
を撤 回 し,又 は 「 清算す る ( ca s ho ut ) 」す ることがで きると規定 していた
7)。さ らに,本件法律 207 条 o項 4 号 は,被用者が雇用終了の際 に残 ってい るすべ ての発生 した代償休暇 につ き,金銭 による報酬の支払い を受 け取 る権利がある ことを定めていた8 ) 。ハ リス ・カウンテ ィは,発生 した代償休暇 に対す る補償 を支払 わなければな らない ことをおそれ,発生す る休暇時間を減 らすために休 業時間を予定す ることを被用者 に求めた 9) 。 そのため,ハ リス ・カウンテ ィの 奉行部 門 ( She r i f rsDe pa r t me nt )の被用者が,公正労働基準法 は この ような ことを禁 じてい る として訴訟 を提 起 した
10)。 ここで問題 となったのが,労働 省賃金時 間課 による意見書 ( o pi ni o nl e t t e r s )であった。 この意見書 によると,
「 公的な雇用者が,非正規被用者 に対 して,事前 の合意が特 にこの ような規定 を定めている場合,発生 した公正労働基準法上の代償休暇 を,命令 された もの として用 いるよう予定す ることがで きるとい うのがわれわれの立場 であ る。事 前 の合意がない場合,制定法 も規則 も雇用者 に対 して被用者が発生 した代償休 暇 を用い ることを求めることを認めていない, とい うのがわれわれの立場 であ る」 との ことであ った
11)。原告 であ るクリステ ンセ ンらと合衆 国 は, この意 見書 に対 して シェヴロ ン法理の下での謙譲 を行 うべ きことを主張 したが, この 点 について連邦最高裁 は次 の ように述べ,意見書 に対す る謙譲 を認 めなか った。
‑‑本件で, われわれは意見書 に含 まれている解釈 について検討 し てい る。 この意見書 は,た とえば フォーマルな審決や告知 コメ ン トを 経 た規則制定 によって出された ものではない。意見書 に含 まれ るよう な解釈 は,政策表明,行政機関のマニ ュアル,執行指針 の ように法 的 効力 を欠 くもの に含 まれる解釈 と同様, シェヴロ ン法理 の謙譲 を受 け る ものではない。‑・ ‑代 わ りに,意見書の ような形式 に含 まれ る解釈
7)29u S.C.§2 09 ( o ) ( 3 ) , 8)29U.S.C.§2 09 ( o ) ( 4 ) . 9)Chr i s t e 7 1 S e 7 l ,S2 9U. S. a t5 81 1 0)〟.
ll )〟.
はスキ ッ ドモア対スウイフ ト社判決の下での 「 尊重 を受 ける」が,そ れはこれ らの解釈が 「 説得力」を持つ限 りでである。‑‑われわれは, 本件で問題 となっている制定法の行政機関の解釈が説得力のない もの であると認定 した。
もち ろ ん, シ ェ ヴ ロ ン判 決 で示 され た謙 譲 の枠 組 み は, 規 則 ( regul at i on) に含 まれた行政機関の解釈 に通用 されるものである
。しか し本件では,労働省規則は強制的な代償休暇の問題 を扱 っていな い。・ ・ ‑・ 本件規則の どこにも,おそ らく労働者が代償休暇の利用 を強 制 される政策が合意の中に含 まれなければな らない ことさえ求め られ ていない。本件規則 自体は,当該命令が任意の ものであ り,義務的な
ものでないことを示 している
。12)( 2) ただ,ステ イ‑ヴンズ裁判官他 3 名は,スキ ッドモア法理 に従 って意見書 に対 して尊重すべ きことを内容 とす る反対意見 を述べた
13)。 この反対意見の 中で,ステ イ‑ヴ ンズ裁判官 はまず,法廷意見が本件法律 2 0 7 条の限定 された 条件付 きの除外規定 を適切 な一般的なルールであるように扱 っている点で誤 っ ているとした
14)。 また,「 本件では,制定法の実施 を所管する省が,制定法の 意味についての私 〔 ステ イ‑ヴンズ裁判官 :筆者注〕の理解 を共有 しているこ とこそ重要である 」15) と述べた上で,スキ ッ ドモア判決 を引用 しなが ら次のよ うに述べた。
これは強調 されるべ きことであるが , 〔 労働〕省は 〔 代償休暇の取 得 を強制する〕政策が制定法や規則 によ り禁 じられていることを示 し ていない。む しろ,制定法や規則の枠組みによ り定め られた代償休暇 を統制する基本的なルールに合わせて, この ような政策は当事者の合 意 によってのみ行 われなければな らない。 〔 労働〕省の意見が周到 に
1 2 )〟. a t5 8 7 ‑ 5 8 8( c i t a t i o nso mi t t e d) .
1 3) 〟. a t5 9 2 ‑ 5 9 6( St e ve ns , J . ,di s s e nt i ng) .
1 4) 〟. a t5 9 2( St e ve ns , J . ,di s s e nt i ng) .
1 5) 〟. a t5 9 4( St e ve ns , J . ,di s s e nt i ng) .
検討 され一貫 して認め られた ものでは全 くない とい う考 える理 由はな いことか ら , 〔 労働〕省の意見は疑いな くわれわれに尊重 される
。16)( 3) なお,ス カリア裁判官 は一部補足及 び一部反対意見の中で次 の ように述 べ 1 7) ,結論 には賛成 した ものの,意見書 に対す る謙譲 を判 断す るに当たって スキ ッ ドモア法理 を適用 したことに対 して異論 を唱えた。
‑‑先例性のある行政機関の見解 に対するスキ ッ ドモア判決的な謙 譲 は時代錯誤の ものであ り,われわれが ( 「 立法規則」 に対す る解釈 的な規則 を含む)行政機関の解釈 に対 して先例的な効果 を与 えること に消極的であった時代 に起源を持つ ものである。‑‑このかつての司 法の態度が,「 解釈規則」について ( 先例性 を持たない とい う理 由で) 規則制定 に対 して適用 される告知 コメ ン トの要件 を除外す る とい う 1 9 46 年行政手続法の原因 となっている
。18)そのような時代 は, シェヴロン判決における分水嶺的な判決 によ り 終若 を迎 えた。シェヴロン判決は了裁判所は, 行政機関の行政官 によっ て行 われた合理的な解釈 を自らの制定法の規定の解釈 に代 えてはな ら ない」 とい う法理 を打 ち立てた。 シェヴロン判決は実際解釈的な規則 に関するものであったが, シェヴロン判決の理由づけはそ うした文脈 に限 られる ものではなかった。‑‑それゆえ,われわれが シェヴロン 判決の謙譲 を,行政機関の規則のみな らず,あ らゆる他 の形式で表 さ れる行政機関の先例性 のある立場 に対 して も行 って きたことは相当で ある。‑・
‑ 19)私見によると,本件でのハ リス ・カウンテ ィの活動が,奉行部門の
1 6 )〟. a t5 9 5( St e ve ns , J . ,di s s e nt i ng) .
1 7 )〟. a t5 8 9 ‑ 5 91( Sc a l i a , J . , c o nc ur r i ngi npa r ta ndc o nc ur r i ngi nt hej udge me nt ) . 1 8) 〟. a t58 9( Sc al i a J . , c o nc ur r i ngi npa r ta ndc o nc ur r i ngi nt hej udgement ,c i t a ‑
t i o nso mi t t e d) .
1 9) 〟. at58 9 ‑ 591( Sc al i aJ . , c ongur r i ngi npa r tandc onc ur r i ngi nt hej udgemen t ,
c i t a t i o nso mi t t e d) .
被用者 との合意の条件 によ り認め られない限 り違法である, との立場 が,労働省の先例性ある見解 を示 しているな らば, シェヴロン判決の 謙譲 を受ける。賃金時間課の行政官代理 によって署名 された一つの意 見書の中で書かれているとい う事実だけでは,私はシェヴロン判決の 謙譲 を受ける地位 を持 っていることを説得 されないであろう。しか し, 法廷の友 と して本件訴訟で出席 している合衆国の法務長官が,意見書
に示 された立場 は法務省長官の立場であるとい うことを示す法務総裁 連署の書面 を提 出 していた。その ことだけで,た とえ意見書が存在 し なか った として も,本件の立場 は シェヴロ ン判決の謙譲 を受 ける
。2 0 )
( 4) このスカリア裁判官の補足意見に対 して,プライア‑裁判官は反対意見を 述べた。 プライア‑裁判官 は,スカリア裁判官がスキ ッ ドモア法理 を時代遅れ の もの とした ことに対 して批判 した
21)上で, シェヴロ ン判決 とスキ ッ ドモア 判決 との関係 について次の ように述べた。
シェヴロ ン判決は大 した変化 を もた らさなかった。 シェヴロ ン判決 は単 に,一定の行政機関の決定に謙譲する別の法的理由,つ ま り,逮 邦議会はこのような一定の行政機関の決定を行 う法的権 限を行政機関 に対 して委任 しているか らとい う理由に焦点 を当てていた。そ して, シェヴロン判決型の謙譲が適用 されない場合,た とえば連邦議会が実 際に行政機関に対 して解釈権限を委任することを意図 していたことが 疑わ しい場合 (この点はシェヴロ ン判決がおそ らく行政機関の解決 に ゆだねていない 「 暖味な点」である)が存す る程度で,私はスキ ッ ド モア判決がなお法の生命を維持 していると考 えている
。22)そ して,ブライヤー裁判官はステ イ‑ヴンズ裁判官の反対意見に同調 してい
20) 〟. a t5 91( Sc a l i a , J . , c o nc ur r i ngi npa r ta ndc o nc ur r i ngi nt hej udge me nt ) . 21 )〟. a t5 9 6( Br e ye r , J . , d i s s e nt i ng ) .
22) 1 d. a t5 9 6 1 5 9 7( Br e ye r . J . . di s s e nt i ng ) .
るが,その際,「 本件問題での労働省の立場 は‑‑ シェヴロ ン判決の視角でみ て も,スキ ッ ドモア判決の視角でみて も,あるいは双方の視角で見て も大いに 合理的である 23) 」 と述べ, シェヴロ ン法理 とスキ ッ ドモア法理 をほぼ同 じも の として扱 った。
( 5 ) 以上のように, クリステ ンセ ン判決は, シェヴロン判決が暖味 にしていた 手続 を経ていない解釈規則 に対する謙譲 については, シェヴロン法理 を適用せ ず にスキ ッ ドモア法理 を通用 して判断すべ きことを明 らかに した点が注 目され る。また,スカリア裁判官 は,スキ ッ ドモア法理 を時代錯誤の もの と考 え,シェ ヴロン法理への一本化 を模索すべ きとする一部補足及び一部反対意見を述べた が,いずれの裁判官 にも受 け入れ られなかった。ただ,スキ ッ ドモア法理の枠 組みで解釈規則 に対 して謙譲 を行 うか否か を判 断す る際 に意見が分かれてお り,いかなる形で表明されている行政機関の制定法解釈が謙譲 を受 けるかは明 らかにされなかった。 この点については,次 に扱 うミー ド判決での判断に譲 る こととなる
。2 ミー ド判決
( 1 ) ミー ド判決の事実の概要は次の通 りである
。関税法 によると,税関は,財務省長官 によ り定め られた規則 によ り,合来国 調整関税率別表 ( Ha r mo ni z edTa r i f fSc he dul eo ft heUni t e dSt a t e s ;HTSUS) の下での製品に対 して通用 される最終的な関税の分類及び関税率 を決めること と され て い た
24)。 長 官 は, 製 品 が 通 関手 続 を され る前 に, 「 解 釈 回答 書 ( r ul i ngl e t t e r s ) 」 に対 して特定の輸入品についての関税の分類 を定めること を委ねる規則 によって,関税 についての解釈 を定める もの とされていた
25)。 そ して, この解釈 回答書 は,「 規則の中に書かれている特定の取引や問題 につ
23)〟. a t5 9 7( Br e ye r , J . , d i s s e nt i ng ) . 2 4 )1 9U. S. C . §1 5 0 0( b) .
2 5 )1 9C. F. R . § 1 7 7 . 8 .
いての税関の公定解釈 を示す ものであ」 り,「 解釈 回答書 に示 された解釈の原 則 に影響 を与 える慣行の変更,修正ない し廃止がない場合, この解釈の原則は 同様の状況を伴 う取引がされたときに先例 として引用 されうる」とされていた
26)。当該解釈回答書の元 となる取引が行 われた後,解釈回答書 は,解釈の要求 と ともに提 出された見本 と類似 している物品,あるいは解釈回答書で示 された名 称 と同 じ物品 と同様の物品を含む取引 についてのみ通用 される
27)。一般的に, このような回答書は,回答書の名宛人 とされている者以外の者 には告知 される ことな く修正ない し廃止 されるものであ り,名宛人以外の者 は当該解釈 回答書 に依拠 し,あるいは当該解釈の原理が回答書 にある取引以外の取引 に関連 して 適用 され るとい うことを前提 に してはな らない, とされてい る
28)。 また,解 釈 回答書 はその時々の取引 に対応する ものであることか ら,発布 される前 には 告知 コメ ン トに服 さず,公表 は されるが縦覧 に供 され るだけで よ く
29),時々 の取 引が生 じた際 に, たいていの場 合 には告知 コメ ン ト無 しに修正 され う る
30)。通常の解釈 はほ とん どあ るいは全 く理 由付 けは されないが,本件で問 題 となっている税関長の解釈は,数は少ないが,幾分詳細 に理由付 けをしてい る
31)。( 2) ミー ド社 は, 日々の予定や電話番号 ・住所 を書 き込める場所が カレンダー とともにある 3 つの リングの付 いている 「システム手帳 ( day‑pl anner s ) 」 を 輸入 してい る業者 である
32)。 問題 となる関税率表 は,「 記録簿 ( regi s t er s ) , 帳簿 ( a c countbooks ) , ノー ト,注文控 え帳 ( or de rbooks ) ,領収簿 ( r ece i pt books ) ,便せ ん, メモ眼,手帳 ( di ar i es)等」 とい う調整関税率別表の表題 の下 に含 まれる ものであ り ,2 つの品 目に分かれていた
33)。すなわち,一つ
6 )1 9 C.F. R.§ 1 7 7 . 9 ( a) . 7 )1 9C. F.R. § 1 7 7 . 9( b)( 2 ) . 8)1 9C. F.R. § 1 7 7 . 9 ( C) . 9 )1 9U,S. C . § 1 6 2 5 ( a) , 0 )1 9C. F. R . § 1 7 7 . 1 0( C) . 1 )Me ad ,5 3 3U.S. a t2 2 4 . ご1l l / .
3) 〟 . ( c i t i ngHTSUSs ubhe adi ng4 8 2 0 . 1 0 ) .
は関税率が 4% の 「 手帳, ノー ト,住所録 :メモ帳 ・便せん等が綴 じられてい るもの」とい う品 目で,今一つは関税非課税の 「それ以外の」品 目であった 3 4) 0 税関は,1 9 89 年か ら1 99 3 年 までの間, システム手帳を後者の関税非課税の品 目 として扱 って きたが,1 993 年 1 月に税関が立場 を変更 し, ミー ド社 のシステム 手帳 を前者の品 目である 「 製本 された手帳」 と分類す る解釈 回答書 を公告 し た
35)。 この解釈 回答書 は,当初説明が不足 していたが, ミー ド社 の不服 申立 て後,結論が同様の新 しい回答書が出されたが, この回答書 は注意深 く理由付 けが されている ものの公表 されることはなか った
36)。 ミー ド社 はこれ に対 し て不服 申立てを したが棄却 された 3 7 ) ので,国際貿易裁判所 に訴訟 を提起 した が,国際貿易裁判所は謙譲のことには何 も触れずに税関側の推論 を採用 した
38)。その後, ミー ド社 は連邦控訴裁判所 に控訴 したが,連邦控訴裁判所 は控訴を棄 却 し,税関の分類解釈はシェヴロン判決の謙譲 を受ける ものではな く,何 とな れば,税 関の分類解釈 はハ ガ‑アパ レル社判決
39)で問題 となっている規則 と は異 なるか らであると判示 した
40)。連邦控訴裁判所 による と,税関の分類解 釈 は APA553 条 にあ る告知 コメ ン トによ り行 われ る ものではない ことか ら, 法的効力 を持つ ものではな く,審査 されている特定の事例 を超 えて輸入者の権 利 ・義務 を明確 にす ることを意図 していない ものであ った
41)。そ して,本件 の分類 についての解釈 には謙譲 を行わず, システム手帳は製本 された手帳では ない と判断 した
42)0
3 4)〟.
35) 〟.a t2 2 5 . 36) 〟.
37) 〟.
3 8) 〟.( c i t i ng1 7F.Supp. 2d1 0 0 4( 1 9 9 8 ) ) .
3 9 )Uni t edSt a t e sv. Hagga rAppar e lC0. , 5 26U. S.3 8 0( 1 9 99 ) .なお,本判決の概要 については,本稿第2 章第 2 節 3( 7 日 本誌6 0 巻 2・3 号 1 5 0‑1 5 4 頁)も参照された い。
40)Me ad ,5 3 3U.S. a t2 2 6( c i t i ng1 8 5F. 3d, a t1 3 0 7 1 1 3 0 8 ) . 4 1 )〟.
42) 〟.
( 3 ) 連邦最高裁 は次の ように述べ,「 本件で問題 となっている税関の解釈がス キ ッ ドモア判決下で何 らかの謙譲 を受 ける可能性があること」か ら,破棄差戻 しした
43)。連邦最高裁は,本件解釈 回答書が シェヴロン判決の謙譲 を受けない理 由とし て,第一 に,本件解釈回答書が APA の行政手続 を経ずに出されていることを 挙 げている。連邦最高裁は, シェヴロ ン判決 と APA の行政手続 との関係 につ いて次の ように述べ ,APA の行政手続 を経た規則制定や フォーマルな審決は, 多 くの場合 シェヴロ ン法理が通用 されて きたが, フォーマ ルでない場合 に も シェヴロ ン法理が通用 された事例 もあ り, フォーマルでない とい う理由だけで はシェヴロン法理の適用 を否定する十分な理由とはな らない とした
44)。
われわれは,謙譲が主張 される規則や解釈 を生み出す規則制定ない し審決の手続 に関与す る とい う明示 的な議会の委任があ る場合 に, シェヴロン判決の謙譲 を受 けるに値する委任 であるとい う,極 めて適 切 な指針があることを認識 して きた。一般 に,連邦議会が比較的 フォー マルな行政手続 を定めている場合 に,法的効力 ( f or c eo fl a w) を持 っ た行政活動 を意図 していると想定することは,公正なことであ り, こ うした行政手続 は法的効力 を表明する根拠 となるべ き公正 さや熟慮 を 促す傾向にある。それゆえ,驚 くほど多 くの数のシェヴロン判決の謙 譲 を通用する判例が,告知 ・コメ ン トによる規則制定や フォーマルな 審決の成果 を審査 して きた。 とはい うものの,そ して,告知 コメン ト が シェヴロ ン判決の先例 を示す際 に重要であるの と同様,本件 におい て告知 コメ ン ト手続がない ことによ り裁判が決するわけではない。 と い うのは,われわれは時に, この ような行政のフォーマルさが求め ら れず, また何 らのフォーマルさももた らされない ときにさえ, シェヴ ロン判決の謙譲 を認める理 由を認定 して きたか らである。それゆえ,
43)〟. a t2 2 6 ‑ 2 7
44)〟. a t2 3 1 .
本件での税関の分類が フォーマルな手続の成果でない とい う事実のみ によって, シェヴロン判決の適用が妨 げ られるものではない
。45)第二の理由として,制定法 にある議会の委任の文言は,連邦議会が税関に対 して法的効力 を持 った分類 に関する解釈 を発する権限を委任 しようとしている ことを示 していない ことを挙 げている
46)。連邦最高裁 は, この点 について次 の ように述べ,税関の分類 に関する解釈 は,政策表明,行政機関のマニュアル, 執行指針 に含 まれる解釈 と同様 に扱 うのがせいぜいであ り, シェヴロン判決の 射程外 にあるとしている
47)。
われわれは本件 において, もちろん税関の権限について広 く述べ る ことは しない。 とい うのは,税関に付与 された一般的な規則制定権 に よ り,法的効力 ない し 「 法的規範」 をもった規則が認め られているこ とは確かであるか らである。同様 に,連邦議会が分類 に関する解釈 を 考えるのが,関係する商品が通関する前 に,拘束力ある解釈 を発す る 手続 を確立 した規則 を挿入的に発することを認める時であることも確 かである。 しか しなが ら,分類 された商品が本国に入ると,拘束力あ る分類 を参照す ることによ り,当事者以外の者 をも本件解釈 に自然 に 拘束するような立法型の活動が行 われるわけではない。そ して,統一 性 を 「 保証」す るために必要な 「 情報」 を広めることを制定法が命ず ることで,解釈が後の取引 において先例 とな り得 ることが仮定 されて いるように思われるに もかかわ らず,先例的価値のみではシェヴロン 法理が通用 されることにはな らない。すなわち,解釈規則は,時に先 例 として機能 してお り,一つの規則の種類 としてシェヴロン判決を適 用 される地位 にあるのではない。いずれにせ よ,分類 に関する解釈 に は何 らかの先例性があるとい う主張は,国際貿易裁判所が税関の分類
45 )〟.a t2 2 9 ‑ 2 31( c i t a t i o nso mi t t e d) . 46) 〟.a t2 31 ‑ 2 3 4 .
47) 1 d.a t2 3 4( c i t i ng Chr i s t e 7 1 S e 7 l ,5 2 9U.S. . a t5 8 7 ) .
の独立 した審査 を行 うとい う規定 によ り相殺 される。国際貿易裁判所 の枠組みは,分類 に関する解釈 を,長官の‑‑解釈 と同様 に扱 う規定 を伴 っている。議会の理解が シェヴロン判決の枠組み と反 目している とは想定 Lがたい。
事実,行政機関の慣行 自体 において,税関が本件のような分類 を行 うことになっている場合 に,法制定に見せかけることを考慮 してそれ までに説明 していた とい う徴候があったか どうかを検討することは難 しい。税関は,一般 に分類 を行 う際に告知 コメン トの慣行 を行 ってお らず,行政機関による分類の扱いは,‑解釈 とい う回答書の拘束的性 格が第三者 を除いては消滅 していることを明 らかに している。すなわ ち,税関は 自らの分類 を自らと分類の解釈 を発 した相手方の輸入業者 との間と同様単 に決定的な もの としてみな してお り,その時で さえ, 税関が変更を意図 していることをさらに告知するまでである。他の輸 入業者は実際,分類の解釈 に対 して依拠することによる不利益 を仮定 することに対 して警告 されている
。実際,税関の分類が法的効力 を持つ と主張することは ,46 ある税関 が毎年1 0, 000 か ら 1 5, 000 の分類 を行 っているとい う現実 を軽視するこ とになる。法的拘束力 を持つ と意回された解釈が,行政機関の 46 のそ れぞれの局で 1 年 に1 0, 000 個の割合で大量 に生み出されているとい う ことを示す ことは, 自己反論的で しかない。本件では,問題 となって いる回答書が長 による回答書であるので状況 はあま り驚 くべ きもので はないが,関係する制定法のいずれ もが,本件 における解釈の種類 を, 他 とは別の,あるいは違 うもの とは認識 していない。それゆえ,長が 本件で行 ったように推論 を書面で行 うときで さえ, よ り強い委任が長 に対 して及ぶ もの として理解 されて きたであろうことを示す ものはな
い 。48)