ア⊥カイ ブスシステム構築 に関す る基礎的研究
E7iZ 尚 之
【目 次】
1.はじめに
2.社会資本整備 における記録情報の重要性
3
.社 会資本整備 における
ISO9000シリーズ と記録資料 の保存
4.記録資料の保存 とアーカイブス システム
5
.アーカイブス システムの構築 プロセス
6.プロ トタイプアーカイブスシステムの構築
7
.社会資本整備 と土木学術資料館 におけるアー カイブス機能の必要性
8.おわ りに
1.は じめに
(1)計画 目標 の設定 と計画情報の共有
現在,我 々が計画の各種場面 において抱 えてい る重要 な問題 の一つ に,計画 に対す る要求の複雑性 を指摘 す ることがで きる
。この ことは,個人の生活や, 企業活動 は もちろんであるが,我 々の生活環境 にかかわる社会資本の整備 にお いて, よ り困難 な問題 を惹起す る要 因 として我 々の前 に立 ちはだかっている
0この背景 には,社会の構成員個 々人の価値観 の多様化現象が存在す ることは も ちろんである。 しか し, こと社会資本整備 において,今 日的には生活水準の向 上 による 目標喪失, 目的意識の欠如 に伴 う混迷が, もっ とも大 きな原因 とな り つつあることが指摘 で きよう
。〔34
7 〕
348 商 学 討 究 第
47巻 第
2・3号
第二次世界大戦後 , 日本が 目標 と して きた経済 的 な発展 がか な りの高 レベ ル で達成 で き, 国民 の大多 数が安 定 した生活 を営 め る ようになって きた段 階で, 日本 の政府 は生活大 国 なる標語 を掲 げ,次 ぎなる 目標 に よ り個 人的側 面重視 の 考 え を強 く打 ち出 した。 その こ とは個 々人が よ り豊 か さを感受 で きる社 会 を実 現す るためか け声 として広 く国民 に浸 透 した もの と思 われ るが ,実感 として享 受す るに至 らない とす る意見が多 い。 これ は,個 人の価値観 , 目標 が まさ し く 個 々人の数 だけあ るこ とを も意味 してい る。 そ して,生活環境 にかか わる社 会 資本 の整備 に対す る要求 は よ り一層複雑化 し,合 意形成 ,意思決定 を複雑 な も の としてお り,計 画 の頓挫 ,事 業 の見 直 しを引 き起 こ してい る。
この よ うな現状 におい て,国家 レベ ルの社会 資本 の整備計画 は もとよ り, 個 々 人の生活環境 に密接 に関係す る地域 計画 ,都 市計画 の場面 にお いて,特 に,長 期 的 な計画立案 ,事業 の実施 に先立 ち, 目標 設定が よ り慎 重 に行 われ るべ きで あ る
。また,計画 や事業 の実施 におい て よ り広範 囲 な意見 を集 め,反 映 させ る こ とが よ り望 まれ る。例 えば,行政 におい て導入 が な されつつ あ るパ ブ リック イ ンボルブメ ン トな どの公聴手法 は,今後 ます ます盛 ん に行 われ る もの と考 え られ, イ ンターネ ッ トな どの通信 シス テムの発展 はその普及 に拍 車 をか ける も の と思 われ る
1)0
一方 ,事業計画 の続行 や将来計画 にお け る指針作 りにお いて 目標 の再確 認 , 再設 定, あ るい は新規設 定 にお いて,従 来 とは異 なった視 点 に よるアプローチ が,最近 になって見 受 け られ る ようになって きた. その一つ と して,過去 の事 業計 画 の検 証 を含 めた資料 の収 集 ・検 討作 業 を実 施す るプロジュク ト
2)が,行 政 にお いて高 い関心 を持 たれ取 り組 まれてい るこ とを取 り上 げ るこ とが で きよ
1)建設省の道路政策審議会は,新たな道路政策立案に際 しパブリックインボルブメン ト方式を採択 した。ここでは,マルチメディアによる資料の提供が行われ,意見の 収集に FAX か ら電子メールまでおよそ最近のニューメディアの利用が考えられて いる。このような傾向は歓迎すべ きものではあるが,行政官庁の責任逃れで終わら ないことが望 まれる。
2)例えば,北海道開発局小樽開発建設部小樽港湾事務所では,小樽港の今後の整備計
画立案のため,小樽港長期形成取 りまとめとして,小樽築港計画の歴史的経緯に関
する資料の収集並びに評価 を関係機関と行っている。
う
。この ことは,計画その ものは もとよ りその背景, さらには意思決定 にいた る数多 くの情報 を過去 と現在 において共有 し,計画 目標設定 において活用す る こ とが行 政 にお い て重 要視 され は じめ た こ との現 れ と捉 え る こ とが で きよ
う3)0
( 2) 社会計画の記韓情報共有 における環境整備問題
この ように,過去 の事業計画の評価 ・検討 を通 して,新 たな 目標 を設定す る 傾向は社会資本の整備 において好 ましい状況 として歓迎で きる ものである
。し か し,この ことを情報の共有問題 として捉 えた とき, 現実的にはそのハー ドウェ ア, ソフ トウェア環境が十分整 った うえで実施 されている とは必ず しもいえな
い。
現在 の 日本 において,かつて計画 された事業 の諸資料 は散逸 しているこ とが はなはなだ多 い。特 に, ・ 戦後の事業 については,当時の計画 プロセスや意思決 定な どにつ なが る背景 を理解 した上で事後評価 を行い,今後 の計画 に役立 てる ために必要 な諸資料 については, 体系 だった記録資料 の管理が なされてお らず, 情報活用 が困難であることが現状 の問題点 として指摘 で きる
。これは, 日本 において継承の思想が十分育たなかった ことによろ う
。明治時 代 においては徳川幕藩体制 を否定 し
4),第二次世界大戦後の 日本 においては戦 前 日本 を否定 して きた こと
。さらに戦後 の成長が余 りに も急激であ り,諸資料
3)社会計画の場面において歴史的な検討が不可欠となりつつあることの一例である。
計画において歴史は馴染まず,歴史的な関心を持つ者は計画者として不適であると いう認識,さらには数理モデル万能主義はもはや片手落ちとなってお り,それをど のように処理 して行 くかが重要な課題ととなったのである。すなわち,計画におい て非定量的なデータも扱わざるをえなくなってきているのである。このことの認識 を持てずにいる計画者こそ,計画者として不適なのである。
4)
徳川幕藩体制下における行政資料の多 くが旧家の個人所蔵によることが多いことな
どはその現れである。これら旧家所蔵資料の多 くは最近になって,公共による ( 図
書館, 文書館など)保管がなされるようになり, その利用も従来より容易 となってき
た。しかしながら, このような公共移管の背景には家族制の崩壊が存在 しているもの
であ り, 現在においては, 明治・ 大正期の個人文書が紛失等の危機にさらされている。
350
商 学 討 究 第
47巻 第
2・3号
を整理する時間的余裕がなかったことなどが多いに影響 しているもの と考えら れる
。この面 に関す る考察 は,記録情報の管理 を考 える上で極めて重要なこと であるが,本稿の趣 旨か らは逸脱するのでここでは触れないでお きたい。いず れにせ よ, 現在の 日本において社会計画関連の情報 を共有するシステムは, ハー
ドウエア,ソフ トウェア両面か ら整備が急がれているのが現状である。
( 3) 記韓情報の共有における過去問題 と将来問題
情報共有のために,記録資料 を保存,活用す る場合,現時点においてはその 環境が未整備であることを既 に指摘 したが,今後,それ らの環境整備 を進める
に当た り大 きく二つの問題が存在することになる。
すなわち,未整理である過去の情報 を対象 とする保存,整理作業 にかかわる 問題 と,現在発生 している情報 をどのように共有可能な形で保存するか という 問題の二つである
。特 に,後者はレコー ドマネジメ ン トとして社会計画実施の 種 々の活動中で重要 な問題 として認識 される必要があろう。
現在 の計画情報 を残す ことは,将来における情報共有問題であ り,過去の計 画情報 を現在 に生かす ことは今 日的な情報共有問題である。 とくに社会資本の 整備では過去 にどの ような経緯で建設が され, どのような工法が採用 されたか などを記録 した資料 は,計画に必要な情報 としてだけではな くメ ンテナ ンスに おいて貴重な情報源 となる。
1996
( 平成
8)年
2月の北海道古平町における国道229 号線豊浜 トンネル崩 落事故 は痛 ましい事故 として記憶 に新 しいが,維持,管理の現場 において過去 の記録資料 をを十分 に検討 し, 日常業務 に役立てることは必要ではなかったろ うか。
これか らの時代 は,安定成長 またはマイナス成長の時代 となる。そのなかで, 持続的開発が可能な社会 を作 らな くては成 らない。その場合 は,現在供用 され
ている社会資本 ( 構造物)の維持 をも開発 と考える,従来 とは異なった開発 に
対するパ ラダイムで臨む必要があろう
。そのためにも現在の社会計画,社会資
本 に関る記録資料 をしっか りと保存 し,将来における計画情報共有のためのイ
ンフラス トラクチ ャーづ くりは避 けて通れない問題である
。一方,近年,我 々が生活する環境 について高い関心が高 まっている。従来, 生活環境 とい う場合 には公害問題 など自然環境 の悪化 を防 ぐことが第一であっ た。 しか し,生活水準の向上の結果 よ り高度 な環境の整備 を求めるようになっ た。そ して,従来の判で押 した ような生活環境整備 と,その ことによる無個性, 没個性 の地域づ くりに対す る反省か,地域の特性 を活 した整備が望 きれるよう
になって きた。 この場合,地域の歴史 ・文化が 『 資源』 として注 目されること となる。そ して,その 『 資源』の評価や意味付 けにおいて記録資料 は,計画情 報 として重要 な役割 を果たす こととなる
。すなわち, ここにおいて問題 となることは,過去 との情報の共有である。幸 いにして,図書館や博物館 などが組織 され,過去 に作成 された種 々の記録資料 の保存,利用 に関す るイ ンフラス トラクチ ャー整備 はある程度進んでいるとい えよう。しか し,それ らが対象 としているのは主 として明治以前の資料であ り, 近代以降の記録資料, とくに社会資本整備 にかかわる記録資料の収集 ・保存 に 余 り関心がは らわれず,ほ とん ど進め られていない ことは,大 きな問題 として 指摘で きよう
5)。
( 4) 本研究の 目的
以上,社会計画,特 に社会資本 において今後記録情報の共有が重要な問題 と して考慮 されるべ きことを概括的に述べた。本研究では,この広範 囲な問題 を, 社会資本整備 に関る土木の問題 に限定 し,その解決 システムの提案 を行いたい。
特 に,今後 ます ますその要求が高 まる社会資本関連の土木構造物の建設過程 に
5)筆者は,近代化遺産,特に土木遺産が地域計画において,地域の個性を端的にあら
わす 『 資源』であるとの観点から,それらの評価 ・活用について研究を進めてきた。
その評価においては記録資料が必要となるが,統一した形で記録資料が残っていな
いことが多 く,実地調査 ( フィール ドワーク)からデユタを得ることも多い。この
結果,誰でもが評価できるシステムを作ることが難しく,地域計画場面への適用に
注意を要する結果となっている。
352
商 学 討 究 第47巻 第 2・3号
おける記録資料 を,情報共有の観点 より保存 ・利用するためにアーカイブスシ ステムの導入 を試み,提案す るものである
。このため,本研究においては,アーカイブスシステムのプロ トタイプモデル として,大学の計画系研究室 における卒業論文作成における記録資料の保存 を 目的 としたモデルを構築 した。 また,現在建設が進め られている土木学会土木 学術資料館 において も,従来の博物館,図書館機能 とあわせてアーカイブス機 能が必要であることを述べ るものである
。2
.社 会 資本整備 にお ける記録情報 の重要性
社会資本の中でハー ドウェアとしての土木構造物 に求め られる要件 として今 日一般的に認識 されている 「 用,強,美」の三点は 「 物 を作 る」上で極めて重 要 な視点である
。社会資本の整備 において土木工学が 目指 し,歩んで きた歴史
を概観すれば, まさしくこの
3点 を追求 してきたことがわかる。
すなわち初期の段階においては,構造物の強度が追求 され,ついで安全 と経 済性の追求そ して, 自然環境 との調和や豊かな社会環境の創造 と,求める目的
図
‑ 1記韓情報源 としての土木資料の保存および検索の必要性
は時代 とともに変遷 しなが らも,結果 として 「 物 を作 ること
」を目的 としで き たことが理解 される。
その一方で,最終成果物である構造物 にばか り目を奪われ,構造物が作 られ るに至った 「 過程」 を残すことは軽視 されがちであったことも事実である
。1993
( 平成
5)年12月,
GATTウルグアイラウン ドの最終合意では,建設 業において も
ISO9000シリーズの導入が強 く要求 されるにいたった。現在, 日 本の土木界が より一層の国際化 を進展 させ るために,あるいは,国内の公共事 莱‑の参画においてこの規格の要請を満たす ことが必須事項 とな りつつある
。また,土木学会 においては,土木学術資料館が西暦
2000( 平成
12)年の開館 を目指 して準備 されている。 この土木学術資料館 は,土木界 における歴史的文 化的価値の高い文書 を収集 ・保存することが主たる目的 とされてお り,将来的 には,歴史的文化的資料のみな らず土木にかかわる情報共有セ ンター と位置付 け られる施設 となろう。
これ らの例 より理解 されるとお り,土木において もその活動の中で生起 した 記録資料や文書 の収集 と保存 お よび利用 による情報共有が求め られるように なってきたことは間違いない。
しか しなが ら,現実には社会資本整備する土木の諸活動 において生 じた記録 資料の保存 にかかわるシステム作 りには統一 した議論は十分 に行 われていない 状態である
。このため,過去の記錬資料 はもとより現在の記録資料その もの と 構造物が生 まれた 「 過程」 を残すシステム作 りが必要である。 ( 図 ‑ 1)
3.社会資本の整備 におけるISO9000シリーズと配韓資料の保存1) (1)
国際標準化横構
(lSO). と
ISO9000シ リーズ
国際標準化機構 ( 以下
ISO)は 「 物質およびサービスの国際交易 を容易 にし,
知的,科学的,技術的お よび経済的活動分野の協力 を助長 させ るために,世界
的な標準化お よび関連活動の発展開発 を図る」 ことを目的に
1947( 昭和
22)年
に設立 された国際機 関である。
ISO9000シリーズ とはこの I
SOが
1987年 に定
354
商 学 討 究 第47巻 第 2・3号
めた 「 品質管理お よび品質保証 に関す る一連の国際規格」のことである。従来 の
ISO規格が製 品の形状や性能 に関す るものであるのに対 し,企業の品質保 証体制 に関す る条件 を規定 した ものである。従来の製品規格 とは異 な り企業の 品質保証 に関する体制その ものに要求 される内容が規定 されている点が大 きな 違いである。 この
ISO9000シリーズが 日本 において脚光 を浴びるようになたの は,特 に外 国政府や企業がその調達‑ の参加条件 として,
ISO9000シリーズの 認証 を義務づけ始 めたことにある。
( 2
日SO9000と記録資料の保存
表 ‑
1に
ISO9000シリーズの特徴 を整理 し示す。従来の品質管理基準が最終 成果物 である製品の品質保証 を目的 とした ものであったのに対 し,衣 ‑ 1の各 特徴が示す ように製品の製造過程 におけるプロセスの品質が重要視 され,特 に 特徴 4 が示す ように,徹底 した文書化 と記録情報の保存 とそのことによる情報 の共有が要求 されている
。欧米各国では文書の保存 に関する伝統が存在 し,いわば 「 保存 ‑文化」 と言 えるまでに至 ってお り,国家や個人は もとよ り企業の諸活動 を記録す る資料 を 保有 し,後の利用 に供す るアーカイブス組織が作 られ,記録資料 ( 記録情報源)
を蓄積するシステムが充実 している
。一方, 日本では例 えば企業活動 において生 じた文書 を保有 し,後の利用 に供 す ることを考 えた保
存,活用 システムは まだ一般的 とはいえ ない。
現在, 日本 の土木 界が置かれた状況 と
して,指名競争入札 制度か ら一般競争入 札制度への契約制度
秦‑ 1
lSO9000シリーズの特徴 特 徴
特倣 l 製品やサービスを作 り出すプロセスの規格化 特徴
2品質管理システムの要求事項の標準化
特徴
3責任 と権限を明確にした品質管理システムの 構築と維持の要求
特徴
4関係者の共通理解を促進 し,確実なものとす る為に徹底 した文書化の要求
特徴
5企業の要求事項順守程度の第三者による認証
の変更,海外の建設会社の参入促進, さらには, 日本企業の海外への進出など があ り,国内の公共事業
‑ISO9000を導入することはこれ らの要請に応 えるこ
とになる。
今後 日本の社会資本整備の一端 を担 う土木界がよ り開かれた ものとな り,国 際化 を果たすためには,建設の過程において生 じた記録情報源 としての資料 を 保存,公開するシステム作 りが必要である。近年,企業においてはアーカイブ スを設置す る動 きが見 られるようになって きた。 もちろんその思想的背景は各 企業毎に異 なる面は存在 はする
。しか し,行政における取 り組みは立ち後れが 目立つ。そのためにも, 日本の習慣 に不足 している文書 を保存す るシステム と して,社会資本整備 に関連 したアーカイブスが必要である
。4.
配線資料 の保存 とア ーカイ ブス システム
2)3)(1)
アーカイブスシステムの概念
アーカイブス
(Archives)とは,「 特定の組織や個人がその活動の過程で作 成 した り, 取得 した りした文書その他の種 々の記録 を,それ らが現用価値 を失っ たのちも,歴史的文化的遺産あるいは行政 ・経営上の参考資料,諸権利の裏付 けとして保有 し,それ らを整理 して平等利用 に供するシステムを有する機関」
と定義で きる。一般的に 「アーカイブス」 というときにはシステムその ものを 差す場合が多いが,そこに納め られている一連の記録資料 ( 文書) をい うこと もある
。記録資料の保存 は,図書館や博物館で も行われているが,アーカイブ スでは収集,保存の対象物や保存 目的が大 きく異なるものである
。その差違 を
表
‑ 2アーカイブスシステムと図書館,博物館の差異
機 関 対 象 物 日 的
アーカイブス 機関 .団体 .個人が作成または取得 した 一括保存 .利用 ( 文書館) 記録文書群
図書館 図書 .雑誌などの出版物 保存 .貸出 し
356
商 学 討 究 第47巻 第 2・3 号
秦‑2
に示 す。
現在 , 日本 におい では,行 政情報 の収 集,保管 を 目的 に国や地方 自治体 にお い て文書館 とい う名称 で アー カイブスが設立 され始 め てい る
。しか し,すべ て の都 道府 県 に普及す るには至 ってい ない。 また,企業 な ども自社 の活動記録 を 保有 し,経営活動 に利用 す る 目的 で アー カイブス を組織 し,記録 資料 ( 文書) の整理 ,保存 ・活用 シス テ ムを構 築 す る こ とを始 めてい る。 しか し。欧米各 国 は もとよ り発展 途上 国 と比べ て も, その規模 や数, シス テムの完成 度 はい まだ に低 い レベ ル にあ る。
( 2) ア ーカイ ブス システムの特徴
アー カイブス シス テ ムが 図書館 や博物館 と大 き く異 なる特徴 は記録 資料 の保 存 方法 で あ る。アー カイブス シス テムで は 「出所 原則」と 「 現秩 序尊重 の原則」
の二つ の原則 ( 秦
‑3)に基づ き記録 資料 の保存 を行 う.これ らの原則 は,個 々 の資料 の連 な りを重視 し,活動 の過程 を保存 す るため に,記錬 資料 を独 自の秩 序 を持 った" 資料群" としてその まま保有 す る とい う ものであ る。 この保存 方 法 に よ り図書館 にお け る分類作 業 はほ とん ど必要 な く,分類 ,整理 のための人 貞 を極力 少 な くで き,管理 コス トを低廉 に押 さえるこ とが で きる
1)0
秦‑ 3
ア ーカイ ブスにお ける資料保存 の原則
出所原則 れて きた組織や個人) を持つ記録/史料 を他の出所 を持つ 同 じ出所 ( 業務遂行の過程 において,作成,蓄積,保存 さ 記録/史料 と混合 させてはならないという原則
貌秩序 ( 尊重の原則 現配列) 一つの出所 を持つ資料群 は資料相互間に存在す る関連性や 検索番号 を保存するために,資料 を生 じた組織や個人によっ
1 ) 日本においてアーカイブスシステムのような文書保存機関が設置 されない理由の一
つに管理 コス トの問題が しばしば指摘 される。管理 コス トを提言するソフ ト的環境
整備は常に検討されるべ き課題である。
( 3) アーカイブスが対象 とする記韓資料の性質 a)アーカイブスシステムの保存対象資料
アーカイブス システムにおいて保有 され,利用 される資料の多 くは一次資料 に該当す る。
一次資料 は,社会的 ・組織 的活動 によって直音 的に発生す る活動の産物であ る。 このため活動の単位である機関 ・団体毎あるいは個人毎 に,独 自の秩序 を 持 った"資料情報群 ( 文書群) " の形 で生成 され蓄積 される点が基本 的な特徴
である。 ( 秦 ‑
4)従来の図書館学は加工 された二次資料の分類, 整理 においては有効であるが, 今後その利用が求め られる一次資料 の取 り扱いに対 しては不十分 な点が存在す
る
。また,文書館が対象 とす る一次資料の中には,図書や新開など加工 された 二次資料 も含 まれることには注意が必要である。 このため,アーカイブス シス テムが対象 とす る資料群 は,記録 メデ ィアの形態が不統一 とな り,従来の分類, 検索手法では困難 となる
。b)資料の歴史的文化的価値 と行政 ・経営的価値
① 利用価値 による資料の分類
アーカイブスがその保存対象 とす る記録資料 は,その利用価値か ら歴史的文 化的価値 と行政 ・経営的価値 の
2種類 に分 け られる。
従来,図書館や博物館 においてその収集,保存 の対象 とされて きた記録資料 は,歴史的文化的価値が高い と評価 を受けた文書がほとん どであった。しか し,
ISO9000シリーズの要求で も明 らかなように今後,保存,利用が求め られる記
表
‑4アーカイブスが対象 とする資料の特徴
一次資料 社会的 .組織的な活動過程において,作成されたり,送受され,刺 用されるもとの情報に関する資料
二次資料 布されているもの 印刷物や,フイルム,レコー ドなどのように複製物の形で大量に流
○一次資料を集積 .加工 .整理 した成果物である ことがほとんどである○
三次資料 主として二次資料 ( 一次資料 も含む)について書誌情報や内容情報(
358
商 学 討 究 第
47巻 第
2・3号
録資料 として,現在の行政 ・経営に至 る意思決定プロセスや製品を製造するプ ロセスの品質を保証する一連の記録資料群 もより一層重要視 されることになろ
う。
② 記録資料の行政的 ・経営的価値
記録資料 はすべてなん らかの 目的をもって作成 され,伝授 され利用 される
。実際に利用 されている記録資料 は現用記録 という
。現用記録 としての任務が終 了 した後 も行政上 ・経営上の証拠資料や参考資料 としての持続的な価値 を持ち 続 ける。これを半現用記録 といい,記録資料 を産み出 した組織や個人にとって, 行政的 ・経営的価値 を持つ資料 として評価 される。
( 卦 記録資料の歴史的文化的価値
資料の歴史的文化価値 は,個 々の資料価値 よりも機関 ・団体 ・個人の"文書 秤"全体 としての価値 を意味す る。一つ一つは何 ということのない手紙や書類 であっても,全体 としてまとまるとその機関や個人の生涯 を描 き出 した り特徴 づけることがで きるものである
。特 に,公共施設や組織 において,現行の業務 の遂行 に際 し, もはや必要無 くなった り,利用 されることがな くなったけれ ど
ち,その恒久的価値 により保有 される非現用記録 は,文書 (もん じょ)あるい は史料 と記述 される。
C)記卓資料のライフサイクル とアーキビス ト
記録資料のライフサイクルを図
‑ 2に示す。記録資料は初め現用記録 として 業務 などで用 い られた後,半現用記録 を経て非現用記録 となるライフサイクル を持つ。非現用記録 となるとき,行政的 ・経営的な価値や歴史的文化的な価値 を持っ と評価 されたものは, 文書 (もん じょ)として永久保存 されることになる
。この評価 を行 う専 門家 をアーキビス トという。
5.
ア ーカ イブスシステムの構 築 プ ロセ ス ( 1 ) システム構築のプロセス
前章で説明 したアーカイブス システムの特徴 よ り,アーカイブスシステム梼
集の一般的なプロセスを示 した ものが図
‑3である。
a)親携関の設定
記錬資料 は,親 となる機関 ( 組織),個人がある日的をもって活動す ること によって発生するもので,それ らか ら離れたアーカイブスシステムは存在 し得 ない。 このためまず最初 に対象 とする親機関 ( 組織や個人) を特定する必要が ある。
記韓 資料
料 の発記録 資生 襲用 記録 半現用記卓 評価 I
文 非現用記鐘 、よ)) ア‑キビlス ト
l: (Rec.r鞘 d) (: (Ar永 久保(もんchive
I I ーI
∫ I
≡ ヨ ‡ 三 ≡ ヨ
図
‑2記録資料のライフサイクル b)時間的秩序 に基づいた階層構造の把速
記録資料は,親機 閑, 目的,対象 ごとに独 自に存在する 「 時間的秩序」の階 層内にそれぞれ存在する。 このため,次のステ ップとして 目的の設定 と対象 ‑ 資料群の設定が くる
。記録資料の階層構造の把握は,資料群の中に存在す る資料の検索性 にもかか
わる問題であるため,十分な理解 と検討が要求 される。
360
商 学 討 究 第47巻 第 2・3 号
( 2) 検索インデ ックスと国際橿準配韓史料記述
(lSAD (G)) [4]a)検索インデクッスの必要性
アーカイブスシステムにおいて実際の利用 を考えた とき,そこに保有 される 記録資料の検索が容易でなければ,貴重 な情報資源である記錬資料 は共有 され ないことになる
。このため各資料 に対 し検索 に必要な付加情報 を与 える必要が ある
。b)
国際額準配韓資料記述
(lSAD(G))現在,アーカイブスシステムでは資料の管理に必要な付加情報の記述,国際 標準記録資料記述 ;一般原則
(ISAD(G))に準拠する共通認識がで きている。
この基準 は,国際文書館評議会の記述基準特別委員会 によって検討 され
1994年に公表 された ものである。
ISAD(G)
の特徴 はある記録史料の記述 を構成するために組み合わされる
,26の個別要素それぞれに関す る情報 を定型化するように導 くところにある。
コ = ヨ
〇年〇 月〇 日 △ 年△ 月△ 日 [ コ年[ コ月[ コ日
作成 年 月 日‑時間軸秩序 の存 在
新 しい
図
一3・アーカイブスシステム構築の一般的プロセスと資料の謄層性
c) 国際標準記寺史料記述
(lSAD(Q))のデータ構造
ISAD(G)
によるデー タ構造 は (
1)個別情報のエ リア,
(2)成立の経緯の エ リア,(3) 内容お よび構造のエ リア,(4) 公開および利用条件のエ リア
,(5)関連する資料のエ リア
,(6)覚書の
6エ リアによって構成 されるものである。
26
の個別構成要素 は必ず しもすべて必要なものではない。
国際的な相互の情報交換 に必要なものは,(a) レファレンス ・コー ド
,(ち)表題 ,(C) 記述単位の作成年月 日または年代域 ,(d) 記述単位の親模, (e) 記述の レベルの
5点である
。6.
プロ トタイ プア ーカイ ブスシステムの構築
(1)卒業論文作成における配韓資料の保存 と検索の必要性
大学の交通計画系研究室において,卒業論文作成 に用いた記録資料の保存 を 実例 としてアーカイブスシステムの適用 を行 った。
卒業論文はテーマによっては単年度で終了することもあるが,継続 して取 り
資料記述 についての国際基準 「 国際標準記録史料記述 :一般原則
(ISA D(G))」の対象資料 を特定するため に必要な情報 に相当
資料 を内容別に分類せず,ファイルに入れて収蔵場所 の一方向か ら時間頓にならべてい く手法,例 えば
「 超」整理法 :野口悠紀夫著など
本研究のプロタイプモデルでは時間軸設克 くを
1ケ月毎 とした。
親機関特定のための番号,デー タベース登録終了時の 番号,データベース登録順 を示す番号の
3種類が付加 される。 また,対象資料は時間軸管理がなされるので, 整理番号が対象資料の 「 過程」 を示す。
図
‑4卒業論文アーカイブスシステム構築フローチャー ト
362 商 学 討 究 第
47巻 第
2・3号組 まれることも多い。この場合前年の卒業者か ら十分 な引 き継 ぎが必要 となる。
また過去 にさかのぼ り,例 えばア ンケー ト票などの調査資料や シ ミュレーシ ョ ンプログラムなどを参照す ることも多 々生 じる
。しか し,論文 をまとめる過程 で行 った議論や試行錯誤 を記録 した資料が,紛失 した り廃棄 され成果物 として の論文 しか残 っていない場合,前任者が結論す るに至 ったプロセスの理解や結 論の信頼性の再確認が困難 となる
。特 にこの傾向は時間の経過が長いほ ど顕著 であ り,研究成果の再利用 をはばむ原因 ともなっている。
( 2) 卒業論文アーカイブスシステムの構築 プロセス 図
‑4に卒業論文 ア‑ ; ー
I カイ ブス シス テ ム の フ : l ローチ ャー トを示す。 ま : l た各ステ ップにおける作 : l 業の内容 は以下の とお り である
。I a)対象資料の選別 と :
I
資料記述要求事項 に対す
l:
る検討
.1アーカイブスシステム
:Iの構築 において,一番重
.Ll
交 通 計 画 学 研 究 室
規機 関 の設定
呂的の 設 定
土木資料 の保存 と模索 に 関 す る基礎 的研 究
要 なステ ップである
。図 「 " ‑ ‑ー ‑‑"
l
‑3
に示 したステ ップに
:1
従 い,対象資料の階層性
:対 象の設 定
卒業論文の
‑
ー ‑tJ L T‑ マ ‑‑◆
‑i卒業論 文執筆 に 関係 す るすべ て
の記録資
料の把握 を行 った.その結 , rrrrrrrrrrrrrr‑ = =
果 を図 ‑
5に示す。
1 1 1 1 1
: 保存 .検索 I
図
‑5卒業論文アーカイブスの階層性
( ∋ 親機閑の設定
本モデルでは,親機関を大学の研究室 に所属する卒業論文 を執筆す る学生個 人に設定 した。 これは,卒業論文の執筆が個人研究の形態 を採用 しているため である
。( 多 目的の設定
記録資料の発生 は卒業論文の執筆 と密接 にかかわって くる。 ここでは卒業論 文のテーマ を目的 として設定 した。
③ 対象の設定
保存 の対象 は,卒業論文執筆過程で作成 されたノー トや複写文献,打合せの メモな ど関係す る記録すべてである
。b)対象資料の時系列管理
本研究が対象 とした卒業論文の作成では,
2‑ 3過 ごとのゼ ミナールによっ て作業成果の報告 と次の作業の方向付 けがなされる。 このため,時間軸 にそっ て記録資料が作成 される。アーカイブスシステムにおける 「 現秩序の尊重原則」
のためには,作成 された記録資料の時系列管理が必要 となる。 このため,準備 か らゼ ミナール当 日のメモにいたる一連の資料 を実施ゼ ミナール別 にファイル に納め,時系列的に管理す る方法 を採用 した。
C)対象 とした吉 己韓資料のデータベ ース董卓 保存対象 となっ
た記録資料 を後 日 再利用す るために は,検索が容易 な 資料 リス トデー タ ベース を作成 し, 必要な情報 を登録
秦
‑5選択 された記述要素
記述要素
冒
‑ 的表
題個別情報のエリアの把握 資料の作成年月日 個別情報のエリアの把握
資料の規模 内容および構造のエリブの把握
注
記成立の経緯のエリア,公開および利用粂 件のエ リア;関連する情報のエリア,覚
す る必要がある。本研究では
,ISAD(G)の
26の記述要素 を参考 に,義 ‑
5の要
素 についてデータベース‑の登録 を行 うこととした。また,図
‑6にデー タベー
スの出力例 を示す。 なお,デー タベースの構築 には
PC‑98の
DOS上で動作す
364 商 学 討 究 第
47巻 第
2・3号
表
題作成年月 日
親 模注記
整理番号1
レジュメ原稿 19950901 親A4縦6枚ペ ージ順 あ り 060175‑199509‑01 2 ゼ ミ発言録 19950901 耗A4縦2枚 な し 060175‑199509‑02 3 OPH原稿 19950901 耗A4横7枚ペ ージ順 あ り 060175‑199509‑03 4 レジュメ̲原稿 19950907 紙A4縦6枚ペー ジ順 あ り 060175‑199509‑04 5 ゼ ミ発育録 19950907 紙A4縦3枚 な し 060175‑199509‑05 6 OPH原稿 19950907 耗A4横7枚 ペー ジ版 あ り 060175‑199509‑06 7 索 と発 想 の新 シ ス テ ム「超」 整 理 法 〜 情 報 検 19950900 紙 新 書 サ イズジ1冊 232ペー あ り 060175‑199509‑078 卒論‑ノー トNo1 19950900 叔A4縦1枚 あ り 000666000111777555‑‑‑111999999555011091‑‑1‑000
5
8‑, ,
9 卒 論 「土 木 アー カ イ ブ 19950900 プ ロ ツツ ピー デ ィス ク あ り 006600117755‑‑119999550109‑‑0029
, ,
スの構築 に関す る研究」 3.5イ ンチ1枚 006600117755‑‑1199995511ト02‑061
,
図
‑6データベースの出力例
るアルゴ社の
ASKAVer.2を用いた。
d)義理番号の付加
資料の検索性 をより高め,容易 な整理 を可能 とするために資料 に整理番号 を 付加 した。整理番号 は 「 親機関を特定する番号
」「 データベース登録終了時番号」
「 データベース登録順番号」の三項 目か ら構成 される。 また,複数の整理番号 が存在する資料は親機関において複数回使用 されてきた履歴 を示す。
( 3) 卒業艶文アーカイブスシステムの運用結果
a)記録資料群の階層構造の追跡,デー タベース リス トの トレースにより,
卒業論文作成 までの作業プロセスが明確 とな り,成果の再利用が容易 と
なった。
ち)
記録資料の分類保管 を行 わないことにより資料の散逸が防がれることと なった。
C)資料の階層性 を損ねないためには,データベース作成者 によって, 日常 的な資料の時系列管理が必要 となる。
d)
登録作業の繁雑 さの解消 など,デー タベース作成者側のインターフェー ス問題の解決が必要である。
7.
社会 資本整備 と土木学術 資料館 にお け るア ーカ イブス機 能 の必 要性
(1)土木学術資料館の概要
現在,土木学会では創立 80 周年記念事業の一環 として,川崎市 より無償貸与 される
2,000m2 土地に,稔工費
6億
5千万円,建物面積
1,400m2 の 「 土木学術資
図
7土木学術資料館の諸機能 とアーカイブス機能
366
商 学 討 究 第47 巻 第
2・3号科館」 を,西暦2
000( 平成1
2)年開館予定で準備中である。 この 「土木学術資 料館」 は,土木学術資料の"収集" 了 整理", "保存"了 利用"などを行 う 「 土 木資料の情報共有セ ンター」 ともいえる機関である。
また, 土木学術資料館 に対 しては博物館的な機能や,図書館的な機能 ( 歴史的, 文化的な土木史資料の収集) に関心が多 く持たれている。その一方,構造物の 生成過程 を記錬 した資料について利用 までを視野に入れた収集,保存 システム の構築, さらには,土木学会の活動について記録資料 を残す ことについて もあ
まり関心が持たれず にきている
。( 2) 土木学術資料館へのアーカイブスシステム導入の必要性
土木事業は調査か ら構造物の建設,完成 までが長期 間に渡 り様 々な機関が関 係する. さらに公共性が極 めて高い性格 を持つ。現在,一つの公共事業が計画 立案 され,構造物の建造か ら供用 まで,官公庁か ら企業 まで数多 くの団体が関 与 している。特 に,国家 レベルの事業の場合 はその間世の範囲はとてつ もな く 大 きい。 また,長期 ビジ ョンの策定などでは,学術経験者が委員会 などに参加
し種 々の調査 などが行 われる。 この結果,広範囲にわた り記録資料が発生する こととなる
。それ らの記録資料は,現用資料であるときには関係する機関にお いて保管 されるのはもちろんであるが,現用 を離れた とき, どこに保管す るか が問題である。 このことを踏 まえた とき,このような性格 を持つ記録資料 につ いては土木学会 など学術的な第三者機関によって収集,保存,利用のシステム が構築 されることが望 ましい。 この場合,図書館的,博物館的システムでは十 分 な対応 はで きないため,アーカイブス システムの導入が必須 となる。 これよ
り土木学術資料館 は博物館,図書館,アーカイブスが リンク したシステム とし て機能す ることが必要 と考 えられる。
記録資料は,ただ集めれば良い ものではない。ある程度の時間の経過 ととも
に取捨選択が必要である
。ただ し,この取捨選択 に付いては早計に判断を下す
べ きではない。記録の熟成 ともいえるべ き時間の後に取捨選択がなされるべ き
である
。その間の空間には,例えば北海道などの様 に地価の安い土地 を利用す
ることも一考であ り,また,地域計画的観点か ら見て も情報の倉庫業があって も良い ものと考 える。
8.おわりに
本研究では,社会計画,特 に社会資本整備 に関る計画情報の共有の重要性 と そのために必要なインフラス トラクチャー としてのアーカイブスシステムにつ いて論 じた。 また,そのプロ トタイプシステム として,大学 における研究資料 の保存問題 を実例 として,実際的なシステムを構築 しその有効性 を確認 した。
さらに,以上の考察 より土木学術資料館 においてアーカイブス機能が必要なこ とを提言 した。
く 謝辞〉
駿河台大学文化情報学部安淳秀一教授,北海道立文書館青山英幸先生の両氏 にはアーカイブスシステムの理解 に役立つ貴重 なコメン ト,資料 を頂戴 した。
さらに,北海道大学工学部土木工学科佐藤馨一教授 には本研究の遂行 に対 しご 指導をいただいた。 また,北海道大学工学部卒業生 ( 現富山県庁)の山県英彦 君はアーカイブスシステムの構築 を卒業論文のテーマ として選択 し,大変 な努 力の結果成果 をまとめ られた。本論文はその成果に負 うところが大 きい。 ここ
に記 して謝辞 とします。
また,本研究は,筆者が社団法人土木学会土木学術資料館設立委員会アーカ
イブス部門の幹事 として活動する中で得 られた成果の一部であることを付記す
るとともに,幹事 としての活動に種 々便宜 を図っていただいた土木学会関係者
に感謝いた します。
368
商 学 討 究 第47巻 第 2・3
号く 参 考 文 献)
1
)財団法人運輸振興会 :公共工事 をめ ぐる環境変化への対応,
Transport,1996.4 2)安揮秀一 : 「 資料館 ・文書館学への道 ( 第二刷)」,吉川弘文館
,1995年
3
)安藤正人,大藤修 : 「 資料保存 と文書館学」,吉川弘文館
,1986年4)