Al‑Mg‑Si
系合金の被削性について
斉 藤 光 邦
On the Turning‑Machinability of Aluminium‑Magnesium‑Silicon Alloy
Mitukuni Saito
1.
ま え が き
Al
合金は一般には削 りやすい合金 といわれているが, 実際には配合成分や, 切削条件に ょっては,構成刃先の生成が著 しく,削 りに くい場合も多 くある。
金属の被削性の評価の対象 としては,仕上面の品位 ( 表面あらさ)切削抵抗,工具の寿命, お よび切層処理の難易などで,これらを総合 して判断するのが普通である
。A1‑Si,A1
‑Mg系の被剛性については, くわ しい研究
(I)(2
)が報告されているが
,Al‑Mg‑Si系のものにつ いては,まことに少ない。今回は最近,用途の拡大 している耐食 アル ミニュウム合金で押出 加工に使用 される成分範囲のものについて
,Mg,Siおよび
Cu,Feの添加量を変化させて 旋削を行い,表面あらさ,切削抵抗な どにお よぼす成分の影響を調査 したので報告す る。
2.
試料の作製 と実験方法
試料は高純度アル ミニャウム
(1S)をべ‑ス として
Siを
0.2‑0.6%,
Mgを
0.3‑0.9%まで添加 し
,Cu,Feの影響をみるために
0.5%まで加えた。 成分配合の組合せを表
1に示 す。試料の製作は,るつぼ溶解 し予熱 した金型
にて鋳造 した。 直径
47mmの素材を 均質化処 理を したのち表面層
1mm荒削 りを して取 り除 普,直径
45mm, 長さ
80mmの棒材を 供試材 とした。
旋削には, 日本 カズヌーブ型
360HB高速精 密旋盤 ( ベ ッド上の振 り
360mm,両心間距離 8
00mm,主軸回転数 4
0‑2500 r.p.m,無段変
逮
,5.5kw)を使用 した。 工具は超酸バイ ト
K30,31型
(0,
6,
6,
6,15,15,1mm)を刃先摩 耗の影響がないよう
,3本の新品を刃先半径が
1mmになるよう投影器で 測定 しながら調整 し た ものを用いた。
切削は, 送 り
f‑0.2mm/rev, 切込み
t‑1 mmの一定条件とし,すべて乾式で行い,切削 速度は構成刃先の生成が予測 され る低速 より始
試料の酉 己 合成分
★横披工学科
58
長野工業高等専門学校紀要 ・第
3号
め,順次速度を上げて正常硫域に至るまで連続的に変化 した.切削抵抗は工具動力計 ( 佐藤 工機
TD‑32A)と動ひずみ計 ( 共和電業
DPM‑3AT)を用い
, 3分力をペ ソ書オシログ ラフ ( 渡辺測器
WTR‑211)で記録測定 した。表面あらさは,触針式あ らさ計 ( 小坂式
S E‑4)で プロフィ・ ′ レをオシ ログラフに取 り最大あらさを求めた。
3.
測定結果と考察
3‑1
表面あらさ
表面あらさと切削速度の関係は図
1, 図
2の ようF ̲ =なる.最大あらさ
Hmaxは, 切削速 度に大 きく関係 し, すべての試料で, 低速では構成刃先が生成 し
Hmaxは非常に大き く, 高速になるに したがい順次小さ くな り最小値に落ちつ く。 この ときの速度を限界 切 削 速 度
Vc
で表わす。
送 りf,バイ トの刃先半径 rより求まるあらさの理論値は
,Ho‑
f2/8Yで表わ され,今回 の実験 の条件では
5J Jとなるが,添加成分の多いものが, 最 もこれに近ず くが, この成分の 範囲内では
10 J Jを下ることはない。
008060仙
2
0080604(
J)
x・,
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遍ノこ イ トl E硬
K20(0666】5)
51) 切込
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Aa
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S↓0.4%
二年
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A、
4J3 60 80 100 1
法
0 140 160 180 200切 削速 度
V(zTl/nLl・ L )
図 1 切削速度と表面あら
さ(
Sl叫 )40加008060,如2004020m111111
(7/)XDt
・Ll(
的CJCgrup潔0 0
006 4
ウ〟ノミ イ ト土
色銀 K20(066615151)切込
t‑177m 送 りj‑oBLrAyr即 孟三.0, 芸O
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40.60 80 100 120 140160 180 200
切 削速
旺V ( % 血
)図 2切
削速度と表面あらS ( Cure)
添加成分中の
Mgの影響を図
3に示す
。Hmaxは
Mg量を増す と減少するが, 他の添加
成分 (この場合
Si)が
0. 4% 以上になるとほ とん ど変化がな くなる。 限界切削速度
Vcは
Mgを増す と上昇する。すなわち Mg量を多 くするとよい仕上面を得 られ るが,より大 きい
速度で削ることが必要である
。Siについては図
5の ごとくな り,全般に添加量が増すと表面
アラサは良 くなる傾向にあるが
,Mgと同様に他の添加量が多 くなると,その影響が少な く
なるo これらは
Si,Mgの相乗効果がきいて くるものと考えられるが, その寄与率は今回
AトーMg‑Si
系合金の被削性について
08 0.6 0D Mg(%)
図3 諜 慧 濫 読 即 m r J
の実験では明らかにで きない。 限界切削速度は
Si量
00C41
(主xきトTt
q 2 0 4 0 B S ↓ ( %) 図
4 Si量の表面あらさ,限界
切削速度におよぼす影響 にはは直線的に変化 し
,Mgの場合とは反対に
,Si量
を増す と低速側に移動する
。SiO. 4%
,Mg0.9%のべ
‑スに
Cu,Feを加えた場合の
Hmax,Vcの変化は
30 図
5のようにな り
,Cu,Feともにアラサの向上はな
く,限界速度が上昇するのみである。
3 ‑2 切 削 抵 抗
切削抵抗の うち主分力
Pl , 送 り分力
P2と切削速 度の関係を図 6 に示す。背分力は送 り分力と同一の傾 向であるので省略 した。各試料 とも主分力,送 り分力
O
o.>] ‑
(Ty)XtZE H
0 0.1 QB
O B O A 0
.5C L
▲,Fe(%)図
5 cuぉェぴ
F.漆加に上る表
面あらさ59
ともに,ある速度で最大値を取 り,それ より速度を増 限界駒 健 産にお上はナ影苧
す と除 々に減 じて試料特有の値に収れんする。添加成分の少ない もの程変化が大 き く現れて ぉ り,これ らに構成刃先の生成の著 しいことを示す。( 3 )低速において切削抵抗が低い値を示 す現象は,構成刃先の付着に よる有効す くい角の増加,バイ トす くい面 と切屑の摩擦長さの 減少に よるもので,速度を上げてゆ くと,バイ トす くい面上の被削材は軟化 して急激に構成 刃先は消滅 し,このとき切削抵抗は最大値を示す。それ以上速度を上げると材料の軟化は一 層進み,す くい面摩擦が少な くな り抵抗は減少 し,ある値に落ちつ くものと理解できる
。 (4)このことは
Al合金のみならず鋼切削時に も起 る。参考に同一条件で
SS41,S45Cを切削 ときの切削速度 と切削抵抗の推移は図
7のような り,上記のような状態を認めることができ る。
限界切削速度における主分力 と各添加成分の 関係を図
8, 図
9に
SiO. 4%
,MgO.9%の ものに
Cu,Feを加えた ときのものを図1 0に示す
。 Si,Mg,ともに添加量が多 くなると主 分力は減少する。 たとえば
Si0.2%の とき
Mgを
0.3%か ら
0.9%にす ると主分力は
,45kgか ら
23kgとな り半減する。 切削抵抗については
Mgの方が影響が大 きく現われ るが
,0.6%を超えると余 り変化がな くなる。 この成分範囲内では
Mgo.9%,SiO.2%のとき, 主分
力は
23kgとな比切削抵抗 (
♪1/
q,q‑切削面積)
135kg/mm2で最小 となる
. Si0. 4%.
6 0
50仙
30
201003
0加10080別10020100加100(雷)J転封壷Lb
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叫長野工業高等専門学校紀要 ・第 3 号
主 分 力
Pl送 b 分 力
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40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 40 60 80 100 120 140 11氾 180 200 220 切 削 速 ま V(
P n ' 1 , I
S45C
SS41
/{ イ ト 超
鹿P20(068615151)切込
≠ ‑ 1Ⅱ皿50 100 150 200
切 削 速皮
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% L172) 図7月切削における鞘 働 宅の推 移
(fJE)tJEf
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図
8Sliの主分力にお上はす影響
≡ Fe
添加
l o
‑. ‑.
0 81
83
03
0.4 05
CLL.Fe(o/a
図
10 Cu,Fe添加に よる主分力えの 影
響(音)J
80201080加l
Al‑Mg‑Si
系合金の被削性について
61 MgO.9%のものに
Cu,お よび
Feを添加 した結果は図1 0のとお りであるが,
Cu,Feとも に僅かに主分力が減少する程度で効果は余 りない。
4.
ま と
め純 アル ミニウムに
Siを
0.2%〜0.6%
,Mgを
0.3%〜0.9%の範囲で添加, お よび
SiO.4%,
Mgo.9%の配合に
Cu,Feを微量添加 した押出加工用
Al‑Mg‑Si系合金について, 旋削 を行い主 として仕上南 アラサ,切削抵抗 ,お よびそれに附持 した構成刃先の生成な どの見地 か ら被削性を検討 した。その結果を要略すれば,
( 1 ) この成分範囲内では低速においてほ,構成刃先の生成が著 しく,添加成分の総量の少な い程その傾向が強い。
( 2 ) 仕上面あらさは切削速度に大 きく依存す る。構成刃先が完全に消滅 し,ほぼ一定値を と る限界切削速度における値を比較すると
,Mg,Siの添加量を増す とあらさは減少す る。
他の減加成分量が少ない程効果的である
。 Mg0.6% Si0.4%以上になると効果は少な く なる
。Cu,Feともに この配合では表面アラサには影響を与えない。
(3)
限界切削速度は
,Siを増せば低 くな り,
Mgお よび
Cu,Feの添加量を多 くす ると
Siとは反対に高速側に移動する
(4)
切削抵抗は
Mg,Siとも添加量が増せば減少する
。 Siより
Mgの方が影響が強いが,
0.6%を超えると変化が少な くなる
。Cu,Feの影響は少ない。
(5)
この成分範囲で被削性のよい と思われる配合は
,SiO.6% MgO.9%で
,HmaxllP,主 分力
25kgで限界切削速度
100m/mi nである。
この実験に試料製作に援助を賜はった機械工学科小林教官,ならびに実験に協力を してい ただいた工作実験室宮川技官に感謝を します。
参 考 文 献 (1)
森永,財満,飯尾 :日本金属学会誌
30
‑5(1966) (2)財満,小山,村本 :日赤金属学会誌
30
‑8(1966) (3)M.C.Shaw. '来日講浜抄録,機械と工具
12‑2(1968)( 4
)佐E E l:機枕と工具
12‑1(1968)(44.9.20受理)