第 93 回麻布獣医学会講演要旨 75
第93回麻布獣医学会 一般学術演題7
寒冷下での新生子牛への酵母細胞壁混合飼料給与による 体重および血液生化学性状への影響
○岡田 翔一1,田川 知嘉2,樋口 貞行2,鈴木 直人2,山野辺 浩3
1NOSAI 福島浜通り家畜診療センター,2同白河家畜診療センター,3同臨床技術研修所
【背景】
管内地域の農家では、冬季の子牛の発育不良およ び疾病の増加が確認されており、大きな経済的損失 が問題となっている。寒冷ストレスは子牛の疾病発 生率を高め、その診療費や増体の低下など経済的な 被害を及ぼすリスクを生じる。このストレス対策と して、酵母細胞壁混合飼料の給与は特別な器具等を 必要とせず、実行が容易である。しかし寒冷ストレ ス下の子牛に対する酵母細胞壁混合飼料の抗ストレ ス効果については報告がない。
【目的】
酵母細胞壁混合飼料を給与された子牛の増体およ び血液生化学性状の変化を調査し、飼料効率や脂溶 性ビタミンなどへの影響を調べることで、試験飼料 の抗ストレス効果の検証を目的とした。
【方法】
本研究では、寒冷期の子牛25頭を、酵母細胞壁混 合飼料(オムニゲン-AF、バイエル薬品、東京)を給 与する試験群13頭と給与しない対照群12頭とに分け、
試験期間中のTemperature-Humidity Index(THI)を算 出するとともに、体重測定および血液生化学性状検 査を行った。
【結果】
THIは子牛が寒冷ストレスを受ける可能性が高い 数値である50を下回る期間が長く、平均値は49.8で あった。試験群と対照群の間で、試験期間内での増 体に有意な差はなかったが、酵母細胞壁混合飼料給 与から30日目に、対照群と比べ試験群では、血清中 ビタミンA濃度およびアルブミン濃度が有意に高い 値を示した。
【考察】
酵母細胞壁混合飼料は寒冷ストレスによる影響を 低減させることで、子牛の成長に伴う血清中ビタミ ンA濃度の上昇を維持することが示唆された。本試 験では疾病リスクへの調査が行えなかったため、今 後は疾病スコアリングや免疫系に及ぼす影響調査等、
更なる研究が必要である。