南硫 黄島 にお け る垂直分布 にそった植 生パ ター ン と10年 間 の変化
朱 宮 丈 晴1、 加 藤 英 寿2、 高 山浩 司3
ForestpatternandchangesduringthelastdecadealongaltitUdinalgradients onMinami‑Iwo‑ToIsland
TakeharuShumiyai,HidetoshiKArO2&K()jiTAKAYAMA3
1.公 共 財 団 法 人 日本 自 然 保 護 協 会(〒104‑0033東 京 都 中 央 区 新 川1‑16‑10ミ ト ヨ ビ ル2F) TheNatureConservationSocietyofJapan,2FMitoyoBldgっ1‑16‑10Shinkawa,Chuou一 ㎞,Tokyo,
104‑0033
2.首 都 大 学 東 京 理 工 学 研 究 科(〒192‑0397東 京 都 八 王 子 市 南 大 沢1‑1) TokyoMetropolitanUniversity,MakinoHerbarium,Minami‑ohsawal‑1,Hachi('ji,Tokyol92‑0397
3.京 都 大 学 理 学 部 生 物 学 科(〒606‑8502京 都 府 京 都 市 左 京 区 北 白 川 追 分 町) KyotoUniversity,Oiwakechokitashirakawa,Sakyo㎞,Kyoto,606‑8502
要 旨
南 硫 黄 島 にお け る垂 直 分 布 に 沿 った 森 林 群 落 の植 生 パ ター ン を群 落 の組 成 や 構 造 に基 づ い て 明 らか に した 。DCAに よ る序 列 化 に よ り、木 本 層 、草本 層 、着 生層 、裸 地 の優 占度 に基 づ く組 成 を2次 元 展 開 した と こ ろ木 本 層 の組 成 はDCAl軸 に沿 っ て標 高 に よ り区分 され た 。 雲 霧 林 で あ るP4‑50(17)、 標 高521m(コ ル)とPl‑90(17)、911m(山 頂)の 植 生 プ ロ ッ トに つ い て は2007年 に設 置 した植 生 プ ロ ッ トを再 調 査 す る こ とが で きた た め、10年 前 の組 成 と比 較 す る と木 本 層 や 草 本 層 で は 大 きな 変 化 は な か った が 、着 生 層 は2017年 の調 査 に お い て オ ガ サ ワ ラモ クマ オ や トキ ワイ ヌ ビ ワな ど常 緑 低 木種 が 消 失 し、シ マ キ ク シ ノ ブや イ ワ ガネ ゼ ンマ イ が 見 られ る な ど大 き く異 な って い た 。 リー フ サ イ ズ スペ ク トラ を み る と全 体 的 に は 亜 熱 帯 で 見 られ る亜 中形 葉 が最 も多 く、500m以 上 の雲 霧 帯 で は標 高 が 上 が る に した が っ て 中 形 葉 が 消 失 し、 小 形 葉 が 出現 して い た 。 直径 階 分布 に よ り10年 間 の 更新 状 況 を 比較 す る と P4‑50(17)で は あ ま り変 化 が なか った が 、Pl‑90(17)で は常 緑 高 木 の コブ ガ シの 更 新 がInverse‑J 型 か らsporadic型 に な り不 安 定 な 更 新 を 示 した の に 対 して 、 常緑 低 木 の トキ ワイ ヌ ビワや シ マ イ ズセ ン リ ョウ は個 体 数 が 増加 し、安 定 な更 新 を示 した 。群 落 断 面 図 か ら も山頂 の コブ ガ シ林 は、P2‑60(17)とP4‑50(17)の コブ ガ シ林 の よ うに林 冠 が うっ 閉 してお らず 、そ の 間 を 常緑 低 木 の ピサ カ キや トキ ワイ ヌ ビ ワが 占有 して い た。1982年 の 調 査 で は コブ ガ シ に よ る閉鎖 し た 林 冠 が あ った と され 、35年 間 で 山頂 雲霧 林 の構 造 が 変化 した と推 定 され た。2007年 に は 見 られ な か っ た崩 壊 地 の 調 査 を行 い 雲 霧 帯 に お け る一 次 遷 移 の初 期 段 階 を把 握 した と こ ろ、
一年生草本、多年生草本、落葉広葉樹、常緑低木、常緑高木が出現する一般的な遷移系列に 加 えて シダ植 物が遷移後期 にまで残存す る初期遷移 系列が推 定 された。裸 地に侵入す る一年 生草本 にはオオア レチ ノギクな ど外来種が 山頂付近まで見 られた。
キー ワー ド:
標 高傾 度 、 雲霧 林 、 リー フサ イ ズ 、 更 新 状 況 、 初期 遷 移
1.は じめ に
南 硫 黄 島 の植 生 お よび 群 落 に 関す る生 態 学 的 な 調 査 は梶 ・滝 口(1983)が 初 め て で あ り、
各 種 の標 高 に と もな う分布 パ ター ン、群 落 組 成 と構造 の変 化 、着 生植 物 の分 布 に つ い て の基 本 的 な知 見 が 得 られ た 。2007年 の調 査 で は 、前 回 と同 じ場 所 に プ ロ ッ トを設 置 して 、25年 間 の群 落 組 成 や 構 造 の 変 化 をモ ニ タ リン グす る予 定 だ っ た が 、正確 な プ ロ ッ トの設 置 箇 所 が わ か らなか った の で 基 本 的 には 新 た にプ ロ ッ トを設 置 し、1982年 の調 査 で は得 られ な か っ た標 高 に伴 う気 温 や 湿 度 の デ ー タ、基 本 的 な植 生 の 垂 直 分布 や 森 林 の組 成 や 構 造 を 明 らか に した (朱宮 ら、2008)。た だ し、南硫 黄 島 に お け る年 間 を通 した気 象 デ ー タ の測 定 、雲霧 林 の 動 態 、 形 成 メカ ニ ズ ム な ど を検 討 す る には 情 報 が な か った。今 回 の調 査 で は、2007年 に調 査 した 同
じ場 所 で 調 査 を実 施 し、10年 間 の植 生 の変 化 を 明 らか にす る こ とを 目指 した 。
南 硫 黄 島 は海 洋 島で あ る こ とか ら成 立 す る植 生 は 、鳥 、風 、海 流 な どに よ り到 達 した 限 ら れ た 種 群 か らな り維 管 束植 物 は129種 が知 られ て い る(藤 田 ら、2008)。 これ らの種 組成 か ら、 主 に琉 球 や 台湾 の フ ロラ と類 似 してい る こ とが わか り、加 え て 日本 本 土や ミク ロネ シ ア か ら一 部 の種 が 付加 され て 島 の 種 組 成 が 成 り立 っ て い た(藤 田 ら、2008)。 小 笠原 諸 島 の 父 島 や 母 島 に比 べ 、 島 の成 立 か ら3万 年 以 上 が経 過 してい る と され 、 成 立 か らの 地 質年 代 は若 い とされ るが 、標 高 に沿 っ て異 な る構 造 と組 成 を もつ 森 林 が成 立 して い る。 十 分 に 時 間 が経 過 し、発 達 した 常 緑 広葉 樹 林 で は 、垂 直分 布 、地 形 、 遷 移 、 階層 に 出 現す る種 群 が もつ 生態 学 的 な属 性 、 す な わ ち芽 タ イ プ 、 リー フサ イ ズ 、樹 皮 、 分枝 様 式 な どが 一 定 の 出現 パ タ ー ン を 示 す こ とが 知 られ て い る(Ohsawa&Ni賃a,1997)。 そ こで 、南硫 黄 島 に お け る森 林 の成 立 プ ロ セ スや メカ ニ ズ ム、及 び 発 達 段 階 を 明 らか にす る た め に 、海 洋 島 に 到 達 した フ ロ ラや 種 分化
を 明 らか にす るだ けで な く、到 達 した種 群 が どの よ うに 定着 、拡 散 、 発 達 して い くの か を 推 定 す る に は、生 態 学 的 な知 見 に基 づ く組 成 や 構 造 、森 林 動 態 や構 成 樹種 の 特 性を 明 らかす る 必 要 が あ る。
また 、南 硫 黄 島 の植 生 を考 え る た め に は 、南硫 黄 島 の標 高 に 沿 っ た年 間 の 温度 環 境 を知 る こ とが 重 要 で あ る。一 般 的 に 東 ア ジ ア の森 林 植 生 の 垂 直 分布 帯 は 北緯20度 か ら30度 付 近 を 境 に熱 帯 型 と温 帯 型 に 区分 され 不 連 続 に接 して い る(Ohsawa,1990)。 この境 界 域 は ち ょ うど 年 較 差10℃ か ら20℃ に一 致 して お り、 緯 度 が 高 くな るに した が っ て 夏 の気 温 は あ ま り変 わ らない ので 、冬 の気 温 の低 下 に よ り、常 緑 広葉 樹 が 冬 の気 温 に 耐 え られ ず 落葉 広 葉 樹 に移 行 す る条 件 とい わ れ て い る(Wolfe,1979)。 ま た 、熱 帯 型 の垂 直 分 布 で は標 高 約1000mま で が
低 地 林 、約2500mが 下部 山地 林 、2500m以 上 を 上部 山地 林 と して 区分 してお り、吉 良(1949) の暖 か さ の指 数 に よ る植 生 区分 の240℃ 月 以 上(熱 帯)、240〜180℃ 月(亜 熱 帯)、180〜85℃
.月(暖 温 帯)と よ く一 致 して い る(Ohasawa,1990)。 梶 ・滝 口(1983)は 硫 黄 島 の気 象 観 測 資 料 に基 づ い て 、気 温 の逓 減 率 を算 出 し、南硫 黄 島 の240m以 下 を熱 帯(暖 か さの指 数WI‑240℃
.月)、それ 以 上 を 亜熱 帯 と した(朱 宮 ら、2008)。しか し、筆 者 らが2008年 に 北硫 黄 島(792m) の標 高 ご とに設 置 した 温 湿 度 デ ー タ ロガ ー に基 づ く気 温 デ ー タか ら400m付 近 で180℃Hと な り、北 硫 黄 島 の 山頂 部 は152℃.月 とな っ た た め 、南硫 黄 島 の 山 頂916mは152℃ 月 と推 定 さ れ た(朱 宮 ・千 葉 、2008;小 笠 原 支 庁 、2009の デ ー タ及 び 私 信)。 した が っ て 、気 温 か ら推 定 され る植 生 区分 に した が え ば400m以 下 は亜 熱 帯 、400m以 上 は 暖 温 帯 とな る こ とが わ か っ て きた 。一 方 、Omに お け る空気 中 の湿 度 や 露 点温度 か ら標 高500m以 上 で は 雲霧 の発 生 に よ り空 中湿 度 が 高 く な り、 土壌 水 分 も高 く湿 潤 な環 境 に な って い る の に対 して 、低 標 高 で は 乾 燥 して い る こ とが わ か って きた(坂 上 ・奥 冨 、1982;朱 宮 ら、2008)。
熱 帯 山地 雲 霧 林 は、 赤 道 か ら緯 度30度 ま で の 山岳 や 島 に 出 現 す る と され 、 降水 だ け で な く雲 霧 に よ り滴養 され 成 立 した 森 林 の 総 称 で あ る と され る。 霧 が滴 養 す る水 分 は、 水 文 、放 射 バ ラ ンス 、気 候 、土壌 、生 態 現 象 に影 響 を 与 え る(StadtmUller,1987;Hamiltonetal.1995;Scatena etal.2010)。 日本 で は あ ま り研 究 が進 ん で い な い が 、海 に 面 した孤 立 した ピー クや 小 さな 島 で は、雲 霧 の発 生 に よ り過 飽 和 、 日照 不 足 な どの 環 境 条件 に よ りよ り低 い標 高 で 上部 山 地林
に見 られ る よ うな 樹 高 が 低 く綾 性化 した森 林 が 見 られ る(vanSteenis,1972;Whitmore,1984;
Ohsawa,1993;B両inzeeletaL,1993)。 ま た 、 約1000m前 後 の熱 帯 低 地 林 と下 部 山 地林 の移 行 帯 付 近 に も見 られ 、雲霧 林 の 形 成 は こ う した 異 な る植 生 帯 の移 行 帯付 近 に 出 現す る の が特 徴 的 で あ る とされ る(Ohasawa,1993)。 近年 で は 、山頂 部 に見 られ る森 林 の特 徴 は、気 温 の低 下
よ りも雲 霧 の 発 生 に よ る湿 度 の増 加 が 要 因 で あ る こ と も示 唆 され て い る(Javis&MUlligan, 2010)。 南 硫 黄 島 は 面 積367haで 海 洋 に孤 立 して屹 立 す る916mの 山岳 海 洋 島 で あ り、山塊 効 果 を反 映 し亜 熱 帯 の 領 域 にお い て 島 の500m付 近 以 上 に 暖 温 帯 が 孤 立 して 存在 して い る と推 定 され た 。
本 研 究 は、標 高傾 度 に と もな う群 落 の組 成 と構 造 を 明 らか に し、 定 点 で 再調 査 を行 うこ と で10年 間 の森 林 動 態 及 び 構 成 樹 種 の 葉 特 性 と く に リー フサ イ ズ や 比 葉 重(SLW)を 把 握 す る こ とを 目的 とす る。ま た 、2007年 の 調 査 で は 見 られ な か っ た 基岩 が 露 出す る大規 模 な深 層 崩 壊 が 形 成 され た 。 そ こで 、裸 地 形 成 後 の植 生 を把 握 し、植 生 の 一 次 遷移 の 初期 段 階 を 明 ら か にす る こ とで 南 硫 黄 島 にお け る森 林 の 成 立 プ ロセ ス や メカ ニ ズ ム 、発 達 段 階 を推 定す る こ とを試 み る。
2.方 法
2‑1.群 落 調 査
調 査 地 は南 硫 黄 島の 南 東 側 に設 定 され た 登 頂 ル ー ト沿 い に4カ 所 お よび ベ ー ス キ ャ ン プ か ら南 東 側 の標 高 約40m通 称 ア カ パ ラに1ヶ 所設 定 した(図1)。 ま た 、登 頂 ル ー ト沿 い に は 、
最 近 崩 壊 した と考 え られ る標 高500mの コル 付 近 か ら発 生 した崩 壊 地や 裸 地 が形 成 され て お り、8ヶ 所 の植 生 プ ロ ッ トを設 定 した。 な お 、植 生 プ ロ ッ トの名 称 は 、2007年 と2017年 で 設 定 が 異 な るの で 、以 下 の よ うに名 称 を付 した(表1)。 す な わ ち 、例 えばPl‑90(07)(2007年
はPl)、Pl‑90(17)は 、 山頂 か らの通 し番 号(P)、 標 高 、 測 定 年 を示 す もの とす る。 崩壊 地 な どの裸 地 に設 定 した植 生 プ ロ ッ トはGl‑90(17)と い うよ うに通 し番 号 をGで 示 した。 ま た 、 前 回 の植 生 プ ロ ッ ト設 定 後 に杭 な ど残 地 物 は一 切 残 さ なか った た めGPS情 報 な どを 基 に で き るだ け 同一 箇 所 にお け る植 生 プ ロ ッ トの 再 現 を試 み た が 、2007年 に設 定 した植 生 プ ロ ッ ト とよ く一 致 した の は 山頂 部 のP1‑90(07)、Pl‑90(17)とP3‑50(07)、P4‑50(17)の2ヶ 所 で あ っ た。
2007年 に設 定 したP2やP4、P5は 、 前 回 と登 頂 ル ー トが 異 な る こ とや 藪 が ひ どい な どで ア クセ ス に 時 間 が か か る た め 同 じ場 所 に 到 達 で き な か った 。P4‑30(07)は 、 新 た に 見 出 され た 600m付 近 の コブ ガ シ林(P3‑60(17)を 調 査 す るた め再 設 定 しな か った 。
P1‑90(17)は 山頂 部 の西 向 き斜 面(2540)で 標 高911mで 前 回 とほ ぼ 同 じ箇所 に設 置 した が 、 面 積 は10m×15mと2007年 の 半 分 と した。P2‑75(17)は コル と山 頂 部 の 中 間付 近 の 南 西斜 面 (25go)で 標 高758m、 位 置 は異 な る が前 回 の設 定 とほ ぼ 同 じ標 高 に設 定 した 。た だ し、面積 は前 回 の1/4の5m×5mと した 。P3‑60(17)は 、 新 た に 見 出 され た 比 較 的 よ く発 達 した コブ ガ シ林 で コル の100mほ ど上部 に あた り、北 西 斜 面(315。)で 標 高597mで あ っ た。 面積 は 5m×10mと した。P4‑50(17)は 、 ル ー トの 方 向 が 北 向 き か ら東 向 き に 変化 す る コル で 北 西斜 面
(340。)で標 高521mに 設 定 した 。コル の宿 泊 地 に 隣 接 した比 較 的 緩 斜 面 で2007年10m×10m の植 生 プ ロ ッ トを設 定 した が 、 コル の 上 部 の 崩壊 に伴 い プ ロ ッ トの1/4が 一 部 消 失 した。 林 内 と林 外 の コブ ガ シ の 稚 樹 の年 枝 の比 較 か ら2年 前 く らい の 新 しい 崩 壊 で あ る と推 察 され た。P5‑04(17)は 、 通 称 ア カ パ ラ と呼 ん で い た斜 面崩 壊 地 に成 立 して い た 南東 斜 面(165。)で 標 高39mで あ っ た。 面 積 は5m×15mと した。2007年 に 設 定 した植 生 フ.ロッ トとは位 置 が 異
な り、 か つ 優 占種 も異 な って い た 。
ル ー ト沿 い に は森 林 だ けで な く崩壊 地 に成 立 した撹 乱跡 地 や風 衝 草 地 、岩 礫 地 に成 立 した 草 本 群 落 が 見 られ た 。そ こで 、典 型 的 な 箇 所 を抽 出 し植 生 コ ドラ ー トを設 定 した。特 に2007 年 に は見 られ なか った 崩 壊 地 に群 落 の 広 が りに合 わせ て 面積 を変 えて6ヶ 所 設 定 した。 す な
わ ち、Gl‑90(17)は]」頂 付 近 に成 立 して い る ス ス キ草 地(標 高911m、4m2)、G2‑70(17)は 岩 礫 地 に成 立 して い た ノボ タ ン群 落(標 高712m、 面積4m2)に 設 定 した 。G3‑60(17)(標 高627m、
面 積lm2)、G4‑50(17)(535m、4m2)、G5‑50(17)(546m、4m2)、G6‑50(17)(501m、12.5m2)、
G7‑50(17)(501m、12.5m2)、G8‑30(17)(344m、4m2)に 設 定 した 。G6‑50(17)とG7‑50(17)は 、 P4‑50(17)が 崩 壊 した 跡 地 に林 縁 か ら隣 接 して 設 定 した 。
調 査 は、 胸 高1.3m以 上 の 木 本 個 体 を対象 と した 木 本 層 の 毎 木 調 査 、 高 さ1.3m未 満 の 草 本 層 調 査 、木 本 の幹 や 枝 に着 生 した種 を対 象 と した着 生 層 調 査 を行 っ た。 木 本 層 調 査 は 、種 名 、 胸 高 直 径(DBH、cm)、 樹 高(H、m)、 葉 群 下 高(Hl、m)、 生枝 下 高(Hb、m)、 樹 木 位 置 図 、 樹 冠 投 影 図(図2)、 群 落 断 面 図(図3)を 作 成 した 。 草 本 層調 査 は 、植 被 率(%)、
種 名 、種 ご との 被 度(%)、 最 大 自然 高(cm)を 測 定 した。裸 地 に設 定 した植 生 プ ロ ッ トも同
様 に草 本 層 調 査 を した 。着 生 層 調 査 は 、樹 木 に着 生 した植 物 を 対象 と して樹 木 の幹 や 枝 の 面 積 に対 す る着 生植 物 の植 被 率 、 種名 、被 度 、 高 さ(傾 斜 長)を 測 定 した。
プ ロ ッ ト内で は、基 線 に 関 して傾 斜 と斜 面 方 位 を ク リノ メー ター を使 って 測 定 した 。ま た 、 草 本層 調 査 を行 った サ ブ コ ドラー トご とに土 壌 水 分(体 積 水 分 率 、%)を 携 帯 土壌 水 分 セ ン サ ーHydrosense(CampbellScientificinc.USA)を 用 い て計 測 した(5回 以 上 反 復)。
標 高 ご と の 群 落 高 を 明 ら か に す る た め 種 ご と の 高 さ を 標 高 ご と にTruePulse360 (LaserTechnologyihc.USA)を 用 い て測 定 した 。
2‑2.葉 分 析
コ ブ ガ シ 、 ア カ テ ツ 、 シ マ イ ズ セ ン リ ョ ウ 、 ヒサ カ キ 、 チ ギ 、 シ マ モ ク セ イ 、 オ オ バ シ ロ テ ツ 、 オ オ バ シ マ ム ラ サ キ 、 ホ ソバ ヤ ロ ー ドに 関 して は 標 高 別 に 枝 を 採 集 し、 冷 蔵 し て 持 ち 帰 り葉 柄 を 残 さず に 葉 を 切 り離 し 、 高 精 度 分 析 用 電 子 天 秤(XFR‑225w.新 光 電 子 株 式 会 社) を 用 い て 葉 重(g)を 測 定 して 台 紙 に 貼 り付 け 、位 置 や 葉 齢 を 区 別 し て 並 べ て コ ピ ー を し た 。 コ ピ ー した 葉 の 画 像 は 画 像 角斬 ソ フ ト(㎞ageJl51kUSA)を 用 い て 解 析 し 面 積 を 測 定 し た 。 リー フ サ イ ズ は 、 極 微 小 形 葉(leptophyll)(<25mm2)、 微 小 形 葉(nanophyll)(25‑225mm2)
、 小 糠(血crophyll)(225‑20255mm2)、 亜 中 形 葉(notophyll)(20254500mm2)、 中 形 葉 (mesophyll)(4500‑182255mm2)、 大 形 葉(macrophyll)(18225‑164025mm2)、 巨 大 葉(megaphyll) (164025mm2<)に 区 分 し た(Shirnwell,1971)。 葉 の 厚 さ の 指 標 と な るSLW(gtcm2)を 求 め た 。
2‑3.解 析 方 法
木 本 層 の群 落 調 査 で 測 定 され た 直径(DBH)か ら胸 高 断 面積(BA)を 算 出 し、プ ロ ッ トご とに相 対 値 化(RBA)し て各 種 の相 対 優 占度 を求 め た。 ま た 、草 本 層 、着 生 層 で 調 査 され た 被 度(C)× 最 大 高(H)か らCHを 算 出 し、相 対 値 化 した 相 対優 占度(RD)を 求 め た。ま た 、 優 占度 の判 定 に あ た っ て は相 対 優 占度 を用 い た優 占種 判 定 法(Ohsawa,1984)を 用 い た。 こ の判 定 法 は実 際 の 優 占度 の 並 び と理想 的 な 並 び(1種 優 占100%、2種 優 占50%、3種 優 占 33.3%…)を 比較 して最 も理 想 的 な並 び に近 いモ デ ル を選 ぶ 方 法 で あ る。
今 回 調 査 され た植 生 フ.ロッ ト間 や2007年 に調 査 され た5つ の植 生 フ.ロッ トの群 落組 成 の 違 い につ い て は 相 対 優 占度 を 用 い て 各 プ ロ ッ ト間 の 組 成 の 違 い を 比 較 す る こ と が で き る DCA法(Hill,1979)を 用 い て角斬 した。 解 析 はPC‑ORDver5(M∫MSo且wareDesign,USA)
を使 用 した(MacCuneandMefford,1999)。
3.結 果
3‑1.2007年 と2017年 の標 高別 の 群 落組 成 と構 造 の 変化 3‑1‑1.群 落 組 成
・全 体
胸 高1.3m以 上 の木 本 種 を対 象 に した森 林 の木 本 層 、胸 高1.3未 満 の 主 に 草本 類 を 対象 と し た 草 本層 、木 本 の 幹 や枝 に 着 生 した 種 を 対象 に した着 生層 及 び裸 地 の 草本 群 落 に 関す る群 落 組 成 を表2〜5に 示 す 。た だ し、2007年 と2017年 で 比 較 が で き るの は 、Pl‑90(07)とPl‑90(17)、
及 びP3‑50(07)とP4‑50(17)の み で あ る。
木 本 層 、 草本 層 、着 生 層 、裸 地 の す べ て に 出 現 した総 種 数 は64種 で うち常 緑 広 葉 樹13種 (20.3%)、 落葉 広葉 樹2種(3.1%)、 一年 生 草 本ll種(17.2%)、 多 年 生 草 本13種(20.3%)、
ツル植 物3種(4.7%)、 シ ダ植 物22種(34.4%)だ った 。 木 本 層 、 草 本層 、着 生 層 、裸 地 の 群 落 組 成 は表2、3、4、5に それ ぞれ 示 す 。 優 占種 に は ア ス タ リス ク を付 して 区別 した 。
各植 生 プ ロ ッ ト間(標 高 ×2期(2007年 と2017年))の 植 物 群 落 の組 成 を比較 す るた めDCA 法 に よ る2次 元 展 開 を行 った(図4)。DCAは 木 本 層(P1〜P5)、 草 本 層(Pl〜P5、P4‑50(17)
は一 部 が 崩 壊 した た め 、崩 壊 した場 所 に 隣 接 した裸 地 に 設 定 したG6‑50(17)を 合 わせ て解 析 した)、 着 生 層(Pl〜P5)、 裸 地(Gl〜G8、 比 較 の た めP2の 木 本 層 と草 本層)を それ ぞれ 比 較 した 。
・木 本 層
木 本 層 に お け る解 析 の 結 果 を 見 て み る とPl‑90(07)、Pl‑90(17)、P2‑75(07)、P2‑75(17)、P3‑
50(07)、P3‑60(17)、P4‑50(17)は 近 接 して お り、比 較 的 類 似 して い る こ と が 示 唆 され た(図2a)。
P4‑30(07)、P5‑04(17)、P5‑06(07)は そ れ ぞ れ 離}τて お り、 異 な る群 落 組 成 を 持 っ こ と が 示 唆 さ れ た 。P5は ア カ パ ラ に 設 定 し た 植 生 プ ロ ッ トで あ る が 、異 な る 場 所 に 設 定 し た た め と考 え ら れ る 。特 にPl‑90(07)、Pl‑90(17)とP3‑50(07)、P4‑50(17)は 同 じ場 所 で の 調 査 で あ り、木 本 層 は 10年 間 の 群 落 組 成 に 大 き な 変 化 が な か っ た こ と を 示 す 。 ま た 、DCAの1軸 は 標 高 と の 相 関 関係 が 示 唆 さ れ た(図2b)。 こ の 図 か ら 、Pl‑90(17)、P2‑75(17)、P1‑90(07)、P1‑75(07)と い う コ ブ ガ シ ・エ ダ ウ チ ヘ ゴ 群 落 、P3‑60(17)、P4‑50(17)、P3‑50(07)か ら な る コ ブ ガ シ 群 落 、P4‑30(07) は チ ギ ・オ オ バ シ ロ テ ツ 群 落 、P5‑04(17)、P5‑06(07)の ア カ テ ツ ・セ ン ダ ン 群 落 の4つ の 木 本 層 の 群 落 が 区 分 で き た 。 ま た 、 標 高 に 沿 っ て 群 落 の 生 活 形 の 違 い を 見 て み る と 、 山 頂 付 近 で は 常 緑 高 木 種 、 常 緑 低 木 種 、 シ ダ 植 物 が 共 存 し、 標 高 が 下 が る と シ ダ 植 物 と 常 緑 低 木 種 の 優 占 度 が 低 下 し、 常 緑 高 木 種 の 優 占度 が 高 く な っ た(図2c〜f)。 低 標 高 で は 常 緑 高 木 種 の 優 占 度 が 低 下 し、 落 葉 高 木 種 の 優 占 度 が 増 して お り、 標 高 に 沿 っ て 生 活 形 に 基 づ く3つ の 植 生 タ イ プ が 見 て 取 れ た 。Pl‑90(17)、P2‑75(17)は コ ブ ガ シ と エ ダ ウ チ ヘ ゴ が 優 占 、P3‑60(17)、P4‑
50(17)は コ ブ ガ シ が 優 占 、P4‑30(07)は チ ギ と オ オ バ シ ロ テ ツ 、P5‑04(17)は ホ ソ バ ヤ ロ ー ド、
ア カ テ ツ 、 タ コ ノ キ が 優 占 種 と な っ て い た(表2)。
・草 本 層
草 本 層 は 、Pl‑90(07)、Pl‑90(17)とP3‑50(07)、P3‑60(17)、P4‑50(17)、P4‑30(07)は 近 接 し て お り群 落 組 成 が 類 似 して い た(図3a)。 一 方 、異 な る 場 所 で 調 査 し たP2‑75(07)、P2‑75(17)とP5‑
06(07)、P5‑04(17)は 異 な っ て い た 。ま た 、P4‑50(17)の 一 部 が 崩 壊 し た 箇 所 に 隣 接 し たG6‑50(17) はP4‑50(17)の 草 本 層 の 群 落 組 成 は 大 き く 異 な っ て い た 。DCAの1軸 と標 高 と の 相 関 関 係 は 見 られ な か っ た(図3b)。 林 床 の 群 落 組 成 は 、 調 査 箇 所 に よ ら ず 多 年 生 草 本 や シ ダ 植 物 の 優 占 度 が 高 か っ た(図3c〜f)。Pl‑90(07)とPl‑90(17)は 、 多 年 生 草 本 の ウ ミ ノ サ チ ス ゲ 、 シ ダ 植 物 の ム ニ ン ヒ メ ワ ラ ビ を 共 通 の 優 占 種 と して い た 。P3‑60(17)、P4‑50(17)、P4‑30(07)は シ マ オ オ タ ニ ワ タ リが 林 床 で 優 占 して い た 。
・着 生 層
着 生 層 は 、P5‑06(07)やP5‑04(17)は 見 られ ず 、P4‑30(07)以 上 の 標 高 で 見 ら れ た 。Pl‑90(17)は 21種(14.0種/100m2)、P2‑75(17)は4種(16.0種)、P3‑60(17)は6種(12種)、P4‑50(17)は7
種(9.3種)、P4‑30(07)は1種(1.3種)と い う よ うに 標 高 が 下 が る に し た が っ て 種 数 が 減 少 す る 傾 向 が 見 られ た 。DCAに よ る 展 開 図 を み る とP3‑50(07)とP4‑50(17)は 群 落 組 成 が 類 似 し て い た が 、P2‑75(07)は む し ろP4‑50(17)と 類 似 し て お り、P2‑75(17)と は 異 な っ て い た(図6a)。
Pl‑90(17)は 、Pl‑90(07)と 比 較 して 常 緑 低 木 種 の 割 合 が 減 る な ど 大 き く 異 な っ て い た(図6f)。
山 頂 部 は 他 の 植 生 プ ロ ッ ト と着 生 層 に 常 緑 低 木 種 が 見 ら れ る な ど相 対 的 に 異 な っ て い た 。 DCAの1軸 は 標 高 と 相 関 が 見 ら れ た(図6b)。 着 生 層 の 群 落 組 成 は 標 高 に よ らず 、 多 年 生 草 本 や シ ダ 植 物 に よ り特 徴 付 け られ て い た 。P3‑50(07)とP4‑50(17)と は 共 に シ マ オ オ タ ニ ワ タ リ、 ホ ソ バ ク リハ ラ ン が 優 占 して い た 。Pl‑90(17)はPl‑90(07)と 比 較 して ウ ミ ノ サ チ ス ゲ 、 ナ ン カ イ シ ダ 、 タ マ シ ダ が 共 に 優 占 し て お り類 似 性 も あ っ た が 、Pl‑90(17)は シ マ イ ズ セ ン リ ョ ウ 、 オ ガ サ ワ ラ モ ク マ オ な ど の 常 緑 低 木 種 の 割 合 が 減 少 して い た 。
・裸 地
コル 付 近 か ら登 山 口 にま で 達 す る大 崩壊 が発 生 し、登頂 ル ー ト沿 い に崩 壊 地 の痕 跡 が残 さ れ て い た こ とか ら、2007年 に調 査 した 時 よ り も大 き く拡 大 して い た た め 、可能 な 限 り崩 壊 地 の 内部 に入 り裸 地 の 調 査 を行 った 。裸 地 は崩 壊 地 の他 に岩 礫 地 の ノ ボ タ ン群 落P2‑70(17)と 山 頂 部 の ス ス キ の風 衝 草 地Gl‑90(17)を 含 む 。DCAに よ る組 成 の比 較 に あ た っ て は 、Gl〜G8
まで の裸 地 にお け る調 査 と草 本層 にナ ンバ ンカ ラム シが優 占 し、比較 的遷 移 の初 期 段 階 を示 す と考 え られ たP2の 木 本 層P2‑75(07)t、P2‑75(17)tと 草 本 層P2‑75(07)h、P2‑75(17)hも 合 わせ て 解 析 した 。DCAに よ る2次 元 展 開 の 結 果 を図7aに 示 す 。DCAの1軸 の 中 央 部 に崩 壊 地 に 設 定 したGl〜G8、 ノボ タ ン群 落 のP2‑70(17)と ス ス キ群 落 のGl‑90(17)が 両側 に位 置 した。
DCAの1軸 と標 高 とは 相 関 が 得 られ な か っ た(図7b)。 崩 壊 地 が形 成 され 場 所 で は 、通 常 の 遷 移 で 見 られ る よ うに一 年 生 草 本や 多 年 生 草 本 が侵 入 して い た(図7c、d)。 一年 生 草 本 で は オ オ バ ナ セ ン ダ ン グサ 、 タ ケ ダ グサ 、多年 生 草 本 で は ス ス キ の よ うに 特 徴 的 に優 占す る少 数
の種 群 が 見 られ た 。 一方 で 一年 生 草本 で は オ オ ア レチ ノ ギ ク 、オ ニ タ ビ ラ コ、 ナ ン カ イ ウス ベ ニ ニ ガ ナ 、多年 生草本 ではイガガヤツ リ、ウ ミノサチスゲ、ナ ンバ ンカラムシな ど標 高に
よ らず 広 く見 られ る種 が 多 か った(表5)。
3‑1‑2.群 落 構 造
・10年 間 の 群 落 構 造 の 変 化
標 高 別 の 木 本 層 の 群 落 構 造 に つ い て は 、2007年 の デ ー タ と共 に 表2に 示 す 。調 査 箇 所 や 調 査 面 積 が 異 な る の で 正 確 な 比 較 は 難 しい が 、 標 高 の 低 いP5‑04(17)は 、MAXDBHが17.Ocm
やMAXH(最 大 高)が4.6mと2007と 同 様 に も っ と も 小 さ く な っ て い た 。 他 の 標 高 域 で は MAXDBHは22.Ocm〜40.Ocmと 異 な っ て い た 。MAXHも3.2m〜8.Omま で と 異 な っ て い た 。 特 に コ ブ ガ シ 林 は 標 高 に よ ら ず7.Om〜8.Omと 群 落 高 が 高 く な っ て い た 。幹 数 密 度(本/100m2)
は 、10年 前 と 比 較 が で き るPl‑90(07)、Pl‑90(17)とP3‑50(07)、P4‑50(17)を 見 て み る と そ れ ぞ れ51.7本 か ら109.3本 、79.0本 か ら107.0本 と 増 加 し て い た 。 ま た 、BA(m2/ha)は 、Pl‑90
は60.7か ら79.0と 増 加 して い る の に 対 して 、P3‑50(07)、P4‑50(17)は74.5か ら63.9と 減 少 し て い た 。 優 占 種 数 は 、Pl‑90(07)、Pl‑90(17)で 共 に2種 、P3‑50(07)、P4‑50(17)で1種 と 変 わ ら な い が 、 単 位 面 積 当 た りの 種 数(/100m2)は 前 者 で は2.3種 か ら4.0種 、 後 者 で は5.0種 か ら 8.0種 と増 加 し て い た 。 多 様 性 指 数(H')はPl‑90(07)、Pl‑90(17)に お い て1041か ら1.084と 増 加 した が 、P3‑50(07)、P4‑50(17)で はO.349か ら0.308と 減 少 し た 。均 等 度(E)は 、Pl‑90(07)、
Pl‑90(17)は0.535か ら0.605に 増 加 し、P3‑50(07)、P4‑50(17)で は 、0217か ら0.191に さ ら に 減 少 した 。
・標 高 に沿 った 群 落 高 の 変 化
図8に 主 要 な種 群 とそ の 生 活 形 ご との標 高別 の樹 高 変化 を示 す。 登頂 ル ー トに 沿 っ て い る た め、崩 壊 地や 風 衝 尾 根 な どを通 るた め デ ー タ に影 響 が あ っ た。 す な わ ち、 崩壊 地 を通過 す る低 標 高 域 の デ ー タが 欠 測 し、 風衝 尾根 を通過 す る700m付 近 で低 くな っ て い た。 種 群 は お お む ね 高 標 高 に分 布 す る種 か ら低 標 高 に 分布 す る種 ご と に並 べ た 。DCAに よ る解 析 か ら木 本 層 は、山頂 か らコブ ガ シ ・エ ダ ウチ ヘ ゴ群 落 、コブ ガ シ群 落 、チ ギ ・オ オバ シ ロテ ツ群 落 、 アカ テ ツ ・セ ンダ ン群 落 が 見 られ る こ とが示 唆 され た。 す な わ ち、低 木 種 の分 布 な ど も考 慮 に入 れ る と コブ ガ シ ・エ ダ ウチ ヘ ゴ群 落 は600m〜900m、 コ ブガ シ群 落 は400m〜600m、 チ ギ ・オ オ バ シ ロテ ツ群 落 は300m〜500m、 アカ テ ツ ・セ ン ダ ン群 落 は300m以 下 に な る と推 察 され た 。 常 緑 高 木 種 で あ る コブ ガ シは400m以 上 で 林 冠 を構 成 す る種 とな っ て い る が 、 立 地 や 競 争 関係 に よ り樹 高3.6mか ら8.Omま で 大 き く変 動 した 。同様 にチ ギ は3.Omか ら8.5m、
オ オ バ シ ロテ ツ は3.Omか ら7.5mと 変 動 した。 一 方 、 常緑 低 木 種 で あ る ピサ カ キ(22m〜
5.Om)、 トキ ワイ ヌ ビワ(2.Om〜5.5m)、 シマ イ ズセ ン リ ョ ウ(1.5m〜3.Om)は 常緑 高木 種 と 比 べ 大 きな 変 動 を示 さな か った。低 標 高 に 分布 す るア カ テ ツや セ ン ダ ン は他 の地 域 で は 高木 種 と な る種 群 で あ るが 、 樹 高 は5m以 下 で あ っ た。 タ コ ノキ は低 標 高 で は ア カ テ ツや セ ン ダ
ン な ど と林 冠 を共 有 して い る が 、高 標 高 に い く と林 内 で階 層 を分 け て共 存 し、600m付 近 ま で 見 られ た 。
・10年 間 の 更 新 状 況 の 変 化
10年 間 の 比 較 が 可 能 な 山 頂 部 の コ ブ ガ シ ・エ ダ ウ チ ヘ ゴ群 落 のPl‑90(07)、Pl‑90(17)と コ ル 付 近 の コ ブ ガ シ 林 のP3‑50(07)、P4‑50(17)に お け る 群 落 の 更 新 状 況 を 直 径 階 分 布 を 使 っ て 比 較 した(図9)。 主 幹 と 萌 芽 幹 を 区 別 し て 示 し た 。 そ れ ぞ れ の 群 落 全 体 はDBHが5cm以 下 の 小 さ な 個 体 が 最 も 多 く サ イ ズ が 大 き く な る ご と に 徐 々 に 減 少 し て い く 安 定 し た 更 新 を 示 す 1nverse‑J型 の パ タ ー ン を 示 し た 。 群 落 を 構 成 す る 各 種 の 更 新 状 況 を 以 下 に 示 す 。
コ ブ ガ シ は 、P3‑50(07)、P4‑50(17)で は 共 にlnverse‑J型 を示 し た 。 ま た 、 多 く の 萌 芽 幹 見 ら れ た 。 一 方 、 山 頂 部 で は 、Pl‑90(07)はinverse‑J型 を 示 した が 、Pl‑90(17)は 小 さ な 稚 樹 個 体 が 減 少 し、 飛 び 石 上 の パ タ ー ン を 示 すSporadic型 の 不 安 定 な 更 新 状 況 に な っ て い た 。 ピ サ カ キ は 、 コル 付 近 で は 見 られ な か っ た 。 山 頂 部 で は 共 にinverse‑J型 を 示 し た 。 トキ ワ イ ヌ ビ ワ も 基 本 的 に はhnverse‑J型 を 示 し た が 、Pl‑90(17)は 個 体 数 が 増 加 して い た 。 一 方 、P4‑50(17)で は 個 体 数 が 減 少 して い た 。 シ マ イ ズ セ ン リ ョ ウ も トキ ワ イ ヌ ビ ワ と 同 様 の 傾 向 を 示 し、Inverse‑
J型 で あ る が 、 山 頂 で 個 体 数 は 増 加 し、 コ ル で は 減 少 した 。エ ダ ウチ ヘ ゴ は 、共 にSporadic型 を 示 す が 、Pl‑90(17)で はDBH40cmや50cmの 大 き な 個 体 が 消 失 して い た 。
・標 高 に沿 った 常 緑 広 葉 樹 の リー フサ イ ズ
常 緑 広 葉 樹 は気 温 の 低 下 な どの 環 境 ス トレス へ の 生 態 学 的 な適 応 と して リー フ サ イ ズ 、葉 比 重SLW、 芽 タイ プ 、分 枝 様 式 な どの 形 態 学 的 特 性 と して 現 れ るだ け で な く、階層 構 造 、遷 移 、植 生 帯 な ど生態 学 的特 性 と して も対 応 関係 が知 られ て い る。 そ こで 、 南硫 黄 島 に お け る 標 高 傾 度 に と も な う常 緑 広 葉 樹 の 環 境適応 を理 解 す るた め 、主 要 な9種 の リー フ サ イ ズや 重 さ、SLWを 求 めた 。 ま た 、群 落 構造 上 の位 置 を 明 らか にす る た め標 高 とSLWと の 関係 に つ い て 相 関 をみ た 。 主 要 な9種 の葉 形 を 図10に 示 す 。 リー フサ イ ズ は葉 位 を 区 分 し測 定 を し た が 、 うち成 熟 葉 で は な い葉 は角斬 か ら除 外 した 。 測 定 した葉 面積 の 平均 か ら リー フ サ イ ズ
ク ラス 、す な わ ち 小 形葉(㎡crophyll)(225‑20255mm2)、 亜 中形 葉(notophyll)(20254500mm2)、
中形 葉(mesophyll)(4500‑182255mm2)に した が い葉 面積 の 平 均値 で 区 分 した と ころ 、 ピサ カ キ、 チ ギ 、 シマ モ クセ イ は小 形 葉(microphyll)、 シ マ イ ズ セ ン リ ョウ、 コブ ガ シ 、 ア カ テ ツ、 ホ ソバ ヤ ロー ドは亜 中形 葉(notophyll)、 オ オバ シ マ ム ラサ キ 、オ オ バ シ ロテ ツ は 中 形葉 (mesophyll)に 区分 され た 。 この 区分 に 基 づ い て 各植 生 プ ロ ッ トに お け る優 占度 に よ る リー フサ イ ズ スペ ク トラ を図llに 示 す 。標 高 に よ らず 亜 中 形葉 の優 占度 が 各植 生 プ ロ ッ トで も っ とも高 か った 。小 形 葉 はPl‑90、P2‑75、P3‑50で わず か に見 られ 、P4‑30で59.0%と 最 も高 か った 。 中形 葉 はP3‑50(07)、P3‑60(17)、P4‑50(17)、P4‑30(07)で 見 られ た。
葉 面 積 と重 さ との 関係 を図12aに 示 す 。SLWは 葉 の厚 さの指 標 とも な る。SLW(gicm2) が0.Olと 比 較 す る と、 ピサ カ キ 、チ ギ、 シ マ モ クセ イ 、 ホ ソバ ヤ ロー ドはSLWが0.Olに 近
く、中間 的 で あ っ た。コ ブ ガ シや ア カテ ツ は 、SLWが 大 き く葉 が 厚 か った 。オ オ バ シ ロテ ツ 、 オ オ バ シマ ム ラサ キ は葉 面 積 は 大 きい がSLWは 小 さ く葉 が 薄 か っ た。 この よ うな葉 特 性を もつ 種 群(常 緑 高木 種 、常 緑 低 木 種)が どの よ うに標 高 に 沿 っ て 分布 して い た か を 図12bに 示 す 。SLWが 高 い グル ー プ(ア カ テ ツ 、 コブ ガ シ 、 ヒサ カ キ)と 低 い グル ー プ(ホ ソバ ヤ ロ ー ド、 チ ギ 、 オ オバ シ ロテ ツ 、オ オ バ シマ ム ラサ キ、 シ マ イ ズ セ ン リ ョウ)の2つ の グル ー プ に 区分 で きた 。2つ の グル ー プ に は 常 緑 高 木 種 と常 緑低 木 種 が含 まれ るが 、 常緑 高木 種 の 方 がSLWが 高 か っ た。2つ の グル ー プ は標 高 が 高 くな る とSLWが 減 少 してい た 。
4.考 察
4‑1.10年 間 の群 落 組 成 の変 化
2007年 と2017年 の植 生 調 査 の結 果 をDCAを 用 い て組 成 の違 い を 比較 した。 た だ し、前 回 の調 査 ル ー トと一 部 異 な るた め2007年 に調 査 を行 っ たP2‑75(07)、P4‑30(07)、P5‑06(07)は
同 じ場 所 で 調 査 で き なか った た め10年 間 の 比 較 は行 え な か っ た。 した が っ て 、Pl‑90(07)、
Pl‑50(17)とP3‑50(07)、P4‑50(17)と の 問 で の み10年 間 の組 成 の違 い を木 本 層 、 草 本層 、着 生 層 を 区分 して 比 較 した 。標 高 に沿 っ て調 査 プ ロ ッ トを設 定 して い るた め、標 高 に よ る組 成 の 違 い と10年 間 の2日 寺期 の相 対 的 な違 い を比 較 した。2007年 の調 査 で は 、標 高傾 度 に 沿 っ て 木 本 層 は コブ ガ シ ・エ ダ ウチヘ ゴ林 、 チ ギ ・オ オ バ シ ロテ ツ林 、 セ ンダ ン ・ア カ テ ツ林 の3 つ の植 生 タイ プ に 区分 され た(朱 宮 ら、2008)。2017年 の 調 査 にお い て も3つ の植 生 タ イ プ が 区分 され 、かつPl‑90(07)、Pl‑50(17)及 びP3‑50(07)、P4‑50(17)は 互 い に近 接 して お り、類 似 して い た こ とか ら標 高傾 度 に伴 う群 落組 成 に大 きな 変容 は な か っ た と考 え られ た。 草 本層 も 同様 でPl‑90(07)、Pl‑50(17)及 びP3‑50(07)、P4‑50(17)は 近接 して お り、 大 き な違 い は な か っ た 。 た だ し、P4‑50(17)の 一 部 が コル の上 部 で 発 生 した 大 崩 壊 に よ り消 失 し、裸 地 が形 成 され て い た 。 この大 崩 壊 の発 生 は 、林 内 と林 外 の コブ ガ シ の稚 樹 の年 枝 長 の 比較 か ら2年 前 く ら い の新 しい 崩 壊 で あ る と推 察 され た(朱 宮 、未 発 表 デ ー タ)。林 内 の 草 本層 の優 占種 は シ マ オ オ タニ ワ タ リだ が 、 同 じ場 所(G6‑50(17)やG7‑50(17))の 裸 地 の優 占種 は林 分 に近 接 す る場 所 で はナ ンバ ン カ ラム シ 、25m離 れ 明 るい 場 所 だ とム ニ ン ヒメ ワ ラ ビが 優 占種 とな っ て い た 。裸 地 の構 成 種 は 明 る さや 立地 条 件 に よ り、優 占種 に違 い が 見 られ るが 、 随伴 す る構 成 種 は一 年 草 本 で は、 オ ニ タ ビ ラ コ、 ケカ タバ ミ、 ナ ンカ イ ウス ベ ニ ニ ガ ナ 、 多年 生 草 本 で はイ ガ ガ ヤ ツ リ、 ウ ミ ノサ チ ス ゲ 、エ ダ ウチ チ ヂ ミザ サ 、 ナ ンバ ンカ ラム シ 、 シ ダ植 物 は オ ガ サ ワ ラハ チ ジ ョ ウシ ダ 、 ム ニ ン ヒ メ ワ ラ ビな ど共 通 の種 群 も見 られ 比 較 的 類 似 して い た。G6‑
50(17)の 草 本層 の群 落組 成 はG4‑50(17)と は 大 き く異 な っ て い た が 、崩 壊 に よ る影 響 と考 え ら れ た 。 一方 、着 生 層 は、標 高 が 上 が るに つ れ て種 数 や 草 本層 種 数 に対 す る着 生層 種 数 の割 合 が 増加 す る こ とが 知 られ て い る(梶 ・滝 口、1983;朱 宮 ら、2008)。 今 回 の調 査 か らも 、Pl‑
90(17)、P2‑75(17)、P3‑60(17)、P4‑50(17)と標 高 が 下 が るに つれ て14.0種(/100m2)、16.0種(調 査 面 積 が 小 さい た め)、12.0種 、9.3種 とお お む ね 同 様 の傾 向 が 見 られ た 。 大崩 壊 が あ っ た も
の のP3‑50(07)とP4‑50(17)1ま シ マ オ オ タニ ワタ リとホ ソバ ク リハ ラ ンの優 占度 が 高 く組 成 に
大 き な違 い は なか った が 、Pl‑90(07)とPl‑90(17)は 、優 占種 や 構 成 種 が大 き く異 な って い た 。 す な わ ち、優 占種 は シ ダ植 物 の ナ ンカイ シ ダ 、ホ ソバ ク リハ ラ ン、 多年 生 草 本の ウ ミ ノサ チ
ス ゲで 変 わ りは なか った が 、2007年 に 見 られ た 常緑 低 木 の シマ イ ズセ ン リ ョ ウ、オ ガ サ ワラ モ クマ オ は見 られ なか った 。2007年 に 見 られ な か っ た一 年 生 草 本のイ ヌ ホ オ ズ キ 、オ ニ タ ビ ラ コ、 多年 生 草 本 の ヌ マ ダ イ コ ン、エ ダ ウチ チ ヂ ミザ サ 、 ナ ンカ イ シ ュス ラ ン、 シ ダ植 物 の シマ キ ク シ ノブ 、 イ ワガ ネ ゼ ンマ イ 、 ム ニ ン ヒメ ワ ラ ビ、 ユ ノ ミネ シダ 、 ナ ン カ ク ラ ン な ど が 見 られ 種 数 が 増加 して い て い た 。Pl‑90(17)の 群 落 断 面 図 を見 る と、P3‑50(17)の コブ ガ シ林
の よ うに林 冠 が 常 緑 高 木 種 の コブ ガ シの 樹 冠 が 隣 接 し うっ 閉 して い るの で は な く、 コブ ガ シ は点 在 し、 そ の 間 を埋 め る よ うに常 緑 低 木 種 の ピサ カ キや トキ ワイ ヌ ビワ、 エ ダ ウチヘ ゴが 占有 して い た 。ヘ ゴ科(Cyatheaceae)の 分布 は熱 帯 雲霧 林 の 分布 と よ く一 致す るた め雲 霧 林 の指 標 とされ て い る(StadtmUller,1987)。 北硫 黄 島 の標 高別 の気 温 デ ー タ か ら、南硫 黄 島 の雲 霧 林 は暖 温 帯 に相 当す る こ とが 推 定 され て お り、い わ ば 照葉 樹 林 に成 立 したヘ ゴ林 とい え る。
奥 富(1984)に よれ ば 、 山頂 の コブ ガ シー コ クモ ウ ク ジ ャ ク群 落 で は 、林 冠 は暴 れ 木 的 な 樹 形 を持 った コブ ガ シが圧 倒 的 に優 勢 で 、エ ダ ウチ ム ニ ンヘ ゴ とか ピサ カ キ な どを わず か に 交 え る に過 ぎ ない 。低 木 層 に は シ マ イ ズ セ ン リ ョウや トキ ワイ ヌ ビ ワが 出 現 して い る が劣 勢 で あ る。 草 本層 は ウ ミノサ チ ス ゲ な どの種 子 植 物 も若 干 は 出現 す るが 、全 く とい っ て よ い ほ どシ ダ植 物 の世 界 で あ る。 コ クモ ウ クジ ャ ク 、 ホ ソバ シ ケチ シ ダ、 シ マ オ オ タニ ワタ リ、 オ ガ サ ワ ラハ チ ジ ョウ シ ダ、セ イ タ カ ヒメ ワ ラ ビな どの大 型 の シ ダが 優 勢 に生 育 して い る。着 生植 物 は癬 苔 類 ばか りで な く、ノボ タ ン、ウ ミノサ チ ス ゲ、シ マ ゴシ ョウな どの種 子 植 物 や 、 タマ シ ダ、 ホ ソバ ク リハ ラ ン 、ナ ンカ イ シ ダ な どの シ ダ植 物 も着 生 して い る の が 見 られ る と して い る。
山頂 部 の群 落 組 成 に関 して は、優 占種 の 変 容 ま で には 至 っ て い な い が 、1984年 や2007年 と比 較 して 着 生 層 や 草 本 層 にお い て 大 き く変化 して い る と考 え られ た。 また 、群 落 構造 上 も コ ブガ シが 減 少 し、 下 層 の 常 緑 低 木 種 が 上 層 ま で優 占 して く るな ど10年 で 大 き く変化 した と考 え られ る。低 木 種 群 が密 生 して い るた め 草 本層 は 暗 く大 き な群 落組 成 の変 化 は な か っ た。
た だ し、Pl‑50(17)の土 壌 水 分 の 平 均 は 表層(12cm)で45.8%か ら23.8%、 下層(20cm)で40.30/, か ら2L8%と 減 少 して い た 。 ま た 、 山頂 付 近 に は コブ ガ シ の枯 れ か け た個 体 が 見 られ た(図 13)。 雲霧 林 は雲霧 の状 態 に依 存 す る きわ めて 脆 弱 な生 態 系 で あ り、 こ こ10年 間 の コブ ガ シ 林 の変 化 は南 硫 黄 島 にか か る雲霧 の 状 況 を反 映 して い る もの と考 え られ 、雲 霧 の頻 度や 継 続 時 間、 化 学 物 質 の 飛 来 な ど を気 象 測器 を用 い て継 続 的 に モ ニ ターす る必 要 が あ る。
4‑2.遷 移
今 回 の調 査 で は、 コル 付 近 を基 点 とす る大 規 模 な崩 壊 が 見 られ 、ル ー トも一部 迂 回 して お り前 回 と異 な る。 崩 壊 の正 確 な発 生 年 は わ か らない が 、500m付 近 の林 床 の稚 樹 の崩 壊 地 と 林 内で の年 枝 の 伸 長 を比 較 す る と林 内 で は 当年 枝 、1年、2年が そ れ ぞ れ52cm、3.Ocm、2.3cm、
2.5cmに 対 して 、崩 壊 地 で は14.8cm、29.Ocm、13.5cmと な っ てお り、 こ こ数 年 の崩 壊 で あ る
と推 定 され た 。 そ こで 、 崩 落 地 の植 生 を把握 す るた め500m付 近 を 中心 に崩 壊 地 に沿 って8 っ の植 生 プ ロ ッ トを設 置 した。 た だ し、標 高 の 低 い プ ロ ッ トはG8‑30(17)の み な の で 、 主 に 500m以 上 の雲 霧 林 内 で の遷 移 を検 討 す る こ とに な る。 今 回 の崩 壊 は基 岩 が 露 出 して い る場 所 も あ り、深 層 崩 壊 に 相 当す る。 した が っ て 、表 層 の 埋 土 種 子 は流 出 して い る と考 え られ 、 一 次 遷 移 に近 い と考 え られ る
。DCAに よ る 区分 で は 、 ス ス キ群 落 のGl‑90(17)、 ノボ タ ン ・ ヒサ カ キ群 落 のP2‑70(17)と 崩 壊 地 のG3‑60(17)、G4‑50(17)、G5‑50(17)、G6‑50(17)、G7‑50(17)、
G8‑30(17)に 大 き く3つ 区 分 され た。 この こ とは 、DCAl軸 に 沿 っ て崩 壊 後 の遷 移 が 一年 生 草 本 の侵 入 か ら始 ま り、 多年 生 草 本 、低 木 、 高 木 の よ うに順 次 生活 形 が入 れ 替 わ りな が ら侵 入 定 着 す る遷 移 系 列 と、一 年 生 草 本 の侵 入 後 多年 生 草 本 の ス ス キ群 落 が維 持 され る場 合が あ る こ とを示 して い る と思 わ れ る。調 査 地 点 が 少 な く南硫 黄 島 に お け る一般 的 な遷 移 を 系列 と し て 明 らか にす る こ と は難 しい が 、観 察 に よ る結 果 も踏 ま えて推 定 す る。
図14は 植 生 調 査 か ら推 定 した 初 期遷 移 の構 成 種群 で あ る。 す で に数 年 が経 過 して い る こ とか ら、裸 地 に侵 入 した 種 群 は一 年 生 草 本 、 多年 生 草本 、 落 葉 低 木 、落 葉 高木 、 常 緑 低 木 、 常 緑 高 木 、 シ ダ植 物 な ど多様 な 生活 形 が 見 られ た。 オ オ バ ナ セ ン ダ ン グサ 、 タケ ダ グサ 、 ナ
ンカ イ ウス ベ ニ ニ ガ ナ とい った 一 年 生 草 本 が優 占す るプ ロ ッ ト、ナ ンバ ンカ ラ ム シ、エ ダ ウ チ チ ヂ ミザ サ とい った 多 年 生 草 本が優 占す るプ ロ ッ ト、シ ダ植 物 の ム ニ ン ヒメ ワラ ビが優 占 す るプ ロ ッ トが 見 られ た 。 これ らの種 群 の侵 入 の タイ ミン グ は不 明だ が 、侵 入 定着 の速 度 や そ の後 の定 着 様 式 、 最 大 高 な どか ら一年 生 草本 、多 年 生 草 本 、 落 葉低 木 、 落葉 高 木 、 常緑 低 木 、常 緑 高 木 とい うよ うに遷 移 の進 行 と と もに種 群 が 置 き換 わ るの で は な い か と考 え られ た。
一 年 生 草 本で は
、 シ ン ク リノイ ガや オ オ ア レチ ノ ギ ク、 オ オ バ ナ セ ン ダ ン グ サ とい っ た外 来 種 が 見 られ た 。 ま た 、初 期 の段 階 か らシ ダ植 物 が 定 着 して い るの も特 徴 で あ り、 これ らの種 群 は森 林 が 形 成 され た 後 も林 内で 見 られ る。 山頂 付 近 の ス ス キ草 地 は 、奥 富(1983)に も報 告 され て お り、 風 衝 草 地 と して35年 経 過 して維 持 され て い る。 山頂 付 近 に も崩 壊 地 が 見 ら れ 、 一年 生 草 本 の外 来 種 の オ オ ア レチ ノギ ク 、多 年 生 草 本の ウ ミノサ チ ス ゲ 、 イ オ ウ トウキ イ チ ゴや ムニ ン ヒ メ ワ ラ ビが 見 られ た こ とか ら、 山頂 部 付 近 の初 期 遷 移 で も一 年 生 草 本 、 多 年 生 草 本、 シ ダ植 物 が 見 られ た 。
小 笠 原 諸 島 にお け る一 般 的 な 初 期遷 移 系 列 に関 して は あ ま り報 告 が な い が 、森 林 に お け る 初 期 遷 移 に 関 して は多 くの研 究 が あ る。父 島 の裸 地 に侵 入 す る ムニ ン ヒメ ツバ キ、 リュ ウキ ュ ウ キ ュ ウマ ツ は、そ の 後 も林 冠 に 達 し初 期 に侵 入 した種 群 に よ り森 林 が維 持 され る こ とを 報 告 して い る(清 水 、1989)。 リュ ウキ ュ ウマ ツ の一 斉 枯 死 後 の林 床 植 生 に 関 して は 、標 高 、 地 形 、 そ の 後 の 台風 被 害 の程 度 、圏 妾す る植 生 、 ノヤ ギ の影 響 な どの影 響 で 多様 な優 占種 か らな る こ とを示 して い るが 、 うち ノヤ ギ が 多 い と ころ で よ く見 られ る種 群 は エ ダ ウチ チ ヂ ミ ザ サ 、 カ タバ ミ、 キ ダチ ハ マ グル マ 、 カ ッ コア ザ ミな どが 多 く見 られ る こ とを報 告 して い る (清水 、1987)。 この よ うに 、他 の小 笠 原 諸 島 で は外 来 種 の影 響 を強 く受 け てい る た め 、本 来 の初 期 遷 移 の状 態 を把 握 す る こ とは難 しい 。南 硫 黄 島 は一 部 外 来 種 が 侵 入 して い るが 、南 硫 黄 島 の よ うに比 較 的 成 立 年 代 が 新 し く侵 入 種 が 限 られ て い る海 洋 島 にお け る本 来 の 初 期 遷
移 の把握 は保全上の重要性 も高い と考 えられ る。 また、南硫 黄島の植 生は こ うした崩壊 と復 元 を経て形成 されてい ると考 えられ、標 高や地形 に よる植 生の分化 のメカニズムを把握す る 上で も重要 な情報 とな る。
4‑3.リ ー フサ イ ズ
常 緑 広 葉 樹 の 形 態 的 特 性、す な わ ち芽 タ イ プ 、 リー フサ イ ズ、 樹 木 の 樹 皮 、分 枝 様 式 な ど の属 性 は、群 落 レベ ル の構 造 す な わ ち 階層 構 造 、遷 移 、植 生 帯 とい っ た 生態 学 的 な位 置 に現 れ て く る こ とか ら環 境傾 度 に伴 う群 落 の 分 化 を考 え る上 で 指標 とな る(Ohsawa&NiUa,1997)。
緯 度 傾 度 でみ る と熱 帯 、亜 熱 帯 、暖 温 帯 と緯 度 が 高 くな るに つ れ て 中形 葉(Mesophyll)、 亜 中形 葉(Notophyll)、 小形 葉(Microphyll)の 種 数 が増 加 す る(Tang,2015)。 亜熱 帯 の 山 岳 の 標 高 傾 度 に沿 った リー フサ イ ズ ス ペ ク トラ をみ る と、標 高 が 高 くな る につ れ 、小 形 葉 の優 占 度 が 増 す 。林 冠 は亜 中形 葉 の優 占度 が高 い が、 亜 高木 層 や 低 木 層 で小 形 葉 が優 占 して い る こ とが 報 告 され て い る(Tang&OhSawa1999;Tang2015)。 今 回 の 結 果 か ら、500m〜 山頂 ま で の 変 化 をみ る と、500m付 近 で は亜 中形 葉 が多 く、 わず か に 中形 葉 が 混 ざ る。750m付 近 で は、
亜 中形 葉 が 多 い が 中形 葉 は見 られ な くな り、代 わ りに小 形 葉 が わ ず か に見 られ る。 山頂 も同 様 の傾 向 を示 し、 他 の亜 熱 帯 にお け る傾 向 とも一 致 した。 た だ し、300mで は 小形 葉 と中形 葉 、 沿 岸 部 で は亜 中形 葉 が優 占 し、 一般 的 な傾 向 とは 異 な っ て い た。
また 、 葉 面 積 と重 さの 関係 か らSLWがO.Ol(9tcm2)よ りも中形 葉 の オ オ バ シ ロテ ツ 、 オ オ バ シマ ム ラサ キ は小 さ く葉 の 厚 さ薄 く、ア カ テ ツや コブ ガ シ は 大 き く葉 が厚 い こ とが わ か った(図12)。 標 高 に 沿 っ た分 布 を 見 て み る とSLWが 大 き い グル ー プ と小 さい グル ー プ に分 か れ 、そ れ ぞれ 標 高 に 沿 っ てSLWが 減 少 して い た 。階層 をみ る と上 層 に比 べ 下層 でSLWが 小 さレ頼 向が あ った 。一般 的 に 乾燥 傾度 に そ っ てSLWは 大 き くな る こ とが 知 られ て い る(清 水 、1989)の で 、 低 標 高 域 はむ しろ乾 燥 に よ るス トレス の影 響 でSLWが 大 き い種 群 が優 占
し、標 高 が 上 が るに した が っ て雲 霧 の影 響 が 出 て 、 日照 が 短 く気 温 が 低 下 す るの で 、SLWは 低 い 方 が 適 応 的 で あ るが 、 ま た 風衝 の影 響 も強 い と考 え られ る。 した が っ てSLWは 大 き い
も の も適 応 的 で あ り両 者 が 階 層 を違 えて 共 存 して い る。
4‑4.南 硫 黄 島の保 全 管 理 に 向 けて
今 回 の 結 果 か ら崩 壊 地 の形 成 に よ り高 標 高 域 に も オ オ ア レチ ノギ クや シ ン ク リノイ ガ な どが 侵 入 して い た 。 現在 解 析 中 だ が 、過 去 の空 中写 真 との比 較 、 森 林 内 の 状 況 写真 、過 去 に 参 加 した 隊 員 か らの 聞 き取 りに よ りコ ブ ガ シ の 枯 死 に よ る 山頂 雲 霧 林 が 減 少 して い る と考 え られ た 。山頂 雲 霧 林 は 、着 生 植 物 や 地 生 ラ ン を含 め希 少 種 の 生 育 地 とな って お り 籐 田 ら、
2009)、 今 後 の変 容 が懸 念 され る。 しか し、そ の原 因 につ い て は不 明で あ る。 も し、地 球 温 暖 化 な ど地 球 規模 の 気 候 変 動 の影 響 が あ る とす れ ば 、脆 弱 な 生態 系 と して の 貴重 な南 硫 黄 島 の 雲 霧 林 はす ぐ に影 響 を受 け る可 能 性が あ る。今 後 、年 間 を 通 した気 象 観 測 や 定期 的 な モ ニ タ
リン グ調 査 を実 施 す る必 要 が あ る。
5.引 用 文 献
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