国家 : 地方関係と二次元基準
その他のタイトル The Legal and Political Bases of Centralism and Localism
著者 間 登志夫
雑誌名 關西大學法學論集
巻 44
号 1
ページ 1‑27
発行年 1994‑04‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00024649
︹ 論
国家ー地方関係と二次元碁準 説 ︺
一︑はじめにー国家地方関係への比較接近
二 ︑ 国 家 ' 地 方 関 係 を 区 分 す る 二 次 元 基 準
m法的次元の基準
①サービス活動の相違
② 自 由 裁 量 の 相 違
② 政 治 的 次 元 の 基 準
①間接的接近手段の相違
②直接的接近手段の相違
三︑二次元基準の評価 m 法的次元の評価
②政治的次元の評価
四︑おわりに
国 家 ー 地 方 関 係 と 二 次 元 基 準
間
登
志
夫
れらが発達した過程がとくに意味深長である︒
第四四巻第一号
地方政府の比較研究は︑以前はイギリスと大陸とくにフランス間の地方政府形態の区分を行うのが通常であったが︑
北部と南部ヨーロッパ間の地方政府形態の区分を行うのが普通になってきた︒しかし︑二十世紀後半になって︑大陸
の地方政府形態に一層大きな区分が増大した︒そこで︑職階的支配の程度と機能的支配の程度を比較基準として︑両
程度の変数を組み合わせ︑ ヨーロッパの三主要地方政府形態の区分︵地域的従属型ードイツ・北部ヨーロッパ︑二重
的管理型ーフランス・南部ヨーロッパ︑そして機能的規制型ーイギリス・アメリカ︶が行われるに到ったが︑北部
ヨーロッパとくにスウェーデンにおける地方政府が近代化されるに伴って大きな程度においてイギリスの地方政府に
類似してきた︒イギリス・スウェーデン型︑
フ ラ
ン ス
︑
三形態に区分する方が事実に近いのではなかろうか︒ スペイン・イタリア型︑そしてデンマーク・ノルウェー型の
こうした三形態の相違は︑
M a c k e n z i
e の示唆に従って
P a g e
が使用した法的と政治的二次元に基づいて三形態間に
おける地方政治家による公共政策形成の異なった機会という観点から可能であろう︒
M a c k e n z i e と
P a g e
による法的
と政治的次元間の区別の基礎は︑観察から引き出された機能論的なものである︒また︑ここでの三形態間の比較は︑
国家ー地方関係間や地方政府間の一般的類似と相違を意味するものではなく︑かかる二次元に基づいた類似と相違に
過ぎない︒さらに︑国家ー地方関係や地方政府に関わる次元や問題は他に多数あるであろうが︑二次元の重要性とそ
議論の中心は︑国家ー地方関係の区分に二つの主要な断層ー法的と政治的次元があり︑これらの発展に影響を与
関 法
一︑はじめにー国家
I
地
方
関
係
へ
の
比
較
接
近
きいことが示される︒ と機能範囲という点で高い程度の法的地方主義に移った国家ー北部ヨーロッパ
I I
型である︒デンマークとノルウェー
一般化された法的支配と制度を特徴とした大陸型の行政的監督の緩和である︒
これら二国における法的地方主義は︑地方自治の伝統の結果よりも国家行政における臨機応変の結果である︒
二
︑ 国 家 ー 地 方 関 係 を 区 分 す る 二 次 元
ここでは︑上記のヨーロッパの国家における経験的資料に基づいた比較的視角において︑まず︑①で北部ヨーロッ
パの国家︑イギリス・スウェーデン・デンマーク・ノルウェーにおける治的次元の基準による地方影響力の範囲は︑
これらの国家における活動範囲がより広くまた詳細な中央干渉レベルがより弱いので︑南部ヨーロッパの国家におけ
るよりもより大きいことが示され︑
国家│地方関係と二次元基準 つぎに︑②で南部ヨーロッパの国家︑
治的次元の基準から中央での地方の勢力による地方影響力の可能性は︑北部ヨーロッパの国家におけるよりもより大 における地方政府の自由裁量の基礎は︑ ノルウェー群 一般的に弱かった地方自治の長い伝統を持つ国家ー北部ヨーロッパ
I型︑②フランス・スペイン・イタリア群
と地方エリート間の政治的関係が強かったし︑中央の監督が伝統的に強かったー南部ヨーロッパ型︑③デンマーク・
強い政治的地方主義がないのに戦後期の行政的監督に基づいた支配制度から︑とりわけ行政支配程度
すなわち︑①イギリス・スウェーデン群
とである︒これらの発展的過程の経過がヨーロッパを三国家群に分割している︒
フランス・スペイン・イタリアにおいて政 国家 えているものに三つの過程ー十九世紀前の国家構造の発達︑大衆政党の形成︑戦後の政府活動の拡大があるというこ
国家の地方政治活動間に相互関係を持っていたので︑国家の行政監督が
い る
︒ 地方政府のサービス活動の相違は︑まず︑地方政府権威を通じて経路化される公的財源︑支出︑人力のレベルの検
討 に
よ っ
て ︑
出の総額に対する地方政府のだいたいの支出額割合の比較によって可能であろう︒資本支出︵建物や設備などのため
の 支
出 ︶
九 %
︑
二、スペイン八•五)間に明白な区別がある。前者において、地方政府は公的支出総額の三分の一と二分の一の間で
支出しているが︑後者において︑地方政府は約十分の一支出しているにすぎない︒イギリスニ四・六%は︑デンマー
クより少ないがフランスより多くスペインやイタリアのほぽ三倍もあるので︑北欧により接近しているといえる︒支
出の資科に基づくと︑南欧の国家における地方政府は北欧における国家やイギリスのそれよりもより少なく活動して
こうした北欧と南欧間の区別は︑公的雇用の地方政府が占める割合によって補強されている︒地方政府における公
①法的次元の基準
法的次元の基準は︑国家ー地方関係の主要な二次元︑地方政府によって履行されるサービス活動の相違とこれらの
サービス実施についての決定形成で地方政治関係者が持つ自由裁量あるいは自由の相違と密接に接合している︒広範
なサービス活動が地方レベルで実行されており︑地方の政治的そして行政的エリートがそれら活動についての決定形
成で広範な自由裁量を持っている地方政府制度は︑法的地方主義のそれである︒
サービス活動の相違
+経常支出︵給料や経常物件費などのための支出︶に基づくと︑
スウェーデン三九•五、 関
法
第四四巻第一号
ノルウェー―-=― -•O) と他方における南欧三国(フランス―一・九%、イタリア九・ 一方における北欧三国︵デンマーク五
0つぎに︑地方政府の主要な活動の指摘によって可能であろう︒地方政府の財源と支出の比較は︑政府支
四
四
②
的雇用の割合は︑北欧一一一国︵ノルウェー六四%︑
︵ イ
タ リ
ア ︱
二 %
︑
ス ペ イ ン 一 〇 ︑ デンマーク五七︑
五
五
一般的に比較可能な資料 スウェーデン五四︶において最も高く南欧三国
フ ラ
ン ス
一
0)
において最も低くイギリス三九%はこれらの中間的位置を占めて
これらの全部でないとしてもほとんどの国家の地方政府によって実施されているサービスは︑財源と人力という点
で相対的に少ないものが多い︒地方政府によって実施されている主要な地方活動の呈示は︑
が存在する十一の広範な主要サービスで各国家の分担%を合計した︑教育三七・六%︑文化八・七︑個人保険二九・
九、警察――-•七、社会福祉三九・九、公衆衛生九・七、交通・主要道路九・一、住宅一 0• 四、公共施設・事業一
五•三、 一般行政一
0•五、その他一六
·Oのうち、有意に%の高い教育、個人保険、社会福祉に集中させるのが有
用であろう︒教育への地方支出は︑北欧とイギリスで公的支出総額の七%と一
0%間を占めているが︑
三%以下︑イタリアで二%︑
ン八・七と六・七、デンマーク九•四と二五•四)
ギリス
O・O%と一・九%と南欧三国︵イタリア
O・O%と
0・O% ︑
‑ . o )
における保険と福祉への公的支出は地方権威を通じてともかく経路化されていない︒
以上から︑サービス活動において︑南欧一二国の地方政府は北欧三国とイギリスのそれよりも活動していないことが
判 明
す る
自由裁量の相違 ︒ スペインで一%以下である。北欧三国(ノルウェ -10• 八%と四・九%、
スペイン
0・ 七
と
O・O
︑ フランスで スウェーデ
は個人保険と社会福祉サービスに大きな負担を持っているが︑イ
フランス 0• 三と
自由栽量は︑中央政府の干渉なしに決定を行う地方政府の能力と関連している︒地方政府は実施するサービスを決 い
る ︒
国 { f
地 方 関 係 と 二 次 元 基 準
第四四巻第一号
定するのにどの程度まで自由なのであろうか︒地方決定における中央干渉の枠組間を区別するのによく使用されてい
る手段は︑国家ー地方関係に関わる制度的メカニズムの異なった類型に基づいている︒自由裁量の可能な制度的標識
は多数あるが︑ここでは国家ー地方関係の特徴を最も顕著に描写する三標識に制限したい︒それらは︑ A 地方政府の
一 般
的 な
法 的
枠 組
︑
B 中央による地方監督の取り決め︑ C 政府間の補助金構造である︒
地方政府がそのサービスを実施する一般的な一組の能力を持つことを当然としている憲法体系と地方政府がそ
のサービスそれぞれの実施のために正式の法定権力を持たねばならないとする憲法体系との間には︑区別となる特徴
がある︒この後者の体系類型は︑たいてい権限ゆ越の原理によって支配される類型であるとみなされている︒した
がって︑仮定された全権保有は︑権限ゆ越の支配が適用される体系において入手されるよりも地方政府的エリートと
行政的エリートによるより広い範囲の影響力を提供すると推論されるであろう︒
ここで対象にしているすべての国家の地方政府当局者は︑法によって若干のサービスの供給を必要とした︒しかし︑
イギリスは︑権限ゆ越の原理が適用される唯一の国家である︒この原理は一九世紀以来地方自治法による地方関心事
支出条項によっていく分弱められた︒イギリスの権限ゆ越は︑地方当局者の行為が特定の法令によって正当化されな
い限り︑当局者が裁判所で正当性を疑われることを意味する︒二十世紀前半に主として労働党議員によって全権保有
︵ あ
る い
は 全
権 保
有 類
似 ︶
の原理を拡大する地方政府授権法提出の試みがあったが︑広範な権力授与は一定サービス
とくに公衆衛生を追求する広範な行為の授権を大きく制限していた︒要するに︑たとえ全権保有を付与する異なった
形態間で引き出された区別でも︑イギリスはここでのすべての国家間における孤立者としての立場である︒しかし︑
こうした全権保有と権限ゆ越間の区別の意味は問題になる︒これらの一般的原理が他のより断固にしてより特定の法 A
関 法
六
六
B ているにすぎないかによって分類できる︒ 的支配と共存しているので︑それらの原理が地方政治的また行政的エリートが公共政策を形成する機会に主要な影響 を持っているかどうか疑わしい︒全権保有の憲法的保障が実際問題として何らかの意味を持っていると考える理由は ない︒全権保有は︑地方政府にサービスの実施を強要する他の規制形態がない場合にのみ︑高いレベルの自由裁量を 認める︒ほとんどの主要なサービスが地方政府にサービスを委任する法令によって扱われるならば︑地方政府は実施 しなければならないサービスを決定するのに相当な制限を受けることになる︒地方政府は実施するサービスを決定す るのに自由でなければ︑権限ゆ越と全権保有の区別は重要なものでないと思われる︒
他の六国家における地方政府は︑
力を持っているものと思われている︒地方政府の全権保有は︑北欧国家においてそれと結びつく条件がより少ないよ
うである︒三国家のすべては︑他の公的当局者の活動範囲内でもし法律によって規定されていなければ︑どの活動に
ここでのすべての七国家において︑義務的機能と認可的機能間に多少とも明白な区別がある︒大陸法の主流国家フ
ラ ン
ス ︑
フ ラ
ン ス
︑
義務づける機能的法律がある︒イギリスと北欧において︑異なったサービス
七
七
スペイン︑イタリアにおいてより狭く制限されているが︑ 一般的な能
スペイン︑イタリアにおいて︑この区分は行政法で形式的に大事にされている︒大陸法の主流伝統の範囲外
にあるイギリスと北欧において︑サービスは一般的に成文法内で確認できず︑むしろ地方政府に主要な仕事の着手を
律に実際見いだされる︒地方政府の活動は︑地方当局者がサービスの実施を委任されているかあるいは単に認可され
知 事
制 は
︑
フランスやイタリアのような国家における中央集権の基礎として役立つとしばしば思われている︒
国 家 ー 地 方 関 係 と 二 次 元 基 準 でも着手する能力が与えられている︒
︵委任か認可︶類型間の区別は個々の法
知事は︑その職務に地方政府の監督を包含する中央の国家公務員である︒中央政府は︑その責務が地方政府の活動と
決定の合法性の調査︑それらの否認と承認を包合するそれぞれの地方に一人の代表者を持っている︒その制度はより
大きな中央支配を︑従ってより少ない地方の自由裁量を導く︒知事制における中央政府組織は︑どの程度まで︑地方
形式的な見地から︑イギリスのみが近代史に知事制を採用していない︒そこには︑イタリア︑
の知事と同等の者はいない︒北欧の地方政府もまた郡長
c o u n t y g o v e r n o r
を通じて知事制を知っている︒北欧国家も
また知事制を共に持っているという事実は︑
るという仮定に疑いをかける︒それには三つの解釈がある︒第一に北欧の地方政府に許された自由裁量がイタリア︑
フ ラ
ン ス
︑
ラ ン
ス ︑
第四四巻第一号
フ ラ
ン ス
︑
スペイン
フランスの中央集権が少なくとも知事の存在のみによって支持されてい
スペインに許されたものとほぽ同じくらいであるというものであり︑第二に北欧の知事制がイタリア︑
フ
スペインのそれらと基本的に異なっているので︑そのような結論は間違っているというものであり︑第三に
知事制はそれ自体地方政府の自由裁羅に大きな相違を生じないというものである︒
もっともらしいのは第一一一の可能性である︒知事制は歴史的にそう意図してはいるが︑他の中央国家組織形態よりも
より大きな中央集権を必ずしも産出するものではなく︑またいかなる特定のレベルの中央集権とも必ずしも結びつい
ていないという事実にもかかわらず︑より大きな地方自治を求める運動は連続して知事制廃止の要求を提起している︒
また︑知事制と非'知事制︵知事に代わって監督を行う中央の各省︑それらの地方と地域の行政機関など︶間の主要
な相違は︑知事制における監督が地方政府権威に極めて接近したところで基礎づけられた一人の権威の手に集中され
ているのに︑他方における監督は地方政府に極めて接近したところに必ず設置されるそれらなしに中央各省の異なっ 影響力の範囲を制限するのであろうか︒ 関法
八
八
は基準を引き出しにくい︒
九
九
た機能組織間に分散されているという点にある︒自由裁量の特徴は地方権威が地方政府のための自由裁量のより少な
い制度におけるよりも中央政府の干渉がより少ない状態で活動に参加できるという点にあるから︑国家監督職員の地
方政府権威への空間的接近が多くの国家集団間に監督の分散されている制度のもとにあるよりも中央政府へ監督によ
り関与させる傾向をあたえると仮定する理由はない︒知事の一般的監督能力が中央各省とそれらの地方や地域の行政
機関内の多様な部分の特定監督能力よりもより大きな総合的干渉を必然的に含んでいるとも仮定できない︒自由裁量
の中央政府の支配と制限が知事制以外で行使されるなら知事制のみへの集中は︑政治制度間の満足すべき区別を造ら
ないであろう︒さらに︑知事制が廃止または修正されたところにおいてさえ︑地方政府の自由裁量を制限する古い形
態は比較的に無変化のまま存続している︒それ故︑地方政府の自由裁量の形態間を区別する手段として知事制の存在
地方政府の自由裁量︑その地方エリートが地方サービスを決定する程度を判断する一方法は︑財源を地方的に
調達できる程度をみることである︒どの程度まで地方政府は自由に課税レベルを決められるのであろうか︒ここでの
七国家のうち六国家において︑課税率を地方的に決める自由裁量は︑七
0年代における財政的切迫の開始以来︑少な
くともある程度形式的な制約を受けている︒制限の程度や制限を生み出す環境は︑多様であるが︒デンマークのみが
過去一五年間地方の財源調達に強固な制限を持っていない唯一の国である︒比較は財政的努力に対する課税構造の衝
撃を示しているが︑課税構造と地方財源調達への制限を地方自由裁量の全面的レペルと関連づけることは困難である︒
ある課税構造と制限が他のそれらよりもより大きな自由裁量を提供しているかどうかを決定する論理的な標準あるい
国 家
ー 地
方 関
係 と
二 次
元 基
準
c のみを追求するのは意味がない︒
比例して異なっていない︒
第 四 四 巻 第 一 号
補助金構造は︑地方'中央関係の別の面である︒異なった補助金類型は︑地方の自治あるいは自由裁量の異なった
程度と関連しているとしばしば仮定されている︒中央補助金への地方政府依存のレベルは︑イギリスとイタリアにお
いて地方収入の約二分の一が中央政府補助金からのものであり︑
分の一であり︑
フ ラ
ン ス
︑
ヽ
ノルウェー
スウェーデンやデンマークにおいて約四分の一である︒しかし︑ スペインではその数が約三
いずれの資料も補助金依存のレベル
が中央機関による地方政府当局に対する可能的あるいは実際上の支配を形成しているという仮定を支持していない︒
これは補助金が中央と地方政府間の関係を形成する道具として重要でないことを示唆するものではないが︑補助金が
中央影響力のために提供する範囲は補助金依存のレベルと無関係である︒補助金の主要な役割は︑補助金依存に直接
補助金制度における地方の自由裁量を評価するもう︱つの手段は︑補助金構造を通じてのものである︒特定のサー
ビスを仮定していない一般的補助金が特定の地方サービスを支持する特定補助金よりもより多くの自由裁量を地方当
局者に提供するようである︒この論理によると︑デンマーク︑
量がスウェーデン︑イギリス︑ 関法
ノルウェーとりわけスペインよりもより大きな自由裁
フランスの地方当局者間に見いだされるはずである︒しかし︑これは次の二つの理由
で不完全な仮定である︒先ず︑中央'地方政府関係の広範な条件が補助金構造を形成するのであって︑その逆ではな
い︒イギリスにおける特定補助金はそれが援助したサービスの性格とレベルヘの衝撃を止めた後も存続し︑定額補助
金への動きは地方当局者へより多くの自由を提供しようという大蔵省の願望よりも地方当局者が受け取る補助金総額
を抑制しようという願望をより多く反映している︒次に︑特定補助金は補助金によるサービスを相対的により低額に
することによって地方支出優先項目を歪めるのに役立つが︑これを地方自由裁量の制限と称することはできない︒結
1 0
(10
①
局︑中央政府は︑サービス実施のための共通の基準あるいは手続きを望むときには︑中央政府補助金の構造あるいは レベルと関わりなく法律あるいは規則を制定することができる︒
政治的次元の基準
地方政府の地方性は︑部分的にその活動的責任の範囲と程度の関数である︒また︑それは︑国家の決定形成が地方 に影響する限りその決定形成で地方政治的エリートが持っている影響力とも関係している︒地方政府に影響を与える 国家決定での地方政治的エリートの影響力が大きければ大きいほど︑政治的地方主義の程度は大きい︒
地方政府の中央への接近手段には二つある︒第一は︑通常全国的な︑集団的紺織を手段とした間接的なものである︒
例えば︑地方のサービスに影響を与える法律制定に何らかの変化を求める市長や議員の協会がこの間接的手段の例で あろう︒第二は直接的なものである︒双務的関係が国家の政治家や公務員と個々の地方政府当局者からの政治家や公 務員との間にある︒それ故︑例えば︑資本的計画のための特別財源獲得のために国家の政治家との直接的接触を成立 された市長はそうした直接的接近手段の例である︒ここでの目的は︑先ず︑今までの対象国家における地方'中央接 触手段の類型を記述することであり︑次に︑接触手段が中央の地方への影響力に変化をあたえるかぎり︑異なった接 触手段類型の重要性を理解するための一組の基準を展開することである︒
間接的接近手段の相違
地方政府利益集団は︑中央と地方政府間の間接的接近手段を構成している︒利益集団論は︑何故ある利益集団が他
のそれよりもより成功的であるかの説明に使用される多くの基準を提供している︒利益集団の影響力を決定している ( 2 )
国 家 ー 地 方 関 係 と 二 次 元 基 準
A
第 四 四 巻 第 一 号
~
要因は多い︒伝統的なもののうち︑集団が利用できる資金の総額とその構成員が持っている ︵中央の政治家や公務員
との効果的接触と関連した︶技術の程度は︑各国家の組織間の国家横断的相違を説明するよりも各国家の各々におけ
る小組織と大組織間の相違を説明するのにより適している︒従って︑これまでの対象国家が異なっていると思われる
五つの次元の検討が必要となる︒これらの次元は個々の国家における特定地方政府利益集団の強さと弱さを説明する
責任を果たしうるであろう︒
第一の次元で︑ A利益集団によって地方政府に提供された接触手段の特徴をみることによってそうした全国的地方
利益集団が存在するかどうかを探求する︒第二の次元で︑ B 利益集団の包括性に言及する︒第三の次元は C 利益集団
の構成員と関連したものであり︑ある程度まで大量構成員数の効果は集団の内部的結合力と相殺される︒第四の次元
はD利益集団が持っているその構成員に対する指導と強制のため権威の程度から引き出される︒第五の次元はE利益
集団が政府に行う要求の種類のような︑利益集団の可変化的な衝撃の説明に貢献する他の要素についてである︒
ここで包含されている集団は︑形式的に政党から独立した主要利益集団である︒各国家は少なくとも︱つの地
方権威協会を持っている︒それらの協会の明確な活動が異なっていることは確かである︒ある協会は︑他のそれより
もより広範な情報奉仕を持っている︒また︑ある協会は︑地方政府従業員のための給料交渉に責任を持っており︑中
央'地方関係のみの重要な特徴よりも全国的な組合との給料交渉構造をより一般的に反映している︒さらに︑集団の
内部構造も異なっている︒ここでの目的にとって︑各国家は︑中央の政策過程において地方政治的エリートの見解を
集め表すために存在している公式の地方政府利益集団制度を持っている︒これらの集団のすべては︑法律の制定ある
いは他の中央制度の設立︑修正︑廃止される時は何時も中央政府から当然のこととして少なくとも相談あるいは通知 関 法
日々の相談の日常的過程以外の成功的地方権威集団代表からの資料は︑地方政府の構造や権力のような地方政府の 広範な争点が対象国家における協会内に最も大きな結合力を喚起することを示唆している︒この過程が常に成立する とは限らない︒全体としての地方政府の長期的利益がここでは問題になっているようにおもわれるが︑この争点は各 集団がその構成員の利益増進のために連座する異なった地方権威集団から異なった見解を産出している︒地方政府の
国 家 ー 地 方 関 係 と 二 次 元 基 準 における分裂検討は︑試案的たらざるをえない︒ されている︒従って︑地方権威の利益集団の存在は︑対象国家における地方政府間の関係類型間を区別していない︒
集団の構成員数は︑対象国家間で異なっている︒北欧とイギリスにおいて︑協会の実質的に全構成員は正会員 である︒イタリアにおいて︑協会は︑地方自治体の主要組織︑全国イタリア市町村協会
A s s o c i a z i o n
N e
a t i o n a l e d e i C o m u n i l t a l i a n
i の可能的会員の三分の一以上は事実上正会員でないが︑可能的会員の七二%を包含している︒
フ ラ
ン スにおいて︑市長のこれと類似した割合がその全国協会の会員である︒利益集団論に基づいて推測する限り︑集団に よって表示される可能的会員数の正会員加入割合が多ければ多いほど︑その集団はますます強力である︒それ故︑北 欧とイギリスにおけるそのような集団がより強力であると期待できよう︒しかし︑他のすべての事柄が同じでないこ と︑また︑実際上協会の代表者が国家的政策形成で果たす役割に大きな相違をもたらしていないことに留意すべきで 入手できる資料は︑ある国の協会が他の国のそれよりもより分裂しているかどうかの評価を困難にしている︒
ここでの対象国家における協会に関する情報は疎らであり︑分裂は国家を横断する結合力の強さあるいはレベルの測 定あるいは指摘の共通基準でない︒こうした事実に直面すると︑国家的利益組織の文脈での地方権威間と地方権威内
c あ る ︒
B~
D
第四四巻第一号
広範な争点が全員一致の最大可能性を誘発するにしても︑そうした争点が事実上存在しないにしても︑全員一致の可
能性がより大きい状況の問題を持ち出すことは︑各国家における協会の制限を強調することに帰着する︒地方政府は
多様な利益を持つ異なったものである︒全国的協会は唯一であるから︑地方政府間で全員一致あるいはそれに近いと
き︑機会は相対的に少なくなる︒国家的決定に影響を及ぽす接近手段として︑全国的協会はむしろ制限されねばなら
利益集団論に期待をおいて結合力の強さを見分けると︑他の国家におけるよりも集団内に不和のより大きな実質的
証拠があるフランスやイギリスにおいて地方政府協会が最も弱いと予想されるであろう︒しかし︑そのような証拠自
体がどちらかといえば弱い︒分裂の可能性に基づいて︑イタリアにおける党派的︑地域的分裂を所与のものとすれば︑
イギリスの協会がイタリアのそれよりもより強力であるとみなされるであろう︒
多くのことが︑最近圧力集団活動との関連において協調組合主義概念から理解されている︒協調組合主義の特
徴を示す︱つは︑集団がその構成員に力ずくで行動させること︑構成員に対する拘束権威の形態を持っていることを
示唆している︒これは︑集団が単に相談されたりその見解を求められたりするどころかその構成員を拘束できる取決
めを交渉できるので国家との交渉において集団の立場を強化するという結果になる︒それ故︑集団権力は強化される
であろう︒尤も他方において︑これは集団が国家との良い関係の維持を求めるので︑その目的の一層の制限を必要と
するであろうが︒こうした地方権威協会の活動における協調組合主義の様相に関する資料はほとんどない︒
対象国家のすべてにおける協会は︑相談︑情報︑助言の提供に加えて中央政府との協議で意向を表示している︒あ
る特定の領域において︑ある国家︵イギリスやデンマーク︶における協会は︑執行活動に類似したものを持っている︒ な
い ︒
関法
一 四
︵ 一
四
フランスのフランス市長協会
A s s o c i a t i o n d e s M a i r e s d e F r a n c e は ︑
一 五
般的構造や権力についての争点のほうがより大きい程度の関心や全員一致を期待できよう︒
︵ 一
五
しかし︑この活動は︑それらの国家において狭く制限されており︑全国的協会にその構成員に対する広範な権威ある
いは権力を提供するものであると解釈できない︒協会は︑その構成員に対して職階的支配あるいはそれに僅かでも類
対象国家のすべてにおいて戦後期に地方政府当局の権力︑中央政府との地方政府当局の関係を変化させる多少
とも過激な企てがあった︒これらの変化における地方権威協会の役割を検討すれば︑地方権威が重要な利害関係を
持っていると仮定されるのみでなく協会内の結合力が最強であるとも仮定される証拠を提供できる︒地方政府間での
財政的資源の配分とかより特定活動の提案とかのような争点よりも協会内で全体としての国家における地方政府の一
地方政府改革に連座した関与者や利益関係者の分布範囲を仮定すれば︑いかなる組織の衝撃をも直接的に評価する
ことは困難である︒特にその構成員が利益集団に加えて政党︑議員︑大臣などを通じて政策に影響する他の多くの手
段に頼れるときそうである︒しかし︑これらの集団が改革過程に参加する方法をみることによって︑広範な区別が可
フランス地方政府の改革をとりまく論争で特
に重要な役割を演じた︒市長の権力を擁護して現状を防御し︑地方自治体の権力強化の変化を唱道するという点で︑
この協会は結局勝利をうる側にいただけでなく︑その衝撃は直接的であった︒フランス市長協会の重要性は︑大きく
地方名望家の意見を表現する公開広場としてのフランス第二院︑上院の重要性に帰すべきである︒こうした地方自治
体︑上院︑市長協会間の結合は協会内の多くの主要人物が上院議員であるという事実によって強調される︒かかる上
国 家
ー 地
方 関
係 と
二 次
元 基
準
能 に
な る
︒
E 似した如何なるものをも持っていない︒
第 四 四 巻 第 一 号 院との結合は︑地方市長の地位を低下させる変化の修正あるいは妨害の助力に使用された︒
フランス市長協会の貢献
の一っは︑その影響力を行使して︑合併が行われるべきところでの合併設立に中央からの直接的な連絡あるいは接触 を保証させたことである︒イギリスでの改革の確保は直接的相談と行政的命令が使用されているのに︑
形 成
し ︑
フランスでは
一 九
七
0
年の地方
r e g i o n
e 創設のための立法は︑地方の分権の終着点で地方を創設する法律を
その過程で集権の発展を遮断して地方の権力を制限しようという全国イタリア市町村協会
A s s o c i a z i o n e N a z i o n a l e d e i C o m u n i l t a l i a n i とイタリア地方同盟
U n
i o n e d e l i e P r o v i n c e d
・ I t a l i a の願望を反映している︒スペインの スペイン自治体と地方連盟
F e d e r a c i o n E s p a
忠l a M u n i c i p i o
s y
P r o v i n c i a s は一九八五年の地方分権化法において︑特 に地方権威の内部構造と権力領域において成功を収めている︒
北欧において︑
ノルウェーでの郡ではなく地方自治体の改編を除いて︑改革は主要な政治的論争を産出しなかった︒
都市と町村の地方自治体間の区別を終結させ郡の権力を増大させるために小自治体の合併を必要とする地方政府の実 際上の改革の大部分は︑可能的に衝突するものであった︒しかし︑地方権威協会が改革の全過程に反対した証拠はな
い︒改革に対する主要な効果的反対の欠如は︑
闘争の基本的な回避のほかに合意的政治文化に帰せられる︒ノルウェーにおいて︑地方政府の境界改革は他の北欧国 家よりもより強い反抗を招いた︒ノルウェー自治体中央協会
N o r s k e K o m m u n e r s S e n t r a l f o r b u n
d は︑大き過ぎる権威
の産出を回避するために町村の部分を都市の自治体と合併させる提案の実施を行き詰まらせるのに成功している︒
イギリスにおいて︑イングランドとウェールズの主要地方権威協会の改革に対する衝撃は︑むしろ制限されている︒ イタリアにおいて︑
スウェーデンにみられる如く︑部分的に︑地方権威協会における政治
各県と各地方自治体と個々の相談を使用せねばならない︒
関法
一 六
︵ 一
六
関僚の背景と公職の兼任が最も重要である︒ イギリスやフランスにおいて︑直接的接近手段形態は︑こうした協会が政府に対して持っているところの相対的権 力を形造っている︒しかし︑対象国家間におけるそうした相違は︑いかに評価されるのであろうか︒地方エリートに よる国家的決定形成への接近手段がより特権的な国家とそれがより特権的でない国家間の区別にいかに取り組めばよ いのであろうか︒地方の政治家あるいは行政官は国家的行政部あるいは立法部内でどの程度の支持を見込みうるかの 問題検討が必要になる︒地方政治的エリートに対するそのような国家的支持の強さを示す標識は多くあるが︑議員や
地方政府は如何なる基礎に基づいて国家的決定形成の舞台で代表を持っていると主張できるのであろうか︒地方政
国 { f
地 方
関 係
と 二
次 元
基 準
る国家的集団政治界に辛うじて適合している︒
②革は地方権威協会の参加をあまり伴っていない︒
一 七
︵ 一
七
それらにおける改革の主要な輪郭は︑政府の行政権力の一方に偏した行使によって形成された︒スコットランドの改
直接的接近手段の相違
利益集団活動の検討は︑接触手段の直接的形態が地方権威協会を通じて行使しているような影響力を造成するのに
特に重要であることを示唆している︒地方政治家の見通しから︑間接的接近手段の弱さは︑中央'地方の相互作用の
直接的形態が間接的形態よりもより広範な影響力を地方権威に提供するという点にある︒個々の権威の見込みから︑
その影響力は減少する︒減少の可能性あるいはその見解とその全国的協会の見解間の完全な不一致の可能性すら導入
しながら︑その見解と協会の他の会員の見解を結び付けねばならないから︒地方政府の集団的な権威の予想から︑国
家レベルでの利益集団活動はしばしば競争的であり︑特に地方政府の一般的協会は機能的集団によって支配されてい
第四四巻第一号
府の支持総計を例示するためにイギリスで使用されている慣例的一方法は︑国家立法部の議員が地方政府で代表者と
して勤めた程度の検討である︒背後にある論理は︑地方議員として勤めたことが地方政府に同情的にし地方政府問題
が国家立法部で論議されるとき必要に応じてそれに代って代弁するであろうということである︒国家と地方政治経歴
間の重複は︑地方政治家の国家的重要性の重要な標識であるとみなされてきた︒そのような経歴の詳細は量化可能な
ので容易に比較できる︒しかし︑政治的背景の統計︵地方政府の背景を持つ議員と閣僚の割合︶は接触手段の標識と
とると誤解を招く︒イタリアにおいて議員間で地方政府の経験は相対的に少ないが︑︵他の資料が示しているように︶
地方政府に対する国家的支持は強い︒イギリスにおける多くの閣僚がかつて地方議員に選出されているという事実も
同様に国家的権力舞台での地方政府の重要性の標識とはとり難い︒そうした以前の経験を現在の行動的︑態度的傾向
と同等とみなすのは︑それが過去の環境と現在の動機を混同しているので︑間違っている︒
中央における地方影響力︑中央で動員される地方支持の程度について普及しているもう︱つの標識は︑
よって提供されている︒この論議の基礎は公職兼任
c u
m u
l d
e s
m a
n d
a t
s ︑
国家と地方の選挙公職を同時に兼任するという慣例の確認である︒中央国家の知事は市長の協力に依存し︑議員と大
臣は順繰りに知事の協力に依存しているので︑自由に活動する一組の関係者︑すなわち市長︑知事︑県の名士︑国家
政治家︑公務員などの範囲の制限に貢献する相互依存組織が存在している︒相互依存網は関係者の権力を制限し︑そ
うした制限を回避する主要な機会は組織網における︱つの戦略的地位より多くの地位︑すなわち市長︑県会議員︑国
会議員などを占めることである︒この戦略は︑大都市の市長によって特に採用されており︑地方自治体に物質的報酬
をもたらし︑兼任者の政治的経歴を高めている︒しかし︑公職兼任は︑少なくともここでの対象国家比較の文脈にお 関法
フランス地方政府制度の重要な特徴として
一 八
︵ 一 八
フランスに
一 九
いて︑国家と地方公職間における接触手段の直接的類型に影響する重要な要素ではなく︑
三︑二次元の評価
法的次元の基準
︵ 一
九 ︶
フランスにおいてのみ地方
地方における自由裁量の先の三制度的測定の何れも︑国家が公的政策を形成する地方政治的エリートヘ与える機会
という点から国家間の相違を示唆していない︒地方自由裁量と地方分権の程度についてのこれらの標識は︑国家横断
的比較に応じていない︒異なった制度が地方エリートに責任のあるサービスを決定する機会をその地方エリートに提
供する程度の相違の検討のためには︑自由裁量の概念とその比較的評価のために有効な役割の吟味が必要である︒
自由裁量の概念は︑拘束によって制限された自由行為の範囲と関連している︒法的制度から発生する拘束が憲法︑
法律︑その他多くの種類の行政的規制から引き出されていることはいうまでもない︒しかし︑これらの法規範は︑自
由裁量レベルの比較には使用され難い︒第一に︑法的拘束の性格従って自由裁量のそれは法規範の研究によって定義
されにくい︒第二に︑主要な地方サービスのための多数の法的取決めは複雑なのでそれを端的にリストアップするこ
とは困難な仕事であろう︒第三に︑そのような仕事が企図され完成されたとしても︑それは法的取決めが変化してい
るので事実を反映しないものになっている︒第四に︑そうしたリストを作成しどの国家がサービス範囲を横断する最
も多くの制限拘束を持っているかの一般化のためにそれらを集めたとしても︑せいぜい印象的であり最悪の場合誤っ
た判断を導くであろう︒
( 1 )
国 家
│ 地
方 関
係 と
二 次
元 基
準
政府制度にとってそのように中枢なのである︒
ます行使されるようになってきているから︒
第四四巻第一号
︵ 二
0)
地方政府の自由裁量の境界が従って法的規制が制定された方法での相違を示すことは可能であるし︑各国家に存在
する自由裁量の程度という点から地方主義と中央集権主義間の区別を可能にするのはそれらである︒地方政府の権威
︱つは地方決定の評価の詳細な争点への中央政府の関与が規制
の形態で組み込まれている行政的規制であり︑他の︱つはそうした詳細な関与が最小化されている法的規制である︒
中央の見地から︑法的規制は遠隔制御方法といえる︒法律がいったん通過すれば︑地方権威はその行為が法律内であ
るかぎり好きなように行うことができる︒これは地方政府行為の合法性が国家公務員自身の個々の決定を通じて定義
される行政的規制と対照的である︒行政的規制は︑それが地方行為に国家的承認を与えることを伴い︑従って地方政
治決定形成の詳細への中央政府の関与を伴っているので︑速隔制御からほど遠い︒行政的監督は︑知事が伝統的にフ
ランスやイタリアにおいてこうした中央影響力制度の核心にいる事実のために知事制と結合している︒しかし︑この
監督形態と単に知事あるいは強力な知事を結合させるのは誤りであろう︒監督は他の大臣特に大蔵大臣によってます
地方政府決定形成の詳細への中央干渉の組織化に貢献している南欧国家における中央'地方関係には二つの特徴が
ある︒第一の特徴は機能の配分と関係があり︑第二のそれは地方政府決定の詳細の承認と関連している︒第一に︑例
えば︑教育に関して︑南欧では地方と中央両政府が学校運営で重要な役割を果たしている︒しかし︑地方の役割は︑
詳細な学校運営のほとんどが地方政府の責任である北欧やイギリスと異なって︑より低い︒中央は︑学校計画︑カリ
キュラム︑教員の研修や給料に責任がある︒こうしたより重い役割が中央に監督能力を与え︑かかる監督能力が地方
政府の義務的活動を拡張する︒第二に︑イタリアやフランスにおいて︑地方政府決定への知事の直接的関与は︑地方 に対する中央政府の法的規制には二つの方法がある︒
関 法
二 0
監督組織を通じた地方レベルでの中央政府の承認に代わった︒その上︑知事は︑地方決定を形成する手段としてこれ
ら地方組織に決定を任せるといる承認を用いて︑地方自治体と地方監督組織間で依然として重要な地位を持続してい
る︒スペインでは︑民主政治への復帰が強力な文官知事の終焉をもたらしたが︑知事の監督活動は多くは他の国家あ
るいは地方の組織に与えられた︒南欧では︑このように行政監督の形態は変化したが︑地方決定形成の詳細な事柄に
政治的次元の基準
ここでは︑先の検討構成上︑ A 間接的接触手段の評価と B 直接的接触手段の評価に分けて順に述べるほうがよい︒
地方権威の全国的協会が実際に国家的政策形成を具体化する権力に基づいて対象国家間を区別することは困難
である︒協会は︑地方政府に影響するほとんどの争点について日常的に相談されており︑中央政府と連帯している団
体の全範囲に瓦って主張すらしており︑また︑会員に情報︑専門知識︑助言を提供している︒利益集団に関してより
一般的に行なわれているように︑すべての範囲の争点を横断して一般化したりある国家における集団が他のそれより
も政治的により強力であるかを主張することは困難である︒中央政府と地方政府間に争いがあるかあるいは地方権威
が現状に不満を持っているところでは︑地方権威代表者と国家公務員間の日常的接触を使用するよりもむしろ国家的
立法部あるいは行政部内で政治的支持を動員するほうが成功をもたらすようである︒
( 2 )
一般的利益集団の強さと地方政府代表者が国家的に原則として入手可能な強さを区別できる︒
さは規模︑財力︑専門知識︑結合力などの要素と慣習的に関連している︒地方権威協会の集団的特徴の一っは︑民主 A
国 ︷
禾 │
地 方
関 係
と 二
次 元
基 準
関与する中央公務員の能力は持続している︒
一般的利益集団の強
ロ
第四四巻第一号
~
的に選出された公的権威の正当な代表者としての地位である︒こうした正当性は︑しばしば協会の特殊な強さの一っ
であると主張されており︑容易に過大評価されがちである︒あるレベルの政府に与えられた正当性は上位レベルヘ繰
り上げられるが︑移動で政治的価値の低下なしにおいてである︒フランスとイギリスの集団を区別するのは︑地方の
正当性がフランスにおけるよりもイギリスの移動過程でより低下するという点である︒フランスにおいて地方制度の
正当性は上院の国家的権力に直接的に移されている︒地方政治公職の正当性は︑国家的政治経歴の追求を望む人々と
上位の政治的公職への願望を持つ人々が通常市長に選出されることによって地方︵選挙民が与える︶権限の何らかの
形態を求めるという慣習のようなものによってさらに強化される︒改革における地方権威協会の成功は︑大きくそう
した結合の利用に依存している︒イギリスにおいて地方正当性の国家的舞台への移動過程はその多くを喪失させる︒
地方権威協会は議会におけるその名目的支持者の積極的支持を求め難い︒しかし︑地方影響力の間接的形態は︑利益
集団活動を通じて︑直接的接触手段類型によって高められるであろう︒
直接的接触手段類型の相違をいかに評価し理解したらよいのであろうか︒地方政府背景や兼任は︑国家政治家
による地方政府の要求や利益に対する特別な配慮を保証するメカニズムを提供しているようにおもわれる︒地方選挙
公職の過去の単なる経験がその後の議会や内閣での行為を形成する根拠がないので︑背景や兼任のような間接的結合
をではなく︑政治家が国家政策形成舞台に到達したとき地方を代表する誘因があるかどうかを求める必要がある︒国
家的政治経歴が地方政治支持の動員を通じて増大する程度の標識を必要としている︒
そうしたメカニズムはイタリアで呈示されている︒地方エリートは︑国家政治家の単なる行為あるいは︵地方工
リートがフランス制度における中央への政治'行政的接触手段と対立した︑政党の政治的接触経路を使用して中央と B 関 法
イギリスや北欧国家には全くない︒ 折衝し中央から利益を引き出したとき国家政治家が持った地方政治に対する奉仕の︶記憶に依存する必要はない︒む しろ︑地方エリートは︑より代替可能な有用物︑投票を取り扱うことができる︒定員多数選挙区に基づいた比例代表 制は国家的政党組織の権力を強化するというのが一般的な意見であるが︑イタリアにおいて実施されている比例代表 制は地方政治的指導者が国家政治家に対して大きな影響力を行使できるよう貢献している︒政党に対する地方政府の 重要性は証明されており︑地方政府による他の公的あるいは準公的組織と共に政党組織の支配は︑恩恵授与権
p a t ‑ r o n a g e
の複雑な組織網を通じて政党支持者の報償に使用できる仕事を提供している︒さらに︑イタリアの政党は︑
公的資金から政党活動家に報酬︵官職︶を与える手段として政府雇用に大きく依存している︒政党に集中されそして
地方政治的公職によって提供される恩恵授与の資源によって維持されている追従者関係
c l i e n t e l i s t i c r e l a t i o n s h i p
の s
地方組織網は︑国家政治に影響し地方政治的エリートに政党メカニズムを通じて国家的影響力を提供する︒イタリア
での追従者結合形態は地中海の政治にみられるので︑
c r a t i c o
(今日では解散︶︑国民同盟
A l i a n z a P o p u l a
r ︑ スペインにも国家的政治にとって地方権力基礎を重要にしてい
るそうした地方追従者結合を見ることができる︒主要な中道と右翼政党︑民主中道派連合
U n i o n d e l C e n t r o D e m o
‑
スペイン右派民主党
D e r e c h a D e m o c r a t i c a E s p a n o l a
がフランコ
のもとで存在した多くの追従者網を合併し︑それは今日民主政治の文脈内で作用している︒
イギリスと北欧国家において︑そうした地方政治支持の国家的経歴の重要性は︑大きく欠如している︒これは︑必
ずしも国家政党組織よりも地方政党が候補者選択を行う機会に欠如しているためではない︒しかし︑これらの国家に
おいて︑地方政治の活動は国家政治から大きく分けられている︒イタリアやフランスにみられる国家的経歴の誘因は︑
国 { f
地 方
関 係
と 二
次 元
基 準
︵ ︱
‑ 三
︶
第四四巻第一号
︵ 二 四 ︶
フランス︑イタリア︑スペインは七
0年代と八
0年代の改革以前における法的中央集権主義の模範的事例とみなさ
れる︒これらの国家において︑地方政府装置に対する実践的権力を通じて地方エリートが公共政策を形成する機会は
イギリスや北欧におけるよりもより制限されている︒七
0年代と八
0年代の改革以後でさえ法的集権主義の兆候は依
然として明白である︒この文脈において法的中央集権主義は︑主要なすべての政策的発案に唯一の源泉しかないこと︑
あるいは政府が中央命令を受動的にしか実施していないことを意味するものではない︒それはむしろ︑地方政府が早
い段階に国家公務員のその過程への関与なしに主要な行為に着手することを困難におもっていることを意味する︒ま
た︑それは︑地方政府が相対的に僅かな主要活動のみに着手し︑そしてこれら活動の多くが地方政府に対する監督権
力を中央政府に与える強制的性格を持つものであることを意味している︒許可された機能でさえ地方政府活動の多く
の面︑特に財政は中央政府と折衝せねばならない︒反対に︑最近の法令は地方影響力の範囲とりわけ課税レベルでの
制限に貢献しているが︑イギリスは法的地方主義の模範的事例とみなされる︒支配の拡張が行政的干渉よりも法令の
変化を必要とする地方政府への遠隔制御的接近を通じて︑広範な公共政策に対する広範な権力が授与されている︒北
欧特にノルウェーとデンマークにおける知事の権力︑そして地方決定形成への詳細な中央関与の可能性がイギリスに
おけるよりもより大きいという事実は︑これらの国家を法的な中央集権主義と地方主義に位置づけることを困難にし
ている︒しかし︑中央干渉が広範な戦略的にして法律的争点により関心を持っているという事実のほかに地方政府機
能の範囲を考えると︑北欧三国を南欧へよりもイギリスヘより接近したところに置くことができる︒ 関法
四
︑ お わ り に
ニ 四
する機会を造っているようである︒ 地方政治的エリートが国家の政治家と公務員による決定形成への影響を通じて地方内の政策形成を行う機会は︑間
接的利益集団への参加と直接的国家レベルでの接触によって提供される︒直接的接触は︑それ自身においてのみでな
く地方権威の全国的協会の影響力の強化という点においても特に効果的である︒そうした直接的接触は︑閣僚や議員
の背景とか公職兼任のような特殊現象からではなく︑地方支持を持続する国家政治家を多様な程度で重要視している
国家の政治的経歴構造から生じている︒その結果︑政治的地方主義の特徴である直接的政治接触は︑他の国家におけ
るよりもイタリア︑
二 五
フランス︑スペインにおいてより顕著である︒イタリアとフランスにおける国家と地方政治間の
直接結合の密接さと︑ スペインでのそうした結合の発展可能性は︑中央における大きな地方の影響力よりも地方政治
家に対するより大きな国家政治の影響力を導入するであろう︒そのような結合は︑国家的政党指導者に地方公職への
任命の独占と地方の政治的異議の抑圧を可能にするであろう︒地方と国家政治間の結合は︑地方政治家に地方自治体
での政治的論争を軽視する誘因を創る傾向にあるが︑地方政治に対する国家的政党組織の支配を造る傾向があるとま
で考えるべきでない︒何よりも先ず︑下院と主要な閣僚において享有されている地方支持の貯蔵所のほかに上院は︑
フランスにおける地方政府によるその権力への主要な侵入への抵抗を援助したし︑少なくとも八
0年代におけるその
権力の多少の拡大に貢献したことを銘記すべきである︒イタリアにおいて︑政党構造と選挙構造を通じての直接的結
合もまた︑改革に対する主要な攻撃の阻止を促進し︑七
0年後地方から奪取された基盤の奪還を助長した︒これらの
国家における国家と地方政府間の密接な政治的結合は︑地方公職者が国家決定形成舞台で地方に作用する政策に影響
そうであるならば︑政治的地方主義は︑これら国家において法的中央集権主義と一致するかどうかという問題が起
国 家
│ 地
方 関
係 と
二 次
元 基
準
︵ 二
五 ︶
第 四 四 巻 第 一 号
こる︒政治的地方主義がフランスやイタリアにおける地方政府の役割の重要な構成要素であれば︑地方権威がこうし
た影響力をより多くの機能的責任と自由裁量︵すなわち︑より多くの法的地方主義︶
できる︒しかし︑ フランスとイタリアにおいて︑法的中央集権主義は︑七
0年代と八
0年代の地方分権化改革にも関
わらず存続している︒これらの国家の地方エリートがより大きな法的地方主義産出のために中央でその影響力を使用
しなかったかどうかは資料から説明し難い︒仮説を設定せざるをえない︒
第一に︑政治的地方主義は︑積極的改革に賛成の地方政府単位の無力のために︑政治制度における固有的に防御的
にして保守的影響力なのであろうか︒第二に︑より大きな法的地方主義に対する可能的反対勢力︑とりわけフランス
の確かに強い文官の威力と関連しているのであろうか︒第三に︑地方政治的エリートは︑より大きな法的地方主義か
ら得るものはないというのであろうか︑また法的地方主義がもたらす時間と技術のより大きな要求に苦しむというの
であろうか︒第四に︑より大きな法的地方主義の要求欠如は単に文化的なものであろうか︒すなわち︑それ自身の能
カで主要なサービス提供者としてよりも中央と周辺部間の媒介者としてのフランスやイタリアの地方政府の性格に広
範な合意があるのであろうか︒他の仮説を包含したこれらを検討する方法はない︒しかし︑これまでのことは︑地方
政治的エリートが中央政治内での決定形成過程に専念している影響力という点で︑
のイギリスや北欧国家間に明白な相違のあることを示唆している︒ 関法
一方のフランスやイタリアと他方 の獲得のために使用すると期待
参 考 文 献
W .
J
. M . M a c k e n z i e , "
L o c a l G o v e r n m e n t i n P a r l i a m
e n t "
, P u b l i c A d m m s i t r a t 1 0 n ,
2 9,423, 1954.
E .
C .
P a g e , L o c a l i s m a n d C e n t r a l i s m i n E u r o p e
: T
h e P o l i t i c a l a n d L e g a l B a s e s o f L o c a l S e l f ' G o v e r n m e n t ,
1
99 1.
二 六
︵ 二
六
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囲悩一華択匡l!!f.lJI]~I~