平成28年度月形健康づくり・体力づくり推進事業実 施報告
著者 井出 幸二郎, 上田 知行, 小坂井 留美, 小田 史郎 , 本多 理紗, 竹田 唯史, 増山 尚美, 竹内 晶
雑誌名 北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要
巻 8
ページ 171‑177
発行年 2017
URL http://doi.org/10.24794/00002581
平成28年度月形健康づくり・体力づくり推進事業実施報告
A Report with Regard to Tsukigata Health and Fitness Promotion Projects
井 出 幸 二 郎
1)上 田 知 行
1)Kojiro I
DETomoyuki U
EDA小 坂 井 留 美
2)小 田 史 郎
2)Rumi K
OZAKAIShiro O
DA本 多 理 沙
3)竹 田 唯 史
1)Risa H
ONDATadashi T
AKEDA増 山 尚 美
1)竹 内 晶
4)Naomi M
ASHIYAMAAkira T
AKEUCHIⅠ.はじめに
北翔大学生涯スポーツ学部は,月形町教育 委員会,保健福祉課と連携し,平成24年度か ら開始した月形町民を対象とした健康づく り・体力づくり推進事業を実施している。本 事業の目的は,月形町民が健康的で心にゆと りのある生活をおくることができるようにな
るために,町民自らが意識を高め,健康増進 と体力増強に努める態度を培うことである。
また,自分の身体に対して意識を高め,自分 の健康は自分で守り,さらに町民自ら行う運 動やスポーツ活動を通して地域コミュニティ を形成しそれを充実させるという目標を掲 げ,本事業は展開されている。展開内容は,
第一ステップでは町民を対象とした体力測
1)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科 2)北翔大学生涯スポーツ学部健康福祉学科 3)北方圏生涯スポーツ研究センター 4)月形町教育委員会
表1 ヘルシーアカデミーの展開について
開催日時 場 所 内容及び担当
第1回 10月10日(月・祝)9時〜13時 多目的アリーナ ノルディック・ウォーキング講習及びパークゴルフ(町
民歩け歩け大会雨天中止による)
【担当】本多理沙、他
第2回 11月20日(日)10時〜12時 総合体育館 がたリンピック
【担当】本多理沙、小川裕美 第3回 1月22日(日)10時〜13時 月形小学校グラウンド ゴルポッカ【担当】小田史郎、他
第4回 3月12日(日) 総合体育館 年次まとめ
【担当】本多理沙
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定,第二ステップでは測定結果の公表,町民 に対する健康・体力づくりに関する講話,運 動プログラムの紹介,第三ステップでは運動 プログラムの実施とした。
本報では,平成28年度月形健康づくり体力 づくり推進事業の実施内容について報告する。
II.第一ステップ 町民体力測定 平成28年6月12日(日)月形町総合体育館に て,月形住民が各々の健康状態や体力を知り,
自ら健康・体力づくりに取り組む生活態度を 培うことを目的に,20歳以上の月形町民を対 象に『町民体力測定』を実施した。体力測定 前に血圧,身長,体重を測定し,身長及び体 重から肥満度(体重÷身長×身長(m))を 算出した。体力測定項目として,握力,長座 体前屈,開眼片足立ち,ファンクショナルリ
ーチ,10m全力歩行,30秒立ち座りを行った。
また,通常歩行時の動画をデジタルビデオカ メラにより撮影記録し,画像解析ソフトウェ ア(ダートフィッシュ)により連続画像を撮 影した。測定・記録を,北翔大学生涯スポー ツ学部教員及び学生スタッフが担当した。
今回の体力測定会参加者の身体的特徴を表 2,体力測定結果を表3に示した。参加者数 は20代が4名,40代が1名,50代が2名,60 代以上が25名,計32名であった。身体的特徴 及び体力測定結果は,これまでの平均値で比 べても大きな差は認められなかった
1-4)。今 年度の参加者のうち12名が平成24年の第1回 の測定にも参加しており,その12名の体力 変化を図1に示した。体力の経年変化には student t-testを用いた。この12名の内訳は 男性4名,女性8名で,平成27年の測定時の 年齢は76±5歳であった。血圧,肥満度に経
表3 参加者の身体機能
握力(㎏) FR
(㎝)
長座体前屈
(㎝)
開眼片足立ち
(秒)
10m歩行
(秒)
30秒起居
(回)
男 性
全体(n=7) 33.2 ± 5.8 36.4 ± 7.4 29.6 ± 15.2 57.8 ± 55.9 4.4 ± 1.7 23.6 ± 8.6 65歳以下(n=3) 37.3 ± 8.0 44.2 ± 2.8 40.7 ± 10.5 113.3 ± 11.5 3.2 ± 1.1 26.2 ± 7.8 65歳以上(n=4) 31.1 ± 3.6 32.6 ± 5.5 24.0 ± 14.6 30.0 ± 46.5 5.0 ± 1.7 22.3 ± 9.4 女
性
全体(n=12) 24.4 ± 5.0 33.4 ± 5.6 34.2 ± 10.0 32.5 ± 42.4 5.8 ± 1.8 18.7 ± 6.6 65歳以下(n=4) 28.1 ± 3.6 32.8 ± 10.3 23.8 ± 11.3 82.1 ± 65.7 3.9 ± 0.2 18.2 ± 2.8 65歳以上(n=8) 23.8 ± 6.1 33.5 ± 5.2 36.2 ± 7.9 23.2 ± 7.4 6.1 ± 1.9 18.8 ± 7.4
FR:ファンクショナルリーチ 平均±標準偏差
表2 参加者の年齢,血圧及び身体的特徴 年齢(歳) 最高血圧
(㎜ Hg)
最低血圧
(㎜ Hg) 身長(㎝) 体重(㎏) 肥満度
(体重 /身長2) 男
性
全体(n=7) 61.3 ± 23.2 134.7 ± 16.0 71.3 ± 9.7 160.6 ± 8.1 63.2 ± 10.4 24.5 ± 3.5 65歳以下(n=3) 35.0 ± 22.6 124.0 ± 24.6 75.3 ± 17.5 168.1 ± 8.9 67.8 ± 12.5 23.9 ± 3.7 65歳以上(n=4) 74.5 ± 5.5 140.0 ± 8.0 69.3 ± 3.9 156.9 ± 4.7 60.8 ± 9.5 24.7 ± 3.7 女
性
全体(n=12) 70.2 ± 15.8 129.4 ± 22.3 70.6 ± 11.3 151.7 ± 8.2 54.0 ± 5.9 23.5 ± 2.5 65歳以下(n=4) 39.3 ± 17.9 104.0 ± 14.0 60.7 ± 9.9 158.9 ± 3.8 54.9 ± 1.8 21.8 ± 0.7 65歳以上(n=8) 75.9 ± 4.5 134.2 ± 21.7 72.4 ± 10.5 150.4 ± 9.1 53.8 ± 6.7 23.8 ± 2.5 平均±標準偏差
年変化は認められなかった。4年後の身体機 能について,握力に低下が見られたが,柔軟 性,平衡機能,動的平衡機能,下肢パワー,
歩行機能に変化が認められなかった。これら の体力測定参加者の多くは,運動教室にも頻
繁に参加しており,健康志向の強い方々と考 えられ,高齢者においても健康志向が高く生 活習慣を整えておくことで体力の維持は可能 であると考えられる。一方,今回測定した体 力項目もうち低下が認められたものは握力の
図1 月形町町民体力測定会の参加者の4年後の身体的な変化
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みであったとはいえ,握力の低さは数年後の 認知機能の低下
5)や心疾患の危険因子
6),日 常生活動作の低下の予測因子
7)となることが 報告されており,地域住民の健康づくり及び 体力づくりの教育が必要であろう。
今年度は体力測定に加え血圧脈波により 心臓足首血管指数(Cardio-Ankle Vascular Index:以下CAVI)を測定し,動脈の硬度を 評価した。その結果,月形町民体力測定会の 参加者のCAVIと年齢間に有意な正の相関関 係が認められ,加齢により血管の弾性が低 下し血管の硬度が高まる
8)という従来から報
告された通りの結果が得られた(図2A)。一 方,血管の硬度は全身持久力と相関関係が あること
9)が報告されており,今回ピアソン の相関係数を用いてCAVIと10m歩行速度と 相関関係の有無を確認したところ,CAVIと 10m歩行速度との間に単相関が認められたが
(図2B),年齢を考慮に入れた場合,これら の相関関係は認められなかった。また,血管 の硬度と柔軟性と相関関係があるとの報告
10)があるが,今回の体力測定会参加者において は血管の硬度と柔軟性との間に相関関係は認 められなかった(図2C)。その他,今回の月 形町民体力測定会の参加者において,体力と CAVIの相関関係は認められなかった。この ような結果は,統計対象とした人数が少ない ことが原因と考えられる。
III.第二ステップ ヘルシーミーティング
7月9日(土)月形町総合体育館にてヘル シーミティングを開催し,前回の体力測定結 果のフィードバック及び健康・体力づくりの 講話を行った。講話では,町民体力測定会で 測定した血圧脈波検査結果と体力や習慣的な 運動との関連性について,重点的に話をした。
図2 月形町町民体力測定会の参加者のCAVI と年齢、歩行能力、柔軟性の関係
A
B
C
写真1 体力測定会
その後,参加者に対して体力アップチャレン ジ教室ヘルシーアカデミーで行われる運動を 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター研 究員,北翔大学教員及び学生スタッフが指導 した。参加人数は19名であった。
IV.第三ステップ 体力アップチャレンジ教室
第一ステップ,第二ステップを受け,第三 ステップである体力アップチャレンジ教室ヘ ルシーアカデミーを実施した。展開内容は,
第1回「元気はつらつウォ—キング講座 ノ ルディックウォーキング及び町民歩け歩け大 会」,第2回「がたリンピック」,第3回「ゴ ルポッカ」,第4回「年次まとめ」とした。
「元気はつらつウォ—キング講座 ノルデ ィックウォーキング及び町民歩け歩け大会」
では,歩行時の姿勢や歩幅など,効率よく運 動できるウォーキングの方法や,ノルディッ クウォーキングの紹介及びその効果について 説明し,実際にポールを用いた歩行を行い,
ノルディックウォーキングを実演した。町民 歩け歩け大会は,雨のため中止となったが,
多目的アリーナ内でパークゴルフを行った。
ノルディックウィーキング講座もパークゴル
フとも参加した本学学生がつきがた町民参加 者へのサポートを行った。 「がたリンピック;
つき“がた”オ“リンピック”」の内容は① ラダーゲッター,②ディスゲッター,③フ ロアカーリング,④ペタンク,⑤スカットボ ール,⑥スポーツ吹き矢で,幅広い年齢層で 楽しめるレクリエーションスポーツで構成し た。がたリンピックには,北翔大学生涯スポ ーツ学部健康福祉学科の教員及び学生,北翔 大学北方圏生涯スポーツ研究センター研究員 が支援した。「ゴルポッカ」は,月形小学校 グラウンドにて行った。つきがた町民参加者 と北翔大学からの学生参加者がグループを組 み一緒に行い,学生は町民とコミュニケーシ ョンとサポートを重視して参加した。今年度 のゴルポッカは例年よりも多数の学生ボラン ティアが参加したこともあり,町民参加者と のコミュニケーションも多く見られた。
ヘルシーアカデミーで展開されている内容 は,転倒予防に有効な筋力トレーニングや,
心臓循環器系の機能の維持改善に有効であ り,高齢者の認知機能やメンタルヘルスの維 持・改善に有効と考えられているウォーキン グ等,各々が習慣的に個としておこなえる運 動と,高齢者でも冬期に雪上でもおこなえる ゴルポッカ,ペタンクやフロアカーリング等,
写真2 ノルディックウォーキング講座 写真3 ゴルポッカ
北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 第8号