(119)
秋 田大学 医短紀 要 6 :11 9‑1 22,1 99 8
運動処方 における Doubl e Pr oductBreak Poi nt についての検討
樋 山 日出樹 * 佐 竹 賂 宏 * 工 藤 俊 輔 * 阪 井 康 友 ** 黒 揮 和 生 ***
Exami nat i on ofDoubl e Pr oductBreak Poi nton Exer ci se Pr escrl pt l On
Hi dekiMoMI YAMA* Masahi r o SATAKE* syunsuke KUDOU*
Yasut omo SAKAI ** Kazuo KUROSAWA***
Ⅰ 緒 言
近年 ,呼気 ガス分析 に よる換気性作業 閥値 ( ve nt l l a t or yThr e s hol d, VT) や乳酸測定 に よる乳酸性 作 業 開催 ( Lact at eThreshol d , LT) ,血 中乳酸濃度が 4 mmol / 1になる運動強 度 を用いた運動処方 などが盛 んに行われている
。しか し, これ らの方法 による運動強度の設定 に は,高額 な呼気 ガス分析器や繰 り返 し観血的に 血液 を採取す る必要が生 じ,誰 もが安価で簡単 に行 うことが困難である。 この ようなことか ら 運動処方 を行 う現場 においては,対象 となる個 人に換気性及び乳酸性作業間借 の運動強度 を設 定することが望 まれていなが らも必ず しも容易
に行われていない現状がある。
一方, ダブルプロダク ト ( Doubl ePr oduc t , 以下 DP) は従来,心筋の酸素消費量 と強い相 関 ( r ‑0. 9 0) を持 つ ことか ら運動 中の心臓 の 仕事量 を間接的に推測す る指標 として利用 され
て きた。そこで,最近 においては簡便 に VTや LT に近似 した運動強度 をダブルプロダク トの 値が急激 に上昇する変曲点 ( ブ レイクポイン ト, BP)か ら, vTや LTにどの程度近似 している かを検証す る目的で幾つか研究がなされている。
だが,その変 曲点 を検出す る方法が各研究者間 において異 なっていた り,研究報告数の少なさ か ら周知 にわたるダブルプロダク トブレイクポ イ ン ト ( Doubl ePr oduc tBr eakPol nt ,以下 DPBP) の検 出方法が確立 されている とはいえ
ない。
今回我 々は,健常者 を対象 とした DPBPを, 先行研究 にならったⅤ‑ s l op e法 による検出 と経 時的変化か らの視覚的な判断か ら変 曲点 を割 り 出す方法 にて検出 を行 い,両者の比較 をすると ともに VT との相関を分析 し,検討 を行 った。
秋 田大学医療技術短期大学部
*理学療法学科
**茨城県立医療大学保健医療学部 理学療法学科
***国際医療福 祉大学 理学療法学科
Ke yWor ds:DPBP,Ⅴ‑ s l o pe ,運動処方
1 1 9 ‑
Akita University
( 1 2 0 ) 運動処方における Do u b l ePr o d u c tBr e a kPo l n t についての検討
Ⅱ 対象 と方法
対象は高校男子野球部員 9 名で平均年齢1 7. 1 読 ,平 均 身長1 69. 3±11. 4cm,平均体 重69
±6. 3 kg であった。
運動負荷試験 は, 自転車エルゴメー ターにて 分時酸素摂取量 ( 以下, VO Z)が直線 的に増加 し得 る こ とが 可 能 な Ramp負 荷 を用 い た。
ウ オー ミングア ップは30Wa t tにて1 0 分行い, 2 0Wat t /mi n 漸増負荷 を行 った。運動負荷 の中 止 は,原則 としてアメリカ ・スポーツ医学協会 の運動負荷試験 中止基準
1)に従 い,息切 れ,下 肢疲労 によりエルゴメーターの駆動回転数が維 持 困難 になった時点 において も中止要件 とした。
呼気 ガス分析 は, AE‑ 28 0 (ミナ ト医科学社 製) を使用 し , Br ■ e at hbyBr ea t hにて 3 秒 間 に一 回呼気 ガス分析 を行 い, V0 2 と他 のパ ラ メー ター を測 定 し た 。 血 圧 及 び 心 拍 数 は STBp‑ 78 0 (日本 コ‑ リン社製) によ り1 分毎
に測定 を行 った。
vTの検 出は, v0 2 と分時二酸化炭素排 出量
DP
*100
Y 二 十0.0800 Ⅹ ‑ll
R= 0.665
Y =
+0.134
Ⅹ‑148
R
=
0.951( vco 2) か ら Ⅴ‑ sl ope 法 を用 い て割 り出 し た。 DPBPの決定 は, 2 通 りの方法 にて行 っ た。一つ 目は Ⅴ‑ s l o pe 法 によるもので V0 2 に対 して DP の変曲点 を境 に,運動初期か ら変 曲点, 変 曲点か ら連動後期 において二つの回帰直線 を 用いた交点 をDPBPとした。 回帰直線 は,それ ぞれ を最小二乗法 によ り求め,それぞれの残差 分散の和が最小値 となる交点 を採用 した。 この 方法 は, Be a ve r ら
2)によって VT を検出するた めに考案 された もので, VTを検出す る場合 も
Ⅴ‑ s l ope 法で もとめ られる。二つ 目は,経時的 変化 に対 してグラフ上 に視覚的に変曲点 と判断 で きるポイン トをDPBPとした。運動 中の時間 に対す る DPの変化 を もとに BPを決定す るこ とが運動処方す る現場 において簡便 に利用可能 であることか らこの方法 において も検出を行い 比較検討 した。
統計処理 は,回帰分析,相関分析お よび一元 配置分散分析 を用い有意水準 を 5%未満 とした。
VO2 ml/min
0
1 000 2000 3000 L t OOO
図 l Doubl e Pr oductBr eakPoi nt
‑1 2 0
‑Akita University
粗 山 日出樹・・佐 竹 牌 宏 ・工 藤 俊 輔 ・阪 井 康 友 ・黒 揮 和 生 ( 1 2 1 )
Ⅱ 結 果
1.Ⅴ‑s l ope法 よ り決定 した DPBP と VT と の相関
先行研究同様,本研究 において もⅤ‑ s l ope 法 によ り , v02 に対 して DP が変化す る変 曲点 を 検 出す ることが可能であ った。 ( 図 1 ) また, vTの平均 は,28. 3±7. 2ml /ml n/kg ( 平均値
±標準偏差, n‑9)であ り, この検 出方法 に よる DPBPの出現 は, vTよ り前 に出現 してい たのが 6 例 , vTよ り後 に出現 していたのが 3 例 で あ っ た 。 DPBP の 平 均 は , 27. 5 ± 5. 9 ml /ml n/kg で, VT とDPBPとの相関は, r
‑0. 60 (p<0. ll )であった。
2.視覚的に判断 した DPBPと vT との相関 この方法 においては, vT前 に DPBPの出現 が 5 例 , vT後 に出現が 4 例で, DPBPの平均 は, 2 8. 2 ± 6. 8ml / mi n/kgで あ った。 vT と DPBPの相関は, r‑0. 51 (p<0. 1 6)であっ
た。
3.VT と Ⅴ‑s l ope 法 による DPBP ,視覚的判 断による DPBPの 3 群 問検定
vT及び Ⅴ一 S l ope 法 による DPBPと視覚的判 断 による DPBPの 3 群間の有意差検定では,煤 無仮説 を棄却す ることが出来ず有意 な差が ない ことか ら (p<0. 9 6), DPBPの検 出方法の違 い による結果 には差がない といえる。 ( 図 2)
VOZ
ml / k g / mi n
5 0 5
05 0
50 3 3 2
21 1
V