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中学生からみた学習目標の設定についてアンケート調査を中心に

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Academic year: 2021

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(1)

中学生からみた学習目標の設定についてアンケート調査を中心に

平山義光*・金沢 彰*・大沼健一*・野田洋平*

      (1992年11月4日受理)

A Factor Sturcture and Objects of Physical Education     in Junier High School Students

Yoshimitu Hirayama and Aklra Kanazawa and KeBiti Onvma and Yokei Noda       (Received November 4,1992)

はじめに

 筆者らは,新学習指導要領の主旨を生かした学校体育の研究(水府村立山田小学校)を基盤に,「関 心・意欲・態度」の情意面を重視する新学力観に基づく継続研究(金砂郷村立野中学校)をしてきた。

2っの研究から,いくつかの成果や問題点D2)が出てきた6

<主な成果>

1)好きな運動種目では,運動の特性に触れ,自主的に活動できた。

2)自己評価を組み入れた学習カードや補助的な記録簿の活用によって,一人ひとりの協力を認める ことができた。

<主な問題点>

1)観点別評価の評定化はウエイト(傾斜配当)によって評定が異なってしまう。

2)得意種目は,誰もが熱心で「関心・意欲・態度」の評定は困難である。

3)自己評価には,その観点の設定と妥当性の難しさがある・

 以上のように,一人ひとりがいっしょうけんめい体育学習に取り組む姿勢は高まったが,その努力 を正しく評価・評定することが難しいと判断された。

 岡田3)は,「学習の目標が明確に立てられ,それに沿った指導の成果を見ようとする働きが評価で あるから,目標が的確であり,しかも具体的でないと評価も困難になってくる」と指摘している。

 平成元年(1989)に改訂された学習指導要領では,「生涯スポーツ・運動」が重視された。

 「楽しく明るい生活を営む態度を育てる」を体育科の究極的な目標と明確にした上で,「運動に親 しませること」と「健康の増進と体力の向上」とを並列的に示した。これは,前回の改訂(昭和53 年)が腱康の増進及び体力の向上を図り」だけが体育科のもっとも重要なねらいであるとしたこと から大きく転換したことになる。また,前回同様教科の目標と学年の目標をあげている。学年目 標は,内容との関係を持ち出し,目標からみれば内容は目標を具体化したものであり,内容からみ れば目標は内容を総括した関係にあるとして,目標と内容を一致させた。学年の目標の構成では,運 動の特性及び体力に関する目標,協力,公正などの社会的態度及び健康・安全に留意して運動する態

‡教育学部保健体育講座

(2)

度や行事の仕方の目標,高学年では,健康の保持増進に関する目標を具体化している。中学校では,

技能と態度の2項目を設定している。

 一方,学習指導要領と指導要録「指導計画の作成と学習指導の工夫」との相互関連を理解すること が現場では大きな課題になっているが,この学年目標を学習目標の観点としてとらえれば解決の糸 口になりえる。

 宇土4)は,生涯スポーツの課題は質のほうに移っている,「個」の重視にあるとした。すでに,小 林6)が「個人の活動」に着目していたが,筆者らも,個と集団を絡め「一人ひとり」と表現して重視 することにした。

 文部省体育局体育官の杉山5)は,「運動好きの子供をつくる」「本当の好きに」にする,「得意にす る」と生涯スポーツ観を提示している。さらに,すべての目標が運動が楽しくできるように,そし て,楽しさの内容が大切と,運動の手段論から運動目的・内容論を明確にした。

 小林6)も,運動は,健康や体力づくりの手段というよりは,それの持つ文化的価値そのものが,学 校で教えるに値する。学校体育は,その意味で,生涯スポーツの基礎を作るのである,とみている。

また,目標構造には,「運動の合理的な実践と健康・安全についての理解を通して」が主として内容 と方法をあらわし,後段が狭い意味の目標になり,大きな変化と評している。しかし,目標記述の

「適切な」等との不十分さが気になると結んでいる。これは,教師中心の画一的な授業になる不安が あると警鐘している。

 出原7)は,学習指導要領について「総括のない方針書」とか「体力づくり体育」「楽しい体育」「生 涯体育」と猫の目のように変わる「一貫性に欠けるジグザグ改訂」とかなり批判的であることにも 耳を傾けなければならない。

 最後に,小林8>の重視する「教科観」について2−3付け加える。

 小林9)は,シーデントップが「プレイ教育としての体育」を構想し,「精神発育の目標」としての

「情緒的な目標」を「身体発育の目標」「運動発育の目標」「社会的発育の目標」の最も上位に位置づ けたとし,「この訳者である高橋健夫氏も注記しているように,第二次大戦後のわが国に導入され,

学習指導要領の基礎をつくってきたのである。」と説明している。

 その高eSio)は,シーデントップ著 Developlng teacing skllls in physical education 訳のまえがきで「一 言でいえば,体育活動への愛好的態度を高めるような方法で,体育活動を享受する能力(運動技術,

知識社会的態度)を育成することである」とシーデントップの体育目標観を分かりやすく紹介して いる。また,高aSll)は,前述の「生徒による授業評価」の限界からALT・一 PE(Academic Learning Time in Physlcal Educa重lon)の研究をすすめた。筆者は,その観察法のカテゴリーが具体的な学習目標とな

りえるととらえた。

 本研究では,学習の主体者(中学生)の立場にたった学習目標を設定するために,学習目標の構造 を明らかにすることを目的とした。

調査の概要

1対象金砂郷村立北中学校131名(男子69名女子62名)

2調査期間平成3年4月(Pre−test)〜平成4年3月(After 一 test)

3内容本調査は,体育の学習目標に関する22項目によって構成した。

(3)

4方法  1)質問紙によるアンケート調査(前・後)

     2)統計的解析(単純集計,クロス集計,因子分析)

結果と考察

1学習目標平均点の変化

 表1から,はじあの調査では,平均点が4点を越えたのは「運動」の1項目だけでほとんどが3点 から4点の問に含まれた。まとめの調査では,4点以上が12項目あり,最低でも3.4であった。また,

伸び率(まとめ÷はじめ×IOO)の高い項目は,「気分」と「挑戦」である。それらは,情意的なもの を含んでいる。

 さらに,平均点を比較(t一 test)すると,有意な差がみとめられた。

 したがって,まとめの平均点の方が有意に高いと言える。これは,生徒の「やる気」など,関心・

意欲・態度を重視した「新学力観に基づく継続研究」の成果ととらえれらる。

2 学年・男女別検定

 体育の学習目標に対する意識は,学習集団である学年・男女によってとらえ方が異なっていること からクロス集計(カイ自乗検定)をした。

 この結果,表2日目うに,「3楽しい気分になる」,「7グループで活動する」,「12きびきびした態 度で行う」,「19成果を発表する」の4項目に有意な関連がみとめられた。

 表3は,その抽出項目を中心に,学年・男女別にt−tes重を行ったものである。その結果「3気分」

では「1女一3男」に,「7集団」では「1男一1女」と「1女一2男」と「1女一2女」に,「12節度」

では「1女一2男」と「1女一3男」と「2男一2女」と「2女一3男」に,「20発表」では,「1男一 2女」と「2男一3女」に有意な関連がみとめられた。

 表4のクロス集計表から,有意な差がみとめられた「12きびきびした態度」についてみると,2年 と3年の男子は,1年と2年の女子に比べてそのような「節度」を重視していることが分かる。

 以上のように,いくつかの項目において,学年・男女によってとらえ方が有意に異なっていること がみとめられた。この1年問,多くの男子は,具体的なめあてがっかめると授業に熱中し,集団活動 や身支度,きびきびした言動など,自ら規範的な態度に変化する場面が観察された。反面,めあて がっかめなかったりあきたりする場面もしばしばみられた。ほとんどの女子は,教師が叱咤激励す

る必要もなく,こつこつとめあてを持って活動する姿がみられた。

 つまり,一人ひとりが確かなめあてをつかむことやめあてを必然的に持続できるような授業の設定 が大切と考えられた。その際学習集団の学習目標に対するレベルを踏まえておくことも大切であ

る。

3学習目標の因子分析

 因子分析(表5)から,4っの因子が抽出された。全項目が第1因子に包括された。これらが新学力 観に関する内容であることから第1因子を「新しい体育の学習目標」と命名した。第2因子として「12

きびきびした態度」と「13安全に行う」が抽出された。マイナス因子として「1運動」や「2体育を 好きになる」が抽出されたことから「関心・態度の目標」とした。

(4)

86424864238 ︶44︒蕉鰍JJJJ2

86424864238

ラ       ロ

4444 

3333 

2

運動  体育  気分

節度  安全  自主

項 目 運動 体育  気分

表1学習目標平均点の変化

       はじめ 圏       まとめ [コ

挑戦  技能  体力  集団  解放  個別  特性  平等

承認  工夫  理解  成績

   (参考データ)

挑戦  技能  体力  集団

発表  部活  指導  健康

解放  個別  特性  平等 めめ率じとびはま紳

 4.0 3.9  45 ・4.4 112.7 l14.8

節度  安全

 3.2  3.9 121.6

自主

 3.2 3.6  3.8 4.1 120.8 l15.6

承認  工夫

 3.7  4.2 113.4

理解

 3.4  4.0 117.6

成績

 3.4 3.3 3.7  4.1 3.9 4.1

119.5 l17.1 lle.5

発表  部活  指導

 3.3  3.8

1148

はま伸 じとび めめ率 健康

 3.1 3.1  3.4 3.5 112.8 116.1

 3.5  4.1 118.8

  3.2 3.5   3.7 4.0  116.7 116.1

調査期間

 3.7 3.6  4.2 4.1 112.4 114.3

はじめ まとめ,

  3.3 3.9 3.4   3.6 4.2 3.6  109.2 107.5 105.5

平成3年4月 平成4年2月〜3月

 3.7  4.I lIO.6

(5)

表2学年・男女別検定

〈カイ2乗検定〉

*******纏*

別性

㎜讐㎜騰鵬嘱櫨醐羅嬬卿猟期

= = = = − = = 蔦 = = 皿 皿 置 = = 竃 = 一一謹 ; 耳 瓢PPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPP

年学

御難㎜罷蕪㎜難蕪樋脇

= 竃 器 = 課 = 瓢 = = 翼 ﹇一= 窯 = = = 瓢 = = = 一一ユPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPP

*      *      *      *

妨男畢学

㎜錺㎜雛三楽擬鞭輸㎜照

窯 = = 篇 = = = = 鳳 = 瓢 = = F 置 ; 竃 嵩 = ζ = =PPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPP

幡    る う

* 5%の有意水準  ** 1%の有意水準

表3抽出目標の学年男女別検定

i男一i女 1男一2男 i男一2女 1男一3男 1男一3女 1女一2男 1女一2女 1女一3男 i女一3女 2男一2女 2男一3男 2男一3女 2女一3男 2女一3女 3男一3女

1運動 2体育 3気分 7集団

     〈t一 test > 12節度    20発表 oe2g * e.020 * e.lll

O.332 O.083 O.083

e

O.020 * O.718

O.083 O.083 O.164

O,032 * O.057

O.381 O.171

O.495 O.213

e.e29 * e.269

O.331 O.328

e

e

O.083 O.083

O.33i e.665 o.sse

o.sse O.668

O.718 O.773 O.188 O.247 O.130

O.034 * O.608

e

e

O.543 e.431 O.031 O.031

o.e31 * e.os6

O.046 O.381 O.233 O.233

e.332 O.431

o.13e

e

O.803 O.543 O.803 O.543

e

O.332 O.069 O.835

e

O.332 O.332 O.007 O.332 e.668

e.oso * o.42s

O.130

O.047 *

e.749 O.023 e.723 O.259 o.e3s O.057 O.578

O.331

e

O.804 O.826 O.444 O.187

* e.695

**

O.029 * O.527

(6)

3回分

1 2 3

1年男子 0 6 11 17 女子 5 8 12 25 2年男子 2 6 19 27 女子 0 5 13 18

3年男子 0 5 20 25 女子 0 4 15 19

T∴ 7 34 90 131

     表4抽出目標のクロス集計

   7集団       12節度       19発表

   123言十 123言十 12

   0   6  11 17 2   7   8  17 e   5

   541625 216725 38

   0423 27 21e 15 27 413    081e 18 51C 318 1 il

   O   8  17 25 3   5  17 25 5   4    0   7  12 19 O  l3  6  19 0   8    5 37 89 131 14 61 56 131 13 49

表5 目標の因子負荷量(直交解バリマックス法)

3 計 12 17 14 25 10 27 6 18 16 25 11 19 69 131

34@31 30 24 20 15 15 15 11 ◎7 07 07 06 07 08 09 緬 22 29 33 38 38

0  0  ◎  ◎  ◎  0  0  0  0  ◎  0  ◎  ◎  0  0  0  0  0  0  0  ◎  0      一   一   一   ︻   ︻   ︸   一   ︻   ︸   一

康 団 夫 活 導 主 績 認 別 解 等 全 表 育 動 度 分 戦 性 能 放 力健 集 工 部 指 自 成 承 個 理 平 安 発 体 運 節 気 挑 特 技 解 体22 7 婚 20 21 14 18 15 9 17 11 B 19 2 1 12 3 4 10 5 8 6

44@33 31 28 26 22 16 10 09 06 05 02 08 10 14 14 16 20 22 23 39 46

0  0  0  0  0  0  0  ◎  0  0  0  0  0  0  ◎  0  0  0  0  0  0  0      ︻   一   一   一   ︻   ﹁   ︸   ︻   ︻   ︻

度 育 分 全 活 表 導 戦 団 動 等 性 夫 放 認 別 能 主 績 康 力 解節 体 気 安 部 発 指 挑 集 運 平 特 工 解 承 個 技 自 成 健 体 理12 2 3 13 20 19 21 4 7 1 11 10 16 8 15 9 5 14 18 22 6 17

56@56 18 18 17 16 13 H O9 08 08 04 05 07 09 10 12 12 14 26 55 61

◎  ◎  0  0  0  0  0  α  0  0  0  0  0  0  0  0  0  ◎  0  0  0  0      一   ﹁   一   ︸   ︸   ﹇   一   一   一   ︻

全 度 放 解 戦 力 導 夫 認 表 等 別 団 績 主 性 康 能 活 分 動 育安 節 解 理 挑 体 指 工 承 発 平 個 集 成 自 特 健 技 部 気 運 体13 12 8 17 4 6 21 16 15 19 11 9 7 18 14 10 22 5 20 3 豆 2

80@78 76 73 72 71 69 68 67 67 66 66 64 64 62 62 59 58 57 54 53 470  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  0  ◎  0  ◎

標目

5 10 15 18 14 11 4 9 3 1 22 8 19 7 16 21 6 13 2 20 17 12

因子名 新しい体育の学習目標  関心・態度の目標  解釈不可能  解釈不可能

(7)

第3因子以下は解釈不能であった。

      結論 調査結果から,次のような知見を得た。

1)新学力観に基づく授業の展開は,体育の学習目標達成に有効と示唆された。

2)体育の学習目標には,学年・男女差がみられた。

3)この学習目標構造は,統括的なものと「関心・態度」的なものの2つからから成り立っている。

さらに,調査結果と先行文献から,下図のように「学習目標の構造化」を検討し,構造化した。

運動技能

習熟

態度

安全的

   体力つくり社会的        運勤簸          体操

協力      協同

生活化

新しい体育 盤涯ス求一ツ

仲び

課題桃戦

感      自己評価

      覇      。助.。源

      1 一…度めあ囎岬評画〆》

〈教科観から〉

ソ画一 画岬一一

   麟画 鯉⑳

  岬

図1学習目標の構造化(学習指導要領から)

       注

1)茨城県教育長保健体育科編「一入ひとりが生き生きとし,たくましさのある山田っ子を目ざす体  育学習」「学校体育に関する研究収録」,1992.pp.29−30.

2)茨城県教育研究会編「一入ひとりの努力を認める評価・評定について」「教育論文」第26集,

 1992,p.39.

3)岡田和雄「学習評価の課題」「体育科教育」,第9号,1987,p.9.

4)宇土正彦「新体育課程とこれからの学校体育」「体育科教育j第5号,1989,pp.12・一13。

5)杉山重利「体育で何が,どう,なぜ変わったか」「体育科教育」第5号,1989,p.22,

6)小林一久「目標分析の試み」「体育科教育」,第5号,1989,p.27.

7)出原泰明「体育の授業方法論」(大修館書店,1991),pp.45 一 46.

8)小林一久「目標分析の試み」「体育科教育」,第5号,1989,p。27,

9)小林一久「目標分析の試み」「体育科教育」,第5号,1989,p。27.

10)シーデントップ「体育の授業技術」(高橋健夫訳)(大修館書店,1988),p.xii.

11)高橋健夫「新しい体育の授業研究」(大修館書店,1991),pp.176 一181.

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