1. 語法書や辞典の記述には、大規模言語データベースの分析結果が大いに活用され る時代になっている。2016年に出版されたGarner’s Modern English Usage第4版(以 下GMEU4)の記述には、the Google Ngram Viewerを用いた分析結果が新たに取 り入れられている。GMEU4と同書の第3版であるGarner’s Modern American Usage第3版(以下GMAU3)の記述を比較すると、GMEU4における語法記述の変 化を見ることができる。この記述の変化には、新たな大規模データベースの利用に よる分析結果が、大きく影響していると考えられる。
本稿では、まず、GMAU3とGMEU4の記述を比較し、次に、GMEU4と上級学 習者用英英辞典Merriam-Webster’s Advanced Learner’s English Dictionary第2版
(2017)(以下MWALED2)とOxford Advanced Learner’s Dictionary of Current English第9版(2015)(以下OALD9)の記述を比較する。これらの比較分析により、
GMEU4がどのような言語事実を映し出しているかについて、そして、英米の上級
学習者用辞典が映し出す言語事実との類似点、相違点について調査することを目的 とする。
2. GMEU4の主な特徴について見てみよう。まず言及すべきは、初版から第3版ま
でのタイトルであったGarner’s Modern American Usageは、GMEU4において、
American が、 English となったことである。これは、世 界 英 語(World
Garner’s Modern English Usage
第
4版に見る現代英語の諸相
藤本 和子
English)を包括的に扱うという編集方針によるものである。アメリカ英語やイギリ ス英語のみでなく、世界中で、様々な英語が使用されていることを考慮したもので あろう。
GMEU4では、GMAU3で新たに設けられたthe Language-Change Indexが引き 続き使用されている。これは、言語変化における容認度を5つのステージ、Stage 1:
Rejected、Stage 2: Widely shunned、Stage 3: Widespread but . . . 、Stage 4:
Ubiquitous but . . . 、Stage 5: Fully acceptedのように表したものである。1 GMEU4 において、ステージが変化した項目も見られる。詳しくは、第3章で見ていくことに する。
GMAU3においても、NEXIS、WESTLAW、the Oxford English Corpusなどのデー タベースが用いられているが、GMEU4の大きな特徴の1つは、世界中で出版されて いる書物の英語を集めたthe Google databaseを用いて、the Google Ngram Viewer による語(句)の頻度情報が、新たに掲載されたことである。このngramデータにより、
アメリカ英語、イギリス英語をはじめ、世界英語における語(句)の通時的な使用頻 度の変化を知ることができるほか、語(句)の主要形と異形の比率をつかむことがで きるため、GMEU4では、current ratio が記されるようになった。GMEU4におけ る current ratio は、2008年の206,272冊の書物からなるGoogleデータ分析に基づ くものである。GMEU4のジャケットの情報によると、本書には、2,300の頻度情報
word-frequency ratio が掲載されている。
本書で扱われている項目は、発音、綴り、語(句)の使い分け、文法構造、社会や 文化と言語使用についてなど多岐にわたる。GMEU4では、1,000以上の項目が新た に入り、AからZまでの項目が掲載されている本体のページ数は、GMAU3は876ペ ージであったが、GMEU4では983ページとなり、107ページ増加している。
Garnerは、GMEU4 の記述について、Have my editorial recommendations
1 The Language-Change Indexの詳細は、GMEU4(p. xxxi, pp. l-lii)を参照のこと。上 記の容認度の提示方法のほかに、本書の使用者が想像しやすいように、10タイプのアナ ロジーを用いた表現も掲載されている。例えば、School-Grade Analogyでは、Stage 1: F、 Stage 2: D、Stage 3: C、Stage 4: B、Stage 5: Aである。
changed because of big data? Yes―a few of them. But on the whole, ngrams have borne out the overwhelming majority of judgments expressed in my earlier usage books. (GMEU4, p. xii)と述べている。しかしながら、Finegan (2017)もGMEU4 の書評において、. . . the ngrams have prompted changes in various entries . . . (p.
122)と述べているように、本稿におけるGMAU3とGMEU4の記述の比較分析の結 果からも、the Google Ngram Viewerの利用が、GMEU4の記述の変更に大きく関 係していると言える。具体的な項目は、第3章で見ていこう。
Garnerはさらに、. . . given the evidence that I have before me, what judgments would such eminent predecessors such as H. W. Fowler and Theodore Bernstein have made? (GMEU4, p. xii)と述べて、これまでと変わらぬ編纂者としての自身 の姿勢に触れている。このことから、GMEU4の記述には、大規模データベースの 分析結果のみならず、編纂者の判断も取り入れられていることが分かる。
3. 本稿では、GMAU3とGMEU4の記述の変化を調べるために、Aの項目を比較する。
Aの項目は、GMAU3では、81ページ(全体の9.2%)、GMEU4においては、89ペー ジ(全体の9.1%)にわたって掲載されている。
エントリーの中に見られるthe Language-Change Indexに基づくStageの詳細は、
以下の通りである。
Stage 1: A new form emerges as an innovation(or a dialectal form persists)among a small minority of the language community, perhaps displacing a traditional usage. [Stage 1: Rejected]
Stage 2: The form spreads to a significant fraction of the language community but remains unacceptable in standard usage. [Stage 2: Widely shunned]
Stage 3: The form becomes commonplace even among many well-educated people but is still avoided in careful usage. [Stage 3: Widespread but . . .]
Stage 4: The form becomes virtually universal but is opposed on cogent grounds by a few linguistic stalwarts(die-hard snoots). [Stage 4: Ubiquitous but . . .]
Stage 5: The form is universally accepted(not counting pseudo-snoot eccentrics). [Stage 5: Fully accepted]
(GMEU4, p. xxxi. [ ]内は、同ページ Literal Shorthand References の記述)
Invariably inferior forms には、 のマークが付されている。
3.1では、GMEU4で新たに入った項目、3.2では、両版で記述に変化のあった項 目について、それぞれ例を挙げながら見ていこう。GMAU3にはあったが、GMEU4 で削除された項目は0項目である。2 項目名は、GMEU4のものを用い、主として、
GMEU4のエントリー中の記述を引用する。引用は、エントリー中の一部である場合
もあり、引用中の下線は、筆者によるものである。調査するのは、語(句)の用法に ついての記述の増減や、記述内容の変化である。GMAU3とGMEU4において、説 明記述が全く、あるいはほぼ同じ場合にも、上記の容認度のステージが両版で異な っている項目もある。同時に、GMEU4と学習者用英英辞典MWALED2とOALD9 の記述とも比較する。MWALED2の編纂には、データベースLexis-Nexisなどが、
OALD9には、the Oxford English Corpusが用いられている。
3.1 GMEU4で新たに入った項目は、61項目である。3 内容は、発音に関するもの
34項目(e.g. accelerate)、綴りに関するもの8項目(e.g. abjurer; abjuror)、発音 と綴りに関するもの1項目(e.g. antepenultimate)、語の使い分けに関するもの3項目
(e.g. academy; academia; academe)、名詞(句)の語形に関するもの7項目(e.g.
Achilles’ heel; Achilles tendon)、社会や文化と言葉遣いに関するもの1項目(e.g.
anchor baby)、他の項目を参照するよう指示するもの7項目(e.g. absentia, in [in
2 GMAU3のaweighは、GMEU4では、away; aweighとなり、GMEU4で新たに入っ た項目anchors aweighを参照するよう指示している。GMAU3のaweighの内容は、こ
のanchors aweighにおいて、一部変更を加えて扱われている。従って、本稿では、
GMAU3のaweighは、削除された項目としてカウントしておらず、GMEU4の項目
away; aweighも、新たに入った項目としてはカウントしていない。
3 GMAU3のANTI-は、GMEU4では、項目名がanti-となり、発音に関する記述が入ったが、
記述の増加とみなし、GMEU4で新たに入った項目にはカウントしていない。
absentia参照])である。発音に関する項目が最も多く取り入れられていることが分かる。
いくつか例を見てみよう。
(1) again
GMEU4 [A]gain, like against, is preferably pronounced in AmE with an /e/ in the second syllable─hence /ə-gen/ and /ə-genst/. The pronunciations /ə-gayn/ and /ə-gaynst/ are chiefly BrE variants . . . The pronunciations /ə-gin/ and /ə-ginst/ are frequent among less educated speakers . . .
Againの第2音節の発音は、アメリカ英語では、短母音/e/が好まれ、二重母音の
/ay/(pageの母音と同じ発音。GMEU4 p. xxix参照のこと)は、主にイギリス英語に おける異形であり、短母音/i/は、より教養のない話し手の間で頻繁に用いられると いう、この語の母音に関する記述である。
MWALED2は、短母音/e/のみを、OALD9は、短母音/e/を主要発音、二重母音 を異形発音として掲載している。MWALED2とOALD9のいずれにも短母音/i/の発 音の掲載や、この発音についての注記はない。
参考までに、Longman Pronunciation Dictionary第3版(以下LPD3)の発音に関 する意見調査結果によると、短母音/e/と二重母音は、アメリカ英語では、前者が 97%、後者は、3%、イギリス英語では、それぞれ80%と20%であり、英米ともに短 母音/e/が優勢である。4
(2) April Fool’s Day; April Fools’ Day
GMEU4 The singular-possessive form has been consistently more common since the term became popular in the mid-19th century.
Current ratio: 2:1
4 LPD3の発音の意見調査は、アメリカ英語は、1993年、1999-2002年、イギリス英語は、
1988年、1998年、2007年に行われている。
GMEU4は、単数形の所有格April Fool’s Dayのほうが、複数形の所有格April Fools’ Dayよりも一般的であるとし、後者は、Invariably inferior forms を意味す る が付されている。単数形所有格と複数形所有格の比率は2:1である。
MWALED2の記述は、GMEU4の記述と異なっている。つまり、MWALED2では、
April Fools’ Day or April Fool’s Dayのように掲載されている。MWALED2では、
orで結ばれた2種類の綴りは、どちらも同じ程度に一般的であることを表す(p. 12a)。 一方、OALD9では、April Fool’s Day or All Fools’ Dayのように、単数形所有格 を用いた形と、複数形所有格には、All Fools’ Dayという表現が掲載されている。
(3) Asian; Asiatic
GMEU4 Asian is the predominant adjective for people or things from or related to Asia. Until the 1950s, Asiatic was 8 to 12 times as common in print as Asian. But after WWⅡ, Asian rapidly became preferred and now predominates by a 14-to-1 ratio. Today, Asiatic is limited to academic uses such as Asiatic style (florid rhetoric), Asiatic mode of production
(Marxist economic theory), and Asiatic lion (zoology).
第2次世界大戦後に、Asianが急速に用いられるようになったという情報は、the
Google Ngram Viewerから分かる通時的な言語変化である。GMEU4によると、形
容詞のAsianとAsiaticの比率は、現在、14:1でAsianのほうが優勢である。
形容詞のAsianとAsiaticについて、MWALED2では、Asianの定義は、 of or relating to Asia or its people 、 Asiaticは、of or relating to Asia であり、後者には、
Asiatic should not be used to describe people. との注記がある。OALD9は、いず れの語の定義も of or connected with Asia であり、Asiaticには、specialist との 注記がある。これは、GMEU4における、Asiaticが学術的な使用に限定されている という記述と類似している。MWALED2は、これら2つの形容詞と人あるいは物を 表す名詞との使い分けに、OALD9は、語の使用場面、分野といった観点からの使い 分けに焦点を当てた記述と言えよう。
3.2 GMAU3とGMEU4において、記述が変化した項目について、例を挙げながら 見ていこう。引用中の current ratio は、第2章で述べたように、すべてGMEU4で 新たに入った情報である。
(1) access, vb.
GMEU4 As a verb, access has its origins in COMPUTERESE. Like a number of other nouns turned into verbs (e.g., contact), it now seems increasingly well ensconced in the language. . . . But outside computing and electronic contexts, using access as a verb still jars sensitive ears. Avoid the verb if there’s a ready substitute . . .
LANGUAGE-CHANGE INDEX access as a verb outside computing contexts <accessing the books>: Stage 4
Accessを動詞として、コンピュータ関係の文脈以外で用いることを好まない人も
いることが記述から分かる。この用法の容認度は、GMAU3では、Stage 3 (Widespread but . . .)であったが、GMEU4では、Stage 4 (Ubiquitous but . . .)となり、この用法 が広がっていることが伺える。
MWALED2には、動詞accessの定義は、to gain access to (something): such as a:
to be able to use, enter, or get near (something) . . . b: to open or load (a computer file, an Internet site, etc)とあるように、コンピュータ関係文脈以外での意味が、先 に掲載されている。MWALED2とは異なり、OALD9では、第1義は、(computing) to open a computer file in order to get or add information という、コンピュータ関 係の文脈での意味であり、第2義として、(formal) to reach, enter or use sth が掲 載されている。辞典には通例、頻度の高い意味から掲載されることを考えると、アメ リカ英語辞典のMWALED2のほうが、動詞のaccessをコンピュータ関係以外の文脈 で用いることに対して、寛容な態度を取っていると言えようか。
(2) accoutrement
GMEU4 [A]ccoutrement (= a supplementary item of dress or equipment;
accessory) is predominantly so spelled in AmE and BrE alike, and always has been. Though given preference in several American dictionaries, accouterment has never prevailed in print.
Current ratio (World English): 7:1
(AmE): 6:1
GMAU3で は、 項 目 名 は、accoutermentで あ っ た が、GMEU4に お い て、
accoutrementとなった。GMEU4の引用中の下線部は、GMAU3と異なる記述がな されている箇所である。GMAU3では、アメリカ英語綴りは、accoutermentで、イ ギリス英語綴りは、accoutrementとの記述がなされていたが、GMEU4では、アメ リカ英語、イギリス英語ともに、accoutrementが優勢であるとの記述となった。
GMEU4におけるこの記述の変化は、GMEU4で新たに用いられるようになったthe Google Ngram Viewerの 検 索 結 果 に よ る も の で あ ろ う。Accoutrementと accoutermentの比率は、世界英語では、7:1、アメリカ英語では、6:1のように、
前者の頻度が高いことが分かる。
MWALED2の見出し語は、accoutrement or US accoutermentであり、アメリカ 英語では、accoutermentも用いられるとされている。OALD9の見出し語は、
accoutrementsであり、US also accouterments との記述がなされている。
MWALED2とOALD9ともに、accouterment(s)をアメリカ綴りとして掲載している。
(3) adviser
GMEU4 [A]dviser has been the standard spelling since the early 17th century.
Advisor is a variant that became common in the 20th century but remains marginally less frequent.
Current ratio (adviser vs. advisor): 1.1:1
GMAU3では、adviserとadvisorの綴りについて、[A]dviser is the standard spelling. Advisor is a variant. と記述されていたが、GMEU4では、下線部の通時 的な情報が与えられている。20世紀に一般的になったとされるadvisorの綴りには、
GMAU3では、 が付されていたが、GMEU4において、 は削除された。Adviser とadvisorの綴りの比率は、1.1:1である。
MWALED2とOALD9には、adviserの後ろに also advisorとして、両方の綴りが 掲載されている。MWALED2では、主要綴りの後ろに、alsoが用いられて、より一 般的でない綴りが掲載されている(p. 12a)。OALD9は、alsoを用いて、どちらの綴 りも容認されることを意味する(p. vii)。
(4) after having [+ past participle]
GMEU4 This construction is ordinarily incorrect for after [+ present participle].
That is, although either having gone on for ten years or after going on for ten years makes sense, coupling after with having [+ past participle]
makes a REDUNDANCY . . .
LANGUAGE-CHANGE INDEX after having been for after being: Stage 3 Current ratio (after being vs. after having been): 6:1
Afterの後ろの動詞の時制についての記述である。GMEU4の上記引用部の記述は、
GMAU3と全く同じであるが、容認度のStageは、GMAU3では、Stage 4 (Ubiquitous but . . .)であったが、GMEU4では、Stage 3 (Widespread but . . .)に下がった。
After beingとafter having beenの比率は、6:1である。After having beenには、
が付されている。この文法構造についての記述内容は、学習者が時制を学ぶ時や、
用いる時に意識するとよいであろう。
MWALED2とOALD9には、この文法構造についての記述は掲載されていない。
(5) all
GMEU4 The better construction is to omit of and write, when possible, All the
attempts failed. Since the beginnings of Modern English, the phrasing all the (+ plural noun) has vastly predominated over all of (+ plural noun): the of-variant was essentially nonexistent till the turn of the 20th century, and even now it is not nearly as frequent in print sources, whether in AmE or BrE. . . . Although all of is more common in AmE than in BrE, it should generally be avoided in all formal writing.
Current ratio (all the vs. all of the): 8:1
All theとall of theに つ い て、GMAU3で は、 前 者 は、The more formal construction とされていたが、GMEU4では、The better construction となった。
引用部最終行のように、GMEU4において、all of は、「一般に、すべてのあらたま った書き言葉で避けられるべきである」として、GMAU3の in formal writing は、in all formal writing のように、all が入った。さらに、GMEU4において、下線部の 言語変化の通時的情報が入り、all the (+ plural noun)のほうが、all of (+ plural noun)よりも近代英語期から現在に至るまで優勢であること分かる。All ofは、イギ リス英語よりもアメリカ英語においてよく用いられるが、あらたまった書き言葉では 避けたほうがよいということは、場面に応じた言語使用のためにも、上級英語学習 者にとって有益な内容であろう。All theとall of theの8:1という比率からも、ofを 用いる表現とそうでない表現の頻度の差が分かる。5
MWALED2とOALD9の両版とも、all theとall of theの使い分けについての記述 はないが、注記が掲載されれば、学習者に役に立つのではないだろうか。
(6)analyst; analyzer; analyzist
GMEU4 The first is standard in reference to a person who analyzes. The second is
5 GMEU4は、all ofを用いるほうがよい2つの場合についても記述している。1つは、
代名詞が続く all of them のような場合、2つ目は、 . . . all of Jones’ ego-stroking maneuvers and incessant need for attention . . . のような所有格の名詞が続く場合である。
a NEOLOGISM for software that examines data for patterns, relationships, etc. The third is a NEEDLESS VARIANT.
GMAU3では、analyzerとanalyzistに、 が付されており、これら2つの語が、
NEEDLESS VARIANTS とされていたが、GMEU4において、analyzerに付されてい た が削除され、この語について、引用下線部の記述が加わった。Analyzerが、ソ フトウェアに用いられる新語であることが分かる。6
MWALED2とOALD9はいずれも、analyzerのエントリーや、analyzistに対する 注記の掲載はない。
(7)another think coming; another thing coming
GMEU4 The traditional idiom is If you think X, you’ve got another think coming. That phrasing has predominated since the expression became popular in the early 20th century. It may not be funny anymore, but it makes sense: X is wrong, so eventually you’re going to think Y instead.
But a surprising number of writers substitute thing for think, which is grammatical but not even vaguely clever.
LANGUAGE-CHANGE INDEX another thing coming for another think coming: Stage 4
Current ratio (another think coming vs. another thing coming): 1.6:1
If you think X, you’ve got another think coming「Xと思っているなら思い違い をしている」というくだけた表現のanother think comingのthinkの代わりにthing を用いる用法についての記述である。上記引用中の下線部は、GMAU3では、The
6この記述の変化からすると、GMEU4の項目 analyzer; analyzistの analyzerに付 された は、削除される必要がある。
OED records this usage from 1937 (s.v. think). であったが、GMEU4では、think を用いたanother think comingのほうが、20世紀はじめ以来、優勢であるという、
the Google Ngram Viewerを用いることによって得られるこの表現の通時的な頻度
情報に変わっている。7 GMAU3とGMEU4のその他の箇所の記述は同じであるが、
注目すべきは、容認度を表すStageの変化である。GMAU3では、another think comingの代わりに、another thing comingを用いることは、Stage 1 (Rejected)で あったが、GMEU4では、Stage 4 (Ubiquitous but . . .)になり、容認度が上がって いる。Another think comingとanother thing comingの比率は、 1.6:1である。
MWALED2は、think (n.)のエントリー中に、have another think comingを、
thingのエントリー中に、have another thing comingを掲載している。OALD9は、
think (n.)のエントリー中に、you’ve got another think comingを掲載しているが、
thingが 用いられた表 現は、thingのエントリー中には 掲載していない点は、
MWALED2とOALD9で違いが見られる。
(8)anyplace
GMEU4 [A]nyplace for anywhere has appreciably crept into print sources only since the early 1960s. It remains nonstandard . . .
LANGUAGE-CHANGE INDEX anyplace for anywhere: Stage 1 Current ratio (anywhere vs. anyplace): 64:1
Anyplaceを副詞として、anywhereの代わりに用いる用法についての記述である。
上記下線部は、GMAU3では、 [A]nyplace is inferior to anywhere であったが、
GMEU4では、ごく1960年代はじめ以来、印刷物にanyplaceがanywhereの代わり に用いられるようになっているとの情報が入り、この用法が、nonstandard である との記述に変わった。Anyplaceをanywhereの代わりに用いることは、GMAU3では、
Stage 3 (Widespread but . . .)であったが、GMEU4では、Stage 1 (Rejected)となり、
7 OED = The Oxford English Dictionary (2nd ed.). (1989).
容認度が下がった。GMEU4における容認度の判断は、the Google Ngram Viewer によるanywhereとanyplaceの比率が64:1であることも大きく影響していると考え られる。
MWALED2とOALD9はいずれも、anyplace (adv.)をアメリカ英語として掲載し ており、GMEU4と異なり、nonstandard のような注記はない。
(9) aquarium
GMEU4 The anglicized plural aquariums has been predominant in AmE and World English since the 1980s. In BrE, the predominant plural is still aquaria, though now by a very slender margin.
Current ratio (World English): 2:1
GMAU3では、上記引用部の記述は、Pl. aquariums or (less good) aquaria.
であった。GMEU4において、aquariumのアメリカ英語、世界英語、イギリス英語 における複数形についてのより具体的な記述が入った。世界英語では、英語の複数 形を作る規則に従うaquariumsとラテン語の規則に従うaquariaの比率は、2:1で ある。第2章で述べた、GMEU4のアメリカ英語のみではなく、幅広く世界で用いら れている英語を扱うという編集方針と、the Google Ngram Viewerの検索に基づく 記述の変化であろう。
MWALED2とOALD9はいずれも、aquariumの複数形として、aquariums、 aquariaの順で、orで結んで掲載している。
(10) avertable
GMEU4 So spelled―no longer avertible. Though the -i- spelling was once standard. The -a- spelling became predominant in the 1980s and remains so.
Current ratio: 5:1
GMAU3では、avertableではなく、avertibleの綴りが見出し語として用いられて おり、上記引用部の記述は、So spelled―not avertable. であった。GMEU4に おいて、容認される綴りが入れ替わったことになる。Avertableとavertibleの使用 比率は、5:1である。GMEU4では、avertableが1980年代から優勢となっている という情報が加えられたが、ここでもthe Google Ngram Viewerによる情報に基づ く記述の変化と言えよう。
MWALED2とOALD9には、avertableとavertibleのエントリーも、これらの綴り に関する注記も掲載されていない。
4. GMEU4では、GMAU3の編纂までに使用されていたデータベースなどに加えて、
新たにthe Google Ngram Viewerが使用されるようになった。このことにより、語(句)
の使用の通時的な変化に関するより詳しい情報や、語(句)どうしの使用比率も記述 されるようになった。
本稿では、GMEU4の項目Aの語(句)について、記述や容認度に変化のあったも のを中心に、例を挙げながら見てきたが、GMEU4の記述は、the Google Ngram
Viewerのデータ情報によるところが大きいと言えるであろう。同時に、本稿におけ
るGMEU4の記述の変化の調査結果から、どのようなデータベースやコーパスを使
用するかにより、語法書や辞典の記述内容は変化しうるということも言えるであろう。
本稿ではまた、GMEU4と上級学習者用英英辞典であるMWALED2とOALD9の 記述も比較した。一般向けのGMEU4と学習者用辞典では、その性質は当然異なるが、
これらを比較することにより、GMEU4とこれらの学習者用辞典が用いるデータベー ス分析結果に基づく言語現象の記述の際の編集者の判断や立場といったものも垣間 見ることができた。
今後、ビッグデータの活用により、語法書や辞典がどのような言語事実を、どの ように記述していくかについて、さらに観察していくことは、興味深く思われる。
References
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