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都市近郊病院での実践
(1)
基本理念
森 俊介
①地域医療 とは
厳密に 『地域医療』の定義 をす ることは難 しいか もしれないが,少 な くとも,何 をもって 『地域』 とい うのかがはっ きりしない と, 『地域医療』その もの も焦点がボケて しまうことになる。市町村老人保健福祉計画の策定が義務づ け られ て以来,特に福祉,保健の分野では各 自治体毎 に考 える風潮になって来 たので, ここでは基本的には各行政単位 を地域 と考 えて, その地域 (行政単位)における,医療 について述べ ることにす る。ただ し,人 口規模 の大 きい自治体 では, 住民の生活圏す なわち中学校 区を1単位 として考 える方が, よ りキメの細かい計画 を立て ることがで きると思われ るの
で, その視点で述べ ることにす る。
『医療』の定義 を 『人々の命 と健康 と人権 を守 る』行為 であるとす ると, ここで言 う 『地域医療』 とは, 『ある行政単 位 で,人々の命 と健康 と人権 を守 る行 い』と言 うことになる。 しか し,現在のように高齢化 した社会 では, 『医療』を展 開す る場合,医療のみで完結す ることはまず不可能である。すなわち,保健,福祉の人的お よび社会的資源 との連携 な しには,医療 は展開出来ない と言って も過言ではない。 そのためには, まず地域 内に医療,保健,福祉 の人的お よび社 会 資源 を適正に配置 しなければならないこ とになる。 しか し,現在の 日本の医療が基本的に営利事業 としての経営が認 め られ, 自由開業性, 出来高払い,独立採算性の原則に則 っている以上,事業に有利 な地区に医療施設が集 中す る傾 向 にあるのはやむ を得 ないことである。従 って,医療資源 を 『適正 に配置』す ることは極めて困難 なことであ り,医療資 源の地域格差が生れ る結果になる。 この ような地域格差 を無 くすため公的医療機関が存在す るのであるが, それ らの多 くは立地条件が悪い場合が多 く, さらに不採算部 門をも担 っている関係 で経営的に も厳 しく,ほ とん どの公立医療機関 が赤字 を計上 しているのが現状 である。 もちろん公的病院には国か ら地方交付税に上乗せ されて補助金がつけ られては いるが,人件費の高騰や設備投資に診療報酬がついて行 けず,厳 しい経営 を余儀 な くされている。従 って,各 自治体 も 採算性 を無視 してまで(既存の病院は ともか くとして),新 しい病院や診療施設 を設置す ることに対 して消極的にならざ
るを得 ない。
保健の分野は当然,営利事業 ではな く自治体が責任 をもって行 わなければならない事業であるので,必要 な資源 (人 的,社会的)の蓄積や適正配置は,全国の先進地区に見 られ るように,首長の責任 において,や ろ うと思 えば十分 に可 能 なことである。 しか し,先進地があるとい うこ とは,後進地域が存在す るとい うこ とを意味 し, ここで も市町村間の 格差が問題になって来ている。
地域医療 と最 も関係の深い老人福祉 は,本来営利 と関係のない分野であったはずであるが, 『公的介護保険制度』で示 されたように, 日本の高齢者福祉 の制度の中に公的資金 と民間の資金 を投入す る方向が示 された。 このことは福祉 に も 営利の面 をある程度認め るこ とにな り,今後福祉施設が営利 目的に運営 され る危険があると同時に, よ り資本力の強い 企業体が福祉の分野に参入 して くることが予想 され る。
この様 に, その よって立つ法律 も運営方式 も全 く違 う医療 と保健 と福祉が連携す ることは言われ るように簡単 なこと ではない。
以上の現状 を踏 まえ,都 市近郊の病院で地域住民の 『命 と健康 と人権 を守 る』医療 を,保健 と福祉 と連携 しなが ら, どのように展開 して行 くのか とい うのが この章のテーマである。
②新 しい保健,医療,福祉 の連携の概念の確立
『医療 と保健 と福祉 の連携』 と言 う言葉はかな り以前か ら用い られて釆たが, その概念は時代 と共に変わって来たこ とをまず認識 しておかなければならない。す なわち, その 目的によって連携の形態, あるいは概念その もが全 く違 った ものになって くるのである。感染症対策が国家的課題 であった戦後の 日本においては, この3着の連携の 目的は,結核 に代表 され る感染症 を撲滅 し, これ らの疾病 による国家的損失 を最小限度に くい止め ることであった。 そ してその方法 は,保健部 門による住民教育 と検診によって患者 を早期発見 し,医療側 による早期 治療に結び付け,早期 に社会 (生産 現場)に復帰 させ るとい うものである。 そ して社会復帰 までの期 間,患者及びその家族の生活 を (十分 とまでは行かな いまで も),福祉 に よって保 障す るとい うものであった. この連携の形態は,言わば リレー方式に よる保健,医療,福祉 の連携 である。 この方式はその 目的 を達成す るとい う意味においては大成功であった し, コス ト‑ベ ネ ッフイ トーアナ リジス
( CBA)
と言 う経済学の手法に よって, その経済的効果 も十分 に証明 された。 この リレー方式による連携は, 保健‑医療‑福祉 とい うレールに患者 さん を乗せ,労働市場に送 り返す一方通行 の流れで,患者 さん を中心 とした3着 のカンファレンス等は不必要 で,連絡票 で情報 を流せ ば, それぞれの分野の中で 自己完結 して しまう制度であった。ところが昭和48年のオイルショッ以降,経済成長率 の低迷 に もか変 わ らず,医療費の高騰のみが 目立つ時代になった。
それは高度経済成長の時代 に医療が高齢者福祉 の肩代 わ りをして,老人 を医療施設 に収容 して来 た矛盾が一挙 に吹 き出 して釆ための現象 であった。 そのため, 『医療費の高騰が この まま続 く』 ことは国家経済上好 ま しくない との判断かち, 医療費抑制 の政策が取 られ ることになる。 それは,医療の必要 でない老人 を医療施設か ら出ていただ き,基本的に在宅 で看て行 こ うとい う方針 である。家庭の介護力の低下 に対 しては,‑ルパー とデイサー ビス,福祉施設でのシ ョー トス テイ等で対応す る, いわゆ るゴール ドプ ランである。地域の中に老人の受け入れ態勢ができた後 に, 『在宅の方針』を打 ち出すべ きであった と思われ るが,医療,保健,福祉 の3着が本来の守備範囲 をしっか り守 るこ とによって,連携 を取 るとい う基本的な考 え方に立 ち返 って来 た といって も良い と思 う。す なわち高齢社会 におけ る連携の 目的は,『高齢者の 命 と生活の質 を保 障す るこ と』に変わって しまったのである。 そ して, その 目的のために,保健,医療,福祉の3着が,
それぞれの立場 で,お年寄 りを支 えるとい う考 え方である。感染症対策の連携 を リレー方式であ るとす ると, この老人 を支えるシステムはおみ こ し方式による連携 であると言える。 この 『おみ こし』の由来は, この3着 (場合 によっては, ボランテア,家族 を含めた5着)が,立場の違 いはあって も,時間的に も空間的に も同時に支 える場 を共有 していると い うことである。 この ように,時代 とともに連携の 目的や概念が変 わって しまったことをまず理解 していない限 り,現 在我々に求め られている高齢社会 におけ る地域医療 は展開で きない と思われ る。
③地域完結型の社会資源の構築
① で述べ たように,医療 と保健 と福祉 の社会資源の中で,保健 に関す る施設のみが行政の手に よって意図的に,適正 に配置で きる施設である.従っ て, その利点 を最大限に利用 して,連携 システムを構築す るのが賢明で確実 な方法であ ると思われ る。経済基盤が弱 く大 きな施設 をを作 ることので きない 自治体 は,地域 内に存在す るさまざまな公共の資源 を利用す ることも考 えるべ きである。例 えば,各地区に存在す る公民館 に入浴施設 を増設す るこ とによってデイサー ど スを展開す ることもで きるはずであるし,19床 を有す る診療所のベ ッ ドを老人のためのグループホームや小規模 のデイ ケヤ,ナー シングホームに転用す ることも可能 であろ う。少 な くともお年寄 りが,その生 まれ育 った地区の中で,『安心 して生活 し, そ して,死んで行け るシステム』 を整 えるべ きであると考 えている。それ を私達 は,地域完結型, あるい は生活圏完結型の システムの構築 と呼んでいる。
Ⅴ 地域医療 における社会資源一保健 ・医療 ・福祉の連携‑
また,高度医療の提供 で きる医療施設や, さまざまな福祉器具 を展示 した り, その普及 を図 るための福祉 センター な どの建設 と維持運営には巨額 の費用 を要す るので,無理 をして まで各 自治体 に備 える必要はない。 中核都市 を中心 に し た広域圏の中で計画 し, その一月 として,利用 しす るこ とも考 えなければならない。例 えば,長崎市 を中心 とした, 1 市10カ町の集合体 としての長崎広域圏 として,必要 な社会 資源 を確保す ることも可能 であろう。各 自治体 はその恩 恵に 浴す るだけでな く,費用 を分担す ることも考 えなければならない。
(2) 具体 的 な展 開
琴海町は,長崎市 (人 口44万)と佐世保市 (人 口25万)に挟 まれた人 口1万2,500の町である。 いずれの都市の中心部 に も車で約1時間で行 くことので きる距離 にあるため,ベ ッ ドタウンとーして人 口が少 しづつ増 えて来ている。町の医療 資源 としては,61床の町立病院,35床の個 人病院,有床 の診療所1と無床診療所2,歯科診療所医院5がある。町の保 健施設 としては,B,C型のデイサー ビス,町立病院のデイケヤ と個人診療所のデイケヤが各1カ所 ある。福祉施設 と
しては,町立の50床の養護老人ホーム と特別養護老人ホームがある。老人保健施設は,私達 の町には無いが,隣町には それぞれ,数箇所存在 しているため, 当面は町内につ くることを考 えず, それ らの施設 を利用 させ ていただいている。
これ らの施設の利用の調整役 を町立病院に併設 されてい る在宅介護支援 センターが担 当 している。人的資源 としては, 社会福祉協議会 に常勤,非常勤合 わせ て31人の‑ルパー,役場 に3人の保健婦,2人の訪問看護婦,デイサー ビスセン ターのスタッフ と年間 を通 じてそれ を支 えて くれ る延千数百人のボランテア,各医療機関の在宅医療 のスタッフがいる。
これ らの社会的資源や人的資源は,市町村老人保健福祉計画の策定が義務づ け られ る以前か ら,琴海町独 自に立てた『琴 海町保健医療福祉計画』に従 って蓄積 して来た資源である。 これ らの資源 を使 って現在活動 を行 っている。
(》救急医療
町内の医療機関では町立病院 と個人病院が救急医療の指定 を受けているが,1次救急お よび2次救急がや っとである。
町内での救急に関 しては, とりあえず当院に連絡が入 ることになっている。例 えば,脳卒 中で搬入 されて来た患者 さん がCTの結果,手術 または専 門的な治療が必要 と判断された場合 は,長崎あるいは佐世保市内の脳外科 のある病院に転 送す るようになっている。手術が必要 でない場合 は原則 として当院での急性期の治療 とリ‑ ビ リの後,在宅 リ‑,地域 リ‑にまで結び付けている。急性腹症で緊急手術が必要 な場合 は,緊急度に応 じ臨機応変に対桓 している。心筋 こうそ く等の場合 はCCUのある病院に心電図 をファックで送 り指示 を仰 ぐ態勢 をとっている。町が国道 を中心に細長 く伸 び ている関係 で,交通外傷が多発 している。搬送 されて くる患者 さんが町外の場合 は, それぞれの出身地の近 くの都市に 転送 をす るこ とに している。町内の場合 は出来 る限 り緊急手術 に も対応す るように している。
②一般医療
町立病院には常勤で内科2,外科1,整形外科1,小 児科1の医師が診療 に当たってお り,非常勤 として週 に1日, 精神科,循環器 内科が開設されている。2週 に1回の割合で,大学 よ り婦人科が来院 し,子宮がん検診 と入院患者 さん の診察に当たっている。 また放射線科の医師は週 に1回ではあるが,CTの読影,検診のダブルチェックのためお願 い している。 スタッフの少ない病院であるが,待機手術 ので きる疾患に関 しては大学や関連病院の応援 を得て,で きるだ け当院で対応す るように している。転移のはっきりしているガンなどの手術 に関 しては,大学病院や長崎市内の高度医 療 を担い得 る病院へお願 い している。内視鏡的ポ リペ ク トミー,胆の う摘 出術 は 日常 に行 われている。大 たい骨のけい 部骨折は年間約20‑25例が当院で行 われ る。
眼科,耳鼻科,婦人科,皮膚科 は住民のニー ズの多い診療科 であるが,町内には専 門医がないので町外の診療施設に
依存せ ざるを得 ない。 しか し眼科 と婦人科 に関 しては,町立病院の移転新築 の際にぜ ひ開設 したい と考 えてい る。
③生活習慣病 のコン トロー ル
高血圧,糖尿病 な どの生活習慣秒 に関 しては,日常診療 の中で コン トロールす る とともに,夜 間の健康教室 で も指導, 教育 をしている。健康教室 に関 しては後述す る予定 であるが,地区の公民館 で夜間8時頃 よ り行 ってお り,年 間に して
150‑200回行 われている.すべ ての医師が順番 を決めて講師 として出席 している.
住民検診に関 しては,従 来の集団検 診方式 と施設検 診方式 を併用 しているが,最近は施設検診の割合 が多 くなって来 ている。 それは,町 内の医師会 の先生方 との連携 をよ り強固にす るこ と, さらにかか りつけの先生 に改めて診察 して も らう方が よい との判断に基づ いている。 胃ガ ン,肺ガ ン,大腸 ガン,乳がん検 診 も同時に行 ってい る。診療所 で行 った 胸部 レン トゲン写真やMDLのフイルムは医師会 の読影会 でダブルチェ ックしている。結果は3枚複写になってお り, 住民,役場, 医療機関に保 管 され るようになっている。役場 ではこの結果 を, 中央電算室 で個 人デー タ として蓄積 し,
10年 間分 はいつ で も,端末か ら引 き出せ るよ うに している (デー タは検診結果のみな らず,すべ ての個 人情報が入れて あるので, その扱 いは慎重 に しなければ な らないのは当然 である)。
④老人医療 お よび在宅 医療
現在 もっ とも力 を入れている分野で もある。病院では毎週 1回在宅患者のカンファレンス と症例検討会 を行 っている。
参加者 は医師,看護婦,理学療法士,社会福祉士, な ど在宅医療 にかかわってい る全 ての メンバーが参加 し,個 々の患 者 さんに必要 なサー ビスの提供 を検討 し実行 に移 している。町の福祉,環境保健係 との合 同の検討会 は, この会 とは別 に2週 に1回づ つ行 われ る。 その会 には町 内の在宅医療 を行 ってい る全 ての医療機 関,福祉施設,‑ ルパー,保健婦が 参加す るこ とになってい る。 この会 が実質上町 内のケヤ カンファレンスである。在宅介護支援 セ ンター では,福祉 台帳 がつ くられ,すべ ての高齢者の情報 を把握 してい る。 リス クが高い と判断 され るケー スに関 しては, 申請の出 る前にサ ー ビスの紹介や必要機器 の説明 をし,サー ビス を提供 す る場合 もあ りる。住民か らの福祉機器やサー ビスの申請に対 し ては, で きるだけ迅速に対応 しなければな らない。 そのために,在宅介護支援 セ ンターの職月が 申請 と同時に家庭訪問 をして,早急にサー ビスを開始 で きる体勢が取れ るよ うになった。在宅介護支援 セ ンターだけで住民の要請に応 じるこ とがで きない場合 は, セ ンターの主催す るケヤ会議 に諮 られ,週間のサー ビススケ ジュール をつ くり, それに従 って医 香,、保健,福祉, ボランテアが, それぞれの分担 を決めて,単独 にあるいは一緒に同行 してサー ビス を提供 している。
例 えば, ジ ョクソウ等 で入浴が本 当に必要 な方には,毎 日で も行 える態勢が整 っている。 その場合 も,在宅入浴,施設 入浴, な ど様 々な方法 を選択す ることもで きるよ うに している。
また,歯科 医療 に関 しては,町 内のキーパー ソンの歯科 の先生 に連絡す ると,主治医が決 まづ ていない場合 は, その 患者 さんの最 も近 くの先生 に連絡が行 き,担 当 して もらうこ とにな る。町立病院の歯科衛生士が, まずその患者 さんの うちに派遣 され, その状態 を歯科 医師に報告 し, その結果 を聞いて医師 自身が往診す るか,歯科衛生士の処 置に任せ る か を判断す るこ とになっている。
⑤障害者問題 a。身体障害
身体障害 に関 しては,町単独 では対応 で きに くい分 野である。広域 圏あるいは長崎県全体 で考 えて行かねばな らない 問題 である・.長崎市 内に存在す る,障害福祉 セ ンター,職業訓練 センター な どと連絡 を取 りなが ら,個 人に合 った方法 を検討す るこ とになる。 あ る一定 の期 間訓練が済む と,就職 が決 まるまでの間,町のデイセンター で手伝 って頂 くこ と もある。
b∴精神 障害
Ⅴ 地域医療 におけ る社会 資源一保健 ・医療 ・福祉 の連携‑
ノーマ リゼー ションの過程 の中で最 も‑一 ドルの高い分野であると思われ るが,保健婦の20数年に及ぶ活動の成果で, 精神障害者の方々の公設の小規模作業所が住宅団地の中心部に完成 した。現在知的障害者の方 も含めて,毎 日10数人が 通所で作業 をしている。 そこには,住民のボランテアの方々 も協力 して頂 いている。 さらに,精神障害者の社会復帰に な くてはならない, グループホーム も町が提供 している。今後作業所 な らびにグループホームの運営が課題 になって く ると思われ るが,地域住民が参加 した運営委員会が重要 な役割 を果 たす もの と期待 している。
d.痴ほ う問題
核家族お よび家庭の介護力の低下 とともに,痴 ほ うの問題が重要 になって来た。現在,3箇所のデイサー ビス とデイ ケヤでなん とか対応 しているが,今後大 きな問題 になって くるのは 目に見 えている。現在,デイサー ビスセンターや養 護老人ホームを利用 したナイ トサー ビスや,夜間に2人の‑ルパー を,問題行動 (はいかい,異常行動) を起 こしてい る痴ほ うのお年寄 りのいる家庭へ派遣す る制度 などを検討 し,試行 している段階である。将来的には,痴 ほ うのお年寄 りを,家族 とともに看てゆけ る小規模 のグループホームが必要になって くると考 えている。で きれば公設で と考 えてい るが,診療所の19床のベ ッ ドを利用 させ て頂 く方法,幼稚 園や保育所の空いた部屋 を利用す る方法 な どを検討 している。
この場合,4‑5人の痴 ほ うのある老人 を‑ルパー2人 と家族1人の3人程度で,夜間看てゆ く見 る方法である (家族 も4‑5日に1回, その施設に泊 まって,世話 をす るとい うことになる)0
(3)将 来展望
私 たちは 『安心 して死ね る町づ くり』 をスローガンに, この10年間運動 を展開 して来た。それは 『どのような町に住 みたいか』, 『どの ような町 をつ くってゆかなければならないか』 を住民 と共に考 える運動 で もあった。年間150‑200回 に及ぶ地区の公民館 での夜間の健康教室 を通 じて, 『今 しなければならないこと』, 『今私 たちにで きることは何か』を訴 え続けて来た。 その結果が,人 口1万2千人の町で千数百人に及ぶボランテア となって現れて釆た し,精神障害者の小 規模作業所や グループホーム として結実 したのであると自負 している。現在 『安心 して死ね る町』がで きた とは とて も 言えないが,少 な くとも, この路線上 に何かが るような確かな手 ごたえを感 じている。2年前か ら,健康教室 と並行 し て月に1回づつ ではあるが, 『あた りまえの社会 を考 える会』を開催 して きた。 あた りまえの社会 とは,地域社会 の中に は,背が高い人や低 い人がいるように,精神や身体 に障害がある人,痴 ほ うの人 もいる, それが 自然で, 当た り前であ ると言 う考 え方である。障害はその人が もっている特性に過 ぎない とい うことを全ての住民が本 当に理解 し,支 え合 い, 共生で きる社会 の実現に向けて今後 も運動 を持続 してゆ きたい と思 っている。そ してその運動の中心に町立病院 を据 え
た展開 をしてゆ きたい。