Bナイン処理が水稲の生育収量に及ぼす影響
著者 中田 恭二, 中井 仁
雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学
巻 26
号 2
ページ 125‑142
発行年 1977‑11‑15
その他のタイトル Effects of B‑nine on Growth and Yield of Rice Plant
URL http://hdl.handle.net/10105/2535
Bナイン処理が水稲の生育収量に及ぼす影響
中田恭二中井仁
(奈良教育大学農学教室)(大和郡山市片桐小学校) (昭和52年4月30日受理)
EffectsofB‑nineonGrowthandYieldofRicePlant
KyojiNakata
{LaboratoryofAgriculture,NaraUniversityofEducation,Nara,Japan) and
HitoshiNakai
(KatagiriElementarySchool,Nara,Japan) (ReceivedApril30,1977)
Abstract
The present series of experiments was conducted with an intention to investigate the effects of B‑nine on the rice plant in a warm region. As the growth depends on the time of application, the way of treatment and the concentration of solution of B‑nine, the most effective way to promote the yield was examined by various combinations of these factors, and the following results were obtained.
1) The foliar application of B‑nine at transplanting inhibited the leaf‑emergence rate and acceler‑
ated the growth of tillers in the nursery bed and also that of the secondary and tertiary tillers; thus, this contributed to the early acquisition of productive tillers.
2) The foliar application of B‑nine at transplanting increased the yields at every concentration of 3000, 5000 and 7000 ppm, and especially the most yield was gained at 5000 ppm. On the other hand, the foliar application of the high concentration at the stage before the formation of young panicles got the yield decreased remarkably.
In conclusion, it is safe to say that the simplest and most effective way of the treatment to gain the best growth and yield is to soak the whole plant of seedlings in the 5000 ppm solution of B‑nine at the time just before transplanting.
緒 言
既報1,2)において中田は,暖地稲作における増収要因の一つとして,低節仕分げっの利用による 茎数の早期確保の重要性を指摘し,低節位分けつの有効化には,移植後の本田土壌温度の低温が 寄与していることを明らかにした.
しかし,暖地において移植後の本田土壌温度を低温に導びくことは困難を伴う場合が多いので, 前報3)において低温に代るべき方法,すなわち,稲のTop growthを抑制する手段として,生長 抑制剤の利用を検討した.その結果,移植時におけるBナインの菓面散布は,高温下における低 節位分けつの生育を助長し,茎数の早期確保に顕著な効果をもたらすことが認められた.しかし,
125
その具体的な使用法については,更に検討を要する点があり,未だ実用化の域に達していない.
著者らは,水稲に対するBナイン処理の効果について,その処理時期,処理要債並びに処理濃 度等が,生育・収量にいかなる影響を及ぼすかを実験し, Bナインの効果的な使用法を検討した.
e^^HJ^‑^^Ejn 冒
1)育苗方法.供試品種には「フヨウ」 (中生・穂数型)を用い,選種,消毒,催芽後, 1975 年5月9日に育酉箱(76cmx33cmx9cm) 1箱当り, N, P, K各々3grずつを硫安,過石, 硫加で施し 3cm平方に1粒宛播種した.その後ビニールハウス内で育苗し, lo白後‑ウスよ
り出し,そののちは戸外で育てた.
供試首の移植時における生育状況は,第1表に示すとおりである.
第1表 移植苗の生育状況
2)試験区及び処理方法.試験方法は,枢試験, ポット試験及び角型ポット試験の3種とした.
(a)柾試験
梶はコンク7)‑ト製で, 1区画2m2で4区画 をもち,それぞれを半分に区切り8区を設け, 1 区は対照区とし,他の7区はBナインの処理濃度 及び処理時期により,第2表のようにA, B及び C区とした.
散布の要領は,各濃度区とも展着剤(ネオエス テリン)をBナイン液500ccに対し0.Ice添加し, 移植後霧吹器で地上部全体に散布した.肥料は1 区画(2m2;当り3要素各々20grを硫安,過石,
第2表 梶試験における実験
B ナ イ ン 処 理 濃 度
p p
処 理 時 期
移 植 時 幼 穂 分 化 期前 (6 ′17 ) (7 ′2 5)
A 区 3 0 0 0 5 0 0 0 7 0 0 0
○ ×
B 区 3 0 0 0
5 0 0 0 ○ ○
C 区 5 0 0 0
7 0 0 0 × ○
対 照 区 × ×
注:○印散布, ×印無散布 硫加で施し,水深を5cmに保った.
移植は6月17日に行い, 1区(lm2)当り18株1本植えとし,最外列を除外して8株を収穫ま で調査の対象とした.
(切 ポット試験
供試ポットは陶器製の1/2000aポットを使用し,実験区として対照区(3ポット)及びBナ イン処理区(12ポット)を設けた.
Bナイン処理区は,その処理濃度により, 3000, 5000及び7000ppmの3区とし,それぞれ1 回散布区と2回散布区を設けた. 1回散布区は移植時茎莫散布で, 2回散布区は移植時及び幼穂 分化期前(7月25日)の散布で,各々2ポット宛処理した.肥料は,1ポット当り3要素各々0.5 grを硫安,一過石,硫加で施した.
移植は6月17日1ポット5株1本植えとし,調査用として移植後10日目(6月27日)に各2本
宛, 21日目(7月8日)に各1本宛採取し,残り2本を収穫まで調査の対象とした.
(C)角型ポット試験
供試ポットは長さ38cm,幅5cm,深さ13cmの角型ホーロー引きポットを使用し,実験区とし て第①区〜第⑤区(1区1ポット)を設けた.第①区〜第④区はBナイン5000ppm処理区で, 第⑤区は対照区とし,主として処理要領の相異が初期生育に及ぼす影響を調べた.すなわち,罪
①区〜第④区の処理要債は次のようにした.
第①区:根部及び茎葉をBナイン液に浸漬後移植 第(り区:根部のみ浸潰後移植
第(彰区:茎葉のみ浸潰後移植 第④区:移植直後葉面散布
肥料は, 1ポット当り3要素各々0.2grを硫安,過石,硫加で施した.移植は6月17日1ポッ ト6株1本植えとし,ポットは地中に埋没し,地表面は発泡スチロールで被覆した.
調査用として,移植後10日目(6月27日)に各々3本宛, 21日目(7月8日)に3本宛採取し 調査に供した.
実験結果及び考察
I 草丈に及ぼす影響 (a)梶試験
第1区=こ示すように, A区(移植時散布)における草丈抑制効果は,処理後急速に現われず遅 効的で,処理後25日日頃からその効果が認められた(7000ppm区では処理後10日目に効果が現 われているのは,高濃度のためか,または,他の要因が関係したものか不明である).その抑制 効果は, 5000ppm>7000ppm>3000ppmの順に大で,出穂の約1週間前(8月24日)における 草丈は, 5000ppm区で496, 7000ppm区で396, 3000ppm区で1 %の短縮をみた.
B区(移植時及び幼穂分化期前散布)における移植時散布(6月17日)の草丈抑制効果は, A区 とほとんど同様遅効的であったが,第2回日の幼穂分化期前(7月25日)の散布により, 5000 ppm区でその効果が急速にしかも顕著に現われた.その効果持続期間は7日間ほどであるが,
その抑制値は収穫時まで回復されなかった.すなわち,収穫時において対照区に比し, 3000ppm 区で6%, 5000ppm区で8%の短縮をみた.
C区(幼穂分化期前散布)においては, 5000及び7000ppm区とも処理直後より抑制効果が現 われ, 8月24日の草丈は, 7000ppm区で10^, 5000ppm区で9%の短縮がみられ,その後収穫 時までその抑制値は回復されなかった.
03)ポット試験
第2図に示すように, 1回処理区(移植時)における草丈抑制効果は,各濃度区とも処理後直 ちに現われ, 10日目においてその効果が最も大となり,しかも高濃度はどその効果は大であった.
なお,その抑制効果の持続期間は,各区とも処理後10日間位で,その後は草丈増加速度が対照区 より優れ, 20日目頃には対照区の草丈とほぼ同じになった.
移植時と幼穂分化期前の2回散布区では, 2回目散布(7月25日)後直ちにその効果が現われ, その抑制値は収穫時まで持続した.
= = 対照匹
一一一‑I‑一 3000ppmK.
A‑̲̲一 5000ppm[A
片 一一ズ 7000ppmtメ二
18 25 1 15 24 / / /
VII VI K
第1図 Bナイン散布が草丈に及ぼす影響(梶試験)
1720 27
′ノ / )x Vl
/ /
Ⅷ Ⅷ
. . If 月日.ド 1 I'lHiiN'.K A̲̲一也 2IB]処理区
第2図 Bナイン散布が草丈に及ぼす影響(ポット試験)
(C)角型ポット試験
Bナインの処理濃度(5000ppm)を同一にし, 処理要領を変えて試験したもので,第3区=こ示す
ように,各区とも草丈の抑制効果は処理後急速に 現われ, 10日目頃においてその効果が最も顕著に 認められた.なかでも第⑨区(茎葉浸漬)は,草 丈抑制効果が最も大でしかも早く現わられる傾向 草 が認められるが,反面回復が早いようである.な お,第⑧区(根部浸墳)においては,生育が進む に従って他区に比しその効果はかなり劣り,効果 丈 持続期間が最も短かかった.
以上の実験結果から,移植時におけるBナイン の茎葉散布は,草丈を短縮し,高濃度ほどその効 果が大であることを認め,吉野4),山田6)の戟告 と概ね一致した.しかし,試験方法により草丈抑 制効果発現の様相が異なることを認めた.これは 主として環境条件特に水地温の高低が影響したも のと考えられる.すなわち,中田3)は,地温20‑C
‰ 20 27 ‰
第3図 Bナイン(5000ppm)処理方法の 相異が草丈に及ぼす影響
(角型ポット試験)
と35。CにおけるBナインの効果発現について,高温下では早く現われるがその持続期間は短か くなり,低温下ではその逆で,持続期間も長くなることをすでに報告した.本実験においては, 移植後10日間の天候は極めて悪く,はとんが曇天で,時々晴もしくは雨で低温下に経過した.従 って,自然圃場状態に最も近い樟試験では,生育初期の水地温は低温で経過し, Bナインの効果 発現が遅れたものと解され,ポット試験では,晴れ間にポットが暖められ水地温が上昇し,その 高地温が効果発現を早めたものと考えられる.
すなわち,実際栽培において,移植当時から数日間水地温が低温で経過する場合には,稲の初 期生育とくにTop growthは低地温により抑制されるので,移植時のBナイン処理の必要性は 認められない.一方,高水地温で経過する場合には,移植時におけるBナイン処理は,低地温に 代る効果を発揮するものとみなされる.
なお,処理要債は角型ポット試験の結果から,移植前に茎葉をBナイン液に浸潰する方法が, 最も簡易で効果的とみなされる.
II 出葉速度に及ぼす影響
(a)桂試験
第4図に示すように, A区(移植時散布)では,処理後10日目に出業抑制の効果が認められ, しかも高濃度ほどその効果は大であった.なお,各濃度区ともその効果の持続期間は,おおむね 20日間位とみられた.
B区(移植時及び幼穂分化期前散布)においては,第1回目処理はA区とほとんど同様の結果 が認められ,第2回日の散布は次のC区と同傾向であった.
C区(幼穂分化期前散布)では,散布後7日目頃にその効果が現われてきたが,移植時散布に
̲° 対Hfl K 0‑ ‑ 3000ppmK
A‑一一1‑ 5000ppmK
た ぺ 7000ppm[ズ̲
1720 27 18 25 1 / / /
U^^^^^^HjI^^^^^^^Kp
第4図 Bナイン散布が出葉速度に及ぼす影響(拒試験) 比し,その抑制効果は幾分少ないようである.
O))ポット試験
第5区=こ示すように, 1回処理区, 2回処理区とも各濃度区において出葉は抑制され,その効 果は桂試験よりも幾分大であった.なお, 1回処理区では処理後20日目頃までその効果が認めら れ, 5000ppm区において幾分その効果が大きいようである.
(C)角型ポット試験
第6図に示すように,処理後10日目(6月27日)において, Bナイン処理区は何れも対照区に 比し劣っており,出菓抑制効果が顕著に認められるが,第⑧区(根部浸潰)の主梓における抑制 効果は少なく,さきの草丈抑制効果と同様であった.なお,処理後21日目(7月8日)において, 主梓では抑制効果は持続しているが, 1号分けつでは処理後10日余りでその効果は消失するよう である.
第5園 Bナイン散布が出菓速度に 及ぼす影響(ポット試験)
; = 対 照 区
‑‑‑一寸 1回処理区 i.̲̲ 2 IいIi'li叩K
1‰ 20 27 ‰
寓6国 Bナイン処理方法の相異が出葉速度 に及ぼす影響(角型ポット試験)
これを要するに, Bナインの移植時散布の出葉速度抑制効果は,自然圃場状態に近い桓試験す なわち,低地温下(本実験の経過から)では高濃度はど大であるが,ポット試験のように比較的 高地温のもとでは, 5000ppm濃度が効果的と思われる.なお,その効果持続期間はおおむね20
日間位とみられ,その後は頒諏に山菜することが認められた.
生育初期に主稗の出業速度が抑制されることは, Top growthを抑え低節位分けつの発育を促 進する結果となり,その有効化に結びつくものと考えられる.
一方,幼穂分化期前の散布は,出葉速度を抑制する結果,出穂遅延を招くこととなり,収量に 悪影響を及ぼすおそれがあると考えられる.
III 分げっに及ぼす影響 (a)桓試験
茎﹂
1720 27 / /
n^^^^^^mi
18 25 1 /
Ⅷ
1720 27 8
18 25 1 /
Ⅷ
対婦区
一一‑‑0 3000ppm区 LL一一一14 5000ppm区
宍 7000 ppm区第7図 Bナイン散布が茎数に及ぼす影響(梶試披)
茎数の推移を第7図に示した. A区(移植時散布)の処理後21日目の茎数は, 5000ppm区に おいて特に増大し, Bナイン処理は生育初期の茎数増加に貢献している.しかし,収穫時の有効 茎数は,対席区‑5000ppm>7000ppm>3000ppm区の境に大で,有効茎歩合は第3表に示す通
り3000ppm区が最高であった.
第3表 梶試験における有効茎歩合(8株平均)
A 区 B 区 C 区
対 照 区 3 0 0 0 5 0 0 0 7 0 00 3 0 00 50 00 5 0 00 7 0 0 0 茎 数 (本 ) 28 . 1 32 .0 2 9 .0 3 2 .5 3 2 .9 3 2 .5 3 1 . 3 3 2 . 5 積 数 (本 ) 22 .6 24 .5 2 2 .8 2 3 .6 2 4 .9 2 4 .6 2 4 . 0 2 3 . 6 有 効 茎 歩 合
(% ) 80 .4 7 6 .6 7 8 .6 8 5 .8 7 5 .7 7 5 .7 7 6 . 7 7 2 . 6
B区(移植時及び幼穂分化期 前散布)における第1回目の処 理が茎数に及ぼす影響は, A区 と同様であるが,第2回目の処 理は, 5000ppm区で無効分げ っの生長を抑える傾向が認めら れ,有効茎の充実を促進するの ではないかと考えられる.なお, 3000ppm区はA区と同様最高茎数が少なく,有効茎歩合は85.8^で最も高かった.
C区(幼穂分化期前散布)では,その散布により第3表に示すように,対照区に比し有効茎歩 合を高める傾向がみられた.
O))ポット試験
●‑● りIK! !<
一一一一一 1 lnH&WK
‑‑サ 2 lサl処flUズ
第8図 Bナイン散布が茎数に及ぼす影響(ポット試験)
茎数の推移は第8図に示すように, 1回処理(移植時散布)区では,処理後10日目及び21日目 において,各濃度区とも僅かに茎数の増加が認められる.次に8月1日の最高分けつ期において は, 3000ppm>5000ppm>7000ppmの順に大きな茎数増加の山が認められる.これは7月16日 に施した追肥の影響が現われたものであるが, Bナイン処理区とくに3000ppmと5000ppm区
第4表 ポット試験における有効茎歩合(4株平株)
3 0 0 0p p m 区 5 0 0 0 p p m 区 7 0 0 0 p p m 区
対 照 区
1 回 処 理 2 回 処 理 1 回 処 理 2 回 処 理 6 1 5 7 . 5
1 回 処 理 2 回 処 理
茎 数 (本 ) 6 6 5 8 5 2 . 5 5 0 .0 5 0 . 3
穂 数 (本 ) 3 4 .8 2 7 . 5 3 1 . 3 2 9 . 8 2 8 . 0 2 5 .0 2 8 . 7
有 効 茎 歩 合 (% ) 5 2 .7 4 7 . 4 5 1 . 2 5 1 . 7 5 3 . 3 5 3 .2 5 7 . 0
第9図 Bナイン処理後21日目における節位別分けつの出現状況(ポット試験)
は,対照区に比し茎数は著しく増加しており, Bナイン処理が茎数増加に対し顕著な後作用を示 していることがうかがえる.
次に穂数及び有効茎歩合を第4表に示した.本実験では追肥の影響もあり無効分けつか極めて 多く正常な生育とはいえないが,席数については, 3000ppm>5000ppm>対照区>7000ppmの順 に多く,有効茎歩合では,対照区>7000ppm>3000ppm>5000ppm区の頓に大であった.このこ とは, Bナイン処理は茎数を増加させる反面,無効分けつも多くなる傾向が認められるが,結果 的には, VOOOppm区を除き穂数増加に貢献するものとみなされた.
これを第9図に示した節位別分けつの出現状況から考察すると, 3000ppm及び5000ppm区で は低節位分けつ,とくに苗代分けつをよく生育せしめ,その2次, 3次分げっを早期に出環生長 せしめたため,有効茎数が増大したものと考えられる.
2回目の処理(幼穂分化期前)は,前述のように草丈の抑制,すなわち倒伏防止に対する効果 はあると考えられるが,分げっに関しては,最高分けつ期における茎数が1回処理に比し少な く,無効分けつの発生を抑えるようだが,梶試験にみられた有効茎歩合を高める効果はみられな
嗣SEEH
(C)角型ポット試験
第10図に示すように,処理後10日目の茎数は, 節(∋区(茎葉及び根部浸漬)においてのみ対用区 より僅かにその増加が認められるが,他区におい てはほとんど認められない.処理後20日目に至 り,第⑧区(根部浸漬)以外は各区とも対照区に 比し茎数の増加が認められ,第(∋区においてその 傾向が顕著である.
この様相を処理後21日目における節位別分けつ 出現状況(第11図)から考察すると, Bナイン処理 区は対照区に比し, 1号分けつにおける2次分け つ出現の多いことが明らかに認められ,これが茎 数増加の原因をなしており,なかでも第①区は他 区に比し,下位節位(1‑4節位)における分けつ xI 20 27 ‰ が休眠することなくよく生育しており,このこと 第10国 Bナイン処理方法の相異が茎数に が早期の茎数増加に寄与したものとみなされる.
及ぼす影響(角型ポット試験) これを要するに,移植直後のBナイン処理は, 苗代分けつ及びその2次, 3次分けつの生育を促進し,茎数増加に寄与するとともに,早期の有効 茎確保に貢献することが認められた.なお,試験方法の相異から処理濃度による効果の相異が認 められたが,梶試験の結果からみて実際栽培においては, 5000ppm濃度が適当と推察された.
次に処理方法については,角型ポット試験の結果から,移植直前に市全体を所定のBナイン液 に浸渡して移植する方法が最も簡易で効果的とみなされた,
2
分 け つ 数
2
分 け つ 数
i ] 1次分けっ ‥̲ 2次分けっ 固 削msisB.
1 2 3 4 5 6 7
揃 { >:'.
第11図 Bナイン処理後21日目における1株当り節位別分けつの出現状況 (角型ポット試験)
IV 出穂に及ぼす影響 (a)梶試験
出穂状況を第5表に,日別出穂頻度分布を第12図に示した.
第5裏 梅試験における出穂状況(代表株1株) 移植時散布のA区では,各濃
区 別 出 穂 始 出 穂 期 穂 揃 期 穂 揃 日数 出 穂 E]数
p O O O p p
<U 17 0 0 0 d b 5 0 0 0 p p 8 月 2 9 日 9 月 1 日 9 n 2 u 4 11 5
29 9 , 1 9 , 3 5 1 1 5
28 9 , 1 9 , 3 6 11 5
j ‑3 0 0 0 p p m l5 0 0 0 p p m 3 0 9 i 1 9 , 5 6 1 1 5
3 1 9 , 2 9 , 6 6 1 1 6
j‑5 0 0 0 p p m <‑7 0 0 0 p p m 8 , 3 1 9 , 3 9 , 7 7 1 1 7
9 , 2 9 , 5 9 , 1 0 8 1 1 9
対 照 3 1 9 , 2 9 , 5 5 11 6
皮区とも出穂始及び穂揃期は対 照区に比し, 2‑3日早くなる が,出穂のピークは対照区と同 じく9月1日で顕著な穂揃いを 示している.一方,幼穂分化期前 散布のC区では,出穂期は遅れ, 出穂は長期にわたりだらだらと 続く結果となった. B区は2回 散布することにより,中間的な 様相を示し,出穂始は5000ppm
区で対照区と同日, 3000ppm区では1目早くなっており,なお, 3000ppm区ではA区とほとん ど変らない出穂のピークが認められるが, 5000ppm区ではA区のような大きな山はみられず,也 穂はかなり遅延した.
次に穂揃日数を第5表たこついて比較すると, Bナインの処理濃度が高くなるに従い,また,幼 穂分化期前の散布により,穂揃日数は多くなる傾向を示している.なお,出穂日数についてみる
と,移植時散布のみの場合は,対照区より1日少なく,出穂が早められているが,幼穂分化期前 散布では 1‑3日長くなり出穂の遅延が認められる.
これを要するに,移植時散布は疎揃いを良くし,斉‑で充実した穂をつけ好結果をもたらすが, 幼穂分化期前の散布は,出穂に悪影響を及ぼすものとみなされた.
Oi)ポット試験
出穂状況を第6表に,日別出穂頻度分布を第13図に示した.
第6表 ポット試験における出穂状況(4株平均)
区 別 出 穂 始 出 穂 期 穂 揃 期 穂 揃 日 数 出 穂 日数
サ * ‑ { ; s e 8 月 3 1 日 9 '] 4 U 9 月 8 日 8 1 18
3 1 9 , 4 9 , 9 9 1 1 8
5 0 0 0 p p m { ¥ 冒 霊 票 8 , 3 0 9 , 2 9 , 6 7 1 1 6
3 1 9 , 4 9 , 8 8 1 1 8
7 0 0 0 p p m { サ * 3 0 9 , 2 9 , 4 5 1 1 8
9 , 2 9 , 5 9 , 8 6 1 19
対 照 区 8 , 3 0 9 , 1 9 , 5 6 1 15
3‰ ¥ 10
才13図 ポット試験における日別出穂頻度分布(4線平均)
7
本
6
5
穂
4
3
数2
7 本 6
5 4穂穂
本試験では梶試験の結果と異なり,移植時のBナイン1回処理により,出穂が対照区に比べて 遅延し,また,穂揃いは高濃度はど早くなる傾向が認められた.一方, 2回散布区の穂揃いは, 各濃度区とも対照区に比し3‑4日遅延し,また, 1回散布区より各々1日の遅れがみられた.
これを第13図についてみると,出穂のピークは対照区>1回処理区>2回処理区の順に早く現 われた.なかでも7000ppm2回処理区では,その遅れが顕著に現われ, 2回処理すなわち幼穂分 化期前処理の悪影響が認められた.
なお,前述のBナイン1回散布の結果は,出穂及び穂揃いを多少遅延させたが大きな影響はな く,低節位分けつの有効化により,強大な穂が対照区と同時期に得られ好結果をもたらした.
Ⅴ 収量に及ぼす影響 (a)桂試験
収穫物の調査成績を第7表に示した. Bナイン処理が穂長に及ぼす影響は,各区ともほとんど 認められず, ‑株穂数については,対照区とほぼ同じか,かえって減少する傾向がみられた.し かし,一種重及び‑穂粗数についてみると, A区においては対照区に比し各濃度区とも増大し, 移植時のBナイン散布は,頴花数の増加に寄与していることが推察された.一方, B区及びC区 すなわち,幼穂分化期前散布は, 5000ppm濃度では頴花数を増加させているが,一種重について は,何れの濃度区ともほとんどが減少しており,この時期の散布は処理濃度に留意する必要があ
ると思われる.
第7表 枢試験の収穫物調査成績(中庸株3株平均)
区 別 最 長 穂 長 平 均 穂 長 ‑ m 一 穂 重
一 穂 粗 数 登 熟 歩 合 千 粒 重 ∴ 株 玄 収 量 比
(対 照 区 を
c m c m 穂 数 g % g 米 重 g 1 0 0 と す る )
A 区
3 0 0 0 n p m 2 0 .2 1 8 . 2 2 2 .4 2 . 13 8 9 . 1 9 5 . 3 1 9 . 8 67 6 1 15 5 0 0 0 p p m 2 0 .5 1 8 .3 2 4 . 3 2 . 19 8 5 .6 9 6 . 1 2 0 . 2 7 2 7 12 3 7 0 0 0 p p m 2 0 .9 1 8 . 3 2 2 .4 2 .2 9 8 6 .3 9 3 . 3 2 0 . 4 6 6 1 1 12 B 3 0 0 0 p p m 2 0 .3 1 8 .2 2 3 . 5 1 . 9 5 7 6 . 5 9 4 . 3 1 9 . 9 6 0 7 1 0 3 区 5 0 0 0 p p m 2 1 .0 1 8 .2 2 4 . 6 1 .8 5 8 3 .9 9 2 . 6 2 0 . 2 6 9 5 1 18 C b O O O p p m 2 1 .1 1 8 . 6 2 3 . 5 2 .0 7 8 4 .0 8 . 2 2 0 . 4 6 3 9 10 8
< 7 0 0 0 p p m 2 0 .6 1 8 .0 2 2 . 5 1 . 5 9 7 6 .0 6 7 . 2 1 9 . 9 4 1 2 70
対 照 . 区 2 0 .3 1 8 . 3 2 4 . 7 2 . 0 4 7 6 .6 8 . 9 1 9 . 5 5 9 0 1 00
次に登熟歩合について比較すると, A区が最も良く,次いでB区,対照区の憶となり, C区は 対照区より劣っている.なかでも, C区7000ppmでは顕著な低下が認められる.
千粒重については,処理濃度及び処理時期による差異は認められるが,各処理区とも対掲区に 比し,債かながら重くなっており, Bナイン散布が稔実を高めたものと考えられる.
次に,一株玄米重より収量を比較してみると, A区5000ppm>B区5000ppm>A区3000ppm>
A区7000ppm>C区5000ppm>B区3000ppm>対照区>C区7000ppmの)脚こ大となり, C区7000 ppmを除いて, Bナイン処理は収量増大に貢献していることが認められる.なかでも, 5000ppm の移植時散布は最も良く,さきに述べた分けつ並びに出穂に及ぼす影響などにおいても,5000ppm の効果が最も大であったことと考え合せて,最も効果的とみなされる.すなわち,移植時のBナ
イン散布により,穂数の増大はみられなかったが,生育初期における低節位分けつの生育助長と, その有効化により茎数が早期に確保されたため,頴花数の増大に寄与し,充実した穂を早期に斉 一に出穂せしめ,収量増大に貢献したものと考えられる.
一方, B区(移植時及び幼穂分化期前の2回散布)の5000ppm散布は良好な結果を得ているが, C区(幼穂分化期前散布 5000ppmでは,対照区を僅かに上回るのみであり,当時期散布の悪影 響が収量に現われたものと思われる.また, C区7000ppmでは収量が最も劣っており,幼穂分化 期前の散布とくに高濃度散布は,収量に悪影響を及ぼすことを明らかに示している.
Ll̲潤6)は幼穂分化期前の散布で, 5000ppm濃度では収量に影響のないことを報じ,また,兵庫 農謡の成績(1963)では, 7000ppmの散布で3‑4^の減収を示したことを報告しており,本実 験の成績と一致し,この時期の処理濃度は7000ppmを超えると減収を招くことが明らかとなった.
0))ポット試験
第8表に収穫物調査成績を示した.穂長はBナイン処理区が対照区に比し,僅かに増大してい ることが認められ,一株穂数については, 3000ppml回処理区と, 5000ppml回及び2回処理区 が対照区より優り,その他の処理区はすべて減少していることが認められ,枢試験の成績と異な る結果を示した.
第8表 ポット試験の収穫物調査成績 (4株平均)
区 別 最 長 穂 長 平 均 穂 長 一 舶 数 】 讐
3 4 . 8 1 . 7 4
】 穂 籾 数 登 熟 歩 合 千 粒 重 一 株 玄 米 収 量 比 (対 凧 区 を
c m c m % g 重 g 車型 皇 室 旦 1
1 匡 l散 布 3 0 0 0 p p m 回 散 布
1 回 散 布 5 0 0 0 p p m 回 散 布
1 回 散 布 7 0 0 0 p p m 回 散 布
1 9 . 9 1 6 . 5 6 3 . 8 9 3 . 4 2 0 . 4 4 2 . 3 1 2 7
2 0 . 1 1 7 . 4 2 7 . 5 1 . 6 8 5 8 . 5 9 1 . 3 2 0 . 7 3 0 . 4 9 2
1 9 . 6 1 7 . 1 3 1 . 3 1 . 8 7 7 0 . 5 9 3 . 8 2 0 . 8 4 3 . 1 1 3 0 1 9 . 8 1 6 . 7 2 9 . 8 1 . 3 8
2 8 . 0 1 . 8 3
5 0 . 1 8 . 1 2 0 . 6 2 7 . 1 8 2
1 9 . 5 1 6 . 8 6 7 . 9 9 5 . 6 ′ 2 0 . 3 3 6 . 9 1 1 1
2 0 . 0 1 6 . 9 2 5 . 0 1 . 5 7 5 7 . 4 8 7 . 0 2 0 . 4 2 5 . 5 7 7
対 照 区 1 9 . 1 1 6 . 5 2 8 一7 1 . 7 8 6 3 . 1 9 1 . 8 2 0 . 0 3 3 . 2 1 0 0
‑穂重, ‑穂枚数においては,各濃度区とも1回処理区がすべて優っており, 2回処理区は, かえって頴花数を減少させている.この現象は梶試験の結果と一致し,移植時の1回処理は,頴 花数の増加に寄与していると考えられるが,幼穂分化期前に更に2回日の処理を行うことは,減 収を招く結果となることが明らかになった.なお,登熟歩合についても同傾向が明らかに認めら れたが,千粒重については,前記傾向は認められず, Bナイン処理区は対照区に比し,何れも僅 かに上回ったのみであった.
次に,収量を比較すると,各濃度区とも1回処理区>対照区>2回処理区の煩に大となり,中 でも, 5000ppml回処理区が最も良い成績を示した.
吉野4)は, Bナイン5000ppmの散布は, 1回処理区(移植後10日目), 2回処理区とも減収を 来したことを報告しているが,本実験においては, 2回処理区のみ減収となり,移植時の1回処 理は,収量増大に貢献した.
以上要するに,梶試験及びポット試験の結果から綜合考察すると,移植時のBナイン処理は, 収量増大に効果があるとみられ,その処理濃度は, 5000ppmが適当とみなされる.また,処理要 領は,角型ポット試験の結果から,移植時に首全体をBナイン液に浸潰する方法が,最も簡易で
功栗駒であると思われる.一応以上の結論を得たが,環境条件及び品種間における反応の差異等 も考えられるので,更に検討を進めたい.
摘 要
暖地水稲に対するBナイン処理の効果について,その処理時期,処理要領並びに処理濃度等が, 生育・収量に及ぼす影響を実験し, Bナインの効果的な使用法を検討した.結果は次の通りであ
名.
(1)重文: Bナイン処理の草丈抑制に対する効果は,移植時散布並びに幼穂分化期前散布とも その効果は認められたが,後者の方がまた高濃度ほど効果的であった.
(2)出葉速度: Bナインの移植時散布は,主稗の出葉速度を抑制して,低節位分けつの発育を 促し,その有効化に結びつくものとみなされた.
(3)分けつ: Bナインの移植時散布は,苗代分けつ及びその2次, 3次分けつの生育を促進し, 茎数増加に寄与するとともに,有効茎の早期確保に貢献した.なお,濃度は5000ppmが適当とみ
なされた.
(4)出穂:移植時散布は,各濃度区とも穂揃いを良くし,充実した穂をつけ好結果をもたらし たが,一方,幼穂分化期前の散布は,出穂に悪影響を及ぼした.
(5)収量:移植時散布は,各濃度区とも収量構成要素に好影響を及ぼし,中でも, Bナイン 5000ppm処理が最高の収量を得た.一方,幼穂分化期前の高濃度散布は,収量に悪影響を及ぼし 著しい減収を招いた.
以上要するに,移植時のBナイン処理は,水稲の生育・収量に好結果をもたらすことが認めら れ,その処理濃度は5000ppmが適当で,処理要領は移植直前に首全体をBナイン液に浸潰する方 法が,最も簡易で効果的とみなされた.
文 献
(1)中田恭二(1964) :移植後の土壌温度と水稲分けつの発育との関係.奈良学芸大紀要(自然科学) 12 : 58.
(2) (1969) :百代分けつの本田における消長に関する研究. I 土壌租度と首素質について.奈良教 育大紀要(自然科学:) 18‑2 : 99.
(3) (1972) :
. Ⅲ 低節仕分げっの生育助長に対する生長調節剤の効果.奈良教育大紀要 2ト2 : 55.
(4)吉野 実(1966) :植物の化学調節.特に生長抑制剤に関する二,三の問題.農及園 41:1007.
(5) (1970) :グロースリターダントの作用性に関する興味ある二,三の問題について.植物の化学調 節5‑1:59.
(6)山田 登(1966) :作物のケミカルコントロール.農業技術協会.