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清代刑法に於ける官吏が地位を巡って財物を不法に 収受する罪

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清代刑法に於ける官吏が地位を巡って財物を不法に 収受する罪

著者 森田 成満

雑誌名 星薬科大学一般教育論集

号 16

ページ 73‑108

発行年 1998

URL http://id.nii.ac.jp/1240/00000204/

(2)

清代刑法に於ける官吏が地位を       巡って財物を不法に収受する罪

森 田 成満

  目次

序言⁝⁝⁝−⁝・−⁝⁝⁝⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝−⁝⁝・:⁝⁝⁝⁝⁝⁝・⁝⁝⁝−⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝⁝⁝:・⁝ 七四

第一節 自ら差し出す財物を収受する罪⁝⁝⁝⁝・⁝⁝・⁝⁝⁝⁝⁝⁝:・⁝⁝⁝:⁝⁝−⁝⁝−⁝⁝.七五

  第一款 収賄罪⁝⁝⁝・⁝⁝⁝・⁝⁝⁝:⁝⁝⁝・⁝:⁝⁝⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝⁝:⁝・⁝⁝⁝⁝⁝⁝:・・七五

  第二款 職務行為として収受する罪⁝⁝⁝⁝−⁝:・⁝⁝⁝⁝⁝:⁝・⁝⁝⁝⁝⁝⁝:・⁝⁝⁝・⁝⁝ 八四

第二節 やむなく差し出す財物を収受する罪⁝⁝⁝⁝⁝⁝・・⁝⁝⁝⁝⁝⁝:・⁝⁝⁝⁝⁝⁝:・⁝⁝・九四

結 語 ⁝⁝⁝⁝⁝:⁝・:⁝⁝⁝⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝⁝−⁝・−⁝⁝⁝⁝⁝⁝・−⁝⁝⁝⁝⁝⁝・⁝⁝⁝⁝⁝⁝一〇五

73

(3)

74 序言

 官吏と人民の身分関係や官僚制度の特徴との関連に留意しながら︑清代刑法に於ける官吏がその地位を巡って不法に財

物 を受けとる犯罪の仕組みを見る︒

 この犯罪は与えるものの意思が自由か否かを基準にして︑自らの意思で差し出した︵﹁自与﹂︶財物を収受する︵﹁受財﹂︶

ときとやむなく差し出す財物を収受する︵﹁取受﹂︶ときに分かれる︒前者には収賄罪と職務行為として収受するときがあ

り︑後者には優越する地位を背景にするだけのときを含む︒

 この犯罪は単に官吏の身分をもつことではなく︑職務権限をもつことや当該人民に対して優越する地位に就いているこ

とを要件としており︑それ故︑原則として監臨の官吏と部内の人民との間に成立するものであって︑行政の適正な執行を

危 うくしたり財産秩序を侵す︒官員が収受したのであれば︑その威厳と士気の保持に配慮しながら行政事務が途切れるこ

とのないようにして処断する︒

  清 代 刑 法 は競合して犯罪が成立することが多い︒どのような犯罪が競合し︑その間にどのような優劣関係が存在するか

ということを明らかにすることは︑量刑の仕組みを見ることに等しいのであって︑競合させることによって妥当な刑罰を

科 している︒成文法相互の関係や成文法が果たしている役割りを考えながら準則の体系を立体的に見る︒

  本稿が対象とする事柄を巡る法律的な観点からする本格的な先学の業績を検索できない︒それ故︑第一次史料に依拠し        ③ω て 論

述 する︒使用する史料は︑主に律例といわゆる刑案である︒

(4)

   註       ω  官吏がなす財産に関する犯罪には強盗や窃盗のほか︑現代法の横領に似た行為もある︒強盗や窃盗は官吏の地位にあることが要件

        で はないし︑相手方の給付によらない︒また︑横領は広い意味では地位を巡るものであるかも知れない︒しかし︑やはり相手方の給

        付 に よらない点で本稿の対象にはならない︒

      ②

  特に︑﹁以﹂︑﹁准﹂や比付という成文法を参照して刑罰を導き出す技法に留意する︒准には死罪はない︒﹇大清律例︷﹃大清律例彙輯

罪       便 覧﹄︵光緒二九年︑成文出版社影印︶を使用︸巻↓︑八字釈義﹈︒

お ③ 刑 案にみられる地位を巡.て財物を収受する藁の多く肇日役については州県官暴︑州県官員の藁三いては上級幕が端緒

受       を得て処断しているものであり︑︵本稿八七頁︶上級の官員についての史料は少ない︒建て前はともかく︑通例︑彼らを捕らえて立件

諏       することは至難であったのであろう︒

法         ただ︑近年︑乾隆年間の高級官僚の汚職を巡る史料を収集した﹃乾隆朝懲辮倉汚梢案選編﹄︵中華書局︑一九九四年︶が公刊された︒ 杯  ・の史料を使.た高級官僚の不正行為の分析を将来の課題とした・︒

物  ω 本稿の対象とする罪を巡って︑唐律には職制律の監主受財柾法︑有事先不許財︑受所監臨財物︑因使受送饅︑貸所監臨財物︑監臨 耐  受供鎖条︑雑律の坐臓致罪条等があ・︒清律は唐律を継承しているので︑その罪の仕組みに等し・部分が広く存在する︒

        両 律の大きな違いの第一は︑明律を継承する清律の因公科敏条に相当する規定が唐律にはないことである︒職務行為として財物を 巡  収受する罪が唐律には整・ていな・︒唐の携は官が問責される恐れ・ある・とを嫌・たのであり︑それだけ明清権力・比べて専制

位   的であったことを示している︒第二は︑唐律の職制律役使所監臨条にある人の役使に関する規定は清律では家人求索条に残存してい 馳       るだけである︒清朝が労役を人民に課することは稀れであったことを反映している︒ 勤 館 ナ 卵       第一節 自ら差し出す財物を収受する罪

に 舷 齢   第一款収賄罪

   

  自ら差し出す財物を収受する罪は︑収賄罪と職務行為として収受する罪に分かれる︒いずれも具体的な職務に関して収

75    

受 される︒収賄罪は行為のその他の側面に着眼する犯罪と競合する︒

(5)

76   収 賄 罪とは︑官吏等が請託を受けて職務行為を行った対価として賄賂を受けたり︑その約束をする犯罪である︒自らの

意 思 に 基 づ い て 財物を差し出していることが要件となる︒賄賂を受けとり︑あるいは︑受けとる約束をしていても︑職務

行 為をしていないものを収賄罪とする明文の規定はないし︑それを収賄罪としている事案を検索できない︒一方︑職務行

為をしていれば財物を受けとっていなくても処罰する︒

  収賄罪の主な保護法益は皇帝から委託された職務を実体的にも手続き的にも正しく執行することにある︒職務としてな

された行為が権限を濫用した実体法に背くものであって︑官吏には本来なし得ないものである︵﹁柾法﹂︶こともあれば︑

実体法には違反せず︵﹁不柾法﹂︶︑買収されたという意味で手続きが違法なこともある︒不柾法でも収賄罪は成立する︒

  収賄罪の主体は職務として行い得る抽象的な範囲内にあるという意味の職務権限をもっていればよい︒そして︑皇帝の

委 託に背く行政がなされないようにという観点から権限をもつものを実質的にとらえている︒職務権限をもつものを法を

執 る人︵﹁執法之人﹂︶と呼ぶように︑官員︑書吏の身分をもつか否かということではなくて職務上の権限の有無に着眼し

    ω②③

て 決めている︒

  衙

役 も収賄罪の主体になる︒衙役にはいわゆる白役も入る︒︷﹁如白役犯賊・照衙役犯賊例治罪﹂︵白役が受願の罪を犯し        ω たときは︑衙役の受賊の罪の例に照らして処断する︒︶︸地保はもともとは在官の官役であったのであるから︑衙役と同じ       ⑤ ように扱われる︒︷﹁地保本係在官人役・与衙役無異﹂︵地保はもともと官にある役人であって︑衙役と異ならない︒︶︸県総        ⑥ や 里 書 も衙役と同じ扱いになる︒刑律官吏受財条の輯註は里長について業務を自ら操縦しているということに着眼して権         m 限をもつとしている︒        ⑧   既に任を退いて法律的には権限をもっていなくても︑事実上の権限をもつときは収賄罪が成り立つ︒また︑行政を司っ

て い ない人であっても屍親鄭証等のように官の活動に官の側の人間としてかかわりのあるものが事あって人から財物を受

(6)

      ⑨⑭ けとったとき︑官吏受財条を適用する︒

  任 地 で 官 吏と同居する家人にも収賄罪は成立する︒官員の身近にあってその地位を利用したものの犯罪性を考えて問責

する︒

罪 収賄罪の客体は︑受財という言葉からも窺えるように︑実謄︑動産︑特に金銭である.﹂とが一般的であり︑不動産が

拍 客 体 とな.たり︑あるいは︑物以外が客体となることは殆ど斜︒賄賂とは相手が自分にと.て利益になる不法な行動を

殴 してくれる・とを期待して贈る財物を指す︒

に 法    

律 は収賄罪として刑律に官吏受財条と事後受財条︑官吏聴許受財条を置く︒官吏受財条は典型的な収賄罪の規定である︒

不 鵬

︷﹁ 此 厳懲犯賊之統律乃一切因事受財之噸綱也﹂︵.︑れは撃犯す︑とを懲︑りしめる全体的な法律であ.て︑すべての事に

耐 よ.て財物を受けとる行為の総則であ劃︒︶︸留意しなければならないのは︑・の三つの規定はそれぞれ成立要件の一部が

巡   異 なっていて収賄罪の一部分を受けもつ三つの類型となっているのであって︑互いに一般法と特別法というような立体的

を 位な関係にはないということである◇

地       19 妙 官吏受財条は官吏が請託を受けて違法な財物を収受して職務行為をする犯罪を規定する︒

官 る   およそ︑官吏で法を曲げたり法を曲げないことによって財を受けたものは︑賊を計算して科断する︒禄のない人はそれぞれ一等を減 ナ 脚     じ︑官は追奪し除名する︒吏は役を罷免し賊が一両に止まってもすべて任用しない︒仲介して銭を渡したものは︑禄のある人は銭を受

に     けた人の一等を減じ︑禄のない人は二等を減じる︒求索︑科敏︑嚇詐等の賊︑および事後に財を受けて仲に立ったものはこの律を使わ 舷 ・・︒⁝禄のあ・人が−法を曲げて繋主を異・するときは・通算して全てを科す・⁝二両以下・杖七+二両から五両・杖八+・・ 齢 砿 晶 難 騨 罐煙雪誌膳鵠謡咋舗甦捜雰読詰編諮晶聞読は⊇爾騨堅甑醗誤針竪緬

7  ければ一百二十両以上は杖一百流三千里に止まる︒ 7

(7)

      職 務行為の前に賄賂を受けとっていないとき︑どの時点で賄賂の収受を約束したかによって事後受財罪と官吏聴許受財 8      励

      ロ

    罪の二罪に分かれる︒事後受財罪は財物の授受を職務行為をした後に合意して収受している︒

  およそ︑官吏が引きうけることがあって︑先に財物を約束せず事が終わった後に財物を受けとったとき︑事が︑もし︑曲げた判断で あれば柾法に準じて処断し︑事が曲げた判断でなければ不柾法に準じて処断する︒⁝曲げたところが重ければ︑なお︑重きに従って処

断する︒⁝

  先 に 財物を受けとることを約束していないので︑それだけ柾法︑不柾法についての積極的な意思に乏しい︒︷﹁先未許.       ⑰ 則柾不柾・原無成心﹂︵先に約束していないので︑柾か不柾かについて︑もともとはっきりした気持ちをもっていない︒︶︸

事後受財罪は職務行為の前と後で身分に変化はない︒公務員の地位を離脱したあとに在職中の行為について収賄する現代

刑法の事後収賄罪と字句は類似しているけれども︑身分の離脱を要件としていない点で異なる︒次のような道光十二年の          08 漸

江 司の事案がある︒

  福建省からの上奏︒徐愛堂はかつて庫書をしていた︒退任後また復職し︑さらにまた︑病気で退任するといって妻の弟の任柄南を職

に つ か せ た︒その犯人は︑また︑身を隠して仕事をし︑周栗の相続争いの事案について︑周栗のために人を探して訴状を作らせて書い

て 受 領

証 を送り訟案の世話をしておいて︑借りていた周栗の死んだ父の周漠の制銭五百千を彼に報酬と認めさせた︒事後受財であり︑

柾 法の無禄人は減等し︑知法犯法は一等を加えるに準じて罪流二千里に止める︒⁝

  予め事後に財物を受けとる約束をした事実と約束した財物の数目がはっきりしているときは犯罪となる︒官吏聴許財物

      ㈲ 条 に 次のように記している︒

 およそ︑官吏が財物を約束してまだ受けとっていないけれども︑事をもし曲げたものは︑柾法に準じて処断する︒事を曲げなかった

ものは︑不柾法に準じて処断する︒それぞれ受財条より一等を減じ︑曲げたところが重ければ︑それぞれ重きに従って処断する︒

(8)

      聴 許 とは賄賂の授受を約束することである︒職務行為をしていることがこの犯罪の成立要件である︒しかし︑財物を受

  けとることは要件ではない︒

      職 務 行為の後で賄賂の授受を約束したけれども︑まだ収受していないときに関する明文はない︒そのようなことが起こ

    ることが稀有であり︑恐らく不可罰であったのであろう︒また︑予め事後に財物を受けとる約束に沿って職務行為をなし 罪 妨   た 後 に 財 物 を受けとったときも明文はない︒事柄の悪性から見て恐らく官吏受財罪と同じように評価されたのであろう︒

殴 収 賄 罪 は 賄 賂の受けとりやその約束が職務行為の対価としてなされる・とが要件となる︒・の・とを史料は事に三て

に 法  ︵﹁因事﹂︶とか事あって︵﹁有事﹂︶とかいう言葉で表現している︒職務行為と賄賂との間の対価性の有無が事によるか否か

不 を という判断の中でなされる︒ 醐 官吏受財条の輯註に次の考に記・てい輌霧行為の対価として財物を受けとるので柾法か不柾法かのどちらかに

巡   なる︒事によるということを職務行為に着眼して見たとき柾法︑不柾法ということになるといってよい︒ただ︑史料に検

を       ⑳

位  索できる事案の殆どは柾法のものであって︑不柾法は極めて少ない︒ 鞄 カ 吏   註の中の因事の二字がこの条項の鍵である︒必ず事によって財物を受け取るので︑柾法と不柾法の区別がある︒もし︑事によらなけ 舘  れば︑贈るも・受けるものには他・理由がある︒それぞれそのため・条項があ・て︑・の柾法不柾法の条項とは関係がな・︒−・

ナ 咽 外 形 上・請託がなされていても威圧を加えて取り上げたとされることがあ・たのであ・面二謂託のないときは・通例・

舷 当然の・ととして︑自ら進んで差し出していないと評価した︒道光+三年の通行に請託を次のように説明してい㎞・

代 清       ⁝鐵営の請託とは財物を贈って行為を求めることを指していっている︒それ故・従来たまたまこれに似た案件があれば・すべて財物

9  を贈って行為を求めるそれぞれの律例に照らして分けて処理して決して誤りはなかった︒その御史が奏請している専条を作るという点 7       は︑論議するに及ぼない︒

(9)

      そして︑史料に現れる請託は具体性が高い︒請託者だけの利益になるものに限らないのであって︑法律を改正すること 0 8       例    を請託するようなこともある︒

      官 吏の職務に関してなされる犯罪であるので︑請託は裁判と徴税を中心とする官の活動の内容と関係する︒類型的に見

    た とき︑史料に最も多く見られるのは︑捜査段階から判決の執行にまで至る刑事訴訟手続きに於いて賄賂を収受するもの

   で ある︒違法な行為を摘発しないことの代わりに賄賂をとることがある︒嘉慶二十一年の奉天司の次のような一案がある︒

  盛 京将軍の上奏︒王君重は木の伐採をしていて民人の温盛山を招いて雇って働かせていた︒温盛山は無票の山で盗んで切ろうとし

て︑そのやあさせた官員に頼み込んで昔から家にあった鉄の烙印を借用して人の名義をかたろうとした︒そのやめさせた官員は利益を 求めて黙認した︒また︑陳添智等は木の値段を実際よりも高くいつわって思い立って利益を山分けした︒そのやめさせた官員は前後し

て 陳添智等から京銭二百千を受けとった︒当然︑律に沿って柾法の賊として処罰するべきである︒⁝

       ㈱

検 証 に 手心を加えることを求めることがある︒

  捕 らえられた犯人が県への引き渡しを逃れるために巡検へ賄賂を贈ることもある︒早く釈放してもらうために賄賂を贈       ㈱ ることもある︒道光十二年の奉天司の説帖の中に次のように記されている︒

  ⁝既にやめさせた巡検の易開泰は銀九十六両を受けとって殴って郭高氏を傷つけて引き渡して見張っていた方日凝を釈放した︒も

し︑釈放のとき︑郭高氏の傷痕が既に治っていれば︑方日凝は早く釈放されるべきであり︑そのやめさせた官員が思い立って難癖をつ

けて延ばして開放しないために方日凝が賄賂を贈って釈放を求めたとすれば︑その情況は強索と異ならない︒監臨の官員が所轄の財物

を強索したときは柾法に準じて処断する律によって満流とするべきであって︑柾法の律を引くことはできない︒もし︑郭高氏の傷がま

だ 治っていなければ︑方日凝はまだ例に沿って見張っておくべき人である︒そのやめさせた官員が賄賂を受けて勝手に釈放したのは︑

実際︑柾法であり︑柱法の賊八十両の律に照らして絞候に処するべきであって︑軽くして減刑して悪質な官員にうまく法網から逃げさ

せ て はならない︒⁝

(10)

刑 を軽くして早く決着をつけることを求めて賄賂を贈ることもある︒審理を行わずに和解することを認あてもらうため

に 賄

賂 を贈ることもある︒

       oo 道 光 二

十 年の雲南省の事案は︑判決内容を有利にしてもらうために賄賂を贈っている︒

罪⁝既にやめさせた通判の張景折は回教の馬万挙が官地を強占して目隠しの塀を作り訴えられたことで︑差役とぐるになって賄賂を受 行  けと・た︒そのやめさせた嘗貝は賊銀五+両を受けと・て代わりに判決を曲げ︑訴えてきた屈庭遠をでたらめに責あた︒門丁の李釣も︑

受     また︑賊銀二十両を受けとった︒そのやめさせた官員は︑また︑罰として馬万挙に銀二十両を出させて漢民に受けとらせ︑土官の祠の 諏     香 火の用とさせた︒そのため︑漢民はみな不満に思って回民と人を集めて紛争を起こし惨殺七百余名の大事件となった︒⁝ 泊 杯 刑 事 手 続 き以外の行政的な官の活動を巡るものとしては・徴税に関係してなされる収賄が多い・例えば・課税の免除を 物       ⑬ 財 求めて贈賄する盛京に於ける光緒七年の事案がある︒

巡       ⁝この事案は既にやめさせた協領の奎亮が以前戸司の関防を代理して管理していたときに︑農安の多くの商人が告示を出して課税を 椎 免除して税役が響入・てごたごたしな・よう・と願・出て来た.馬景舜・多く・商人・代わ・て彼・票・て賄賂を贈・て求あた︒

馳     そのやめさせられた官員は決して直ちには拒絶せずひとまず寳銀二十錠を手に留あた︒当然︑事によって財物を受けたことになる︒た

動     だ︑その商人たちが告訴しそうだと聞いて︑銀をすべて自分から返した︒まだ︑法を恐れるということを知っている︒そのやめさせた 官  官員をもとの処理に照らして人から不柾法の賊を受けること百二十両以上は絞罪とすることから二等を減じて杖百徒三年にする律に る ナ  よる︒職官であるので裁可を請求して軍台に送って一生懸命に罪を蹟わせるべきである︒⁝ 於

法  楊宗震が天津で茶局を開設したけれども関起税が重いので︑上奏して減税の許可を取ってくれるように請託した対価と 刑      倒 代   して御史の周銘恩に賄賂を贈ることを約束した道光年間の事案がある︒ 清

1   ⁝この案︑既にやめさせた御史の周銘恩は胡柄光が楊宗震に代わって彼の間に入って関税について上奏することによって︑報酬の銀 8    

  銭一百両大銭五十千を手渡すことを約束した︒まだ受けとっていないけれども︑事後に融通することを願ってすぐには拒否しておら

(11)

ず︑さらに人を探して代わりに上奏させたのだから︑聴許財物と異ならない︒⁝重きに従って軍台に送って精一杯罪を贈わせる︒⁝

82

  また︑官職を得ること等の官僚制度を巡って収賄することがある︒既に任期をおえてやあた書役が︑賄賂をとって勝手

に そ の 地

位 を補充している例がある︒

      倒   その他︑自分の旗地を官地と交換する手続きをはやくしてもらうために贈賄するような例もある︒娼妓が居住するのを       ㈱       口η 許可する代わりに収賄することもある︒請負商人の認可を与える代わりに収賄することもある︒鉱山の開発許可を与える 代 わりに収賄することもある︒

  収賄罪は有意の犯罪であって︑財物を賄賂として受けとったことを認識している必要がある︒もっとも︑具体性の高い

請託を受けていることから考えて︑通例︑その認識はある︒請託を受けてもそれに沿った行為をする気持ちがなくて財物

を受けとるのは詐欺取財罪になるのであって収賄罪にはならない︒詐欺や脅迫で財物を得る犯罪と収賄罪は競合しない︒

光 緒五年の陳西省の次のような事案がある︒

  ⁝査するに︑既にやめさせた階州の直隷州の吏目の段成章は監犯の李応庚の家は裕福であると聞き︑勝手に代わって免罪の仲立ちを

す るといって騙して銭五百八十六串を受けとった︒その後︑李応庚が彼に向かって催促したので事がばれることを恐れて︑また︑銭二

余 を返還した︒銭三百八十六串はまだ返還されていない︒一串毎に銀一両として全部合わせて三百八十六両として︑計略を使って官

私を詐って財物をとった律に照らして賊を計算して窃盗を準用して処罰する︒⁝監犯の李応庚は段成章のペテンを聴き入れて財物を

贈って請求し免罪を望んだ︒罰するべき罪がある︒⁝

  収賄罪の刑罰は︑主体︑賄賂の額︑職務行為が柾法か不柾法か等を考慮して決まる︒官吏受財条は賄賂の額と柾法か不       ㈲ 柾法に応じて五両刻みに百二十両までの刑罰を規定する︒時には死罪にも処せられる︒有禄人で柾法のときは一両以下の

杖 七 十から八十両の絞監候までの処罰が予定されており︑不柾法は一両以下の杖六十から百二十両の絞監候まである︒無

(12)

罪 禄 人 の 柾

法 は百二十両で絞監候となり︑不柾法は百二十両で罪杖一百流三千里に止まる︒

  このように︑無禄人は有禄人の刑罰を一等減じる︒有禄人は無禄人に比べて高い倫理が求められた︒因みに︑貢監生員

       幽      ㈲

や 挙 人 進 士 で あるだけでは有禄の官員ではない︒書吏は有禄人として処断し︑差役は無禄人として扱う︒       ⑭      69   逆 に︑風憲の官吏は有禄人に二等を加える︒風憲の官吏とは都察院︑科道︑按察司︑各道の官吏や督撫を指す︒糾察の

妨   仕 事 をしているので︑特に人民の模範となることが求められる︒︷﹁職任糾察.既犯賊罪.何以粛人.宜有加等之法﹂︵職と

殴 ・て糾察に任・てい・ものが賊罪を犯したのでは人を粛正できないので・加等す・法があ㎞・︶︸

に 法  

  そして︑事後受財条や官吏聴許財物条はこの規定を準用し︑特に官吏聴許財物罪は財物を受けとっていないので罪を一

不        靭4849

を 等減じるとする︒ 物 耐 柱 法の職務行為がなされているとき︑収賄罪はその柾法行為に着眼する犯罪類型と競合する︒事後受財条や官吏聴許財

巡   物 条はそのことを明示している︒官吏受財条は競合について規定していないけれども︑輯註はそれを記しているし︑競合

位   することを示す事案は少なくない︒財物を受けとって法を曲げた裁判をすると官司故出入人罪と官吏受財罪の二つが成立

地       6⑪

が   する︒官司故出入人罪を適用するときは収受した財物の額は問題とはならない︒ 吏 官 る   およそ︑官吏が財を受けて柾法するものは︑故出入人罪律と比べてみて︑もし︑受財の罪が軽くて出入の罪が重いものは重い方で処 ナ 脚    

理 するべきである︒

に 舷 嚢二+二年の次のような妻があ緬・官吏受財条ではなくて・官を欺いて法を作・た重い罪に間・・

代 清  山東司奏・既にやあさせた西城御史の粛鎮は賄賂を贈られ請託を受け・崇文門酒税章程を勝手に変えようとして妄りに出管に上奏

3  した︒薫鎮を官吏人等が騙して官を欺き妄りに異議をいって変乱して法を作った律によって斬監候にする︒既にやめさせた金で官位を 8    

  買い九品官にまでなっていない余鐙は陳世維と相談して飽士恭に賄賂を贈って粛鎮に酒税章程を変えることを請託させて漁利を得よ

(13)

      うとした︒査するに︑余詮が求あて御史が上奏し︑陳世維が票を立てて賄賂を贈って請託し︑飽士恭も賄賂を贈って請託した︒その三 84     人 の 犯 人 は同罪でありその罪は等しい︒財物を贈って請託し︑間に入って金を手渡した無禄人は減刑するという例に照らして徒に処す

   

  るのはよくない︒皆瀟鎮の斬罪から一等を計って減刑し満流に決あて上奏して決定する︒⁝

       働 虚偽の上申をすることの引き換えに賄賂を受けとることがある︒虚偽の上申をしたという犯罪と収賄罪とが競合する︒

  安徽司の審擬︒坊吏の張品三は賀維城が彼に託して鋪房を修理することを呈報したとき︑その犯人はその鋪がかつて前任の街道がし

りぞけて︑不許可にしたのをはっきりと知りながら勝手に敢えて古い事案を隠して具呈した︒また︑官房であるという文字を述べず︑

許 可 を受けて賄賂を手に入れようとした︒既にその街道庁は︑官街を侵占していないといっているので︑例によって修理を許した︒不

柾 法 に 沿って処断して賊を計算すれば杖七十に止まる︒張品三をよからぬ事務を勝手に上申して裁可を得てでたらめに上申して施行を

説いたものは︑各衙門の官員に騙して言語を伝えたとして罪を科する︒五品以下の官に言語を詐伝したものは︑杖八十に処する律に

よって杖八十に処して役をやあさせる︒

  ところで︑収賄罪を巡っては職務に関して請託せずに差し出した財物を収受する行為が問題になる︒しかし︑史料に現

れ る贈賄には︑財物を差し出す対価として特定した行為を求める︵﹁以財行求﹂︶請託︵﹁賄嘱﹂︑﹁賄求﹂︶が伴っているの

で あって︑請託していない事案を検索できない︒職務行為の対価としての財物の授受ではあるけれども︑請託のない現代

刑 法の単純収賄罪に該当する行為はなかったらしい︒人民からの請託のようなはっきりした外に現れる主体的な行動がな

い と自らの意思で差し出したと認定せず︑請託がないときは︑通例︑優越する地位に基づく収受としたのであって︑請託

の ない収賄罪が存在しないのは官吏が人民に優越する身分秩序が存在したという社会の構造的なところに起因する︒

第二款職務行為として収受する罪

官の行為は皇帝がするときを除き︑官吏の職務行為︵﹁公﹂︑﹁公務﹂︶としてなされる︒官吏が職務行為として違法に財

(14)

    物を収受するとき︑︵﹁科敏﹂︶官や皇帝が責任を負うことはなく︑その行為をした官吏が処罰される︒

      官 吏が職務としてなした行為が職権濫用であって正当な根拠がないとき違法なものになる︒職務行為か否かは官吏の内

    心 の 動 機にはかかわりなく外形的に判断する︒それは必ず公然となされるのであって︑相手方に職権の行使であると認識

    させている︒職務行為として収受するとき︑優越した地位にある官吏がなす官の行為であるという威圧感を人民に与える 罪 妨   けれども︑その意思をおさえた収受とはならない︒輯註は求索︑借貸は自分の意思で差し出していない︒それ故︑坐賊致

膿 罪 律 よりも刑罰が重い︵﹁求索借貸非自与也・故重於坐豊罪鞠﹂︶・・記してい・・坐嚢罪律を適用す馳務として収受

に 法

  する罪が自分から差し出しているととらえたことを窺わせる︒人民に主権がある訳ではないけれども︑財物を官として収

不 を 受するための権力の行使は不承不承ではあっても人民の納得の下に行うと構成している︒ 物 耐 職 務 行為として収受する罪の保護法益の重点は収賄罪と同じく︑白王帝に対する霧である職務の正当な執行を維持する

巡   ところにある︒それ故︑その財物を自分のものにしなくても犯罪は成立し︑自分のものにすると刑罰が加重される︒通例

を 位 は人民から収受しており︑官吏の間で授受されている事案を検索できない︒

地 が     史料に職務行為として収受する罪に問われている第一は︑上司の許可のない賦課である私派である︒地方官には人民か 吏        ⑰         ㈹ 館   ら財物を徴収することを決める権限はなく︑中央の明文による個別的な裁可が必要であって︑私派を禁じる条例があるし︑

ナ        ㈲       6⑪      ⑪㈱ 卵   通

達 も多い︒私派には土地税に対する付加税︵﹁加派﹂︑﹁加耗﹂︶と時に州県官吏が人民に課する差窟がある︒上下の官衙

に 法 の間に命令服従の関係があり︑下級の官衙に固有の権限を認めない清代の官僚行政組織の権限の仕組み︑および︑不足し 舟       ㈹      ㈹ 代   勝ちな地方の財源や使用目的を定めた賦課が多い地方財政制度の構造的なあり方を反映する︒ 清

      第二に︑官の物を上司の許可なく人民に払い下げることも︑行政上の手続きに違反するものであって︑職務行為として

      カ       ぼ

    収

受 する罪に当たる︒

(15)

86   上 司の明文の許可なく財物を科敏したときについては刑律因公科敏条があり︑科敏の少ないときはそれを自分のものに

したか否かにかかわらず杖六十とし︑賊が重いときは︑自分のものにしたか否かを基準にして坐賊致罪条に沿うときと官        閲 吏受財条に沿うときに分ける︒杖六十というのは収賄罪に於ける有禄人の不柾法の最も軽い刑に等しい︒

  およそ︑有司の官吏人等が上司の明文を受けずに公務として勝手に管轄下の財物を科敏したり︑管軍の官吏が軍人の銭糧や賞賜を科

敏したものは︑自分のものにしなくても杖六十とし︑賊が重いときは賊として処罰する︒自分のものにしたときは︑賊を計算して柾法

を以て処罰する︒無禄人は有禄人の罪を一等減らし百二十両になると絞監候とする︒

  その公務ではなくて人の財物を科敏し自分のものにしたときは︑臓を計算して不柾法を以て処罰する︒無禄人の罪は杖一百流三千里

に 止 どめる︒それを他人に贈り自分のものにしなくても︑また同じである︒

       ㈹㈱69 刑 律

坐 賊致罪条に次のように記している︒

 およそ︑官吏人等が法を曲げるとか法を曲げないとかという事ではなくて人の財物を受けとると︑賊として処断する︒何人もから受

けとったときは︑通算して半分にして処罰する︒贈ったものは五等を減刑する︒⁝勝手に財物を科敏したり︑あるいは︑多く手に入れ

少 し徴収したり︑銭糧や税糧の枡面︑および検踏災傷田糧と勝手に斜斗秤尺を造るときの各律がのせているのは︑自分のものにしな

くても︑あるいは︑造作して人の力や物品を使う類いは︑およそ︑罪がこの賊によるものはすべて名づけて坐賊致罪とする︒官吏が賊

に坐して︑もし︑自分のものにしなければ職役に復させる︒⁝一両以下は答二十︑一両の上十両まで答三十︑二十両は答四十︑三十両

は答五十︑四十両は杖六十⁝五百両で罪は杖一百︑徒三年に止まる︒⁝

法 を曲げるとか曲げないとかいう事ではなくてと記しているように︑これは収賄罪に該当しない財物の収受を処罰する

ときの一般的な規定である︒もっとも︑そのとき通例はいわば特別法が存在するのでこの規定を適用することは余りない︒

留意しなければならないのは︑この規定は不法な財物を自分のものにしている︵﹁実賊﹂︶訳ではないけれども︑︵﹁虚賊﹂︶

特に違法として賊になぞらえて刑罰の軽重を決めるためにも使われるということである︒即ち︑財物を自分の意思で進ん

(16)

    で 差 し出しているために互いの間を見れば不法性がないときや︑︷与えるものと受けるものの両者が互いに合意している

    の で あって︑当然︑無茶をし無理やり騒ぎを起こしおさえ付けて取り立てた情況はない︒︵﹁与者受者・両相和同・自無ヨ       ㈹    

踏 用強生事逼抑取受之情﹂︶︸財物を自分のものにしなかったり︑収受した客体が形ある財物ではないときにも適用される︒

   ︷合意して受け渡した財物は法をそこなっていないので︑もともと賊ではない︒科敏等の自分のものにしなかったときは︑

罪       D

実 際︑賊がない︒︵霜同取与之財・於法無碍・本非賊也・科敏等不入己之項・実無薔L︶︸︒

暇 科 敏 した財物を自分のものにしないときで五+両以上を収受したときは坐賊致罪条を適用し徒三年にまで至る︒五+両

に        ㈲      ㈹

法   までは杖六十に処するのであって︑坐賊致罪条に拠るより刑を重くすることになる︒光緒七年の事案に次のようにある︒ 杯 醐  ..書院を造る誓お・び衙署を修理す・た・に勝手に県民沈文四等に科した罰金の銀銭を公用とした︒取り調べると自分のもの

て     に はしていないけれども︑気ままにでたらめをしている︒⁝厳家正は有司の官吏等が上司の明文を受けずに公務として勝手に管轄の財 巡 物を科敷して賊の重・ものは整坐して処罰する..律によって杖九+とし・.・

を 雌 科敏した財物を自分のものとしてしまうと法を曲げて財物を竪又した点で等し㌦官吏受財条の柾法の罪として処断す

が 吏   る︒官吏受財条は坐畷致罪条よりも処罰が重く︑受けとった財物の額の増加に対応して刑罰は大きく加重されて︑時には 官      6          ロる 絞監候にまで至る︒職務行為として収受して自分のものにする行為が柱法の収賄罪と同じ悪性の犯罪であることを示して

よノ       ノし       り

讃   い る︒これは死罪もあるという点では次節に見る無理やり求策する行為に対する刑罰より重畑︒貴州省の光緒三年の事案 舷 が 熟・

代 清  ⁝既にやめさせた永従県の知県の呉延尭は県署の城垣を修理することをかりて名目として纂の銀両を科敏した・先立・て・上申し

7  て命令のあることを願い出ていない︒その後︑県署を修理して余った銀両も︑また︑県庫に蓄えて公用に使い︑報告して書類にはなっ 8       て い ない︒次いで︑耳にしたので省に連行して追及した︒始めは︑まだ認あなかったけれども︑証人を呼び出して事実を質し︑ようや

(17)

88 くはき出した︒実際︑自分のものにしていた︒律に沿って問責しなければならない︒⁝

註 ω   大 清

律 例巻三一︑刑律官吏受財条条例八︒

②  官吏聴許財物罪は官吏に限る犯罪であると総註が解説する︒﹃此明言官吏・則其余在官之人不用此律﹂︵これは官吏と明言してい

  るので︑その他の在官の人についてはこの律を使わない︒︶︸また︑事後受財罪は輯註に官吏に限ると記している﹇同右書同巻同律官

  吏 聴 許 財物条総註︒同右書同巻同律事後受財条︵影即本四四=二頁︶﹈しかし︑官吏と明言しているのは官吏受財条も同じであり︑官

  吏職許財物罪や事後受財罪に於いて収賄罪を官吏に限るとする説明は必ずしも説得的ではない︒検討するべき事項として今後の課題

 としておきたい︒

  同右書同巻同律官吏受財条輯註︵影印本四三七三頁︶︒

ω   同右書同巻同律同条条例⊥ハ︒

⑤   刑案匪覧巻五〇︑刑律官吏受財条﹁北撫 杏侯維甲撞獲携帯小銭之万之揚将小銭捜獲使用⁝道光元年案﹂︒

⑥  本註oo︒ m  官吏受財条の輯註は里長について業務を自ら操縦しているということに着眼して権限をもつとしている︒︷大清律例巻三一︑刑律

  官 吏 受 財 条 輯 註 ︵ 影 印本四三七三頁︶︸︒

     律 に 明条があるとき︑これを法という︒法に出入りがあるとき︑これを柾という︒法を執る人が事あって人から財物を受け理に

  背き法を曲げて是非を曲げて判断するのが柱法の賊であり︑事あって人から財物を受けても︑事の是非について決して法を曲げて

    判 断しないのが不柾法の賊である︒すべてみな判断の事情を指していっている︒それ故︑柾法と不柾法の区別がある︒その他一切

    の

受 けとるべきではない財物を受けるのは︑正にこれを犯法といい︑これを柾法とはいわない︒その人は法を執る人ではないから

    で ある︒法の操縦が彼によらないのだから︑柾法の名を科することはできない︒⁝禄のないものが法を曲げたとき︑判断に関係が

  ないといっても︑情況が判断に類しているもの︑里長や捕役の如きは官吏ではないといっても︑⁝みな柾法として処断する︒けだ

  し︑役に応じて官にあり︑司ることの操縦は自分でしている︒法を守るべきであるのに法を売っているので︑また︑これを柾法と

  へ    む  し・つ  ..・

⑧  本稿七八頁︒

⑨   大 清律例巻三一︑刑律官吏受財条条例二︒

側  共犯として収賄罪に問われることがある︒保証人や歌家が収賄に問われることを記す嘉慶十五年の改正を経る条例がある︒︵同右

(18)

        書 同巻同刑律同条条例五︶︒

            県 総︑里書で受賊の罪を犯して自分に入れたものは︑衙役の受賊の罪に照らして罪を決ある︒保証人や歌家が衙門とぐるになっ

          て 賄 賂を取ったときは︑官にいる役人ではなくて事あって人から財物を受けとったときに照らして処罰する︒

     

ω  同右書同巻同律家人求索条︒

      02

  極あて稀れには借金を帳消しにするような現金の授受がないこともある︒︵本稿七八頁︶︒

罪    

03  賄賂は格別官との関係を含む概念ではないので︑収賄罪は成立しないけれども︑人民相互の間の賄賂もある︒︷続増刑案匪覧巻七︑

括  刑律発塚条﹁貴撫題苗人抱九肇後護抱白党身死案内之屍兄送白党於伊母受賄私和時・道光士一年案﹂︒因みに︑賊とは葎的な

受       原 因 が ないのに取得した財物を指すものであって賄賂よりも広い概念である︸︒ 諏     ⑭   大 清 律例巻三一︑刑律官吏受財条総註︒ 法  個 同右書同巻同律同条︒ 杯 個 同右書同巻同律事後受財条・ 物  o力 同右書同巻同律同条輯註︵影印本四四=二頁︶︒ 耐 ⑱ 続増刑案讐巻=三刑律官吏受財条詞省奏徐警曾充庫書於退卯後復充:道光士一年漸江司案L・

巡  側大清律例巻三︑刑律官吏聴許財物条︒ を  ⑳ 同右書同巻同律官吏受財条輯註︵影印本四三七五頁︶︒ 雌 閻 本稿八責︒

が     ㎝   本 稿 九 四

頁︒

聴 ㈲ 刑謹暮五〇︑刑律在官求索借貸人財物条﹁江西道御史黍凡出差巡察之員所至州県地方如有収受門包−道光+三年通行﹂︒ る  ⑭ 本稿八三頁︒ ナ 脚     ⑳  刑部比照加減成案巻二六︑二〇頁a﹁奉天司 嘉慶二十一年﹂︒ 酬 ⑳ 財難輪魏贈誘誘鷲竃離鷲憧ユ鮭⇒天司の事案があ三続増刑案匪覧巻;﹁刑律有事以 齢  +霞課鱒曙殼誘罷聲顯畑性顯纏縫人鷲鑓鯉醤哩隈3ー詩溺鯖螺

9    合わせて計算してはならない︒⁝ 8       四   刑案確覧巻五〇︑刑律官吏受財条﹁福撫 杏弓兵呉琳聴許差礼私行縦犯鄭章明自維身死一案⁝嘉慶元年説帖﹂︒

(19)

      ㈱  同右書同巻同律同条﹁奉天司 査律載官吏受財計賊科断⁝道光十二年説帖﹂︒ む 9  四 ⁝銭克従等は韓邦輔等が重罪に問われるのを恐れているので︑彼に向かって心配して︑衙門で銀を使えば罪は軽くなり早く決着が

        つ くとごまかしていい︑それぞれ銀五十両を得て自分のものにした︒もし︑その犯人たちがやはり財物を受けて法を曲げていれば︑

        柾 法の賊五十両として流を科す︒禄のない人であるので一等を減じて罪は満徒に止める︒⁝

     

   ︵同右書同巻同律同条﹁直隷司 査律載柾法願五十両杖﹈百ニエー五百里⁝乾隆五十五年説帖﹂︶︒

     

0︾

  成 案 質 疑 巻

二 三︑一a官吏受財条﹁康煕十九年十一月刑部看得嵐県知県尤 旺一案﹂︒

      00  刑案匪覧続編巻二七︑刑律官吏受賊条﹁漬撫 奏已革通判張景折柾断致令漢回分争惨殺七百余命一案⁝道光二十年説帖﹂︒

      幽  新増刑案匪覧巻一二︑刑律官吏受賊条﹁盛京将軍 奏査有署戸司関防協領奎亮被長春庁農安商民李廷献控告⁝光緒七年案﹂︒

     

㈱  続増刑案匪覧巻=二︑刑律官吏受財条﹁軍機大臣 奏楊宗震在天津開局茶局⁝道光十七年湖広司案見邸抄﹂︒

     

閲  乾隆四十四年の通行に次のような一文がある︒︵刑案匪覧巻五〇︑刑律官吏受財条﹁大理寺少卿 奏請増刷律例各条核定遵辮一

       

摺﹂︶︒

            ⁝こういう書吏の欠員は︑官が考えて補充する︒もとの書吏は悪巧みをしてはならない︒ただ︑新旧の介添人が頂頭という名目

       

  をかりて銭を取る︒法には本来背いていない︒そこで不柾法に準じて処断する︒⁝書役の任期がきて密かに金で譲るのは︑官にあ

          る書吏の欠員を私有物として密かに金で売り勝手に不法をなすのであって︑実際︑柾法である︒それ故︑柾法受財律に照らして賊

       

  を計算して処断する︒⁝

     

倒  道光五年四川司現審の次の事案がある︒︵刑案匪覧巻五〇︑刑律官吏受財条﹁廟紅旗漢軍都統 奏現任欽天監筆帖式趙応祥欲将自置

        旗 地 照 例免換入官地作為螢基⁝道光五年四川司現審案﹂︶︒

            廟 紅 旗漢軍都統の上奏︒現在欽天監筆帖式をしている趙応祥は自分が買った旗地を例に照らして入官した土地と交換して埜基と

       

  したかった︒自分の土地は︑まだ税契しておらず佐領のサインがあって始めて名義を移せる︒そこで︑その佐領の桐什布に対して

       

  捺印してサインして戸部に上申するように求めて京銭五十吊を贈る約束をし︑まず︑三十五吊を贈ってサインし終わった︒⁝

      ㈱  成案質疑巻二三︑三三頁a官吏受財条﹁文武官役通同埜賊容留娼妓﹂︒

     

㈱  同右書同巻︑二六頁a同条﹁知県受賄批准充商﹂︒

     

⑱  同右書同巻︑四九頁a同条﹁附彩妄為﹂︒

      ⑳

  新増刑案匪覧巻=一︑刑律官吏受財条﹁陳督 奏階州吏目段成章詐騙監犯李応庚得財退還未尽一案⁝光緒五年案﹂︒

   

80  収賄罪についてはその枠が明文ではっきりしているので比付することは殆どない︒しかし︑例えば︑収賄行為と関係して自殺者が

        で たときのようないわば併合罪のように︑はっきりした明文のないときには比付によって処理される︒道光七年の山西省の事案は︑

(20)

        轟 役詐賊整命擬絞例を比付している︒︵刑案匪覧巻五〇︑刑律官吏受財条﹁菅撫 題県役張雲獲賭犯劉如享聴許銭文致劉如享無措自蓋

       一案⁝道光七年説帖﹂︶︒

         

  ⁝査するに︑銭文を索詐するのは財物を聴許するのとは事情が全く異なる︒なぜならば︑財物を聴許するのは名例にいう彼此と

          もに罪がある賊であり︑銭文を索詐してもだまされた人は処罰しない︒当然︑同列にして議論できない︒劉如享はもともと賭匪で

          あって︑張雲に捕まり︑銭を約束して引き渡しを逃れようとした︒劉如享が財物で請託したのであって︑決して張雲が思い立って

罪       索詐したのではない︒劉如享は約束した銭の工面が付かず自殺した︒調べてみるに︑詐賊覧命とは距離がある︒その省が張雲を減 括  刑して流にと決あたのは︑実際︑妥当である︒また︑嘉慶元年福建省呉琳の成案と一致する︒その通り回答するのがよい︒

受     ω   本 稿 七 七

頁︒

諏     ⑫   大 清

律 例巻三一︑刑律官吏受財条の輯註に次のようにある︒︵影印本四三七九頁︶︒

法           お よそ︑俸禄なしで仕えているものは禄のない人として処断する︒貢監生員等は既に月俸がないし︑挙人進士はなおまだ職を受 杯  けていないので︑・ずれも禄があるとして処断する・とはできな・︒

物  倒 乾隆五十四年の説帖に次のようにある︒︵刑案匪覧巻五〇︑刑律官吏受財条﹁直隷司査律載官吏受財柾法賊四十五両⁝乾隆五十四年 衡  説帖﹂︶︒

          ⁝この事案は衙役の李明法が命令を受けて犯人を拘束していた︒王協君が賄賂を贈って官に引き渡さないように求めた︒その犯 巡  人は九拍京銭言三吊︑銀で四+五両を受けと・た・は︑もとより柾法である︒ただ︑調べ・と王協君・請託した賊は︑恐嚇や索

位         詐 したのとは異なる︒柾法として賊を計算して処断した︒その犯人は無禄人であるので︑律によって減等される︒その督撫が李明 醐  法を二重の上から馨して徒・処したのは律に昭ぢしてなしたものと・え・︒法を知り法を犯すとき平人に照し三等を加えて

吏      治

罪 する例は︑専ら文を舞い不正をなす書吏を指していっている︒今︑李明法は衙役で賊を犯したのであって︑加等できない︒そ

館   の通り回答するのがよい︒

け  ⑭ 大清律例巻三一︑刑律風憲官吏犯賊条︒

於 に     ㈲

  同右書同巻同律同条輯註︵影印本四四五七頁︶︒

舷 幽 同右書同巻同律同条輯註︵影印本四四五七頁︶︒

代    

㈲  本稿七八頁︒

清 ㈱本稿同右頁・

1  49 嘉慶十↓年の改正を経ている条例は︑事によって財物を受けたときも︑不柾法であれば︑一定の期間の内に追徴に応じれば刑を減 9         免 するとする︒︵大清律例巻三一︑刑律官吏受財条条例=二︶︒例えば︑成案彙編巻二二︑六十頁a﹁限内完賊免罪﹂︒全部返還しても

(21)

        減 刑 していない例として︑収賄して上奏したときや︵同右書同巻五七頁a﹁言官受賊全完不准減等﹂︑苗蛮を騒擾したようなとき︵同   9   右書同巻五八頁a﹁限内完賊不寛免罪係因騒擾苗蛮非通行定例引用錯誤議処﹂︶がある︒

    60   大 清律例巻三一︑刑律官吏受財条輯註︵影印本四三七六頁︶︒

   

60  刑案薩覧巻五〇︑刑律官吏受財条﹁山東司 奏已革西城御史粛鎭聴従賄嘱⁝嘉慶二十二年案﹂︒

   

  62 続増刑案匪覧巻一三︑刑律官吏受財条﹁安徽司 審擬坊吏張品三因賀維城其呈報修理鋪房⁝道光十三年案﹂︒

      倒

  拙稿﹁清代法に於ける官の活動をめぐる不法からの救済﹂︵星薬科大学一般教育論集一一輯︶︵以下拙稿と記す︶︒

    ⑭   公 務 として科敷するのは公務を理由とするので︑必ずこれを公然となし陵虐の勢いあるを免れない︒公務ではなくて科敷すれば︑

     仮

託 するものはない︒必ず隠れてこれをなし敢えて威迫することはない︒一は法を悪用して勝手なことをし︑↓は賊を貧って法を犯

     

  している︒法を犯すときは法があり︑法を悪用するときは法はないがしろになっている︒これが柾法不柾法の分かれる原因である︒

   

   ︷大清律例巻三一︑刑律因公科敏条輯註︵影印本四四六五頁︶︸︒

      ⑮

  同右書同巻同律在官求索借貸人財物条輯註︵影印本四四三三頁︶︒

     

66  本稿八六頁︒

      ⑰  拙稿七六頁︒

      働  江南︑江西︑湖広地方︑および︑黄運両河で公事があれば︑その督撫が実情を調べて上奏して決めるのであって︑勝手に商損を賦

        課 してはならないという条例がある︒︵大清律例巻三一︑刑律因公科敏条条例二︶︒

      働  撫再政略巻五︑三三頁a﹁厳禁私派﹂︒

      60   清

代 を通して地丁税には付加税が存在した︒その徴収は禁止されたこともあるし︑公認されたこともあるという︒︷﹃臨時台湾旧慣

        調 査 会第一部報告書 清国行政法巻六﹄︵大正二年︑汲古書院︑一九七二年︶二二頁以下︸︒

      69

  山本進﹁清代後期直隷・山東における差樒と随規﹂︵史林巻七九の三︶︒

      62

  清初より︑租税制度は地丁併徴と呼ばれる土地税への一元化が進んだ︒しかし︑時により地方によっては人をとらえて賦課する差

     

  福が残存している︒差径はもともと人民を徴用するものであり︑それを金銭で代えることを認めることもあった︒︵成案質疑巻二三︑

        四 頁a因公科敏条﹁指公科敏﹂︶︒

          また︑差緒は特に州県の行政上の個別の経費を調達するためになす傾向が強い︒こういう地方財政制度の特徴は︑現代福祉国家と

     

  比べて官の活動分野が極めて限られていたことと関係するのであろう︒

     

63  ﹁因官給例価不敷・該村向有鴛貼京銭一吊﹂︵官の給付する例価が足りないのでその村は今まで京銭一吊を援助していた︒︶︵刑案匪

        覧 巻

五 〇︑刑律因公科敏条﹁直督 奏郷長梁喜承辮逓犯車差⁝嘉慶二十四年案﹂︶︒

(22)

     脚   書 院 を造ったり衙署を修理する経費のたあに課したり︑︵本稿八七頁︶城垣を修理するために課したり︑︵本稿同頁︶軍費のたあに

    

課 したりする︒︵成案質疑巻二三︑二頁a因公科敏条﹁食劣不職﹂︶︒

      ㈲ 成 案彙編巻二二︑六一頁a﹁官吏坐賊還職案﹂︒

     

㈹  大清律例巻三一︑刑律因公科敏条︒

     

㈹  同右書同巻同律坐賊致罪条︒

罪   

從  坐賊致罪条は行為の具体的内容に着眼するのではなく︑刑罰の重さを決める基準して働く規定である︒︷﹁諸賊皆有正名・而此独無

括  名者・以51実賊・而坐以讃也・坐臓是論罪之法・非犯賊之名﹂︵諸・の賊には皆正式の名前があるけれども︑・れだけは名がない︒

受       実 賊 で はないので︑臓で処罰するとする︒賊で処罰するというのは︑刑罰の重さを決める方法であって︑賊の犯罪の名前ではな 諏       い︒︶︸︒︷同右書同巻同律坐賊致罪条輯註︵影印本四四〇八頁︶︸︒

法     69   同右書同巻同律坐臓致罪条総註︒ 杯 伽 同右書同喬律同条輯註︵影印本四四〇七頁︶・ 醐 ㈹ り蔓鰭鯖霞ぽ舞鞄鷲舗鰭舗惑鷲髄頒⇔躍繍舞竪縫鑓霞歳 緬 ぱ 謬唖義鱒纏餐軽ぎ⇔ぼ索㌶舗註竃霧ぼ韓舗霞罷ゴ竃闘酷

雌  条総註︶︒

が    

⑫  官吏の地位を巡る犯罪は︑私欲を満たす目的があったか否かを基準にしてそれのある私罪とそれのない公罪に分かれる︒職権を濫

吏        用して取り立てる罪もその財物を自分のものにしなければ公罪となり︑自分のものにすると私罪になる︒ 官 る  ⑬ 新増刑案匪覧巻一三︑刑律坐賊致罪条﹁東撫 奏前任臨胸県知県農家正被参各款訊明定擬一案⁝光緒七年案﹂︒ ナ 抱     個   大 清 律例巻三一︑刑律因公科敏条総註︒

に   ㈹ 本稿七七頁︒ 舷 ㈱ 本稿九吾︒

代 仰 新 増 刑 案匪覧巻=二︑刑律因公科敏条﹁黙撫奏署永従県事呉延尭籍辮理善後為名⁝光緒三年案﹂︒ 清⑱橋の改修のたあに生監が勝手に銭を集め左嘉慶+四年の事案がある・︵刑案讐巻五〇・刑律因公科敏条﹁北墾外結徒犯内革圭

3   邦周等修建考棚按糧派費一案⁝嘉慶十四年説貼﹂︶︒ 9             ⁝査するに︑考棚を改修するべきかどうかは︑地方官がその上司に上申して調査してはっきりさせ︑例に照らして処断するべき

(23)

          で あって︑断じて地方の紳士が勝手に銭を集めて工事するべき理はない︒⁝その犯人たちが生監をたのんで地方の公事をかりて郷   9    村に賦課して自分の懐を肥やした事情ははっきりしている︒もし︑事実ならばそれぞれ自分に入れた賊をみて柾法の罪で処罰す

     る︒⁝

第二節 やむなく差し出す財物を収受する罪

  監 臨の官吏等が他人の財物をその意思をおさえて収受して自分のものとする犯罪であって︑官吏の職責に背くと共に︑

財 産 秩

序 を乱す︒監臨の官吏であるという優越的な地位を背景とするだけで格別の働きかけをしていないものから ︵﹁挟

勢﹂︑﹁椅勢﹂︶その地位を背景に財物の給付を要求するとき︑さらに進んで恐嚇︑索詐が伴うものまである︒具体的な職務

に 関係して収受するときもあるし︑具体的な職務に関係しないこともある︒

  請 託 が あれば収賄罪となるので︑この罪は職務に関係した請託がないときに成立する︒ただ︑この請託の存否は実質的

に 評 価 するのであって︑外形上︑請託があっても収賄罪にならないこともある︒次の事案は恐嚇があったと認定しており       ② 収 賄としない︒

  ⁝既にやめさせた佐領の徳清は兵を連れて匪賊を捕らえ郵玉を鎖で捕らえ偽って金匪と通じているといった︒郵玉は恐れて干振海に

間に入ってもらって凌玉にたのんで徳清に市銭九十九吊を交付し徳清は自分で受けとった︒賊を計算すると既に四十五両になる︒問い

質 すと自分のものにしている︒査するに︑郵玉︑屯周は徳清が管轄している土地にいる︒実際︑監臨と違わない︒既にやめさせた佐領

の 徳清は⁝監臨が所部を恐嚇して財物を取り立てたとして柾法で処罰する︒⁝

       ③   この罪の主体は収賄罪と同じく︑監臨の官吏︑里老︑応捕のような豪強の人等のほか︑監臨の官吏の家人も入る︒任を       ㈲ 退いた後のものも含む︒

(24)

罪   官 員となる資格をもっていたり︑あるいは︑官員として実務に就いているだけでは足りない︒部内︑および︑出使人と       ㈲ 当該地方の人民や管轄の官吏との間に成立する︒

客体は通例は財物であるけれども︑時に物以外の利益であることもある︒       ⑥

刑 律 在 官 求 索 借 貸 人 財物条はこの罪を規定する︒一般的な規定と具体的な行為を記す規定を無造作に並べて記してい

行 る︒

受 醐  およそ・監臨の官吏が勢いを挟んで・および・豪強の人が所部内の財物を求索・借貸したら・索借の賊を計算して不柱法に準じて処 雛 薯 誘誘鮭鯖㌶籠聖唖聞礼竃聾警磨飢い鵠藷法顯謹肌矯竃転ぽ霞罪

醐 主 に 返 す︒・.・もし︑所部内で物を買.て直ちに支払いをせず︑および︑衣服︑器玩の類いを借り三月擢.ても返・なければ︑賊に

て     坐 して処罰する︒⁝もし︑勝手に所部内の馬牛駝顧魑︑および︑車船畷磨店舎の類いを借用したとき︑それぞれ日数を調べ雇賃銭を計 緬 籠 ㌍ 離 ㌦靴諜品甥ギ籠贈﹃携義舗詩誘又ぽ銚螂竪澗辞註杜齪惣鰐ジ雑総鑓

㈱ ぎ 雛 鞭 議 鍾 縫 殼 鷲露舗敷麟詩庄詩㌔筥講㌢56工懸騨競糞肚壕感鰭︑

腋 求 索

借 貸の類いはそれぞれ官にあ.たときの三等を減じる︒

掲 脚    この罪の一般的行為類型は︑監臨の官吏が求索したり借貸することであり︑与えた威圧が強いときと弱いときは修正し

に 法 たり︑あるいは調整する︒

刑 齢

求 索とは請託を受ける・︑となく勢いを背景に財物を収受する・︑とであり︑︷天無事而与取.其人畏而与之.日求索.本     不

柾 法・但悪其用強・乃准柱法・非真柱法也﹂︵人が事がなくして授受する︒その人が畏怖して与えるのを求索という︒も

5       ー ザ       

    ともと不柾法であって︑ただ︑その無理やりにすれば憎んで柾法を準用するけれども︑本当の柱法ではない︒︶︸借貸とは

(25)

96 長 期に借用して返還に応じないことである︒もっとも︑求索や借貸の概念を厳密に境界付けることは特に与える畏怖の弱

い ときに極めて難しい︒       ⑨

  求索かどうかは具体的な事案に沿って実質的に評価する︒収受した財物を使って職務行為を行う意思であっても︑求索

       ⑩ と評価することがある︒次の事案は官員が六十両を取り立てたときに在官求索借貸人財物条に沿うべきであるとする︒

  順 宇 の 上 奏︒宛平県県丞の徐振鑛は賀印を借りて名目として銀銭を受けとり︑衙署を補修する費用にしようとした︒ただ︑その県丞

が 招待して金一封をもらうのが先にある︒自分のものにしていないとして論じるのはよくない︒査するに︑招待して金一封を求めるこ

とは︑公によって科敏することと同じではない︒徐振鑛を官吏が財物を公務によらずに科敏して自分のものにしたとき︑賊を計算して

不 柾法として処罰する律に照らして不柱法の賊を折半して処罰する︒六十両は杖七十徒一年半︒

  個 人 的に所有している物を部民に高く売り付けたり︑部民の物を安く買いとって利益を得る行為も優越する地位を背景        佃

に しており︑対等な契約の形をとっているけれども求索の特別の態様となる︒

  官の活動の対価︑ないし経費として収受する行為であっても不法に威圧してやむなく差し出させていれば求索したこと

に なる︒清代官僚制度に伴う宿弊といわれ人民を苦しめたいわゆる随規はこれに当たる︒求索を禁止する法や上級官衙か       02 らの通達が少なからず存在することは︑随規を取る行為をなかなか根絶できなかったことを窺わせる︒このような収受が

なされるのは官が活動するために必要な経費を徴収することが官の行為として確立していないこと︑いいかえれば︑近代

的な官僚組織とは異なり︑職務上の金銭や資材と私的な財産をはっきり分離しないことがある官僚行政の仕組みとも関係

する︒名目上は活動の経費として収受していても活動の対価としての収受と厳密に区別することが困難な場合も多い︒乾       ⑬⑭ 隆

初 年の山西省の次の事案はこのような収受の事例である︒

:山西巡撫の石が上奏していう︒査するに︑既に懲戒した薦譜は文武の生童張問交︑荊得梯等から証明書の費用三十八両八銭三分一

参照

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