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る教育効果の考察 : 「社会調査情報処理演習I 」 の授業の実践から

著者 白坂 正太

雑誌名 久留米大学コンピュータジャーナル

巻 29

ページ 14‑20

発行年 2015‑03‑01

URL http://hdl.handle.net/11316/520

(2)

14 要旨要旨

要旨要旨::::

本研究の目的は,コンピューターを通したアクティブラーニングによって得られる教育効果を,久留 米大学の「社会調査情報処理演習Ⅰ」の授業を通して考察することである。研究対象の「社会調査情報 処理演習Ⅰ」では,コンピューターでの処理を,グループワークを中心とした授業によって学生に身に つけさせてきた。この授業の分析では,「グループの作成による教育効果」「グループによる情報処理演 習による教育効果」「グループでのアンケート作成による教育効果」「グループでのアンケート集計処理 による教育効果」「発表による教育効果」という5つの分析視点を用いて,アクティブラーニングによる 教育効果について考察を行っていった。

1. はじめに はじめに はじめに はじめに

近年の情報化社会では,コンピューターによって,日常に必要な情報を得る機会が増えて きている。そして当然,情報を得るだけではなく,得られた情報をコンピューターによって,

処理する機会も増えつつある。大学教育でも,コンピューターの操作やソフトウェアの使い方 などを身に着けさせる科目も増えつつある。しかし,現在の大学入学者の主要世代はいわゆる デジタルネイティブ世代で,高校での情報科目の導入もあり,上述したような基礎的なコンピ ューターリテラシー教育は補習的な意味で捉えられている

(

遠山ほか

2012)

このようにコンピューターの基本的な操作を通した学習機会は,補習的に捉えられている 現状であるが,しかしながら学生によって,格差があることも否めない。情報化が進む社会だ からこそ,学生に基礎的なコンピューターによる処理能力を身に着けさせることは,大学教育 において重要なことであると考えられる。

こうしたコンピューター操作における能力形成を考える場合,教授者主体の授業形式によ ってコンピューター操作能力が身につくかどうかは,甚だ疑問である。学生が能動的に取り組 むことで,はじめて学生自身に能力が形成されるのではないだろうか。そして,そうした授業 展開がなされた場合,教授者側が考えること以上のことを学生が身につけるのではないかとも 考えられる。

そこで,本稿では,筆者が担当する久留米大学文学部情報社会学科における「社会調査情 報処理演習Ⅰ」の授業を事例に,コンピューターを通したアクティブラーニングによって,ど のような教育効果が考えられるのかを考察を行う。

2. 授業の概要 授業の概要 授業の概要 授業の概要

本稿での分析対象である,「社会調査情報処理演習Ⅰ」の授業内容についてここで述べておく。「社会 調査情報処理演習Ⅰ」の目的は,大きく二つに分けることができる。一つ目は,社会調査を行うにあた ってのテーマ設定および仮説に則った調査票の作成が可能となることである。二つ目は,調査によって

コンピューターを使ったアクティブラーニングによる

教育効果の考察: 「社会調査情報処理演習Ⅰ」の授業の実践から

Study of active-learning for learning outcomes by using computer : Practice of Social survey-information Analysis Ⅰ

白坂正太

Shouta Shirasaka

†久留米大学文学部 非常勤講師

† Part-time lecturer Faculty of literature,Kurume University

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- 15 -

得られた結果を,コンピューターを使って処理できるようになることである。その際,使用するのは,

マイクロソフトのExcel2013である。そのため,本授業では,学生自身が主体的に調査票を作成し,そ こで得られたデータを,コンピューターを用いて処理することを学生自身が行える授業設定を行ってい る。

こうした大きな二つの目的を達成するために,「社会調査情報処理演習Ⅰ」では,次のような計画の基,

授業を行っていった。

表1 「社会調査情報処理演習Ⅰ」の授業の流れ

第1回 ガイダンス

第2回 具体例としてのアンケート

第3回 オリエンテーション,グループ分け 第4回 具体例のアンケートを用いての演習① 第5回 具体例のアンケートを用いての演習② 第6回 具体例のアンケートを用いての演習③ 第7回 各グループのテーマ設定

第8回 テーマにあわせた質問項目の設定(1) 第9回 質問項目の設定(2)とアンケートの作成 第10回 アンケートの配布と回収

第11回 アンケートの分析①,発表資料作成 第12回 アンケートの分析②,発表資料作成 第13回 アンケート分析③,発表資料作成 第14回 グループ発表会

第15回 課題レポートの作成

第1回では,「社会調査情報処理演習Ⅰ」の授業の流れを説明していった。第2回目では,コンピュー ターによる情報処理の方法を説明するためのデータを集めるために,受講生へのアンケートを実施した。

本授業では,ここで得られたデータを基に,コンピューターを用いて,どのようにデータを処理してい くのかを説明していった。第3回目の授業では,アクティブラーニングを行うための,グループ分けを 行っていった。本授業では,学生自身が主体となって,アンケート調査を実施するために,学生を興味 関心別に分ける作業が必要である。そのため,ワールドカフェを行い,学生自身が何に興味があるのか を把握できるよう配慮した。

第1回目から第3回目までは,「社会調査情報処理演習Ⅰ」のアクティブラーニングを行ううえでの下 準備といえる。第4回目からは,コンピューターを用いた情報処理の技法を身につける過程となる。本 授業では,エクセルを用いて,アンケートで得られたデータを加工することができるようになることが 一つの大きな目的である。特に,本授業では,単純集計,クロス集計,集計結果のグラフの作成までを 視野に,授業を展開していった。ここまでの過程を第4回目から第6回目までで,身につけさせるよう 展開している。また,統計に関する用語等に関しては,使用する処理方法に関連するものをその都度説 明していくようにし,具体的な作業と関連させて理解できるよう配慮した。

第7回目から第13回目までは,グループごとにアンケートを作成し,分析を行う時間である。具体的

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16

な分析については後述するが,ここでの学生の取り組みを,アクティブラーニングの成果として捉え,

どういった教育効果があったのか考察を行う。また,ここで行ったアンケートは,学生同士に相互でア ンケートを行ったために,アンケートの分析としては,十分な数が得られたとは言い難いが,本授業で の目的は,調査票の作成とアンケート結果の分析過程における,コンピューター処理にあることをここ で改めて確認しておく。

そして,第14回目では,コンピューターでの分析結果について,学生の発表会を行った。また,発表 会では,マイクロソフトのpower point2013を使用し,プレゼンテーションを行わせた。

第15回では,これまでの授業を振り返り,これまでのアンケート結果のまとめを個人単位で行ったレ ポートを課した。これまでグループワークで行ってきた分析結果を,個々でまとめさせたものを最終課 題とした。

3. 授業実践とアクティブラーニング 授業実践とアクティブラーニング 授業実践とアクティブラーニング 授業実践とアクティブラーニング

それではここで,アクティブラーニングとして本授業をどのように分析していくのか述べて おく。アクティブラーニングは,学習者中心の教授法であり,学生の能動的な学習を引き出し ていくために,グループワークやディスカッションなどを取り入れ,学生自身が考えて自身の 学びを作り上げていくことを目的としている学習方法である。アクティブラーニングへの指摘 として,笠原ほか

(2008)は,アクティブラーニングにおいて,学習活動に「面白さ」や「興味

深さ」以外の動機づけと根拠がなければ,学生をハードな学習に向かわすことはできないと述 べ,評価基準を明確とすることで,学生を能動的な学習に導くことに成功した例を示している。

つまり,アクティブラーニングには,学生が能動的に学習しやすくするきっかけづくりのほか に,学生が明確な評価基準を知ることで,その評価に応じた行動を,主体的にとれるようにな っていくことを促進する取り組みでもあるといえる。また,南ほか

(2005)

は,能動的な学習と 受動的な学習を区別する枠組みを用いて,学生自身の能動的な学習体験を,他者に伝えていく 過程について言及している。

本研究では,こうした研究から,次のようなアクティブラーニング分析の視点を示す。先に 示した先行研究のように,アクティブラーニングでは,学生の能動的な学習を引き出すような 授業展開と学習の中で得られた学習体験を他者に伝えていく過程を取り入れることで得られ た知を定着させていくこと等が重要な視点となる。そこで,以下の

2

つの視点で,「社会調査 情報処理演習Ⅰ」の授業がアクティブラーニングとして,どのような教育機能を果たしたのか 考察を行う。

まず,一つ目は,学生の能動的な学習を引き出す点として,本授業でのグループ学習の点に 着目する。先に述べたように,本授業では,学生の興味関心によって,グループを作成し,そ のグループでアンケート調査の質問紙を作成させた。そこで,グループによる学習がどのよう な教育機能を果たしたのか,考察を行うことを一つ目の視点とする。

二つ目は,得られた知を他者に伝えていく過程に着目する。本授業では,グループでの活動 がメインとなる。そのため,グループ内での学生同士で,コンピューターの処理を教えあうこ とが期待される。そこで,コンピューターを通した学生同士のやりとりの中で,どのような教 育効果があるのか考察することを二つ目の視点とすることで,本研究では,アクティブラーニ ングによる教育効果を考察していく。

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- 17 -

4. 分析の方法 分析の方法 分析の方法 分析の方法

本研究での分析方法は,次の二つの手順で行った。第一に,授業後毎回実施している学生へ の授業の感想から,教育効果と考えられる内容を抽出し,それをセグメント化(基本的要素に 分解

)

していった。

第二に,各セグメントにコード

(小見出し)を割り振り,KJ

法を用いて,それらを分類整理 し,コンピューターを通したアクティブラーニングの教育効果について考察を行っていった。

5. グループの作成による教育効果 グループの作成による教育効果 グループの作成による教育効果 グループの作成による教育効果

グループによる学習による授業を展開する上での注意点として,グループの作成には,配慮 しなければならない。授業を受講している学生にもよるが,すべての学生が,他者とのコミュ ニケーションを得意としているわけではない。当然,苦手としている学生も存在する。グルー プによるアクティブラーニングを行う際には,この点に注意する必要があるために,スムーズ なグループ活動を展開させるため,次の二つの取り組みを行った。

一つ目は,グループメンバー同士の交流を図る目的のアイスブレイクである。グループメン バー間での議論がスムーズに行われなければ,学生の能動的な学習も期待できない。そこで,

グループの学生同士がお互いを知ることができるアイスブレイクを企画した。こうした取り組 みに対して,学生から「グループでうちとける時など効果的だと思った」や「初対面の人たち ばかりだったので,はじめは少し緊張したけど,ワークという作業を通して,話しをする良い キッカケになった」等,グループでの活動をスムーズにしていくうえで,効果的であったと言 える。

二つ目は,グループでの議論をまとめる際の方法を提示した。本授業では,グループで,ア ンケート調査のテーマを設定することを課題とした。そのため,グループでの議論が必要不可 欠である。そこで,議論の際の方法として「ブレーン・ストーミング」「フィッシュボーン・

ダイアグラム」「KJ法」の説明を行った。実際にグループでの議論で使用した感想として,「ブ レーン・ストーミングで次々に意見が出て来てよかった」や「議論を深めるという意味で,と ても有効的である」等,こうした方法が上手く機能していることがうかがえた。しかし,「班 でだれもはなしをしようとしない」等の意見もあり,一つ目のアイスブレイクによって,関係 性を深めることの必要性を改めて感じるようなコメントを行っている学生もいた。先に述べた ように,グループによるアクティブラーニングがうまく展開されるためには,グループメンバ ー間での議論がスムーズに行われなければ,学生の能動的な学習も期待できないわけであるが,

その際他者とのコミュニケーションを苦手としている学生も存在する。こうした点において,

アクティブラーニングを行う際は,コミュニケーションを苦手としている学生への教員のフォ ローが課題となることも確認された。また,テーマ設定の際に,学生から新しい方法の提示も あった。

KJ

法を用いて,類型化したものから,テーマを決める際に,多数決の原理を用いて,

その分類結果から,自分たちのグループの意見を見つけ出していく方法を授業の中で生み出し ていく様子が見られた。こうした新しい方法に対して,「多くの選択肢の中で一つにしぼれた のでよかった」や「それぞれの意見が飛び交って,一つの題を導くことができた」など,自分 たちの方法を評価する意見や,「最初は雰囲気が良くなかったけど,やるうちに,どんどん盛 り上がって,テーマを決めることができた」等のグループ内での活動を円滑にする上で機能し

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18 ていることも考察することができたといえる。

6. グループによる情報処理演習による教育効果 グループによる情報処理演習による教育効果 グループによる情報処理演習による教育効果 グループによる情報処理演習による教育効果

本授業では,上述したように,コンピューターを用いた情報処理の技法を身につける過程を 行った後,グループでのアンケートをまとめる作業を行わせた。この過程で期待できるのが,

学生同士の教え合いである。授業の中で,コンピューターの操作方法の説明はするが,当然,

学生によって個人差が出る。すぐに,説明された方法を用いて,コンピューターによるデータ の処理を行える学生もいるが,すぐにはできない学生もいる。本授業では,担当である授業担 当である筆者が,学生のコンピューターによる進度状況のチェックを兼ねながら,学生に直接 指導を行っていったが,その中で,グループに教えることができそうな学生がいた場合は,教 え合いを促進させるような声掛けを行っていった。

結果として,学生同士で教え合う様子や,他の学生に比べて,コンピューター操作に不慣れ な学生を,グループ内の学生が手伝う様子もみられた。特に,学生によっては,欠席していて,

前回の授業を受けていない者に対して,グループメンバーで互いにフォローし合っている様子 もみられた。こうした取り組みの結果,欠席が多かった学生も,「グループメンバーに迷惑を かけるわけにはいかない」といったような言葉をかけることもあり,グループでの関係性をよ くするうえで,機能していたと考えられる。このような学生同士の関わり合いから,グループ でのコンピューター操作を通すことによって,学生の能動的な学習を引き出す可能性が示唆さ れたといえる。

7. グループでのアンケート作成による教育効果 グループでのアンケート作成による教育効果 グループでのアンケート作成による教育効果 グループでのアンケート作成による教育効果

それではここで,「社会調査情報処理演習Ⅰ」のメインの一つでもあるといえるグループの アンケート作成過程でどのような教育効果が得られたのか考察を行っていく。

まず,アンケートの作成からアクティブラーニングという視点で考察を行う。質問項目をグ ループで考えるという過程では,「質問項目を考えるにはいろんな考え方が必要である」や「い ろいろな意見を出すことができて,いい質問ができたのではないかと思う」など,打グループ でたくさんの意見を出して,そこから考えをまとめていくことに学生が気づいていく過程がみ られた。この気付きは,授業内でブレーン・ストーミングついて説明した内容を,授業の実践 の中で,さらに深めていたことが考えられる。ブレーン・ストーミングの説明直後では,こう した気付きに関しては,学生の感想として,できてきていなかったものが,実際の実践の後で は,多くみられた。

また,「たくさん話すことで,色々とみえてくることがあって楽しみ」や「大きな問いにた どり着くためにまた話しあっていきたい」など,その後のグループワークの展開を期待する感 想を示した学生も存在した。こうした感想から考察できることとしては,グループでアンケー トを作成することで得られた達成感から,学習を楽しむようになり,それが学生の能動的な学 習へとつながっていくと考えられる。

対して,グループでの話し合いながら,テーマや質問項目を決めることに難しさを感じてい た学生も存在する。「質問の意図が少し違っていることがあり,お互いの意識の共有をするの が難しかった」といった感想もあり,質問項目ができていたとしても,グループ内での共有が

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- 19 -

しっかりとなされていなければ,その後のグループでの学習に支障をきたすことにもつながり 得る。しかし,今回の授業ではその後の学生の感想に「しっかりと話し合って最終的には一つ の意見にまとめることができたので良かった」とつなげられており,意識の共有ができていな かったことで,その後のグループでの活動に支障をきたすということはなかったようである。

しかし,こうした一連のグループでの活動から,「しっかりと話し合うことができれば,問題 は解決できる」といった学生の気付きもあり,学生の自身にもつながっていることが考えられ る。

8. グループでのアンケート集計処理による教育効果 グループでのアンケート集計処理による教育効果 グループでのアンケート集計処理による教育効果 グループでのアンケート集計処理による教育効果

アンケートの作成後は,それらを「社会調査情報処理演習Ⅰ」を受講している学生同士で配 布し合って,結果を回収させた。その後,グループによって,コンピューターによる集計と処 理を行い,授業終盤での発表会の準備を行わせた。そこで,アンケート結果の処理をグループ で行うわけだが,コンピューターの操作は基本的に一人で行うものである。そのため,グルー プで作業を分担するわけだが,この割り振り方は各グループに任せている。そこで,この節で は,「社会調査情報処理演習Ⅰ」のもう一つのメインともいえるコンピューターの情報処理過 程をグループで行うことでどのような教育効果が得られたのか考察を行う。

アンケートの集計に対する感想として目立っていたものが,「エクセルの操作方法を忘れて いた」ということが挙げられていた。その中では,「忘れていたせいで,グループの足を引っ 張ってしまったと思う」と回答している学生も存在し,操作ができていないことで,グループ へ影響を与えてしまったことを心配していた。これまで述べてき通り,グループを作成した学 習では,各人がグループメンバーの学習に影響を与えることを学生自身も自覚していることが 考察されてきた。そのため,学生がそこでの学びや他の学生への影響に対して,何か心配をし ている場合は,教員のフォローが必要であると考えられる。しかしながら,そうした課題を学 生自身が,グループ活動の中で,自分の力のみで乗り越えていくことも必要であるために,学 生一人一人の様子を見ながら,どのようなフォローを行っていくのかを検討していくことも求 められる。こうした学生の学びへの不安から,考察できることは,アクティブラーニングは学 生の能動的な学習を引き出すものであるが,同時に学びへの不安なども起こり得ることが想定 されるため,教員側がそうした際にどういったフォローを行うことができるのかを十分に考え ておくことが必要であると考えられる。本授業では,授業で使用した資料を

e-learning

にて,

公開していたので,「やり方がわからなくなったけれど,前のノートを見るとすぐできるよう になった」と答える学生も存在し,自身でこうした課題を乗り越えていった学生もみられた。

グループで作業している分,互いに励まし合い,学生が能動的な活動としていることが見て 取れる感想もあった。「一人でやっているのではなく,班のみんなで一つのものを作成してい るので,大変なところもあるが,まとまってやれている」との感想もあった。こうした感想か らは,班で協力して,アンケート結果の処理をしている姿が見て取れる。

また,「しっかりまとめて発表できるように頑張りたい」や「みんなと話し合って,すばら しい発表をしていきたい」など,その後の発表に向けての自身の心構えを記述している学生も 存在し,目標を明確にした意識の高さが見て取れたものもあった。

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20

9. 発表による教育効果 発表による教育効果 発表による教育効果 発表による教育効果

それでは,アンケートの集計結果を基に,発表をすることでの教育効果について考察を行っ ていく。発表は,上述した通り,マイクロソフトの

power point

を使用し,授業の中でグルー プごとにプレゼンテーションをする場を設定した。

発表後の感想では,他のグループの発表を聞いて,「発表の内容をもう少し練るべきであっ た」や「発表の練習をしておくべきだった」など,グループでの準備不足について,述べてい るものが多数存在した。こうした感想からは,自分たちのグループでの活動を反省し,他のグ ループの発表を聞くことで,さらによくする視点を得ていることが考察できる。また,反省点 ではなく,「他の班はパワーポイントの機能を活用していて,見やすいものとなっていた」や

「文字が簡潔にまとめられていたものを見習いたい」など,具体的に自分たちのグループのど の部分を改善していけばよいのかについて言及したものもあり,発表を行うことで,自分たち のグループでの学びを振り返り,さらに深めていく学生の姿がみられた。

10. おわりに おわりに おわりに おわりに

本研究では,研究対象の「社会調査情報処理演習Ⅰ」のコンピューターを用いたアクティ ブラーニングの過程に着目し,その教育効果についての考察を行ってきた。本授業では,学生 のグループ活動での中に,学びの可能性を見出していたため,その土台作りからの考察を行っ た。そのため,考察内容は,グループを作り,学生の能動的な学習を引き出すことに,アクテ ィブラーニングがどのように機能しているかが考察された。また,学生同士の学びでは,授業 で得られたコンピューター操作技術を,学生同士で教え合う姿がみられ,本研究の視点でもあ る,コンピューターを通した学生同士のやりとりの中での教育効果が考察された。発表後の感 想からも,学生から,「もっとこうしていればよかった」などの意見も得られ,グループを作 成し,グループメンバーで互いに教え合える環境をつくることによって,学生の能動的な学習 機会をつくるうえで大きく機能していたのではないかと考察された。

このよう本研究では,「社会調査情報処理演習Ⅰ」でのコンピューターを通したアクティブ ラーニングの教育機能について,一定の考察が得られたといえる。しかし,今回得られた考察 では,実際の授業での学生たちの様子を深く考察していくということはしていないため,仮説 の生成にとどまっているともいえる。今回得られた結果を基に,アクティブラーニング時の学 生の様子を深く観察し,その都度学生へのインタビューを実施するなどして,今回得られた仮 説を検証していくことが今後の課題といえる。

参考文献 参考文献 参考文献 参考文献

[6]

遠山緑生・白鳥成彦・大久保成・木幡敬史・和泉徹彦・田尻慎太郎,デジタルネイティブ 世代に対する

ICT

リテラシー教育科目に関する考察,嘉悦大学研究論集第

54

巻第

2

号通 巻

100

, pp. 67-88, 2012

[7]

南俊朗・孫礴,アクティブラーニング授業への試み

:

情報発信による積極的な授業参加 スタイルの確立を目指して,九州情報大学研究論集第

7

巻第

1

号,pp.1-22,2005

[8]

笠原千絵・山本秀樹・加藤善子,講義科目でアクティブ・ラーニングを可能にする基本構造 : 社 会福祉専門職教育関連科目における実践から,関西国際大学研究紀要第9号,

2008

,pp13-23

参照

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