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1.調 査 資料 の整理

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(1)

第1節

 

調査資料の整理・研究

第 4章   調査資料 の整理 ・研究 および公 開・活用

第 1節   調査資料の整理 ・研究

1.調 査 資料 の整理

2003年 度 において調査資料の整理で 中心 となったのは、津 島岡大遺弥第15次調査 と第17・ 22次 調査 、そ して第 27次 調査 の資料 である。いずれ も、特 に縄文時代後期 の遺構 ,遺物 が注 目され た調査 地点である。

津 島岡大遺跡 第15次調査 では、生業 に関す る遺構 として貯蔵穴か ら水 田へ の推移 を、縄文時代後期か ら弥生時 代前期 に向けて提 えることがで きた。その中で河道部 と微高地上 の土地利用状況や変化 を分析 で きた点 は大 きな 成果である。第27次 調査 では、縄文時代後期 における微高地上 の利用状況 を確認 し、その中で、炉 の存在 に注 目

した分析 を行 つた。

遺物面では、 こう した

4地

点 の調査 か らは縄文 時代後期前半 を中心 とした遺物が豊富 に出土 してお り、中期末

〜中津式、あるいは福 田

K2式

な どの土器編年 を考 える上で、貴重 な資料 を提供す ることとなった。

以上 の分析 ・整理作業の結果 を受 けて、2003年 度 に刊行 した発掘調査報告書 は、『津 島岡大遺跡13」 と F津 島 岡大遺跡14』 である。年度前半期 に刊行 した前者 は、2001〜 2002年 度 に発掘調査 を実施 した津 島岡大遺跡第27次 調査 の報告書であ り、縄文時代後期 の炉の形態 と機能 についての考察 を行 った。年度末 に刊行 した後者 は、1995

〜1996年 度 に調査 した津 島岡大 第15次 調査 の報告書であ り、縄文時代 の貯蔵穴 と弥生時代 の水 田に注 目 した考察 と出土地点別の石器組成か ら土地不1用を考 えた考察 を掲載 した。いずれ も、縄文時代 の集落遺跡 を して、遺構 ・ 遺物 ともに良好 な資料 を報告す ることがで きた。

自然科学 的分析 で は、鉄 津類 (津島岡大遺跡 第10次 調査 ・第19次調査 出土

)の

成分分析 と棒 火矢 (同遺跡 第12 次調査 出土

)に

使用 された火薬 の成分分析 を行 つた。鉄津 に関 して は川鉄 テ クノ リサ ーチ株式会社 に伝頼 し、棒 火矢 の火薬 に関 しては、岡山大学理学部地球科学科松 田敏彦助教授 にご助力頂 いた。その他 に、津 島岡大遺跡 に おいて弥生時代早期 〜前期 の鍵層 となっている「黒色土

Jの

形成原 因 を解 明す る試 み として、土壌分析 を行 い、

岡山理科大学の白石純氏 にご協力頂 いた。それぞれの分析結果 については、次項で報告 している。

  (山

)

調査 資料 の分析

(1)津 島岡大遺跡

(第

10次・ 第19次 調査 )出 土鉄滓類の分析

津島岡大遺跡第10次調査 (保健管理センター新営予定地

)お

よび第19次調査 (コラボレーションセンター新営 予定地

)か

ら出土 していた鉄津 について、 自然科学的分析 を川鉄テクノリサーチ株式会社 に依頼 して実施 した結 果、「古墳時代後期 においては、津島10次・19次調査地点周辺で、鍛冶等 に関連する作業が行われた」 とい う想 定 を補強するデータを得た。分析結果は、以下 に報告す る。なお、両調査 に関する発掘調査報告書 は、『津 島岡 大遺跡11』(D・ F津島岡大遺跡12』②として2002年度 に発刊 されている。

(1)山

本悦世

 

岩崎志保2003『津島岡大遺跡■』岡山大学構内遺跡発掘調査報告第16冊

 

岡山大学埋蔵文化財調査研究セ ンター

(2)野

崎貴博2003『津島岡大遺跡12』 岡山大学構内遺跡発掘調査報告第17冊

 

岡山大学埋蔵文化財調査研究セ ンター

(2)

第4章

 

調査資料の整理 ・研究および公開・活用

津 島 岡大遺跡 か ら出土 した製鉄 関連遺物 の 自然科学的分析

川鉄 テ クノ リサ ーチ株式会社

tよ じめ に

調 査 の観点 として、鉄津の製鉄原料 の推 定、製鉄工程上 の位置づ け、観察上 の特 記事項 な どを中心 に調査 し た。その結果 について報告す る。

調 査 項 目お よ び試 験・ 観 察 方 法

(1)調

査項 目

調査資料の記号 、出土遺構・注記お よび調査項 目を表10に 示す。

(2)調

査方法

i)重

量計測 、外観観察および金属探知調査

資料 重量 の計量 は電子天秤 を使用 して行 い、少数点

2位

以 下で四捨五入 した。各種試験 用試料 を採取 す る前 に、資料 の外観 を

mm単

位 まで あるスケール を同時 に写 し込 みで撮影 した。資料 の出上位置や資料 の種別等 は 提供 され た資料 に準拠 した。

着磁 力調査 については、直径

30mmの

リング状 フェライ ト磁石 を使用 し、感応検査 によ り「強・補強 ・中・補 弱 ・弱

Jの

5ラ ン クで、個 別 調 査 結 果 を表 示 した。遺 物 内 の 残 存 金 属 の 有 無 を金 属 探 知 機 (MC i metal

checker)を

用 いて調査 した。

)化

学成分分析

化学成分分析 は鉄鋼 に関す る 」

IS分

析法 に準 じて行 つている。

・ 全鉄

(T Fe):三

塩化チ タン遠元 一ニ クロム酸 カリウム滴定法。

。金属鉄

(M Fe):臭

素 メタノール分解 ―

EDTA滴

定法。

・ 酸化第一鉄

(FeO):ニ

クロム酸 カ リウム滴定法。

・ 酸化第二鉄

(Fe203):計

算 。

  

・ 化合水

(CW):カ

ールフィッシャー法。

・ 炭素

(C):燃

焼 ―赤外線吸収法。

・ ライム (CaO)、 酸化マ グネシウム (MgO)、 酸化マ ンガ ン (MnO)、 酸化 ナ トリウム (Naッ 0)、 イオ ウ (S)、

珪 素 (Si)、 マ ンガ ン (Mn)、

 

リン (P)、 銅 (Cu)、 ニ ッケル (Ni)、

 

クロム (Cr)、

 

アル ミニ ウム (Al)、 バ ナ ジウム (V)、 チ タン

(Ti)i ICP発

光分 光分析法。

・ シ リ カ (Si02)、

 

ア ル ミナ (Alz03)、 酸 化 カ ジレシ ウ ム (CaO)、 酸 化 マ グ ネ シ ウ ム (MgO)、 酸 化 チ タ ン (Ti02)、 酸化 リン (P205)、 酸化 カ リウム

(K20):ガ

ラス ビー ド蛍光

X線

分析法。

但 しCao、 MgO、

MnOは

含有量 に応 じて

ICP分

析法 またはガラス ビー ド蛍光

X線

分析法 を選択。

。カルシウム (Ca)、 マ グネシウム (Mg)、 酸化 ナ トリウム

(Na20):原

子吸光法。

なお、鉄淳 中成分 は、18成 分 (全鉄

T Fe、

金 属 鉄

M Fe、

酸 化 第一鉄 FeO、 酸 化 第二鉄Fe203、 シ リカ

Si02、 アル ミナA1203、 ライム CaO、 マ グネシアMgO、 酸化 ナ トリウムNttO、 酸化 カ リウムK20、 酸化 チ タン

Ti02、 酸化マ ンガ ン MnO、 酸化 リンP205、 化合水

C W、

炭素C、 ヴ ァナ ジウムV、 銅Cu、 コバ ル ト

CO)を

化 学分析 している。

鉄器 中成分の化学分析 は、13成 分 (炭素C、 シ リコンSi、 マ ンガンMn、 リンP、 イオ ウS、 銅Cu、 ニ ッケル

Ni、 コバ ル トCO、 アル ミニ ウムAl、 ヴ ァナ ジウムV、 チ タ ンTi、 カル シウムCa、 マ グネシウム

Mg)を

化学 分析 している。

)顕

微鏡組織写真

資料 の一部 を切 り出 し樹脂 に埋 め込 み、細 かい研磨剤 な どで研磨 (鏡面仕 上 げ

)す

る。金属鉄 はナ イ タール

(5%硝

酸 アル コール液

)で

腐食後 、顕微 鏡 で観察 しなが ら代表的な断面組織 を拡大 して写真撮影 し、顕微鏡組 織 お よび介在物 (不純物、非金属鉱物

)の

存在状 態等 か ら製鉄 ・鍛冶工程 の加工状況や材 質 を判断す る。原則 と

して100倍 お よび400倍 で撮影 を行 う。必要 に応 じて実体顕微鏡

(5倍

〜20倍

)に

よる観察 もす る。

)X線

回析測定

試料 を粉砕 して板状 に成形 し、

X線

を照射す る と、試料 に含 まれている化合物 の結 晶の種類 に応 じて、それぞ れ に固有 な反射 (回

)さ

れた特性

X線

が検 出 されることを利用 して、試料 中の未知 の化合物 を観察 ・同定す る こ とがで きる。多 くの種類の結晶 についての標準 デー タが整備 されてお り、ほ とん どの化合物が同定 される。

測定装置

 

理学電気株式会社製

 

ロー タフ レックス

(RU‑300型

)

測定条件

①    使用 X線

Cu―Kα (波

長 =1.図 178A)

(3)

第1節

 

調査資料の整理・研究

②   Kβ 線の除去

③    管電圧・管電流

④    スキャニング・スピー ド

⑤    サンプリング・インターバル

⑥  DSス リット

⑦  RSス リット

 SSス

リ ッ ト

③    検出器

グラフアイ ト単結晶モ ノクロメー ター 55kヽ/・ 250よ狂a

4.0°

/min

O.020°

0.15mm

シ ンチ レー シ ョン・ カ ウ ン ター

v)胎

土・ 耐火材遺物の耐火度試験 および耐火度推定

耐火物 及び耐火物原料 の耐火度試験 は、」IS R 2204(耐 火物及び耐火物原料 の耐火度試験方法

)及

び JIS R 8101 (耐火度試験用標準 コー ン

)に

準拠 して測定す る。

遺物資料 を粉砕 (180μ

mの

舗通過

)し

、規定 (量的 に少量 であるか ら寸法 は第

2種

の小型 :幅

7mm、

高 さ27

mm)の

ゼ ーゲル コー ンを成型す る。 このゼ ーゲ ル コー ンを傾斜80° で受 台 に装着 し、毎 分

5℃

で加 熱す る。

コー ンの先端が 曲が り始め、受台 に接触 した ときの温度 を溶倒温度 とす る。

これ までの耐火度 の測定結果 と胎土 の化学成分 の分析結果 を146資料 について整理 した。

耐 火度

y(ゼ

ー ゲル コー ン溶倒 温度 、℃

)と

胎土 の化 学組成 因子 fxと の関係 につい て、次 を得 てい る。す な わち、y=110。

98  +927.82

ここで、

=(25.8A1203+5.2Si02)/(146MgO+448MnO+78.6CaO+12.5T Fe+10.4Ti02)

調 査 結 果 お よ び 考 察

分析調査結果 を図表 にまとめて42〜 44頁 に示す。表10に 調査資料 と調査項 目をまとめた。表 中の○印が調査実 施項 目を示す。表11は 鉄津の化学成分分析結果、表12は 胎土の化学成分分析結果 と耐火度の計算値 な らびに表13

は鉄津資料 の

X線

回析鉱物 ・顕微鏡組織 をそれぞれ示す。

化学成分分析 、顕微鏡観察お よび

X線

回析 の結果等 を考慮 し、考察す る。各資料 について、 タイ トル:資料番 号 、資料種 別 (括弧 内 は推 定 され た製造工程)、 着磁 力 、

MC(金

属探 知機判別

)を

一行 で示す。そ して、各資 料 の調査項 目、す なわ ち、外観観察、顕微鏡組織観察、

X線

回析 測定、化学成分分析 お よび

SEM観

祭 の調査 結 果 をま とめ、考察す る。各資料 の最 も確 か らしい推定結果 を最後 にまとめる。以下、資料番号順 に述べ る。

(資料No.1〉 輔 羽 回、着磁力:無、

MCi無

外観 :外観写真 を42頁 図39に 示す。総重量 は81.6g、 長 さ

68mm×

55mm×

厚 さ22mm。 先端 に灰色 の発泡 し た溶融津が付着 している羽 口片で、遺存部分 か ら推定す る と外径70mm、 内径

25mm程

度 か。着磁力 は先端付着 津部 で わず か に感応す る。内側 の胎土 はやや濃 い肌色で 白色 ・褐色 の砂礫が混入 し功 (スサ

)と

思 われ る植物繊 維痕 も見 える。灰色 の土 と表皮側 の熱影響部 を避 けて試料採取す る。

耐 火 度 :胎土 の耐 火 度

yを

化 学 成 分 因子fxから推 定 した計 算 結 果 を表12に 示 す。耐 火度 は1,420℃ (

=

4,33)と

得 られ、図43に プロ ッ トした。耐 火度 の測定結果 は1,405℃ と得 られた。既往 の値 と比較 して、本資料 の耐火度 は羽口 として通常 の温度である。

化学成分:胎土 の化学成分分析 の結果 を表12に 示す。 シ リカ (Si02)、 アル ミナ (A1203)を 主成分 (87.2%) とす るムライ ト(Mullite i 3 A1203・ 2 Si02)系耐 火材 で、酸化鉄

(2.8%Fe203)と

アル カ リ成分

(K20+Na20=

3.5%)を

含 んでい る。原料 には、通常 の木節系粘土 に、 シ リカ成分 の高 い陶石系 または長石系 の胎土原料 を配 合 し焼 成 した もの、 と推察 され る。

したが つて、本資料 は、製鉄用羽 日の上質粘土材 で、使用 には十分耐 えた羽 口胎土 と推定 される。

(資料

No.2)鉄

淳 (鍛冶津 (含鉄銹化物))、 着磁力:強、

MCi無

外観 :外観写真 を42頁 に示す。総重量 は19.5g、 長 さ

29mm×

26mm×

厚 さ20mm。 全 体が橙色 の水酸化鉄 と 上 の酸化鉄瘤 に覆われた小型資料。銹化鉄塊系遺物か。銹化瘤 を避 けて切断 し、試料採取す る。銹化鉄児 か鉄淳 か切 つてみない とわか らないが、着磁力が強いため残存金属鉄 の小片で も見つか る とよいが。試料調整時 に残存 金属 は見 られなか った。

顕微鏡組織:ミ クロ組織写真 を43頁 に示す。

No.2‑1、 No.2‑2と

も、写真全体 に白 く霞が かか った よう に見 える。 オキシ水酸化鉄 (安定 なゲーサ イ ト

)が

存在す る と推察 される。写真

No.2‑1は

、 オキ シ水酸化鉄 で、本来 は自色繭玉状 ウス タイ トと金属鉄が共存 していた と推察 される。写真

No.2‑1は

、金属鉄 と炉壁材 が 接 した資料で、金属鉄 は完全 に銹化 し、オキ シ水酸化鉄 (ゲーサ イ ト

)に

なってい る と推察 され る。 なお、着磁 力が強で、

MC反

応 が無 の資料 は、金属鉄が存在 しないで、マ グネタイ ト (Magnetite i Fe304)が 存在す る こ と

を示す。(参考:鉄さびの経年過程 を参照)

X線

回析 :回 析結果 を表13に 示す。マ グネタイ ト、ゲーサ イ ト、 ウス タイ トとヘマ タイ トが 同定 された。酸化 鉄 。水酸化鉄 の鉱物 である。

化学成 分:化学成分分析 の結 果 を表11に 示 す。全鉄

(T Fe)54.5%に

対 して、酸化 第一鉄 (ウス タイ ト:

(4)

第4章

 

調査資料の整理

 

研究および公開・活用

FeO)は

16.6%、 酸 化 第 二 鉄 (ヘマ タ イ ト i Fe203)は

59.2%で

、Fe203と

FeOの

比 率 は、

78:22で

、 シ リ カ (Sttica i si02)12%で は平衡状 態 図 (参考:鉄津 の平衡状態 図 を参照

)の

マ グネ タイ トとヘマ タイ トの境界領 域 に近 く、金属鉄 は完全 に銹化 してい る と推察 される。 また、化合水 を

4.7%含

む こ とか らも金属鉄が銹化 し、

オキ シ水酸化鉄 (ゲーサ イ ト

)を

生成 している と推察 される。

津化 (溶融 ガ ラス化

)成

分 の指標 となる造 津成分 (Si02+AL03+CaO ttMgO ttNaヮ

OttK20)は 16%で

あ る。

砂鉄 原 料 に含 まれていた と考 え られ る二酸化 チ タ ン (Titanium dioxide i Ti02)は 0。

2%と

低 く、バ ナ ジ ウム (Vanadium i V)0.002%と 低 い。鉱石 に含有す る成分 の一つであ る銅 (Copper i cu)は

0.001%と

少 ない。酸 化 マ ンガ ン

(MnO)含

有量 は、砂鉄系 に含 まれる値 よ りも、5〜10倍 高 い。

本資料 の製造工程 の位 置づ け として、 これ までの化学成分分析 の結果 (デー タ

)を

整理 し、図40〜 42に 示す。

40・41で は鍛冶津 を、図42で は、

MnO/Ti02比

Ti02/T Fe比

の関係 か ら鉱石系鉄津 を示 している。金属組 織 か ら金属鉄 は完全 に銹化 し、顕微鏡組織 を消失 しているが、鉱石系の精錬鍛冶滓 または鍛錬鍛冶津の金属鉄が 含 まれていた、 と推察 される。

以上の結果 を総合すると、本資料 は、①鍛冶滓 (含鉄銹化物

)で

、②鉄源 には鉄鉱石 を使用 した可能性が高 い、 と推定 される。

(資料 No.3〉 鉄津 (鉄鉱石系精錬鍛冶淳)、 着磁力 :強 、

MCi無

外観 :外 観写真 を42頁に示す。総重量 は19.5g、 長 さ

56mm×

47mm×

厚 さ29mm。

3面

に割欠面 を有 し、2 片に割れたものを接着 してある資料。破面か らは黒色発泡粗愁な淳の様相 を呈する。表面には灰色の土が固着 し ているが、剥がれた部分か らは緻密な黒い鉄津が確認できる。表度の土は除去 して試料採取する。

顕微鏡組織:ミ クロ組織写真 を43頁に示す。写真

No.3‑1の

前面 に 白色 繭 玉状・樹枝 状 の ウス タイ ト

(Wustite:FeO)と

写真の背面にファイヤライ ト(Fayalite i 2 FeO・

Si02)が

観察 される。写真

No.3‑2も

ウスタイ トと多量のファイヤライ トが観察 される。

X線

回析:回析結果 を表13にまとめた。 ウスタイ ト(Wustite:FeO)、 マグネタイ ト(Magnetite i Fes01)が 同定 された。

化学成分 :化 学成分分析の結果 を表11に示す。全鉄

51.7%に

対 して、ウスタイ トは49%、 ヘマタイ トは

19,2%

で、Fe209と

FeOの

比率は、

28:72で

、シリカ

14%で

、平衡状態図のウスタイ トの領域にあ り、還元反応が進行 していたと推察される。酸化マ ンガン

(MnO)含

有量が、砂鉄系に含 まれる値 よりも、約10倍高い。

津化成分の指標 となる造津成分は

29%で

、砂鉄原料 に含 まれていたと考えられる二酸化チタン

0,17%で

、バナ ジウム0.006%、 銅

0.001%と

少 ない。本資料 の製造工程の位置づけ として、図40〜 42に、分類 を示す。本資料 は、図

40,41に

おいて、砂鉄系か鉱石系か判断が難 しいが、鍛冶津に近い。図42では、鉱石系製錬津のグループ に属 している。 したがって、製錬の後期か ら精錬の中期の工程で生成 した鉄津で、金属鉄が生成する段階にあっ たと推察 される。

以上の結果 を総合すると、本資料は、①精錬鍛冶津で、②鉄源には鉄鉱石 を使用 した可能性が高い、 と推定 さ れ る。

(資料

No.4)鉄

津 (炉壁付着津)、 着磁力 :弱 、

MC:征

外観 :外観写真 を42買 に示す。総重量 は364.9g、 長 さ

128mm×

62mm×

厚 さ60mm。 全体 が灰褐色 と黒色の まだ ら模様 で、牡蠣状 の大 きな資料。 ガラス質で一方 に炉壁材 と思 われる変色部分があ り、炉壁溶融部か炉壁付 着津であ ろ う。 中央 の黒灰色 の瘤状 になった部分か ら試料採取す る。

顕微鏡組織 :ミ クロ組織写真 を43頁 に示す。写真

No.4‑1の

前面 に軟化溶融 した胎土成分 中に気泡が観察 さ れ る。写真

No.4‑2に

はやや赤色 を呈す るガラス質津が観察 される。 したが って、炉壁材が軟化 したガラス質 津 と推察 され る。

X線

回析 :回 析結果 を表13に 示す。 シリカ

(Quart2:Si02)と

ク リス トバ ライ ト (Cristobalite i Si02)の みが 同定 された。胎土成分が ガラス化 してい るため、回析 されない。

化学成分 :化学成分分析 の結果 を表11に 示す。全鉄

3.8% 

に対 して、ウス タイ トは0.6%、 ヘマ タイ トは

4.4%

で、Fe203と

FeOの

比率 は、

87:13で

、 シ リカ

73%で

、平衡状態図の クリス トバ ライ トの領域 にあ り、胎土成分 と推察 される。

津化成分 の指標 となる造津成分 は

93%で

、砂鉄原料 に含 まれていた と考 え られ る二酸化 チ タン

0.6%で

、バ ナ ジウム0.005%、 銅

0.001%と

少 ない。本 資料 の製造 工程 の位置づ け と して、図40・ 41に 、分類 を示 す。本資料 は、図40・ 41において、炉壁付着津の グループに属 している。

以上 の結果 を総合す る と、本資料 は、①炉壁付着淳、 と推定 される。

(資料

No.5)鉄

淳 (鉄鉱石系製錬津)、 着磁 力 :弱 、

MCi無

外観 :外観 写真 を42頁 に示 す。総 重 量 は182.8g、 長 さ

77mm×

44mm×

厚 さ40mm。 害1欠 面 は

2つ

。 ごろ り と した礫状資料。発泡 した凹凸のある面 には、灰茶色の土砂が凹部 に詰 まっている。平坦 な一面 には石英質の砂 礫 や長 さ

5mm、

3mm程

度 の 白い石灰 質状の もの もある。小魚の骨でで もあ ろ うか。試料採取 は付着土砂 や 埋没砂礫 を除去 して行 う。

顕微鏡組織:ミ クロ組織写真 を43頁 に示す。写真

No.5‑1の

前面 に僅 か に白色繭玉状 ・樹枝状の ウス タイ ト

(5)

1節

 

調査資料の整理・研究

お よび写真 の背面 には多角形がやや変形 した ファイヤ ライ ト観察 され る。写真

No.5‑2に

も大 きなファイヤ ラ イ トが観察 され る。

X線

回析 :回 析結果 を表13に 示す。 ファイアヤ ライ トとウス タイ トが同定 された。

化学成分:化学成分分析 の結果 を表11に 示す。全鉄

43%に

対 して、 ウス タイ トは

M%、

ヘマ タイ トは

2%で

、 Fe203と

FeOの

比率 は、

4:96で

、 シ リカ

28%で

、平衡状態図の ファイアヤ ライ トの領域 にあ り、遠元 反応 は僅 か に進行 していた と推察 される。

淳化成分 の指標 となる造淳成分 は

40%で

、砂鉄原料 に含 まれていた と考 え られる二酸化 チ タン0。

27%で

、バ ナ ジウム0.002%、 銅

0.001%と

少 ない。酸化 マ ンガ ン

(MnO)含

有 量 が、砂 鉄 系 に含 まれ る値 よ りも、10〜 20倍 高 い。

本資料 の製造工程 の位 置づ け と して、図40〜421こ分類 を示す。本資料 は、図40・ 41に お いて、鉱石系製錬淳 ま たは砂鉄系鍛冶滓 に属 してい る。図42に おいて、鉱石系製錬津 に属 してい る。顕微鏡組織 では、 フアイヤ ライ ト が主成分であ り、酸化マ ンガ ン含有量が高いので、鉱石系製錬津 と推察 される。

以上 の結果 を総合す る と、本資料 は、① 製錬 淳で、②鉄源 には鉄鉱石 を使 用 した可 能性 が高 い、 と推定 され る。

(資料

No.6)鉄

津 (鉄鉱石系製錬滓)、 着磁 力 :補強 、

MCi無

外観 :外観 写真 を42頁 に示 す。総重量 は193.Og、 長 さ

78mm×

50mm×

厚 さ45mm。 割 欠 面 は

2つ

。全体 に 滑 らか な凹凸が あ り、赤橙 色 の水酸化鉄が凹部 に詰 まっている。下部 には径

8mm程

度 の 白色 鉱物 が埋 没 してい る。裏 は平 らで細 か な発泡痕がある。試料採取 は付着土砂 や埋没砂礫 を除去 して行 う。

顕微鏡組織 :ミ クロ組織写真 を43頁 に示す。写真

No.6‑1の

全面 にやや尖 つた多角形 の フ アイヤ ライ トと僅 か にウス タイ トが観察 される。写真

No.6‑2に

は、

No.6‑1の

多角形が崩 れ た短冊状 の フ アイヤ ライ トが観 察 され る。製錬 岸 にみ られ る組織 であ る。

X線

回析 :回 析結果 を表13に 示す。 ファイヤ ライ ト、 ウス タイ トとマ グネタイ トが同定 された。

化学成分 :化学成分分析 の結果 を表11に 示す。全鉄

43%に

対 して、 ウス タイ トは51%、 ヘマ タイ トは

4%で

、 Fe203と

FeOの

比率 は、

8:92で

、 シ リカ

30%で

、平衡状態 図の フ ァイヤ ライ トの領域 にあ り、還 元反応 は僅 か に進行 していた と推察 され る。

岸化 成分 の指標 となる造 津成分 は

42%で

、砂鉄原料 に含 まれていた と考 え られる二酸化 チ タン0。

39%で

、バ ナ ジ ウム0.006%、 銅

0.005%と

少 ない。酸化 マ ンガ ン

(MnO)含

有量 が 、砂鉄系 に含 まれ る値 よ りも、約10倍 高 い。

本資料の製造工程の位置づけとして、図

40〜 42に

分類を示す。本資料は、図

40・ 41に

おいて、鉱石系製錬津ま たは砂鉄系鍛冶淳に属 している。図

421こ

おいて、鉱石系製錬淳に属 している。顕微鏡組織ではファイヤライ トが 主成分であ り、酸化マンガン含有量が高いので、鉱石系製錬淳 と推察される。

以上の結果を総合すると、本資料は、①製錬淳で、②鉄源には鉄鉱石を使用 した可能性が高い、と推定 され

る 。

ま と め

各資料 の調査結果 お よび考 察結果 を以上 に述べ た。それ らの結果 を以下 に まとめる。

調査資料 は、輔 羽 日片 と鉄 岸か ら構成 されている。

(1)資

No.1の

羽 口 片 は、 シ リ カ (Si02)、 ア ル ミ ナ (A1203)を 主 成 分

(87.2%)と

す る ム ラ イ ト (Mulite i 3 A1203・ 2 Si02)系 耐火材 で、やや上質胎土 と推察 され る。耐火度 は、測定 で は1,405℃ と計算 で は1,420℃ と得 られ、通常製鉄用羽 口材 として使用 には十分耐 えた羽 口胎土 と推定 され る。

(2)資

No.2は

、金属鉄が完全 に銹化 したオキ シ水酸化鉄 (銹化鉄

)と

鍛 冶淳が共存 している。鉄源 は、酸 化 マ ンガ ン含有量 が高 いので、鉄鉱石 を使用 した可能性が高い、 と推定 される。

(3 (4

資料

No.3は

、精錬鍛 冶滓で、鉄源 には鉄鉱石 を使用 した可能性が高 い、 と推定 される。

資料

No.4は

、造津成分が

93%で

、炉壁付着岸、 と推定 される。

(5)資

No.5と

資料

No.6は

、製錬滓で、酸化マ ンガン含有量が高いので、鉄源 には鉄鉱石 を使用 した可 能性 が高 い、 と推定 され る。

【付記〕試料

NO.4の

弥生時代後期の「炉壁付着津」 については、溝か らの出土 とい う点 と時期的な問題 を鑑 みて、慎重 に検討することとしたい。

(岩崎)

(6)

第4章

 

調査資料の整理・研究お よび公開・活用

ヽ勤静 ゞ斡斡

2

39 

出土鉄滓外観写真 (番号 は資料呑号 と一致する)

Si

・ 製鉄工程上 の鉄滓 の分類

1前

ヽノ  Ю     ん チテ

∞    ・ メ⁚

∽ 酸 o晩

 二

5   ︐ ⊂

里皇 m  鉄 全  鉤  靱 滓 20   土鉄 け 

42 

砂鉄 系鍛冶滓 と鉱石系製錬 滓の分類

│口  │

ほ 豆

43 

粘土遺物 の化学成分 と耐火度 との関係 図

41 

製錬滓 と鍛冶滓 の分類

(7)

×

400  1cm:25μ

 m

資料No 2‑2

×

400  1cm i25μ m

資料No 3‑1

第 1節

 

調査資料の整理

 

研究

×

400  1cm:25μ

 m

資料 No 3‑2

×

400  1cm:25μ

 m

*斗No 2‑1

×

100  1cm:100μ

 m

│,畿

e

■■

││エ

│^││―

×

400  1cm:25μ

 m

資料 No 4‑1

×

400  1cm:25μ

 m 資料No 4‑2

×

400  1cm:25μ

 m

資料No 5‑1

×

400  1cm:25μ

 m 資料No 5‑2

×

400  1cm:25μ

 m

資料 No 6‑1

×

400  1cm:25μ

 m 資料No 6‑2

44 

ミ ク ロ組 織 写 真

×

100  1cm:10oμ m

×

100  1cm:100 

μ m ×

100  1cm:100μ

 m

×ヽ

00  1cm:100μ

 m

Itti「

IT蕩

│―

│ざ

X100  1cm i100μ m

×

100  1cm:10o 

μ m ×

100  1cm:100μ

 m

×

100  1cm:100μ

 m ×

100  1cm:10oμ

 m

(8)

4章

 

調査資料 の整理・研 究お よび公 開

 

活用

註(1)資料番号・記号、資料種別 等は、埋蔵文化財調査研究セ

ンターの記載資料 による。

(2)○は、観察 ・測定調査の実 施項 目を示す。

(3)MC反

応 と は、メ タ ル チェッカー (金属探知機

)に

よる残存金属の有無 を示す。

く附記 〉

No.1 

102‑1

102‑M5

102‑M4

104、 図版

21‑1

表 3中 「椀形窪J

表 3中 「製線法か?」

10 

調査資料 と調査項 目 (津島岡大遺跡出土資料)

資料

N ︒ 出 土 地 点

 

層 ・ 遺 構

料 別 資

重 量g 着   磁   力

M C 反 応

外 観 写 真

化 学 成 分

組 織 写 真

X 線 回 析

耐   火   度

1 津島岡大10次

 7層

上半 輔 羽 口 81.6 ○ ○ ○ 2 津島岡大10次

 

竪穴住居2

古墳時代後期 鉄 津 19.5

3 津島岡大10次

 7層

下半

102‑M4

鉄 淳 84.7

4 津 島岡大19次 10層

 

溝13

弥生時代後期 製錬 淳

5 津島岡大19次

 9層  

溝46・49

古墳時代後期 製錬 津 182 8 白昂

6 津島岡大19次

 9層  

溝47

古墳時代後期 製錬 淳 193.0 冶 強 表悧

 

津島岡大遺跡出土鉄滓の化学成分分析結果 (%)

資料No T Fe

M Fe FeO

Fe203 Si02 A1203

CaO MgO

Naゼ

O

Kゼ

O

│ヒ(%)

Fe203

FeO

2 54.5 0.19 59,2 1 67 0。12 0.12 0.24 21.9

3 51.7 0.17 49,0 13.7 2.16 1.27 0.18 0,85 28.2 71.8

4 3.77 0.19 44 72.6 1,95 1.25 3.16 87.3

5 0.22 53.6 28.2 4.97 4.29 1.55 0.38 0.82

6 42.8 0.11 51.1 30.0 4.30 0.80 0,22 7.7 92.3

資料No Ti02

MnO

P205 Co CヽAr C V Cu Ti02/T Fe MnO/TiO? 造津成分 2 0.18 0.30 0.181 0.014 4.66 0.77 0 002 0,001 0.003 1.667

3 0,17 0.71 0.714 0.030 0.89 0.03 0 001 0.001 0.003 4.176 29.2 4 0.65 0.17 0 192 0.001 0.93 0.02 0.005 0.001 0.172 0.262 93 3 5 0.27 1.20 0 205 0.010 0.03 0.002 0.004 0 006 4.444 40.2 6 0.39 0.54 0 203 0.021 0.03 0,006 0.005 0.009 1,385

CW=化

合水、造津成分=Si02+A1203+CaO tt MgO ttNa20+K20 表

12 

胎上の化学成分分析結果

(%)と

耐火度測定結果 (℃)

Ig10ss I Ignition toss(1000℃加熟減量)

y(耐

火度 (ゼーグル コー ン溶倒温度

y)試

験法 :」IS R 22能 (耐火物及 び耐火物原料 の 耐火度試験 方法

)お

よび 」IS R 8101(耐火度試験用標準 コー ン

)に

準拠 して測定。

y=118fx+912   (粘

土遣物未帰属)(化学成分 因子tx<7.0) ここで、

微=(25,8A120B+5.2Si02)/(146MgO+448MnO+78.6CaO+12.5T Fe+10.4Ti02) 表

13 

鉄滓資料 のX線回折鉱物・顕微鏡組織 と製造工程 の分類

No T Fe

FeO

Fe303 CヽV SiOを A1203

CaO MgO

1 2.34 0,46 2.83 2.40 72.0 15.2 0,46

No Ti02

MnO

Na20 Kヮ

O

C Igloss 耐火度

y(℃

)

f(x) y(計算) y(測定) 1 0.67 0.04 1.15 1.97 0.17 2 70 4.33 1,420 1,405

資料No 資料の種別 X線回析鉱物 製造工程 の分類 出土遺構記号

2 鉄 淳 M、 Co、 「、

H

鍛冶津 (含鉄銹化物) 津島岡大10次

 

竪穴住居2

3 鉄 淳 、Ar、   lvI 鉄鉱石系精錬鍛冶淳 津島岡大10次

 7層

下半

 

102‑M4

4 製錬淳 S 炉壁付着津 津 島岡大19次 10層

 

溝13 5 製錬淳 F、

 W

鉄鉱石系製錬淳 津島岡大19次

 9層  

46・ 49

6 製錬淳 F、 W、 ll 鉄鉱石系製錬津 津島岡大19次

 9層  

47

ψ W H

1塁 罵士 迅 決 )YG:蚤 祭 と争弁ヽ

i晋

礎 謝 駐 よ 許 路も 溜 デ 、

イ ト :Fayalite― Fe2Si01)、

 S(シ

リカ:Quartz― Si02) 鉱物記号

(9)

第1節

 

調査資料の整理

 

研究

(2)棒 火矢の火薬成分分析

津 島岡大遺跡第12次調査 で出土 した近世 の棒火矢°)につ いて使用 された火薬 の成分分析 を試 み た。事前 に火薬 専 門機 関等 数 力所 に問い合 わせ た ところ、通常江戸時代 の ものであれば「黒色火薬

Jで

あ ろ うとの予測 を得 られ た。黒色 火薬 の成分 は硝酸 カ リウム・硫黄 ・木炭 の

3種

であ り、分析 の結果、 カ リウム と硫黄が検 出 されれば、

黒色火薬である と確定で きる とい うことである。

そ こで2003年 7月 に、理学部地球科学科松 田敏彦助教授 に実物 を見 て頂 いた うえで、サ ンプル を採取 し、

X線

回析装置 による分析 を実施 して頂 いた。

その結果、期待 された成分 は得 られなか った。その要因 として、発掘後長時間が経過 していること、保存処理 を経 ていることこ とか ら、 カ リウム・硫黄 ともにすで に溶 け出 して しまった もの と考 え られる。 出土直後 に周辺 土壌 も一緒 に取 り上 げた うえで、分析す ることがで きれば、あるい は良い結果が得 られた もの と思 われる。

今 回の成分分析 で は期待 され た成果で はなか った ものの、今後 の調査 ・研 究 に活用 され る貴重 な点 が得 られ た。

       (岩

)

(1)山

本悦世・岩崎志保2003F津 島岡大遺跡11』 岡山大学構内遺跡発掘調査報告第16冊

(3)津 島岡大遺跡第28次 調査土壌分析

津 島岡大 遺跡 第28次 調査 (自然科 学系総合研 究棟新営予定地)は)に

お い て、主 に「黒色土」層 の成 因 を探 る こ とを目的 として、土壌 の成分分析 を実施 した。実施 にあたっては白石純氏 (岡山理科大学 自然科学研究所

)の

御 協力 ・御教示 を得 た。

分析試料 :津島岡大遺跡 第28次 調査共同溝地点の北壁及 び東壁 よ り、縄文時代後期 〜近世 まで

9枚

の土層 につい て、各

5点

ずつ土壌 のサ ンプ リングを行 った。

分析結果 :表14に 土壌 の分析値 を示 している。 各土層 か らは、合計

5点

の上壌 をサ ンプ リング し、その平均値 を 表 に掲載 した。 なお、東壁土壌 もほぼ同 じ結果 となったため、 ここでは省略 している。

①各土層で比較すると、10元素のうち

Fe元

素にのみ差がみ られた。

Fe量

6層

(明黄褐色砂質層

)に

最 も多 く含 まれ、ついで1l a層 (黒褐色粘質

=「

黒色土

J)に

多 く含 まれて いた。 このことか ら、

Feの

量が土層の色調 に反映 していることは、十分予測 される。 また、その他の元素 に は、顕著 な差がみ られず、分析値か らはこれ以上の検討はで きない。

③土壌の

pH値

を調べ た。すると、 5層 までの上層では微 アルカリであったが、6・ 11・ 12層では中性で、13層 では微 アルカリであった。

まとめ:この結果 を受けて、以下の

2点

についての検討 を行 った。

14 

土壌サンプリング分析値 (%)

層 位 土 層

PH値

時期 Si Ti Al Fe hln 7生g Ca Na K P

黄褐色砂質土 7.3 近 世 62.51 9。90 7.87 0.23 2.16 2.00 3

黄褐色砂 質土 中 世 63.24 1.03 9.63 7.10 0.22 2.18 2.82 4

黄褐色砂質土 7.5 中 世 66.14 0.92 8.33 5,76 0.13 2.58 2.18 8 4c 淡責灰色粘質土 中 世 64.29 9.53 6.23 2.20 2.87 6

5 淡責灰色粘 質土 7.3 古代 〜中世 63.91 9,70 6.30 0。13 2.08 3.18 5

6 明黄褐色砂質土 古 墳 59.69 9,02 12.19 0.19 2.08 2.38 3 1l a 黒褐色粘 質土 弥生前期 61.69 9.26 9.50 0.24 2.06 2.31 2.04 0.18 淡黄褐色砂質土 縄文後期 62.65 9.57 7.96 0.23 2.13 0.22 淡青灰色粘質土 7.2 縄文後期 64.46 0,95 9.46 6.26 2.10 2.78 2.08 0.20

(10)

第4章

 

調査資料の整理・研究および公開・活用

1.鉄

分 が多い とい うことは、上層か ら沈殿 して きた ものが、黒色土で止 まることによ り、その上層 に多 く堆積 してい る もの と考 え られる。

2,pH値

について、

6,11・

12層が 中性であるこ との原 因は不 明であ る。 しか し黒色上 の周辺 の土層 のみ に認 め られ る こ とか ら、黒色上 の成因 を解明す る手がか りになる可能性がある。

今 回の分析 の結 果 、依 然 と して、不 明 な点 は多 い ものの、黒色上 の成 因 を考 えるひ とつ の手 が か りとはなっ (岩崎)

た。 今 後 も様 々 なア プ ローチ を試 み る こ と と したい。

(1)忽

那敬三2004「津島岡大遣跡第28次調査J『岡山大学埋蔵文化財調査研究センター紀要2002』

ン ター

岡山大学埋 蔵文 化財調査研 究 セ

15 

保存処理工程表

処 理 回 数 年 月 日

第 6期 処理 2002/11/12 40%で開始 2003/4/18 509:ハ 2003/5/29 6093ハ 2003/8/25 70勁3ハ 2003/9/30 8093ハ 2003/11/10 90レ3^\

2004/2/4 95%フ\

2004/3/31 100%へ上昇 中

調査 資料 の保存処理

木製品の保存処理作業

PEG保

存 処 理 2002年 度11月 よ り開始 して い る第

6期

保 存 処 理 を、今年度 も継続 して実施 した。経過 は表15の 通 りで あ る。

PEG濃

度 を

95%か

100%へ

向 けて上 昇 させ ている途上 で、次年度 に継続 と なった。

今回は津島岡大遺跡第19次・22次調査および、鹿田遣跡第

7次

調査出土木器の処理 を行 っている。なお今年度 も保存処理の外部委託は行 つていない。

       (岩

)

第 2節   調査成果の公開 。活用

2003年 度 は、鹿 田遺跡第14次調査 において現地説明会 な らびに地域 の公民館講座 の中での説明会 を実施 したほ か、鹿 田キ ャンパス と津 島キ ャンパ ス両地域 において展示会 を開催 した。 また、博物館学実習 あるいは中学生の 職場体験 の受 け入 れ な ど、学校教育現場 との連携 も積極 的 に行 い、調査 成果 の公 開・活用 に対 して、様 々な形 の 取 り組 み を行 つた。

公開 ・展示

(1)鹿 田遺跡第14次 調査現地説明会 の 実施

発掘調査 における現地説明会 は、学内お よび 一般向けに

1度

開催 す る こ とが常 で あ つたが、

今 回は、地域 の公民館講座 に関わ る見学依頼が あ っ た た め、

2回

の説 明会 を行 うこ と とな っ

た。 図

45 

鹿 田遺跡第14次調査現地説明会風景

(11)

第2節

 

調査成果の公開・活用

 

学内・一般向けの説明会:10月18日 (土)

鹿田遺跡第14次調査では、7月か ら発掘調査 を開始 していたが、終盤にさしかかった10月に、本地点の調査成 果 として中心になる近世〜古代末の調査がほぼ終了 した段階であったことか ら、説明会 を行 うこととした。 日程 は、10月 18日 (土

)の

14時16時である。調査地点が、新病棟の東隣であったことか ら、外部か らの見学者 に加 えて、入院患者や見舞い客など病院関係の方々の姿 も少なか らず見受けられた (図45)。 見学者は106名 とな り、

2組

に分かれての見学 となった。

調査現場では、近世の導水施設が設置 されたと考 えられる溜め池状遺構や中世あるいは古代末 に遡る井戸など が注 目された。 また、出土 した遺物 に関 しては、新病棟内において開催 した鹿田キヤンパス特別展示の中で、そ の説明を行 った。

 

公民館講座に伴 う説明会110月 5日 (土)『岡山市立御南公民館 むか し探検隊』

地域の歴史を学ぶ というテーマで一連の講座 を開催 されている御南公民館か ら、鹿田遺跡の内容、特 に「鹿田 庄」 に関 しての講演 と遺跡見学の依頼があつた。それを受けて日程 を調整 した結果、10月 5日 (土

)の

午前中に 同遺跡の説明 と歴史的位置づけに関する講演 を、続いて午後 に遺跡見学 を行 った。それに加えて、これまで出土 した遺物の中で、特色あるものに直接触れ られる簡単な展示 を提供 し好評 を博 した。

        (山

)

修 )鹿 田 キ ャンパ ス特別展示

鹿田遺跡は、岡山大学が埋蔵文化財調査室 (現埋蔵文化財調査研究セ ンターの前身

)を

設置 した1983年か ら、

本格的な発掘調査が開始 されてお り、2003年は鹿田遺跡発掘20周年の年 にあたる。 また、定期的に開催 している 展示会は、津島キャンパスでは

6回

を数えるのに対 して、鹿田キャンパスでの開催は1990年の第

2回

目にあたる 1回 だけで、以来行われていなかった。 こうした状況か ら、現地説明会を契機 に、これまでの鹿田遺跡の調査成 果 を概観で きる「鹿田遺跡発掘20周年特別展示」 を併せて計画することとなった。

展示会場 は、新 たに建設 された南病棟 エ レベー ター前 の フリースペ ース を利用 し、期 間は2003年10月 18日 (土

)〜

24日 (金

)の

7日 間である。会場の利用などには医学部附属病院の協力を得た。初 日の18日は第14次調 査の現地説明会にあわせた展示であ り、順次、調査研究員が解説 を行 った (図46)。 その内容 は、①鹿 田遺跡の 位置 と概要、②鹿田追跡の林生〜古墳時代、③ 中世の鹿田、④近世の鹿田、の 4コ ーナーに分けて遺構の写真や 主だった遺物の展示 を行 うものとした。遺物 に触れてもらうほか、遺構では井戸の土層はぎ取 りや模型 も加 える

ことで、全体 に、実物 を実感 して もらうことを主眼においた。

当 日は、200名を超す見学者があつた。初 日の開催時間は

14:00〜 16:00の

予定であったが、昼過 ぎには、通 りすが りの方 を含め、次 々 と見学者が会場 に

来 られ、 また、終 了後 も絶 えず数名の方が残 る状態であったため、実際 は

13:00〜 17:00

が 開催時間 となった。見学者の中には、現地 説 明会以上 に病 院患者 さんの姿が 目につ き、

車 いす を利用 されてい る方やパ ジャマ姿 の小 学 生 な どが 興 味 深 げ に訪 れ るのが 印象 的で あ った。

19日は休 日であったが、20日 か らは職員 の 勤務時 間にあわせ て、

8:30〜 5:00に

パ ネ

ル展示 を継続 した。平 日は発掘調査 を行 つて 図

46 

鹿 田キ ャンパス特別展示会風景

(12)

第4章

 

調査資料の整理・研究および公開

 

活用

い る ため 、調 査研 究 員 は展 示 に立 ち会 うこ とが で きず 、残念 なが ら展 示 ケースの無 い状 態 にあ る遺物 の展 示 は、

保 管上 の 問題 か ら不 可 能 と判 断せ ざる を得 なか った。遺物 に関 して はパ ネル を用 い る こ とで、少 しで もそれ を補 うこととした。会場 には解説パ ンフレットを1日 に50部程度 を置いたが、毎 日全て無 くなってお り、その数か ら 期間中に370名以上の見学者があつたことが予想 される。

今回はいわゆる「出前展示」 とで もいうものであった。こうした試みを通常の生活か らは隔離 されて しまう多 くの方々を抱 える病院 という場所で行 うことがで きたことは、今 までの展示 とはまた違 う意味で有意義な展示で あつたと言えよう。

      (山

)

(3)第 7回 岡山大学 キ ャンパス発掘成果展

概要i2002年度以降、年 1回 の定例 となっている岡山大学キャンパス発掘成果展を開催 した。第

7回

目である。

本年度は、発掘調査の実施 と報告書刊行が重複 した状況にあ り、それに加えて、鹿田キヤンパスでの展示 も企画 されたため、限 られたスタッフと時間の中で、より効果的な展示方法 を模索することが望 まれた。その結果、開 催期間は、本学附属図書館 による「池田家文庫貴重資料展

Jの

期間を考え合わせて、2003年10月27日 (月

)〜

11 月1日 (土)、 会場 は埋蔵文化財調査研究セ ンターの収蔵庫

2階

展示室周辺 とな り、昨年度に比べ ると、期間は

1/2に

短縮 し、会場 スペースも大幅に限定 した状態で行った。見学者は延べ109名であつた。

内容 と成果iテーマは『遺跡の土層を切る

!!Jで

、今年の特色は土層 に焦点 をあてたことにある。発掘調査の 際に、「どのような観察か ら遺構 をとらえるのか」、あるいは「土層 と遺物の密接な関係 を伝えること

Jに

主眼 を 置いた。 また、発掘現場の臨場感 を出す展示をめざし、現場で撮影 したビデオでは、現場の音声 をそのまま使用 したほか、津島岡大遺跡・鹿田遺跡で採集 した土層のはざ取 りを全体 に巡 らせるなど、随所に工夫を凝 らした。

土層のはざ取 りは、遺跡や時代 によって土質が異なることがわか りやすいように並べ、土層 と遺物の時期 を対応 させた展示 を、現代か ら縄文時代 まで各時期 ごとにレベルを考えなが ら行つた。 さらに、遺構に関 しては、井戸 の断面や炭化米集中土坑の平面でのはぎ取 りを展示 し、「その掘 り方 を考えてもらう」 という企画を一つの目玉 に据 えた。その他 に、チ ャレンジコーナー として、昨年度の展示会で好評 を博 した「石器を探 してみ よう」の コーナーを再度設けたほか、新たに「土器の時期を当ててみよう」の企画を追加 した。

こうした試みが一定の成果 を上げたことは、アンケー ト結果か ら窺 うことができる。展示の中でE「象に残つた

(司収 準)

に残 つたもの お もしろか った やってみたいこと 21(43%)

48 

展示会見学風景

(13)

第2節

 

調査成果の公開

 

活用

49 

津島キャンパス展示風景

ものあるいはお もしろか った企画 について、土層 に関連す ることをあげた人が最 も多 く、回答者の

61%に

の ぼっ てい る。第

2番

目は、昨年人気の高かった「石器 を探 そ う」が

35%と

根 強 い人気が示 された。遺構 のは ぎ取 りな どに関す る展示方法 をあげる人 も

22%あ

り、 目的 と したテーマあるいは展示方法の工夫が、見学者 に評価 された と考 え られる。

一方、実験 的 に行 つた

7時

までの夜 間開催 に関 しては、効果 ははかばか しい ものではなか った。時期的 に 日没 時 間 との関係 で、

5時

以 降は暗 くなって しまう点 な ども問題であったのか もしれない。

広報活動 :広 報活動 は昨年 と同様 であるが、その中で、本 セ ンターの展示会や発掘調査現地説明会の参加者 に対 す る案 内が効果的であることも、見学者 における リピー ター比率の高 さか ら窺 われる。

課題 と展望:見学者合計109名 とい う数字 は、昨年の252名 を大 き く下回る。昨年の

1/2に

到達 しない数字であ る。減少の要因 としては、期 間が10日間か ら 5日 間 と短か つた ことや、その期 間内 に日曜 日を含 まなか った こと が大 きいこ とは、 日曜 日 1日 のみで全体 の

2割

強 となる60名 の来場者 を得 た昨年度 の実績 か ら容易 に導 き出 され る。 さらに、今年度の状況 を確認 してみる と、月曜 日〜木曜 日の平 日は10〜 15名 程度で推移 し、終了間近 となる 金曜 日に30名 、土曜 日に26名 を数 えた (図47)。 昨年度 と比較 す る と、平 日の状況 は共通 してお り、や は り休 日 開催 が効果 的であ る こ とが再確認 されるこ ととな り、今年度 の数値 は期 間か らす ると妥当 とい えるのか もしれ な い。

アンケー トの回収率 を見ると、今年度は49枚で回収率

45%で

あ り、昨年の

75%と

大 きな違いを示す。回収率が 激減 した背景には、見学者の満足度に昨年度 との違いが現れている可能性があるのではなかろうか。体験型 を全 面に出 した昨年の展示が強 く支持 された結果 といえるか もしれない。 しか し、「楽 しかったです」「たびたび展示 会 を開いて くだ さい」「来年 も楽 しみに してい ます」「こんな展示 もあ りなんだなとい うのがた くさんあ りまし た。」「いろいろお もしろい展示があ り楽 しめ ました。」 とい う声 も得 られてお り、展示方法 に一定の評価があつ たことも確かである。昨年度に比べると、体験の度合いは減少 したが、はぎ取 り土層 という実物本意の展示から は、発掘現場の雰囲気 を伝 えることがで きたのではなかろうか。

また、「やってみたいことは

?Jの

問いでは、発掘体験 と土器接合が三分する状況 を示 した。両方 をあげた人 は多 くはないことか ら、体験希望者 に関 しては、現場指向 と室内指向に分かれることが浮 き彫 りとなったこと

も、アンケー トか ら読み取れた点である。

今回の見学者に占めるリピーター率は

39%に

のぼってお り、継続的な展示会への期待の大 きさを示 している。

今後 も、こうした様 々なデータを活用 しなが ら、いろいろな実験的展示方法 に取 り組み、安易な体験型 にとどま

(14)

第4章

 

調査資料の整理・研究および公開・活用

らず、効果 的 な展示方法 を模索 しつつ、魅力 的 な展示会 を企 画 ・実施す るこ とが重 要であ ろ う。業務全体 の 中 で、それぞれのバ ランス を考慮 しなが ら、 よ り多 くの期待 に応 え られ るような工夫 を考 えつつ、今後 も内容 の濃 い情報発信 を継続 してい きたい。

       (山

)

141  その他 の展示・ 開放

前述 の津 島・鹿 田両 キ ヤ ンパ ス にお ける展示 会、あ るいは本 セ ンター建物 内 にお ける常設展示 の他 に、学 内 に おいて は、附属 図書館 内でのパ ネル展示、そ して、岡山大学考古資料展示室 にお ける常設展示 に も展示 コーナー を設 けている。

 

附属図書館内での展示 :11月 4日 〜11月 28日 に展不

例年、年に 1回 パネル展示 を行 っている。今回は、津島キヤンパスでの展示会が直前 に予定 されたため、第7 回展示の内容 と関連 した「発掘調査 と地層の観察」 という題 を設定 し、発掘調査では、どのような視点で遺構 を 確認 し、 どのような方法で調査するのかを、地層 との関係 を示 しなが ら解説 した。

 

岡山大学考古資料展示室

文学部考古学研究室が録管する資料 を中心 に、本セ ンターの資料 を含めた展示 を行 っている。常設展示ではあ るが、見学 に際 しては希望 を受付 けた上で随時対応 している。大学関係者か ら一般の方 々、さらには各地の高

校 ・大学の生徒 ・学生が団体で訪れる場合 も多い。 (山)

(5)報 道機 関への公開

新 聞紙面へ の掲載 と して は、津 島岡大遺跡 第12次調査 (附属 図書館

)で

出土 した棒火矢、鹿 田遺跡第14次調査 (医学部 附属病 院病棟

)で

確認 した近世 の溜 め池状遺構 、鹿 田遺跡 第

7次

調査 (医学部基礎棟

)で

出土 した猿形

木製品が あげ られ る。

棒 火矢 は幕末 頃の砲術 に使用す る武器で あ るが 、全 国的 に も、 これ ほ ど完形 に近 い状態 で 出土 した例 は無 く、

2002年 度 に山陽新 聞で取 り上 げ られ、その後 、2003年 度 には読売新 聞で も紹介 された。鹿 田遺跡 の溜め池状遺構 は、現地説明会の前 に山陽新 聞で報告 された。鹿 田遺跡第

7次

調査 の猿形木製 品は、かつてその希少価値 か ら新 聞報道が あ つたが 、類似資料 か ら使用方法 に関す る分析 が進 んだ こ とを受 けて山陽新 聞が取 り上 げた。 (山)

2.資 料 ・施 設 等 の利 活 用

(1)教 育機 関への支援

(授

業等の受 け入れ

)

①   博物館学実習 :8月

1日

8日

例 年通 り、岡山大学文学部が実施 してい る学芸員資格取得 のための授 業 (博物館 学 実 習

)の

受 け入 れ を行 つ た。期 間は、 8月 1日 〜8月 8日の なかで6日 間であ る。全体 を

3グ

ルー プに分 けて、それぞれ2日間の受講 日 程 を組 んだ。 内容 は、埋 蔵文化財 の取 り扱 い方 に関す る知識 を体験 で きる ように設定 してい る。幸 い に、同時期 が鹿 田遺跡第14次調査 の発掘調査 中であった ことか ら、第 1日 目は発掘調査 、第2日 目は本 セ ンター施設 内で出 土遺物 の洗浄 ・注記・接合作業 を実施 した。 さらに、展示 コーナー を利用 して、大学内 に広が る構 内遺跡 の概要 説 明 とともに遺物 の展示状況 を見学 し、埋蔵文化財 が 出土 してか ら一般 に公 開 され る までの一連 の作業工程 を組 み込 んだ。その他 に、木器の保存処理作業 の体験 も一部で行 つた。

(15)

第2節

 

調査成果の公開・活用

 

中学生 の職場体 験 :11月19日〜20日 ・21日、岡山市立高松 中学校 。竜操 中学校、生徒計

5名

岡山市 内の 中学校 か ら、「中学生 の職場体験」 の受 け入れ依頼が

2件

あ った。

1件

は昨年 に も依頼 された岡山 市立高松 中学校 で、 もう

1件

は、今年度新 たに申 し入れのあった岡山市立竜操 中学校 である。担 当教論 との打 ち 合 わせ な らび に生徒 の下見 を経 た後、職場体験 を実施 した。作業 内容 にあたっては、竜操 中学校 の教諭 か ら、

「大学研究者の仕事 も伝 えて欲 しい。」 との希望 があ ったため、通常、 よ く行 われている埋蔵文化財資料 に関す る実務 的な体験 だけで はな く、考古学研究室の協力 を得 て、研究活動面の実態 に触 れて もらうことを新 たに盛 り 込 んだ。

期 間 は、 岡山市立高松 中学校 の 中学

2年

3名

が11月 19日 (水

)〜

20日 (木)、 岡山市立竜操 中学校 の中学2 年生

2名

が11月 19日 (水

)〜

21日 (金

)で

あ る。内容 は、第 1日 目に本 セ ンターの施設見学・室内整理作業、第

2日 目に考古学概論受講・文学部の考古学研究室見学 ・考古資料展示室見学等 、そ して午後 に鹿 田遺跡第14次調 査 の発掘体験 を予定 した。 しか し、第2日 目の天候が悪い予報が出たため、急返予定 を組み替 えて以下の ような 内容 となった。

第 1日 日午前 :本セ ンターの施設見学 と概要説明後、室内整理作業 を実施。図書整理、施設内の整理 ・整頓 午後:鹿田遺跡 第14次 調査 の発掘 (残念 なが ら、降雨のため短時間の体験 となった。)。 土器注記 第2日 日午前 :考古学概論受講 、文学部考古学研究室見学、考古資料展示室見学 ・掃除・遺物 の展示作業体験 、

午後 :出 土土器 の洗 浄・接 合 。注記作 業。

第3日 日午前 (竜操 中学生 のみ

):施

設 内整理 、 レポー ト作成

 

中学生 の総合学習

。岡山市立京山中学校生徒見学

(2  調 査 。研 究 へ の支 援

①   資料提供

(一

般〉・ 縄文時代後期土器

(津

島岡大遺跡第

15・ 17次

調査 ):2件

・ 植物遺体 一種子 (津島岡大遺跡

):1件

・ 磨 り石 ・敲 き石 (津島岡大遺跡 ・鹿 田遺跡

):1件

・ 飯蛸壷 (鹿田遺跡第

5次

調査

):1件

。年代測定資料 (津島岡大遺跡 第3・ 5・ 15次調査 、鹿 田遺跡第

7次

調査

):1件

津 島岡大

3次

―弥生早期土器 ・堅果類 、同

5次

―縄文後期土器 ・堅果類

同15次 ―縄文後期土器 。弥生早期土器、両時期 の竪果類、鹿 田

7次

―古墳初頭土器 (学 生)・ 縄文時代後期土器 (津島岡大遺跡 第17次調査

):1件

―岡山大学考古学修士課程

・ 猿形木製品 (鹿田遺跡第

7次

調査

):1件

―名古屋大学博士課程

②   図書の外部貸 し出し

:21件 (岡

山大学文学部学生他

)

③   保有機器の外部利用

:鉄

製品の保存処理 1件

(岡

山大学文学部考古学研究室

)

(3)資 料 の貸 し出 し

①   出版物への資料提供

・ 考古資料大観 (小学館

):鹿

田遺跡 第

1次

調査 ―古墳 時代 初頭 の本製短 甲・古墳時代後期 の土器一括

・ 季刊考古学84号 (雄山閣

):鹿

田遺跡第

1次

調査 一古墳時代初頭 の甕

(16)

第4章

 

調査資料の整理・研究お よび公開・活用

 

他機関の展示・ 公開支援

(写真)・ 大阪府立弥生文化博物館 :津 島岡大遺跡第

3次

調査 ―弥生時代早期 。前期土器

・ 岡山県立博物館:鹿田遺跡第

5次

調査 ―鎌倉時代井戸

・ 岡山県古代吉備文化財セ ンター:鹿田遺跡・津島岡大遺跡

〈 遺物〉・ 大阪府立弥生文化博物館

:津

島岡大遺跡第3次 調査―弥生時代早期 。前期土器

・ 岡山県立博物館

:鹿

田遺跡第5次調査―鎌倉時代井戸出土遺物

(牛

頭骨・土師質土器皿

)

 

井戸枠模型

(山)

第 3節 2003年 度調査研究員の個別研究活動

1.科 学研 究 費採択状 況

山本悦世

:平

15年

度科学研究費

(基

盤研究 C)「

4邑

文時代から弥生時代における景観比較と植物遺体の標本

化」 :研 究代表者

岩崎志保 :平 成15年度科学研究費 (若手研究

B)「

東周時代墓葬の比較考古学的研究」 :研 究代表者

平成15年度科学研究費 (基盤研究

C)聯

電文時代 か ら弥生時代 における景観比較 と植物遺体 の標本 化」(研究代表者

 

山本悦世

):研

究分担者

横 田美香 :平 成15年度科学研究費 (基盤研究

C)聯

電文時代 か ら弥生時代 における景観比較 と植物遺体 の標本 化」(研究代表者

 

山本悦世

):研

究分担者

2.論 文・資料報告

山本悦世

:『

津島岡大遺跡

14』 (編

)

「津島岡大遺跡における生業変遷―貯蔵穴と水田の実態」『津島岡大遺跡

14』

岡山大学埋蔵文化財調 査研究センター

『遺跡出土の種子集成図録』

(共

著 )平 成

15年

度科学研究費

(基

盤研究 C)聯 鼠文時代から弥生時代に おける景観比較 と植物遺体の標本化」の報告の一部

岩崎志保

: F遺

跡出土の種子集成図録』

(共

著 )平

15年

度科学研究費

(基

盤研究 C)聯 鼠文時代から弥生時代に おける景観比較 と植物遺体の標本化」の報告の一部

野崎貴博

:「

吉備地域 における円筒埴輪製作技法の伝播 と受容」『埴輪―円筒埴輪製作技法の観察・認識・分 析―』第

52回

埋蔵文化財研究集会実行委員会

忽那敬三

:「

石器組成からみた縄文時代後期集落の空間利用」『津島岡大遺跡

14』

岡山大学埋蔵文化財調査研究

セ ンター

「『子 ども観』 の系譜 ―子 ども墓 の比較 を通 して一」『文化の多様性 と比較考古学』考古学研究会50周 年記念論 文集

高田浩司

: F津

島岡大遺跡

13』 (編

)

(17)

第3節  2003年度調査研究員の個別研究活動

「津島岡大遺跡における縄文時代後期の炉」『津島岡大遺跡

13』

岡山大学埋蔵文化財調査研究セン

ター

『弥生 ・古墳時代 の手工業生産 と集 団関係』(岡山大学大学院文化科学研 究科提 出学位論文)

光本   順

: F認

知考古学 とは何か』青木書店

(共

者、執筆部分「世界像 としての古墳被葬者の身体―死者の身体 をめ ぐる行為 と認知―」

)

「行為 と身体の考古学における方法 と実践

(素

描 )一 弥生時代か ら古墳時代 を事例 として一」『メ タ・アーケオロジー』第 4号

「身体の考古学と儀礼研究」

F文

化の多様性 と比較考古学』考古学研究会

50周

年記念論文集

「近代的身体と考古学」『シンポジウム近現代考古学の射程』

3.研 究発表等

山本悦世:「生業か ら見 た縄文 か ら弥生へ の変遷 ― ドングリ貯蔵穴か ら水 田―」東京大学公 開セ ミナー (9月27日)

「埋蔵文化財から見る鹿田荘」

F岡

山市立御南公民館むか し探検隊』

(10月 5日 )

「鹿田遺跡の調査成果」考古学研究会例会発表

(11月 8日)

岩崎志保

:「

呉墓 と呉系遺物からみた春秋戦国時代の社会」 日本中国考古学会九州支部例会発表

(4月 12日)

「埋蔵文化財から見る鹿田荘」『岡山市立御南公民館Ⅲかし探検隊』

(10月 5日 )

野崎貴博

:「

吉備地域における円筒埴輪製作技法の伝播 と受容」第

52回

埋蔵文化財研究集会

(8月 17日)

忽那敬三

:「

発掘の基本 と実際」加古川市民生涯大学講師

光本

 l贋 :「

吉備の陶棺」倉敷埋蔵文化財センター秋の考古学講座

(11月23日)

「岡山地域の分銅形土製品における身体表現の二相―型式学的検討と比較から一」人類史研究会第

15

回大会

(3月21日)

4.資 料収集 。実態 調査

山本悦世:縄文 時代 中期 末 〜後期土器 の実見 (岡山県)

縄文 ・弥生遺跡 の実態調査 (石川県、富 山県、神奈川県)

四国 における古代 。中世土器 の調査 (愛媛県)

岩 崎志保 :縄文 時代 中期末 〜後期土器の実見 (岡山県)

縄 文 ・弥生遺跡の実態調査 (石川県、富 山県)

野崎貴博 :中 ・後期古墳 の踏査 (愛媛県)

高 田浩司 :古墳 の踏査 、銅鏃 ・石器 の実見 (岡山県、香川県、東京都、埼玉県)

光本

 

順 :弥生時代絵 画資料 ほかの調査 (奈良県・愛知県)

忽那敬三 :縄文時代 の足型付土 製 品の資料調査 (財団法 人北海道埋蔵文化財 セ ンター、苫小牧市博物館)

参照

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