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論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表
学位規則第 8 条に基づき、論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する。
○氏名 仲江 朋史(なかえ ともふみ)
○学位の種類 博士(理学)
○授与番号 甲 第 1037 号
○授与年月日 2015 年 3 月 31 日
○学位授与の要件 本学学位規程第 18 条第 1 項 学位規則第 4 条第 1 項
○学位論文の題名 超原子価ヨウ素種を鍵とするアルキン側鎖活性化型網羅的スピ ロ環構築法の開発
○審査委員 (主査)北 泰行 (立命館大学薬学部教授)
岡田 豊 (立命館大学生命科学部教授)
民秋 均 (立命館大学薬学部教授)
<論文の内容の要旨>
スピロ環骨格は優れた生物活性天然物に多く見られる重要な部分骨格である。そのた め天然物や構造活性研究に必要な類縁体の合成を行う上で、官能基化を伴うスピロ環化合 物群の網羅的な合成法の開発が求められている。学位申請者の研究室では、三価の超原子 価ヨウ素反応剤を利用したフェノール環の活性化による脱芳香族型スピロ環合成法を開発 し、生物活性天然物の全合成へと応用し、その有用性を示してきた。
今回、申請者は新たなスピロ環構築法の展開として、アルキンの活性化に基づく官能基 化スピロ環構築法の開発に着手した。類似のハロニウムカチオン求電子種を用いる方法で は、導入できる官能基が主にハロゲンに限られ、生じるビニールハロゲンの置換反応を用 いてスピロ環上の官能基化は困難であり、またこれ迄スピロ環の不斉構築は成功例が無か った。そこで、ハロニウムカチオンの代替として求電子剤に超原子価ヨウ素種を用いるス ピロ環形成反応で生成するビニールヨードニウム化合物を用いると、スピロ環上にさまざ まな官能基が可能となり、さらに反応剤の構造修飾による不斉スピロ炭素構築への展開が 期待できると考え研究に着手した。
その結果、一分子内に二つのヨウ素部位を持つビスヨードアレーンを有機触媒として用 いることで、効果的な本スピロ環構築に成功した。更に反応中間体の解明に関する研究を 行い、本知見を基に様々な求核種導入を検討し、本反応を官能基網羅的スピロ環状化合物 の合成法へと展開させた。本法を応用し、優れた生物活性天然物の部分骨格として重要な 脱芳香族型オルト位スピロ環を標的とし、不斉反応を検討した。結果、スピロビインダン
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型キラルヨウ素化合物を用いることにより、効果的な不斉誘起に成功した。
<論文審査の結果の要旨>
本論文は有機分子触媒として構造修飾を施した超原子価ヨウ素種を用いることで、ア ルキンの活性化に基づくスピロ環化と、様々な官能基導入が伴う、不斉合成が可能な新し いスピロ環構築法の開発に成功したものである。
本成果はこれまでの超原子価ヨウ素を用いた芳香環を活性化するスピロ環化とは異なる、
新しい側鎖官能基の活性化を経る手法で、側鎖スピロ環上の多様な官能基化誘導体を容易 に得ることできる。またレアメタルを用いない環境調和型の反応で、緩和な条件下で強固 な炭素-炭素結合を形成する。従来のハロニウムカチオンを用いた手法では不可能だった、
様々な求核種導入と不斉スピロ環構築が可能な手法である。成果を要約すると、
1. 一般的な超原子価ヨウ素反応剤では困難な、不活性なアルキンの活性化を経て強固な炭 素-炭素結合を形成する本スピロ環化を検討した。その結果、一分子内に二つのヨウ素 活性部位を持つビスヨードアレーンを有機触媒として用いることにより、効果的なスピ ロ環化と続く求核種導入による官能基化スピロ環構築に成功した。
2. 反応中間体に関する研究を行い、ビスヨードアレーンを用いた際に、ヨードニウム塩中 間体が安定に得られることを明らかにした。本知見を基に窒素や硫黄、ハロゲン系の 様々な求核種導入に成功した。
3. 本法を応用し、優れた生物活性天然物の部分骨格として重要な脱芳香族型オルト位ス ピロ環を標的とし不斉骨格構築を検討した。その結果、キラルなスピロビインダン型ヨウ 素化合物を有機触媒として用いることにより、フェノール酸素のオルト位での炭素-炭素 結合形成を伴う不斉誘起を実現した。またキラルなヨードニウム塩中間体を経由すること により、窒素、ハロゲン、硫黄求核種を導入し、官能基網羅的な脱芳香族型オルト位スピ ロ環化合物群の高効率不斉合成に成功した。
本論文の審査に関して、2015 年 2 月 2 日(月)14 時 40 分~15 時 20 分 EW6F 演習室 2
において公聴会を開催し、申請者による論文要旨の説明の後、審査委員は学位申請者 に対する口頭試問を行った。各審査委員および公聴会参加者より、ヨウ素活性種や反応中
間体の構造、不斉誘起のメカニズムに関する質問がなされたが、いずれの質問に対しても 申請者の回答は適切なものであった。よって、以上の論文審査と公聴会での口頭試問結果 を踏まえ、本論文は博士の学位に値する論文であると判断した。
<試験または学力確認の結果の要旨>
本論文の主査は、本論文提出者と本学大学院生命科学研究科博士課程後期課程在学期間 中に、研究指導を通じ、日常的に研究討論を行ってきた。また、本論文提出後、主査およ び副査はそれぞれの立場から論文の内容について評価を行った。
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本論文提出者は、本学学位規程第18条第1項該当者であり、論文内容および公聴会での 質疑応答を通して、本論文提出者が十分な学識を有し、課程博士学位に相応しい学力を有 していると確認した。
以上の諸点を総合し、本論文提出者に対し、「博士(理学 立命館大学)」の学位を授与 することを適当と判断する。