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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名

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Academic year: 2021

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((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名

Arpaporn Deeraksa

審 査 委 員

主 査 松 下 一 信 ◯ 副 査 森 信 寛 ◯ 副 査 澤 嘉 弘 ◯ 副 査 山 田 守 ◯ 副 査 横 山 和 平 ◯

題 目

Genetic Study of Pellicle Polysaccharide Synthesis in Acetobacter tropicalis

審査結果の要旨(2,000字以内)

耐熱性酢酸菌 Acetobacter tropicalis SKU1100 はガラクトース、グルコース及びラムノース から成る細胞に結合した菌膜多糖を生成し、静置培養において培地表面にその菌膜を形成して 生育することができる。この菌株は、他の酢酸菌と同様に、菌膜生成能を有し Rough コロニー をつくる R 株と菌膜生成能を失い Smooth コロニーをつくる S 株とに分離することができ る。そこで、本研究は、その R 株から菌膜生成能を失い S 株様に変異した菌株を分離する ことで、本菌の菌膜生成に関与する遺伝子を明らかにし、その遺伝子機能の解析をすすめるこ とを目的としている。

まづ、トランスポゾン Tn10 を用いて菌膜生成能を失った菌株を分離し、Pel-と名付けた。

そのTn 変異株は、S 株と同じ形態的性質を示し、菌膜多糖の生成能を失い、培地中に菌体 外多糖を生成するこを見いだした。次に、その株の Tn10 挿入部位を探索し遺伝子解析を行 った結果、polABCDE 遺伝子群の polE に変異が入っていることを明らかにした。この Pel- 株 に、polE 遺伝子をプラスミッドで導入すると R 型への復帰が認められたが、このプラスミッ ドは Pel- 株だけでなく自然変異株である S 株の形質をも R 型に変換することが示された。

そこで、自然変異 S 株をランダムに選択し、その polE 遺伝子の配列を解析したところ、

調べられたすべての変異株は polE 遺伝子中に存在する繰り返し配列(7つの連続する C 配列)

中で起こるスリッページ反応であることが明らかとなった。

トランスポゾン変異によって見いだされたpolABCDE 遺伝子群の polABCD 部分について は、それらが dTDP-ラムノースの合成に関与する rfbBACD 遺伝子群に高い相同性を示した。

そこで、この遺伝子群の polB の欠損株を作成すると、得られた変異株は S 株と類似の形質 を示し、菌体上にも菌体外にも多糖を生成することができなかったが、この ΔpolB 株に polB 遺伝子を導入するとその形質は回復した。そこで、dTDP-ラムノースの合成に関与する考えら

れる polABCD の個々の遺伝子の機能を特定するために、polABCD 遺伝子群のそれぞれの遺

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伝子の破壊株を作成すると、得られたすべての遺伝子破壊株はすべて S 型の特性を示し、多糖 の菌体および菌体外への生成が見られなくなった。次に、その機能が特定されている大腸菌 rfbBACD 遺伝子による相補を試みたところ、 polB rfbA で、polCがrfbC で、polD が rfbD でそれぞれ相補されることが明らかとなった。しかしながら、polAについてはどのrfb遺伝子で も相補することができず、大腸菌 rfbB の酢酸菌中での発現に問題があると考えられた。

いずれにしても、これらの遺伝子群 polABCDが揃って多糖(ラムノース前駆体)合成に関与し ていると判断して間違いないことが明らかとなった。

本研究では、さらにUDP-ガラクトースの合成に関与する galE遺伝子の解析も行われた。

他菌株のgalE遺伝子の相同領域から作成したプライマーを基に、本菌のgalE遺伝子をPCR クローニングし、その配列決定した。その結果、得られた遺伝子はUDP-galactose 4-epimerase をコードするものと高い相同性を有することが明らかになった。続いて、その遺伝子破壊株 を作製しその表現型を調べたところ、この欠損変異株は菌膜と菌膜多糖の生成能を失っていた が、Pel-株と同様に、菌体外に多糖を排出するようになっていることが明らかとなった。その 多糖を精製し性質を調べることによって、この菌体外多糖は野生株の菌膜多糖とは明らかに 異なり、グルコースとラムノースから成るより粘性の高い新規な多糖であることが明らかと なった。

このようにして、本研究は、酢酸菌 Acetobacter tropicalis polABCD 遺伝子群によって 菌膜多糖のラムノース前駆体の合成を、galE遺伝子によってガラクトース前駆体の合成を行っ いること、polEが多糖の膜結合もしくは複合化反応に関与していて、その遺伝子に変異が入る ことで菌株の R-S 変換が起こしていること等を明らかにした点で画期的な研究成果である と評価された。加えて、本研究は、polE などの多糖生成遺伝子欠損株が酢酸菌に重要な酢酸 耐性能を失わせること、さらにpolE 変異や galE 変異によって菌体外に異なる構造をもち、

かつ高い粘性を示す特異な高分子多糖を生産できることも明らかにし、それら多糖の酢酸醸造 や多糖利用産業への応用にも道を開くものとして高く評価された。

参照

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