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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名

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Academic year: 2021

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((別紙様式第7号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名

Wichai Soemphol

審 査 委 員

主 査 松 下 一 信 ◯ 副 査 森 信 寛 ◯ 副 査 川 向 誠 ◯ 副 査 山 田 守 ◯ 副 査 阿座上 弘 行 ◯

題 目

Molecular biological study of sugar alcohol oxidation systems in thermotolerant Gluconobacter strain(耐熱性グルコノバクター酢酸菌における糖アルコー ル酸化系の分子生物学的研究)

審査結果の要旨(2,000字以内)

グルコノバクター属酢酸菌は、糖や糖アルコールの不完全酸化を触媒する数多くの膜結合型脱水素 酵素によって、培地中に著量の酸化生成物を蓄積する。こうした性質から、ビタミンC生産の重要な 中間生産物であるL-ソルボースのような、有用物質の工業的発酵生産に利用されている。グルコノバ クター属酢酸菌の膜結合型脱水素酵素の中に、D-ソルビトールを酸化する2種類の脱水素酵素が存在 していて、L-ソルボース生産を担っている。一つはFAD依存性ソルビトール脱水素酵素(FAD-SLDH)

で、もう一つはピロロキノリンキノン依存性グリセロール脱水素酵素(PQQ-GLDH)である。これま でに、タイで単離された耐熱性酢酸菌Gluconobacter frateurii THD32を用いて、FAD-SLDHの構造遺伝 子を含むDNA領域がクローン化され、その構造遺伝子sldSLCの上流域に、転写調節因子と推定され るsboRと NAD(P) 酵素と予想されるsboAが見つかっている。

本研究ではまず、G. frateurii THD32のsldSLC遺伝子オペロンの上流域に存在するsboRとそれに隣 接するsboAの機能を解析している。SboAは大腸菌で発現され精製されて、NADPH依存性L-ソルボ ース還元酵素(NADPH-SR)活性を持つことが示された。また、sboA 欠損変異株を作製し、それが

L-ソルボースでの生育が顕著に悪くなることから、SboA が L-ソルボースでの生育に必要であること

が示された。一方、sboR欠損変異株では、FAD-SLDH活性の発現には影響がなく細胞質のNADPH-SR の活性が高くなり、L-ソルボースでの生育が野生株よりも良くなった。sboRA はオペロンを形成して いることも示され、sboRはsldSLCのD-ソルビトールによる発現誘導には関係せず、sboAの発現抑制 にだけ関与していることが明らかになった。

本研究では次に、D-ソルビトールの酸化に関わる2種類の膜結合型酵素の生理学的役割の違いにつ いて解析している。PQQ-GLDH欠損株を作製すると、本菌のL-ソルボース生産の遅延とその蓄積量

(2)

の低下が起った。また、その欠損株のD-ソルビトール酸化活性が野生株よりもシアンに耐性であり、

プロトン排出能力も野生株や FAD-SLDH 欠損株よりも低下していることを明らかにした。この結果 は、PQQ-GLDHが末端オキダーゼの一つチトクロームオキシダーゼbo3に連結しL-ソルボース生産と エネルギー生成に主要な役割を担っているのに対して、FAD-SLDH はもう一つの末端オキシダーゼ CIO(シアン耐性オキシダーゼ)により強く連結していることを示唆している。さらに、FAD-SLDH は、L-ソルボースで誘導生産されることも明らかとなり、高濃度のD-ソルビトールがPQQ-GLDH に

よってL-ソルボースに変換・蓄積され、しかもまだD-ソルビトールが残存している時に、NADPH-SR

とともに誘導・生成されて、ソルボースの資化・利用に関与していることも示唆されている。

このように、本研究では、グルコノバクター属酢酸菌のソルボース発酵の生理学的解析を分子レベ ルで行い、L-ソルボース資化に関与する酵素系の遺伝子発現調節やソルビトール酸化系呼吸鎖の構成 や機能について、多くの新知見を提出した。それ故、本研究は、基礎研究としても、また酢酸菌・酸 化発酵の応用研究としても高く評価される成果をあげていると判断された。

参照

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