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学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 飯 塚 大 輔

学 位 論 文 題 名

G2 期チェックポイント阻害による

放射線誘導細胞致死効果のメカニズムに関する研究 学位論文内容の要旨

  

近 年 ,が んの 放射 線治 療に おい て化 学療 法剤 と放 射線 の併 用 が, 両者 の作 用 を 増 強 す る 方 法 と し て 臨 床 に お い て 試 み ら れ て い る 。 当 研 究 室の 以前 の研 究 で ,

ECyd

と 放 射 線 を 併 用 す る こ と で 放 射 線 照 射 単 独 で は ア ポ トー シス を引 き 起 こ さ な い が ん 細 胞 に お い て ア ボ ト ー シ ス 誘 導 の 増 強 な ら び に細 胞増 殖死 誘 導 の 増 強 を 見 い だ し た 。 そ の 際 ,

G2

期 チ ェ ッ ク ボ イ ン ト 関 連 たん ぱく 質発 現 や 抗 ア ポト ーシ スた んぱ く質 発現 の低 下が 重要 であ るこ とが 明 らか にさ れた 。 し か し な が ら ,

ECyd

の 非 特 異 的 な

RNA

合 成 阻 害 効 果 に よ り , ど の 分 子 が こ の 放射 線誘発アポトーシスの鍵に なっているのか明らかとなっていなb 丶・。近年,

G2

期 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト の 制 御 因 子 で あ る

Cdc2

が 抗 ア ポ 卜 ー シ スた んぱ く質 で ある sur vlvln の活性を調節することが報 告された。survivin はG2/M 期において発 現量 が最 大に なり ,Cdc2 に よ って りン 酸化 され ると

caspase‑3

と複合体を形成す る た め ,ア ポト ーシ ス誘 導が 阻害 され るこ とが 知ら れて いる 。 本研 究で は, 放 射 線 照 射 さ れ た 細 胞 に お い て ,

G2

期 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト を 標 的 とし ,そ の活 性 化 を 阻 害 す る こ と に よ り , 細 胞 死 を 増 強 で き な い か 検 討 す る ため に, この

G2

期 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト の 主 要 な 制 御 因 子 で あ る

Cdc2

に 着 目 し ,

Cdc2

キナ ーゼ 活 性阻害剤であるpurvalanolA を用いた。

  

放 射 線 照 射 き れ た

MKN45

細 胞 で ,

Cdc2

キ ナ ー ゼ 活 性 の 上 昇 ,

G2

期 チ ェ ッ ク ポイント関連たんぱく質(リン酸化Cdc2 ,cyclin B .1 )の増加とそれに続くG2 期チ エ ッ ク ポ イ ン ト の 活 性 化 が 観 察 さ れ た が ,

purvalanolA

を 処 理 す る こ と に よ り ,

Cdc2

キ ナー ゼ活 性と

G2

期 チェ ック ポイ ント 関連 たん ぱく 質 発現 を抑 制し , 細 胞 周 期 の

G2

M

期 分 画 を 減 少 さ せ た 。 さ ら に , こ の 処 理 は 野生 型p53 を持 つ

MKN45

細 胞 と 変 異 型

p53

を 持 つ

MKN28

細 胞に おい 、て も, 放射 線 誘発 アポ トー シ ス 誘 導 の み な ら ず , 細 胞 増 殖 死 の 増強 を引 き起 こし た。

IAP

フ ァミ リー メン パ ーであるsurvivin とXIAP ,Bcl ‐2 ファミリ ーメンバーであるBcl −XL とBc 卜2 といっ た 抗 ア ポ ト ー シ ス た ん ぱ く 質 の 発 現 は , 放 射 線 照 射 の 有 無 に 関 わ ら ず

purvalanolA

処 理 に よ っ て 有 意 に 減少 した 。ま た, 放射 線照 射 でミ トコ ンド リ ア か ら の

cytochromec

の 放 出 が 促 進 さ れ て お り ,

purvalanolA

と放 射線 によ る

caspase

3

の 活性 化断 片が

purvalanolA

単 独と 比較 して 有 意に増加していたこと から ,放 射線 照射 きれ たが ん 細胞においてミトコンドリア /caspase ー3 依存性ア ポ ト ー シ ス シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に 対 する 抑制 的な 機構 をpurvalanolA が解 除す る ということが強く示唆された。

1094 ‑

(2)

  

結諭として,サイクリン依存性キナーゼ阻害剤であるpurvalanolA は放射線

誘発Cdc2 キナーゼ活性化とG2 期のチェックポイントに関わる制御因子の発現

を効率的に抑制するこ、とが示された。その上,purvalanolA 処理は放射線誘発

細胞増殖死の有意な増加を引き起こした。このようにpurvalanolA によるCdc2

キナーゼ 活性阻害によりG2 期チェックポイントを抑制することで倣射線誘発

細胞死が増強できることから,G2 期チェツ.クポイント阻害ががんの放射線治

療の標的となりうることが示唆された。

(3)

学位論文審査の要旨 主査    教 授    桑原幹 典 副査    教 授    松田    彰 副査    教 授    伊藤茂 男 副査   助教授   稲波   修

学 位 論 文 題 名

G2 期チェックポイント阻害による

放射線誘導細胞致死効果のメカニズムに関する研究

  放 射 線と 抗 が ん 剤 の併 用 処 理 に より が ん の 治 療 効率 が 上 が る こと が 知 ら れ ′て い る 。実 際に、 以前の 研究 で、X 線 照 射 と 抗 が ん 剤 エ チ ニ ル シ チ ジ ン と を 併 用 処 理 する こ と に よ り 、放 射 線 抵 抗 陸が ん 細 胞 に おい て ア ポ ト ーシ ス な ら ぴ に 増 殖 死 が と も に 増 強 さ れ る こ と を 報 告 し た 。 そ の メ カ ニズ ム と し て ,エ チ ニ ル シ チジ ン に よ るG期 チ ェ ッ ク ボ イ ン ト 関 連 蛋 白 質 発 現 な ら び に 抗 ア ポ ト ー シ ス 蛋 白 質 の 発 現 抑 制 が 考 え ら れ た しか し な が ら 、エ チ ニ ル シ チ ジ ン がRNA合 成 全 体 を 阻 害 す る 薬 剤 で あ る こ と か ら , 併 用 処 理 効果 と 関 係 す る 蛋白 質 を 特 定 する こ と は 困 難 で あ っ た 。 近 年 ,G蝴 チ ェ ッ クポ イ ン ト 制 御因 子 で あ るCdc2( サ イク リ ン 依 存 陸キ ナ ー ゼ ) が抗 ア ポ ト ー シ ス 蛋 白質 サ バ イ ビ ン の活 性 を 調 節 する こ と が 報 告さ れ た 。 さ らに 、 サ バ イ ビ ンの 発 現 はG2期 で 最 大 に なり,

Cdc2によル リン醪H匕 され、 カスノ ぐーゼ ぅと 複合体 を班垣jけ .るこ とによ ルア ポトー シスを阻害することも幸時告さ れ た 。 本 研 究 で は , こ 蜘2期 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト 主 要#iYf因 子 で あ るCdc2に 着 目 し, 闘C2に 対し 強 い 阻 害 効果 を 有 す る ノ も ー ノ く ラ ノ ー ッ レAを 用 い 、X線 と の 併 用 で 細 胞 死 増 強 が 起 こ る か 否 か を 検 討 し た 。   実 験 に 用 い た 細 胞 は 、 人 胃 が ん 細 咆 株 母 淵5MKN28で 、 そ れ ぞ れが ん 抑 制 遺 伝子5ヨ カ ミ 野生 型 と 変 異 型 の 株 で あ る 。MKN45細 日 包 に お い て ,X線 照 射 後 、G2斯 降 止 と と も にQlc2活 性 の 上 昇 ,G2期 チ ェ ッ クポ イ ン ト 関 連 蛋 白 質 ( リ ン 酸f匕dc2, サ イ ク リ ンBl等 ) の 発 現 増 加 が 観 察 さ れ た 。一 方 、 パ ッ くラ ノ ルAと の併 用 処 理 で は ,G2勢j停1ヒ角羽蜍とともに℃dc2活t生の抑制とG2期チェックオぞイント関連蛋白質の発現挧]制カ遡覗察され、これら の 現 象 と 平 行 し て 、X線 誘 発 ア ポ ト ー シ ス な ら び に 増 殖 死 の 増 強 が 観 察 さ れ た 。MKN28細 胞 で も 同様 の 結 果 が 得 ら れ た さ ら に 、 パ ` ッ く ラ ノ ツ レA処 理 に よ ル サ丿 ソ ビ ン 丶BdXLBd2等 の抗 ア ポ ト ー シス 蛋 白 質 のmRNA 発 現 が 有 意に 減 少 し , そ の結 果 , そ れ らの 蛋 白 質 そ のも の 発 現 も 有意 に 減 少 し て いる こ と が 観 察さ れ た 。 また , X線 照 射 細 胞 で ミ ト コ ン ド リ ア か ら の シ ト ク ロ ー ムcの 放 出 が 観察 さ れ た が 、ア ポ ト ー シ ス 誘導 は 観 察 さ れず 、 パ ッ く ラ ノ ルLと 併 用 処 理 し た と き の み 、 カ ス パ ー ゼ ‐3の 活 性 化 と と も に 、 ア ポ ト ー シ スが 観 察 さ れ 也こ の こ と か ら ,パ ッ く ラ ノ丶ll′LAが ミトコ ンドリ アか らカス パーゼ ぅを介 してア ポト ーシス に至る 経路に 作用 し、ア ポ トーシ スを誘 導し ている 可能性 も示唆 した。

  以 上 ,X線 照 射 と パー ッ く ラ ノ ッL′Aの 併 用処 理 に よ り 、pお 野 生 型 およ び 変 異 型 を問 わ ず 細 胞 死 すな わ ち アポ ト ー シ ス な ら び に 増 殖 死 が 増 強 さ れ る こ と が 観 察 され た 。 そ の メ カニ ズ ム と し て、 ノ ゃ ッ く ラノ ル に よ る 伽c2 阻 害 に 加 え、G2期 チ ェッ ク ポ イ ン ト関 連 蛋 白 質 の 発現 な ら び に 抗ア ポ ト ー シ ス蛋 白 質 の 発 現抑 制 が 考 え ら れた。

‑ 1096

(4)

パりく ラノ一 ′レAに よるG2期 チェッ クポイ ント関 連蛋白 質の発 現ならぴに抗アポトーシス蛋白質の発現抑制 は、パーバラノー.′レAの新たな陸質を示したものであり、その発見の意義は大きい。このように、本研究により G2期チ ェック ポイント を制御 するCdc2の役剖が明らかにされ、その蛋白質が放射線によるがん治療にとって重 要な位置を占めていることが示唆された

  本研 究は、 がんの放 射線治 療にー っの方r生を与えたものであり、その意義は大きkヽ。よって、審査貝一同 は ヒ 謝 専 士 論 文 提 出 者 飯 壕 欟 の 障 と 論 文 が 北 海i蛸 吠 潮 鯔 躯 潮 弼 剛 規 定 第8条 の 規 定 に よ り 本 職 科が行う博士論文の審査Iこ合格と認めた

1097 ‑

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