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博 士 ( 地 球 環 境 科 学 ) 近 本 め ぐ み

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Academic year: 2021

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博 士 ( 地 球 環 境 科 学 ) 近 本 め ぐ み

     学 位 論 文 題 名

Roles of Sedimentation Processes in the Oceanic Carbon Cycle     on the Glacial ― Interglacial Timescales

   (氷期ー間 氷期の時間 スケールにおける

海洋炭素循環変動に対する堆積過程の役割)

     学位論文内容の要旨

  海底堆積層内でおこる 堆積過程は、海洋炭素循環の 変動と関係しており、氷期一問氷期サイク ルにおける大気中の二酸 化炭素分圧の変動に対して重 要な役割を果たしている.堆積層では、炭 酸カルシウムの再溶解を通して、海水中のアルカリ度と全炭酸のバランスを数万年スケールで調整 し、それに伴う大気中の 二酸化炭素分圧の長期的な変 動に寄与する.また、堆積層では、海洋表 層で生物生産された有機 炭素、炭酸カルシウム、およ び生物起源シリカが埋没することで過去の 気候 変動 を記 録 している.大気中の ニ酸化炭素分圧の変動に対す る堆積過程の寄与を評価す る には、地質学的記録との比較ができる点からも、堆積モデルを用いた数値実験が有効である.しか しながら、これまで用い られてきた堆積モデルは、移 流スキームの再現性が悪いために、10cm程 度の深度に制限された準 定常的な堆積過程しか扱えな かった.そこで、本研究では高精度の移流 スキ ーム であ るCI:P‑CSL2ス キー ムを 用い て10cm以上の堆積過程 を表現できる堆積モデルを 開 発し 、堆 積モ デ ルの再現性、堆積過 程の応答を介した大気中の二 酸化炭素分圧と堆積分布の 応 答 、 お よ ぴ 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 分 圧 の 変 動 に 対 す る 堆 積 過 程 の 寄 与 を 調 べ た .   堆 積 層 の 深 度 を 従 来 の10cmと 新 た に100cmに 拡 張し た鉛 直 一次 元堆 積モ デル を 用い 、生 物起源シリカの海底に到 達するフラックスが急激に変 動する実験を行った,海底に到達する生物 起源 シリ カが 減 少す ると 、10cm深 度 の堆 積モデルは100cm深度の モデルよりも生物起源シリ カ の溶 解フ ラッ ク スを過小評価する. これは、10cm深度のモデルで は、10cm以深で起こる生物 起 源シリカの溶解と、10cm以深から堆積層表層へ鉛直上 向きに輸送される生物起源シリカの溶解と を考慮していなぃことに起因した.このことは、堆積モデルの深度を従来の10cmよりも深く設定す る必要性を示唆している .

  海 洋を4ボ ック スで 表 現し た海 洋物 質循 環 モデ ル(HILDAモデ ル )に 堆積 層を50cmに した 堆 積モ デル を結 合 させ、Rain比(海洋 表層で生物生産される有機炭 素に対する炭酸カルシウム の 比) の変 化に 伴 った堆積過程の変動 が大気中の二酸化炭素分圧お よび堆積分布に与える影響 を 調べ た. この モ デルではRain比を25%低下させると、堆積層内の 炭酸カルシウムの再溶解が 変 動し 、大 気中 の 二酸 化炭 素分 圧が2〜3万 年程度かけて約60ppm低 下した.この結果は、氷期 極 大 期 に お け る 大 気 中 の ニ 酸化 炭素 分圧 の80〜100ppmの 低下 をRain比の 変化 によ っ て説 明す

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るRain比 仮説 を裏 づけている. この応答において、炭酸イ オンの飽和深度は約2km下降 したのに 対し 、炭酸カルシウムの含有率の 鉛直分布を示す指標(ライソクライン)は300m程度しか変動しな かっ た.これは、海水中の炭酸イ オンの飽和深度が下降して溶けにくくなったために逆に炭酸カル シウ ムの埋没が増加した効果と、Rain比が減少して海底に達するフラックスが減少したために炭酸 カル シウムの埋没も減少した効果 とが相殺されたことに起因する.このことは、氷期極大期におい て、 炭酸イオンの飽和深度が現在 よりも数km深かった観測事実と、ライソクラインが全球平均でlk m以内 の変動であった観測事実と 整合する.

  堆積 過 程が 大気 中の 二 酸化 炭素 分圧 の変 動にどのような 影響を与えるかに関し、堆 積過程を 無 視し たclosed systemmILDAモデ ルの み) と、堆積過程を 考慮したopensystem(堆積 モデルと HHDAモ デ ルを 結合 )の 実 験を 行っ た. 低緯 度表層における 生物ポンプ(有機炭素およ び炭酸カ ル シウ ム の鉛 直輸 送) を 最大 に強 める と、c10sedsystemで は大気中の二酸化炭素分圧 が約4000 年 で18ppm低 下 し た . 一 方 、0p跚systemで は 、 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 分 圧 が 最 初の4000年 で c10sedsystemと同 様に低下した ものの、その後約10万年か けて初期値よりも33ppm増加 した.両 シス テムにみられる大気中の二酸 化炭素分圧の低下は、海洋 表層のアルカリ度と全炭酸が 深層へ 積極 的に輸送されたことに起因し 、これは一般的な解釈と一致する.一方、opensystemにみられる 大 気中 の 二酸 化炭 素分 圧 の増 加は 、有 機炭 素や炭酸カルシ ウムの埋没量の増加によっ て、海洋 における河川による流入と埋没による流出との非平衡状態が生じ、海水中の栄養塩や、アルカリ度、

全炭 酸の総量が減少したことに起 因する.これらの総量の減 少は、海水中の二酸化炭素濃 度の増 加と 、栄養塩濃度に比例した生物 ポンプの衰退をもたらすた め、大気中の二酸化炭素分圧 は結果 的に 増加に転じた.これらの応答 は、堆積過程の変動が、氷 期‐間氷期の時間スケールを かけて 海 洋物 質 循環 およ ぴ大 気 中の 二酸 化炭 素分 圧の変動まで大 きな影響を与えることを示 唆する.

  こ れまでの堆積モデルは、堆積 過程を生物攪拌が起こる10cmで活発化すると仮定され、 モデル 深度 を10cmに制限されていた.し かしながら、本研究ではlocmより深いところで起こる堆 積過程 を考 慮することで、準定常的では なく長時間変動を含めた堆 積過程の応答にも着目した, 本研究 結 果 は 、 堆 積 過 程 が 海 洋 炭 素 循 環 お よ び 大 気 中 の 二 酸化 炭素 分圧 の変 動 に氷 期一 間氷 期 の 時 間ス ケ ール で大 きく 寄 与す るこ とを 示し ており、これは 氷期―間氷期サイクルの気 候変動に 対し ても関連性を示唆している.

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨

   主 査    副 査    副 査    副 査    副 査

助 教 授    山 中 康 教授   池田元 教授   久保川 教授   吉川久

Assistant ProfSSOr      松本克

裕 美 厚 毒

美(ミネソタ大学地質学・

    地 球 物 理 学 部 )

     学位論文題名

Roles of Sedimentation Processes in the Oceanic Carbon Cycle     on the Glacial ― Interglacial Timescales

   (氷期一 間氷期の時 間スケールにおける 海洋炭素循環変動に対する堆積過程の役割)

  本研究では、堆積過程を取り扱うモデルを開発し、簡単な海洋物質循環モデルと組み合わせる ことにより、氷期‐間氷期の時間スケールにおける海洋炭素循環変動に対する堆積過程の役割を 明らかにした。

  堆積過程を考慮した海洋炭素循環の変動は、氷期‐間氷期の時間スケールにおいて大気中二酸 化炭素分圧の変動に大きく寄与する。本研究は堆積モデルにCIP移流スキームを適用し、モデル の再現性、大気中二酸化炭素分圧と堆積分布の応答、および大気中の二酸化炭素分圧の変動に対 する堆積過程の寄与を調べた。

    堆 積層 を従 来の10 cmと 新た な10 0cmと した 堆積 モデ ルを 用い 、海 底に 達する生物起 源シ リ カの フラ ック スが 変動 する 実験 を行 った 。10 cmのモデルでは、10 cm以深での生物 起源シリカの溶解と、10 cm以深から表層へ輸送される生物 起源シリカの溶解を考慮しないた め 、10 0cmの モ デ ル よ り 生 物 起 源 シ リ カ の 溶 解 フ ラ ッ ク ス を 過 小 評 価 し た 。   海 洋 物質 循環 モデ ル(HILDAモデ ル) に堆 積層 を50cmとした堆積モデルを結合し、Rain比

(海洋表層で生物生産される有 機炭素に対する炭酸カルシウムの比)を25%減少させた実験で は、 大 気中 二酸 化炭 素分 圧が約60 ppm低下した。このとき、炭酸イオン の飽和深度は2km下 降し、炭酸カルシウムの堆積深 度の指標(ライソクライン)は約30 0m変動した。これは、氷 期に炭酸イオンの飽和深度が数km深くライソクラインは全球平均でlkm以内の変動であった観測 事実と整合する。

  堆積過程を考慮した系(堆積 モデルとHILDAモデルを結合 )および堆積過程を考慮しない系

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(HILDAモデルのみ)において海洋の生物ポンプを強化すると、大気中二酸化炭素分圧は堆積過程 を 考慮しな い系で18 ppm低下し、堆積過程を考慮した系で33ppm増加した。両者の違いは、堆 積過程を考慮した系で堆積過程の変動に伴い海水中の炭酸系物質と栄養塩の総量が変化したこと に起因した。

  これまでの堆積モデルは、堆積過程を生物攪拌が起こる10cmで活発化すると仮定され、モデル深度 を10cmに制限されていた。しかしながら、本研究では10cmより深いところで起こる堆積過程を考慮する ことで、準定常的ではなく長時間変動を含めた堆積過程の応答にも着目した。本研究結果は堆積過程 が海洋炭素循環および大気中二酸化炭素分圧の変動へ大きく寄与することを示しており、これは 氷期―間氷期サイクルの気候変動にも関連している。

  審査員一同は以上の研究成果を高く評価し、また研究者として研鑚を重ねており、その研究に 対する態度も誠実かつ熱心であること、取得単位を満たしたことをあわせ、申請者が博士(地球 環境科学)の学位を受けるに十分な資格を有するものと判定した。

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参照

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