小学校算数科 「量 と測定 」
1
研究 の背景昨今、「学習意欲に関する項 目に肯定的に回答 した児童の方が、教科の平均正答率が高い傾向が 見 られた」(国立教育政策研究所2013)との報告 を受 ける一方で、全国学力・学習状況調査0014) の結果において、算数科「量 と測定」領域の平均 正答率が他の
3領
域に比べて、算数A、B共
に低 かつた。 さらに平成26年
中央教育審議会におい て 「課題 の発見 と解決に向けて主体的・協働的に 学ぶ学習や、そのための指導の方法等を充実 させ てい く必要がある」 と諮問が出 されている。これ らに対 して、指導法の改善策 としてグルー プ学習が考えられ る。グループ学習の効果につい ては、以前よ り「小学生を対象に、グループ学習 と一斉学習 による授業にお ける学業成績 を比較 し、グループ学習の方がよ り高い学業成績を示 し た」研究がなされている(Sharan et al.1980。 ま た、出 口(2003)の 報告では、Devries et al。 (1978) や市川・ 吉田 (1981)、
Lazarowitz&Karsemty
(1990)、 Sharan(1984)の 研究な どか ら「学業面 だけでな く児童・生徒の社会性や対人関係 とい う 側面に対 しても肯定的な効果を持 つている」こと がとらえ られている。
このよ うな先行研究からすれば、グループ学習 は、一斉学習が敷かれ る学校現場において、有効 な学習方法であることが考えられ る。しか し、グ ループ学習に関する問題点 として「考えない子が 出る場合がある」、「力のある子・集団の圧力に屈 服する子がでる場合がある」といつた指摘 もあ り、
「『 学習中に適切な相互作用ができない』 とい う 問題 は、グループ学習の結果に対 しても重要な影 響を及ぼす」ことが懸念 されている (例えば、橋 本1994)。 したがつて、グループ学習の導入に関 しては、十分に検討す る必要があることが考えら れる。
グループ学習の実践的工夫に関 しては、様々な
領 域 に お ける相 互 教 授 法 の活 用
授 業 実践 高度化 専攻 授 業 実践 開発 コー ス
P14024K
足立快斗
先行研究を確認す ることができるが、そのなかで 町・中谷(2014)の事例を取 り上げることができる。
それ は、協同学習の
1つ
であるPauncsar&
Brown(1984)の
相互教授法 を国語科のなかで 展開 した例である。相互教授法は、役割分担を行 いなが ら生徒間の相互作用 を進 める点が特徴で あるが、ここでは、読解方略の獲得に適用 し、読 解力の向上 とその持続的効果が確認 されている。相互教授法 に関す る研究は、町・ 中谷(2014) が指摘するよ うに、主に国語科における読解 (リ
テラシー
)の
課題が中心であ り、それ以外の教科 について十分 に検討 されてきていないのが現状 である。現在、算数科においても先行研究があまり見当た らず、相互教授法を活用 した事例検討は、
今後の課題 と受け止めることができる。
2
研究 目的 口方法上記の背景を受 けて、本研究では、小学校算数 科 「量 と測定」領域において、相互教授法を取 り 入れたグループ学習を導入 し、その効果について 検討す ることを目的 とした。研究方法 としては、
兵庫県
0市
内公立小学校第6学
年を対象 とし、前年度調査 (実践
I)な
らびに相互教授法の部分 的導入 (実践 Ⅱ)、 相互教授法の実践比較調査(実 践Ⅲ)と段階的展開を用意 した.そ
の概要は次章 の通 りである。3
研究概要(1)実
践I実践Iでは、第
5学
年を担当した (実践 Ⅱ・実 践Ⅲで第6学
年を担 当するため)。 主に算数科の 授業観察や机間指導を主 とし、実態把握に努めた。近年、学習到達度調査●ISAlや 国際数学・理科 教育動向調査CTIMSS)の学力調査の結果か ら、児 童 0生徒の学力低下が問題視 されている。そのた め、実践Iの最終 日には実態調査の一環 として、
平成
26年
度全国学力学習状況調査で実施 された アンケー ト項 目を引用 し、第5学
年3クラス(106 名)に対 して算数科における学習意欲に関するアンケー ト調査を実施 した。調査結果は「算数の勉 強は好きだ」、「算数の勉強は大切だと思 う」、「算 数の授業で学んだことは、将来大人になって社会 に出たときに役立つ と思 う」の質問項 目に対 して、
8割
以上の児童が肯定的な回答を していた。以上の結果か ら、調査対象校第
6学
年の多 くの児童 は算数科の授業に対 して意欲的に取 り組ん でいることが考えられ る。
(2)実
践 Ⅱ第
6学
年算数科「量 と測定」領域、「円の面積」授業 を行 うにあた り、これまでに受けてきた算数 科の授業 にお ける児童が経験 した協同学習 に関 するアンケー ト調査を行つた。
調査の結果、算数科におけるグループ学習を児 童は経験 していることが明 らか となった。しか し、
一人一人の役割分担の指示や グループ学習の進 め方 に関 しては十分に説明が されていない。よっ て、実践 Ⅱでは、グループ学習の際に一人ひ とり に役割 を与えた相互教授法 を授業内で導入す る ことによる児童への影響について検証 した。
授業後、相互教授法を取 り入れたグループ学習 についての事後調査を行つたが、相互教授 法の導 入の効果が十分 に得 られていない ことが考 え ら れた。 しか しなが ら、
4時
間中の1時間分のみ相 互教授法を取 り入れている点を考慮 し、継続的な 導入 による効果の検討 を行 う必要があると推察 され る。また対象児童のグループ学習を肯定的に 捉えている実態か らすれば、相互教授法の導入の 際に、どういった役割をグループ学習で与え、ど のよ うに進行 させ るのかが不明瞭、不十分であつ た可能性が考えられる。その点、効果測定に関 し ては、説明と慣れる時間の配慮がなされ る必要が あるととらえられた。(3)実
践Ⅲ①
研究概要
実践 Ⅱに引き続 き、第
6学
年を担当 し「量 と測 定」領域の「立体の体積Jに ついて授業を行つた。実践Ⅲでは、相互教授法を導入 し、与えられた 役割の他 にも役割設定可 としたグループ学習 を
進行 させたクラスI、 相互教授法を導入 し、与え られた役割のみでグループ学習 を進行 させたク ラスⅡ、役割 を与えられないグループ学習を進行 させたクラスⅢを比較 した。
②
検証結果・考察
授業前後にアンケー トを実施 し、平均値を算出 し、対応のある ι検定による統計分析を行つた。
アンケー ト項 目「三角柱の体積の求め方を考える 場面」、「三角柱の体積を求める場面」において、
クラスI、 クラスⅢのみ、有意差が認められた。
「問題演習の場面」においては、どのクラスにお いても点数が下が り有意差が確認できた。これは グループ学習導入 の必要性が無い ことを示 して いる。その他の項 目には有意差は見 られなかった。
上記の結果か ら、三角柱の体積について学んで いる場面、つま り単元における導入部分において はグループ学習 を導入す ることの有用性が明 ら かになった。導入部分で、ある程度体積の求め方 がわか り、それ以降の立体の体積については、自 分で考 えて解かせ る方が良かったのではないか
と考える。
また、児童が 自由に役割を決めて良いクラスI
クラスⅢのみ有意差が得 られたことか ら、教員が 示す役割 に加 えて、児童 自身で考えた役割を自由 に決められ る方が、グループ学習においては効果 的であるのではないか と考える。実際に、実践 Ⅱ において行つたアンケー トにおいて、「一人一人 に役割があつた方が作業は うまく進んだ」とい う 項 目に対 して、肯定的に回答 している児童は多か った。
これ らのことか ら、導入場面において相互教授 法を活用 したグループ学習は有効であ り、教員が 役割を決めた上で、自由に児童が役割を付け加え
させ ると効果的であることが考えられ る。
4。 今後の課題
①
小学校低・ 中学年の算数科「量 と測定」領域 における相互教授法の活用 とその効果
②
導入部分に加 え、展開、ま とめの部分におけ る相互教授法の活用 とその効果
修学指導教員 :溝邊和成、長澤憲保 指導教員 :溝 邊和成
高等学校 「国語表現」における
論理的に自分の意見を伝 えることを目指 した授業開発
l
研究の背景 と目的高等学校国語科 の課題 を各調査
(PISA調
査や全国学力・ 学習状況調査等、国立教育政策研 究所調査)よ り整理す る と、以下の通 りである。
自由記述の無答率が課題 とされてお り、その 中で も「根拠 を明確 に して 自分の考 えを具体的 に書 くこと」、「資料か ら適切な情報 を得て、伝 えたい事実や事柄が明確 に伝わ るよ うに書 くこ と
Jな
どの、論理的に 自分の意見 を文章に して 伝 えることが課題 とされ ている。以上 よ り本研究の 目的 は、「論理的に自分の意 見を伝 える
Jこ
とを 目指 した授業開発・ 授業実 践を行い、その効果 を検証す ることである。2
研 究の概要2・
1授
業の開発授業 を開発す るために、実践研究の方法 と し て、(1)学習内容 と(2)指導方法 を検討 した。
(1)学習内容
「論理的に 自分の意見を伝 える」ために、高 校生に不足 している学習内容 を各調査 よ り検討 し、以下の
5点
とした。趣 旨や主張 を把握す る こと、資料 との関係性 を洞察す ること、根拠 と しているデー タの信頼性 を考 えること、 自分 の 考えを人に伝 わるよ うに工夫 して説明す るこ と、評価す ること、である。
これ らの学習 を取 り入れ るために、「国語表現」
で授業 を行 い、教材 に
PISA調
査「落書 き」(以 下、教材 1)、 評論支 「水の東西J(以
下、教材2)を
用いる。教材 1は授業全体で使用 し、教育実践高度化専攻 授業実践開発 コース P140251 阿部
千翠 教材
2は
、文章表現の指導で、「対比」、「例示」、「根拠Jと いった内容 を学習す る際 に使用す る。
これ ら教材 を使用 し、「論理的に 自分の意見を 文章に して伝 えるこ と」 を学び、論理的に書 く
ことが求め られ る小論文 を作成 させ る。
(2)指導方法
「特定の課題 に関す る調査 (論理的な思考)
調査結果」(国立教育政策研 究所
2013)よ
り、調査の通過状況が比較的良好 な生徒 を教えてい る教師は、①〜⑩ ある指導項 目の中で、③⑥⑦
⑩ の回答が多い。そ こか ら、以下の指導方法を 取 り入れ ることとした。
③実用的な文章 を読み、 自分の考 えや意見を持 つて話 し合 う。⑥ 自分 の考 えや意見を、根拠を 明確 に してま とま りのある分量で書 く。⑦反論 を想定 して発言 した り疑問点 を質問 した りしな が ら討論す る。⑩課題 を設定 し、様 々な資料 を 調べ、その成果 をま とめて発表 した り、報告書 や論文 にま とめた りす る。
上述の指導方法を行 うにあた り、生徒の活動 時間が増 えることが予想 され る。
ICTを
活用す ることと、貼 り付 けるタイプのホ ワイ トボー ド の活用 を行 うことによ り、授業の効率化を図つ た。また、小論文 を作成 させ るにあた り、先行研 究 を参考 に、 自己評価、相互評価 、ポー トフォ
リオ評価 を取 り入れた。(以下、評価活動) 2・
2
授業実践2・1の内容 を取 り入れ開発 した授業 は、2015
表
1授
業内容時 間 開発実習の授業 内容 改 善実習の授業 内容
時 ロ ー
間 ★事前調査
「内容Jと 「ス タイルJ
に注意 してPISA調査 を解 こ う。
原 子 力 発 電 に つ い て 知 ろ つ.
時 目 2
間 良い文章だ と言 える根 拠 を探 し、根 拠 を示 して 意 見 をま とめよ う.
タブ レッ トを使用 し、客 観 的 事 実 を根 拠 に意 見 を ま とめ よ う。
時 目
3
間 客 観 的 根拠 を考 え よ う。 原子力発電 の是非 につい て発表 しょう.
時 日 4
間 構成や展開 に注意 して 構成 しよ う.
構 成 や 展 開 、今 ま での学 習 を 活 か して 撰 成 し よ
う。
時 目
6
間 ☆小 論 文 、自己37価 (―
回 日)
★事 後調 査
☆小 論 文 。自己評 価 (2 回 目)
相互 評 価 、ふ り返 リシー ト(意識 の変化)
年 9月 1日 か らの開発実習及び、10月 1日 か らの改善実習 にて、県立
Y高
等学校 で2ク ラス を対象 に行 つた。 開発 した授業 を表 1に示す。2・
3
授業実践の評価(1)学
習内容事前事後調査で教材 と同 じく
PISA調
査 よ り「インフルエンザ」を使用 し、授業 を通 して「熟 考・ 評価」す る力が身 についたか ど うかを評価 した。その結果、「形式 の熟考・評価」において 変化はみ られ なかつた。 しか し、事後には全員 が正答す ることができるよ うになつた。「内容の 熟考・評価」においては、両 クラス共 に事後の 正答率が高 くなった。
小論文の変化を質的・ 量的 に見 ることで、授 業を通 して生徒の文章作成能力 に変化があつた か ど うかを評価 した。 その結果、量的には、大 きな差 は見 られなかった。 しか し、一人ずつの 記述数の変化 をみ ると、大幅 に記述数が伸びた 生徒 (100字以上増 し
)が
六割 を超 えている。質的 には文章表現で指導 した内容が取 り入れ ら れ、構成ができるよ うになった と推察 された。
自由記述のふ りかえ リワー クシー トよ り、「対
比」「展開J「具体例」「根拠」といった文言が多 く見 られた ことか ら、授業で意図 した内容が意 識 され るよ うになった といえる。
(2)指
導方法ワー クシー ト等生徒 の記述 よ り、指導方法に お ける成果 を整理す る。
③⑦の指導 を、 日常的な話 し合 いやディベー トを通 して行 つた。生徒 は、他の人 を説得す る 中で、客観的な根拠 を意識す るよ うになった こ とが言 える。
⑥⑩ の指導 は班対抗 の発表や、ポー トフォ リ オを作成す る中で行 つた。毎時間の ワークシー
トで書 くことを繰 り返す こ とによつて、根拠 を 明確 に して文章 を書 くことができるよ うになっ た と言 える。
ICT活
用やホ ワイ トボー ドを使用す ることで、教師の説明時間や、生徒 の発表準備時間が短縮 され 、時間の効率化 を図 ることができた。また、
その時間を生徒 の活動時間に当て ることができ た。
評価活動 を適 して生徒 は、 自分の課題 を発見 し、意識 した文章が書 けるよ うになった。
3
研 究の成果 と課題本研究の成果 は以下の通 りである。
①論理的に 自分の意見 を伝 えることを 目指 した 授業 を開発す ることがで きた。
②開発 した授業 を 「国語表現」で実践 し、効果 を授業評価 にて検証す ることができた。
本研究の課題 は以下の通 りである。
複数の学習内容や指導方法 を取 り入れたため、
どこで どの効果が現れたのか明 らかでない。今 後検証 してい くことが必要である。
修学指導教員
長澤憲保 溝邊和成 指導教員
永 田智子
多様 な 考 え方 の それ ぞれ の よ さに気 づ か せ る算 数 科 授 業 の 工 夫 授業実践高度化専攻 授業実践開発 コース 学籍番号
:P14026G
氏
名
:池
田智弥
1.研
究の背景算数科において、答 えに行き着 く解法は多 様であることが魅力の一つである。 しか し、
先行研究では、一つの考え方で答えを出すだ けで終わつているとい う指摘がある。そのた め、算数科の授業では、多様な視点か ら問題 をとらえ、い くつ もの解決方法を考えること が求められている。
現在の算数教育の 目標の中に 「筋道立てて 考え、表現する能力の育成」や 「数理的な処 理の よさに気づ くこと」が挙げ られている。
「筋道立てて考え、表現する能力の育成」で は、考えるだけでなく、それ らを表現するこ とも重要である。 自分の考えを表現す る過程 を通 して、自分や相手の考え方のよさを見つ けた り、よ りよい考え方を作つた りできるよ うになる。「数理的なよさに気づくこと」では、
よさについて、数量や図形の知識及び技能に 含まれるよさがある。これ らのよさを踏まえ、
算数の授業では、各々の内容や方法の持つよ さを明 らかに して進めることが重要である。
つま り、算数科の授業では、①多様な解決 方法を考えさせ ることや②その解決方法のそ れぞれが持つ数理的な処理のよさに気づかせ る授業の工夫・ 改善が求められている。
2.研
究の 目的本研究の 目的を「子 どもたちが多様な考え 方のそれぞれのよさに気づ く能力の育成のた めの工夫」 と定めた。授業の中では、多様な 考 えを出させた後、それぞれ を比較検討 させ、
多様な考え方のそれぞれのよさを見つけるこ とをね らいとす る。
研究仮説は、「出された多様な考え方をもと に比較検討する活動を行 うことで、多様な考
え方それぞれのよさに気づ くことができるで あろ う」 と定める。
3.研
究の概要 (1)授業モデルの提案単元を通 して授業モデル を作成 した(図 1)。
図
1
筆者が作成した授業モデル「思考を広げる活動」は、多様な考え方を 見通 し、発見する活動 と位置付 く。
「追体験活動A」 は、思考を広げる活動の 後に行い、それぞれの考え方に触れ る活動 と 位置付 く。
「思考を深める活動」は、出された多様な 考え方を比較検討する活動 と位置付 く。
「迫体験活動B」は、比較検討を行つた後、
応用・発展問題を通 してそれぞれの考え方の よさを実感する活動 として位置付 く。追体験 活動Bと思考を深める活動 との往選 を示 して いる。 この意図 として、発展・応用問題を通 して、思考を深める活動によつてよさを吟味 す る活動が含まれ ると推測 したか らである。
この往還があることによつて、 どの場面でど
・ ′
0振り返 り解 価)
0考え方のよさに触れるC展・ 応用)
0多様な考え方の見通 し 。発 見
の考 え方が適 しているのかを判断する力が高 められ ると考えた。
振 り返 り活動は、単元の学習を通 しての 自 己評価 を行 うことをね らい としている。
② Dl発 実習・改善実習
開発実習
0015年
9月 14日 か ら 10月 2日 まで)では、第4学
年の単元 「2け
たでわるわり算 のひっ算」で行つた。改善実習(10月 5 日か ら 10月 24日 まで)では、「面積」で行つ た。
開発実習では、小単元「わ り算のせい しつJ
において、多様な考え方のそれぞれのよさを 理解 させ るよ うに実践 した(計
3時
間)。開発実習の課題を踏まえた改善実習の変更 点は、それぞれの考え方に名前を付ける活動 を取 り入れたこととよさに観点を 「速 さ」 と
「確実性」に限定 したことである。
改善実習では、小単元 『面積の求め方の工 夫」において、多様な考え方のそれぞれのよ
さを理解 させ るよ うに実践 した(計
2時
間)。(3)授業の成果・分析
改善実習の成果 として、それぞれの考え方 のよさに気づき、練習問題にもそのよさを生 か して取 り組む児童の姿が見て取れた。例え ば、毎授業の終わ り書かせた振 り返 リシー ト を見 ると、クラスの
3分
の2以
上の児童が多様な考え方のそれぞれのよさまでに気づけて いることが分かつた。また、多様な考え方の それぞれのよさに気づ くだけでなく、その考 え方が使える場面や頻度までにも気付ける児 童もいることが分かつた。このことか ら、「多 様な考え方のそれぞれのよさにまで気づかせ る」 とい う本研究の 目的は概ね達成できたと 言えよう。
一方で、開発・ 改善実習を通 して、多様な 考え方のそれぞれのよさに気づかせる授業を、
よ り有効にするための課題 も見つけられた。
その課題 は以下の
3点
である。・ それぞれのよさの観点の吟味
・追体験活動
Aの
時間の確保・思考を深める活動 と追体験活動
Bと
の往還を 目指 した手立ての工夫
加 えて、実習前 と実習後の長期的な変容を 見るためにアンケー トを実施 した。その結果、
「算数の問題 をとく時、いろいろなとき方を しよ うとしている」 とい う項 目が有意に下が つて しまつた
(df=21,p=0.004,pく
0.01)。この項 目以外のすべての項 目は、事前 と事後 に有意な差は見 られなかった。つま り、全体 的には、児童の意識 として大きな変化が生 じ たわけでなかった。
これ らの結果か ら、筆者の実践では、授業 において多様な考え方のそれぞれのよさに気 づかせ ることができた。その一方で、アンケ ー トな どの児童の意識の肯定的な変容を見る
ことまでは及ばなかった。
④ 改善案の提案
開発・ 改善実習か らみ られた課題に対 して の改善案 を示 した。そこでは、以下のような 改善案を提案 した。
①観点を「はや くできるJ「いつでもできる」
に変更 し、教師と児童の共通理解を図る。
②追体験活動
Aを
グループ学習 として扱い、思考を深める活動と合わせて行 う。
③一つの考え方ではできない場面を増やす。
この
3点
を踏まえた改善指導案 をそれぞれ の単元で提案 した。4。 今後の課題
本研究の課題は以下の
4点
である 0改善 した指導案の実践・ 振 り返 リシー トの時間の確保
・ 学年間を超 えた指導案の提案
・ ほかの単元においての授業開発 0実 践
修学指導教員
溝邊
和成
長澤
憲保 指導教員
伊藤 tll之
数学を学ぶ有用性を実感 させ る数学的モデ リングを取 り入れた授業実践
―
協働 学 習 と
ICT活
用 を通 して一
教 育実 践 高度 化専攻 授 業 実践 開発 コー ス 学籍 番 号
:P14027E
氏名 :石橋
皓 一朗
1研
究 の背景 と研 究の 目的平成
20年
版 中学校学習指導要領 数学科では,知識や技能 を習得す るだけでな く
,活
用 して事 象 を数理的に考察す る能力や態度 を養 うことが 求め られている。 しか し,生
徒か らは 「数学 は 何の役 に立つの?」 とい う声が聞かれ る。また,数学 と日常生活 との結びつきに対す る意識が低 いだけでな く
,活
用す る能力が身に付いていな いことも指摘 されている。 これ らは,問
題 をい かに解 くか とい うことを取 り扱 う一方で,活
用 を意図 した現実的な問題があま り取 り扱 われて いない ことに起因 している。 したがつて,生
徒 にとつて数学の学習 とは,机 上の学習 に終始 し, 有用性 の低い ものであると推察 され る。現実世界の問題事象 を
,数
学を用いて解決 し ていこ うとす る活動 に,数
学的モデ リング活動 がある。数学の有用性 を認識 させ る効果がある とされ ている一方で,現
実事象 を数学の問題場 面に置 き換 えることが中学生には困難 とされ て いる。また,上
述の効果が示 された多 くの実践 は,国立大学附属学校等で行われた ものである。そ こで
,本
研究では,数
学的モデ リングを取 り入れた授業 を開発 し,生
徒 に数学 を学ぶ有用 性 を実感 させ ることを 目的 とした。①公立中学 校 で実践可能な授業の開発,②
開発 した授業 の 実践,③
生徒の数学の有用性 に対す る認識の変 容 を検証,の 3点
を課題 とした。2
研究の概要(1)本
研究における有用性数学の有用性 に関する文献や資料を概観 し,
本研究における有用性 を次のように定義 した。
『 実生活で生徒が遭遇するような状況である
「私的」「教育的」「職業的」「公共的」「科学的」
の全ての要素を包括 した意味での「生活」の中 で
,役
に立つ こと。』また
,中
学生を対象に,数
学の有用性に関す る認識についてアンケー ト調査を行 つた。回答 を分析 した結果,学
年が上がるに したがつて, 有用性の認識は低 くなることが示唆 された。(2)本
研究における数学的モデ リングの概念 先行研究の分析・検討を行い,本
研究におけ る概念を次のよ うに規定 した。①現実事象か ら主要な要因を取 りだす。(モデ ル化)
②理想的現実を数学的問題に置き換える。(数 学化)
③数学モデルを数学的に処理 し
,数
学的結果 を得る。(数学的処理)④数学的結果 を理論的に検討する。(理論的検 討)
⑤製作・ 実験0実演・ 模擬実験などを通 して 現実的に検証する。(現実的検証)
菫学的モデリング
̀●
慮:石●81 れ″ 】
図
1本
研究で概念規定 した数学的モデ リング(3)課
題 を解決す る協働学習 とICT活
用 先行研究 よ り数学的モデ リング実践上の課題 を整理 した。その結果,中
学生の問題解決 に関 す る知識や経験の不足が課題の1つとしてわか つた。知識や経験の不足 を補 うために,協
働学 習 とICT活
用が有効であろ うとの仮説 に基づ き,先
行研 究を概観 した。その知見か ら教育的 な価値や実践上の効果 を踏 まえ,協
働学習 とICT活
用 を定義 し,活
用場面を提案 した。本研究の協働学習を次のよ うに定義 した。
『 自分 た ちが もつてい る知識や 経験 を活 用 して
,考
えを出 し合い,各
グループの考 えに相 互に応答 し合い,自
分達のグループの見解 を立 証 させ なが ら,課
題 を解決 してい く活動.』本研究の
ICT活
用 を次のよ うに定義 した。①
現実事象 の問題 を解明す るために
,複
雑 な 計算や繰 り返 し行 う計算 を能率的 に行 つた り,数値 をグラフ表示 な ど視 覚 的 に考 えた りす る ときに支援 して くれ るツール である。
②
協働 学習 の ときに
,集
団で課題 を共有 し,具体的状況のイメー ジを図式化や言語化 して,
共有 した り説 明 した りしあ うこ とを支援 して くれ るツール である。
(0
授業実践本研究で規定 した数学的モデ リングの概念 を 組み込んだ授業を開発 し
,大
学院生等を対象 に 模擬授業 を行 つた。中学校1年
生の単元 「方程式」では
,基
になる レシ ピと同 じ味になるよ う に,比
例式 を活用 して人数 に合 った レシピを考 え,実
際に調理 を して検証 した。同 じ味になる 条件や論証 を協働 で考 えた り,iPadで
付箋アプ リや スキャナアプ リを用いて条件整理や説明活 動 を行 つた りした。2年
生の単元 「一次関数」では
,交
通事故の原因の1つを歩行者 の時間感 覚 として,歩
行時間を予測値 と実測値の2軸
上 にプ ロッ トし,一
次関数 とみなす ことで数理的 に考察 した。必要なデー タやそれ を基 に した理 論仮説 を協働 で考 えた り,IPadで
歩行デー タの 計測・処理や シ ミュ レー シ ョンを行 つた りした。3
成果 と課題≪成果 》
(1)先
行研 究を分析・ 検討 して,公
立 中学校で も実践可能 な数学的モデ リングの概念 を規定 し た。また,実
践上の課題 の解決策 を提案 した。(2)中
学校第1学年お よび第2学
年の単元で授業の開発・ 実践 を行 つた。分析 を行い
,実
践上 の成果 と課題・ 改善案 を示 した。(3)ア
ンケー ト調 査 に よ り中学生の数学 に対 す る有用性 の認識 を明 らかに した。≪課題 ≫
(1)開
発 した授業 を,実
際の中学生を対象 に授 業実践 し,有
効性 を実証す ること。(2)数
学的モデ リング実践上 の課題 の解決策 として提案 した協働学習 とICT活
用の有効性 を,(1)と 同様 に実証す ること。(3)数
学的モデ リングを取 り入れ た授 業 を実 施す るにあた り,現
実的 に実践可能なカ リキュラムを開発す ること。
修学指導教員
長澤
憲保 溝邊
和成 指 導 教 員
永 田
智子
特定の課題についての学修の成果
子 どもの分析的思考 を成長 させ る小学校社会科の授業開発
―「仮説設定」場面におけるア プダクシ ョンを中心に して一
【 要旨】
兵庫教育大学大学院 教育実践高度化専攻
P14028C
修学指導教員
学校教育研 究科 授業 実践 開発 コース 井 上 和 也
2016年
2月 8日 溝 邊 和 成 長 澤 憲 保 米 田豊
指 導 教 員
子 どもの分析的思考を成長 させる小学校社会科の授業開発
―「仮説設定」場面におけるアプダクシ ョンを中心に して一
教育実践高度化専攻 授業実践開発コース
学 籍 番 号
:P14028C
氏 名
:井
上 和 也1
問題の所在 と研究の目的社会科の 目標は、「社会認識形成 をとお して市 民的資質を育成する。」 ことである。子 どもに、
社会認識 を形成 させ るためには、社会事象に出 会わせ、「なぜ」その事象が起こるのかを問 う必 要がある。「なぜ
Jを
角早決するために、子 どもは 仮説を設定 し、仮説を検証する方法を考え、探 究を進める。しか し、子 どもに、「なぜJに
対す る有効な仮説を設定 させることは難 しい。本研究では、「仮説設定」場面における子 ども の思考の構造を明 らかにし、有効な仮説設定を 行 う子 どもの育成 を意図 した授業の開発を目的
とす る。
2
実践報告書の構成 序論第I章
「仮説設定」場面における子 どもの思考 第 Ⅱ章
子 どもの分析的思考を成長 させ る仮説
設定の過程
第Ⅲ章
「仮説設定」場面を組み込んだ先行授 業実践の分析
第Ⅳ章
子 どもの分析的思考を成長 させ る小学 校第
4学
年社会科授業モデルの開発 と 実践第
V章
子 どもの分析的思考を成長 させ る小学 校第5学
年社会科授業モデルの開発 と 実践結論
3
研究の概要(1)「仮説設定」場面における子 どもの思考 の構造
科学的探究において、意外な事実が 「なぜ」
起 こつたかについての理 由を考えるとき、子 ど もは、アプダクシ ョンとい う推理 を行い、仮説 を設定する。
アプダクシ ョンには二つの段階がある。
‐
アプダクション第一段階では、直観的思考が 行われ、ある記号がもつ一つの性質に着 目し、
同 じ性質をもつ記号を既有知識の中か ら探すこ とが行われ る。
子どもの風有知ヨと矛盾する社会1象の発見
̀『
なぜ豪潤Jの発勁
Ⅲ
︺
じ て
副 ら
/
予想A
司
「
回□ 型 ︺
豊 一 一 ■
綱 m﹈
岬 贈 帥帥
l
授彙で提示 された1■
から餞み 取つた情報
l
の に 集 示 用 根 明
活 機 A︱
コ 匡
一不︱ ノ ー ー
︑
00
最も正しいと考えられる根奥の選Pt
御
│の に
銀 駅 調
︱
︱
ノ ー ー
・
︑
帥 榔 調
仮臓の設定
図
1
アプダクシ ョンの構造アプダクシ ョン第二段階では、分析的思考が 行われ る。直観的思考によつて発見 された二つ の記号の共通項が軸(根拠)と して設定 され る。
そ して、二つの記号の軸 (根拠
)を
比較 し、最 も正 しい と考えられるものが暫定的なコー ドと して選択 され、仮説 として設定 され る。その際、習得 した知識を活用す ることで、最 も正 しい と 考え られる軸 (根拠)力:選択 され、有効な仮説 が設定 され る。(図 1)
(2)子
どもの分析的思考を成長させるため の手立てを組み込んだ授業モデルの開発 と実践先行研究の分析か ら、子 どもの分析的思考を 成長 させ るための手立てとして、次の
5点
を授 業モデルに組み込んだ。①
集 団で仮説設定を行 う場 を設 けることに よつて、「習得 した知識を活用 して予想の根拠 を選択 し、仮説を設定する」 とい う分析的思 考をどのように行 うのか理解 させ る。
②
個人で仮説設定 を行 う場 を設 けることに よつて、集団による仮説設定で習得 させた分 析的思考を個人で活用することができている か どうかを確認する。
③
解の見通 しがもちやすい「なぜ疑問」を設 定 して授業を行 うことによつて、子 どもに、
習得 した知識を活用 して分析的思考を行 う方 法を習得 させ る。
④
解の見通 しがもちにくい 「なぜ疑問」を設 定 して授業を行 うことによつて、列挙 された 予想の根拠を明 らかに した り、選択 した りす る分析的思考を行 うために、 どのような情報 が必要なのかを考えさせ る。
⑥
習得 した知識を活用できない探究を単元に 組み込む ことによつて、新たに提示 された資 料か ら読み取ることができる情報を活用 して、
分析的思考をや り直 し、仮説を再設定すると い う方法を習得 させる。
開発 した授業モデルを実践することで、分析 的思考を行い、根拠のある仮説を設定できる子
どもを増やす ことができた。
4
成果 と課題本研究の成果 と課題 は、次の とお りである。
《成果》
(1)社
会学や論理学、認知心理学の研究成果 及び科学的探究に関する先行研究を分析する ことで、小学校社会科授業の 「仮説設定」場 面において、子 どもが習得 した知識をどのよ うに活用 して仮説を設定 しているのかを明 ら かに し、アプダクションの構造モデル として 示す ことができた。(2)「 仮説設定」場面における子 どもの分析的 思考 を成長 させ るための手立て を明 らかに し、それ を組み込んだ授業モデル を開発する ことができた。
《課題》
(1)直
観的思考によつて列挙 された予想 と、分析的思考によつて選択 された仮説 との関係 を分析 し、子 どもが「なぜ疑問」に対 して活 用できると判断 した知識の内容 とその後に行 われ るアプダクシ ョン との関係 を明 らかに する。
(2)自
分が考えた内容 と他の子の意見を参考 に考えた内容 とを区別することで、どのよう な情報をもとに分析的思考を行つているのか を明 らかにす る。そ して、「分析的思考を成長 させ る授業過程Jの
改善を行 う。修学指導教員
溝邊
和成 長澤
憲保 指 導 教 員
米国
豊
中学校 数学 科 に お け る問題 設 定 活 動 を支 援 す る
数 学 的
Situation"デ
ー タベー ス シス テム 肌SDSの
構 築 と実 践専
攻
教育実践高度化 コース
授業実践Dl発 学籍番号
P14029A
氏
名
井原
貴幸
1
は じめに本研究の 目的は,中 学校数学科似 下,数学科)に
お いて数学的 Situadoゴ を活 用 した問題 設定活 動 の学習モデル と支援デー タベースシステムを構 築 し
,そ
の効果を実践的に検証す ることである。2008年告示の学習指導要領においては,数学科 の 日標 に「活用 して考 えた り判断 した りしようと す る態度 (以下
,活
用する態度)」 力S挙げ られてい る.『活用す る態度Jの育成 には,様
々なアプロー チが考 えられ るが,そ
の一つ として問題設定活動 が挙げ られ る。問題設定活動 とは,生
徒が問題 を 作成 し,そ
れ らを解いた り共有 した りす る授業法 である。質の高い問題設定活動 を行 うためには,数学的 Situa● oゴの選定や提供が非常 に重要 な 要素 となる
.■
こでい う数学的 SituadOゴ とは,数学的活動を行 う上での題 材を意味す る.
今 後,生徒の「活用する態度J育成 に向けては,
数学 的 Situa饉 oゴに着 日 した問題設定活動の投 業を展開す ることは重要である。 しか し
,そ
の実 践 に は,①
問 題 設 定 活 動 に お い て 数 学 的̀Situaほ oピを活用 した授業展開が定かではない こと
,②
生徒の個別的・ 協働的な活動が交錯す る 問題設定活動の展開にはその容易性を高める何 ら かの手立てが必要であること,等
の課題がある。そ こで本研究では,手立て として
ICTを
活用 し,これ らの課題への対処を試みることとした。具体 的には
,数
学的 Situa饉 0ゴに着 日した統合的な学 習モデル を作成 した後,こ
の学習モデルを用いた 授業 の円滑な展開をサポー トす るICT活
用の方 策を具体fヒす ることとした。2
研究報告書の構成 第1章緒論
第2章
数学的 Situa伍On"に 着 日した問題設定 活動の学習モデルの作成
第3章
数 学的 SituaiOゴ に着 日した問題設定 活動を支援する
ICTシ
ステムの構築第4章
MASDSを
活用 し,数学的SitundOnに 着 目した問題設定活動の実践 と評価 第5章数 学的 Situad〔選・の 自由度 を高めた間
題設定活動の実践 と評価 第6章 結論及び今後の課題
3
研究の概要1章では,本研究の目的を踏まえ,研 究の背景,
先行研究を整理 し
,問
題の所在などか ら研究課題 を明らかにし,研
究の計画 と構造を策定 した。3.1
学習モデルの開発2章
では,問
題設定活動の先行研究の内容を詳 細に検討 し,数
学的Situa饉 0ゴヘの着 日とい う観 点からモデル化を試みた。その結果,図
1に示す 統合的な問題設定活動の学習モデルを作成 した。これは
,生
徒が数学的 SituattOn"か ら理論結論 を導 くと共にっ複数の理論の整合性から,そ
れ ら を強化統合 していく学習過程を示 したものである。3.2
支援システムの開発3章
では,2章
で作成 した学習モデルに基づく 授業の展開容易性を高めるため,ICT活
用の支援 方略について検討 した。そ して,数 学的Situa饉oゴ に即 して問題の投稿・共有・ 閲覧を容易に行える データベースシステムMttDSを
開発 した個"。
図
1
学習モデルMASDSは ,次
の よ うな機 能 で構成 した。一教師 向け機能 一
・数学的 Situatioll"を単元や 、フ リー ワー ドな ど で 自由に検索 。関覧 で き る機 能
。生徒 の作つた問題 を提示す るための 一覧機能等 一生徒向 け機能 一
・ 問題 を 自由に投稿す ることができる機能
・ 他者 が作 った問題 を 自由に関覧で きる機能等
3.3
学 習モデル及 びHASDSの実践 と効果 の検証4章 ,5章
で は,学
習モデル とMASDSを
用 い た実践 を行 いその効果 を評価 した。3.3.1 単元 「二次 関数の利用」 にお ける実践 まず
,二
次方程式 の利用 についての基礎 的 な概 念 につ いて1時間指導 した。 その後,MASDS
を用いた問題 設 定活動 を行 った。問題 設 定活動 で は
,IPadを
用い てMASDSに
問題 を投稿 させ た 他, グループ活 動 の成果 を,プ
ロジェ クタゃ小黒板 な どで発表 させ た。
事前・事後調査 の結果
,ア
チー ブ メン トテ ス ト の平均値が有意 に向上 した(a34)=5.90,ノ く.01)。 また
,授
業 に対す る情意(4件法)にお い て平均値 が3.00以上 と高かった。 しか し,本
単 元で は作間の 自由度 が低 かったため,生
徒 の問題 は原形型 が多 く,学
習 モ デル にお け る認知的葛藤 も十 分 には促 され ていなか った。3.3.2 単元「 変化 と対応」における実践
′ ■
ク'レー‐′
=ク・′し ′ト
回 回
師船 O ☆
回 合
図
2 MASDSを
用 いた授 業 のイ メー ジ図 そ こで単元 「変化 と対応」 では,作
間の 自由度 が高い数学的 S■uation"を 設定 した授 業を実施した。 具体的 には
,変
化 と対応 につ いての基礎的 な概念 について8時間指導 した後,2時
間 にわた つて問題設定活動 を行 つた。 問題設定活動 では,IPadを用い て
MASDSに
問題 を投稿 させ た他,写真拡大機 能 を用 いて問題 の選択 を させ
,成
果 を プ ロジェ クタゃ 小黒板 を用いて発表 させた。その結 果
,事
前 。中間・ 事後調査 のアチープ メ ン トテ ス トの平均値 が有意 に向上 した(Д2,所 36.91,Pく .01)。 また,生
徒 の作成 した問題 は原 型形 に加 え,準
原形型,非
原形型 が見 られ た。 そして
,数
学的 Sttuation"へ の興味や生活 との関 連づ け,授
業 内容 との関連 づ けが,認
知的葛藤 を含めて学習モデル 全体 に即 した学び を促す ことが 示唆 された。
4
ま とめ と今後 の課題本研 究 では
,数
学的 Situa慣On"に 着 日した問題 設 定活動 の学習モデル とMASDSを
構築 し,実践 的 にそ の効果 を検証 した。 今 後は,MASDSの
改 善 を進 め る と共 に,多
様 な単元 にお いて学習モ デ ル を用 いた実践 を展開 してい く必要があろ う。修 学 指 導 教 員
長澤
憲保・溝邊
和成
指 導 教 員 森 山 潤
社会科固有の「読解 力」 を育む授業開発 とその評価
―複 数の資料 を関連付 けることに着 目 して一
1.問
題 の 所 在 と研 究 の 目的 (1)問題の所在PISA調
査 (2009)の結果 について,「必要な情 報 を見つ け出 し取 り出す こ とは得意 だが,それ らの関係性 を理解 して解釈 した り,自 らの知識や 経 験 と結び付 けた りす るこ とがやや苦手 で あ る。」
とい う分析 がな され た.
読 解 力 は国語 科 のみ で育成 され る もの で は な い 。例 えば
,社
会科 において も,各
種基礎 的資料 か ら情報 を読み取 るだ けではな く,読
み取 つた内 容や既習知識 を比較 。関連・総合 しなが ら再構成 し,社
会的事象 の特色や相互 の関連,意
味 につ いて考 えることが求 め られ てい る.
しか し
,平
成24年
度小学校学習指導要領実施 状況調査 (社会)において も,PISA調
査 な どで明 らか にな つた課題 と同様 の課題 を抱 えて い る こ とが明 らかになった.これ らの ことか ら社会科 に お い て も読解 力 をつ け るた めの指 導 が求 め られ てい る.(2)研究の 目的
社会科 固有の 「読解力」を育むために資料 を関 連付 けて読み取 るこ と,そして探 究過程 にお ける 複数 の資料 を関連付 けの手 立てを明 らか にす る。
また,関連付 けの手立てを社会科授業 に組 み込 み,
子 どもが複 数 の資料 か ら読 み取 つた情報 を関連 付 けて
,社
会的事象 を説明す ることができる授 業 の開発,お
よび有効性 を検証す ることであ る。教 育実践高度化専攻 授 業実践開発 コー ス 学籍番号 :P14030E
氏名 :上赤坂
菜央
2。 実 践 報 告 書 の 構 成 序章
第 I章
社会科における 「読解力」
第 Ⅱ章
社会科における 「関連付け」
第Ⅲ章
「関連付け」に関する教科書分析 第Ⅳ章
実験授業1
第
V章
実験授業2終章
3.研
究 の概 要(1)本研究における「読解力」の定義
PISA型
「読解力」は,テ キス トに書かれた「情 報の取 り出 し」だけでなく,「解釈」「熟考・評価」「論述」することを含むものである.
一方
,社
会科における 「読解力」 とは社会的事 象間の関係 を読み解 くために,必
要な資料 を自ら 収集 。選択 した り,それ らの資料か ら読み取つた 情報を比較 。関連付けて表現 した り,表
現 した結 果 を振 りか えつた りす ることまで含む ものであ る.これ を踏 ま え
,本
研 究 にお け る社 会科 固有 の「読解力」 とは
,複
数 の資料か ら必要 な資料 を選 択 し,資
料か ら読み取 つた情報 を関連付 け,省
察 しなが ら社 会的 事 象 間 の関係 を読 み解 く力 で あ ると定義す る.(2)社会科 における「関連付 けJ
社会科固有 の読解力 を育成す るためには
,探
究学習 に基づ き授業 を構成す る必 要 が ある。 また,
探 究 学習 の過程 の 中 で複 数 の情報 を どの よ うに 読み解 いて くのか を明 らかにす る必要 がある.こ れ を踏 まえ
,表
1で示す 15の関連付 けの手立 て を明 らか に した。表
1
学習過程 における関連付 けの手立て学習櫻繹 関諄付けの手立て
問いの発見 ・1枚の資料から読み取った複数の情報を比較して問いを発見する
。複数の資料から読み取った情報を比較して問いを発見する
・資料から読み取った情報と既習知識や経験とを比較して問いを 嘉ロオス
予想・仮訳の
■帝
・問いとどのような事象に共通点がありそうかを予想する
賃 科 の
収集。選択
・予想との共通点を考え,検証するために必要な情報が含まれた 資料を収集する
。予想と資料を比較し,共通点,相違点を見つけて検証に必要な 資料を選択する
仮説の検証 ・予想をもとに資料から検証に必要な情報を読み取る
・資料から読みとつた複数の情報を比較して共通点を見つける
。資料から読み取つた複数の情報を比較して相違点を見つける
。資料から読みとつた複数の情報の共通点を見つけ,視点セ定めて
1つの予想に対する検証結果をまとめる
。資料から読み取った情報と既有知識や生活経験との共通,点を見つ け.観点を定めて1つの予想に対する検証結果をまとめる まとめ ・複数の予想に対する検証結果をまとめて問いの答えを導く
。複数の予想に対する検証結果をまとめて規則性や特殊性を見出す
。複数の予想に対する検証結果をまとめて規則性や特殊性を見出し 概念化する
・問いの答えと皿習知識や牛活経験と比較t′て新たな問いをもつ
(3)実験授業1・ 2の概要
実験授業 1・ 2では,探究学習 に基づ き,次の5 つ の段階 を踏 まえた授業 を構成す る。
①社会的事象間の関係を読み解 くための資料の収集,選 択す る
②社会的事象間の関係に関す る資料か ら必要な情報の読み 取 りをする
③社会的事象間の関係に関す る資料か ら読み取つた結果を 解釈する
④社会的事象間の関係に関する推論をする.
⑤社会的事象間の関係に関する推論 した結果を省察する
実験授業1では,授業構成 の①〜④までを対象 とし
,複
数の資料か ら読み取つた情報 を関連付 け て推論することを目指 した。ワークシー トの記述を評価す ると,資料の選択 は約
85%,資
料の読み取 りは約80%の児童がA
評価 とな り
,お
おむね良好な結果が得 られた.し
か し
,児
童 自身 と友人の解釈結果を総合 して,推
論 で きない児童が約
40%存
在 し,課
題 が残 つた.実験授業2では,実験授業 1の 課題 を克服でき るよ う
,授
業構成の①〜④加 え,児
童 自身が推論した結果を省察する場面を設定 した。
ワークシー トの記述を評価す ると
,実
験授業 1 の推論結果 と同様に,半
数の児童が正 しい推論を できていなかつた。しか し,自身の推論結果を省 察す る場面を設け,推
論結果の修正を行 つたとこ ろ,A評
価 となる児童が統計的に増加 した(χ2=
36.026,ど
=1,p<0.01).よ
って,推
論 を省察す ることは有効であつた可能性が示唆 された。しか し
,本
実践で使用 した ワー クシー トでは, 仮説 の検証が しづ らそ うな児童や 自身 の考 えを 整理 しづ らそ うな児童が存在 した。また,複
数の 情報の共通点を見つけ,解
釈できない児童のため に も複数 の情報 を結び付 け られ るパイプ となる ものを習得 できる手立てを構築す る必要がある.4.研
究 の 成 果 と課 題本研究の成果 と課題は
,次
の とお りである。(1)成果
①学習過程 にお ける関連付 けの手立 てを提示す ることができた。
②関連付けの要素を組み込み,「読解力」育成のた めの授業開発および実践を し,その有効性 を示す ことができた.
(2)課題
①実験授業 1・
2に
おいて明 らかになった課題を 克服す る授業開発 とその実践を行 う.②児童 の読解力が育まれ たか ど うかを評価す る ための評価問題の開発を行 う。
③関連付けの要素の精緻化 を行 う。
修学指導教員
長澤憲保
,溝
邊和成 指導教員音水裕也
生活場面に即 した作問指導による問題解決能力の育成
―高学年の算数科 にお ける 「自ら誤 りに気づ き訂正す る能力」 に焦点化 した授 業開発 ―
1.研
究 の 背 景現任校 にお け る課題 と して、「高学年 の算数科 にお いて、子 どもたちが文章問題 を解 決す る際、
出て くる数値や キー ワー ドのみ を安 易 にひ ろい、
演算 して しま う。そのため、生活 とはかけ離れ た 不 自然な解答 を導いて も気づかない、また見直 し
もしない」点がある。
この課題の要因 として、2つ考 え られ る。
1つは、「算数科か ら数学科ヘー般化 されてい く 点」である。高学年 になると扱われ る数の範囲が 広が り、演算過程 に重点が置かれてい く。そのた め、問題背景 をイメー ジす ることな く式化 し、演 算手続 き さえ正 しけれ ば、解答 に 自信 を もつて し ま う。高学年で も、算数の問題 と生活場面 とをつ なげる場 を設 定す る必要がある と考 える。
も う
1つ
は、「教科書の数値や事象が吟味 され てい る点」である。教科書 に出て くる数値や事象 は妥 当なものばか りである。教科書編成か らすれ ば当然の ことである。 しか し、その結果、教科書 の問題 を何 も疑わず解 いて しまい、数値 とキー フ ー ドを抜 き取 る子 が出て きてい る とも考 え られ る。数値 とキー ワー ドの抜 き取 りでは解答が得 ら れない よ うな問題 の提示 も必要 と考 える。2.研
究 の 方 法多様 な問題解決能力の うち、本研究で身 につ け るべ き能力 を 「自ら誤 りに気づ き訂正す る能力 」 と焦点化 して定義す る。そ して、この能力 を身 に つ けるために、「誤 りを訂正す る活動」、「数量感
教育実践 高度化専攻 授 業実践 開発 コー ス
P14031C
牛島
敏雄
覚 を養 う活動」、「作問活動」、「予想方略・ 吟味方 略 を使用す る活動 」 を取 り入れ ることに した。
「誤 りを訂正す る活動」では、教師が意図的に 誤 つた問題や解答 を提示 し、子 どもに訂正 させ る。
そ の誤 りは生活場 面 とつ なげ て違 和感 を抱 くよ うな もの(例えば
4kmの
じょうぎ)を設定す る。ど こを訂正す るかに よつて、訂正の仕方 も多様に考 え られ る。 この活動に よ り、子 どもが主体的に、生活場面 に即 した数値 や事象 をイ メー ジす るこ とがで きる。
「数量感覚を養 う活動」では、基準量(lm、 lkg な ど)を教室 に掲示す るな ど、いつで も数量感覚に 触れ られ るよ うな場 の工夫 を してい く。
「作問活動」は、問題 を解 く活動 とは逆向きの
「問題 をつ くる」活動である。作問活動により、
子 どもが 自然 と生活場 面 をイ メー ジす る こ とが できる。数値や事象の妥 当性 を子 ども自らが吟味
して問題 をつ くつてい くと考える。
また、文章問題 を解 く際には、題意 を理解 した 後 、生活場面 とつ なげて解答 を予想す る場面(以下、
「予想方略」とよぶ)と 、演算で出た解答 を生活場 面や予想 とつなげて、妥 当か ど うか吟味す る場面
(以下、「吟味方略」とよぶ)を設 定す る。何度 も「予 想方略 。吟味方略 を使用す る活動」を実施す るこ とによ り、子 どもが不 自然な解答に気づ く方略 と して身につけ させ ていきたい。
これ らの活動 を授 業実践 に意図的 に組 み込む 指導法 を総称 して「作問指導」とよぶ ことにす る。
3。 研 究 仮 説
「小学校高学年の算数科 において、生活場面に 即 した作 問指導 をお こな うことで、子 どもの問題 解決能 力が育成 され るだ ろ う」
4。 研 究 実 践
研究仮説 を検 証す るために、
3回
の教育実践実 習を位置づ けていつた。基礎 実習 では、「4〜
6年
生の実態把握」 をお こ なつた。実態把握 の結果 として、計算問題領域や 文章問題 領域 の正答率 は高か った。 しか し、「問 題の情報 が多い」、「答 えを修正 しない といけない」「式を逆に しない といけない」な どの ノイズが入 つた文章問題領域(ノ イ ズ問題領域)では、 どの学 年で も正答率 が低 かつた。問題背景 をイ メー ジせ ず、誤答 を導 く実態が浮 き彫 りになった(図 1)っ
各学年の領域別正答率 m∞Ю∞∞ЮЮ︒
4年 5年 6年 爾計算問題 日文章問題 Zノイズ問題 ・pく,05 図
1
各学年における各問題領域の正答率 開発 実習 で は、5年 1組を 「作 問指 導群 」 と し て、朝 の学 習 タイ ムや 単元 に、作問指 導 を組 み込 んでい った。手 立て を具 体化 し、「つ つ こみ問題(誤 りを訂 正す る活 動)」 や 「量感 ワー ル ド(数量感 覚 を養 う活動)」、「文章題 ゲー ム、チ ラシで問題 づ く り(作問 活 動)」 、「ふ き出 し、算 数 問題 集(予想 方 略・ 吟 味 方略 を使 用 す る活動)」 な ども重 ね て 実施 した。
その結果 、1
組 で は 、 ノ
イ ズ問題領域の正答率が上昇 した(図 2)。 また、
配 当時間内で も 「作問指導」 を組み込む ことがで きた。課題 として、 ノイズ問題領域で正答率が十 分高い とは言 えない こと、子 ども同士で数値 を吟 味す る活動ができていない ことな どが残 つた。
改善実習では、
5年
1組に 「作問指導」を継続 してお こない、5年 2組
には、授業時間内にすべ て手立てを組み込む 「時間凝縮作問指導」をお こ なった。子 どもが作成 した算数問題集 をお互いにノイズ問題領域 ・ 05
∞
%
Ю 0
プレ ポス}① ポスト②
― 1組 (作間梅毒群l‐●・20o{教科書柑毒絆│1問凝綺作F・│'3諄麟〕
1組で は 、ノ 図
4
ノイ ズ問題 領域 の 正答 率 変化イ ズ問題 領域の正答率が さらに上昇 した(図 3)。
また
2組
では、ノイ ズ問題領域 の正答率が上昇 し た。授業時間内の手立て も可能であ り、継続 して 作問指導 をお こな うことで、より効果があること がわか った。 さらに、1組
では継続 した作間指導 に よ り、計算問題領域や文章問題領域の正答率 も 上昇 した。ア ドバ イス交換 により、数値や事象の 吟味や 修正 が活 発にお こなわれた。課題 として、予想方略 を扱 いやす い単元について、吟味 してい く必要があ ると感 じた。
5。 今 後 の 実 践
本研 究 において、手立て の有効性 が確認 で き、
問題解決能力が育成 され た と言える。 しか し、本 研 究では問題解決能 力 を焦点化 して進 めたため、
育成 され た能 力は問題解決能力の一部 分であ る。
今後、これ らの手立てが他 の問題解決能 力に も有 効であ るか、また他教科 との共通方略や教科特有 の方略な どを探 り、研究領域 を広げてい く。
修学指導教員
溝邊
和成
長澤
憲保
指導教員
黒岩
督 角早き合 い 、
ア ドバ イ ス を交換 す る時 間
も とつ た。
そ の結 果 、
鰤 Юω
∞m Ю︒
■ さ 率
ブレ ポスト① ●
'pく01
‑●‐lm{作 籠綿凛群)‐●・ 21R(教科i撫諄群〕拿バ o5
図