「土木」のイメージ改善のための教育効果の把握
芝浦工業大学 正会員 ○伊代田 岳史
1.はじめに
社会の土木に対するイメージは,汚職事件や箱物建設,トンネル事故などを背景として良いとはいえない.さら に昔から「3K(危険,きつい,汚い)」というイメージが定着しており,建設現場での作業環境や重労働のイメージ が根強い.しかしながら,土木は社会基盤を支える構造物を構想・計画・設計・施工・維持管理する重大な責務を 担っており,万が一社会資本整備を怠れば,国民が安全・安心で快適な生活を送ることは困難であることは自明の 理である.そこで,少しでも土木に興味を持ち,その役割を理解した高校生が大学で学び,卒業する大学生がその 使命を理解して社会貢献していく必要がある.本研究では,これから土木を学ぶかどうかを考えている高校生の土 木工学への認識を調査すること,さらに土木工学を学んでいる大学生の教育での土木工学に対する意識改革を調査 するべく,アンケート調査を実施した.これらのアンケートより,土木工学の認識とその教育効果を明確にすると ともに,どのような教育や方策が高校生や大学生,一般の方々に興味を持たせ,土木のイメージ改善にむけて有効 かを議論することとした.
2.アンケート調査の概要 2.1 高校生の土木認知調査
2012 年 8 月に開催した芝浦工業大学のオープンキャンパスに来場した高校生 474 名にアンケートを実施した.質 問項目は 11 項目設定し,志望学科を調査して土木工学への興味の有無による分類を行った.回答数は土木が第一志 望である高校生 109 名(23%),第二志望である高校生 148 名(31%),他学科希望の高校生 217 名(46%)であり半数が土 木に興味のある高校生であった.土木のイメージや仕事について複数項目から選択する形で回答してもらった.
2.2 大学生の意識改革と教育効果調査
大学生が土木工学を学ぶにつれて,その意識がどのように変化していくかを調査することを目的として,芝浦工 業大学工学部土木工学科に所属する 1~4 年生を対象にアンケートを実施した.サンプル数は学部 1 年生 91 名,2 年生 57 名,3 年生 67 名,4年生 65 名であった.入学前と入学後の土木のイメージや土木工学科を選んだ理由,土 木の将来像などを複数項目から選択する形で回答してもらった.
3.調査結果
3.1 高校生の土木認知調査結果 図-1 は高校生が抱く土木の仕事 のイメージを土木に興味のある(土 木工学科が第一・第二志望である)
高校生と興味のない(他学科志望で ある)高校生とで分離して割合表示 したものである.両者に差が見られ る項目として,興味のない高校生は
“きつい”,“ヘルメット”,“危険”
というイメージを持っている高校
生が多く存在することがわかる.一方,興味のある高校生は,興味のない高校生と比較して“自然に立ち向かう”,” 社会に貢献“というイメージが強いことがわかる.このように少なくとも興味を持った高校生は,土木の本質を知 り得たことから土木工学に興味を抱いているものと推測できる.
キーワード 土木工学,イメージ,土木の認知度,意識改革,教育効果
連絡先
〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5 芝浦工業大学土木工学科 TEL03-5859-8356
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興味がある
図-1 高校生の土木認識調査結果
土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)
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3.2 大学生の意識改革と教育効果調査結果 図-2 は,3.1 と同様の質問を大学生にアン ケートした結果であり,大学入学前と現在と でどのように変化したかをまとめたものであ る.割合がマイナスに変化しているものは,
イメージが薄れていった項目,プラスに変化 しているのはイメージが強まった項目を示し ている.まず,イメージが薄れた項目は,危 険・きつい・汚いといった 3K の項目であり,
学年が進むにつれてその割合が大きくなって いることがわかる.
一方,イメージが強まっていった項目は,
社会貢献や防災,空間や景観デザインなどの項目であった.これらは大学で講義を受けることにより改めてそのよ うな分野知ることや,社会貢献できる学問であることが強く印象付けられた証拠であると考える.
土木の将来像について,大学生にアンケートをとった結果を図-3 に示す.これより,低学年では土木の魅力のひ とつである,大規模構造物の建設を国内外で実施したいと考えているが,学年が進み講義を数多く受講すると維持 管理をしっかりすべきと考える学生が増加していることがわかる.
4.まとめ
土木のイメージが教育効果によりどのような変化が得られるかを高校生と大学生を通してアンケート調査した結 果,次のようなことがわかった.
(1) 土木工学に興味を持たない高校生は,土木が 3K の仕事であることが強く印象付けられている.しかし,土木工 学に興味を持った高校生は,“自然に立ち向かう”や“社会貢献”といった土木の役割をしっかりと理解してい る高校生が多いことがわかった.
(2) 大学生の意識改革と教育効果では,3K のイメージが徐々に払拭され,社会貢献している学問であり国民生活に 欠かせないものであるとの認識が強くなってくることがわかった.
今回のアンケートを通じ,土木工学の本質をもっと上手に国民に PR することで,魅力的な学問であることが理解 されると思われる.その手法はさまざまであるが,今後はさまざまな形で土木の本質や役割を認知させる努力が必 要であると感じる.
参考文献
土木離れの防ぎ方:日経コンストラクション 2006.3.10 号,pp.50-67 謝辞
本研究の実施に当たっては,元芝浦工業大学の福島昌悟君に行っていただきました.また,アンケートに回答い ただいた,オープンキャンパス来場者,芝浦工業大学土木工学科の学生に感謝いたします.
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宇宙規模 新興国で大型構造物 先進国で構造物建設 国内で維持管理 国内で小規模建設 国内で大規模建設 国内で防災・減災 次第に縮小 地球環境問題 もっと別の分野 その他
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景観を創造 空間をデザイン 防災 社会に貢献 スケールが大きい 汚い きつい
危険 B1 B2 B3
図-2 大学生の意識改革と教育効果のアンケート結果
図-3 土木の将来(大学生の意識調査)
土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)
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