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著者 藁科 卓也

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Academic year: 2022

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ジクロロメチルアルキルエーテルを用いた芳香族化 合物のホルミル化に関する研究

著者 藁科 卓也

発行年 2019‑06

出版者 静岡大学

URL http://doi.org/10.14945/00026913

(2)

(論文博士・様式1 0) (Doctoral qualification by publication, Form 1 0)

学位論文要

Abstract of Doctoral Thesis 申請者氏名:藁科 卓也

ヒ2

論文題目:ジクロロメチルアルキルエーテルを用いた芳香族化合物のホルミル化に関する研究

論文要旨:

芳香族アルデ、ヒド化合物は、 その反応性の高さから有機合成上様々な化合物のビルディングブロ ックとして利用される。 しかし、 工業的観点で、はホルミル基の導入手法は限られており、 実用的な 製造法を目指した開発が未だ十分に検討されていない。

Rieche反応に用いられるジクロロメチルメチルエーテルは、 非常にパワフルなホルミル化剤と して知られており、電子欠乏性の芳香族化合物や立体障害の大きな置換基を有する芳香族化合物で あってもホルミル基の導入が可能で、ある。 しかし、 本試薬の調製法は①毒性の強い五塩化リンや ホスゲンを使用する、 ②原料のギ酸メチルが消防法第4類特殊引火物に該当し取り扱いに注意を 要するとしづ問題があることから、 工業的に使用された実例はない。 筆者はこれらの問題を①塩 素化剤をより環境負荷の低いものを使用する、②特殊引火物に該当しない原料、すなわち沸点の高 いギ酸エステルを利用することで克服できると考えた。 また、 このような調製法で合成したジクロ ロメチノレアルキルエーテノレのホルミル化能を示すことで、 本手法の工業利用への実現性を明らかに できる。 そこで本研究では、 より実用的で、安全且つ簡便なジクロロメチルアルキルエーテルの調製 法を確立すると共に、 一般的な芳香族化合物から医薬、 電子材料分野で注目される含フッ素芳香族 化合物やヒ。ロール誘導体への応用について検討した。

本学位論文第二章では、 工業的観点からジクロロメチルアルキルエーテルの一般的調製法の詳細 について論じた。 塩素化剤に比較的毒性の低い塩化オキサリルを使用し、 炭素数が2から4のアル キル鎖を有するギ酸エステルを原料とすることで、 従来法より安全且つ簡便なジクロロメチルアル キルエーテルを合成することに成功した。 また、 この反応で必要となるアミド触媒を種々検討した 結果、 N・メチルホルムアニリドが最も良好な成果を与えることを見出した。 これにより、 ジクロロ メチルアルキルエーテルの大量合成法を確立することができ、 本試薬によるホルミル化の工業的利 用への実現性を示すことができた。

第三章では、 これまで、未検討で、あったジクロロメチルアルキルエーテルによる芳香族化合物のホ ルミル化について論じた。 トノレエンやメトキシベンゼンのような電子豊富な芳香族化合物を基質と した場合、 工業的に利用しやすいジクロロメチルプロヒ。ルエーテルやブチルエーテルが使用可能で、

あることを示した。 特に、 香料として利用されるへリオトロヒ。ンや抗アルツハイマー柴への応用が 期待されるノビレチンの中間体合成にこの合成法が適用でき、 これらの成果が効率的な工業化プロ セスの実現に寄与できることを示した。 さらに、 1,2-ジメトキシベンゼンとAICbが不均一な三座 配座を形成し、 過剰なAICbがホルミル化反応を阻害すること見出し、 これをNMRスペクトル解 析にて考察した。

(3)

第四章では、 医薬、 農薬、 電子材料分野で注目される含フ ッ素芳香族化合 物への直接的なホルミ ル化反応について論じた。 単純な含フ ッ素芳香族化合物の場合、 メトキシ基のような電子供与性置 換基を配置すれば、 ジクロロメチルプロヒ。ルエーテルやブチルエーテルによるホルミル化反応が実 施可能であることが確認された。 しかし、 ジフルオロベンゼン類では反応性の高いジクロロメチル メチルエーテルを用いても、 ホノレミル化は低収率となる結果を与えた。 一方、 フェノール類のうち m-位に電子供与基を有するサリチルアルデヒド誘導体や非フ ッ素置換フェノールなど電子欠乏性 フェノール類では、 アリールホルメート誘導体が生成するとの新しい知見を見出した。 これらの成 果により、 フ ッ素化合物に対する新しい有機合成への可能性を提示することが出来た。

第五章では、 lH-ピローノレー2-エチルカルボ、キシレートへのホルミル化について論じた。 ここで合 成したホルミル化体は、 医薬品合成において重要中間体として知られている。 既存の手法により調 製した固体Vilsmeier (VR)試薬を本基質に適用したところ、 従来のPOCb-DMFより調製される VR試薬とは反応活性が異なり、 ピロール環5位へのホルミル化が選択的に進行することを見出し た。 一方、 大量合成が可能なジクロロメチルブチルエーテルと2.0 eq. のAICbを用いると、 ピロ ール環4位への選択的なホルミル化が進行した。 これらの反応性の違いは、 基質とAICbの錯体 が反応点を制御したためであると推定した。 ホルミノレ化剤の使い分けにより位置選択的なホノレミル 化反応が実施可能であることから、 ホルミル置換ピロール誘導体の選択的製造プロセスを開発する うえで新しい展開を見出すことに成功した。

以上の成果により、 ホルミル化剤として有用と知られながらも、 これまで利用されてこなかった ジクロロメチルアルキルエーテルの簡便且つ安全な工業的製法を確立することに成功した。 これに より、 反応基質に対応する適切なホルミノレ化剤を選択するための指標が示されたことから、 本論文 は有機合成化学の更なる発展に寄守するものと考えられる。

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