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2 可能性の総数を数え上げること

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Academic year: 2021

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(1)

2 可能性の総数を数え上げること

2.1 並べ方、組み合わせを数える

問題 2.1.1 (教科書 例題19.1) 1,1,1,2,3の5個の数字から3個とって並べて出 来る数のうち、異なるものは幾つありますか。

並べて出来る(3桁の)数が異なればそれは区別して数えるわけですから、例えば 1,1,3をとった場合並べ方は113,131,311の3通りあり、全て区別して数えます。

和のような場合は大きな方から攻めた方がやり易い気がしますが、小さな方から並べ た方が良いこともあります。広い意味で、そう言った並べ方を『辞書式』と言います。

この問題も出来る数字の小さい方から順に考えて行くとやり易いでしょう。まず1 00の位が小さいものから始めて、その中で1の位から少しずつ大きくして行きます。

111 (1) 112 (2) 113 (3)

121 (4) 123 (5) 131 (6)

132 (7) 211 (8) 213 (9)

231 (10) 311 (11) 312 (12) 321 (13) この様に13通りあります。

問題 2.1.2 (参考問題) 1,1,1,2,3の5個の数字から3個とる組み合わせは何通り ありますか。

でもこう云う問題だった場合は、とった3つの数が1,2,3であると言っても3,1,2 あると言っても同じ事であり区別しません。

こう云う場合その3つ組をどう記述するかが問題になります。123と書いても312 書いても同じものですから、何かルールが必要です。そこで、とった3つを左から小さ い順に並べる事にします。

とった3つ組に対してその様な並べ方はただ1通りしかありません。

実際にこの問題の場合に考えてみると、答えは次の様に4通りです:

111, 112, 113, 123.

演習問題2.1.3 (教科書 問題19.1) 和が9となる3個の自然数(正の整数)の組

は幾つあるか。

9 =a1+a2+a3, a1a2a3

となるようにして数えて行くと、

9 = 7 + 1 + 1 (1)

= 6 + 2 + 1 (2)

= 5 + 3 + 1 (3)

= 5 + 2 + 2 (4)

= 4 + 4 + 1 (5)

= 4 + 3 + 2 (6)

= 3 + 3 + 3 (7)

の7通りである。

問題2.1.4 (教科書 例題19.2) 大小2つのサイコロを同時に投げて、出る目の数

の和が5の倍数になる場合は何通りありますか。

出る目の数の和が5の倍数になるには、和が5の場合と和が10の場合があって、そ れらが同時に起こる事はないからそれぞれの場合の可能性の総数を数えて足せば良い。

和が5の場合 1 2 3 4 4 3 2 1

和が10の場合 4 5 6 6 5 4 従って合計で7通りあります。

この問題も2つのサイコロを区別しないのであれば、例えば2つの目が1,4の場 合と4,1の場合などは区別しませんから重複している分を除外すれば

(1,4), (2,3), (4,6), (5,5)

の4通りしかありません。

(2)

演習問題 2.1.5 (教科書 問題19.2) 大小2つのサイコロを同時に投げて、出る目 の数の和が4の倍数になる場合は何通りありますか。

出る目の数の和が4の倍数になるには、和が4、8、12の場合があって、それらが 同時に起こる事はないからそれぞれの場合の可能性の総数を数えて足せば良い。

和が4、8になる場合は以下の通り:

和が4の場合 1 2 3 3 2 1

和が8の場合 2 3 4 5 6 6 5 4 3 2

合計8通りあります。また、和が12となるのは大小共に6が出た場合のみですから1 通りであり、合計で9通りあります。

演習問題 2.1.6 (教科書問題19.3) ある山を登るのにA,B,C,D,Eの5つの登山道 があります。この山に登って下るのに、次の場合何通りの道の選び方があるでしょ うか。

(1)上りと下りが同じ道であってもよい場合。

(2)上りと下りが異なる道である場合。

(1)登りは5通りあり、そのそれぞれの場合に対して下りも5通りありますから合 計で25通り。

(2)登りは5通りありますが、下りはそれぞれ4通りになります。従って合計で2 0通りです。

問題 2.1.7 (教科書問題19.4) 432の約数は何個ありますか。

432 = 24·33ですから、その約数は2m·3nの形をしていてm= 0,1,2,3,4, n= 0,1,2,3 のいずれかです。m, nの値が違えばそれに応じた約数2m·3nも異なる値になりますか ら約数の個数は5×4 = 20個です。

2.2 Exercise

演習問題2.2.1 アルファベットa,b,b,c,dの中から3つとって並べて得られる文字

列の可能性は何通りありますか?

演習問題2.2.2 袋の中に赤い玉が3個、白い玉が2個、黒い玉が1個入っていま

す。袋の中から3個取り出した場合の色の組み合わせは何通りありますか。

演習問題2.2.3 100に約数は幾つありますか。

演習問題2.2.4 正の整数nを互いに異なる偶数個の正の整数の和で表す方法の総

数をQ0(n)、互いに異なる奇数個の正の整数の和で表す方法の総数をQ1(n)とし ます。

(1)Q0(n), Q1(n)を、n= 9,10,11,12のときに求めて下さい。

(2)Q0(n), Q1(n)を、n= 5,7,8,15のときに求めて下さい。

演習問題 2.2.5 1,2,3,3,5から3つとって和が偶数になる可能性は何通りありま

すか?

演習問題 2.2.6 現在3名、3名、2名の3グループに分かれているとします。メ

ンバーの入れ替えを行って、現在同じグループにいる人は次に同じグループに入ら ないようにする方法は何通りありますか?

(3)

2.3 練習問題の解答例

演習問題 2.2.1 アルファベットa,b,b,c,dの中から3つとって並べて得られる文字

列の可能性は何通りありますか?

文字列が『もし辞書に載っていたなら』と云う風に考えて辞書式に数えて行きます。

abb abc abd acb acd adb adc

bab bac bad bba bbc bbd

bca bcb bcd bda bdb bdc

cab cad cba cbb cbd cda cdb

dab dac dba dbb dbc dca dcb

以上で33通りですね。また、これは次のようにして数えることも出来ます。

bが0個の場合

a,c,dが自由に並べられるので、1番左に来るものの可能性が3通り、真ん中に来る

ものは残った2つの2通り、右はこの時点で決定されてしまいます。従って6通りです。

bが1個の場合

bの場所以外のところに残りのa,c,dがどう並ぶかですから、残りの場所のうち左が 3通り、右は残りが2個ですから2通り、合計6通りあって、これが3の場所(3つの 可能性があります)によってそれぞれありますから、合計18通りです。

bが2個の場合

残りの場所は1カ所しかありません。そこに残りの文字a,c,dのいずれかが来るわけ ですから3通りあります。ただし、残りの場所の位置にも3通りありますから合計9通 りです。

合計

以上合わせて33通りです。

演習問題2.2.2 袋の中に赤い玉が3個、白い玉が2個、黒い玉が1個入っている。

袋の中から3個取り出した場合の色の組み合わせは何通りあるか。

赤を0、白を1、黒を2と表すことにして、この数字表現で3桁の数字(100の位 などが0になって実質2桁などの場合も含む)だと思って小さなものから順に数えて行 こう。

ただし、さっきの問題が並ぶ順番も区別しているのに対して、この問題では色の組み 合わせしか見ておらず、順番は無視していますから、各位の数は右は左より小さくなら ないようにすれば良い。

000 (1)

001 (2)

002 (3)

011 (4)

012 (5)

112 (6)

従って可能性は6通りである。

演習問題2.2.3 100に約数は幾つあるか。

100 = 22·52なので、2,2,5,5のうち幾つかを掛けて得られる数および1が約数のす べてである。

1,2,22= 4,5,2·5 = 10,22·5 = 20,52= 25,2·52= 50,2·52= 100 従って約数は9個である。

(4)

演習問題 2.2.4 正の整数nを互いに異なる偶数個の正の整数の和で表す方法の総 数をQ0(n)、互いに異なる奇数個の正の整数の和で表す方法の総数をQ1(n)とし ます。

(1)Q0(n), Q1(n)を、n= 9,10,11,12のときに求めて下さい。

(2)Q0(n), Q1(n)を、n= 5,7,8,15のときに求めて下さい。

(1)

Q0(9) Q1(9)

9 = 8 + 1 9 = 9 (1)

= 7 + 2 = 6 + 2 + 1 (2)

= 6 + 3 = 5 + 3 + 1 (3)

= 5 + 4 = 4 + 3 + 2 (4)

Q0(10) Q1(10)

10 = 9 + 1 10 = 10 (1)

= 8 + 2 = 7 + 2 + 1 (2)

= 7 + 3 = 6 + 3 + 1 (3)

= 6 + 4 = 5 + 4 + 1 (4)

= 4 + 3 + 2 + 1 = 5 + 3 + 2 (5)

Q0(11) Q1(11)

11 = 10 + 1 11 = 11 (1)

= 9 + 2 = 8 + 2 + 1 (2)

= 8 + 3 = 7 + 3 + 1 (3)

= 7 + 4 = 6 + 4 + 1 (4)

= 6 + 5 = 6 + 3 + 2 (5)

= 5 + 3 + 2 + 1 = 5 + 4 + 2 (6)

Q0(12) Q1(12)

12 = 11 + 1 12 = 12 (1)

= 10 + 2 = 9 + 2 + 1 (2)

= 9 + 3 = 8 + 3 + 1 (3)

= 8 + 4 = 7 + 4 + 1 (4)

= 7 + 5 = 7 + 3 + 2 (5)

= 6 + 3 + 2 + 1 = 6 + 5 + 1 (6)

= 5 + 4 + 2 + 1 = 6 + 4 + 2 (7)

= 5 + 4 + 3 (8)

(2)

Q0(5) Q1(5) 5 = 4 + 1 5 = 5 (1)

= 3 + 2 (2)

Q0(7) Q1(7)

7 = 6 + 1 7 = 7 (1)

= 5 + 2 = 4 + 2 + 1 (2)

= 4 + 3 (3)

Q0(8) Q1(8)

8 = 7 + 1 8 = 8 (1)

= 6 + 2 = 5 + 2 + 1 (2)

= 5 + 3 = 4 + 3 + 1 (3)

Q0(15) Q1(15)

15 = 14 + 1 15 = 15 (1)

= 13 + 2 = 12 + 2 + 1 (2)

= 12 + 3 = 11 + 3 + 1 (3)

= 11 + 4 = 10 + 4 + 1 (4)

= 10 + 5 = 10 + 3 + 2 (5)

= 9 + 6 = 9 + 5 + 1 (6)

= 9 + 3 + 2 + 1 = 9 + 4 + 2 (7)

= 8 + 7 = 8 + 6 + 1 (8)

= 8 + 4 + 2 + 1 = 8 + 5 + 2 (9)

= 7 + 5 + 2 + 1 = 8 + 4 + 3 (10)

= 7 + 4 + 3 + 1 = 7 + 6 + 2 (11)

= 6 + 5 + 3 + 1 = 7 + 5 + 3 (12)

= 6 + 4 + 3 + 2 = 6 + 5 + 4 (13)

= 5 + 4 + 3 + 2 + 1 (14)

(1)では一致するものが多かったのですが、(2)はずれているものが多いですね。

しかもQ0の方が大きかったり、Q1の方が大きかったりいろいろです。

実は次の事実が知られています:

定理2.5.5 (Eulerの五角数定理)

Q0(n)Q1(n) =

(1)k ifn= k(3k2±1) 0 otherwise

一般に k(3k±1)

2 k= 1,2, . . . の型の整数を(一般化された)五角数と言います。± マイナスの方がオリジナルの五角数で1,5,12,22, . . .となりますが、点を正5角形状に 並べた場合の点の数に対応しています。

(5)

演習問題 2.2.5 1,2,3,3,5から3つとって和が偶数になる可能性は何通りありま すか?

偶数が1個しかありませんから、3個の中には必ず奇数が入ります。奇数が奇数個で 残りが偶数だと和は奇数ですので、奇数は偶数個しかあり得ず、2個です。

従って偶数2が必ず入り、残りの2つが4つの奇数1,3,3,5のどれか2つです。その 可能性は

2 + 1 + 3 = 6, 2 + 1 + 5 = 8, 2 + 3 + 3 = 8, 2 + 3 + 5 = 10

の4通りしかありません。

演習問題 2.2.6 現在2名、2名、1名の3グループに分かれているとします。メ

ンバーの入れ替えを行って、現在同じグループにいる人は次に同じグループに入ら ないようにする方法は何通りありますか?

現在の3グループの各メンバーに次のように名前をつけておきます:

(A1, A2), (B1, B2), (C)

次のグループ分けにおいて、A1, A2は同じグループに入れませんからこの2人は分か れることになります。B1, B2も同様です。

数えると次の様になります:

(C)(A1B1)(A2B2) (1)

(C)(A1B2)(A2B1) (2)

(A1)(A2B1)(B2C) (3)

(A1)(A2B2)(B1C) (4)

(A2)(A1B1)(B2C) (5)

(A2)(A1B2)(B1C) (6)

(B1)(A1B2)(A2C) (7)

(B1)(A1C)(A2B2) (8)

(B2)(A1B1)(A2C) (9)

(B2)(A1C)(B1A2) (10)

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