Oracle Database11g Automatic Storage
Management の新機能概要
Oracle テクニカル・ホワイト・ペーパー
2007 年 6 月
注意:
本書は、オラクルの一般的な製品の方向性を示すことが目 的です。また、情報提供を唯一の目的とするものであり、 いかなる契約にも加えることはできません。下記の事項は、 マテリアルやコード、機能の提供を確約するものではなく、 また、購買を決定する際の判断材料とはなりえません。オ ラクルの製品に関して記載されている機能の開発、リリー ス、および時期については、弊社の裁量により決定いたし ます。Oracle Database11g
Automatic Storage Management の新機能概要
注意: ... 2
Oracle Database11g Automatic Storage Management の新機能概要 ... 3
はじめに ... 4
Oracle Automatic Storage Management の概要... 4
Oracle Automatic Storage Management の新機能... 5
スケーラビリティとパフォーマンスの向上... 6
高速なミラー再同期化... 6
VLDB のサポート... 7
可変サイズ・エクステント ... 7
複数の割当てユニット・サイズ ... 8
制限付きマウント・オプションを使用した高速リバランシング ... 8
優先ミラー読取り... 9
Oracle ASM のローリング・アップグレードとパッチの適用... 9
Oracle Enterprise Manager における表領域レベルの移行ウィザード ... 10
管理性の向上 ... 10
ディスク・グループ互換性属性 ... 10
新しい ASMCMD コマンド ... 11
ASMCMD cp ... 11
ASMCMD ディスク・グループのメタデータのバックアップとリス
トア ... 12
ASMCMD lsdsk ... 13
ASMCMD remap ... 13
SYSASM ロール... 13
ディスク・グループの強制的なマウントまたはドロップ ... 14
結論 ... 15
はじめに
Oracle Database 11g Automatic Storage Management(Oracle ASM)は、Oracle データ ベース・ファイル向けの革新的なファイル・システムおよびボリューム管理機能 です。Oracle ASM を使用すると、Oracle グリッド・アーキテクチャの導入を成功 させるために欠かせない、ストレージ管理の自動化と簡易性を高めることができ ます。また、ファイル・システムのスケーラビリティ、パフォーマンス、管理性、 さらには Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)環境だけでなくシングル・ インスタンスの Oracle データベースにおけるデータベースの可用性を向上します。
“Oracle ASM の機能を使用すると、DBA はディスク I/O の最適化について心配す る必要がなくなります。Oracle ASM は、 データを均等に分散することでホット・ スポットを排除し、エンド・ユーザーや アプリケーションが必要としている最適 な帯域幅を提供します。”
Qualcomm IT部門、Senior Manager、
Arvind Gidwani氏 このホワイト・ペーパーは、主に以下の技術者を対象読者として想定しています。 • データベース、システム、またはストレージの管理者 • アーキテクト • コンサルタント • システム・エンジニア • 技術マネージャ
Oracle Automatic Storage Management の概要
Oracle ASM は、統合クラスタ・ファイル・システムとボリューム管理機能を追加 コストなしで実現する、Oracle Database 11g の機能の 1 つです。Oracle ASM を使 用すると、Oracle データベース・ストレージの総所有コストが削減され、ストレー ジの使用率が向上するのに加えて、従来のファイル・システムとボリューム管理 ソリューションに比べてパフォーマンスと可用性を高めることができます。また、 データベース・ストレージ環境とデータ・ファイルの管理に必要な時間も従来の 数分の 1 で済みます。
Oracle ASM は従来のファイル・システムに比べて管理しやすく、raw ボリューム に匹敵するパフォーマンスを実現します。また、Oracle データベースと密接に統合 されており、Oracle ストレージ・グリッドの基盤を形成します。さらに、Oracle ASM を使用することで、Oracle データベース・ファイルをサードパーティ製のボリュー ム・マネージャやファイル・システムを使用して管理する必要がなくなります。
Oracle ASM は、Oracle データベース・プラットフォームに重要な価値をもたらし ます。Oracle ASM を使用することにより、ストレージ・プロビジョニング、スト レージ・アレイの移行、ストレージの統合が簡素化され管理性が向上します。ま た、SQL*Plus、Oracle Enterprise Manager GUI、UNIX ライクなコマンドライン・イ ンタフェースなど、柔軟で管理の容易なインタフェースを備えています。さらに は、革新的なリバランシング機能によって、クラス最高のパフォーマンスを持続 的に提供できます。リバランシング機能は、データをすべてのストレージ・リソー スに均等に分散することで、I/O の均等な分散と最適なパフォーマンスを実現しま す。Oracle ASM は、機能やパフォーマンスを犠牲にすることなく複数のテラバイ ト級のデータベース(VLDB)にまで拡張可能なスケーラビリティを備えています。 Oracle ASM は、データベースの可用性を最大化するように構築されています。ま た、自己修復機能を備えた自動ミラー再構築および再同期化、ローリング・アッ プグレード、パッチ適用などの機能も備えています。Oracle ASM では、シングル・ インスタンス構成および Oracle RAC データベース構成の両方で、動的なオンライ ン・ストレージ再構成も可能です。Oracle ASM を導入すると、ジャストインタイ ム・プロビジョニング、データベース統合に理想的なクラスタ化ストレージ・プー ルなどの機能によって、大幅なコストの節約と総所有コストの削減を実現できま す。Oracle ASM の機能を使用するために、新たにライセンスを取得することや追 加のライセンス料を支払う必要はありません。
Oracle ASM が、Oracle データベース・ファイル用のファイル・システムおよびボ リューム・マネージャとして選択されていることには、次のような理由があります。
• ストレージ管理の簡素化および自動化
• ストレージ使用率、アップタイム、敏捷性の向上
• パフォーマンスおよび可用性の品質保証契約の計画に準拠した履行
“Oracle ASM を導入すると、Linux 上で 安価なストレージを使用して Oracle を稼 働したときに発生するパフォーマンスや 管理性に関する問題の大半が解決され、 大規模な高パフォーマンス・システムを 構築できます。”Amazon.com Principal
Database Engineer、Grant McAlister氏
Oracle Automatic Storage Management の新機能
Oracle Database 11g の Oracle ASM では、次の領域で機能が大幅に改善されています。 • スケーラビリティとパフォーマンス • VLDB でのスケーラビリティとパフォーマンスの向上 • 高速なミラー再同期化 • クラスタでの優先ミラー読取り • 大きな割当てユニット(AU)のサポート • 高速リバランシング • ローリング・アップグレードとパッチの適用 • 管理性の向上
• Oracle Enterprise Manager での表レベルの移行ウィザード • ディスク・グループ互換性属性
• SYSDBA 権限と切り離された新しい SYSASM 権限 • ディスク・グループの MOUNT および DROP コマンドに指定可能な 柔軟性の高い FORCE オプション
スケーラビリティとパフォーマンスの向上
高速なミラー再同期化
Oracle ASM の高速ミラー再同期化機能を使用すると、標準冗長レベルまたは高冗 長レベルのディスク・グループで発生した一時的なディスク障害からのリカバリ に必要な時間が大幅に短縮されます。Oracle ASM ディスクおよび(または)一時 的な Oracle ASM ディスク障害の予測的な保守機能は、どちらも、高速ミラー再同 期化機能から多大な恩恵を受けています。一時的な障害が発生してディスクがオ フラインになると、Oracle ASM は、オフライン中に変更されたエクステントを追 跡します。その後、一時的な障害が修復されると、Oracle ASM はオフライン中に 更新された ASM ミラー・エクステントだけを素早く再同期化します。一時的な障 害では、ミラー化されたディスクの内容は破損しておらず、ディスクが使用不能 になった原因は、ケーブルの接続不良、電源障害または、ホスト・バス・アダプ タ、ディスク・コントローラなどの障害であると想定されます。 ミラーの再同期化機能は、我社の拡張ク ラスタを成功させた重要な要因であるだ けでなく、アップタイムの向上をもたら す予測的な予防型保守を可能にします。 新しく追加された DISK_REPAIR_TIME 属性には、一時的な障害が修復され、ミ ラー・ディスクがオンライン状態に復帰するまでの時間枠を定義します。Oracle ASM は、変更されたブロック(エクステント)だけを再同期化するため、リカバ リ所要時間が大幅に短縮されます。このため、オンラインに復帰させるディスク のデータ容量によっては、Oracle ASM を使用した場合と使用しない場合のリカバ リ時間の差は、数分から数時間、あるいは数日に及ぶこともあります。 DISK_REPAIR_TIME 属性は、デフォルトでは、3.6 時間に設定されます。この値 を、より長い時間にするには、ALTER DISKGROUP コマンドを使用します。たと えば、ALTER DISKGROUP <ディスク・グループ名> SET ATTRIBUTE -DISK_ REPAIR_TIME“=" 24H"といった具合です。ディスクを修復したら、ALTER DISKGROUP DISK ONLINE という SQL 文を実行します。これにより、修復されたディスク・ グループがオンライン状態に復帰し、再同期化プロセスが開始されます。 V$ASM_ATTRIBUTE ビューには、DISK_REPAIR_TIME 属性の現在値が表示され ます。残り時間は、V$ASM_DISK ビューまたは V$ASMDISK_STAT ビューの REPAIR_TIME 列で確認できます。OFFLINE コマンドを使用して、ディスク・グ ループや障害グループを手動でオフラインにしたり、修復不可能なオフラインの ディスクを強制的にドロップしたりできます。その場合は、障害の発生したディ スクを交換してディスク・グループに追加した後で、完全な再同期化を実行する 必要があります。 この機能は ASM ミラー化を使用しているすべてのケースに適用されるので、結果 としてデータベースの可用性が向上します。2 つの障害グループ(各サイトに 1 つ)が作成される拡張クラスタなどのアプリケーションでは、完全なミラー再同 期化を実行することなくネットワークや接続性の障害から迅速にリカバリできる ので、利点も大きくなります。障害グループをオフラインにして、保守作業を実 行し、障害グループをオンラインにしてディスクの内容を更新するという一連の 作業を、データベースを停止させることなく、かなりの短時間で行えるので、事 前予防型保守も可能になりました。VLDB のサポート
可変サイズ・エクステント
Oracle Database 11g では、可変サイズ・エクステント機能によって、サイズの大き な ASM ファイルのサポートが可能となり、大規模データベースに SGA のメモリ 要件が軽減され、ファイルの作成およびオープン関数のパフォーマンスが向上し ています。 割当てユニット(AU) ディスク・グループの作成時に 1、2、 4、8、16、32、64MB から選択 ストライプ化 粗いストライプ・サイズ=1AU 細かいストライプ・サイズ=128KB 可変サイズのASMファイル・エクステ ント エクステント・サイズ=AU サイズ、最 大 20,000 エクステント エクステント・サイズ=8*AU サイズ、 最大 40,000 エクステント エクステント・サイズ=64*AU サイズ、 40,001 エクステント以上(下の図には 表示されていない)ASM ディスク 1 ASM ディスク 2 ASM ディスク 3 ASM ディスク 4
図 2 ASM ファイルは、最小 1MB(1MB AU の場合)のエクステント・サイズから作 成可能で、ファイル・サイズが大きくなるにつれて、エクステント・サイズも、 事前定義のエクステント数に到達すると、8MB または 64MB に増分されます。し たがって、ファイルを定義するエクステント・マップのサイズは、ファイルのサ イズに応じて、8 分の 1 または 64 分の 1 になる可能性があります。初期エクステ ント・サイズは 1AU サイズと等しく、事前定義の各しきい値に到達するたびに、 8 倍または 64 倍に増分されます。 この機能は、compatible.asm 属性および compatible.rdbms 属性が 11.1 に更新される と、以降は、新規作成ファイル(またはファイルの拡張部分)について自動的に 適用されます。Oracle ASM VLDB サポートは、次のように拡張されています。
• 外部冗長(ASM ミラー化なし)で 140PB • 標準冗長(2 ウェイの ASM ミラー化)で 42PB • 高冗長(3 ウェイの ASM ミラー化)で 15PB • 40 エキサバイトのストレージ • 4PB の各 ASM ディスク • ディスク・グループあたり 1,000,000 ファイル • 10,000 個の ASM ディスク • ASM インスタンスあたり 63 個のディスク・グループ Oracle データベースでは、ファイル・サイズは 128TB(bigfile 表領域と 32k のブ ロックサイズを使用)に制限されている点に注意してください。これは、ASM ファ イル・サイズの上限値をかなり下回っています。
複数の割当てユニット・サイズ
Oracle ASM の割当てユニット(AU)サイズを、ディスク・グループの作成時に、 1、2、4、8、16、32、64MB のいずれかに設定できるようになりました。割当て ユニットは、ファイルに割り当てることができる最小ディスク・セグメントです。 各エクステントのサイズは、割当てユニットの整数倍になります。各ファイルの サイズは、エクステント・サイズの整数倍です。われわれの調査によると、一部 のワークロードやストレージ・システムでは、大きな AU サイズを使用して配置 することでパフォーマンスが大幅に向上することが分かっています。
Oracle ASM のデフォルトの AU サイズは、Oracle データベースの I/O バッファ・ サイズの MAXIO のデフォルト値に合わせて、1MB に設定されています。AU サ イズを大きくすると、順次読取りおよび書込みのパフォーマンスが向上する可能 性があります。大規模な順次アクセス I/O を実行するアプリケーションで最適な パフォーマンスを得るには、MAXIO バッファ・サイズを 4MB に増やし、4MB の 割当てユニットで ASM ディスク・グループを作成すると効果的です。 細かなストライプのサイズは 128KB のままですが、粗いストライプのサイズは選 択した AU のサイズに等しくなる点に注意してください。
制限付きマウント・オプションを使用した高速リバランシング
制限付きモードでマウントされたディスク・グループは、1 ノードのみによって 排他的にマウントされます。そのノード上の ASM クライアントは、ディスク・グ ループが制限付きモードでマウントされているかぎり、そのディスク・グループ にはアクセスできません。制限付きモードを使用すると、ディスク・グループ上 でのすべての保守作業を外部とやり取りせずに ASM インスタンス内で実行でき ます。ディスク・グループを制限付きモードにしてリバランシング操作を実行す ると、Oracle RAC 環境の各 ASM インスタンス間で、ロックまたはロック解除の ためのエクステント・マップ・メッセージをやり取りする必要がなくなるので、 リバランシング全体のスループットが向上します。保守サイクルの最後には、制限付きモードに設定したディスク・グループを明示 的にアンマウントして、通常モードで、再度マウントする必要があります。 ALTER DISKGROUP <ディスク・グループ名> MOUNT コマンドは、ASM がディ スク・グループを制限付きモードでマウントできるように拡張されています。以 下に、一連のコマンドの実行例を示します。
ALTER DISKGROUP data DISMOUNT; ALTER DISKGROUP data MOUNT RESTRICT; // メンテナンス作業:
// ONLINE/OFFLINE ディスクの追加/削除やファイルの削除、ディレクトリの作成など ALTER DISKGROUP data DISMOUNT;
ALTER DISKGROUP data MOUNT;
制 限 付 き オ プ シ ョ ン を 指 定 し て ASM イ ン ス タ ン ス を 起 動 す る と 、 ASM_DISKGROUPS パラメータに定義されているすべてのディスク・グループが 制限付きモードでマウントされます。
優先ミラー読取り
Oracle ASM で冗長性を管理している場合は、優先ミラー・コピー(優先読取り障 害グループ)から読取るようにノード上の ASM インスタンスを設定できます。デ フォルトでは、常にプライマリ・コピーから読取ります。 この機能は遠隔地 RAC を配備しているときに使用すると便利です。遠隔地 RAC では、障害時リカバリを可能にするために各ノードが障害グループと遠く離れた 場所に配置されるからです。こうしたケースでは、各サイトの Oracle RAC ノード を、長い待ち時間が発生する可能性のあるネットワーク経由ではなく、ローカル・ ストレージのミラー・コピーから読取るように設定できます。 障害グループ名のリストを優先読取りディスクとして指定するには、ASM_ PREFERRED_READ_FAILURE_GROUPS 初期化パラメータを設定します。このパ ラメータは複数値をとることができます。パラメータ値には、カンマで区切られ た<ディスク・グループ名>.<障害グループ名>のリストからなる文字列を指定しま す 。 V$ASM_DISK ビ ュ ー と V$ASM_DISK_IOSTAT ビ ュ ー に は 、 新 し い 列 PREFERRED_READ が追加されています。ディスクの属するディスク・グループ が 優 先 読 取 り 障 害 グ ル ー プ に 属 し て い る 場 合 、 そ の デ ィ ス ク の PREFERRED_READ 列に Y が設定されます。 サイト A とサイト B にまたがる優先ミラー読取りを設定するには、障害グループ 名 SITEA または SITEB の前にディスク・グループ名を付けます。 ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUP=DATA.SITEA または ASM_PREFERRED_READ_FAILURE_GROUP=DATA.SITEBOracle ASM のローリング・アップグレードとパッチの適用
Oracle RAC 環境で Oracle ASM のローリング・アップグレード機能を使用すると、 クラスタ内の各 ASM ノードに対して個別にアップグレードまたはパッチ適用で きるので、柔軟性とアップタイムの向上を実現できます。この機能は、Oracle Database 11g 以降のバージョンで使用可能です。 ローリング・アップグレード機能はわれ われに大きな恩恵をもたらしてくれまし た。ローリング・アップグレード機能の おかげで、我社のデータベースの可用性、 およびパッチ適用とアップグレードにお ける管理の柔軟性が大幅に向上しました。 Oracle ASM に対してパッチ適用またはアップグレードを実行するには、まず、対 象となる ASM クラスタをローリング移行モードに切り替える必要があります。こ れにより、ASM インスタンスが、マルチ・バージョン環境で動作できるようにな ります。ローリング移行モードは、短期間の一時的な状態であると想定されます。 ローリング移行モードを開始するには、クラスタのすべてのノードに適切なソフ トウェアがインストールされている必要があります。Oracle ASM をアップグレー ドする前に、すべてのノードで Oracle Clusterware を適切なバージョンにアップグ レードしておく必要があります。ローリング移行モードでは、通常のデータベース・ファイル操作はすべて許可されますが、ディスク・グループ構成の変更操作 はほとんど禁止されます。ローリング移行モードを開始するには、次のコマンド を実行します。
ALTER SYSTEM START ROLLING MIGRATION TO number;
これで、各 ASM インスタンスを個別にシャットダウンして、そのインスタンスに 対してソフトウェア・アップグレードを実行できます。クラスタはローリング移 行モードになっているので、アップグレードされた ASM インスタンスは、アップ グレード後クラスタに再接続できます。すべてのノードが正常にアップグレード されたら、ローリング移行モードを終了してフル機能の通常モードに復帰します。 そのためには、次のコマンドを実行します。
ALTER SYSTEM STOP ROLLING MIGRATION;
移行中に問題が発生した場合は、上と同じ手順でノードをロールバック(ダウン グレード)できます。クラスタ内のどこかでリバランシング操作が実行されてい る場合は、ローリング移行モードを開始できません。その場合は、リバランシン グが終了するのを待ってから、ローリング移行を開始します。 移行中にクラスタに接続した新規インスタンスは、起動するとすぐ、ローリング 移行状態に切り替わります。クラスタ化された Oracle ASM 環境の状態を特定する には、次の SQL 関数を使用します。
select SYS_CONTEXT(‘sys_cluster_properties", "cluster_state‘) from dual;
Oracle Enterprise Manager における表領域レベルの移行ウィザード
ASMMigrate は、Oracle Enterprise Manager(EM)の機能の 1 つであり、ファイル・ システム上または raw デバイス上に存在するデータベースを、同じホスト上の Oracle ASM に存在するデータベースに移行します。
ASMMigrate が Oracle Database 10g Release 2 で導入されたときには、データベー ス・レベルの移行しか実行できませんでしたが、Oracle Database 11g から表領域レ ベルでの移行もサポートされるようになりました。
Oracle Database 10g Release 2 では、新しい EM の機能が導入され、Oracle ASM が 一部のクラスタ・ホストに対してのみ構成されている場合に、クラスタの他のノー ドに対しても構成するように Oracle ASM が拡張されました。また、Oracle ASM が構成されていない新規ノードに Oracle RAC データベースを拡張したときに、 Oracle ASM を透過的に拡張する機能も提供されました。
Oracle Database 11g では、1 つのノードにシングル・インスタンス ASM が存在し ていれば、そのシングル・インスタンス ASM を、クラスタ内のすべてのノードま たは指定したノード上で稼働するクラスタ ASM に変換できます。
管理性の向上
ディスク・グループ互換性属性
Oracle Database 11g ASM では、新たに 2 つのディスク・グループ属性が導入され ました。すなわち、compatible.asm と compatible.rdbms の 2 つの属性です。これら の属性は、ASM ディスク・グループに接続できる Oracle ASM とデータベース・
インスタンスの最低バージョンを決定します。 これにより、Oracle ASM とデータベースのバージョンを 10.1 から 11.1 にアップ グレードする際に、ASM ディスクの互換性属性を 10.1 のままにしておくという選 択が可能になります。その場合、バージョン 11.1 の Oracle ASM とデータベース は機能しますが、11.1 の新機能をすべて利用することはできません。これは有用 な機能です。なぜなら、ソフトウェアをアップグレードしたとき、アップグレー ドを確定してしまう前に、新リリースの機能を確認できるからです。ディスク・ グループ互換性属性を 10.1 から 11.1 に変更すれば、11.1 のすべての機能が使える ようになります。逆に、ディスク・グループ互換性属性を旧バージョン(10.1) のままにしておけば、旧バージョンに戻すことができます。ディスク・グループ 互換性属性をいったん新バージョンに変更してしまうと、元には戻せないので注 意が必要です。 ディスク・グループ互換性属性を設定するには、CREATE DISKGROUP または ALTER DISKGROUP コマンドを使用します。
CREATE DISKGROUP DATA NORMAL REDUNDANCY DISK '/dev/raw/raw1','/dev/raw/raw2'
ATTRIBUTE 'compatible.asm'='11.1' compatible.rdbms'='11.1'
asm および rdbms ディスク・グループを 11.1 にすると、次の各機能が有効になり ます。 互換性属性: compatible.asm 属性または compatible.rdbms 属性を 10.1 から 11.1 に変更すると、 次の主要機能が有効になります。 -優先ミラー読取り -可変サイズ・エクステント -高速ミラー再同期化
新しい ASMCMD コマンド
ASMCMD ユーティリティにクラッシュ後のノード・リカバリを改善する 3 つの新 しい機能が導入されました。すなわち、ディスク上の不良ブロックの修復、ファ イルのコピー、ディスク・グループ内 ASM ディスクのリスト表示の簡素化の 3 つです。ASMCMD cp
ASMCMD cp オプションを使用すると、ASM ディスク・グループと OS のファイ ル・システム間、および 2 つの ASM サーバー間でファイルをコピーできます。次 のパターンの各ファイル・コピーがサポートされています。 ASM ディスク・グループ → OS ファイル・システム OS ファイル・システム → ASM ディスク・グループ ASM ディスク・グループ → 同一サーバー内の別の ASM ディスク・グループ ASM ディスク・グループ → リモート・サーバー上の ASM ディスク・グループ 次の例では、ASM ファイルをファイル・システムのディレクトリ/backups にコピー しています。 asmcmd cp +DG1/VDB.CTF1 /backups ASMCMD> cp +DG1/vdb.ctf1 /backups/vdb.ctf1 copying file(s)... copying file(s)...copying file(s)...
file, /backups/vdb.ctf1, copy committed.
ASMCMD ディスク・グループのメタデータのバックアップとリストア
ASMCMD は、ASM ディスク・グループのメタデータのバックアップおよびリス トア機能に対応できるように拡張されました。これにより、既存の ASM ディス ク・グループを、同じディスク・パス、ディスク名、障害グループ、属性、テン プレート、エイリアス・ディレクトリ構造を使用して再作成できます。現時点で も、ASM ディスク・グループを失った場合、Oracle RMAN ユーティリティを使用 して失ったファイルを復元することはできますが、ASM ディスク・グループと必 要なすべてのユーザー・ディレクトリおよびテンプレートは手動で再作成する必 要があります。ASM メタデータ自体をバックアップしたりリストアしたりする必 要はありません。 ASM メタデータのバックアップとリストアには、2 つの動作モードがあります。 バックアップ・モードでは、既存のディスクおよび障害グループの構成、属性、 テンプレート、エイリアス・ディレクトリ構造を収集し、バックアップ・ファイ ルにダンプします。リストア・モードでは、前に生成したファイルを読み込んで、 ディスク・グループとそのメタデータを再構築します。そのとき、full、nodg、newdg のうちどの方法でリストアするのかを制御できます。full モードでは、バックアッ プ時とまったく同じ状態にディスク・グループをリストアします。nodg モードで は、バックアップ・ファイルに指定された属性、テンプレート、エイリアス・ディ レクトリ構造を、既存のディスク・グループにリストアします。newdg モードで は、ディスク・グループ名、ディスク、ディスク・グループ作成時の障害グルー プ指定は上書きできますが、属性、テンプレート、エイリアス・ディレクトリ構 造は維持されます。次の例では、md_backup コマンドで ASM メタデータをバック アップし、md_restore コマンドでリストアする方法を示しています。
ASMCMD> md_backup -b backup_file -g data Disk group to be backed up:DATA#
ASMCMD> 上の例では、-b オプションと-g オプションを指定しています。これらのオプショ ンにはそれぞれ、バックアップ情報が格納されたファイルの名前、およびバック アップする必要のあるディスク・グループの名前を指定します。 ディスク・グループに含まれるデータベース・ファイルをリストアするには、ま ず、ディスク・グループ自体をリストアする必要があります。たとえば、ストレー ジ・アレイの障害によって、ディスク・グループ DATA 内のすべてのディスクの データが失われたとします。この場合、md_restore コマンドでディスク・グルー プのメタデータをリストアするだけでなく、ディスク・グループの再作成を行う 必要があります。次の例では、最初のステップで作成したバックアップ・ファイ ルの名前を指定し、リストアするディスク・グループの名前を指定し、さらに、 実行するリストアの種類を指定しています。この例では、ディスク・グループが 失われているため、ディスク・グループの full リストアが実行されます。
ASMCMD> md_restore -b jfv_backup_file -t full -g data Disk group to be restored:DATA#
ASMCMDAMBR-09358, Option -t newdg specified without any override options. Current Diskgroup being restored:DATA
Diskgroup DATA created! User Alias directory +DATA/jfv created!
ASMCMD>
使用してデータベース・ファイルをリストアできます。
ASMCMD lsdsk
lsdsk コマンドは、Oracle ASM のディスク情報を一覧表示します。このコマンドに は、接続と非接続の 2 つの動作モードがあります。接続モードでは、V$ビューと GV$ビューを使用してディスク情報を取得します。非接続モードでは、ディスク・ ヘッダーをスキャンし、ASM ディスク・ストリングを使用してディスク情報を取 得することで検出セットを制限します。接続モードが常に最初に試されます。こ れは、システム管理者またはストレージ管理者が、ディスクの所有権付き統合リ ストを表示するときに便利です。 ASMCMD> lsdsk -kspt ‘/dev/sdb6ASMCMD remap
ASM ディスク・グループからの通常の読取りで I/O エラーが発生すると、Oracle ASM は、ミラー化エクステントからの書込みを標準冗長または高冗長モードで実 行します。Oracle ASM は、正常なミラーの内容が格納された同一ディスク上の別 の割当てユニットに再割当てすることで、読取りエラーが発生したエクステント の再マッピングを試みます。同一ディスク上での再マッピングに成功すると、古 い割当てユニットには使用不可のマークが付けられます。このプロセスは、読取 り対象のブロックに対してのみ自動的に実行されます。ASM ディスク・グループ 上の一部のブロックやエクステントに対してほとんど読取りアクセスがないこと があります(たとえば、セカンダリ・エクステントなど)。ASMCMD remap コマ ンドは、指定されたブロックに対して不良ブロックの再マッピングを実行します。 ストレージ・アレイが物理ブロック・エラーを返した場合に、SMCMD remap コ マンドを使用すると、ASMCMD repair がそのブロックに対して読取りを開始し、 修復をトリガーします。
ASMCMD> asmcmd remap DATA DATA_00015000-7500
SYSASM ロール
SYSASM ロールは、Oracle ASM の管理タスクを実行するために用意されたロール です。SYSDBA ロールの代わりに SYSASM ロールを使用することで、Oracle ASM の管理をデータベースの管理から分離します。
Oracle Database 11g では、SYSASM と SYSDBA の OS グループは同じで、SYSASM のデフォルトのインストール・グループは dba ですが、これらは異なっていても かまいません。今後のリリースでは、SYSDBA 権限と SYSASM 権限を切り離すた めに異なる OS グループを作成する必要があります。SYSDBA が実行できるのは、 ビューの問合せと ASM ファイルの操作だけです。ディスク・グループの構成を管 理するには、SYSASM 権限が必要になります。
今リリースでは、OSASM(デフォルトでは dba グループ)のメンバーとして ASM インスタンスに接続できます。
SQL> CONNECT / AS SYSASM
ASM インスタンスから CREATE USER と GRANT SYSASM の 2 つの SQL 文を実 行することで、新しく SYSASM ユーザーまたは SYSDBA ユーザーを作成するこ とも可能です。これは、ユーザー名が OS の既存のユーザー名である限り実行可 能です。これらのコマンドはローカルの ASM インスタンスのパスワード・ファイ
ルを更新するため、ASM インスタンスが起動されている必要はありません。同様 に、ユーザーから SYSASM ロールを取り消すためには REVOKE コマンドを、パ スワード・ファイルからユーザーを削除するには DROP USER コマンドを使用し ます。
SQL> CREATE USER ossysasmusername IDENTIFIED by passwd;SQL> GRANT SYSASM
TO ossysasmusername;
SQL> CONNECT ossysasmusername / passwd AS SYSASM; SQL> DROP USER ossysasmusername;
注:Oracle Database 11g Release 1 では、ASM インスタンスに SYSDBA としてログ インした場合、ディスク・グループの構成を変更するコマンドを発行すると、対 応する alert.log ファイルに警告が出力されます。
ディスク・グループの強制的なマウントまたはドロップ
Oracle Database 11g では、マウント中に検出できないディスクや障害グループが見 つかると、Oracle ASM はそのディスク・グループをマウントできません。こうし た不完全なディスク・グループを強制的にマウントする場合は、新しく追加され た FORCE オ プ シ ョ ン を 使 用 し ま す 。 FORCE オ プ シ ョ ン を 使 用 す る と 、 ASM_DISKSTRING の設定間違いなどの構成エラーや接続性に関する問題を、再 マウントすることなく修正できるので、不要なリバランシング操作を防ぐことが できます。ALTER DISKGROUP data MOUNT FORCE|[NOFORCE];
FORCE オプションでディスク・グループをマウントすると、マウント時に使用で きないディスクが存在していた場合に、それらのディスクがオフラインになりま す。その場合は、DISK_REPAIR_TIME に指定された有効期限が切れる前に修正ア クションを実行して、それらのディスクを復元する必要があります。有効期限内 にオンラインに復帰させることができないと、これらのディスクはディスク・グ ループから除外され、ディスク・グループ内のすべてのファイルの冗長性を復元 するためにリバランシング操作が必要になります。 デフォルトでは、NOFORCE でマウントされます。NOFORCE モードでは、ディ スク・グループに属するすべてのディスクがマウント時にアクセス可能でなけれ ば、マウントは中止されます。
DROP DISKGROUP FORCE コマンドを実行すると、ASM インスタンスがマウン トできないディスク・グループに属するディスクのヘッダーに FORMER という マークが付きます。ただし、ASM インスタンスは、最初に、当該ディスク・グルー プが、同じストレージ・サブシステムを使用している他の ASM インスタンスに よって使用されているかどうかを判定します。他の ASM インスタンスによって使 用されており、かつ当該ディスク・グループが同じクラスタ内、または同じノー ド上に存在する場合、その DROP 文は異常終了します。当該ディスク・グループ が異なるクラスタ内に存在している場合は、当該ディスク・グループが別のクラ スタ内のインスタンスによってマウントされているかどうかを判定します。マウ ントされている場合、この DROP 文は異常終了します。FORCE オプションを使用 するときは充分に注意してください。DROP DISKGROUP FORCE は、dd を使用し てディスク・ヘッダーを上書きするよりもはるかに安全です。
DROP DISKGROUP data FORCE INCLUDING CONTENTS;
結論
Oracle Database 11g で追加された Oracle ASM の新機能により、Oracle グリッド環 境におけるストレージ管理機能がさらに強化され、簡素化されました。Oracle ASM は世界中の 1,000 社以上の顧客が使用している実証済みのテクノロジです。Oracle ASM を使用すると、サードパーティ製のファイル・システムやボリューム・マネー ジャを使用してデータベース・ファイルを管理する必要がなくなるため、コスト を最小限に抑え、ストレージの使用率と統合化を高めることができます。これに より、シングル・インスタンス Oracle データベースと Oracle RAC のどちらの環境 でも、信頼性の高いコンピューティングを低コストで実現できます。
Oracle Database11g Automatic Storage Management の新機能概要 2007 年 6 月 著者:Ara Shakian 共著者: Oracle Corporation World Headquarters 500 Oracle Parkway Redwood Shores, CA 94065 U.S.A. 海外からのお問合せ窓口: 電話: +1.650.506.7000 ファクシミリ: +1.650.506.7200 www.oracle.com
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