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男物浴衣の色と文様に関する研究

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(1)

男物浴衣の色と文様に関する研究

著者 内山 道子, 寺田 恭子, 知野 恵子, 渡邉 芳道

雑誌名 東京家政大学博物館紀要

9

ページ 53‑62

発行年 2004

出版者 東京家政大学博物館

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010254/

(2)

〔東京家政大学博物館紀要 第9集 p.53〜62,2003〕

男物浴衣の色と文様に関する研究

内山 道子*寺田 恭子*知野 恵子**渡邉 芳道***

AStudy of Yukata for Men about Color and Pattern

Michiko UcHIYAMA, Kyouko TERADA, Keiko CHINo, Yoshimichi WATANABE

1.はじめに

 日本独特の高温多湿の夏、糊のきいた浴衣を着て、素足に下駄で夕涼みという風景は現在で は見られなくなっている。多種多様な着物の種類の中で素肌に直接着装できる快適性と藍染め による涼感が浴衣の魅力である。もともと浴衣は奈良時代に貴族が入浴時に身にまとった白麻 の単で、その後江戸時代になって木綿の普及にともない湯上がりに着る物と変化し「湯帷子」

から読「浴衣」の文字が当てられるようになったと言われている。明治時代になってから一般 庶民が浴衣で昼間も外出するようになり生地も染めも文様も多様化してきた。

 近年の衣料業界における着物は、行事(冠婚葬祭や七五三、成人式など)を中心として展開 されており、特に女性の着物が中心になっている。最近の傾向として夏期における浴衣が、外 出着としての着こなしの範囲を広げ、夏の風物詩として定着し若い女性を中心にして受け入れ られ、新しい素材や配色、文様など従来にない展開が見られ、現代の着物としての脚光を浴び るようになってきている。この事実は「きものに関するキーワード探索研究」(第1〜第4報)

からも確認することができる。男性の浴衣は一部特定の職業で常用されているほかはあまり着 用される機会も少なく、女性の浴衣の脇役として存在している。この様な状況においても年代 による変化は時代を反映しているものと思われ、今回はその男性の浴衣に着目してみた。

 本研究は1953年〜2003年までの着物専門誌「美しいキモノ」に掲載されている男性浴衣の情 報記事を対象に調査し、色と文様がどのように構成されているか考察した。

2.研究方法

(1)分析資料

   きもの専門誌「美しいキモノ」夏号 出版社 婦人画報社

(2)分析期間

  1953年〜2003年(51年間)

*服飾美術科第3被服構成研究室 **服飾美術学科ファッション造形3研究室

***桴??p科色彩デザイン研究室

53

(3)

(3)分析項目

  掲載された男物の浴衣の色と文様

(4)分析方法

 資料の目視および解説文より地色と配色の色、文様を抽出し集計した。文様にっいては参考 文献をもとに一般的な着物の分類方法に従い次の7種類に分類した。

1)植物文様 一一一一一……一……一一花、草、木などすべての植物、想像上の植物 2)動物文様 一一・…・…一・…一一 鳥獣類、魚介類、人間、想像上の動物

3)生活・器物文様 一一一r−一一一一 人間の使用する器具、工具、道具、建築物、装飾具など 4)自然・風景・天文文様 一一 自然、風景、天文を描いた物で写実的、絵画的図案構成など 5)幾何学文様 一一・一…一…一 直線および曲線により構成された文様

6)歌舞伎文様 一一一一一一一一一… 江戸時代の歌舞伎役者が芝居の扮装に着用して流行した文様        や、役者自身で考案した文様

7)その他の文様一・一・・一・・…一・−1)〜6)に入らない文様

3.分析結果

(1)地色と配色

 51年間の掲載されている男物浴衣を抽出すると177点あり、年代を5年毎に分けて前半と後半 に区分し集計すると表1の通りである。男物浴衣の掲載が取り上げられたのは1961年からで、

1953年から1960年までの8年間は「美しいキモノ」に掲載されていなかった。

表1 年代別推移

        年代種類別

〜55 〜60 〜65 〜70 〜75 〜80 〜85 〜90 〜95 〜00 〜03 合計

男物 0 0 9 16 17 8 4 24 51 33 15 177

 浴衣を地色と配色とに分類し、年代毎に集計すると表2の通りである。地色には藍、白、グ レー、茶、べ一ジュ、黒、グリーン、灰緑、グリーンブルーと9色出現している。最も出現数 が多かった割合は、藍の地色で46.3%、次に白の地色で27.1%であった。続いてグレーの地色 7.3%、茶の色地6.2%、ベージュの地色4.5%、黒の地色4.0%、グリーンの地色3.4%、最も少 なかった灰緑、グリーンブルーの地色が0.6%であった。地色は藍と白で7割以上占めている ことがわかった。

 年代別にみると60年代前半から2003年まで藍の地色、白の地色は毎年出現している。グレー の地色は60年代前半と80年代後半から2003年、茶の地色とベージュの地色は70年代後半と80年 代後半から2003年、黒の地色は70年代前半と90年代前半から2003年、グリーンの地色は90年代

(4)

男物浴衣の色と文様に関する研究

 表2 年代別地色と配色

034

Q6

oo10

計合

34 31 7 1 2 1 1 1 1 1 2 82 30 12 2 2 1 1

48 2 4 3 1 1 1 1 13 4 2 1 3 1 11 1 2 3 2 8 1 1 1 1 1 1 1 7 1 2 1 1 1 6 1 1 1 1

03〜

4 2 1

1

8 1

1

0 1

1 1

1

1

1

1 1 1 1 1 1

15

oo〜

8 1 1

2 12 4 4

8 1 3

1

5 3

3

1 1 1 3

1 1

2

0

33

95〜

10 6 3 2 1 1 1 1

25 2 3

1

6

1

1 1 1 4 1

3 1 5

1 1 1 3 1

1

1 3 1 2 1 1

5

51

90〜

5 4

9 4 5

1

1 11

1 2

3

1

1

0

0

0

24

85〜

2 1

3 1

1

0

0

0

0

0

4

80〜

2 1

3 3

3

0 1

1

1

1

0

0

8

75〜

2 7

1

10 6

6

0

0

0

1

1

0

17

70〜

2 6

8 6

2

8

0

0

0

0

0

16

65〜

1 2 1

4 3

1

4

1

1

0

0

0

0

9

60〜

0

0

0

0

0

0

0

0

55〜

0

0

0

0

0

0

0

0

︐色地

ハ同 一レグしらか

ン一リ白と色系同

白と黒 白と一レク

冒ロ小

一レ

地無

冒口小 ︷同

ン一リスモ

茶と

一レ黒

冒口小 ︷同 一レグ

8灰

冒口小 ン一リ

藍と

冒口小 一レ緑青

ン一リ ン一リと白

冒口爪 黒と白黒と藍

冒口爪冒口小冒ロ爪計合

一レグ

ン一リグ

前半から2003年、灰緑の地色とグリーンブルーの地色はいずれも2000年代にはいってから出現

している。

 このことから90年代前半からは藍、白に加えてグレー、茶、べ一ジュ、黒、グリーンの地色       55

(5)

が出現してきた。また、2000年代にはいり灰緑、グリーンブルーの地色が出現し男物浴衣の地 色は藍、白の占める割合は多いが90年代前半からは地色が少数ではあるが多彩になってきてい

ることがわかった。

 配色の色にっいては、地色に対して一色、二色、三色使いまで出現している。藍の地色に対 し11パターンの組み合わせがあり最も多い色は同系色、次に白、グレーが出現している。白の 地色に対し6パターンの組み合わせがあり、多い色は藍、次に黒が出現している。グレーの地 色に対し7パターンの組み合わせがあり、藍、茶、同系色が出現している。茶の地色に対し5 パターンの組み合わせがあり、同系色、黒、白が出現している。ベージュの地色に対し4パター

ンの組み合わせがあり、藍、黒が出現している。黒の地色に対し7パターンの組み合わせがあ りグレー、青緑、白、グリーン、黄、白とグリーン、白とブルーグレーと各一点ずっ出現して いる。グリーンの地色に対して5パターンの組み合わせがあり藍、白、白と黒、藍と黒、茶と ベージュが出現している。灰緑とグリーンブルーの地色に対してはそれぞれ1パターンの組み 合わせが出現し藍と白であった。どの地色に対しても同系色、藍、白、黒、グレーの配色の組 み合わせが出現し8割以上を占めている。二色使いの配色の組み合わせは藍の地色に対し同系 色と白、黒と白、グレーと白が出現している。白の地色に対して焦茶と濃緑、グレーの地色に 対して藍と茶、黒とグレー、ベージュの地色に対しては茶と藍、黒の地色に対しては白とグリー ン、白とブルーグレー、グリーンの地色に対しては白と黒、藍と黒、茶とべ一ジュの配色の組 み合わせが出現している。茶、灰緑、グリーンブルーの地色には二色使いの配色は出現してい なかった。三色使いは藍の地色に対して同系色と茶とグレーの1点だけがみられた。一色使い の配色の組み合わせに対して、二色、三色使いは少なく15点しかなく1割にも満たなかった。

 年代別に配色の組み合わせをみると、一色使いは60年代前半から2003年まで毎年出現してい るが、二色、三色使いは80年代後半から2003年にかけて出現している。

(2)文様

 分類方法に従って一っの文様で構成されているものを単独柄とし、二っ以上の文様で構成さ れているものを複合柄に分け、植物文様、動物文様、生活・器物文様、自然・風景・天文文様、

幾何学文様、歌舞伎文様、その他の文様の7種類に分類した。

 男物浴衣177点のうち単独柄は125点59モチーフあり全体の70.6%、複合柄は52点49モチーフ あり29.4%に分けることができた。(表3・表4)

 植物文様は単独柄にも複合柄にも男物浴衣には出現していなかった。

 単独柄の文様の種類で出現数の多いものは幾何学文様69点29モチーフで55.2%、次に生活・

器物文様19点14モチーフで15.2%、その他の文様17点6モチーフで13.6%、歌舞伎文様15点6 モチーフで12.0%、自然・風景・天文文様4点3モチーフで3.2%、動物文様1点1モチーフ で0.8%の順であった。出現数の多かった幾何学文様のモチーフをみると、竪縞、竹縞、大名 縞、斜め縞の縞類と格子、変わり格子、翁格子、斜め格子、割付格子の格子類が38点55%を占

(6)

男物浴衣の色と文様に関する研究

表3 年代別文様の分析(単独柄)

oB

湿

……

煽︒

1 1 2 1 2 1 2 1 1 1 1 1 1 2 1 2 19 1 2 1 4 12 3 1 1 12 5 2 1 1 4 2 2 1 1 3 1 1 1 1 1 1 2 1 3 1 1 1 2 1 69 5 3 1 4 1 1 15 8 1 1 4 1 2 17

03〜

0 1

1

0 2

1

1

4

0 1 1 2

4 9

oo〜

0

0 1

1 1

3 1

1

3 1

1

1 1

2

1

16 1

1 1

1

19

95〜

0 1

1 1

3

1 1 4 1 1

4 1

1 1 1

1

1

16 2 3 1

6 7

2

10 36

90〜

0 1

1

2

0 2 1

1

3 1 1

1 1

1

12 2

1

1 4

0 18

85〜

1 1

1

1

0 1

2

0

0 4

80〜

0

1

1 2

0 1

2

1 1

1

1

6

0

0 8

75〜

0

1

1 1 1

1 5

1

1

1

1

2

2

2

0 10

70〜

0

1

1

1 1

4 1

1 1

1 1

1

1 5

1 1 2

1 1

13

65〜

0

1

1

0 1

3

1

1

6

0

1 1

8

60〜

0

0

0

0

0

0 0

55〜

0

0

0

0

0

0 O

一小 なつ氏源 いとましのね

文塀土 様文垣竹傘番斗塑綱手

り切の風色 ガンレ傘唐

計小 風二雨

し●

b十小

縞竹縞名大縞め斜子格子り変子翁子格め斜子付1松市目網

なつ甲亀 甲亀門ヤ毘甲亀詰子十

なつ菱

菱花

菱り変

菱ノ形綾紗しく形

風代網

線破い細風垣檜

子何 し形

計小 ︑φつ口 升三奴輪鎌子︑小六り取隈

計小 ンモ 地無き引毛刷

クツニスエ

十ハ

計合

活   物  ●生   器︐景文風天 営何幾伎舞歌他のぞ

57

(7)

年代別文様の分析(複合柄)

表4

1 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 3 1 1

03〜

1 1

1

1

1

1

1

oo〜

1 1

1 1 1

1

1

1

1

1

1

1

1

95〜

1 1

1

1

1

1 1

1

1

1

1 1 1 1

90〜

1 1

1

1

2

85〜

80〜

75〜

1 1

1

1 1

1

1

70〜

1

1

1

65〜

1

60〜55〜

子口■⁝

松市●⁝竪 風松市●⁝﹁

●縞﹁ ぎなつ輪■縞縦

■脚 菱■縞けろよ玉んぱうそ●縞子升三●脚子格■⁝子格小●⁝子格め斜●脚ガンレ■子風なつ菱●代網

井■子十 ︑6つ冊●三 根羽矢●なつ宝七形麓小なつん荻似松市畠子●緋

抽■︒㎜竹 風門水■縞縦波︑ら目胴⁝車氏源O子面の●子り取隈9子緋甲穐緋字峠子香氏源■子格字文筆■子配揮子たし表で網楽独咀桁井わち舳つ日目升三●目わ弥跡鯛目

兼丸■ガンレ

番騨ガンレ ンタモ0垣石 しのね凍なつ原吉いとま●波

■︑り■頭︑ 士力■配軍

腫綱手 り取隈6升三

(8)

男物浴衣の色と文様に関する研究

めていた。

 年代別にみると、60年代後半と80年代後半から2000年まで出現数が多かった。幾何学文様は 60年代前半から2003年まで毎年出現しているが、特に80年代後半から2000年まで多かった。そ の他の文様のなかで、90年代前半抽象柄のモチーフが7点出現し男物浴衣にブランド物が登場

している。また、吉原っなぎなど歌舞伎文様のモチーフが出現している。

 複合柄は動物文様、生活・器物文様、自然・風景・天文文様、幾何学文様、歌舞伎文様、そ の他の文様とすべての種類が出現しているが、幾何学文様が含まれている複合柄のモチーフが多

く42点80.1%を占めている。同じ柄のモチーフが幾何学文様の縞と格子、歌舞伎文様の三升と隈 取りがあり、その他のモチーフはすべて1点ずっしかなかった。その中でも、いろいろな縞(竪 縞・よろけ縞・細縞・変わり縞・竹縞・子持ち縞・縦縞)の組み合わせと、格子(小格子・斜 め格子・三枡格子・細い斜め格子・綱で表した格子)の組み合わせが多く用いられていた。

 年代別にみると70年代前半と90年代から2003年まで出現数が多かった。

4.まとめ

 51年間の「美しいキモノ」に掲載された男物浴衣177点の色と文様を分析した結果は次の通 りである。

(1)地色と配色

 地色は、藍、白、グレー、茶、ベージュ、黒、グリーン、灰緑、グリーンブルーの9色が出 現していた。最も多かった色は藍の地色、白の地色で全体の7割以上を占めていた。

 配色は、一色、二色、三色使いまでみられ、それぞれの地色に対して1パターンから11パター ンの組み合わせがあるが、一色使いが9割以上を占めている。地色との配色は同系色、藍、白、

黒、グレーが8割以上を占めている。地色も配色の色も、男物浴衣は暗いトーン(ディープ、

ダーク、ダークグレイッシュ)と無彩色が多く使われていることがわかった。

 年代別にみると地色は、藍の地色、白の地色は60年前半から2003年まで毎年出現しているが、

80年代後半からはグレー、茶、ベージュ、黒、グリーンの地色と多彩に出現し、2000年代には 灰緑、グリーンブルーの地色の出現があった。

 配色にっいては、一色使いは60年前半から、二色使いは80年代後半から、三色使いは90年代 後半から出現していることがわかった。

 以上のことから、男物浴衣の地色と配色の組み合わせは藍、白が主流で配色の色もダーク系 のトーンが多く、シック、クラッシック、ダンディという紳士のイメージが連想された。90年 代前半からは男物浴衣も色使いが多くなった。

(2)文様

 文様は単独柄と複合柄に分類し抽出した結果、単独柄は125点59モチーフあり全体の7割、

複合柄は52点49モチーフあり3割であった。

59

(9)

 植物文様は男物浴衣には単独柄にも複合柄にも出現していなかった。

 単独柄は6種類の文様が出現していたが、幾何学文様の縞類と格子類のモチーフが多く半数 以上占めていた。また歌舞伎文様のモチーフも少数ではあるが出現していた。

 年代別にみると、60年代前半から2003年まで毎年出現し、特に80年代後半から2000年まで多 く出現した。

 複合柄は6種類の文様が出現していたが、幾何学文様が含まれている複合柄のモチーフが多 く8割を占めていた。

 年代別にみると、70年代前半と90年代から2003年まで出現数が多かった。

 以上のことから男物浴衣の文様は単独柄も複合柄も幾何学文様の縞と格子のモチーフが多い ことがわかった。

 地色と文様を総合してみると地色は藍・白の地色、配色もダーク系と無彩色が使われ、文様 は幾何学文様の縞と格子の含まれているモチーフが多いことがわかった。浴衣は「湯帷子」に 起源を発し、江戸中期以降湯上がりに着る物と、夏の常着と用途が二分化しはじめ、明治時代 になってから一般庶民が浴衣姿で外出するようになり、染めも文様も多様化してきた。本来浴 衣といえば、藍染めが主流で藍と白のコントラストで清涼感を呼ぶためと、藍は湯上がり着と して用いられていた浴衣に堅牢性と防虫性を与えていた。また藍染めは、藍瓶の染液に繰りか えして浸し染め、色は浸す回数によって、さまざまな美しい色名が付けられている。

 文様の縞と格子は線で構成される文様で、最も単純で素朴なもの、太さ間隔を変えることで 粋にも野暮にもさまざまに変化し、無限の文様が生まれる。縦の線で構成されるものをたて縞

(縦縞・竪縞・経縞)横の線で構成されるものをよこ縞(横縞・緯縞)そして経・緯の線で構 成されているものを格子と分類されている。縞の起源は日本古来から伝わる絹織物で「筋」

「柳条」と呼ばれるものと、南方の島々から渡来した木綿の織物「島渡り」に影響をうけ発達 した。江戸時代にはいり、日本全国で木綿が普及し縞の人気が高まり各地で自由な構成で織ら れ、その土地の名が付けられたり、何かに似ているため呼び名となったものがある。代表的な ものでは南部縞、結城縞、八丈縞、棒縞、滝縞、大名縞、三筋格子、乱れ格子などいろいろな 種類がある。この他の三升格子、菊五郎格子、六弥太格子など江戸時代の歌舞伎役者が扮装に 用いたり、役者自身が考案した文様を歌舞伎文様・江戸好みの文様または役者好みの文様とい い、当時の風俗に大きな影響をあたえている。役者の名前がっけられた粋な柄が多種多様あり、

現代の浴衣にも取り上げられている。このように男物浴衣は、日本の伝統色を用いて素朴で力 強く、また伝統的な粋な形で色も文様も受け継がれていることがわかった。

 掲載された男物浴衣の数をみると60年代後半から70年代前半、80年代後半から2000年代に多 く、これらの出現数の多い要因は高度経済成長期の男物浴衣は、くっろぎ着として定着してい た時代であり、バブル経済崩壊後の90年代に日本文化が見直され、ファッション傾向に伝統回 帰がみられ、多く出現していると考えられる。カジュアル化によって、簡単に着ることが出来 る浴衣が若者の夏のアイテムのひとっとして開花し、現在でも継続しているものと思われる。

(10)

男物浴衣の色と文様に関する研究

その中で、男物浴衣は女物浴衣の脇役的存在ではあるが、ファッションにおけるジャポニズム、

国際化による和の文化の見直しが、若者の間に新鮮なファッションアイテムのひとっとして受 け継がれているものと考えられる。

 「美しいキモノ」に掲載された男物浴衣の代表的なモチーフを紹介する。

図1:「藍色」幾何学文様 単独柄「竪縞」藍で竪縞を染めた浴衣

図2:「藍色」幾何学文様 単独柄「竪縞」すっきりとした柄ゆきが伝統浴衣の粋と渋さを感じさせる浴衣 図3:「白と薄藍」幾何学文様 単独柄「格子」さりげない地色の配色がおしゃれな印象を感じさせる浴衣 図4:「黒と白」幾何学文様 単独柄「変わり格子」ローケッ風の大胆な黒と白のコントラストが生み出す    力強いカジュアルな浴衣

図5:「白と藍」幾何学文様 複合柄「細い斜め格子と吉原っなぎ」細い斜め格子と江戸好みの柄の吉原っ    なぎを交互に縦に配したいなせな浴衣

図6:「白と藍」歌舞伎文様 複合柄「三升と隈取り」市川家の歌舞伎十八番「暫」、主人公の荒事を演出    する様式的化粧法の隈取りと、市川家の家紋の三升を大胆に染めたいなせな風情の浴衣

参考文献

1)美しいキモノ,東京,婦人画報社,1953年創刊号〜2003年夏号.

2)熱田道子他:きものに関するキーワード探索研究,東京家政大学生活資料館紀要,第2集,1997,p   45〜56.

3)知野恵子他:きものに関するキーワード探索研究(第2報),東京家政大学博物館紀要,第3集,1998,

  p75〜87.

4)寺田恭子他:きものに関するキーワード探索研究(第3報),東京家政大学博物館紀要,第4集,

  1999, p91〜103.

5)渡邊芳道他:きものに関するキーワード探索研究(第4報),東京家政大学博物館紀要,第5集,2000,

  p81〜93.

6)渡邊芳道他:戦後の浴衣の軌跡に関する研究一着物専門雑誌における浴衣に関するテーマ分析,東京   家政大学博物館紀要第6集,2001,p65〜77.

7)寺田恭子他:浴衣の文様に関する研究,東京家政大学博物館紀要第7集,2002,p57〜69.

8)荒木健也:染色シリーズ(5)・中形・江戸小紋,東京,装道出版局,1995.

9)最新きもの用語辞典,東京,文化出版局,1995.

10)北村哲郎:日本の文様,東京,源流社,1983.

11)石崎忠司:きものの文様,東京,衣生活研究社,1982.

12)吉本春三郎:きもの文様辞典,東京,婦人画報社,1979.

13)吉本敏夫:きもの文様図鑑東京,婦人画報社,1994.

14)文様の手帳,東京,小学館,1995.

15)きもの用語大辞典,東京,装道出版局,1991.

61

(11)

図2 図3

1

    剛 \\\︐\嬉夢

節62

参照

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