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Academic year: 2021

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(1)

東北シャマニズムにおけるコミュニケーション行為 の諸相―宮城・山形両県の口寄せ巫女の共同祭祀を 題材に―

著者 平山 眞

学位授与大学 東洋大学

取得学位 博士

学位の分野 社会学

報告番号 甲第73号

学位授与年月日 2001‑03‑25

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00004063/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

平成12年度 学位請求論文

東北 シャマニ ズムにおけ るコ ミュニ ケーショ ン行為の諸相

一 宮城 ・山 形両県 の口 寄せ巫女とその共同祭祀を題 材にー

大学院社会学研究科 社会学専攻 博 士後期課 程3年 2021940003 番

平山  員

(3)

0

学 位 請 求 論 文

東北 シ ャマニ ズ ムに おけ る コミ ュニ ケ ーショ ン行為 の諸相

一 宮城・ 山形 両県 の口寄 せ巫 女 とそ の共同 祭祀 を題 材 にー

大 学 院 社 会 学 研 究科 社会 学 専 攻  博 士 後期 課 程3 年 学 籍 番 号2021940003 平 山  浪

(4)

目次 序 論

第1 節 第2 節

問 題 の 所 在 方 法 論 上 の問 題

2‑1 比 較 分 析 に 関 し て 2‑2 エ ミ ッ ク と エ テ イ ツ ク

2‑3 社 会 人 類 学 に お け る 宗 教研 究 : 儀 礼 の 象 徴 論的 分 析 を 中 心 に2‑4 シ ャマ ニ ズ ム と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

2‑5 韻 律 性 に つ い て 第3 節  本 論文 で 論 じ ら れ る 事 柄 第1 章 研 究 史 並ぴ に研 究 の 経 過

第1 節  諸 外国 にお け る シ ャ マ ニ ズ ム研 究 1‑1 研 究 の 始 ま り

1‑2 シ ャ マ ニ ズ ム の 概 念 規 定 を 巡 っ て 1‑3 社 会・ 文 化 と の 関 わ り に つ い て 1‑4 本 論 文 の 論 点 に 関 連 す る 議 論

1‑4‑1 シ ャマ ン /プ リ ー スト 論 1‑4‑2 シ ャマ ニ ズ ム と 音 楽 1‑4‑3 シ ャマ ニ ズ ム と文 字文 化 1‑5 近 年 の研 究 動 向

第2 節  日 本 の シ ャ マ ニ ズ ム研 究 2‑1 研 究小 史

2‑2 日本 のシ ャ マ ニ ズ ム 概 観 2‑3 本 論 文 の 論 点 に 関 連 す る 研 究

2‑3‑1 口 寄 せ 巫 女 と 村 落 社 会 の 関 係 につ い て2‑3‑2 日本 の シ ャ マ ニ ズ ム と 音 楽

2‑3‑3 日 本 の シ ャ マ ニ ズ ム と 文 字 文 化 2‑4 近 年 の研 究 動 向

第3 節  東 北 日本 の シ ャ マ ニ ズ ム研 究 3‑1 巫 女 の 分 類 と 呼 称

3‑2 口 寄 せ 巫 女 の 特 徴 3‑3 本 節 の ま と め

第4 節  本 章 のま と め : 先 行 研 究 の問 題 点 と研 究 の 経 過4‑1 先 行研 究 の 問 題 点

4‑2 研 究 の 経 過

第2 章  事 例 : 宮 城・山形 両 県 に お け る 口 寄 せ 巫 女 の共 同 祭 祀 第1 節  宮 城 県 内 の 口 寄 せ巫 女 に よ る共 同 祭 祀

1‑1 県 内 の巫 俗 の 概 略

1‑1‑1 1‑1‑2

呼 称 ・ 成巫 過 程 ・ 業 態

宗 教 法 人 ・ 大 和宗 の 沿 革 と そ の文 字 資料 1‑1‑3 県 内 の 口 寄 せ 巫 女 一 覧

1↓4  岩 手 県 南 部 の 口 寄せ 巫 女

1↓5  県 内 の巫 俗 と 村 落 構 造 に つ い て

1‑2 本 吉 郡 唐 桑 町 と そ の 周 辺 に お け る 口 寄 せ 巫 女 と共 同 祭 祀

1

2 22 4

5 10 11 12

Q^      OIfN c1J ″`j(N

      CS 5 0(N     m 2 2りI りI 4 4m    m 7 8m     m 8 03 440 41

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(5)

1‑2‑1 唐 桑 町 の 概 観

1‑2‑1‑1 沿 革・ 人 口 動 態 他

1‑2‑1‑2 村 落 構 造 : 特 に シ ン ル イ = 同 族 に 関 し て1‑2‑1‑3 小 鯖 地 区 、 中 井 地 区 の 概 要

1‑2‑2 唐 桑 町 の 口 寄せ 巫 女 とそ の共 同 祭 祀 1‑2‑2‑1 町 内 の 巫 女

1‑2‑2‑2 オ シ ラ サ マ ア ソ バ セ 1‑2‑2‑3 カ ミ サ マ ア ソ バ セ 1‑2‑2‑4 そ の 他 の 共 同祭 祀

1‑2‑2‑5 0・S 巫 女 の カ ミ オロ シ の 韻 律 性 に 関し て1‑2‑3 唐 桑 町 周 辺 地 域 の 口 寄 せ 巫 女

1‑3 内 陸 部 及 び 本 吉 町 以 南 沿 岸 部 の 口 寄せ 巫 女

1‑3‑1 登 米 郡 中 田 町

1‑3‑1‑1 同 町 の 概 観 と 契 約 講 に 関 し て 1‑3‑1‑2 同 町 の 口 寄 せ 巫 女

1‑3‑2 桃 生 郡 鳴 瀬 町 1‑3‑3 本 吉 郡 志 津 川 町 1‑4 本 節 の ま と め

第2 節  山形 県 内 の 口 寄 せ 巫 女 に よ る 共 同 祭 祀 2‑1 県 内 の 巫 俗 と村 落 構 造 の 概略

2‑1‑1 県 内 の巫 俗 2‑1‑2 県 内 の 村 落 構 造

2‑2 庄 内 地 方 の 口 寄せ 巫 女 とそ の 共 同 祭 祀2‑2‑1 同 地 方 の巫 俗 概 観

2‑2‑2 東 田川 郡 三 川 町 とそ の 周 辺 2‑2‑2‑1 三 川 町 の 事 例

2‑2‑2‑2 東 田川 郡 余 目 町 の 事 例 2‑2‑2‑3 酒 田 市 内 の 事 例

(N      (N丿0 /04 l^vo     \n 7 7乙0 /07 <Jir0 7"O         VO77's0 77 7フ フ 0/ O7 80 1QO 8m     mOO OOIU8

8 7 78 QO 11J

OS        O

103 105 2‑2‑2‑4 0・M 巫 女 の ホ ト ケ オロ シ 、 カ ミ オ ロ シ の 韻 律 性 に つ い て

105 2‑2‑3 東 田 川 郡 藤 島 町東 堀 越 地 区

2‑2‑4 東 田 川 郡 櫛 引 町

2‑2‑5 西 田川 郡 温 海 町 小 岩川 地 区 2‑2‑6 鶴 岡 市内 の2 名 の ミ コ

2‑2‑6‑1 由 良 地 区 2‑2‑6‑2 湯 田川 地 区

2‑3 最 上・ 村 山 地 方 に お け る 口 寄 せ 巫 女 と 共 同祭 祀2‑3‑1 同 地 方 の巫 俗 概 観

2‑3‑2 最 上 郡 真 室 川 町 2‑3‑3 最 上 郡 戸 沢 村 2‑3‑4 北 村 山 郡 大 石 田 町 2‑3‑5 東 村 山 郡 中 山町 2‑3‑6 そ の 他 の 口 寄せ 巫 女 2‑4 置 賜 地 方 の 巫 俗 と そ の 周 辺

105 107 108 109 109 110 11 1 11 1 Ill 114 114 115 119 120

(6)

2‑4‑1 米 沢 市 の 人 口 動 態 他 2‑4‑2 米 沢 市 の巫 女

2‑4‑3 同 市笹 野 地 区 の 「 山 の 神 講 中」 祭 典 2‑5 本 節 の ま と め

第3 節  本 章 の ま と め

第3 章  考察 : 東 北シ ャマ ニ ズ ム に お け る コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ン 行 為 の 諸 相 第1 節  口 寄せ 巫 女 の 共 同 祭 祀に つ い て

1‑1 「 共 同 祭 祀」 と は 何 か ? 1‑2 日 本 の 共 同 体 論

1‑3 口 寄 せ 巫 女 の 私 的 性 格 と 公 的 性 格 1‑4 巫 俗 と 村 落 構 造

1‑5 本 節 の ま と め

第2 節  カ ミ オロ シ の 韻 律 性 を 巡 っ て

2‑1 儀 礼 にお け る 言 語 表 現 に 関 す る 議 論 2‑2 口 寄 せ 巫 女 の くうた 〉 と くか た り 〉 2‑3 韻 律 性 と 口 寄 せ 巫 女 の公 的 性 格 第3 節  託 宣 の記 録 と 伝 達 : 口 頭 文 化 と 文 字文 化

3‑1 口 頭 文 化 と 文 字 文 化 の 関 係 に つ い て の 議 論 3‑2 関 連 す る 幾 つ か の 事 例

3‑3 託 宣 の 記 録 ・ 伝 達 と 社 会

3‑4 制 度 と し て の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 行 為 第4 節  本 章 の ま と め

結語

お わ り にあ た り

《 文 献 》

120 121 121 123 124 129 130 130 132 134 136 138 138 138 141 142 144 144 147 148 151 153 161 167 170 以 下 、 頁 は 異同 あ り

【 付 録 】      194 資料I    :口 寄 せ巫 女 の 詞 章       195

①宮 城 県 本 吉郡 唐 桑 町o ・s 巫 女 の オ シ ラ サ マ ア ソバ セ (1995 年1 月16 日 ・ 大 沢 地 区 の 同 族2 件 )       195

②宮 城 県 本 吉郡 唐 桑 町0 ・S 巫 女 の オ シ ラ サ マ ア ソバ セ (2000 年1 月16 日 ・ 大 沢 地 区の 同 族1 件 )       201

③宮 城 県 本 吉 郡 唐 桑 町o ・s 巫 女 の オ シ ラ サマ ア ソ バ セ (2000 年4 月20   日 ・ 小 鯖 第2 行 政 区のS ・Y 家 )       204

④宮 城 県 本 吉 郡唐 桑 町o ・s 巫 女 の オ シ ラ サマ ア ソ バ セ (2000 年4 月20 日 ・ 小 鯖 第1 行 政 区のI・T 家 を 大 本 家 と す る 同 族 に よ る も の )      205

⑤宮 城 県 本 吉 郡 唐 桑 町o ・s 巫 女 の カ ミ サマ ア ソ バ セ (1995 年1 月13 日 ・ 松 圃 地 区 鴨 木 )208

⑥宮 城 県 本 吉 郡 唐 桑 町0 ・S 巫 女 の カ ミ サマ ア ソ バ セ(2000 年1  月18 日 ・ 中 井 地 区 地 の神 )210

⑦宮 城 県 本 吉 郡 唐 桑 町0 ・S巫 女 の カ ミサ マ ア ソ バ セ(2000 年1 月19 日 ・ 小 鯖 第1 行 政 区 )213

⑧戸 川 安 章 採 集 に よ る 山形 県 鶴 岡 市I・M 巫 女 の オ コナ イ サ マ ア ソバ セ(1951 年9 月30 日 )216

(7)

⑨岡田照子採集による山形県鶴岡市o ・某巫女のオコナイサマアソバセ中の神歌(1950 年 頃 )

⑩ 山 形 県 東 田 川 郡 三 川 町O ・M 巫 女 に よ る 初 午詫 宣(1999 年2 月10 日 ・ 同 町 対馬 地 区 )

218

218

⑥ 山 形 県 東 田川 郡 三川 町O ・M 巫 女 に よ る 地 蔵 様 の 託 宣 の 筆 者 自身 に よ る メ モ 書 き(1999 年4 月24 日 ・ 同 郡 余 目 町 南 野 地 区)      221

⑩ 山形 県 東 田川 郡 三 川 町O ・M 巫 女 に よ る 地 蔵 尊 の 託 宣 の 筆者 自身 に よ る メ モ 書 き (1999 年4 月24 日 ・ 同 郡 余 目町 古 関 地 区 )      221

⑩山 形 県 東 田 川 郡 羽 黒 町O ・Y 巫 女 に よ る 地 蔵 様 の 託 宣 (1999 年8 月23 日・ 同 郡 藤 島 町 東 堀 越 地 区 )      222

⑨山 形 県 東 村 山 郡中 山町Y ・Y 巫 女 の ホ ト ケ オ ロ シ ・ カ ミ オロ シ (1978 年 ・ 研 究者 の 個 人 的 な 依 頼 に よ る )       225

⑩ 烏 兎 沼 宏 之 採 集 の 山 形 県 東 村 山 郡 中 山 町Y ・Y 巫 女 に よ る 十 八夜 観 音 託 宣     228 資 料H : カ ミ オロ シ の採 譜

①宮 城 県 本 吉 郡唐 桑 町o ・s 巫 女 の カ ミ サ マ ア ソバ セ

②山 形 県 東 田 川 郡 三 川 町O ・M 巫 女 の 御 神 楽 歌

③山 形 県 東 田 川 郡 羽 黒 町O ・Y 巫 女 の 御 神 楽 歌

④山 形 県 東 村 山郡 中 山 町Y ・Y 巫 女 の ホ ト ケ オ ロ シ ・ カ ミ オロ シ

⑤岩 手 県 東 磐 井 郡 大 東 町M ・Y 巫 女 の ホト ケ オ ロ シ 資料m :託宣の文字記録

①宮城県本吉郡唐桑町o ・s巫女のオシラサマアソバセ(2000年4 月20 日)

230 230 231 231

CN      r

j1J22

234 234

②宮 城 県 本 吉 郡 唐 桑 町O ・S巫 女 の カ ミサ マ ア ソ バセ(2000 年1 月18 日・ 中井 地 区 地 の神 )235

③ 宮 城 県 本 吉 郡 唐 桑 町0 ・S巫 女 の カ ミ サ マ ア ソ バセ(2000 年1 月19 日 ・ 小 鯖 第1 行 政 区)236

④山 形 県 東 田川 郡三 川 町 猪 子 地 区 ・ 八幡 講

⑤山 形 県 東 田川 郡三 川 町 猪 子 地 区 ・ 地 神 講

⑥ 山 形 県 東 田川 郡 三 川 町 猪 子 地 区 ・ 大 神 講

⑦ 山 形 県 東 田 川 郡 三 川 町 成 田 新 田 地 区 ・ 初 午 講

⑧山 形 県 東 田川 郡三 川 町 横 山 地 区 ・ 地 蔵 講

⑨山 形 県 東 田 川 郡 余 目 町 古 関 地 区・ 地 蔵 尊 の 託 宣(1999 年4 月24 日 )

⑩ 秋 田 県 鹿 角 地 方 の イ タ コ に よ る オ シ ラ サマ 託 宣 記 録 文 書

⑨ 山 形 県 東 村 山郡 中 山 町 のY ・Y 巫 女 に よ る 託 宣 の 広 報 用 文 面 資 料IV : 画 像資 料

①口 寄 せ 巫 女 の巫 儀

②託 宣 の 記 録 ・ 広 報 文 書

資 料V : 補 遺  山形 県 西 田 川 郡 温 海 町 小 岩 川 ・ 住 吉 神 社 の 「 湯 乃 花 祭 神 事」

237

ma4

5

fN        (N

264 276 279 279 280

281 281 284

式 次 第 及 び 祝288

(8)

序 論

(9)

第1節  問 題 の 所 在

本 論 文 は 、 東 北 日 本 に お け る シ ャ マ ニ ズ ム(1)と 村 落 社 会 の 関 係 に 関 し 、 そ れ が 端 的 に 現 わ れ る 場 で あ る と 筆 者 が 考 え る 、「 口 寄 せ 巫 女 」(2)が 関 与 す る 「 共 同 祭 祀 」(31の 事 例 を 題 材 と し て、 社 会 人 類 学 的 視 座 か ら 論 じ よ う と す る 試 み(4)で あ る 。

さ て 、 こ れ 迄 の 東 北 日本 を 含 め た 日 本 の シ ャ マ ニ ズ ム 乃至 巫 俗 研 究 で は 、 シ ャ マ ン と 見 なせ る 宗 教的 職 能 者 自 身 の成 巫 過 程や 、 主 と し て 個人 の依 頼 に よる 死 者 の 口 寄せ ・ 治 病 行 為・ 祈 祷 ・ 卜 占 等 とい っ た 巫 業 形 態 にそ の 中 心 が 置 か れて 来 た。 そ の 結果 と し て 、 彼 等 の 共同 祭 祀 へ の 関 与 に つ い て は 充 分 に 注 意 を 払 わ れ てお ら ず 、 事 例 報 告 は 確 か に 少 な く は な い も の の 、 そ れ ら は あ く ま で も 断 片 的 な 記 述 に と どま っ てお り 、 体 系的 に ま と め ら れ てい ない の が 現 状 であ る。

筆 者 は そ う した 情 況 を 打 開 し 、シ ャ マ ニ ズ ム研 究 に新 た な方 向 性 を も た ら す べく 、宮 城 ・ 山形 両 県 の 各 地 域(帽 こお い て 広 く 認 め ら れ る 口 寄 せ 巫 女 の関 与 す る 共 同 祭 祀 に 関 す る 調 査を 重 ね て来 た。 本 論 文 で は こ れ ら の 事 例 を 取 り 上げ 、 考 察 を加 える。

以 下 にお い て ま ず 第1 に 論 じ ら れ る の は 、 彼 女 等 が 関 与 す る 共 同 祭 祀 の 形 態 並 び に 彼 女 等 の 公 的 性 格(6)の 強 度 と 、 そ れ ら が 各 地 域 の 村 落 構 造 と 相 関 性 を 持 っ て い る か ど うか 、 とい う問 題 であ る。結 論 を 先 取 り し て 言 う な ら ば 、両者 間 の 相 関 性 は 明 瞭 と は 言 い 難 い(≒

そこ で 問題 は 一 旦 社 会 と 巫 俗 の関 係 を 離 れ 、巫 俗 自 体 の特 質 、 即 ち巫 俗 を 構 成 す る 当 事 者 であ る巫 女や ク ラ イ ア ン ト 達 が 織 り な す 、 複 雑 か つ あ る 一 定 の 論 理 性 を も っ て 構 成 さ れ て い る と 考 え得 る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 行 為(8)の 諸 相 が 、 クロ ー ズ ア ップ さ れ る 事 に な る 。 よ り 具 体 的 に は 、 巫 女 側 の巫 儀 に お け る 技 法 、 即 ち カ ミ オ ロシ( 帽 こお け る 韻 律 性(10)の問 題 、 更 に は 、 今 度 は 巫 女 の 託 宣 に 対 す る ク ラ イ ア ン ト(II)側 の 対 応 、 即 ち そ の 記 録 や 伝 達 の形 態 の 問題 を 検討 す る 事 に な る。 更 に は 、そ うし た 議 論 を 踏 ま え て 、村 落 構 造 も 含 め 、 改 め てシ ャマ ニ ズ ム と 社 会 と の 関 係 性 に つ い て の 考 察を 行 な う事 に し た い 。

第2節  方 法 論 上 の 問 題

こ の節 で は 、本 研 究 の 方 法 論 上 の問 題 と し て 、 比 較 分 析 を 用い る 事 に 関 し て 、 及 び そ れ と も 関 連 す る が 、 人 類 学 説 史 上 の争 点 で あ るエ ミ ッ ク/ エ テ ィ ッ ク 問題 に つ い て 触 れ て お きた い 。 そ の 後 で 、 本 論 文 が 共 同 祭 祀 とい う 儀 礼 を 扱 う事 か ら 、 社 会 人 類 学 にお け る 儀 礼 研 究を 特 にそ の 象 徴 論 的 分 析 の 流 れ を 中 心 に リ ヴュ ー し 、 続い て は本 論 文 の 記 述 ・ 分 析 に お い て 重 要 な位 置 を 占 め る カ ミ オロ シ の持 つ 韻 律 性 に 関 し 、 更 に は シ ャマ ニ ズ ム と コ ミ ュ ニケ ーシ ョ ン の 関 係 を 巡 る 問 題 に つ い て、 そ れ ぞ れ 注 意 す べ き点 を 述 べ てお く 事 に す る 。 2‑1  比 較 分 析 に 関 し て

さて 、 社会 人 類 学 を 専 攻 し て い る 筆 者 の研 究 目的 は 、 東 北 日 本 の村 落 社 会 にお い て 、 そ の 社会 生 活 にお い て巫 俗 が 果 た し て い る 社会 的 機 能 を 明 ら か に す る 事に あ る。 そ の 際 に 筆 者が 作業 仮説 的 に 前 提 し て い る の は 、 次 節 で も 触 れ る よ う な 、£。デ ュ ル ケ ム らフ ラ ン ス 社 会 学 派 の 指 摘 し た 、 宗 教 と は 「 社 会 的 事 実 」 の 一 部 を な す も の で あ り 、「集 合 表 象 」 で あ る、 とい う視 座 で あ る[ デ ュ ル ケ ム 1895 →1960   (1978)、1912 (1941‑42 →1975 )]。 こ れ は 、 例 え ば デ ュ ル ケ ム の 次 の よ うな 言述 に 、 明 快 に 表 現 さ れ て い る。 即 ち 、「 礼拝 の 実 行が 信 徒 を そ の神 と 結 合 す る 絆 を 緊 める こ とを 明 白 な機 能 と し てい る、 とい う ま さ に こ の 事 実か ら、 礼拝 は 、 同 時 に 、 個 人 が そ の 一 員 で あ る 社 会 と 結 合 す る 絆を 実 際 に 緊 め る。 神 と は 、 社 会 の 具象 的 な 表 現 に ほ か な ら ない か ら で あ る 。」[ 同:406‑407] と。 こ の事 を 認 め るな ら ば、 社 会構 造 (こ れ が 出 自 原 理 や 権 力 構 造 、 或い は生 業形 態 や 婚 姻 規 則 、 更 に は 他 社会 と の 関 係 等 の 様 々 な フ ァ ク タ ー を 含 む 事 は 言 う迄 も ない 。) の 相 違 に よっ て 、 そ の 社 会の 持 つ 宗 教 形 態 に も相 違 が 見 ら れ る とい う可 能 性 が 生 じ て く る だ ろ う(≒

社 会 人 類 学に お い て は 、 と り わ け祖 先 崇 拝 とい う宗 教形 態 に 関し て 、 こ れ が 社 会 の 構 成 原 理 の一 側面 であ る 出 自原 理 と 相 関 性 を 持 つ か ど うか 、 とい う点 に 注 目 が集 ま り 、 通文 化 的cross‑cultural な 研 究 パ ラ ダ イ ム が 構 築 され て い る [ 平 山 員 1998 ]。 こ の 事 は シ ャマ ニ ズ ム研 究に もあ る 程 度 は 当 て は ま り 、 特 に 、 狩 猟 ・採 集 ・ 牧 畜 ・農 耕 そ の 他 とい う、 生 業 形 態 、 居 住形 態 とそ の 存 在形 態 と の 相 関 性 の 有 無 の検 証 が、 や は り 通文 化 的 な シ ャマ ニ ズ

−2 −

(10)

ム研 究 と し て 存 在 し て い る ([W[NKELMAN,M よ 1990,1992] 等 )。 ま た 、 他 に も 、 シ ャマ ニ ズ ム の 形 態 の 地 域 的 な 差 異 の み を 問 題 に し た 通 文 化 的 な 研 究 も 存 在 す る

([BOURGUIGNON,E‑  1973,1974]、[PETERS,L.G.&PRICE‑WILLIAMS,D.  1980] 等 )。

し か し な が ら 、 そ れ ら の シ ャ マ ニ ズ ム 研 究 に 関 し て は 、 祖 先 崇 拝 研 究 程 の 緻 密 さ は認 め ら れず 、 例 え ば あ る 社 会 に お け る シ ャマ ニ ズ ム の 形 態 と出 自 原 理 等 を含 ん だ 社 会 構 成 の 在 り方 と の 構 造的 な 連 関 性 と い っ た点 に つい て の 検 証 は 、 未 だ ほ ぼ 手 つ か ず の 課 題 とし て 存 在し て い る(1≒ ま た 、 生 業 形 態 と の 相 関 性 、 とい う よ うな 形 で の研 究 成 果 を 無 視 す る 事 は出 来 な い ので あ る が 、 そ うし た 研 究 が往 々 に し て 陥 り が ち な 、 た だ 単 に研 究 者 に とっ て シャ マ ン と 見 なし うる 宗 教 職 能 者 の 存 在 の み を 指 標 とす る 事 に よっ て 、 個 々 の 社 会 に お け るシ ャ マ ニ ズ ム の 有 す る 微 細 な 差 異 を 無化 し 、 更 に は シ ャマ ニ ズ ム が 個 々 の 社 会 に お い て い か な る位 置 を 占 め 、 ま た い か な る 社 会的 機 能 を 持 っ てい る の か 、 とい う点 が な い が し ろ

に され て し ま う事 は、 極力 避 け な け れ ば な ら な い 事で あ る と考 える。

とは 言 え、 社 会 と シ ャ マ ニ ズ ムの よ うな宗 教 形 態 、 宗 教 現 象 の 関係 を 考 え る に 当 っ て 、 比較 とい う 分 析 法 は 、 不 可 欠 の も の であ ろ う。 単 純 な 例 を 挙げ れ ば 、 例 え ば あ る 父 系 の 単 系出 自 が重 んじ ら れ る 社 会 にお い て 祖 先 崇 拝 と 見 な せ る 宗 教 体 系 が 存 在し てい る 事 が 確 認 され た とす る。 次 に は 、 例 え ば 母 系 の 単 系 出 自 を 重 ん じ る 社会 、 乃 至 は双 系 出 自 を とる 社 会そ の 他 に お い て 、祖 先崇 拝 の よ う な宗 教 体 系 が 存 在 す る の か ど う かを 確 認 す る。 こ の よ うな 作 業 を もっ て 初 め て 、 各 種 出 自 原 理 と祖 先 崇 拝 の 相 関性 な る も の につ い て の 理 論 が 構 築出 来 る 事 にな る わ け で あ る。 こ の 事 は、 シ ャマ ニ ズ ム 、 或い は巫 俗に つ い て も 妥 当 す る であ ろ う。

本 論 文 は 通文 化 的 な 分 析 を 目 的 とし て お らず 、 第 一義 的 に は よ り微 細な 問 題 、つ ま り は あ る 特 定 の 地 域 に お け る 社 会 構 造 と巫 俗 の 関係 に つ い て論 じ よ う とす る も の で あ る の で 、 比較 対 照 され る の は 、 大 部 分 が 同 じ 社 会 ・ 文 化 的 コ ン テ ク スト(141 を 共 有 し て お り 、 村 落 構造 に のみ 突 出 し て 異 なっ た 原 理 が 見ら れ る 四つ の 地 域 乃至 は 社会 で あ る 。 吉 田 禎 吾 は 。

「仮 説 の 検 証 を 行 い 、あ るい は 変 数 間 の関 係 を 明 ら か にす る た めに 、 同 じ あ るい は 類 似 し た文 化 の中 に お い て い く つ か の 社 会 を 自ら の調 査 を 通 じて 比 較 検討 す る 、 とい う 方 法 も あ る。」[ 吉 田 1969:177] と し て い る。 或 い はJ. ビ ー テ ィ は 、「 も っ と も 効 果 の あ り そ う な 比 較 の 性 質 は 、 極 端 に違 っ た型 の 社 会 よ りも 、 む し ろ 非 常 に 類 似 し た (そ れ ゆ え 、お そ ら く 近 隣 の) 社 会 制 度 間 で 実 施 さ れる も の で あ る 」[ ビ ー テ ィ 1968   (1964):65] と も述 べ てい る。本 論 文 にお け る 対 象 設 定 は こ うし た 指摘 か ら も そ の 有 効性 を保 証 さ れ 得 る だ ろ う。

ま た 、 比 較 とい う も の は、 例 え ば 民 俗 学 の 分 析 法 ( 重出 立証 法 の よ うな ) が往 々 に し て そ うで あ る よ うな 、 各地 に 見ら れ る 民 俗 事 象 や 文 化 事象 を 、 個 々 の 社会 の 文 脈 か ら 切 り 離 し て 行 な われ る べ き も ので は な い 。 例 え ば 、E.リ ー チ は 次 の よ うに 言 う。

当 面 の議 論 に 即 し てい え ば 、 私 は ど ん な 社 会 体系 にも 常 に 自立 的 血 縁 の 概念 とそ れ に 対 立 す る 婚 姻 連 帯 の 概 念− −p とq の 関 係一 一 が 見出 せ る と い う点 は 即 座 に認 め る も の で あ る が 、 別 々 の 社会 の 間 の 有 効 な 比較 が で き る の は 、 こ れ ら の 特定 のp やq とい っ た も の で は な く ( こ の 場 合p やq を 別 々 の 制 度 と みて い る)、 数 学 の 関 数 と 考 え ら れ るp とq の 比 な の であ る。 数 量的 な 言 葉 を 使 わ な い 場 合 に は 、 子 供 と 親 と の 関 係 や 親 同 士 の 関 係 を 「隣 人 組 織 」一 一 す な わ ち ト ポ ロ ジ ー 的 空 間 一一 を 構 成 す る も の と 考 え る 必 要 が あ る。[ リ ー チ 1961   (1974):63]

や や 分 か りに く い が、 リ ーチ が こ こ で 述 べ て い る の は、 比 較 とは 、 あ る 社 会に お け る 何 ら か の 要素 間 の関 係 につ い て 行 な わ れ る べ き で あ る 、 と い う主 張 で あ る。c. レ ヴィ こ ス ト ロ ー ス も ま た 、 大 著 『 神 話 原 理 』 の 冒 頭 で 、「 わ れ わ れ は 、 一つ の 社 会 の一 つ の 神 話 を 出 発 点 と す る。 そ れ を 分 析 す るた め に 、 ま ず は じ め に 民 族 誌 的 コ ン テ キス ト を 参考 に す る。

つ ぎ に は 同 じ 社 会 の 他 の神 話 を 参 照 す る。 そ れ か ら徐 々 に 研 究 対 象 を 拡 げ て 、 隣接 社 会 に 起原 を も つ 神 話 に 及 ぼ す。 そ の とき に も 、 個 々 の 民 族 誌 的 コ ン テ キス ト の 中 に 位 置 づ け る こ と は 忘 れ ない 。」[ レ ヴィ = ス トロ ー ス 1964   (1992):114‑115] と、 社 会・文 化 的 コ ンテ

クス ト の 重 要 さ を 強 調 す る。

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以 上 を ま と め る と 、 本 論 文 に 即 し て 言 え ば 、 筆 者 自 身 に よ り 1993年 か ら 始 ま っ た 宮 城 県 の調 査 を皮 切 り に 、 次 に は 山 形 県 へ 、 とい う形 で 、 隣 接 し た2 県 、更 に はそ の 中 で も 幾 つ か の 地 域 毎 の 巫 俗 と 社 会 と の関 係 の 在 り 方 を 比 較 検 討 す る事 が 重 要 な ので あ る 、 と い う 事に な る。 こ れ に よ り 、 通 文 化 的 な 比 較 分 析 が 見落 と し て し ま うよ う な、 巫 俗 と 社会 の 関 係 の 具 体 的 な 在 り よ うを 、 よ り 厳 密 な 形 で 理 論 化 し 、 更 に は、 や や 大げ さで はあ る が 、 事 は巫 俗 に と ど ま る 事 な く 、 宗 教 を 社 会 の 表 象 と し て 捉 え よ う とす る フ ラ ン ス 社会 学 派 等 の 立脚 点 を よ り 強 固 な も の と す る 可 能 性 が存 す る と さ え 考 え る も の で あ る。

2‑2  エ ミ ッ ク と エ テ ィ ッ ク

こ こ で 、 比 較 に 際 し て 用い ら れ る村 落 類 型 論 や 、 或 い は 宗 教 職 能 者 の類 型 論 の一 つ と言 っ て よい だ ろ うシ ャマ ン /プ リ ー スト 論 を 援 用 す る 事 の妥 当性 に つ い て 若 干 述 べ て お き た い。 こ の、 類 型 化 や 抽 象 化 を 巡 る 議 論 は 、エ ミッ ク/ エ テ ィ ッ ク論 争 に 集 約 され て い る。

エ ミ ッ ク とエ テ ィ ッ ク とい う語 に つ い て は 、言 語 学 者 のK. バ イ クが 言 語 学 上 のphonetics

= 音 声 学 とphonemics  = 音 韻 学 とい う 区 別 を 踏 ま え て 、 そ れ を 社 会 ・ 文 化 事 象 に 広 く 適 用 すべ く 一 般 化 し た も の で あ る [PIKE 1967ト ≒ バ イ ク の議 論 は 余 りに も長 大 な の で(16) こ こ で は 渡 逡 欣 雄 に よ る 簡 潔 な 概 念 設 定 を 示 す に と ど める 。 即 ち 、「 エ テ ィ ッ ク と は 、 研 究 者 の分 析的 / 通文 化 的 比 較 の 視 点 か ら研 究 者 の 用 語 で 当 該 文化 を 記 述 す る の に 対 し 、 エ ミッ ク と は 、 当該 文 化 内 部 の 話 者 の 視 点 か ら 、 話者 の 用 語 を 用い て そ の 解 釈 に よ り当 該 文 化 を 記 述 す る 、とい う一 般 的 な 概 念 区 別 で あ る 。」[ 渡 逡 1990:238]とい う事 に な る。 W.H.

グ ッ ド イ ナ フ に よ れ ば 、「こ れ ら の エ テ ィ ッ クお よ び エ ミ ッ ク の概 念 は 、 そ れ ら を ど の よ うな 名 称 で 呼 ぶ かに か か わ り な く 、 文 化 人 類 学 にお け る 特 定 と 一般 につ い て の 記 述 と 比 較 の問 題 を 理 解 す る うえ で 欠 か す こ と の で き な い も の な の で あ る。」[ グ ッ ド イ ナ フ 1970(1977

]:152] と され る 。

さ て 、 本 論 文 は 、 第1 に先 程 述 べ た 通 り 社会 と巫 俗 と の 間 の機 能 的 連 関 を想 定 し つ つ 行 な っ て 来 た調 査・ 分 析 が 、そ の 実 態 を 見る 事 に よ り 実 際 に はそ こ か ら は み 出 す 部 分 が 多 い 事 を 明 ら か にし つ つ 、 巫 俗 とい う一 つ の宗 教形 態 が 持つ 独 自 の特 性 が 、 個 々 の 社 会 にお け る 巫 俗 の と る、 当 該 社 会 と の 関 係 ( 特 に 巫 女 の 関与 し 得 る共 同 祭 祀 の公 的 度 合 ) を あ る 程 度 決 定 付 け る事 を 論 証 し よ う と す る も ので あ る 。 そ し て、 そ の論 証 にお い て は 、 問題 と な る巫 俗 形 態 の特 性 の 一 つ で あ る カ ミ オ ロ シ の形 式 、 つ ま り は 韻 律性 の有 無 に つ い て の 現 地 の 人 々 の 解 釈 に つ い て は 、 殆 ど吟 味 し ない{1≒ こ れ は 、 庄 内 地 方 とそ れ 以 外 の 地 域 、 或 い は そ れ ぞ れ の巫 女 のカ ミ オロ シ の 唱 え 方 を 比 較 検 討 出 来 る研 究者 であ る筆 者 のあ る 種 特 権 的 な 立場 に よ る も ので あ る 。 即 ち 、 そ の 事 に よ っ て 、カ ミ オロ シ の形 式 があ る 土 地 の 人 々 に ど う捉 え ら れ て い る か、 で は な く 、 カ ミ オ ロ シ に は ど のよ うな 形 式 があ り 、そ れ が巫 女 の 社 会 的 地 位 や 、 巫 儀 の 在 り 方 に ど う関 係 す る か 、 とい う事 を 問 題 に 出 来 る 事に な る。

要 す る に 、 本 研 究 は エ ミッ ク よ り も エ テ ィ ッ クに そ の 重点 を 置い てい る の で あ る。

こ れ に つい て は 、 当 該 社 会 の人 々 が 、カ ミ オ ロ シ や 託 宣 に 関 し て どの よ うな イ メー ジ を 抱い て い る の か 、 或 い は そ れ ら に つ い て ど の よ うな 言 説 が 存 在 す る の か 、 とい っ た事 も問 題 に す べ き で は ない の か 、 と い う批 判 が な さ れ る か も 知 れ ない 。 し か し 、 こ こ で ま ず 断 っ てお き たい の は 、 筆 者 が そ うし たエ ミ ッ ク な 視 点 を 決 し て 無 視 し て い る 訳 で は ない 点 で あ る。 第2 章 及 び 資 料 編 を 見れ ば 分 る よ うに 、 事 例 の 提 示 にお い て は 巫 女 を 含 め たイ ン フ ォ 一マ ン ト の 生 の 声 を な る べ く 反 映 す る よ うに 努 めて い る(IB)。 か と 言 っ て 「何 故こ の よ う な 儀 礼 を 行 ない 、 託 宣 の 記 録 を 取 っ た り し て い る の か ?」 で あ る と か 、「こ の よ う な 儀ネL は今 後 ど うなっ てい く と 思 うか ?」 な ど と言 う 不 躾 か つ 不 作 法 な 質 問 を 発 す る 事 を 厳 に 慎 んで 来 た 結果 、イ ン フ ォ ーマ ン ト と の対 話 の 中に 時 折 挟 ま れ る カ ミ オロ シや 託 宣 、 或 い は 口 寄せ 巫 女に 関す る 言及 とい う も の は 、あ る 一 人 に 限 っ て も 一 貫し た も の で は ない し(19)、 それ は 当 然 の 事 な が ら 個 々 の 人 間 に よ っ て 極 めて 多 様 であ り 、 は た ま た 場 合 に よっ て は そ の よ う な 事 につ い て 何 の 意識 も し て い な い 事 もあ る 、 とい う事 が 徐 々 に 分 か っ て 来 た の で あ る 。 そ こで 、 そ うし た事 か ら 分 析 を始 め る よ り は 、 ま ず 第1 に 、 研 究 者 に よ っ て も 、 勿 論 イ ン フ ォ ーマ ン ト 達 に よっ て も 明 瞭 に 形 とし て 現 わ れ た 部 分 で あ る 、 儀礼 の 在 り 方 、 特 にカ ミ オ ロシ や 託 宣 或い はそ の 記 録 と 伝 達 とい っ た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン 行 為 の 様 々 な 局 面

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を、 客観 性 の 高い 資 料 と し て 整 理 し て み る。 そ の 上 で 、 各 地 域 間 に 見ら れ る そ れ ら の 差 異 につ い て 考 えて い く 事 に よ り 、 決 し て 研 究 者 の 側 で 程 造 し たも の で は な い 社 会 的 事 実 を 把 握 す る 事 が 可能 に な る 、 とい う立 場 を 取 り たい と 思 う。 恐 ら く は 膨 大 な 時 間 を 必 要 と す る で あ ろ うエ ミ ッ クな 視 点 に の み 重 点 を 置い た研 究 法 も 、 本 論 文 の よ うな 形 で エ テ イ ツ ク な 研 究 視 座 があ っ て こ そ 、 よ り 一 層 力 を 発 揮 出 来 る の で は な い か 、 と も 考 え る も の で あ る。

宮 家 準 は 言 う、「宗 教 学 の よ う に 人 間 の 心 の 奥 底 に ひ そ む 文 化 を研 究 し 、 そ こ に 見 ら れ る 普遍 的 な 構 造 を 発 見す る こ と を めざ す 学問 で は 、 ま ず エ テ ィ ック 分 析 に も と づ く 仮 説を 設 定 し 、 そ れ に 位 置づ け て 特 定 文 化 で の エ ミ ッ ク 分 析 を 試 み て 、 人 々 の 内 面 に 根 ざ す そ の文 化 の よ り深 い 構 造 を 捉 え 、 そ れ に よ っ て エ テ イ ツク な 構 造 を 確 認 す る 方 法 を とる こ と が 望 ま し い とい え よ う 」[ 宮 家 1989:35] と(≒ こ こ で 宮 家 が 用い て い る 「 エ ミ ッ ク」 と は 、 基 本 的 に 文 化 相 対 主 義 を 取 る 人 類 学 が 重 視 す る 、 個 々 の 文 脈 にお け る 何 々 、 とい う意 味 で あ る の だ が 、 筆 者 の 目 指 す の も、 こ の よ うな 方 法 論 に 基づ い た分 析 な の であ る。

2‑3  社 会 人 類 学に お け る 宗 教 研 究 : 儀 礼 の 象 徴 論 的 分 析 を 中 心 に

本 論 文 は 先 述 の 通 り 、 シ ャ マ ニ ズ ム と い う宗 教文 化 と 、 儀 礼 の 場 面 に 顕 在 化 す る 村 落 社 会 や 祭 祀 集 団 と の 関 係 を 問 題 に し てい る。そ こ で、社会 人 類 学に お い て 宗 教 と 社 会 の 関 係 、 特 に 儀 礼 と社 会 の 関 係 が 、い か に 論 じ ら れて 来 た の か を 簡 単に 振 り 返っ てお く こ とは 有 益 で あ る。

社 会 人 類 学 にお け る 宗 教を 対 象 とす る研 究 は 、19 世 紀 の 進 化 主 義的 アプ ロ ー チ(E.B. タ イ ラ ー 、J.G.ブ レ イ ザ ー 等 に 代 表 さ れ る。) か ら1920 年 代 に は 機 能 主義 ( 同 じくB. マ リ ノ フ ス キ ー 、A.R.ラ ド クリ フ ェ ブ ラ ウン 等。) が 登 場 し 、 更 に は 既 に20 世 紀 初 頭 の フ ラ ン ス 社 会 学 派 等 に そ の 萌 芽 が 散 見 出 来 る 象 徴 論 (R.エ ル ツ 、M. モ ー ス 、A.M. ボ ガ ー ト 、 更 に は デ ュ ル ケ ム 等 の 議 論 。) を 引 き 継 ぎ つ つ 、 同 時 に ま た機 能 主 義 批 判 とい う形 で 現 わ れ た1940

年 代 後 半 か ら のc. レ ヴィ = ス ト ロ ー スを 唱 矢 とす る 構 造 主 義 的 分 析 へ 、 とい う基 本 的 な 流 れ を 持 つ。(21)

と こ ろ で 、デ ュ ル ケ ム か ら ラ ド ク リ フ =ブ ラ ウン へ と継 承 さ れ る、 象 徴 論的 な 儀 礼 ・ 呪 術 論 の 流 れ 、 及び そ の 問 題 点 は 、 ビ ーテ ィ の 次 の よ うな 言 及 に 見 事 に 要 約 さ れ て い る 。

私 は す で に 、ラド クリ フ =ブ ラ ウ ン の 儀礼 に 関 す る 理 論 に 言及 し て き た。彼 の要 旨は 、 儀 礼 の 機 能 の ひ と つ は 表 現 す るこ と で あ り 、 そ の 結 果 、 そ の 儀 礼を 有 し て い る 社 会 の 円 滑 な 運 行 に 付 着 し た 、 一 定 の感 情 や 価 値 を 補 強 す るこ と だ とい うこ とで あ っ た。 こ の 見 解 が 含 ん でい る 重 要 な 真 実 は 、い ま や 明 ら か で あ る 。 こ の 章で 、 私 は 、 儀 礼 と呪 術 お よ び タブ ー が 本 質 的 に 象 徴的 で あ り 、 し た が っ て 表 現 的 で あ る が 、 同 様 に そ れ ら は し ば し ば手 段 的 で あ る と も 考 えら れ る、 と 論 じ た。 確 か に 、 そ れら は 、 そ れ ら を 持 っ てい る 人 び と に とっ て 、 重 要 な 社 会 的 結果 を も た ら す で あ ろ う。 そ し て 、 私は こ れ ら のい く つ か を論 じ た。 し かし 、 ラ ド クリ フ = ブ ラ ウ ン の 儀 礼 に つ い て の説 明 に と も な う 困難 さ は 、 彼 の 他 の 理 論 のい く つ か の も の と同 じ よ うに 、 彼 が そ れ を 述 べ る とき 、 あ ま り 一般 的 す ぎ て リ アル な人 間 文化 を 研 究 し て い く の に 、 実 用 的 に 役 立つ わ け に は い か な い こ と であ る。 彼 が 言っ てい る よ うに 、 儀礼 の 共同 的 実 施 は 、 社 会 連 帯 の 維 持 に 貢 献 し て い る 価 値 を 表 現 し 、そ し て そ れ を 維 持 す る も の で あ る とい うの は 、とき に は、真 実 ら し く も あ る 。 し か し 、 そ れ は 必 ず し も そ うで は ない 。 共 同 儀 礼 は 、 結 合 さ せ る こ と も あ る し 、分 離 さ せ る こ と もあ る。 そ し て 、 社 会 連 帯 以 外 の 意 味 が 、 そ れ に よ っ て 象 徴 的 に 表 わ さ れた り し てい る。 た と え ば 、 呪 術 に ふ く ま れ た若 干 の 儀 礼 は 、 社会 的 凝 集 の 助 け と な る行 動形 式 を 維 持 して い る と は 、 言 え そ う に も ない 。 さ ら に 、 ラ ド クリ フ こブ ラ ウン の 仮説 は 、 彼 は 仮 説 を 主 張 し た が る が 、 験 証 に堪 え う る よ うな 仮 説 で は な い。 と い う の は、 社 会的 凝集 自 体 が、 そ れ を 維 持 し て い る と思 わ れ てい る 共 同 行 為 に よ っ て 、 表 わ され てい る と うけ と れ る か ら で あ る。 い っ し ょ に ダン ス を す る こ と は 、 人 び とが い っ し ょ に ダン ス を す る の を好 む よ う な 状況 に 寄 与 し てい る と い う 主張 に陥 っ た 循 環論 で あ る。こ の 論 題 は 、 必 要 な 儀 礼 を行 な うこ と が で き な く て 、 そ れ ゆ え に 滅 び て し ま っ た 社 会 を 発 見す るこ と に よっ て の み、 反 証 す る こ と が で き る だ ろ う。 し か し 、 デ ュ ル ケ ムに し た が っ て、 儀 礼

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が 本 質 的 に は 表 現 的 活 動 であ り 、 そ し て 、 そ れ は 重 要 な 社 会的 意義 を 持 つ こ とも で き る し 、持 っ ても い る と、ラ ド ク リフ こ ブ ラ ウ ン が 主 張 し た の は 、彼の 偉 大 な功 績 で あ っ た。

[ ビ ーテ ィ 1964  (1968)   :282‑283]

さ て 、 先 に 触 れ たレ ヴ ィこ ス ト ロ ー スの 関心 は 社 会 と 宗 教的 事 象 、 例 え ば 卜− テ ム ズ ム や 神 話 、 呪 術や 禁 忌 とい っ た も の の 関 係 に あ る 、 とい う点 で 、 社 会 学や 社 会 人 類 学 に お け る 宗 教研 究 、 特 に デ ュ ル ケ ム と ラ ド ク リ フ = ブ ラ ウン に多 く を 負 う。 レ ヴィこ ス ト ロ ー ス は 、自身 の 研 究 を 振 り 返 る 形 で 、構 造 主 義 人 類 学 の 基 本 戦 略 を 次 の よ うに 述 べ て い る。「民 族 誌的 経 験 か ら 、 精 神 活 動 の枠 組 の 総 目録 を 作 る こ と 、一 見 気 紛 れ と 思 え るデ ー タ を 秩 序 だ て る こ と 、 自 由 と錯 覚 させ る 状 態 に 実 際 は 内 在 して い る 必 然性 が明 ら か に な る 次 元 に ま で 到 達す る こ と 、これ が 目 指 す とこ ろ で あ る。」[ レ ヴィ = ス ト ロ ー ス 1964  (1992):124]

こ の方 針 の 元 に 結論 と し て 提 示 され た の は 、象 徴 を 介 し て 行 な わ れ る 自 然 或 い は 世 界 と 、 社 会構 造 の認 識 の 在 り 方 の 相 同 性 で あ り 、 同 時 に ま た 徹底 的 に 共 時態 に 分 析 の 重 点 を 絞 り 込 む 事に よっ て 、 確 か に 認 識 論 と し て は 相 当 深 い 所 ま で 到 達 し た とい う評 価 が 下 し 得 る。

し か し な が ら、 結 局 の所 そ れ は 、F 客 観 化 さ れ た 思 惟 とそ の機 構 を よ り よく 知 る の に 貢 献 す る こ と が 人 類 学 の 最 終 目標 で あ る と す れ ば 、 本 書 (『 神 話 論 理 』: 筆 者 注 ) の 中 で 、 南 米先 住 民 の考 え 方 が 私 の 考 え 方 の 作用 を受 け て 明 確 に な ろ う と、 逆 に 私 の 考 え 方 が彼 ら の 考 え 方に よっ て 明 確 に な ろ うと 、 そ れ は 究 極 的 に は 同 じ こ と だ か らで あ る。 重 要 な の は 、 人 間 精神 が、 こ こ の ケ ー ス に よ っ て 変 わ るそ の メ ッ セ ー ジ 伝 達 者 のア イ デ ン テ ィテ ィ ー い か ん に か か わ ら ず 、 一 つ の 構 造 を 示 す こ と で あ る 。J[ 同:128] とい う よ うな 言 い 方 か ら も 見て 取れ る よ う に 、 あく ま で も 人 間 の持 つ 認 識 能 力 や 知 識 を 問 題 に し て い る ので あっ て 、 外的 要因 は な い が し ろ に さ れ て い る事 は否 め な い の で あ る。 レ ヴィ = スト ロ ー ス に し ば し ば貼 られ る 「主 知 主 義 者 」 とい うレ ッ テ ル は 、 必 ず し も的 外 れ な も ので は ない(2≒

次 に、c.ギ ア ツ に よ る 、 構 造 主 義 の 乗 り 越 え を 計 っ た と も 見 な せ る 著 名 な 象 徴 論 的 宗 教 定義 に つ い て 述 べ る事 に す る。 ギ ア ツ は 文 化 を 「歴 史 的 に 継 承 さ れ る よ うな 、象 徴symbol に よっ て 表 現 さ れ る 意 味 の パ タ ー ン で あ り、 人 間 の 生 活 に 対 す る態 度 や 、 そ れ に つ い て の

知識 を 伝 達 し、 永続 させ 、発 展 させ る た め の 、 象 徴的 な 形 式 に 表 現 さ れ て 伝 承 さ れ る 概念 の 体 系 で あ る。」 と 定 義 し 、「 聖 な る 象 徴 は 人 々 の エ ト ス と 世 界 観 を同 期 させ る 機 能 を 持 つ 。」[GEERTZ 1966 (1968):3] とい う。 そ し て 、 象 徴 とい う概 念 を 用 い て 宗 教 を 、「(I) 象 徴 の 体 系 で あ り 、(2) 人 間 の 中 に 、 強 力 で 、 浸 透 し 、 長 続 き す る 情 緒 と 動 機 を 創 り 出 す よ う に 機 能 す る 。(3) そ れ は 、 存 在 の 一 般 的 な 秩 序 の 概 念 を 形 成 す る 事 と、(4) こ れ ら の概 念 を 事 実 性 の オ ー ラ を もっ て 覆 う 事一 一 (5) そ の 事 で 情 緒 と動 機 が 独 特 な 仕 方 で 現 実的 で あ る よ うに 見 え る よ うに な る一 一 に よ っ て な さ れ る。」[ibid.:p.4] と 定 義 す る。

こ の よ うな ギ ア ツ の視 点 は 、 確 か に 象 徴 に 重き をお く と い う点 で は レ ヴィ こ ス ト ロ ー ス のそ れ に 近 い と も言 え る の だ が 、 そ の 分 析 法 は例 え ばイ ス ラ ム 教 と反 イ ス ラ ム教 の 対 立 関 係 や そ の変 化 と い っ た 外 在 要 因 を 重 視 し た も の で あ る。「 儀 礼 と社 会 変 化 」 と題 さ れ た 論 文 に お い て ギ ア ツ は 、「機 能 的 ア プ ロ ー チ が もっ と も 精 彩 を 欠 い て い た 領 域 は 、 社会 変 化 に つい て で あ る。 … 文化 と社 会 体 系 と を 区 別 す る 比較 的 有 効 な 方 法 の 一つ 一 一 も ち ろ ん唯 一 の 方 法 で は な い がー− は 、 前者 は 、 意 味 と シ ン ボ ル の 秩 序づ け られ た 体系 で あ り 、 そ の 体 系 に 準 拠 し て 社 会 相 互 作 用 が発 生 し 、 後 者 は 、 社 会 的 相 互 作用 の型 そ の も の で あ る 、 と す る 見方 で あ る。」 とし て 、 こ こ で は 言 及 さ れ て い な い 構 造 主 義 を も 含 め た 静 態 的 分 析 に 意 義 を 唱 えっ つ 、 象 徴 論 は 動 態 的 な 分 析 に 寄 与 し うる 事 を指 摘 し て い る[GEERTZ 1957b

→1973    (1987):244‑246]。

上 に 述 べ た ギ ア ツ の 宗 教 定 義 を巡 っ て は 様 々 な 議 論 が行 な わ れて 来 た が 、 確 か に 、 そ れ が 殆 ど 文 化 の 定 義 と 変 わ らず 、 例 え ば そ れ が 言語 な ど と ど う 異 な る の か が明 確 で ない 事 は 誰 に で も 指 摘 出 来 る 事 で あ る。 更 に 、 例 え ばT. ア サド は ギ ア ツ の 宗 教 の 定義 は 、「 意 味 に 強 調 点 を 置 き な が ら 」、 宗 教 の 持つ 「 権力power と い う極 め て重 要 な 側 面 に 言 及 し てお ら ず 、 そ の 知knowledge  の 創 出 の た め の 可変 的 な 社 会 的 条 件 を 無 視 し てい る し、 さ ら に は そ の 一 見 し た 所 の も っ とも ら し さ は 、 ギア ツ の 提 示 し た 宗 教形 態 が、 権 力 と知 が も はや 宗 教的 な 制度 か ら 生 成 され る こ と が 余 り 顕 著 で な い 、 近 代 ( キ リ スト 教 ) 社会 的 な 特徴 を 持

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つ 、 そ うし た 社 会 の 成 員 が よく 知っ て い る 宗 教 に 似 て い る とい う事 実 か ら 引 き 出 さ れ て い る。」[ASAD 1983:237 ] と述 べて 、 そ の 問 題 点 を 浮 き 彫 りに し て い る。

儀 礼や 宗 教 と 権 力 と の関 わ り は 、 近 年 注 目 が集 っ て い る 領 域 と も 言 え る が 、 そ こ に お け る 重 要 な 論 点 は 、 機 能 主 義 或 い は 象 徴 論 的 儀 ネL論 の 批 判 と い う 文 脈で 言 え ば、「 儀 礼 が 社 会的 結 束 と か 新 し い 秩 序 を 創 出 す る とい う 見解 に は、 既 存 の 権力 構 造 と の 関 係 で 祭 祀 の 機 能 ( 政 治的 機 能 ) を 捉 え る とい う 視 点 が 脱 落 し て い る …『 象 徴 の森 』 の 奥 深 く へ と 入 る こ と に よっ て 、 コ ス モ ス とカ オ ス の 弁 証 法 に 戯 れ 、 儀 礼 の 持つ 政 治的 機 能 を 見 失っ て し ま っ て は い な かっ た だ ろ う か。」[ 田中 雅 一 1988:450]、 或 い はF 村 落 祭 祀 の 分 析 は 構 造 機 能 主義 か ら 象 徴分 析 へ の 移 行 とし て 位 置づ け る こ と がで き る が 、 両者 に 欠 如 し てい る の は 儀 礼 の 政 治的 機 能 の 分 析 で あっ た。」[同:455] と い う事 に な るだ ろ う。

と こ ろ で 、や は り 象 徴 論 的 ア プ ロ ー チ か ら の 宗 教論 を展 開 して い た の が 、 前 述 の ビ ー テ イで あ る。ビ ーテ イは 呪 術 や 宗 教 は「 象 徴 的symbolic 」で あ り 、かつ ま た「表 出 的expressive」

で あ る 、 とい う観 点 を 明 確 に 打 ち 出 す。 即 ち 、「 儀 礼 的 ・ 呪 術的 諸 活 動 が原 因 的 に 効 果 あ る と (マ マ ) 普 通 考 え ら れ て い な い と 、 私 は 言 っ て い る ので はな い。 そ れ ら は 確 か に 効 果 的 で あ る。 し か し 、 こ れ ら 諸 活 動 は 手段 的 で あ る の と 同 様 に 表 現 的 で あ る 。 そ して 、 こ れ が厳 密 に 経 験的 ・ 手 段的 活 動 か らそ れ ら を 区 別 し て い る。 事 実、 し ば し ば 、 そ れ ら は 、 ま さ しく 表 現 的 で あ る が た めに 、手段 的 で あ る と信 じ ら れて い る。」[ビ ーテ イ 1964 (1968):265

] とい う事 に な る。 更 に は 、「 儀 礼 と 社 会 変 化 」 と題 され た 論 文で は 、

周 知 の通 り 、 機 能 論的 な 分 析 は 、 多 く の 成 果 と と も に 、 儀礼 的 慣 習 の み なら ず 、 人 間 の全 て の社 会 的 及び 文 化的 な 慣 習 に 適 用 さ れ て 来 た し 、 現 在 にお い て も そ うで あ る 。 た だ 、 私 は む し ろ 儀 礼的 慣習 の 持つ 特 質 あ るい は 特 有 性 と も 言い 得 る も の に 関 す る 問 題 に 関 心 が あ る の であ る。 そ し て 、 私 は 、 そ れ は 儀 礼的 慣 習 の 持つ 表 出 的 な 性 質 で あ る と 結 論 付 け る。 私 は 、我 々 が 儀礼 を 扱 う場 合 の 第 一 の問 題 ぱ そ れ は 何 を な す の か ?>    (23) 或 い ぱ そ れ は 何 を な す と 信 じ ら れ て い る の か ? で も な く 、 む しろ そ れ は 何を 言 う のか ? に あ る と し た い 。[BEATTIE 1966:6 日

と述 べ 、 後 に豊 穣 な研 究 成果 を 生 む 事 に な る 儀 礼 の 行 為 的 側 面 の吟 味 で は な く 、 表 出 的 乃 至 は 情 報 伝 達 的 側 面 の 吟 味 を 重 視 す べ き 事 を うた っ て い る ので あ る(24)。

さ て 、 ビ ー テ ィ 等 の象 徴論 的 儀 礼 研 究 に 対 す る 批判 は 、 古 く は1961 年 のJ. グデ ィ の 論 文 に 既 に 現 わ れ て い る。 グデ ィ は 、 儀 礼そ の 他 の宗 教 的 行 為 を 「 象 徴 的 」、 乃至 は 「 表 出 的J な も ので あ る と 言 っ て し ま う事 は 、 そ れ ら の 行為 を 理 解 す る 上で 何 の 効 果 も な い 事 を 述 べ てい る。

二 分 法 の 本 質 的 に 外 在 的 な 特 質 の 光 の 中 で 、 象 徴 的 或 い ぱ 表 出 的 な 要 素 を 儀 礼 や 宗 教 的 ( 即 ぢ 非 合 理 的' ) 振 舞 い に 適 用 す る 事 は 、 し ば し ば 、 観 察 者 は あ る行 為 を 固 有 の 手 段 一 目的 関 係 、 即 ぢ 合 理 的 な 原 因 と 結果 の 接 合 とい う観点 か ら は 理 解 す る 事 が 出 来 な い 事 を 宣 言す る一 つ の 方 法 以 外 の 何 も の で も ない 事 を 明 ら か に し て し ま い 、 そ れ 故 に こ こ で 問 題 に し て い る行 為 を 、 そ の表 われ 以 上 の 何 か に 由来 す る も の で あ る と 仮 定 し な け れ ば な らな い 事 に な る。 そ れ は 言 い 換 え れ ば 、そ れ は 何 か 他 の も の を 表 出 し た り 、 そ の象 徴 で あ っ た り す る 、 とい う事 で あ る。 し か し 、 そ の 何 か 他 の も の と は 一 体 何 で あ ろ う ?[GOODY 1961:156 ]

ちな み に 、 グデ ィ に よ る 儀 礼 の 定 義 は 、 次 の よ う な も の で あ る。 即 ち 、「 儀 礼 とい う語 に よっ て 、 我 々 は 、 手段 と 目的 の 関 係 が 本 質 的 な も の で は な い 、 即 ち 、 非 合 理 ま た は 不 合 理 で あ る よ うな 、標 準 化 さ れ た 振 舞( 慣 習 )とい うカ テ ゴ リ ー を 指 し示 す。j[ibid.:159]

と。

ビ ー テ ィ は こ れ に 対 し 、「こ れ は 、 儀 礼 的 振 舞 に 対 し て 、 そ れ が極 め て 非 知 性 的 な も の で あ る と い う定 義 を 与 え る効 果 を 持つ 事 に な る が、 そ の事 が 儀 礼 とい うも の に 対 す る 我 々 の 理 解 を 推 し 進 め る のに 役 立つ と は 到 底 思 わ れ な い し、 或 い は こ の 領 域 にお け る 新 し い 困

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惑す べ き 問 題 を 我 々 に 科 す 事 に す ら な る と 考 え る。 つ ま り 、つ い に我 々 はブ レ イ ザ ー の 言 う 誤っ た 科 学bastard science' とい う 出発 点 に 戻 る事 に な る の だ。]しBEATTIE 1966:63‑64]

と手 厳 し く 批 判 し て い る。

尚 、マ ル クス 主 義 人 類 学 を 標 榜 す るM. ブ ロ ッ クに よ る機 能 主 義 及 び 象 徴論 へ の 批 判 は 、 極め て 辛 辣 で あ る。ブ ロ ッ ク は 、ま ず 機 能 主 義的 分 析 を 「還 元 主 義 」で あ る と 論 難 し、「儀 礼をそ の 社 会的 規 範 の機 能 に よっ て 説 明 し よ う と す る理 論 はす べて 、 き わ め て 豊 か で 複 雑 な現 象 の ほ ん の 二 、 三 の 局 面 に し か 注 意 を は ら っ てい ない 。 こ れ が問 題 な の で あ る。 私 た ちが 目に す る 複 雑 性 を そ の よ うな 諸 機 能 に よっ て 説 明 す る こ と は 不 可能 な の だ。」 と い う

[ブ ロ ッ ク 1986  (1994):14]。 更に は 機 能 主義 の 批 判 者 で あ るp. ラ デ ィ ン や エ ヴァ ン ズ

==プ リ チ ャ ー ト も ま た 、「 主 知 主 義 者 、 象 徴 主 義 者 の ラ ベ ル の も と に ひ とく く り に で き る だ ろ う。」 と し 、「 こ れ ら の 著 者 た ち は ま っ た く 伝 統 的 神 学 の 観 点 に よ りつ つ 、 基 本 的 に は 宗 教 を 世 界や 人 間 につ い て の ひ とつ の説 明 で あ る と 見な し て い る。 彼 らは 、 宗 教 と は 自 然 に か んす る想 像 であ り 、彼 岸 的 な る も の の 知 的 受 容 で あ る と見 る。」[ 同:15] と述 べ る。

デ ュル ケ ムやN.D. フ ュ ス テ ル ・ ド ウ・ ク ー ラ ン ジ ュ の理 論 を 、

儀 礼 と 社 会 組 織 と の 間 に 関 係 が あ る こ とそ れ だ け で は 、 因 果 関 係 を 証 明 し たこ とに な ら な い … 。そ れ が 因 果 関 係 の 証 明 で あ る か の よ うに 見 える のは 、こ れ ら す べ て の研 究 者 が 、

だ れも 知 ら ない あ る歴 史的 時 点 に お い て一 方 の 要素 が他 方 の 要 素 を 直 接 的 ・ 瞬 間的 に 生 み 出し か と 仮 定 し てい る か ら で あ る 。 し か し な が ら 、 こ の問 題 に 関 わる 者 はだ れ ひ と り と し て、 そ うし た歴 史的 瞬 間 の い か な る 証 拠 を も 提 出 し て い な い。 そ の うえ 、 そ ん な こ とを 想 像 し よ う と す る な ら ば 、 た だ ちに 常識 は ず れ とな っ て し ま う。 社 会 的 決 定 論 は 仮 説的 歴 史 に よ っ て 証 明 で き る も の で は な い 。[ 同:13‑14]

と批 判 す るブ ロ ッ ク の 拠 っ て 立 つ 方 法 論 は 、「 私 た ち は 現 実 の歴 史 、 す な わ ち 出 発 点 を も たな い 歴 史 を 、そ れ 自 体 の 複 雑 性 の な かで 見つ め な け れ ば な ら な い。そ の よ うに し て こ そ 、 後に 検 討 す る 儀 礼 の よ うな 錯 綜 し た 現 象 が 生 み だ さ れ る入 り 組 ん だ 決 定 過 程 の可 能 性 を 理 解す るこ とが で き る ので あ る 。J[ 同:14‑15] とい う言 葉 に 表 わ れて い る(25)。

儀 礼論 の 新 し い 流 れ は 、 例 え ば1960 年 代 後 半 以 降 の 、 例 え ばS.J.タ ン バ イ ア に よ る 言 葉の 持 つ 「呪 的 な 力magical power 」 に 関 す る 分 析[TAMBIAH 1968 ト ≒ 乃至 はJ.L.オ ー ステ ィ ン 及 びJ. サ ー ル の 言 語 行 為 論(27) を 援 用 し た 儀 礼 の行 為 遂 行 性 の 分 析 [TAMBIAH1979

] と して 現 わ れ た。そ の 中 で 、タ ン バ イ ア は 儀 礼 を 次 の よ う に 定義 す る。「 儀 礼 と は 、 文 化 的 に 構成 さ れ た 象 徴 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンsymbolic communication の シ ステ ム で あ る 。 そ れ は 形 式 化 さ れ、 秩 序 づ け ら れ た 連 続 し た 言 葉 と行 為 か ら な り、 多 く の 場 合 複 数 の メ デ ィ ア を 通 し て 表 現 さ れ る が 、そ の 内 容 と配 列 は、程 度 に 差 は あ る と は 言 え 、形 式 性( 慣 習 性 )、定 型 性 ( 厳格 性 )、濃 縮 性 ( 融 合 )、冗 長 性( 反 復 )な ど に よっ て 特 徴 づ け ら れ る。

儀礼 行 為 は 、 そ の 構 成 的constitutive な 側 面 に お い て は こ れ ら三 つ の 意 味 で 行 為 遂 行 的performative で あ る。」[TAMB 【AH 1979:119】 と(≒

ま た 、 ブ ロ ッ ク に よ り 儀 礼 に お け る 各 種 行 為 と 権 威 と の 関 係 が 問 わ れ る よ う に な り

[BLOCH 1974] 、 先 述 のア サ ド に よ る ギ ア ツ 批 判 [ASAD 1983 ] に端 的 に 見 ら れ る よ うな 宗 教 とそ こ に ま と わり つ く 知 識 ・ 権力 の 関 係 が 主題 とし て 浮 上 す る 事に も な る。 こ れ は 、 近 年 注 目 さ れ て い る 、 構 造 主 義 や 象 徴 論 が 考 え て い た よ う な 意 味 と は 異 なっ た ニ ュ ア ン ス を 持 つ 「知 識 」 とし て の 「イ デ オロ ギ ー 」 と 、 そ れに よっ て 創 り 出 さ れ、 かつ ま たそ れ を 内 面 化 さ せ 、 維 持 す る よ うな 行 為 と し て の 「実 践」 即 ち 「プ ラ クテ ィ ス」 の 相 互 関 係 に 目 を 向 け さ せ る き っ か け とな っ た 。 田辺 繁 治 は こ の辺 り の 事 情を 次 の よ うに ま と め てい る。

よ うや く 近 年 に 至 っ て 人 類 学者 た ち は 、 フ ィ ー ル ド に お け る人 々 の さ ま ざ ま な 儀 礼 や 慣 行 、 さ ら に 社 会 組 織 や 制 度 の な か に 、 あ る 種 の力 を も っ て 彼 ら を つ き う ご か し てい る 特 異 な 知 識 、 す な わち イ デ オ ロ ギ ー的 な る も の の存 在 と そ の 作用 を感 知 す る よ うに な っ た。 象 徴 人 類 学 の 分 析 方 向 と 違 っ て 、イ デ オ ロ ギー に 注 目す る人 類 学 者 た ち は 儀 礼や 慣 行 の な か に 記 号論 的 な コ ー ド に よっ て 伝 達 さ れ うる 知 識 の シ ステ ムと は 別 に、 異 なっ た

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知 識 が 作用 し て い る と 考 え る。

二の よ う なイ デ オ ロ ギ ー 的 知識 は 、 … 人 間 の特 異 な認 識 の メカ ニ ズ ム に よ っ て 形 成 さ れ、 さ ま ざま な象 徴的 な 表 象 や 行 為を とお し て 儀 礼や より 日常 的 なコ ン テ ク ス ト にお け る 慣 行 の な か で 作 用 し て い る レ‥]。 さ ら にイ デ オ ロ ギ ー の 作 用 は 、 国 家 儀 礼 は も と よ り さ ま ざま な 儀 礼 に 見 ら れ る よ う に 、 社 会 秩 序 の 再生 産 に 関係 す る と と も に 、 そ れ ら を 支 え る 権威 を 正 当化 し てい く 。 し か し イ デ オ ロ ギー の 作用 は表 象 のレ ペ ル に と ど ま る の で は な い。 イ デ オ ロ ギ ー は さ ら に 具 体的 か つ 物 質 的 に 社 会 関係 や 制 度 を 創 り だ し 、 そ れ ら を 維 持 す る 政 治 権力 と 密 接 に 結び つ い た も の で あ る 。 … 社会 が い かに 構 築 さ れ 、 維 持 され 、 さ らに 変 革 さ れ う る か を 問 うこ と にお い て 、 イ デ オロ ギー 的 な 知 識 と そ の メ カ ニ ズ ムを 明 ら か に す るこ と は 、 人 類 学 に とっ て き わめ て 重 要 なこ とで あ る 。 さき に ふ れ た よ うに 、 さら にイ デ オ ロ ギ ー とい う特 異 な 知 識 は人 々 を つ き 動 か し て な ん ら か の 行 動 へ と 誘 う強 力 な 作 用 を もっ て い る こ と が 注 目 さ れ る べ き で あ る。 こ の 点 は 、 人々 の 儀 礼 的 行 為 や さま ざ ま な形 式 化 さ れ た 行 動 を 分 析 す る こ と に よ っ て 、 は じ め て イ デ オ ロ ギ ー の 作 用 や 持 続 性 の問 題 に 接 近 で き る こ とを 示 唆 し てい る。 イ デ オ ロ ギー 論 が知 識 と認 識 の 理 論 で あ る と す る な ら ば 、 さ ら に わ れ わ れ は そ の よ うな 知 識 を 支 え て い る行 為 につ い て の 理 論 が 必 要 な の であ る。 そ し て と りあ え ず こ こ で 焦点 と な る べ き 行 為 の理 論 は、 本 書

(『 人 類 学 的 認 識 の 冒 険 』: 筆 者 注 ) にお い て 今 村 ( 仁 史 : 筆 者 補 ) や 田 辺 が 示 す よ う に 、 モ ー スやブ ル デ ュ ら が 注 目し てき た 慣 習 的 行 為 と し て のプ ラ クテ ィ ス に関 す る も の で あ る[ … ]。

こ こ で 扱 うプ ラ クテ ィ ス ( 慣 習 的 行 為) と は ギリ シ ヤ以 来 、 古 典 的 マ ル ク ス 主義 に 至 る ま で の 西欧 の 哲 学 的 伝 統 の な か で 論 じ ら れ て き た 、「自 由 な 行 為 」 と し て のプ ラ ク シ ス( 実 践 ) と 区 別 され る。 わ れ わ れ は人 々 の 自 由 で 選 択 的 な 行 動 を 問 題 に す る ので は な く 、身 体に 染 み つ く ほ ど に 慣 習 化 さ れ 、 社 会 に よっ て 拘 束 さ れ た 行 動 の 解 明 に 向 か う こ と に な る。[ 田辺 1989:9‑11]

本 論 文 で は 、 カ ミ オ ロ シ と い 引 義礼 に お け る 、 明 瞭 な 言 語 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ( = 巫 女 に よ る カ ミ オ ロ シ の 発 話(29)、 及 び ク ラ イ ア ン ト に よ る そ の 記 録 と 伝 達 )、 即 ち 情 報 伝 達 性 に 富 ん だ 部 分 と 、 非 言 語 的 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ( = カ ミ オ ロ シ の 韻 律 的 特 性 、 及 び ク ラ イ ア ン ト に よ る そ の 記 録 と 伝 達 に 使 用 す る 文 字 や 媒 体 の 形 態 )、 つ ま 引t  p. ブ ル デ ュ の 言 う 意 味 で プ ラ ク テ ィ カ ル で[ ブ ル デ ュ 、p.    1980 (1988]‑] (30)、さ り と て 表 出 性[BEATTIE 1966 も 無 視 し 得 な い 部 分 、 と い う コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 形 態 の 二 側 面 を 扱 う 事 に な る 。

さ て 、 こ こ 迄 の 所 、 儀 礼 研 究 を 中 心 に 、 社 会 人 類 学 に お け る 機 能 論 か ら 象 徴 論 、 更 に は そ れ に 対 す る 批 判 、 と い う 一 連 の 流 れ を 追 っ て 来 た が 、 最 後 に 、 象 徴 論 的 な 分 析 を 重 視 す る の と は 異 な る 動 き も ま た 、 近 年 の 死 者 儀 礼 や 祖 先 崇 拝 研 究 に お い て 現 わ れ て 来 て い る 事 を 述 べ て お き た い 。 例 え ばp. メ ト カ ー フ とR. ハ ン テ ィ ン ト ン に よ る 死 者 儀 礼 研 究 ( メ ト カ ー フ & ハ ン テ ィ ン ト ン 1979 (1985 )] に お い て は 、 本 節 冒 頭 で 触 れ た フ ラ ン ス 社 会 学 派 の エ ル ツ 及 び モ ー ス 等 に よ る 、死 や 死 者 、或 い は 死 霊 信 仰 を 社 会 の 集 合 表 象 と し て 扱 う 、 と い う 分 析 方 法 ([ エ ル ツ 1907   (1980 )]、[ モ ー ス 1926 →1968   (1976 )] 等 ) が 見 直 さ れ て い る 。 メ ト カ ー フ と ハ ン テ ィ ン ト ン は 進 化 論 的 人 類 学 に お け る 死 や 宗 教 に 関 す る 研 究 か ら 説 き 起 こ す 。「 タ イ ラ ー や ブ レ イ ザ ー の 人 類 学 は 、 死 や 死 後 存 在 に 関 す る 信 仰 に 注 意 の 焦 点 を 合 わ せ た 。 こ の 接 近 法 は 、 初 期 の 人 間 達 が 自 然 現 象 に よ っ て 触 発 さ れ る 疑 問 に 対 し て い か な る 解 答 を 考 案 し た か を 再 構 築 し よ う と し た た め に 、 し ば し ば 『 主 知 主 義 者 』 と い う レ ッ テ ル を 貼 ら れ た 。」[ メ ト カ ー フ& ハ ン テ ィ ン ト ン 1979   (1985 ):20 ] そ し て 、 デ ュ ル ケ ム の 研 究 に つ い て 、

フ レ イ ザ ーや タイ ラ ーに と っ て 、 死 に関 す る 未 開人 の 信 仰 が 宗 教 の起 源や 本 性 とい う 問 題 の安 易 な 解 答 を 用 意す る も の で あ っ た の に 対 し 、デ ュ ル ケ ムに とっ て 死 に 関す る 諸 観 念 は、 問 題 の一 部 であ っ て 決 し て 解 答 で は な か っ た。 な ぜ な ら 、 彼 の アプ ロ ー チ か ら す れ ば 、 探 求 され るべ き 課 題 は 、 あ く ま で 集団 か ら 取 り 出 し た 一 単 位 と し て の 個 人 の 本 性 で あ る か ら 。 デ ュ ル ケ ム 理 論 は 共 同 的 生 活 へ の 個 々 人 の 統合 に 焦 点 を 当 て る。 こ の 過 程

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参照

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