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左京一条二坊九坪の調査 -

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Academic year: 2021

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(1)

200

奈文研紀要 2016

1 はじめに

 本調査は、住宅建設にともなう事前調査である。調査 地は法華寺の北方、左京一条二坊九坪にあたる(図236)。 調査は、南北2ヵ所でおこなった。調査面積は、南区12

㎡、北区13㎡の計25㎡。調査期間は、2015年8月24日か ら9月7日までである。

2 基本層序

 表土、埴輪片を含む黄褐色~褐色粘質土の整地土(奈 良時代か)、地山(黄灰色粘質土)と続く。整地土上面の標 高は、南区で73.2m、北区で73.0m。地山の標高は南区 で72.7m、北区北端で72.6m、遺構面、地山ともに北に 向かって緩やかに標高を下げる。

3 検出遺構

 北区北方の約3mの範囲に、大小含めて少なくとも6 基の土坑を検出した(図237左)。すべての遺構で奈良時 代の遺物を含む。土坑群は北にさらに広がる。以下、主 な土坑について述べる。

土坑SK₁₀₉₄₅  南北1.5m以上、東西1.0m以上、深さ約 50㎝の円形の土坑。土器が多く出土した。

土坑SK₁₀₉₄₆  南北1.2m、東西1.3m以上、深さ5~10

㎝の不整円形の土坑。土器溜状。土師器、須恵器の甕が 多量に出土した。SK10945に壊される。

土坑SK₁₀₉₄₇  南北1.0m以上、東西1.3m以上、深さ約 20㎝の不整形の土坑。おもに土師器、須恵器が出土した。

SK10945・10946、小土坑SK10950に壊される。

土坑SK₁₀₉₄₈  南北0.3m以上、東西0.4m以上、深さ約 50㎝の方形の土坑と考えられる。SK10945・10946に壊 される。

小土坑SK₁₀₉₅₀  須恵器の小型平瓶(ほぼ完形)が正位 の状態で出土した(図237右)。地鎮に関わる遺構の可能 性がある。SK10947を壊す。 (芝康次郎)

左京一条二坊九坪の調査

-第558次

図₂₃₇ 第₅₅₈次調査区遺構平面図1:₁₀₀(左)・SK₁₀₉₅₀拡大図1:₄₀(右)

X‑144,720 X‑144,715

X‑144,710 Y‑17,988

Y‑17,993

SK10945

SK10950

SK10946 SK10948

0 2m 0 50㎝

H=73.20m

E W

SK10947

図₂₃₆ 第₅₅₈次調査区位置図 1:₃₀₀₀

151‑15次 123‑34次

174‑11次

88‑17次 82‑11次

223‑16次

141‑19次 141-18次

141‑20次

141‑33次 141‑15次 131‑25次

248‑7次

248‑5次 242‑15次

1995年立会 1995年立会

215‑20次

118‑14次

248‑8次 258‑4次

258‑6次

215‑18次 191‑12次 191‑8次

112‑12次 98‑20次

234‑11次 234‑11次 95‑3次

460次 405次

449次

373次

507次 461次 9坪

東二坊坊間路

558次

北区

南区

(2)

201

Ⅲ-2 平城京と寺院等の調査

4 出土土器

 整理用コンテナ3箱分の土器・土製品が出土した。奈 良時代の須恵器・土師器を中心とし、一部埴輪片や近世 陶器を含む。図238の1~4はSK10945出土。土師器杯 A(1)は内面に一段放射暗文と連弧暗文を施す。外面 はa1手法を施す。椀X(2)は口縁部が直立し、内外 面に丁寧なヨコナデを施す。精良な胎土で赤褐色の色調 を呈する。甕A(3)は口縁端部をわずかに肥厚する。

口径は32.4㎝に復元できる。須恵器杯B(4)は底部に ロクロナデ調整を施す。5~8はSK10947出土。須恵器 壺A蓋(5)は平坦な頂部に径3㎝のつまみを貼り付け る。杯B(6)は底部中央が厚く、低平な高台よりも下 方に突出する。甕B(7)は外面に平行叩きを施した後、

カキメを施す。底部外面の剥離が顕著であり、底部から 3.5㎝の高さを境に水平方向の剥離がみられる。土師器

甕A(8)は口縁端部を上方に肥厚する。口径は23.7㎝

に復元できる。小型の須恵器平瓶(9)はSK10950出土。

体部が扁平で、肩部に稜をなす。10・11はSK10946出土。

須恵器椀A(10)は丸みをもつ底部の中央が小さな平底 を呈する。口縁部が外反気味に立ち上がる。内外面に火 襷が顕著にみられる。壺A(11)は肩部が張らない形態 を呈する。口縁端部を丸くおさめる。 (小田裕樹)

5 ま と め

 本調査では、奈良時代の複数の土器廃棄土坑を検出し た。また、平瓶が正位の状態で置かれた地鎮の可能性が ある小土坑も確認した。周辺の調査では顕著な遺構は確 認しておらず、これらの遺構の位置づけは現状では困難 であるが、近年坪内での調査事例が増加しており、今後 も古代における当該地の土地利用について注視しておく

必要がある。 (芝)

図₂₃₈ 第₅₅₈次調査出土土器 1:4

1 2

4 9 3

5

6

7 8

10

11

0 20㎝

参照

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